東京工業大学と東映アニメーションなどの研究グループは、アニメの動きを蓄積したデータベースを
作製し、アニメ製作を効率化する技術を開発した。一度作製したアニメの動きを、別のキャラクターで
簡単に再現することができる。現在、日本で製作されているアニメは一週間に約七十本で、百本以上
の需要が見込めるという。今後、データベースを充実させて製作現場で役立てる。
新技術は東京工業大学の中嶋正之教授と埼玉工業大学の角文雄教授らが開発した。キャラクター
の動きや風景などアニメの一部を取り出してデータベースに保存し、別のキャラクターで動きなどを
再現する。歩く、走るなど人間の動き二十三種類と、犬や猫などの動物の動き三十二種類、雨や雪
などの背景をデータベース化した。
例えば、アニメから歩く少女を取り出し、その動きをデータベースに保存する。歩き始める少年のアニメ
を描き、そこに少女が歩く動作を組み合わせれば、自動的に少年が歩く姿が描ける。二つのキャラクター
の間で腕や足同士を対応させやすいことを利用した。
アニメはキャラクターが歩いたり走ったりする場面は繰り返し出てくる。動きや場面を何度も利用でき
れば、アニメ作製が効率化でき、世界的に評価が高い日本のアニメの量産化が進むという。今後、製作
プロダクションなどに呼びかけてデータベースを充実させたい考え。
モーションキャプチャーと呼ぶ技術を使って、実際の人間の動きをアニメや映画に使う例は多い。
アニメには実際の人間や動物の動きと違った独特の動きがあるが、これまでアニメの動きを取り出し
て、別のキャラクターで再現する技術はなかった。
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アニメーター大量淘汰の予感