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202ブラック ◇jvBtlIEUc6:
そのことがあってから、Fさんは今までにまして親しげに話してくれるようになった。
(気にせいではないと思う)
それからしばらくして、非番の日。
パチンコで負けてむしゃくしゃしながら出てくると駐車場にFさんが居た。
「ここでも?」
「ええ、時々。最近成績良くないんです」
「でも、あそこ良く売れてますやん・・」
「そうなんですけど、本当はルートの売上の方が大事なんです」
「そうなんですか」
「ええ、私まだ入って短いですし、前の人の引き継いだんですけど何件か横取りされたりして・・」
「悪い人いるんですねぇ」
「Bさん(会社名が私の呼び名だった)見たいに大型とかあったいいんですけど何も資格とか無いですし」
「そんなこと無いですよ、車乗るほか何も出来ませんし、でも大型は気持ちええですよ」
「は?そうなんですか?」
「ええ、運転席高いでしょ、高速とか走ってたら最高ですワ、ふだんでも載りたいくらいです」
「そうか、そうですよね。気持ちよさそうですね(笑)」
「いっぺん、乗せたげましょうか?」
「え?」
別にそのときは何をどうしようといった思惑があったわけではなく、何となく言ったのだが。
意外にもFさんは乗り気で聞き返してきた。
「でも会社の車なんでしょ?無理ですよね・・・」
「え?あぁ大丈夫ですよFさん休みの日に乗せたげますよ、途中で拾いますから」
「え・・でも」
「但し、行き先は何処になるかは会社次第ですけど。それで良いですか?」
「そうですね・・・・」
「あ、そうか子供さんとか旦那さん・・・?」
「それは大丈夫です、”今は”独身ですし・・・」
「じゃ決まり、いつお休みですか?」
数日後、漏れは営業所を出ていつもと違う道を使い、待ち合わせの場所に行った。
Fさんの手を引っ張り上げて前日にピカピカにしたコクピットの助手席に座らせた。
(当然、会社の連中にも誰にも今日のことは言ってない。)
「高いんですね、ほんと気分よさそう」Fさんは無邪気にそういって微笑んだ。
「じゃ、出発しますよ」
「え?いえもう良いです。見せてもらえましたから。お仕事邪魔でしょ?」
「なに言ってるんですか、走らんと判りませんよ、それに今日は七尾までですし」
「七尾?」
「能登です。すっごいいいとこです。道も走りやすいし」
「そんな遠いんですか?日帰りですか?」ちょっと不安そうな表情をした。
「片道5時間くらいです、向こうでちょっと待ってもらいますけど、充分日帰りです」
「そうなんですか・・でも」
「しんどかったら休憩入れますし、まぁドライブ気分で行きましょうよ」
しばらく考えて「じゃ、行きましょうか。お願いします」