富士通システムソリュ−ションについて

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119非決定性名無しさん
―「創注」に込められた思いについてお話ください。また、情報サービス市場の成長が他産業
と比較して好調に見えます。どのように展望されますか

宮原  お客様サイドに立った徹底したコンサルティングや提案により自ら注文を創りだす、
という意識改革を「創注」という言葉に込めました。受身的な感じのある「受注」
という概念を超えた「創注」は、我が社では普通名詞になっています。
企業が力強く成長する原点が創注力にあるという思いです。

 情報サービス産業については、私は全てが好調ということはないと感じています。
米国IT不況にはじまり、同時多発テロの影響により、特に製造業や流通業など
民需のお客様のビジネスは難しい局面にあるとも言えます。今、我々IT産業の
企業経営において最も大切なことは、どのような業種、どの規模の企業をターゲット
にするのか、また多様化するビジネスモデルへの対応、システムの企画から構築・運用まで
ワン・ストップの ソリューションを展開するのか、それとも下請け活動に留まるのか、などを
明確にすることであり、それが売上や業績を大きく左右するでしょう。

 特徴を持ったSIベンダーが生き残るのは自明です。産業が未成熟な時期は多数の企業が
生まれますが、ソフトウェア産業は誕生して50年がすぎ、大きな転換期が迫ってきていると
思います。市場再編を見越して手を打ち、リーダーになるために自らが改革していく企業が
生き伸びていくと思います。良い人材を揃え、良い製品を持ち、「創注」活動ができ、
一貫して開発から運用までができるソリューションプロバイダーは今以上に急速に成長する、
我が社もそうなりたいと思っております。
120非決定性名無しさん:01/12/30 23:53
― ビジネスの構造の変化が生じるということですか?

宮原  持論ですが、「ソフトウェアの価格破壊が生じる」とかねてから言っています。世の中の
価格破壊は当たり前のように起きていますが、ソフト業界も例外ではありません。ソフトの
生産技術革命はこれから確実に起ります。プログラミング工程の開発・生産は徐々に中国に
代表される諸外国で進められていくでしょうし、今ようやくJava、EJB(Enterprise Java Beans)
の登場により生産性向上を実現するソフトウェアの低コスト化の可能性が見えてきました。

 今後のFsolのビジネスには2つのキーワードがあります。一つは「ソフトウェアの部品化」、
加えて「ソフトウェアの再利用」です。

 ソフト開発によるシステム構築を住宅建築に喩えてみるとわかりやすいのですが、
受託請負の注文住宅、パッケージ型の建売住宅から、ある程度規格化された
部品を用いた2×4(ツー・バイ・フォー)建築が主流になりました。なにより早いし安い。
今は「Easy order」の時代です。

 ソフトウェアの開発・生産も同様で、我が社の「WebSERVE」はこのコンセプトで開発した
ソリューションです。ソフトの基本モデルや部品を用意して活用する手法を早期に取り込み、
1999年発売以来3年になりますが、実践ノウハウが日々フィードバックされ、それが最近
ますます加速するようになりました。これを早くやった企業が勝ち組になるといえましょう。
今後は、EJBなどプラットホームに拘束されない部品技術で再構築を進め、徹底したスピードと
品質、生産性を上げていきます。

 我が社では、「Fsol上海(富創軟件有限公司)」を設立しました。部品化と再利用のコンセプトを
もとに先端技術のローコスト開発センター、中国企業および日系企業のサポート拠点として
活動をはじめます。また2001年11月に「ウェブテクノロジー社」を子会社として新発足しましたが、
ここではEJBを中心とした開発センターの役目を持たせています。インターネット統合ソリューション
サービス 「WebSERVE」、アプリケーション処理サービス「AplSERVE」、「プロフェッショナルASP」
などに技術とノウハウを反映させていきます。
121非決定性名無しさん:01/12/30 23:53
― 企業の体質改善にむけての取り組みをされている、と聞きました。

宮原  Fsolもおかげさまで2000年度は売上526億円に達しました。500億を超える企業となったいま、
新たに次の飛躍のために強靭な体力をつける時期にきていると思います。

 本当に売上数値だけでいいのか?答えはNOです。売上の内容が大事だと思っています。
たとえ売上の伸びが鈍化しても、Fsol独自の外販ビジネスを増やす努力、研究開発投資、
そして先に述べたFsol関係会社や出資企業と共にノウハウを盛り込みながら伸びていくことが
大切だと思っております。

 私はいつも「荒野の虎となれ」と言っています。虎にも三種あり、自力でビジネスに取り組む
「荒野の虎」、親会社の富士通とタイアップして取り組む「保護区の虎」、下請作業の
「動物園の虎」の三つのモデルに例えております。「荒野〜」「保護区〜」は富士通本体の
ビジネスに直接、連結で寄与します。現在の売上でみると「荒野〜」は約28%ですが、
早く40%に到達したいですね。

 そのために2002年は、過去の慣例を引きずった「私はSEだ。営業だ」といった旧来型区分
ではなく、全員が営業意識を持つよう、各本部毎にSE部隊と営業部隊を一緒の組織にしました。
そして、「創注プロフェッショナル」「開発プロフェッショナル」「運用プロフェッショナル」
このプロフェッショナルな三つの新発想の軍団からなるFsolを理想の姿と考えています。
この実現に向けた改革を図るため、2001年夏に「経営改革委員会」「SE改革委員会」
「営業改革委員会」を発足しました。幹部社員中心にそれぞれの観点から議論を重ねております。
122非決定性名無しさん:01/12/30 23:53
― 他に新規事業計画としてどのようなスタンスで臨みますか?

宮原  さらに2002年の新規事業の拡大策を講じました。
特に今後大きな伸びが期待される自治体・医療などの
公共分野に、民需部門の技術者を100名パワーシフトし、
自治体・医療部隊を合わせて500名体制で臨みます。

 大規模なさいたま市合併プロジェクトを行なった実績や
"WebSERVE自治体"の開発などFsolの強みを
生かして、e−Japanに対応した市町村などの
行政サービスの電子化や情報システム構築に
本格的に取り組んでいきます。

 また、ソリューションプロバイダーは人が全てであり、
非常に大事です。人材育成も重要なテーマとなります。
リーダシップで会社を引っ張っていくような人間は若くても
どんどん引き上げる、例えば成果主義においても、
過去の成果だけではなく先を見越した成果、企業として
のビジョンに注目する必要を感じます。
「企業の将来の布石として何を打ったか」これが評価の
50%を占めなければなりません。

 また、社員のモチベーションの観点から、意欲ある
プロジェクトを描ける社員は上司を超えても人事部に
連絡し自己申告するよう指示してあります。
処遇もきめ細かく、意欲を反映できる人事制度にしたい
からです。大切なのは情熱です。社員の情熱を最も重視し、
それを生かせる会社にしたい、こうした仕組み作りも
2002年のテーマの一つです。

― ありがとうございました。