中国の新幹線総合スレッド

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158名無しの車窓から
続き

たとえば、高速鉄道の駅舎、線路の施工、車両製造と維持補修などの規格基準と品質管理ノウハウなど、いずれも高度な技術が内包されている部分だが、
中国側にとって極めて有利な形で技術開示・供与協定が結ばれたため、現在中国企業はすでにこれらの技術ノウハウを相当吸収できている。

どうやら、長年の懸案だった中国市場への参入がようやく認められた海外メーカーの焦りを利用した中国企業は、技術対価として計量化されにくい、いわば「目に見えない技術移転」の面でも、大きな実利を得ていたようである。

そもそも、高速鉄道のような近代的な産業技術は、多方面にわたる複合的なもので、ハード面とソフト面の技術移転がともに実現された場合、中国側が供給側に技術導入の対価としての技術使用料を支払ったときから、
技術供給側の海外メーカーはすでに複製や改造されて不利益を被るリスクを背負った、といえよう。それでも、日仏加メーカーはリスクを承知の上で中国への技術供与とノウハウ開示要求に応じた。もしかしたら、
技術供与側は、最先進技術の固まりのような技術ノウハウをたとえ後発国に提供したとしても、技術進歩という一本のレールの上で、後発国からの追いかけがあっても追い越されることは不可能だ、という過信があったのかもしれない。

ところが、中国政府が考案した高速鉄道技術の導入プロセスには、旧来の常識だった一本レールではなく、中国側が吸収、消化、さらに自前技術との結合による発展が可能となるもう一本のレールが敷かれていることに、海外メーカーは果たして気づいたのだろうか。

現に、中国の高速列車開発・製造企業の技術進歩を象徴するニュースが流れている。青島四方機車が主体として開発中の次世代・新規格高速列車(運営時速350キロ)が2011年に実用化される見込みである。北京・上海間、武漢・広州間とハルビン・大連間の
三大幹線に導入されるこの国家級プロジェクトには、青島四方機車が製造担当のほか、全国複数の大学・鉄道研究機関の技術者が開発に参加している、と中国高速鉄道事業の統括者である鉄道部運輸局長張曙光氏は発表している(2009年6月12日付『人民日報・海外版』)

こうして、中国企業は海外との技術提携とその消化過程で、技術改造ノウハウを手に入れ、さらに独自開発による自前の技術を組み入れた結果、中国はいま、独自で新規格の国産高速鉄道を
設計製造する能力をほぼ手中にしていると見てよかろう。ここまできたら、もはや中国流の高速列車技術導入の手法を非難するだけでは、高速鉄道大国へ邁進する中国の突進を止められなくなっている。
(執筆者:王曙光 拓殖大学教授)

サーチナ 2009/06/22 10:30
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0622&f=column_0622_002.shtml