中国の新幹線総合スレッド

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159名無しの車窓から
中国・「製造大国」の表と裏(7)−北京−上海高速鉄道の建設現場

済南は暑い! 7月初めの済南は本当に暑い。三面の山に囲まれる済南特有の酷暑に、コンクリートの近代建築物やアスファルトに蓄積された熱が加わり、済南は凄まじい暑さで筆者を迎えてくれた。

実は、山東省済南市は筆者の生まれ育った故郷であり、来日までに32年間も生活した馴染みの深い街である。この町西部の旧工業地帯の一角に、
かつて筆者が8年間勤めた国営工場の敷地があった。大学生募集中止となった文化大革命(文革)中、毎日通っていた工場周辺は、いま巨大な新興住宅地に変貌している。

この住宅団地群の西の離れに、旋回式クレーンが林立する工事現場があった。埃に包まれた建設機械の数や出来上がった鉄骨やコンクリートの骨格から見ると、かなり大きな建設物が何棟も連なる巨大な規模になりそうだ。

「京滬高速鉄道済南高速站工程建設指揮部」の名刺を持ったスタッフが案内してくれたのは、建設面積が20万平方メートルを誇る巨大ターミナル駅舎の工事現場の一角だった。段店鎮于莊村と呼ばれるこの一帯は、昔あった野菜農家の畑が完全に姿を消し、
建設重機がフル稼働する突貫工事の現場に様変わりしている。大規模な開発が急ピッチで進められているこの辺りは、ターミナル駅に直結する市内交通網、大型商業・教育付属施設などを擁する「蝋山新区」に生まれ変わろうとしている。

中国各地の国家級プロジェクトと同様、「済南西客站」プロジェクトもわずか数年の間、省都済南の西部に斬新な開発地帯をもたらしている。
ここはいま、世界的な不景気から全く影響されない「元気さ」に満ちあふれている。中国政府が高速鉄道建設に託した景気刺激効果が、ここでも顕著に表れている。

済南西駅は完成後、京滬高速鉄道と膠済(済南青島間)高速鉄道の終着列車が乗り入れる重要なハブ駅として、北京まで2時間、上海まで3時間、という近代的高速鉄道網の中枢になる、と案内役の若手スタッフが丁寧に説明してくれた。
汗が滲んだこの好青年の話を聞きながら、若き頃に経験した「上海行き列車の旅」を思い出した。済南発超満員の鈍行列車連結部に立ったまま、上海までの18時間を過ごした辛さが一瞬よみがえった。

いまから20年前の18時間と、いまから2年後の3時間、済南と上海間の空間的距離はこのままだが、高速列車が時間軸を一気に縮めてくれる。まさに「隔世の感」という言葉の通り、故郷済南で「夢の超特急」がいよいよ現実化しようとしているのである。

続く