今年は忘れることのない一年となりました。

2012年初夏――
私は仕事の都合で、地元の四国から神奈川県の武蔵小杉に引っ越してきた。
武蔵小杉へ来た当時のことは、あまり覚えていない。


私は東横線で横浜まで通勤することになった。
東横線の武蔵小杉駅から横浜駅へと向かう電車へ乗り込み、
窓に流れる風景を眺めながら、
「冷房全然効いてないわー」とか「もう夏かー」みたいなことを考えていた。
ふと、どこかで見たことのある橋が目に入ってきた。
数秒でその橋が何であるのかに気付き、興奮した。
７年位前に、私はこの橋を渡ったことがあったのだ。

ただ過ぎゆく景色に、唖然としていた。

数か月住んだだけの神奈川県の思い出は、なぜかこの橋の印象が一番強い。
それは、電気の通っていないアパートで一夜をどう過ごすか迷い、
この橋で大倉山側から綱島側へ渡りネットカフェへ行ったこと。
日用品を用意してなかったので、「夜までには全部準備しないと！」とか本気で
焦りながら
橋から５分くらい歩いたところにある、潰れそうな食器店で色々物色したこと。
橋を抜ける風が強くて、髪がボサボサになってムカついたこと。
そんな風を煩わしく思いながら、
橋から見えるピンク色のラインのある電車を、
なんとなく眺めていたこと。


橋が見えなくなってからも暫く、懐かしい想いに浸っていた。

私が神奈川へ住むのは二度目だ。
一度目はすぐ引っ越してしまったのだが、７、８年程前に新卒で就職し、大倉山
に数ヶ月くらい住んでいた。
当時は、実家を放り出して上京し、初めての仕事で右も左もわからず、毎日がと
ても不安だった。
結局３年程で故郷へ戻ってしまったのだが、
当時関東を離れる時には、また大倉山へ来れればいいかな、その程度の想いだっ
た気がする。
関東から離れて４、５年の間に、私は飛行機の利用を覚えた。
来年四国に戻ることになったとしても、神奈川まで飛行機を使えば４時間もあれ
ば行ける。
数字を考えると近いように思えるのだが、気持ちの距離がとても遠く感じる。

もうあの橋を渡ることは、永遠にできないのかもしれない。
そんな気がする。

もし神奈川とお別れになってしまったら、また行ってみようと思う。
あの日見た東横線は、今度はどう見えるのだろうか。

そこから見える景色を、写真くらいは撮っておこうかな。
たぶん今度は、良い眺めに違いない。
そんな写真が撮れる気がする。





―――――― そう、iPhoneならね。

2006 新卒 初神奈川
2011 退社 四国へ
2012 二度目の神奈川
2013 まだ神奈川 写真を撮りたい

こんな感じ？
去年撮れよって思うんだけど。

2006 新卒 初神奈川
2009 退社 四国へ
2012 二度目の神奈川
2013 まだ神奈川 写真を撮りたい

こうか