>>6つづき
■複雑な国内事情
食品や薬品の製造販売で許認可権をもつ国家食品薬品監督管理局は、鄭前局長への厳罰に揺れている。
食品安全協調部門長の孫氏は新華社に対し、昨年以来食品安全に関する事件が頻発していることを指摘。
「輸出の信用を損ない、国際イメージを傷つけた」と認めた。
一方で、日本で食品残留農薬の規制を強化する「ポジティブリスト制度」が導入されるなど国際圧力が高まったことも背景とするなど、苦しい釈明も繰り返した。
孫氏はさらに、「食品安全対策を進めると、食品安全監督の体制や法制などで、根深い問題が徐々に暴露されることになる」とも明かし、複雑な国内の事情がからんでいるようすも示唆した。
■地方政府が温床
3月に米国で、有害物質が混入した中国産原料で作られたペットフードで犬や猫が相次いで死亡する騒動が起き、中国製品の安全問題がクローズアップされた。
問題は練り歯磨きや薬品、玩具などにも拡大。
米食品医薬品局(FDA)は、ウナギやエビなど5種類の中国産の養殖魚介類から基準外の抗菌剤が検出されたとして先月、輸入規制に踏み切っている。
中国当局の抜き打ちサンプル調査でも、今年上半期に生産された中国企業の食品、日用品などのうち、2割近くが不合格となっているという。
日中関係筋は、こうした事態について、主に地方政府が中央政府の指示を無視し、安全基準など指示が順守されずに汚職や違法行為の温床となったためとみている。
汚職幹部の死刑執行など厳しい対応を打ち出したものの、利権構造など国内事情から監督官庁も安全対策を前面に打ち出せない難しい事情を抱える中国。
国際社会に今後どのような姿勢を見せるか、注目されている。 最終更新:7月11日8時32分