参考資料:ある告訴告発状の一例
告訴人
住所 ●●県●●市●●町●丁目●番地
職業 ●●市立総合病院 常勤医師
氏名
被告訴人
氏名 ●● ●●
職業 ●●市立病院 病院長
および
氏名 ●● ●●
職業 ●●市立病院 事務局長
平成 年 月 日
●●労働基準監督署 御中
告訴告発の趣旨
被告訴人の以下の所為は、
・労働基準法 第13条(この法律違反の契約)違反
・労働基準法 第32条(労働時間)違反
・労働基準法 第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)違反
・労働基準法 第106条(法令規則の周知)違反
に該当すると考えるので刑事訴訟法 第239条に基づき、また刑事訴訟法 第239条の2
(公務員の告発義務)にも定められている義務もあり同条にも基づき、被告人を厳罰
に処することを求め告訴・告発いたします。
告訴人は平成●●年●●月●●日より●●市立病院に勤める常勤医師です。被告訴
人は同病院にて当時よりそれぞれ病院長、事務局長を務めております。なお市町村合
併により平成●●年●●月●●日をもって旧●●市が新●●市となったため、同日付
けで新病院となり告訴人もあらためて職員任命を受けております。被告訴人の職場で
の立場も変更されたものではありません。
勤務当初より36協定の提示もされないまま厚生労働省の定めるガイドラインを越え
る過重な時間外労働が常態化しております。平成●●年については私の時間外労働時
間は職場に申告したものだけでも月平均100時間強でした(資料1と2)。地方公務員法
で公務員は一般国民以上に法令等に従う義務も定められており、職場内で繰り返し改
善を求めましたが対応されないため、平成●●年●●月●●日に当地区を管轄する●
●労働基準監督署へ相談させていただきました。
平成●●年●●月頃に●●労働基準監督署が当院を監察し指導を行なったと病院当
局より報告がありました。そのなかで36協定の締結や時間外労働手当についての指導
があったと聞いております。夜間宿直業務に関しては宿日直勤務手当に加えその労働
した時間に対しての時間外手当が支払われるように変わりましたが、宿日直勤務手当
ての算出基準がきちんと提示されず、計算の元としている宿日直勤務に就く労働者の
賃金平均額をごまかしていないかと疑惑の声があがっております(資料3と4)。また
常態として時間外労働を強いられる労働実態は、病院幹部はこの状況を把握している
にもかかわらず何ら改善されませんでした(資料5と6)。そして少なくとも平成●●
年●●月●●日の時点になっても36協定が締結さえされていないことが判明しており
ます(資料7)。
また診療部長以上は時間外勤務手当てを支給していないことは、たとえ市の条例に
定めてあったとしても労働基準法違反であり無効規定である(労働基準法 第13条)と
指摘しましたが、なおも診療部長以上に時間外勤務手当てを支給しておりません(資
料4)。
休日及び時間外についても各診療科ごとに待機制という名の時間・空間・過ごし方に
ついての拘束を求められ、各診療科の全医師が●●市を離れる際には院長に届出をし
て許可を受ける必要が定められていますが、この待機することに対しても報酬・手当て
はついておりません(資料8)。
その後も労働状態に関して違法性の指摘と改善プランはどうなっているかなどを職
場内で指摘続けるも、なおも私への対応すら放置状態が続いた事もあり、労働基準監
督署の指摘に対してもとりあえずの表面上を取り繕った感がいなめません。これでは
違法状態の改善どころかその改善への努力や責任の明確化すら期待できないと判断し、
公務員としての責務(刑事訴訟法 第239条の2)もあり今回告訴・告発するに至った次
第です。小泉内閣総理大臣も国会答弁で「労働基準法又は最低賃金法に違反している
事実が認められた場合には使用者に対し是正のための指導を行うほか、悪質な事案に
ついては刑事事件として取り扱うことも含め、厳正に対処していく」(資料9)と述べら
れており、今回の事例につきまして調査の上、なにとぞ被告訴人を厳罰に処すること
をお願いいたします。
添付資料
1)平成●●年1月から12月までの私の時間外労働記録(職場へ提出する時間外勤務命
令簿のコピー)
2)平成●●年1月から12月までの私の職場内の電子掲示板へのアクセス記録
3)厚生労働省通達
4)職場内の電子掲示板の書き込み
5)インターネットで公開されている当院HomePageのお知らせ
6)当院統計資料より「緊患及び休日診療件数」
7)●●市立病院職員組合の報告書(平成●●年●●月●●日の時点で36協定が締結
されていない事について)
8)職場規定「医師勤務の手引き」(拘束規定について)
9)平成14年2月22日 小泉内閣総理大臣の答弁書