ドラマや映画では悲しみの度合いを競い、
実社会ではその悲しみを忌み嫌って幸福の度合いを競い合う両者。
両者の何の躊躇いもないそのメリハリさに、激しい拒否反応を抱く時がある。
疑念を抱く隙間もなく、あっさりと受け入れられる巷の人々にも
「なんと言う柔軟性だろう」と驚く時がある。
「フランダースの犬」を観て号泣した後、
街角でネロとパトラッシュみたいな存在に出くわせば「シッシッ!」
と冷たく追い払う狡猾さは、両者は勿論、業界内外を問わずや。
頭上で常にそんな調子の両者を、
呆気に取られて眺めている我々の方へ迂闊に灯りが点ると、
波風が立つご時世かな。