僻地医療の自爆燃料を語る68

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120卵の名無しさん
 けれど、その状態になっても救急現場に医師が戻るにはハードルが高い。
 病院長のM医師はこう述壊する。
「今の若い医師は、小さな病院で救急をやろうとはしません。休めず、訴えられる確率が高く、バックアップも乏しく、給料も安いからです。
 誰も孤立無援で、指導医も無く働きたくはないですから」
 それでもこの病院では安くないオンコール料を払って、医師によるバックアップを得て、救急をなんとか続けている。
「議会や市長に理解があったので、なんとか態勢を保つことができましたが、やはり診療看護師によるトリアージでクレームは多くなりました。
 とはいえ、医師に時間外を払って、休日夜間診療をしてもらうとなると、予算がありません。
 結局、救急診療を中止するのが一番の上策ということになってしまいます。もちろん地域のために出来るだけ救急を続けてはいきますが」

 2006年に話題となった立ち去り型サボタージュは、十年経って海外まで広がる普遍の現象となった。
 かつてイエス・キリストは汝の隣人を愛せよといった。
 医師には、報酬や待遇を追い求めるだけでなく、地域に踏みとどまり、夜間休日診療を通じて、地域住民という医師の隣人を愛する業務を行って欲しい。
 そして医療から格差を無くして、社会の格差を縮める礎となってほしいと願わざるを得ない。

 この特集、医療再生では、5回にわたって本紙記者達が格差を生み出す装置となった医療現場を徹底的に 取材していく予定です。
 次回は、医師の海外流出〜海外との格差に取り組みます。

                    文責:砂間裕之