・360億円を約20年で返済する―財政破綻した夕張市財政再建計画案が、波紋を広げている。
「住民追い出し計画だ」「私たちは死んでしまう」。18日から毎日、地区ごとに開かれている
住民説明会では、住民の怒号や悲鳴が渦巻いた。
市職員男性(32)は「出るも地獄、残るも地獄だ」と感じている。
月給が平均3割削減。 妻(35)と中学1年の長女(13)、長男(1)の4人暮らし。
妻は妊娠中だ。毎月の出費が約26万円に対し、月給は約24万円。不足分はボーナスで
埋めていたが、そのボーナスも半分になる。「数年後にこうなると言われれば準備もできるが、
来春からでは無理だ。死刑宣告だ」
生まれ故郷を離れたくない。「転校するかも」と子どもに伝えると、「友達と離れたくない」と泣かれた。
市は、約270人いる市職員を4年間で70人にまで減らす計画だ。事前にささやかれた
「肩たたきではなかなか減らない」という予測は、退職時期が遅れるほど退職金が減っていく
スライド案の導入で吹き飛んだ。
市民生活も直撃する。
病院の行き帰りのバスは70歳以上の高齢者では一律片道200円で乗れるが、補助の廃止で
最高4倍以上に跳ね上がる。市民税、固定資産税、軽自動車税も軒並み増税。入湯税150円が
新設され、ごみも有料化、保育料も上がる。
住民から「血も涙もない」と抗議が上がる財政再建計画案だが、夕張市を指導する立場の
総務省は「全国最低水準」を求め、なお切り込む構えだ。
総務省に不信感を抱く自治体もある。 5年前に財政再建団体を脱したばかりの福岡県
福智町の財政担当者は、夕張の案に衝撃を受けた。小学生以下の子どもにも、いずれ
負担を強いることになるからだ。
赤字額を考えれば、厳しい内容も当然だと思う。でも、こう思わずにはいられない。
「総務省はそこまでやらせるか。地域を壊していいのか」 (抜粋)
http://www.asahi.com/life/update/1122/005.html