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文残し:
小川びい
企画を知って期待した。絵コンテを読んで、期待が予感へと変わった。
試写を見て、予感は確信になった。
7月15日全国公開の劇場アニメ『時をかける少女』は傑作だ。
原作は筒井康隆のジュブナイル。これまで何度も映像化されてきた著名作である。
原田知世主演による大林宣彦監督版はつとに有名だろう。
監督は細田守。長編は、昨春のONEPIECEに続き今回で2作目となる俊英だ。
初監督作『デジモンアドベンチャー』と『ぼくらのウォーゲーム!』の
劇場中短編2作の緻密な作りでファンから熱狂的な支持を集め、今最も
注目されているアニメ演出家である。今回のアニメ版は完全オリジナルストーリーで、
原作のヒロイン・芳山和子の姪が主人公になっている。だが、原作の大切な
要素や味わいは、そのまま。さらに大林版へのリスペクトもばっちりだ。
男女3人の友情以上恋愛未満の関係、時をかける能力をもった少女のとまどい、
そして・・・そう今回のアニメ版もまた、見事な青春映画になっているのである。
同じく時を扱った劇場アニメということで、試写を見ながら、僕は押井守監督の
傑作『うる星やつら2ビューティフルドリーマー』を思い浮かべていた―
と書いてもネタばらしにはなるまい。見比べて、「2人の守」の演出の違いを
味わうのも面白いのかもしれない。今夏も劇場アニメに話題が多い。
アノ作品(竜が出てくるヤツ)とかアノ作品(竜が出てくるヤツ)とか。
話題だからという理由で、そうした映画を見に行く人も多いだろう。
でも、どうせ安くない料金を払い貴重な時間を費やすのなら、面白い映画を
観たほうがいいんじゃない?笑って泣いて最後にグッとくる、
こんな映画はめったにない。「時かけ」は、この夏の劇場アニメの、
いや夏のあらゆる映画のベスト1である!
・・・・ってまだ7月にもならないうちに断言しちゃうけど、
それだけの価値はある映画なんですよ、ホント。