80 :
名無しさんのみボーナストラック収録:01/09/12 23:29
ぶ「キャンディス。今日の下着はセクシーだね」
き「そう?あなたのズラも決まってるわよ」
ぶ「そうか・・・ちょっとこっちにこいよ」
き「もう。お元気だこと・・」
ぶ「いいだろ。がまんできないんだ」
き「あ、ちょっと待って。SEXのときは帽子脱ぐの約束でしょ?
でも、あそこには帽子つけてね」
ぶ「お、そうか・・・おまえにはやられっぱなしだな」
81 :
名無しさんのみボーナストラック収録:01/09/12 23:32
ワラタ。
82 :
名無しさんのみボーナストラック収録:01/09/13 13:47
>62
最高。また書いて。次回はあんじぇら出して。
ちいさなちいさなおんなのこ系。
「ボビィ、ちゃんとカタつけんだよ。フランク
を信用しちゃだめだ。完全にイカれてるからね。
フランクが家開けた時にやっちゃうんだよ」
「わかってるよ。裏の林に穴掘っといた」
「しっかりやるんだよ。これが最後のビズなん
だからね。フランクにゴネられたら兄弟3人州
刑務所のガス室送りってことになりかねないん
だよ」
「わかってるよ」
「じゃあ、交渉成立を祈ってて」
「うん、姉ちゃんも無理しちゃダメだよ。ちょ
っとでもヤバイと思ったら逃げてね」
「大丈夫、相手はプロの交渉コンサルタントだ
と思い込んでる」
俺は受話器を架台に戻す。旧式の電話器がチ
ンと済んだ音を立てる。
俺は居間に戻る。兄貴のフランクはジョー
イを膝の上に乗っけてテレビを見ている。
「ボビィ、姉貴か?」
「うん、交渉は順調だって。金受け取ったら
電話するって」
俺はカウチに腰をおろしてバドワイザーの
栓を抜く。
「聞いたか、ジョーイ。もうすぐ家に帰れ
るぜ」
そう囁いて、兄貴はジョーイの顔を自分の
方にねじ向けてルージュを塗った唇にキスす
る。ジョーイが身をよじる。
「あんな家に帰りたくないよ」
すねたような口調で云う。
「このまま俺と暮らすか?」
「うん、それがいい」
「可愛いこと云うじゃねえか」
「だってボク可愛いもん」
ジョーイが甘えた声を出す。兄貴のごつい
手がジョーイの短いスカートの下にもぐり込
む。
「おやおや、お嬢ちゃん、ピンピンじゃない
か。今のキスで感じちゃったのかな」
「だっこされてるだけで感じちゃうんだよぉ」
俺はバドワイザーを飲む。確かにジョーイ
は可愛い。ジョーイに女装させることを思い
付いたのは姉貴だった。家出中伸ばし放題だ
ったジョーイのブラウンの髪を脱色してアッ
シュ・ブロンドに変え、自分のお古を着せた。
「万が一FBIが動いてても探してるのは、
茶髪の男の子だからね」
元々15才にしては小柄で華奢で女顔だっ
た。ホームパーマでカールさせた髪をピンク
サテンのヘアバンドでまとめ、姉貴がガキの
頃着ていたワンピを着せられたジョーイは俺
と同い年の少年にはとても見えなかった。い
いとこ12才の美少女。
しかし、この美少女ぶりに兄貴がイカれて
しまうなんて完全に予想を越えていた。夜は
兄貴が独占状態だし、恋人気取りでチャンス
さえあればいちゃついてる。
最初からジョーイには誘拐されたという実
感がない。家出して、ヒッチハイクしている
ところを拾われて、身代金詐欺の片棒を担い
でいると思い込んでいる。
ハッキリ云ってバカだ。
ピンクのナイロン・パンティがジョーイの
右足首に引っかかっている。兄貴の膝の上と
いうポジションは同じだ。さっきと違うのは
完全に二人ともアッチの世界に入ってしまっ
ていると云うこと。
「フランクぅ…、気持いいよぉ」
兄貴の手がジョーイのスカートの下で激し
く動いている。
ジョーイは顔をピンク色に上気させて、せ
つなげに身をよじる。
兄貴がジョーイの耳たぶをかじる。
「ジョーイ、放さねーからなっ!」
「もっと、もっと!」
完璧にイカれてる。実の弟の前だと云う常
識がブッ飛んでいる。クールで女殺しの兄貴
がなんでこうなったのか?俺にはわからない。
ただ、こんな光景を見せつけられると俺まで
おかしくなる。たて続けにバドワイザーを空
にする。股間が熱い。
兄貴がジョーイを抱え上げて、床に這わせ、
ドッグスタイルで腰を使う。もちろん右手は
ジョーイのペニスをしごき続けている。
兄貴は手加減してない。腰全体をジョーイ
の尻にたたきつける。
「もっと腰使ってみろ」
「こう?こうなの?」
「そうだ、いいぞ」
湿った物音が響く。
「あ、あんっ、いいッ」
「どうだ?イクか?」
「ダメ、フランク、イキそっ!」
「我慢しろ、もうちっとで俺も…」
「許して、出ちゃうッ」
「いいぞ、フィニッシュすっぞ」
兄貴の腰の動きが加速された。
ジョーイは尻を振り、カーペットにしがみ
ついてソレを受けとめている。
数秒後、床に大量のザーメンがブチまけら
れる。
次の日、兄貴は食料の買い出しに出かけた。
姉貴の定時連絡があるから、全員が家を空け
ることはできない。
兄貴は夕方まで帰ってこないはずだ。食料
を買い込んで、床屋で鬚を当たって、昔風の
サルーンでバーボンを一杯。ビリヤードでち
ょいと遊んで、それから帰ってくる。
俺たち兄弟がこの稼業を始めてから3年た
つが、これまではクールにやってきた。
「あんたみたいな金持ちの子供が家出するな
んてなんかワケがるんだろう? 家出資金稼
ぐつもりないか? 親をハラハラさせたくな
いか? 俺たちと組まないか?」
てな感じで兄貴と姉貴が犠牲者を一本釣り
する。二人とも裕福な服装だし、案内される
のは小奇麗な、都会人が喜びそうな農場だ。
田舎暮しを楽しみながら詐欺の共犯になる
というスリルが味わえる。これって結構美味
しい?そうやって引っかかったバカなガキど
もが地面の3フィート下で眠りについている。
身代金と交換に親元に戻してやるほど俺た
ちはバカではない。親たちがおとなしく泣き
寝入りする方に賭けるヤツはいない。運が良
くて詐欺罪、ガキどもが検事に丸め込まれて
狂言じゃなくってほんとの誘拐だったって証
言する最悪のシナリオだってある。だから金
を手に入れたら、ガキどもは森の散歩に連れ
出される。終点には穴が掘ってある。
普段は兄貴のやる仕事だ。兄貴は鮮やかだ。
騙して、穴のところまでガキを連れていって、
後ろから頭をブチ抜く。
だけど、今回は俺がやんないとダメだ。兄
貴はやる気がない。それどころか、骨抜きに
近い状態だ。
「殺すことはねえだろ。これから先、仕事手
伝わしてもいいじゃないか。女の子がいたら
相手も安心するし」
そんなことを言い出して姉貴と喧嘩になっ
た。どうしようもないバカだ。ジョーイが死
ねば兄貴も目が醒めるだろう。商品に手を出
しちゃいけない。情が移って命取りになる。
それがこの稼業の鉄則だと教えてくれたのは
兄貴だった。
俺は38口径のリボルバーを点検し、ベルト
に挟む。Tシャツの上にダンガリーのシャツ
をひっかけてリボルバーを隠す。
ジョーイの部屋をノックする。
「暇こいてないか?散歩しようぜ。裏の林で
変なもん見つけちまったんだ」
「ほら、その穴なんだよな」
「ふーん…」
ジョーイが穴を覗き込む。
俺は背後に廻ってリボルバーを抜く。喉が
カラカラに乾く。
「なんにもないよ、変な物って…?」
俺がハンマーをコックすると同時にジョー
イが振り返る。
ジョーイが銃口を見つめる。兄貴なら振り
返る前に撃っていたはずだ。とてもじゃない
があんな風にクールにテンポよく片付けられ
ない。
「ボビィ…ボクを撃つ気?」
ジョーイの顔から血の気が引いていく。
「あ、姉貴の命令だ」
「フランクは?」
「オマエは兄貴をダメにしてる」
ジョーイの肩先が震えている。
「死にたくない…」
涙が溢れそうだった。
「殺さないで」
「俺らはいつもこうして来たんだ。詐欺師じ
ゃないんだ」
「それは聞いてる。フランクから」
「そこまで聞いてるのか…、なおさら生かし
ておくわけにはいかない」
俺は何をベラベラしゃべくってんだ?さっ
さと引き金を引いて幕にしないと…。
「けど、ボクは特別だって云ったもん」
「姉貴の意見は違う」
「ボビィは?」
「俺は姉貴に従う」
早いとこケリをつけないと、日が暮れちま
う。いつまでも銃を構えているワケには行か
ないんだ。
俺がようやく決意して引き金にかけた指に
力をこめた瞬間、それと察したようにタイミ
ングよくジョーイが泣き出した。
女の子みたいにメソメソと…。
号泣してくれたら撃てたかも知れない。
泣き方からして色っぽいのだ。
俺は処置に窮した。
ジョーイは膝を落とし、幼女がイヤイヤを
するように泣き続けている。姉貴のお古のブ
ラウスの胸元に下着のレースが覗いている。
「こいつブラジャーまでしてる」
俺のジーンズに包まれた股間が熱くなる。
異様に倒錯的な光景だ。
ジョーイが俺の膝にしがみついてきた。
「殺さないでよぉ」
顔を股間にすりつけてくる。
「ボビィ、勃起してる…」
ジョーイが嬉しそうな顔で見上げる。
「ボク、上手いよ。だ、だから、殺したら損
だよ。フランクだけじゃなく、ボビィにもや
ってあげるからぁ」
涙でマスカラがぐちゃぐちゃになってる。
普通なら滑稽なところだが、それが崩れた色
気に見えてしまう。
「サイテーだな。そこまでして助かりたいか」
「サイテーでも、オカマでもいいから、殺さ
ないで…」
ジョーイの手がせわしなく動き、俺のジー
ンズのボタンを外し、トランクスごとズリ下
げる。
俺の猛り立ったペニスがジョーイのルージ
ュを塗った唇に吸い込まれる。すげー暖かい。
暖かくて湿ってる。ペニスが溶けちゃいそう
だ。
「やめろよぉ、そんなことされたら…」
俺は完全に殺意を喪った。兄貴が狂うのも
無理はない。こいつは泥沼みたいだ。
ジョーイは俺のペニスを吸いながらスカー
トをまくり、パンティを脱いで、自分のペニ
スをこすり始める。
「畜生、気持いいッ!」
俺はジョーイの口の中に放った。ジョーイ
が喉を鳴らして液を飲み込む。ジョーイは俺
のペニスを離さない。口にふくんだままヌラ
ヌラと刺激し続ける。すぐに硬度が回復して
きた。
「ボビィ、すごいよ。フランクよかすごい」
四つん這いになって、スカートをまくる。
「来て、ボビィ、後ろからちょうだい」
俺は電波に操られるロボットみたく、のし
かかる。兄貴にしこまれてるせいか、ジョー
イの穴はさほどの抵抗もなく俺を受け入れた。
「ボビィ、お願い。ボクのペニスしごいて」
左手でジョーイの脈打つペニスを握る。
「ボビィ、気持いいよぉ!」
俺がジョーイの中に発射しようとした瞬間。
目の前の草むらが音を立てた。
「そこまでだガキども!」
兄貴がショットガンを構えて立っていた。
「よくもまあ寝取ってくれたなボビィ」
目が狂った光を放っている。
「おめえはガキの頃から俺のオモチャ、盗ん
でくれたよな。おふくろが生きてる間はカン
ベンしてやったが、これは許さねーぞ」
ショットガンの銃口が揺れる。
「撃って!早く!」
ジョーイが尻を振りながら喚く。
どっちに撃てと言っているのか俺にはわか
らない。
わからないまま、俺は兄貴に銃口を向ける。
銃声が轟いた。
END
…………その時、僕はその後、僕自身に何が起こるのか
わからないまま、彼とのSEXを楽しんでいた。
楽しんでいた…と言うのには語弊があるのかも知れない。
何しろ僕らはまだ幼くて、クラスメイトの彼とは付き合
い始めて一月位しか経っていない。
もちろん、僕は今の彼以外とSEXをした事がある訳で
はないから、彼のテクニックがどれ程の物なのかも判らな
いし、僕は彼を受け入れる専門だったけれど、それでも、
僕の体は彼とのSEXだけで十分イケていたから満足だっ
た。
それはもう、半ば日常的な消化運動の一つのように、僕
らは会えば必ずと言っていいほど、どちらかのベッドで眠
っていた。
ベッドに都合のつかない時は、それこそ所構わず……。
中でも僕は校舎の中でするのが好きだった。見つかりそ
うで見つからない所って結構あるし、それにスリリングで、
体の感度が良くなる感じがする。
……と、そんなことより、その時も僕は彼と一緒に学校
の側にある公園のトイレの中にいた。
色んな悪戯書きがしてあるトイレの冷たい壁に両手をつ
いて、僕は背後から彼を受け入れていた。
彼の熱い塊がずんずん僕の中に入って来て、僕は肌けた
学ランの胸を自分で弄ぐる。ピンと立って固くなっている
乳首をきつく摘むと、ボクのペニスに電流が走った。
「…ッ…」
僕は息を詰めながら、その手をそのままむき出しになっ
ているペニスへと延ばしていく。
「…やッ……ああっ!」
体中をふつふつと包む快感に自然と声が漏れてしまう。
彼はそんな僕の口を掌で塞ぎ、僕の中を掻き混ぜる。
「……ッ……ヒャァッ…」
声にならない声を上げながら、僕の頭の中が白く弾け飛
ぶ。
その瞬間だった。
真っ白になった頭の中から、僕自身のデータが吹き飛ん
だ。
記憶喪失……。
そのことを自覚したのは、それからしばらく時間を要し
た。
ひゃ く
なんてアンダーグラウンドなスレなんだ!!
背後に、妙に馴々しく生暖かい人が被さって来る。
僕は、僕の背中越しに熱い吐息を吹き掛けるその人に、
戸惑いながらも声をかけた。
「ねぇ……誰…?」
「はぁ?」
僕の背後にいたのは、その声から推し量ってもどうやら
男のようだった。
僕は次第に沸き上がる理由のない恐怖に駆られながら、
声を上げる。
「ねぇ…あんた、誰?」
そう言いながらも、僕の中には新たな謎が生れ始める。
『でも……そんなこと言っている僕は…誰?……なんで、
こんな所に…こんな格好でいるの?……ねぇ、どうして?』
僕の中に生れた謎は、次々と恐怖となって僕を支配し始
める。
「誰って……お前」
その瞬間、まだ僕の体と繋がっている彼は僕の顔を覗き
込むと呆れた顔をして言う。
「オレハ、高野信一……イチオウ、オ前ノ彼氏ジャン」
『カレシ…?』
僕は、どう見ても自分と同じような制服姿の男の、唇の
動きだけを見つめていた。彼の唇の話す言葉は、なぜだか
カタカナになって送り込まれて来る。
僕の脳は、与えられた情報を分析理解する事をまるで拒
んでいるかのようだった。理解する代わりに、僕の頭の中
には疑問ばかりがいくつも浮んでくる。
「ねぇ、それじゃぁ、僕は誰……どうしてここに……!?」
そこまで言うと、僕は頭を押さえた。
「ウッ……痛ッ!」
今まで感じた事のないくらいの痛みを頭全体が感じてい
る。とても立っていられそうもない僕は、その時初めて僕
と彼の体の状況を把握して、悲鳴を上げた。
全身が恐怖で萎縮して動けない僕は、口を半開きに開け
たまま乱れた呼吸を繰り返す。
「オイ……宏行、大丈夫カ?」
『宏行?……それが僕の名前?』
どう言う訳か、名前らしきものだけは漢字で理解出来た。
「放して!」
けれど、震えている僕の体を支えようとしてくれた彼の
手を払い除け、僕はズボンを引き上げるのももどかしく、
両手で慌ただしくトイレの鍵を開けて、そこから転がり出
た。
「オイ、宏行! 待テヨッ、ドコ行クンダ!」
背後から投げ付けられる声を、僕はただ恐怖に感じてそ
の場から走り出していた。
夕暮れの街を、どこをどう走ったのかすら覚えてはいな
かった。例え覚えていたとしても、それは全て初めて目に
する景色と同じことだった。
『僕は…誰?……ここは?』
僕は痛みを増して来る頭を両手で抱え込むようにして暗
くなり始めたビルの谷間の裏路地へと体を滑り込ませてい
った。
『……痛い……痛いよォ…』
僕は痛さと心細さから、もう歩くことを諦めていた。
路地裏で休む野良猫のように、僕は建築中のビルの衝立
の影に隠れるようにしてうずくまった。
目を閉じると、暗闇に吸い込まれるかのように頭の痛み
は薄らいでいく。
僕は膝を抱えて、何も考えなくてすむように目を閉ざし
た。そうすることで、少なくても頭の痛みからは逃れられ
る。僕は深い溜め息を漏らしながら、そこで体を丸めた。
保全。2ちゃんに存在する数多のエロ小説スレの中で一番面白い
「…おい…」
僕は、その声の主に体を突かれて目を覚ました。
見上げると僕のすぐ前には、作業服に無精髭をはやし、
頭にタオルをすっぽりと巻いた三十絡みの男が一人立って
いた。服装から察するとここで働いている作業員なのかも
しれない……。
「何やってるんだ、こんな所で……寝るならほかの所に行
けよ」
ぶっきらぼうにそう言い放つ男はそのまま建物の中に入
っていこうとする。僕は、咄嗟にその男の泥だらけの安全
靴を掴まえていた。
男は不愉快そうに、振り返るとボソリと言う。
「なんだ?」
「あ、あの…」
ジロリと睨まれて、僕は何を言えばいいのか判らず、座
ったまま彼の顔をじっと見上げていた。
すると、彼は僕を見下ろしたままで言う。
「お前……行く所無いのか?」
黙って頷く僕に、男は用事を済ませてくるからそれまで
ここで待っていろ、とだけ言うと僕の両手をそっと靴から
剥がして、建物の中へと入っていった。
男の背には、薄汚れた奇妙な大きさの袋が背負われてい
た。
僕は、その奇妙な袋の大きさに言い知れぬ不安を感じて
いた。それは直感に近かった。
107 :
名無しさんのみボーナストラック収録:01/09/29 23:16
保全age
しばらくすると、男は萎れたズタ袋を背負って建物から
出て来た。
男の姿を見た僕がノロノロと体を起こすと、男は言った。
「一緒に来るか?」
男の言葉に、僕は小さく頷いた。
僕の反応を確かめると、男は僕の方に手を掛け歩き始め
る。
歩きながら、男は僕に言う。
「お前、いくつなんだ? 制服着ている所を見ると学生ら
しいな…」
男の問いに、僕は何をどう答えていいのか判らず、心の
中に浮んで来るままを告げていた。
「あ、あの…僕……自分の事が…よく判らないんです」
そう言ってしまってから、僕は重大なミスを犯してしま
ったような気がしてならなかった。
男は、僕の顔を見ながら言う。
「何も…って、名前も判らないのか?」
「……いえ…あの……」
そう答えた時、僕は自分の肩を思い切り後ろに引かれた。
「宏行!」
驚いて立ち止まった僕の目の前には、見知っている筈の
男が立っていた。
「宏行…お前、どこ行くんだよ!……急に変なこと口走っ
て、いなくなったと思えば、こんな奴と一緒に、一体…」
目の前に現れたのは僕と同じ制服の男。確か、高野信一
とかいった……トイレの中に一緒にいた男だ。
「…あっ……あの…」
彼の剣幕に気圧された僕は、作業着の男の背後に姿を隠
す。
「宏行!…ちょっと、あんた何すんだよ!」
僕のことを掴まえようとした高野は、作業着の男に襟元
を掴まれ、そのまま吊るし上げられる。
「こんな奴とは随分な言い種だな、坊主……悪いけど、コ
イツは俺と一緒に来るんだとさ」
作業着の男はそう言うと、高野の腹に一発拳を繰り出し
た。
「グエッ…ッ!」
殴られた高野はそのまま地面に蹲る。悶える高野を尻目
に、僕は作業着の男に手を引かれてその場を離れた。
僕は倒された高野のその姿に、なぜだかとても後髪を引
かれるような思いがして、何度も高野の方を振り返った。
蹲っていた高野がヨロヨロと立ち上がった時、僕は男に
手を引かれながら曲り角を曲がって細い路地に入った。
男の部屋はそこからさして遠くない所にある平家の古い
アパートだった。
玄関の引き戸をあけると、中には土足のままで抜ける長
い廊下が続いていた。暗い廊下には裸電球がぶら下がり、
その両側にそれぞれ3つずつのドアが付いていた。
男の部屋は左の一番奥の部屋だった。
僕の手を引いたまま、男は自分の部屋に上がっていった。
「上がれよ…」
僕は男に言われるまま、小さな三和土に靴を脱ぐと畳み
敷きの部屋へと上がっていた。
古い家特有の湿気とカビのような匂いのするその部屋に
は、ベッドとテレビが一つずつ置いてあるだけで、後は何
も無い。閑散としたものだった。
頭を覆っていたタオルを外しながら、男は僕のことを見
つめて言う。
「宏行って言うんだな、お前の名前…」
男はそう言いながら、僕の隣に腰を下ろした。
「…あ…あの…」
僕が返事に困っていると、男は僕に言った。
「さっきのは、友達か? 随分と真剣にお前のこと探して
いたみたいだったけど…」
男は言いながら作業着の上着のポケットの中から煙草を
取り出し火を付ける。
僕は男のする様子を黙って見ていた。
男はそれきり、何も言わず煙草を一区切り吹かしてしま
うと、着ていた作業着を脱ぎ始める。
僕が黙ってその姿を見つめていると、男は僕に言った。
「何やってんだ?…お前も脱げよ……今更畏まってたって
話になんないだろ?」
男の言葉の意味が判らず、僕がそのままきょとんとして
いると、男は苛立たしげに吐き捨てた。
「なんだ、お前……礼儀も知らないのか?」
男は仕方ないと言わんばかりの表情になって、僕の制服
に手を掛ける。
「な…何!?…」
僕はその手を拒むように払い除け、部屋の隅に後退る。
「…や…やだ…」
「ここまで来て逃げるのか、お前? 行く所無いんだろ?
だったら、考えろよ……俺の言う通りにするか、それとも
今夜は外で野宿するか?」
男の言葉に僕は、頭を抱え込む。
色んなことを考えると、今日の僕の頭は途端に痛くなっ
てくる。僕は、頭を抱えたまま部屋の隅で小さくなる。
「痛い……痛いんだよ……頭が…痛いのッ」
そんな僕の悲鳴もその男の心を動かせるほどのものでは
無かったようで、男は僕の腕を取るとベッドの上へ引き摺
り上げた。
「やっ……いやあぁッ!」
逆らう僕の体の上に馬乗りになって、男は僕の顔を平手
で殴り付ける。
「ヒッ…イ、痛ッ…やめてッ!……痛い、痛いョォッ!」
僕はビリビリと痛む両の頬を両腕で覆った。痛みで込み
上げて来る涙が頬を伝う。
「判ったら、大人しくしろ…」
男はそう言うと、僕の体から着ていたものを剥ぎ取って
いく。男の手が下着に掛かった時に、僕は両手で顔を覆っ
た。
「なんだこりゃ…?」
男はそう呟くと、続いて低く笑った。そして、男の手が
僕の下半身へと延ばされる。
「ヒッ…」
男の手が僕の下腹部からヌルリとした物を引き出したの
を感じて、僕は体を硬くした。
「使用済みか?……もしかして、さっきのガキとか?」
そう言う男が手にしていた物は、使用済みのコンドーム
だった。それはまさに今、僕の体から取り出された物だっ
た。
「初めてなのかと思って甘く見てりゃ、いいタマじゃねぇ
か…」
男はそう言いながら、何を思ったのか僕の口をこじ開け
ると、手にしていたゴムを押し込んだ。
「ンッ……ンンッ!」
「大人しくしろ!…じゃないと、また殴るぞ!」
男の声に縮こまる僕の口をどこからか取り出した粘着テ
ープでグルグル巻きに塞ぐと、男は僕の両手を後ろ手に回
すようにして同じようにグルグルとテープを巻き付ける。
「逃げられるもんなら、逃げてみな……」
男はそう呟くと、僕の体を仰向けにする。そして、カエ
ルのおもちゃのように膝を曲げさせ、踵が尻に付く位きつ
く太腿をテープで巻き付けた。
僕はまるで[達磨人形]のようにベッドの上を転がされ
た。男は、僕の体を仰向けのまま持ち上げる。
「ガキのわりには、使い込んでるな……」
男の蔑んだような言葉を聞きながら、僕は両目を硬くと
ざすしか無かった。
「なんだ……お前、一人前に見られると感じんのか?」
男は言いながら、剥き出しになったままの僕のペニスを
指先で弄ぶ。男の言う通り、僕のペニスは、こんな屈辱的
な状況だというのにもう変化を始めていた。
「んッ……うんん!」
苦しい姿勢のまま、僕は男の節榑立った指に擦り続けら
れるペニスをどうすることも出来なかった。
「う…うぅん…んんッ…」
男の大きな手に、握り潰されんばかりに擦り上げられる
ペニスに僕はただ啼き続けるしか無かった。
やがて、男は僕の股間に顔を埋めると、卑らしい音を立
てて僕のペニスを吸い始める。
「…!…」
僕はその刺激に耐え切れず、男の口の中に射精する。
発する事の出来ない声で喉を震わせる僕は、男にペニス
を吸われる度に、その唇の中に熱い滴を垂らしていく。
115 :
名無しさんのみボーナストラック収録:01/10/07 05:59
ペニス
その時僕は、まだ始まったばかりの男とのSEXに快楽
を求めようとしているもう一人の自分の存在に気が付いた。
(…僕…は……何を…?)
『何をしようとしているんだろう……』、そう思った時、
男が僕の秘所に指を入れて来た。
「ンンッ!……ンンッ!」
僕はそのたまらない異物感に喉を鳴らした。
「何だ? そんなにイイのか?……じゃぁ、これならどう
だ?」
男は言うなり、自分のモノで僕の体を引き裂いた。
「!」
僕の体はまるで雷に打たれたかのように反り返る。
口の中では、ゴムの固まりが僕の息を塞ごうとする。
「ンッ……ンンッ!」
僕は自分が今までに体験したことの無い大きさのモノを
受け入れて、全身の血が沸騰し始めるのを感じた。
『…あ、熱い…や…』
見ず知らずの男に陵辱されているというのに、僕は恥じ
る事なく感じ始めている自分自身に戸惑った。
「ハァ…ハァッ」
男はただ荒い吐息だけを発して、僕の体の奥底までを貪
るように食い付いてくる。
熱いと感じるのは、僕を犯している男の体温もまた上が
っているからのようだった。僕の体に覆い被さっている男
の太い両腕は汗で光っていた。
「…ンッ……ンンッ…」
男に貫かれる度に、僕の体もまた熱を帯びた。
まるで体の中から熱棒で溶かされていくかのように、僕
の中の戸惑いや羞恥や、そんな取り留めのない感情がドロ
ドロのマグマのようになって、僕の体を責め立てる。
捌け口を求めるそれは僕の体の中心に集まり、僕はそれ
が再び爆発する瞬間を待ち侘びる。
男の腹に擦られているだけでは、もうどうにする事も出
来ない、もどかしい瞬間に僕は気が狂いそうだった。
(は……早くぅ!)
僕は荒くなっていく吐息を整える事も出来ずに、男の体
の下でこの果てしない時間を呪った。
「…ンッ、ンンッ…」
僕はもう限界ギリギリのところで大きく首を振った。
すると、男は何を思ったのか、僕の口を覆っていた粘着
テープをピリピリと外しながら言う。
「…我慢出来ないんだろう?」
男に見抜かれてしまうのも当然なほど、僕のペニスは男
の腹に先端を擦られて濡らし始めていた。
「仕方ねぇな…」
言いながら男は僕の唇をこじ開け、中で唾液塗れになっ
ていたコンドームを取り出すと、そのまま口付ける。
「ンンッ…!」
男の煙草臭い舌に、自分の舌を絡めとられると僕はその
まま意識を失いそうになっていた。
僕は男の体の上に抱え上げられるような形で、体の最奥
まで男を咥え込まされていた。
男は舌で僕の口腔を嬲りながら、片手では僕のペニスを
弄ぶ。
僕は全身を覆い尽くす激しい快感に吐きそうだった。
僕は、無理に塞がれている自分の唇を男から外すと叫ん
でいた。
「イカせてよッ!……お願いッ……早く……」
僕の言葉に答えるように、僕を貫く男の動きが早くなる。
僕は顎をのけ反らせるようにして大声で叫び続ける。
「もう、死んじゃうよォッ……お願い、イカせてよォ!」
僕のその声に、男はニヤリと笑って言った。
「…ああ、お望み通りイカせてやるよ…」
そう言うと、男はのけ反ったままの僕の喉元へと両手を
回す。
「は、早く……早くぅ……助け…てぇ……!?」
僕がそう叫んだ時だった。
僕の首に掛かっている男の親指にグッと力が入って、僕
は両眼を見開いた。
「ガッ……クッ…」
だらしなく開いたままの唇の端からは唾液が零れ、押潰
された声が部屋の空気を小さく揺らす。
「…た…すけ…て……死ん…じゃう…よ…」
僕の首を絞めながら、男の唇はそう呟いた。
それは、今、僕が発したばかりの声の筈だった。が、今
吐き出されたその言葉に感情は無かった。
男の言葉に、僕はどんよりと沈んだ暗い冷たさを感じた。
それは救われることのない男の執着のようにも感じた。
呼吸の限界を知った僕は眼を閉ざして、最後の息を吐き
出してしまう……。乾いた唇がヒュゥと音を立てた、その
刹那。
部屋のドアが物凄い音をたて、外から蹴り開けられてい
た。
「宏行!」
その声に僕が眼を開ける。と、視線の先でドアの外に立
っていたのは間違いなく高野だった。
『…高野…』
彼が高野であるということを意識した瞬間、僕の頭の中
は真っ白にフラッシュバックしていく。
その断片的な記憶の逆流に流されていくかのように、僕
の意識は失われていった。
ただ、失っていく意識の縁で僕は、自分がどこか遠くに
放り投げられる痛みだけを感じていた。
気が付くと、僕は自分のベッドに寝かされていた。
目を覚ました僕に気付いて声を掛けて来たのは高野だっ
た。
「気がついたの…か?」
彼は安堵したのか、そう言ったきり僕の事をじっと見つ
めていた。その彼の両眼が赤く、腫れぼったい瞼を見て、
僕は何となく気が付いた。
「高野……どうして、ここにいんの?」
僕がそう問いかけると、彼は堰を切ったように話し始め
た。
トイレの中からいなくなった僕を探していて、あの作業
着を着た男と歩いている僕を見つけた事。殴られた後、僕
らに見つからないようにそっと後を付けてきたこと。部屋
に乗り込むのに時間が掛かってしまったこと。そして、僕
を救い出すのにどれほど大変だったのか……。
救い出された僕を一度は救急病院に入れたものの、口の
中を切っている他は、脳にも異常が見られなかったので自
宅に返されたこと。それからは、昨日一日僕が眠り続けて
いたことも……。
僕の記憶に、最後に残っているのはトイレの中の、その
最中のことなので、一日半分の記憶がまるまる僕の記憶の
中から欠落してしまったことになる。
「…ふうん…」
僕は、高野の話を聞きながら、自分の掛けていた布団の
端を捲って言う。
「そんなことはもういいからサ、高野……こっち来ない?」
「…宏行…」
高野は呆れたような顔で、僕を見つめていた。けれど、
僕が体をずらして、ベッドの端を少しあけるとすかさずそ
こへ体を滑り込ませて来た。
僕が彼の体を弄ぐると、高野は不安を隠し切れないかの
ように言う。
「いいけどさ……お前、またあんな大変な事に巻き込まれ
るんじゃないだろうな?」
「…大変なこと?」
「あぁ、言いそびれていたんだけどさ……お前が無くした
方の記憶のな……」
高野はそこまで言いかけて口を噤んだ。
「んん、やっぱり何でもない……それよかさ」
高野はそう言いながら僕の唇を確かめるようにして、口
付ける。
それからの僕らが、ようやく取り戻した二人の関係を楽
しんだのは当たり前だけれど、それよりも、その時高野が
言い掛けていた言葉の、語られなかった本当の意味を知る
切っ掛けは翌日の朝刊に載っていた記事にあった。
[…××市の建設中のピルの地中から発見された、全裸死
体は同じ××市内に住む×××男さん(14)と判明、犯
人は死体遺棄現場近くに住む建築作業員×××夫(35)
で昨日逮捕された。犯人の供述によれば……]
ただ、その記事を高野に見せられても、僕には余りピン
とこない出来事だった。
『これ、僕とどんな関係があるの?』
そう呟いた僕の反応を見て、高野は何か釈然としない思
いを抱えているように僕を見ていたけれど、そのうちニヤ
リと笑って僕に言った。
「今日、帰りどこに寄る?」
僕は、それが僕らの合図だと言う事を知っている。そし
て、僕は今日も、たぶん明日も高野と一緒に過ごすんだ。
僕を空白の日から救い出してくれた、カレシと……。
END
ガスパール・デュポンは、入室してきた若い店員に向かって
大きく頷いた。
「これが今年の候補者か」
「はい。色々と検討しましたが、彼以外にはめぼしい者はいな
いと思います」
黒髪の、とびきりの美青年は、極上の笑みを浮かべた。
それを見ると、デュポンはニヤリとした。
「気に入ったのか」
「僕よりガスパール、あなたの好みじゃないですか?」
「…いい顔をしている。性格も良さそうじゃないか。少なくと
も育ちが悪そうには見えない」
「生真面目すぎず、スレてるわけでもないというのは、この容
姿では注目に値します」
「今年は、彼が『部屋』に入るのだね」
「あなたに異存がなければ、支配人」
広い机に腰掛け身を乗り出す青年を引き寄せて、デュポンは
彼に深い口付けを与える。
生々しい舌の絡まりあう音が、ここ、宝飾店「フェルナン」
の支配人室に響いていく。
「…ふっ…は、あ…んん…」
荒々しい手付きで、当然のように青年のズボンへと手が入れ
られる。青年は抗う振りをして、自分の好きな愛撫が受けられ
るよう身をうまく開く。
「いた…そんなに強くしごかないで…ボクが敏感なのっ…知っ
てんで…しょっ…ああ…」
「今更気取るな、これくらいが一番好きなクセに。…ほら、自
分でしごけ」
「やっ…あ…って…ふっ…んん…」
マホガニーのどっしりした机の上で大きく足を開き、両手を
使って無心に自慰を行う青年。
デュポンは満足気に笑いながらズボンを下ろすと、喉を反り
返らせている青年へのしかかっていった。
「あっいいっ…もっとぉ…奥まで来て、は、」
「…一年で随分と成長したものだな…ねだれるようになるとは
…」
「やん、焦らさないで…」
「顧客も君のテクニックに翻弄されている。『部屋入り』して
良かっただろう」
恍惚とした青年の表情を見ながら、デュポンは今年の「部屋
入り」の少年にはどんな事を、どんな方法で幸せを、与えてや
ろうかと考えていた。
126 :
名無しさんのみボーナストラック収録:01/10/23 08:20
保全。
127 :
名無しさんのみボーナストラック収録:01/10/23 13:57
「小学生とSEXしたい」
「中学生に萌え萌え」
「ロリに萌え萌え」
のスレはどこ行ったの?
削除されたのかな?
「わぁ…」
アンリ・ブレゲは、感嘆の声をあげた。
「凄い、ですねぇ…」
「はは、驚いたかね」
「えぇ、こんなにすばらしいとは思ってもみませんでした」
アンリは、その美しい青い瞳を見開いて、部屋の四方をぐる
りと見渡した。
その部屋は豪奢の限りを尽していた。ゴブラン織の見事なカ
ーテンが豊かなドレープをつくり、天井には女神と天使が、こ
の世の天国を謳い、軽やかに舞っている。金に塗られた様々な
装飾、ルイ15世時代の机、椅子、吟味して選ばれたと思われ
る調度品、きらめくシャンデリア。その全てに贅がこらされて
いる。
だがそれらは、この部屋にあっては所詮脇役だった。
この部屋の美観を損ねる事なく、然り気無く、幾つもの美し
い戸棚やガラスケースが配置されている。それ自体も第一級の
価値を持つものだ。
そう、その中には、この部屋の主役……目も眩むような宝飾
品の数々が、ごく当然のように並べられていたのである。
ここは、パリ随一と言われる超一流宝飾店「フェルナン」の、
由緒正しい足跡を誇示した宝物館であった。
アンリは興奮を隠しきれずに深い溜息をついた。薄い頬をほ
んのりと赤らめている。
「どうだね、わが店の宝飾美術館は」
黒髪の、中年の男が、そんなアンリの様子をじっと観察しな
がら、鷹揚そうに笑みを見せた。
「はい…『フェルナン』に勤めることができるだけでも幸運な
のに、こんな素晴らしい品を見せていただけるなんて夢のよう
です」
まだあどけなさの残る瞳を輝かせて、アンリは男へ向き直っ
た。
アンリ・ブレゲは、この春からこの店に働いている18才の
少年である。程々の家柄と本人の意欲が買われ、世界の王侯貴
族や名士に愛され続ける宝石商「フェルナン」で修行を積んで
いるのであった。
アンリのその言葉を聞いていた男……「フェルナン」の総支
配人ガスパール・デュポンは、満足気にうなずいた。
「うむ。だが憧れや夢だけではこの世界はつとまらないのは判
ってるね。アンリ、君は賢い子だ」
「はい。ぜひ宝石に対する知識を身につけ、一流のジュエラー
になりたいのです」
「そうだな。君は意欲を持っている。仕事ぶりも真面目だし、
頭もいい」
デュポンは、普段より、顧客はおろか、従業員まで魅了する
笑顔を見せると、アンリの手を取って部屋を歩き始めた。