【急性】因果関係なくても賠償責任【脳症】

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19告らん
>>14
判決文より
>(2) 相当程度の可能性の侵害について
>医師が過失により医療水準にかなった医療を行わなかった場合には,その医療行為と
>患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないが,上記医療が行われていたな
>らば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証
>明される場合には,医師は,患者が上記可能性を侵害されたことによって被った損害を
>賠償すべき不法行為責任を負うものと解すべきである(最高裁平成9年(オ)第42号同
>12年9月22日第二小法廷判決・民集54巻7号2574頁参照)。患者の診療に当たった
>医師に患者を適時に適切な医療機関へ転送すべき義務の違反があり,本件のように重
>大な後遺症が患者に残った場合においても,同様に解すべきである。すなわち,患者の
>診療に当たった医師が,過失により患者を適時に適切な医療機関へ転送すべき義務を
>怠った場合において,その転送義務に違反した行為と患者の上記重大な後遺症の残存
>との間の因果関係の存在は証明されなくとも,適時に適切な医療機関への転送が行わ
>れ,同医療機関において適切な検査,治療等の医療行為を受けていたならば,患者に
>上記重大な後遺症が残らなかった相当程度の可能性の存在が証明されるときは,医師
>は,患者が上記可能性を侵害されたことによって被った損害を賠償すべき不法行為責任
>を負うものと解するのが相当である。
20告らん:03/11/12 00:26 ID:KOamojsY
この判決が参照した、H12.09.22 第二小法廷・判決 平成9(オ)42 損害賠償請求事件

これは急性冠疾患の患者に適切な問診や検査を行わなかった結果、死に至ったものです。
医師の「医療行為を行わなかったという過失」を下記のように認めています。

>本件のように、【要旨】疾病のため死亡した患者の診療に当たった医師の医療行為が、
>その過失により、当時の医療水準にかなったものでなかった場合において、右医療行
>為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなっ
>た医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当
>程度の可能性の存在が証明されるときは、医師は、患者に対し、不法行為による損害
>を賠償する責任を負うものと解するのが相当である。けだし、生命を維持することは人
>にとって最も基本的な利益であって、右の可能性は法によって保護されるべき利益で
>あり、医師が過失により医療水準にかなった医療を行わないことによって患者の法益
>が侵害されたものということができるからである。

すなわち、適切な医療行為Aを行わず、別の医療行為Bを行った。
B→死亡は証明されなくても、Aをやらなかった→死亡が相当程度証明されれば、賠償
責任が発生するとしたものだと思います。
21告らん:03/11/12 00:33 ID:KOamojsY
そこで今回の判決に照らすと、
転送せずに行った医療行為が直接に死に結びついた因果関係は無いが、転送を
怠ったことと死には相当の因果関係が証明されるので、不法行為であるとしている
と思うのですが、新聞を読んでもそうは読み取れないのでは?すなわち、読売の

>同小法廷は判決の中で、医師の過失と後遺症との間に直接的な因果関係がな
>い場合でも、医師側の過失がなければ後遺症が残らなかった可能性が相当程
>度あれば、医師に賠償責任が生じる、との初判断を示した。

これがわけわかんないというオチじゃないかな。

それと朝日は論外。

>子どもがアスピリンなどサリチル酸系の解熱鎮痛剤や総合感冒薬を服用すると、
>「ライ症候群」と呼ばれる重い脳症を起こすことがある。男児の脳症は「原因不明」
>とされているが、初期にアスピリンを投与された。

2003年ならこれは正しいが、この事例は1988年のもの。最高裁判決でも言及さ
れていないのに、このような書き方をすれば、アスピリン投与まで過失と思わせる露
骨な誘導。相変わらず偏向している。
22卵の名無しさん:03/11/12 00:34 ID:ELbr14oQ
Aをやらなかったというけど、Aをやるべきであったとその時点で判断できたかどうかは?
後医は名医なわけだが。
当時の医療水準って誰が決めるの?
23告らん:03/11/12 00:53 ID:KOamojsY
>>22
やはり判決文から

>昭和51年の統計では,生存者中,その63%には中枢神経後遺症が残ったが,残りの
>37%(死亡者を含めた全体の約23%)には中枢神経後遺症が残らなかったこと,昭和
>62年の統計では,完全回復をした者が全体の22.2%であり,残りの77.8%の数値
>の中には,上告人のような重大な後遺症が残らなかった軽症の者も含まれていると考
>えられることからすると,これらの統計数値は,むしろ,上記の相当程度の可能性が存
>在することをうかがわせる事情というべきである。

これを根拠としている模様。確かにちょっとおかしいと思う。これはあくまで疫学データであっ
て、転送すれば障害は最小で食い止められたということの説明に全くなっていない。この
脳炎の状態に介入すれば予後が改善するということは曖昧になされたままである。

想像だけど、脳炎に対してどのような治療をすれば改善したのかという具体的な論点は公
判中にあまりなかったんじゃないかな、これは被告側の作戦ミスかもしれないね。
24卵の名無しさん:03/11/12 01:00 ID:dOdjU8xt
>>23
判決文の最後のとこ
>そして,上記の相当程度の可能性の存否等について更に審理を尽くさせる
>ため,上記部分につき,本件を原審に差し戻すこととする。
ttp://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/d6490dc801e2df7349256ddb001e3dd6?OpenDocument

だからこの点を審理尽くさせるための差し戻しなんじゃないの?
25告らん:03/11/12 01:11 ID:KOamojsY
>>24
今ぐぐってみたら、差し戻し審で原審と同様の判決がでて、再上告棄却というケースは
多いみたいなので、最高裁が指摘した法律解釈の誤りを正した上での医師側勝訴の可
能性は残されてますね。
26卵の名無しさん:03/11/12 01:20 ID:RbldeYPR
時系列に沿ってまとめてみたよ。

昭和63年 9月27日 発熱。
     9月28日 学校欠席。
     9月29日 A医院受診。
          37.1度の発熱、咽頭発赤、右前頚部圧痛にて上気道炎・扁桃腺炎の診断。
     9月30日 39度の発熱にて再診。
    10月 1日 解熱。
    10月 2日 再度、発熱、食欲低下につきB総合病院受診。(A医院休診)
    10月 3日 午前4時 腹痛・嘔吐にてB病院救急受診。虫垂炎疑いにてA医院再診を指示。
           午前8時30分 A医院受診。発熱・脱水あり点滴開始。一時、帰宅。
          午後4時 A医院再診。点滴。帰宅。紹介状用意。
    10月 4日 午前9時 A医院再診。意識混濁ありC病院へ転送。
          午前11時 C病院にて頭部CT上脳浮腫認め、グリセオール、デカドロン等投与。
平成元年 2月20日 原因不明の急性脳症との診断。

脳症っぽい意識障害が出始めたのは、10/3午後の受診時からのよう。
27卵の名無しさん:03/11/12 08:32 ID:sPg1wWWR
>>26
10/3 16時A医院受診までは気道感染症、虫垂炎等を疑ってたのか。この時点で
脳症を疑ったかどうかですね。
嘔吐はあったみたいですが。
最高裁も判断はできないでしょ。

専門の先生方。10/3の時点で治療始めたら後遺症はどうだったでしょうか。
素人的には脱水の小児にグリセはばんばんやれないような。
2827:03/11/12 08:51 ID:sPg1wWWR
言葉が足りませんでした。

>最高裁も判断はできないでしょ。
判断できないから差し戻しなんでしょ。
29リスクを避ける医者:03/11/12 09:04 ID:Da8e0iEa
>>26の時系列で
一体何時の時点で誰がどうするべきだったと?
イチバン時間をロスしてるのは・・・・・・
30リスクを避ける医者:03/11/12 09:13 ID:Da8e0iEa
それから、過去にインフルエンザ脳症で死亡もしくは後遺症を残した例の訴訟が
今後増えるでしょうね。
インフルエンザ脳症に遭遇したお医者さん達は要注意です。
31卵の名無しさん:03/11/12 11:18 ID:VZHDHo7A
外来に歩いてくる様な脳梗塞患者も要注意だ。

軽い脱力ががあって、医者にかかったが、診察上はたいしたことないと言って帰宅。
翌日麻痺が完成して完全麻痺になってから病院へ。後遺症で身障1級。
初診時に入院させなかった過失により○○○○万円の損害賠償。

お〜こわ〜。

仮に初診時にCTを撮っていて異常がなかったとしても、
「脳梗塞発症数時間以内にCTで異常が認められないことは、
現在の医学水準では当然知っているべきことであり、脳梗塞を予見しなかった過失がある」
なんて判決がどんどん出たら・・・・・

32卵の名無しさん:03/11/12 11:18 ID:yfeaTf8s
>>30
小児なんか診るからこんな事になるんだよ。

15年前じゃしょうがないがこれからは小児拒否、もしくは即刻転送か転送指示。
33卵の名無しさん:03/11/13 04:01 ID:R5ASuBAz
すみません、当方、頭が悪いので、頭脳聡明な先生閣下方に質問です。

>転送せずに行った医療行為が直接に死に結びついた因果関係は無いが、転送を
>怠ったことと死には相当の因果関係が証明されるので、不法行為であるとしている
という最高裁判決が出ているようなのですが、以下のケースでは、どうなります?

Aという症状を呈する者がいた。
これに対し、Bという方法(生存率90%)とCという治療法(生存率90%)があった。
そこで、主治医はBという方法を選択。
ところが運悪く、この患者は残りの10%に入ってしまいあぼん。
残されたこの患者の遺族が訴訟。
さて、判決は?

  Bという方法を行ったことが直接に死に結びついた因果関係は無いが、
  Cという方法を怠ったことと死には相当の因果関係が証明される
  (すなわち、Cという方法を行えば90%という高い可能性で生存した)ので、
  不法行為であるとともに賠償責任が生じる。

Aを発熱+咽頭発赤+右前頚部圧痛、
Bを自院にて治療、
Cを総合病院に転送
 とすると・・・?

また、B・Cの生存率が99.9%の場合は・・・?
あるいは、B>Cの場合(例えばBなら99%、Cなら98%)なら・・・?