【新型インフル重症6例 詳しい経過と注意点、厚労省公表】
2009年9月21日3時3分
http://www.asahi.com/national/update/0920/TKY200909200214.html 厚生労働省の研究班(分担研究者=川名明彦・防衛医大教授)は、国内で発症した新型
インフルエンザによる重症患者の症例集を初めてまとめた。20日、同省のウェブサイト
で公表した。初期には、ほかの病気と区別がつきにくいほか、簡易検査で陰性になる例も
あった。
同省によると、9月2日現在の重症例は生後10カ月〜80代の44人(死亡は10人)。
症例集は6人の詳しい経過やポイントを紹介している。
急性脳症を起こした女子中学生(12)は最初は37度台で軽い頭痛があったが、簡易
検査は陰性。3日目に熱が39度台になり簡易検査も陽性になった。抗インフル薬を使い
自宅療養中に、「おばあさんがはさみを持って座っている」など異常な言動が始まり、
けいれんが起きた。
別の女子中学生(13)。せきに市販のかぜ薬を使っていたが、3日目に発熱と息苦しさ
で受診し、肺炎とわかった。簡易検査で陽性とわかったのは翌日。呼吸困難がひどく人工
呼吸器をつけて治療。発症から約2週間後に登校できるようになった。
いずれの中学生の例も周辺でインフル流行が見られた。症例集は、医師に対して地域、
学校の流行状況の把握や簡易検査が陰性でも感染を常に疑うよう呼びかけている。
持病のない60代男性でウイルス性肺炎に発展した例では、悪寒から3日目に熱が39度台
になって受診したが、簡易検査は陰性。しかし、熱やせきが改善せず、2日後に両肺の炎症
がわかり入院した。簡易検査も陽性になり、薬や酸素吸入で改善した。
40代女性の場合、熱や下痢の症状が出て、後に重症肺炎に。日常に支障がない程度の
慢性の肺気腫が治療中にみつかった。女性は20年以上の喫煙歴があった。こうした「隠れ
リスク」を見逃さないため、喫煙歴や日常生活で息切れがないかなどのチェックも診断に
欠かせないという。(権敬淑)