2001年7月10日(火) 9時30分
<医療器具>骨折手術用「髄内釘」の価格、日本は海外の約10倍(毎日新聞)
骨折の手術に使う医療器具「髄内釘(ずいないてい)」が、日本では海外の
10倍近い高価格で販売されていることが、岸本正文・大阪府立中河内救命救急
センター医長の調査でわかった。ある製品はドイツでは約3万円なのに日本では
約40万円だった。流通過程で不当につり上げられている可能性がある。
髄内釘は骨折の手術の際に骨を固定するのに使う。岸本医長が国内で販売している
代表的な4社に問い合わせたところ、3社は回答を拒否したが、1社からチタン製の
髄内釘2種類(日本での販売価格はいずれも約40万円)について、米国、ドイツ、
韓国での販売価格の回答を得た。
回答を今年2月の為替相場で換算したところ、大腿骨(だいたいこつ)用が米国
5万6000円▽ドイツ4万1000円▽韓国5万8000円。脛骨(けいこつ)用が
米国7万5000円▽ドイツ3万3000円▽韓国5万8000円だった。
岸本医長によると、業者はこの価格差の理由として(1)輸入品であること
(2)中間業者の存在(3)患者によって使うサイズが異なるため業者側で
大量の製品を保有しておく必要がある――ことなどを挙げているという。
しかし、日本と同じ輸入国の韓国では米独両国と大差ない価格で販売されていた。
岸本医長は「医療器具には髄内釘以外でも内外価格差が放置されているものが目立つ。
日本では医療保険で賄われるため、病院も患者も高価格を意識しないが、
医療費増大を抑制するために適切な国の政策が必要だ」と指摘。日本骨折治療学会で
問題提起した。 【医療問題取材班】
[毎日新聞7月10日] ( 2001-07-10-03:01 )
http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/010710/dom/09300000_maidomm162.html