産科医絶滅史20巻〜地雷を踏んだらサヨウ奈良〜

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84卵の名無しさん
雨の多い小さな町でのお話です。

ここの動物園も、パンダが芸に疲れ、とうとういなくなってしまいました。
困った町長は、別の町に代わりのパンダを探しに行きました。
そこで見つけたのは、もう動物園を引退して細々と暮らしている年老いたパンダ。
「お願いです、うちの町を助けてください」という町長の頼みを聞き入れ
老パンダはたった一匹で動物園にやってきました。
この町には他のパンダはいません。閉園時間が過ぎても「ショーを見せろ」と
お客さんが殺到するものですから、老パンダは自分の檻には帰れず、
ショー小屋の冷たい床で寝泊まりしました。
代わりのパンダがいないので、毎日毎日ショーを続け、休めたのは
一年間でたった二日間だけでした。
でも、このショーで怒って帰ってしまったお客さんは、一人もいなかったのです。

二年後、老パンダは町長に言いました。「せめて月に一日だけ休みたいのです」
ところが、これを聞いた町の人はカンカンです。
「笹100本も出せば、一輪車に乗りながらラッパの吹けるパンダが飛んでくると聞いている。
 笹200本で雇っているこのパンダはぜいたくしすぎだろう!」
ミノムシも言いました。
「町のために尽くすのがパンダの役目なのに、笹ばかり食べてずうずうしい」

老パンダはショーの手を抜いていたわけではないのです。
老いた身体にむち打って、毎日頑張っていたはずでした。
それなのに町の人は冷たく老パンダをなじりました。
あんなに老パンダに頭を下げた町長も知らん顔でした。
老パンダは悲しい思いで、町を去りました。