吉野家は2日、並盛り280円の「牛鍋丼」と「牛キムチクッパ」を全国発売すると発表した。
牛鍋丼は今月7日、牛キムチクッパは来月7日に売り出す。
“牛丼安値戦争”でライバルに後れをとる中、すき家の牛丼並盛と同じ業界最安値の新メニューで巻き返しを狙う。
牛鍋丼は、明治時代に東京・日本橋にあった魚河岸で、牛肉を豆腐や野菜と煮込んだ牛間部の具をごはんにかけて丼で食べる
「牛鍋ぶっかけ」と呼ばれるどんぶりを再現した。創業111周年を迎えた吉野家の牛丼の“起源”と位置づけている。
吉野家ホールディングスの安部修仁社長は同日、東京都北区の本社で会見し、
「当社の不振は競合他社の低価格メニューの影響があった」と指摘。
新メニューについて「今年の緊急対策であり、吉野家の牛丼の原点から発想した挑戦だ」と述べ、巻き返しを宣言した。
ただ、牛丼については「値下げする方針はない」と強調した。
牛丼安値戦争では、割高な米国産牛肉を使用する吉野家が並盛380円に対し、すき家は280円、松屋も320円と価格差を付けられている。
7月下旬から8月上旬に3社が実施した値下げキャンペーンでも、吉野家の270円に対し、すき家と松屋は250円で販売。
7月の既存店売上高が吉野家は前年同月比10・8%減り、17カ月連続で前年を割り込む一方、
すき家は30・0%増、松屋も5・3%増とプラスを確保し、“独り負け”の状態にある。
吉野家は、看板の“安い”の復活に向け、新メニューの開発を急いでいた。