「ちょっとまずいことになっているのではないか」と気付いたのは、
取材に行っていたサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会が閉幕を迎えようとしているときだった。
7月のヨハネスブルク。理由は思い出せないが、その朝、久しぶりに鏡に映った自分の顔をじっくりと見た。
その瞬間、「えっ、うそだろう。いや、やっぱりなあ。仕方がないよなあ」と思った。
1月に全国勝田マラソンに出場。記録は3時間22分48秒だった
7年間、オフは作らず
2003年4月に走り始めてから7年の間、ランニングを1週間以上まったくせずにいたことはなかった。中足骨の骨折の疑いがあるときですら、レースを控えていたため、ほんのわずかずつ走っていた。毎日、走っているわけではないが、いわゆるオフを作ったことはない。
長く続けて休むことによって脚力が落ちるのが怖かった。というより、一つのレースが終わるたびに、
その失敗を挽回するため(何しろ成功するレースはめったにない)、「次こそは」と気がはやり、間を置かずにトレーニングを再開していた。
「メリハリを付けないから、トレーニングの効果が上がらないのですよ」という指摘は、いつも耳から耳へと抜けていった。
今回ばかりはランニングを中断
そんな私が、今回ばかりはランニングを中断していた。とにかくW杯の取材、原稿執筆、連日の移動で、時間の余裕がほとんどなかった。
それ以前に、治安の悪い南アフリカでは安易に街に出るわけにはいかなかった。