★エクサ (旧エヌ・ケー・エクサ)★ 

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548非決定性名無しさん
自民党は困惑を隠せないでいた。
中国との国交回復を実現した田中角栄の娘ということで、
対中国兵器になり得る田中真紀子を除名処分したことにより、
ますます対中外交は暗礁に乗り上げ、内憂外患を拡大し、
与党としての責任を問われる苦しい立場に追い込まれていた。
そんななか、川口順子が混沌のあとを継ぎ、外務大臣になったのは青天の霹靂ではなかった。
腐りきった政治のシステムとして、真紀子は人気取りの傀儡であり、二番手の順子のほうが実力は上だった。
傀儡であることに納得しない真紀子の自滅をしりめに、順子はある対中外交戦略を考案しており、
首相小泉純一郎も、その肉弾特攻作戦を承知の上だった。
「真紀子はやはり役不足だった。順子、頼むよ」純一郎は、決意を固めて身をこわばらせた順子の緊張を
やわらげるために、優しい声をかけて抱きしめ、口づけをし、外務大臣に任命したのだった。
549非決定性名無しさん:02/11/02 21:52
「ニーハオ」と挨拶した順子は、中国の日の出の勢いの経済や、それを背景にした政治的安定、
民衆のナショナリズムの昂揚などを見据えながら、眼鏡ごしに瞳を光らせていた。
順子が目指すのは、江沢民国家主席だった。二人は握手をして、にこやかにほほえみあった。
外務大臣と、国家主席という、ちぐはぐな会合は、順子が小泉と巡らせた策略だった。
小泉は内政に忙しいという理由で欠席し、代理として実現したものだった。
順子は毅然とした態度で臨みながら、江主席との関係を私的に深める方法を探っていた。
「素敵な眼鏡ですね」順子は江沢民の無骨な黒縁眼鏡を褒めた。
「あなたこそ」通訳は、江沢民の答えを、素早く伝えた。
「いえ、とんでもございません。わたくし、眼鏡よりも、瞳のほうが素敵なんです」
順子は眼鏡を取り、大和撫子の黒い瞳をさらした。実直な裸眼、たったそれだけで充分だった。

その夜、密かな二人だけの会合が開かれた。
もつれあった男と女の体は、激しく律動した。
極東新興国の猛烈な経済復興による国家間の政治力と軍事バランスの不安定が、
極東情勢を揺さぶり、たかぶらせているように、二人は不安定に昂揚し、
欲望にまかせて、求めるものを求め、奪えるものは奪い合った。
そして、欲するものを、与え合うのだった。
事後、深く差し入った体を離し、弛緩した体を寄せ合った。
温かいぬくもりを、青春の思い出のように、二人は確かめ合った。
それは、そのまま、日中の親交の深まりを意味していた。