865 :
SEGA:
外伝1
2005年編。
本来の時代に戻った俺。まだだ。まだ、セガ逆転のシナリオがあるはずだ。 街を歩いていると、黒塗りのベンツに声をかけられた。
「○さーん。おひさしぶりです。そうだ、送りますよ?」
あの頃より、しわも白髪も増えた眼鏡の老人。かつてのセガ湯川英一専務、今はクオカード会社の代表取締役会長だ。乗らせてもらう。
「ひさしぶりです。といってもあなたにとっては、この間でしょうけど」
「すごいですね」
「これですか。役員が会長なんだからと、ベンツに運転手でと強引に押しつけられましてね。それで、最近どうですか?ああ、その携帯電話みたいのが、、、」
「そうです。今より20年後のパソコンです。天下を取ります。これにはまた、ゲームの、、、」
湯川がハナシを遮る。
「もう、やめましょう。こんなコト。」
「そんな!あなたは退職しからいいかもしれませんが、セガは、これから、、、」
「、、、もっと、苦境になるというのでしょう?」
866 :
SEGA:2005/07/15(金) 03:02:32
外伝2
俺は激昂した。
「あんた!それがわかってて!」
思わず湯川のネクタイをつかんだ。運転手が振り向くが、湯川が、「なんでもない」と制す。
俺も一応ネクタイを放す。
「たしかに。あなたの持ってきたネタを使えば、セガは復興するかも知れません。サミーも思っていた以上にいい相手です。覇権さえ狙える。」「だったら、、、、」
「しかし、それはもう、『セガ』ではありません」
「、、、、、」
「ポケモンのようなモノはセガでもつくれます。しかし、ポケモンは任天堂で作られたモノです。同じように、サクラ大戦のようなモノは任天堂でも作れます。しかし、それはサクラ大戦ではありません」
俺は混乱してきた。かまわず、湯川はいった。
「そんなもの、あなたはプレイしますか?(株)セガから出てるから、好きではなく、好きなゲームが、(株)セガから出ていた。だからこそ、あなたはセガ信者になったのではないですか?」
「俺の、、、俺のやってきたことは、、、」
車は緩やかに進む。湯川は遠い目をした。
「あの頃は、【祭り】でした。ソニックも、セガタ三四郎も、ドリームきゃす子も、すべて。私は今の仕事に誇りを持っていますが、セガには、そう。楽しさがありました。大学サークルのような、部活のような、、、」
「でも、それが、経営を悪化させた!」精一杯の皮肉。しかし、湯川は微笑した。
「そのとおりです。我々は、サークルで経営力はなかった。ここまでやれたのは時代の祭りのおかげです。セガは時代の徒花だったのかもしれません」
867 :
SEGA:2005/07/15(金) 03:04:06
外伝3
知らないうちに俺は、涙が出た。
湯川がハンカチを差し出した。おれが、20年後にみたセガの末路、それは、、、、。
「定年して、やめたあと、開発の連中と飲んだんですがね。息巻いてましたよ。『みていてくだい湯川さん。今度のゲームの新技術でまた返り咲きます。なぜなら、、、」
《新技術の積極活用が、我が社のモットーです!》
湯川と声を合わせた。目に浮かぶようだ。無駄にプライドが高く、それでいて、ゲームを限りなく愛している。
おそらく、それも失敗する。そしてさらに経営は悪化。株は下落して、、、、
「ああ、目的地につきましたよ。いいんですか?ここで」
とある建物前。
「ええ。今の話を聞いて、よけいに決心が付きました。ああ、未来のパソコンは処分してください。もう、いりません」
少し驚いて、湯川はにやりと笑った。
「ははは。あなたなら、そうだろうと思っていました」
車は俺をおいて去っていく。上等だ。俺が見た歴史を今度こそ変えてやる。建物にはいる。表札には『セガサミーグループ本社』の表記。
「○です! 入社試験を受けに来ました!」
※本物の湯川英一さんは、関西弁で眼鏡もかけてません。眼鏡はTVのキャラづくり。