☆A.C.T〜Progressive Fantastic Metal〜☆ pt.2
60年代後半から70年代前半――ブリティッシュ・ロックのスタイルが多様化
する中でサイケデリックやジャズ・ロックといった要素を取り入れ、実験的な
試みを積極的に行うバンドが次々に登場した。そこからさらに革命的な
サウンドを呈示したのがピンク・フロイドやムーディー・ブルースであり、
彼らはまさにプログレッシヴ・ロックの牽引者といえる。
69年、キング・クリムゾンの衝撃的デビューを皮切りに、エマーソン・レイク
&パーマー、イエス、ジェネシスらの活躍により、ついにはビートルズや
ローリング・ストーンズらと対をなすムーヴメントとなりえたプログレッシヴ
・ロック。壮大なトータル・コンセプトやクラシックの組曲的な構成、また
オーケストラの導入――といった手法は当時とびきり斬新で刺激的なもの
であったのだ。また、前衛ジャズを彷彿とさせる超人的テクニックの
インプロヴィゼーション(即興演奏)や、サイケデリックブームからの影響が
見られる過剰なまでに大仰なキーボード、メロトロン(←英メロトニクス社が
63年に発売した鍵盤楽器の商品名)の多用なども大きな特徴である。
プログレのムーヴメント自体はそう長く続いたわけではないが、各バンドは
分裂したりソロ活動に転向しつつさらに実験精神を強調し、アートロックと
して個々の道をたどっていったといえるだろう。そしてその根本的な精神は
今もなお、さまざまなアーティストたちに多大な影響を及ぼし続けている。