医療は「崩壊」するのではなく「回帰」するのです。「医療回帰」です。
歴史的に見て、医学は極一部の王侯貴族に使用された贅沢品でした。 庶民は、呪術師や薬師を自己責任の下、
利用していました。 (それでも呪術師や薬師は尊敬や感謝の対象であった訳ですが・・・)
日本でも昭和の初期までは、医者は特権階級でした。「金持ってない奴は診てやらん」という態度に対して
作られたのが応召義務です。今のように医者を24時間拘束する呪縛で はなかったのです。
私は、持たざる者が医療を受けられる皆保険制度は、歴史的な意味を持つ実に素晴らしい制度であったと思います。
資本主義社会の中で、唯一の社会主義的聖域であったと思います。しかし、虚構の制度であった事は事実です。
現在の医療がなくなるのは、社会主義、共産主義が崩壊するのと全く同じ事で歴史的に当然の経緯を示していると
考えられます。
今後の日本は、アメリカ型とイギリス型の悪い所を集めた様な制度になるでしょう。
裕福な者は、非常に高額な医療を受け、今よりもずっと安全で高度な技術を享受するでしょう 。
貧しい者は、基本的に医療を受けられず、自己責任の下、市販薬を使用するか、
今の何倍〜何十倍の待ち時間を我慢して、一部残った公立病院で質の低い医療を受ける事になる のでしょう。
救急外来などは過去の物になっているでしょう。
でも、これは皆保険制度発足前夜に回帰した姿に他なりません。
歴史に残る様な素晴らしい制度が作られたのですが、エゴを剥き出しにした愚民の暴挙により、
わずか半世紀で制度がつぶされてしまいました。文化史上、非常に興味深い事態が 進行していると
言わざるを得ません。