「百姓貴族」は「鋼の錬金術師」で名を馳せた荒川弘の、百姓エッセー。
女史は北海道の酪農家出身。ひい爺さんの代に本土から開拓移民した、由緒正しい「百姓」である。
一般に農家は農業政策などを巡って都会民を非難しがちだが、彼女もその例に漏れない。
荒川は、北海道の独立宣言をおこなう。
荒川の視線はかなり真面目だ。真面目に過ぎて「傲慢」に聞こえるところが、
百姓「貴族」の裏由来なのかもしれない。
荒川の話を聞いていると、郷土自慢・実家礼賛を通り越して、農家至上臭が感じられる。
農家にあらずんば人にアラズ、というアレだ。
彼女は腹の底では都会民を憎悪し、軽蔑していることが、随所からうかがえる
(「食糧供給ストップさせて、飢え死にさせたろかい」「一度食べ物の恐ろしさを知らせて
やらねばいかん」「死にたくなければ畑を作れ」)。
荒川は売れっ子なせいか、フォローはほとんどなく、一方的に農家礼賛、都会民侮蔑に終始している。
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