http://www.style.fm/as/05_column/shudo166.shtml 『うる星やつら2』のプロットは色々な人の目に触れたはずである。
原作者の高橋さんとも、プロデューサーの落合氏や監督の押井氏とも、プロットについて話し合った記憶はない。
で、提出したプロットで脚本を書いてくれという依頼があった。
しかし、このプロット、僕としてはちょっと小細工したところがあって、高橋留美子さんの『うる星やつら』ではなく、別の『うる星やつら』になる危険性があったのである。
第1作目の『オンリー・ユー』は、高橋・金春コンビの脚本に、男の押井氏が割り込んで、なんだか変な『うる星やつら』になっていた。
2作目は、金春さんが押井監督に腹を立てて抜け、高橋原作、押井監督、首藤脚本のはずであった。
もしも、押井氏が僕の脚本でやる気があれば、もっと変な『うる星やつら』ができたかもしれない。
しかし、僕が聞いたのは、押井氏は、このプロットでは自分が降りる、である。
脚本のGOサインがでてから、監督が降りるというのは変である。
監督がやりたくなければ、脚本のGOサインは出ないはずである。
僕のプロットは、いまさら使いようがないので、僕のブログの未発表作品の欄に載せてある。
実はこれ、トリッキーなプロットなのである。
ところでこのコラムを書こうとしている最中、今は亡くなったプロデューサー落合氏の著書を、このコラムの担当の方が手に入れてくれた。
そこには、『うる星やつら』の映画1作目と2作目のいきさつが書かれてあった。
僕の知っている『うる星やつら』2作目とは、ニュアンスが違っている。
押井氏の語る『うる星やつら』、原作者、金春さん、プロデューサー、原作の編集長、アニメをTV放送していたプロデューサー他、いろいろ立場でニュアンスが違うのである。
まるで、芥川龍之介の「藪の中」である。
だから、僕の立場から、この『うる星やつら』のごたごたを語るしかない。
だけれども、このコラムは、アニメの脚本家に関心のある人に向けて書いている。
少なくとも、このごたごたは、今のアニメ脚本の世界から比べれば、そうとう高度なレベルである。
今のアニメ脚本家のレベルは、アニメに脚本なんかいらないよ……と言われかねないほど落ちていることを否定できない事をお忘れないように……。