1 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/04/28 16:07
いやぁ〜前スレは見事に落ちてしまった・・・。
このまま終わっちまうのも
ハッキリ言ってアレなんで
連載を再開する事となりました。
随時掲載。〆切無し。
続きを読みたい方はレスを付けて
救済活動をお願いします。
まずは
これまで執筆した全文を何レスかに分けて
掲載します♪
2 :
*´Д)ノ … 壁∀・)ユンユン ◆0F/RETU2 :02/04/28 16:07
2
3
4 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/04/28 16:14
『禊〜みそぎ〜』
<プロローグ>
「イイじゃない!今迄とは違うんだから。ねぇ?そうでしょ?」
沙織(さおり)は不愉快さなど
これっぽっちも無かったのだが、敢えてそう言ってみた。
判ってはいたが、隆史(たかし)も調子を合わせてやろうと
「わかったよ、よーく判ったから。ったく、まだ終わったばかりだぜ?」
「終わったけど・・・・・、やだぁ、『終わった』なんて言わないでよ!」
今度はチョット本気になってしまった。
「これから始まりなのよ!二人の生活は!それなのに何よぉ・・・もう!!」
結婚式、披露宴、2次会、3次会と・・・・
ようやく2人だけの時間になったのに
隆史は早速寝てしまいそうになっていた。
いや、気付かないうちに寝ていたかも知れない。
幾つかのインターチェンジは通過したかどうかすら記憶が曖昧だった
沙織の声は眠気を誘う。
中央高速を車で運転していた時だって、
話しながらまぶたが重くなっていった。
ようやく二人の新居に戻ってきても
隆史が考えていたのは2階の寝室のベッドの温りだけであった。
「まさかこのまま『おやすみ』なんて事はしないよね?」
沙織は顔を真っ赤(怒りか?欲情か?判別しづらい)にさせながら、
まだ誰の匂いもついていないベッドに横になる隆史の上に
馬乗りになって、耳朶にキスをすると、
「ねぇ、今日は初夜なんだよ・・・。それに、私、もう・・・・。」
沙織は白く伸びやかな脚で、隆史の腰骨の辺りを撫でる。
足首の感触はひんやりとしているのに、
隆史を撫でる太腿は熱を帯びていた。
「んン・・・、はぁあっ・・・ん・・・・。」
耳へのキスのに熱く上気した吐息が加わる。
ゾクゾクとした感覚が首筋から胸元へ、
Yシャツのボタンをひとつ外しては露わになった肌に
沙織は愛おしそうに唇を触れさせていく。
5 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/04/28 16:20
『禊〜みそぎ〜』
<プロローグ> 2
「ううぅ!」
隆史の身体が少し仰け反り、顎が軽く上を指し示す。
「さ、沙織・・・。ん、んあぁ・・・。くっ・・・・・!」
「んふふっ、隆史ここ弱いんだぁ・・・・。
そんな声だして、女の子みたい・・・。」
三つ目のボタンを外したところで沙織は、隆史の乳首を
唇で、舌で、歯で、序々刺激を強くしながら、時間をかけて弄ぶ。
隆史の太腿に熱く火照った自らの太腿を擦り合せながら
段々と深く腰を落とし、最も熱く熟した部分が隆史の太腿で擦られた瞬間
「あぁん!!んく・・・!はぁぁ・・・・!」
一際、切ない歓喜の声を沙織は漏らしてしまう。
「もう・・・そんなになってるのか?沙織はいやらしい子だなぁ・・・。」
悪戯っぽく、責め立てる隆史の言葉にさらに腰の動きを激しくさせると
「だって・・・・。んっ・・・隆史の・・・
声・・あぁっ・・がエッチだか・・・・ら・・・。」
人差し指を軽く曲げてあま噛みしながら沙織が答える。
シャワーを浴びてバスタオル一枚になっていた沙織は
無心に、何も包み込む物の無い自らの秘部を、
隆史の逞しい太腿で慰め続けた。
ザラついた繁みが太腿を何度も往復する感触に
隆史は神経全てがそこに集中してしまうのを抑えながら
「そんなにイイのか?バスタオル越しでも
乳首が勃起しているのが見えてるぞ。」
戒めるかの様な響きの中にも、
雄の肉欲が湧き上がっているのを聞き取った沙織は
「あくっ!んんっ・・隆・・・史だって・・あんっ・・くぅ!
もうカチカチに・・ああぁっ・・なっ・・てるくせにっっああん・・んあぁ!」
自らも猫科の雌の様な淫猥でいやらしい腰をくねらせた。
「何処をどうすれば一番イイのか、自分の指で弄ってごらん・・。」
虐める様に言葉を投げかけられた沙織は
隆史の言いなりになる事で、更に淫美な快楽の深遠へと落ちる事を望んだ。
6 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/04/28 16:23
『禊〜みそぎ〜』
<プロローグ> 3
腰をあげると180度向き直り、形の良いヒップを隆史の方へ。
不規則な放射線を描き、
ヒクヒクと蠢く沙織のアヌスが隆史の眼前に露わになると
ねっとりとした半透明の潤滑液が
天上のシャンデリアに照らし出されてぬらぬらと光っていた。
「綺麗だ・・・・。沙織・・・・・。もっとよく見せて・・・・。」
隆史の言葉に、魔法のような不思議な響きが漂い始める。
言葉のアクセントのひとつひとつに反応する沙織の密壷から、
しとどと乳白色の愛液が流れ出す。
「ああぁ!い、いやぁ・・・。み、見られてるぅ・・・。た、隆史ぃ〜。」
ぷちゅっという水っぽい音が、沙織の思考を更に狂わせ、
指の動きが淫猥に加速し始め、マニキュアの光沢を更に妖しくさせる。
白く透き通る様な太腿に、泡の混濁した淫水が幾重にも光りの筋となって
滴り落ちる。
「ああぁぁ・・・・。何てイヤらしいんだ、沙織・・・。」
「ひゃうぅ!!」
「んあぁ!あひっ!!ダメっ・・・・。ああ!あああぁ!くうぅぅんん!」
隆史は小刻みに動く沙織の臀部の谷間に顔をうずめると
「ぴちゃっ、ぷちゅんっ・・・。じゅっっ、ちゃぷっ」
溢れ出る愛液を丁寧に、それでいて荒荒しく、舌で掬い取りながら、
沙織の最も敏感な秘突に辿り着くと、口に含んで転がす。
「ああああああぁあぁ!!た、隆史!だめぇ、お・・おかしっ・・くなっちゃうぅ!」
「んんぁぁあんっ!!き、気持ち・・・イ、イイよおぉ〜・・・。」
「ハァ、ンん、どんどん溢れてくる・・。沙織ぃ・・沙織・・・イキたいんだろう?」
「いやぁ・・・・。んあ、くふぅぅんっっ!!あぁ!も、もう・・。」
自らの指の動きと隆史の変則的な舌の愛撫により、
沙織はアクメに達しようとしていた。
「ああ!い・・・・いやぁぁ・・・イ、イッちゃうぅぅよおぉ・・・・。」
「あ、ああ、ああぁ!イクぅ!あああぁんんあああぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!!」
2匹の蠢くモノが沙織の性器を蹂躪するかのように深く刺し込まれた瞬間、
沙織は1回目のアクメに達した。
7 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/04/28 16:50
『禊〜みそぎ〜』
<プロローグ> 4
隆史は形容のし難い欲望が身体の芯から自分を支配し始めるのを
押さえようとはしなかった。
その欲望の疼きが自らの下腹部へ、
沙織の中を何度も愛し続け、刺し続けた猛々しい肉塊へと
凝縮されていく事に愉悦を感じていた。
「沙織、『ここ』をお前の口で愛してくれ。そうしてくれれば
後で沙織自身をもっと気持ち良くしてやれるから・・。
やり方はもう憶えただろう?」
沙織はもう既にいつもの明晰な思考回路を失っていた。
さながら、魔導師の洗礼を受ける使徒の様に
ゆっくりと虚ろな眼を隆史の肉棒に移し
愉悦と、苦痛と、恍惚と、覚醒とが幾重にも折り重なった
感情を敢えて押し殺し、従順な行為を全うする。
「ああぁ・・、これ、スゴイ・・。
いっぱい・・・いっぱいお口でしたいよぉ〜・・。」
「んん!」
小さな歓喜の声を隆史は漏らした。
『ぬちゃっ・・ぴちゅ・・・・』
沙織のしなやかな髪が漣の様に上下する度に
征服欲と達成欲が血液を媒介にして隆史の肉棒へと注がれていった。
「ん!・・・・・んんっ・・はぁ・・お、大きいよぉ・・・。」
苦悶の言葉とは裏腹に沙織の表情は更に人間性を失い雌の動物へと変わっていく。
8 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/01 00:25
救済age
γ⌒⌒ヽ
ノノノノハ)
人 ^▽^人 新スレおめでとうございまーす♪
,O゙゙)=⊂二 )
/ ノ(( ̄_ノニニフ
'=-=、\>>_ノ/,.=-\ プピピピピ......
( ◎)゙ー――'( ◎) ≡3 ≡3 ≡3
ー=三三三三=ー=三二
10 :
はじめまして名無しさん:02/05/01 10:02
つづきキボンヌ
あげとくね!執筆頑張ってください♪
12 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/03 01:09
『禊〜みそぎ〜』
<プロローグ> 5
沙織の口中の体温と唾液の感触と舌のザラつきを
隆史は亀頭の先端で感じ続けた。
「そう・・・そうだよ、、そこ・・からっ、ううぅ!」
『承知している』と言わんばかりに、沙織の舌の動きが変化した。
尿道の入り口から、亀頭の縁、ペニスの沿革、脈打つ血管を
順番に通過する舌は、さながら獲物を弄ぶ蛇の様に『螺旋』を描きながら
根元まで一気に咥え込む。
先端を喉で締め上げつつ、復路は吸引しながら
通過してきた全ての個所をまんべんなく刺激し、先端まで舌を戻す。
「ん・・・んんむぅ、ん・・・・・んあっ、ん」
ピチュッ、チュル・・チュ、ピチャ。
強弱を加減しながらも(沙織は既にそんな事は計算していないが)
一心不乱にフェラチオを続ける沙織。
「ああぁ!沙織、いいよっ、上手だ・・・・そ、そうだ、うくっ!!」
急に射精感が込み上げた隆史は
「さ、沙織!ああぁ、で、出る!も、もう・・んんんん!!」
「んんっ・・・いいよ、全部飲んで・・あげるから・・・んふぅ!」
ビュッ!ビュクッビュク!ビュル!
「んんんんんんむ!!!!!」
隆史は沙織の頭を両手で抱え込むと
2、3回小刻みに身体を震わせながら精液を沙織の口内に流し込んだ。
コクッ。ゴクリッ・・・・コクコクッ。
沙織は喉を鳴らしながら
口内に広がる隆史の精液をいとおしみながら咀嚼し続けた。
13 :
にらミ*・ヮ・ミ:02/05/04 22:48
ゆんゆんたんはっけーん
『禊〜みそぎ〜』
<プロローグ> 6
チュ、チュッ
尿道に残っている精液をストローを吸うみたいに
全て吸い取ると、沙織は嬉しそうに
「はぁぁ・・・・スゴイ・・・。まだカチカチだよぉ?」
右手でゆっくりと隆史のモノを上下にしごきながら言った。
自らの行為に興奮が抑え切れなくなっているのか
沙織の秘部からはネットリとしたジュースが溢れ出し
太腿をつつーっと伝わり、膝まで雫のすじが降りていた。
「イヤらしいなぁ、沙織ぃ・・・。こんなにおねだりして・・・・」
「イヤぁぁ・・・・。そんなこと言っちゃあぁ・・・・」
隆史は沙織の内股に伝うすじを人差指でゆっくりとなぞると
指先に付着した愛液をじっくりと味わった。
「ああっ・・・ダメ!そんなこと・・・・イヤぁ・・・・」
自らの一番恥ずかしい部分から
しとどに流れ出るモノの味を確かめる隆史を見て
沙織の羞恥心が刺激された。
だが、そうされる事によって
沙織の蜜壷は際限なく隆史を迎え入れる為の潤滑液を造り続け
さらにドロドロとした性の欲望が掻き立てられた。
「も、もう・・・欲しいの・・・コレ欲しいよぉ・・・」
沙織は右手をリズミカルに、そして
お気に入りのおもちゃを嬉々としていじる子供の様に動かし
隆史のペニスを欲しがった。
「そんなに欲しいのか?・・・・まだダメだよ・・・。
そう、『あの時』のようにいっぱい我慢しなくちゃな・・・・」
快楽に急き立てられる沙織の意識の中に
朧げに、しかし、確かに浮かぶ光景があった。
『肉欲の宴』『死の匂い』『堕ちていく理性』『最後の者の恍惚の顔』
『冷たい土』『湖の赤』『幾つもの閃光』『格式の中の奴隷』
それら全てが・・・・・・。
15 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/05 00:54
「プロローグだけでもうイイや」とは
思わないでちょうだいな♪
これから本編。
今まで書いてきた所まで
一挙にレス付けてしまおう。
16 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/05 00:58
『禊〜みそぎ〜』
第1部<満月〜もちずき〜>
そこは
さながら古(いにしえ)に時を戻したかの様な空間が広がっていた。
四方を山に囲まれ、丘陵を利用した畑には様々な作物が育ち
翡翠(ひすい)の様な、深淵(しんえん)を流れる渓流は
この土地の人々の生活を潤していた。
山肌は閉鎖的で、空は迫り来る様な『蒼』が広がり
翠と緑と蒼の類似していながら独立した色彩は
都会では感じる事の出来ない
『人間もまた動物である』という感触を滲み出させた。
「うわあ〜!」
真紅のアルファロメオから降りて最初に沙織が発したのは感嘆の声だった。
桃原沙織(とうばるさおり)。27歳のフリージャーナリストで、
奔放な性格と誰に対しても決して自分を変えない頑固な部分が
良い意味で周りから愛される様な人柄で、
意思の強そうな凛とした顔立ちにもかかわらず、編集長を『伸夫ちゃん』
と、『ちゃん』づけするような幼さもある。
綺麗なウェーヴのかかったロングヘアーが目を引き、
純白のタンクトップに漆黒のレザーを無造作に着込み
アルファロメオと同色のスパッツは流れる様な美しい脚線を強調して
景色の緑色との対照色がよく目立っていた。
ギリシア彫刻の様な均整のとれたスタイルは
沙織自身は全く意識には無いのだが、男にセックスアピールを
感じさせるには充分であり、実際、彼女に心を奪われている男は多く
無防備さも手伝って肉欲の視線を浴び続けてはいるが、
その部分では古風なところがあり、彼女自身も男性経験は
指を1、2本折るくらいしか経験が無い。
仰木市蓼井町。
東京の西部に位置するこの土地は『市』や『町』が付いてはいるが
『村』と表記する方が相応しい。人口も少なく、木造の民家が多い。
都心からは仰木街道に沿って車を走り続ければこの土地に来る事が出来るが
初めてここを訪れる人間にとっては、どこかのトンネルで異世界への扉に
迷い込んでしまったのではないかと錯覚させるほどだった。
江戸時代には集落が群棲する地帯であった為か、ここの人々は外部の人間に
極端に閉鎖的で、一種、現代社会から隔離されている雰囲気がある。
沙織は
この土地で起こった『猟奇』殺人事件の取材に訪れていた。
17 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/05 01:00
『禊〜みそぎ〜』
第1部<満月〜もちずき〜> 2
一昨日、ここ仰木市蓼井町で起こった殺人事件は
この土地の人々の記憶から無くなる事は無いだろう・・・。
『殺し方』は凄惨を極めていた。
蓼井町には、古くからの造り酒屋が存在していた。
『蓼乃井酒造』は200年の歴史があり、
全国的にも銘酒として知られる酒蔵である。
代々杜氏をしているのは、
この土地の古くからの名家でもある四方堂(よもどう)家。
事実、蓼井町では政治的権力を欲しいままにしている。
大正初期より土地の政治面を掌握する権限を持ち続ける四方堂の人間に
地元の人々は畏怖の念を抱き、また、その存在を認めざるを得ない程の
資金力もまた同時に恐怖の対象である事も、誰もが認めていた。
昭和に入り、閉鎖的な寒村でその権限を確固たるものとした。
現在の杜氏で、5代目の四方堂源三の手腕により、
『蓼乃井』は更に莫大な財力を蓄えるようになり、
その息子である四方堂隆史の卓越した先見眼も手伝い、
全国に顧客を抱えるようになっていった。
暗い、暗い、酒蔵の大樽の中に
その死体は漬けられていた・・・・・。
まるで
ワインのような鈍い赤・・・・・。
ワインレッドを全て抽出された女性の死体は
酒樽の『不純物』のように
人とは判断出来ないくらいに細々となって浮いていた。
18 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/05 01:03
『禊〜みそぎ〜』
第1部<満月〜もちずき〜> 3
沙織はむせ返るような酒の匂いに一瞬、朦朧としたが
「いけない、いけない!」
頭をふるふると左右に振って、酔いを覚ましながらペンを走らせた。
見知った記者連中が何人かいた。
それもそうだ。
平穏で簡素なこの町(村と言っても良いくらい)で
こんな凄惨かつ残忍な殺人事件が起ころうとは誰も思わなかった。
仰木市は、今までこれと言った事件があまり無かった。
都心と違い、極端に人口が少ないこともあり、事件性がないのだ。
あるといえば、多那川に架かる橋から投身自殺する人間がいるくらいで
殺人事件。
とりわけ今回のような猟奇殺人などとは無縁の穏やかな土地だった。
被害者は四方堂静香。四方堂源三の妻だった。
死因は頭部打撲による脳挫傷と判明した。
最も、死体は原型を留めておらず、
頭部もやっと樽の中から見つかったくらいで
死体そのものはかなり細かく分解されていた。
頭部と胴体はおよそ八つに分解され、
腕、脚に至っては関節レベルで切り離されていた。
「遺体は既に鑑識に回されたよ。ああ、そりゃあひでぇモンだ。
なにしろ、酒樽の中から掬いきれていねぇ部分もまだあるからなぁ。
一応、ここまで仏さんをバラせるって事は、捜査の遅れを意図しているか
もしくは・・・・・・仏さんに相当な恨みを持ってる奴だろうなぁ。」
ポマード臭を撒き散らしながら、中年の刑事とおぼしき男が言った。
「文さん!少しは歯を磨くって事をしてよぉ〜!全く、いつもいつも・・・。」
沙織はどうやらこの男を知っている様子だ。
「うははは!そんなに迷惑ならお前さんの口で塞いでくれてもイイぞぉ。
そうすれば、少なくとも周りの人間には迷惑はかからんからな!」
「ムカ!!それってセクハラじゃないの?いいの?そんな事言って。
このところ警察の不祥事続きで、マスコミもイイ様に書けるんだよ!
文さん、何ならこのお仕事辞めてサラリーマンにでもなってみる?
それとも人間辞めて、動物園にでも再就職してみる?どうなのよ!ん?」
司馬文成(しばふみなり)警部『通称文(ブン)さん』は
そのセリフを聞くなり、大きな体躯を強張らせつつも笑いながら
「おいおい!分かった、分かったよぉ。ったく、そんなに気が強ぇんじゃあ
当分は独りでもブンヤで食ってけるなぁ、お前は。」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!言ったわねぇ〜!!今、言ったね!!
・・・・・書いてやる。ありったけのガセネタちりばめて書いてやる!
『警視庁またまたやらかす! 司馬警部セクハラ三昧の真相!』とか
タイトル付けて徹底的に抹殺してやるんだから!!」
「ははははは、そん時ゃあお前さんの『あの時』の腰の使い方でも証言するかな。」
沙織のフュエルゲージがMAXに達したところで、
一人の痩身の男が姿を見せた。何処と無く『影』があるが
このような酒蔵の雰囲気とは明らかに似つかわしくない美男だった。
19 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/05 01:06
『禊〜みそぎ〜』
第1部<満月〜もちずき〜> 4
「警部、遺族の方に起こし頂きました」
若い警官に付き添われて、蒼白とした面体の男が姿を見せた。
「四方堂隆史(よもどうたかし)と申します・・・・」
朴訥な中にも端正な顔立ちの美男子だった。
憔悴しきった声。およそ肉声とは言えない。
ラジオを聞いているかのようだ。
母親が惨殺されたのだから無理もないが・・・・。
隆史は司馬警部と5〜6分ほど話しをした後、
必死にメモを書き留めている沙織の存在に初めて気が付いた。
沙織の方も会話の止まった二人に気が付き、
こちらを見やる隆史と目が合った。
「お美しい方ですね。司馬さん、こちらの方は?」
警部は嫌らしい笑いを浮かべながら
「桃原沙織っていう、フリーのジャーナリストさ。
乳はイイが性格に多少の難がありましてねぇ。だが、良い文っうがっっ!!」
これからがお褒めの言葉というところで司馬警部に『ニーリフト』がヒットした。
「こんのおぉぉースケベオヤヂィ!!・・・・・ハッ」
視線を感じ、真っ赤に顔を赤くしながら
「・・・・桃原・・・沙織です・・・・」
何を今更。そんな声が聞こえてきそうなくらいの変貌ぶりが可笑しかったのか
「あはは、よろしく」
隆史は何日ぶりかの笑顔を自然に出した。
隆史は暫く笑い続け、沙織の真っ赤になった顔を見てようやく一呼吸つくと
「失礼、桃原さん。でも面白い方ですね。何だかとても癒されました」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
体中の血液が全部集中したかのように沙織の顔はさらに赤くなっていく。
「あ、御免なさい。気を悪くさせてしまいましたね。ホントに済みません・・・。」
「くすくすっ。いいんです。こちらこそお恥ずかしい所を・・・。」
何度も何度も頭をペコリと下げる隆史を見て沙織のほうが逆に可笑しくなってしまった。
「不謹慎だとお思いでしょうね。自分の母親が惨殺された現場で息子の僕が
笑っているなんて・・・・・・。」
「そんなこと!・・・・・そんなこと、ありません。」
隆史と沙織は俯いたまま数十秒の無言の時間を共有してしまった。
20 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/05 01:10
『禊〜みそぎ〜』
第1部<満月〜もちずき〜> 5
「あんたら、そういう雰囲気は場違いだぜぇ?B級の映画じゃねぇんだから。」
無粋な男である。この司馬という男は。
「あ!あの!・・・・その・・・四方堂さん、少しお話を伺わせて頂いても宜しいですか?」
我に返り、自分の本来のなすべきことを思い出した沙織は、
「・・・・今回の事件について、遺族の貴方に取材をさせて頂きたいのです。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
しばし、無言の隆史を見やって
「駄目でしょうか・・・・・・?」
隆史は、何か想いを巡らしながら、暫くして
「いいですよ。では、あちらの応接間でお話致しましょう。ただ、僕自身、
まだ何がどうなっているのか、何故、こんな事になってしまったのか、
正直言って混乱している状態です。貴方のご要望にお答え出来るだけの
取材内容になるかどうか・・・・・・。」
「いえ。お心遣い、感謝いたします。不躾なご依頼で申し訳ありません。」
酒蔵に隣接した建物に案内されると
沙織は事務所と思われる部屋に通された。
そこには蓼乃井酒造で製造される酒の銘柄がカウンターに並んでおり
壁には初代から先代である四代目の当主の写真が飾られていた。
対面の壁には三幅の掛け軸が掛けられている。
それぞれの掛け軸には一体ずつの菩薩像が描かれていた。
右の菩薩像は男性的なエネルギーを感じ
左の菩薩像の方は女性的なしなやかな描線を形作る。
そして・・・・・・
中央の、何と表現して良いかすら解らない
不思議な『人間のようなもの』が描かれていた。
全体的に暗い色彩。古めかしく神秘的ではあるが
どこと無く吸い込まれるよな
そして、不気味な印象を沙織は覚えた・・・。
21 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/05 01:11
『禊〜みそぎ〜』
第1部<満月〜もちずき〜> 6
輸入物の豪華な応接セットが清掃の行き届いた応接間の中央に置かれていた。
「こちらでお話ししましょう」
隆史にそう促された沙織は、無造作にソファに腰掛け
スラリとした脚を組みながらレコーダーと手帳を取り出すと
座るか座らないかの態勢でいる隆史に取材を始めた。
「この度はお母様があのような惨い事になられて、御愁傷様です。
四方堂さんの心中、お察し致しますわ」
「・・・・・・お心遣いありがとう」
しばし空気を停滞させる様に、沙織は一呼吸の間隔を置いてから
「静香さん・・・・お母様はどのようなお方だったんですか?」
表情を若干曇らせながら隆史は少しづつ言葉を紡ぎ始めた。
「父にとっては非常に聡明で貞淑な妻。私にとっては優しく堅実な母親でした。
四方堂の家を影で守り、誰からも好かれていました・・・・・」
「御立派な方だったんですね・・・・・」
「しかし、それはあくまでも奥に潜む『女』の部分を覆い隠す為の『仮面』でしか
無かったのかも知れません」
「・・・・・え?・・・・・・『仮面』??」
「全ては『仮面』だったんです。貞淑も、堅実も!あの優しささえも!」
「!!・・・・・・・・・」
穏やかだった隆史の言葉が、みるみるうちに怒気を孕む。
沙織は瞬間、背骨に氷を積め込まれるかのような感覚を覚えた」
22 :
ノード ◆4y5mzbyo :02/05/07 00:02
一応、ここまでは書いたんだよなぁ・・・。
さて、続きをどうするかな・・・・。
四方堂家は変な宗教でもやってるの?
神おろしで生誕を予言された私に何でも聞いてください!
ここまでは読んだんだよねー。
いつまでも待つぞ。
25 :
ノード ◆4y5mzbyo :
とりあえず生命維持