中国の新幹線総合スレッド

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106名無しの車窓から
中国・「製造大国」の表と裏(1)―高速鉄道開発は“幻”か

北京五輪の開幕に合わせた北京天津間高速鉄道の開通は、中国独自の技術開発による成果か、
国民世論を愚弄した鉄道部による業績作りの「幻の技術創造」か。政府発表だけを伝える
中国メディアをよそに、インターネットの世界ではいまや、産官学界を巻き込んだ大議論が
密かに関心を呼んでいる。

  「自主開発による成果」で民間から反論噴出

大学の休暇を利用して中国を旅してきた。北京で鉄道部関係者などと意見交換した後、北京
天津間高速鉄道に乗車、続いて天津から「動車組」(注1)で青島へ移動、さらに青島では
「南車集団四方車両」の製造現場を視察した。「高速鉄道の旅」というわけだが、目的は
「自主知的財産権」を謳える政府見解への検証である。

北京では、鉄道部関係者との意見交換にこれといった新情報は得られなかったが、政府発表
に真っ向から反論したことでネットユーザーから多大な支持を得た「民間鉄道専門家」と
自称する数人との座談会で、筆者は強烈な政府批判を目の当たりにしていささか衝撃を受けた。
鉄道専門知識に疎い筆者だが、彼らが取り上げた綿密なデータ検証と理にかなった論拠に、
素人ながらその発言にひたすら耳を傾けていた。

昨年秋頃から、ネットの世界から一部の地方紙に至るまで、中国の産官学界を巻き込んだ大
議論が密かに関心を呼んでいる。北京五輪の開幕に合わせて開通した北京天津間超高速鉄道
をめぐり、政府大絶賛の主要メディアと、その成果を真っ向から否定する一部の専門家と
ネットユーザーとの間で、激しい議論が繰り広げられている。中国に来てから、筆者はこの
議論の行方にいっそう興味を持つようになった。

  検証の旅は、北京南駅のホームから始まった。

北京南駅から天津行きの超高速列車に乗車した。すでに日本でもインターネットに多くの
乗車体験談が載せられているが、それでも実物を見て新駅施設の凄さに驚かされた。これま
でに日仏独など高速鉄道先進国で駅施設を見回り、高速鉄道導入先輩格の韓国台湾へも行き、
高速鉄道駅の「世界水準」とは何かを知ったつもりの筆者だが、北京南駅のすばらしさを身
をもって実感した。市内への交通手段がまだ完全に整備されていないなどの欠点もあるものの、
駅舎内の環境設備だけでいえば、この駅はまさに世界の先を行っている最先端の駅舎といえ
よう。

ホームに停車中のCRH2−300型(日本の「はやて」をベースにした高速列車)に乗車し、
清潔で快適な座席に腰を下ろした瞬間、中国がようやく高速鉄道の時代を迎えたことへの
実感が湧いてきた。最高時速347キロを記録したときの走りの安定さからは、動力や車両だけ
でなく、線路工事施工と管理水準の高さがうかがえ、発着時間の正確さなどからも、信号・
運行システムのレベルの高さを知ることができる。ハード面もソフト面も世界最高水準の高
速鉄道システムが中国で確立されたということは、中国の製造業が新たな時代に突入したこ
との証ではないか、と筆者はこの体験を取材ノートに書き込もうとしたが、車窓から差して
きた太陽のまぶしさに目を閉じさせるを得なかった。
(執筆者:王曙光 拓殖大学教授)



サーチナ 2009/03/30 10:30
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0330&f=column_0330_004.shtml