「お前、いいかげんどこかに入らないと、と、内申に響くぞー」
呼び出された職員室で、担任の関根先生に困ったように言われた。
そう、入学してからもう2ヶ月経つのに、私はどこの部にも入部していなかった。
この学校では、必ず最低一つはクラブ活動に参加しないといけない決まりがあったのだ。
「体育会系は、もう夏の大会に向けて練習しているし、楽器ができないんじゃあ吹奏楽もな・・・」
「お前、何か趣味とか特技とか、興味があることは無いのか?」
「特に・・・何も・・・」
ハ〜、と先生は大きな溜め息をついた。実際、私は無趣味で、何のとりえも無かった。
「しょうがない!確かあそこが、人数不足でつぶれかかってたし、いつ入っても大丈夫そうだしな!
おい、お前放課後、ココに行ってみろ!」
「田森・・・倶楽部?」
手渡されたメモには、聞いたことも無い部活名と、視聴覚室とだけ書いてあった。
先生は「行けば分かる」としか言わず、私は放課後のことを考えると憂鬱になった。