ベースキャンプでは、いろんな人に出会った。本隊と離れて寂しかったのもあるのだが、周辺をよく歩き回った。最初に出会ったのが、超一流のロッククライマーのコンラッド・アンカー氏(米国)。地球を愛するどころか、今や世界の人々を愛している人だ。
寺院のバックに雄大な姿を見せるヒマラヤ
そこに山があるから(Because it is there)で有名なジョージ・マロリー氏をご存じの方も多いだろう。1924年にエベレストに挑み、
雲の切れ間から頂上まで数百メートルまで迫ったことは確認されているが、
果たして頂上に達していたのかは謎であった。その遺体を75年ぶりに発見したのがこのコンラッド氏である。
コンラッド氏は、世界的登山家のアレックス・ロウ氏と「魔の山」といわれるナンガパルパット(8125メートル)に登って、
パートナーを雪崩で亡くした。彼の遺体を運んで下りて未亡人に会いに行った。そして遭難した事情を説明して、
そのBC(ベースキャンプ)まで行こうと誘った。そうしているうちに2人の間に愛が芽生えて結婚することになった。
いろんな人を愛せる非常に愛の深い人だと感心する。
彼によれば、そこには非常にハードルの高い壁があったという。
それは彼女を陥落させるより、彼女の息子に気に入られることの方が難関だったということだ。
コンラッド氏のすごいところは、ただ単に一流のロッククライマーであるというだけではなく、環境意識の高さだった。
ノースフェース社と契約して環境問題に取り組んでいるが、エベレスト環境をモニターするプロジェクトにかかわっている。