【エボラ】海外のニュース・論文等を和訳するスレ

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87名無しさん@お腹いっぱい。
3. エボラ熱は空気感染するようになるかも知れない。

ウィルスの突然変異が起こるのは事実だ -- サイエンス紙の最近の論文によれば、300以上の組み換えが起こったということだ。
しかし、現時点で循環系組織に並んだ内皮細胞の外側にあるレセプターを特定して結合するエボラウィルスが、肺の気胞細胞に結合することができるようなものに変化するとは思えない。
これはSF小説にしか出てこないような類の遺伝子の突然変異だ。

ウィルスの突然変異には二つの原因がある: ランダムエラーと自然選択によるものだ。
ランダムエラーによって、血管に並ぶ細胞だけに感染する性質をもつウィルスが肺の境界細胞に存在するまったく別の種類のタンパク質を特定して結合できるようになるのは不可能だ。
いっぽう自然選択によれば、ウィルスの総数に対して変化するか死滅するかを強いるほどの大きな圧力があった場合には、そのような不可能を乗り越える可能性がある。
しかし、リベリア、シエラレオネ、ギニアでは、そのような圧力がエボラウィルスに対してかかってはいない。ウィルスは安定して数千人もの人々に感染拡大を続けており、まったく新しい形に変化する必要はないのだ。

もっとずっと現実的で、たぶん同じくらい心配なのは、ウィルスを包んでいる外側の部分 -- ここをヒトの免疫システムが検知して抗体とウィルスを捕食するキラー細胞と呼ばれる細胞を作り出すきっかけになるのだが -- が、
突然変異することによって免疫システムの攻撃をかわすようになるかも知れないことだ。
エボラウィルスがそのような環境適応を果たせば一度エボラにやられて生還した人々でもまた罹ってしまうし、いま製造中のワクチンも効かないことになってしまう。

4. 渡航禁止により、エボラ熱の合衆国での蔓延を防ぐことができるかも知れない。

21世紀において渡航禁止によってウィルスの蔓延のペースを落とすことに成功した唯一の事例は 9/11テロの直後のことで、この時には合衆国の東側の空港が数日間閉鎖され、
ほとんどのアメリカ人は数週間、自宅から遠く離れた場所まで旅行することもなかった。この結果、インフルエンザのシーズンの到来が2001年には数週間遅れた。しかし最終的にはやってきた。

多くの国々は近年、SARSやH1N1"豚インフルエンザ" などを含むウィルスの侵入を阻止しようと渡航禁止令を発行した。
そのような禁止で効果をあげたものはなく、政府がそれを排除するためのどんな思い切った方法をとろうと、それにはお構いなくウィルスは人々の間に広まっていったのだ。

エリス島とエンジェル島でウィルス感染者を効率的にふるい分けていた牧歌的な時代は、ジェット飛行機の到来とともに失われてしまったのだ。

5. ワクチンはもうすぐ利用可能になる。

現時点でいくつかのワクチン候補があり、そのうちの二つに対しては、WHOの特殊科学研究班の青信号がともった。これは、有望なこれらのワクチンは現在人間のボランティアによってテストされているという意味だ。
そのような数週間にわたるワクチンのテスト結果で副作用がないことが明らかになれば、次の試験フェーズに入ることになるだろう。
おそらくこれは現在エボラ熱が蔓延している国々で、そのようなワクチンがウィルスから人々を実際に守れるかどうかを確認する形になるだろう。
そのフェーズでワクチンがエボラ熱に効果があることがはっきりすれば、その製品は最も困難な最終段階に入る -- つまり、
数百人の人々の協力のもと、本物のワクチンと偽者のワクチンを比較するフェーズだ。これもやはりエボラ熱蔓延諸国で行われることになるだろう。

エボラ熱に関するワクチン製造業者から個人的に私が聞いたところでは、最初の疑問はこうだ:
防護服に身を固めた宇宙人のような人々を目にして、健康なリベリア人やシエラレオネ人はどんなに驚くことだろう、腕を突っついて挨拶すれば彼らは気を静めてくれるのだろうか?

ワクチンはうまくいっても最後のテストができる状態になるのは2015年の春だ。信頼関係についての疑問はその時点でも残ったままだろう。