逆説の医療

日本人は、言葉に対するこだわりが尋常ではない。
言葉には魂が宿っているから、言葉を大切に考えるのだ。
ちょっとした言葉の意味にこだわる。しかし、こだわり
すぎておかしな事になっているが、日本人はそれに
気づかない。

コメディカル co-medical は、医療関連職種、医師以外
の医療職の人を指す言葉として、パラメディカル
paramedical に替わって用いられるようになった。

コ co- は協同して、一緒の、とか言う意味で、医師とと
もに医療に携わる職種の人を、co- と medical を足して、
コメディカル co-medical と呼ぶのがよい、パラ para-
は、傍らの、とか、周辺の、別の、といった意味なので、
医師とともに協力して医療に携わる職業を指すのに適切
でない、という意見から、日本でこの co-medical とい
う呼称が用いられるようになった。

しかし、英語の意味をひもとくと .....
コメディカル comedical はコメディー comedy の形容詞
comedial、または comedic のさらに形容詞形というよう
な言葉になる。
comic も comedy の形容詞、および、漫画などを意味す
る名詞で、comical は漫画的な、といったさらにくだけ
た意味合いになる。
comedical とは、何のことはない、喜劇的な、という意
味をさらにくだいた表現である。
comedian は喜劇役者という意味以外におばかさんとい
う侮蔑の意味合いもある。comedical は、多少侮蔑を込
めておもしろおかしい人間を指す意味合いになるだろう。
日本でしか通じない言葉。日本人独特の言葉に対するこ
だわり、早く言えば言葉遊びとしか思えない。

comedical を Google で検索してヒットするサイトで、
日本の医療関係のページ以外で例を挙げると、
http://www.wsvnradio.net/archives/Year12/absolute.htm
From The Vault... The WSVNRadio.net Archives
Big Leg Emma features what was recorded many times by
Frank Zappa -- songs with a comedical sense, both in
lyrics and in sound.
喜劇的な、という感じの意味のようだ。

http://www.aunet.org/~thaths/asterix/books/asterix_the_legionary.html
ASTERIX THE LEGIONARY ((c) 1967)
By Goscinny and Uderzo
English Translation by Anthea Bell and Derek Hockridge
American Translation by Robert Steven Caron
End of the early period. Although almost none of the
other villagers are named yet.
The drawing is nicely settled in, though, and they've
all taken their final appearances.
Synopsis: When the fiancee of a village maiden is forced
to join the Roman legin, Asterix & Obelix join up to
rescue him. With their new fellow legionaries they travel
to Africa where Caesar is busy fighting...
Tragicomix
Tragicomic: something having both tragic and comedical aspects.
これも喜劇的な、という感じの意味のようだ。

http://www.artegraft.com/distrib.cfm
Artegraft- Natural Collagen Vascular Grafts
Distributor List
Alaska CoMedical
[email protected]
CoMedical, a Seatle based medical product distributor
199.181.167.81
医療関連産業、医療材料の会社の固有名詞。

イギリス人に向かってこう言ってみよう。
「私はこの病院の職員で、理学療法士です。」
日本語が通じない相手なら、英語で次のように言ってみ
よう。
I'm a physical therapist as a co-medical staff of this hospital.

相手のイギリス人は、きっとこう思うだろう。
「この人は理学療法士なのに、この病院専属のお笑い芸
人なんだろうか。」

医師、薬剤師など、師のつく職種に対して、看護師はこ
れまで男性および女性を含めて総称しては看護士、女性
だけを指して看護婦と呼んでいた。
看護士 ( 婦 ) の人達、団体から、看護職は医師ととも
に協同して医療に携わる、いわば医療という車の両輪な
のだから、医師の師に対して士はおかしい。師は師匠、
すなわち教え導き指導する立場を意味し、士は単なる技
術者でしかない、看護職が医師よりも格下であるかのご
とく見える文字は不適切だ、という意見が挙がり、看護
婦、看護士の呼称を廃して、男女全て看護師と呼ぶよう
になった。保健婦と言っていた職種は保健師に、助産婦
と言っていたものは助産師になった。
男の助産師は未だ実現していないが。

コメディカルという呼称を採用する日本独特の哲学から
すると、理学療法士、作業療法士、は言うに及ばず、言
語訓練士、臨床検査技士、臨床放射線技士、臨床心理士、
病歴管理士、さらには事務員までが、それぞれ○○師と
名乗るべきなのだが。
巷には、柔道整復師、整体師などもいることだし。

ヘルパーやその他の介護の職種ではどうだろう。
訪問介護員 ( ホームヘルパー )、介護福祉士、介護支援
専門員 ( ケアマネージャー ) などと今は呼ばれている
職種は、介護と医療は福祉の両輪という理由で、
訪問介護師、介護福祉師、介護支援師としたらよいので
はないか。

救急救命士はどうだろう。
アメリカではパラメディック paramedic と称し、彼らは
自分の職業に誇りを持っていて、決してコメディック
co-medic と呼んでくれとは言わない。
英語本来の意味では、comedic はおかしなという意味。
翻って日本ではどうだろうか。
DC ショックや静脈ラインを確保するような技術を持ち、
近い将来には気管内挿管までできるようになるであろう
彼ら救急救命士が、看護士が看護師になったのだから救
急救命師と表記するようにと声をあげるかもしれない。
いや、そうあるべきだ。言霊の国の民なのだから。

消防士はどうだろう。救急救命師も消防士が運転する救
急車に乗り、レスキュー隊が事故被害者を救出して初め
て活動できる。ならば、消防師、救助師などと呼称すべ
きである。

弁護士はどうだろうか。
日本で最も難しい試験に合格し、頭脳優秀で高い倫理観
を持っているはずの彼らが、士でよいはずはない。弁護
師が適切であろう。ならば公認会計師、司法書師、行政
書師、社会保険労務師、税理師、土地家屋調査師、
宅地建物取引師、などと呼称すべきである。

みんなで○○師と名乗ると、別にみんな○○士でもよく
なるわけで、最初の思い付き、医師に対する看護師と同
じ、みんな一緒に○○師の哲学は、結局は単なる言葉遊
びだ。

医者は、はたして人々から尊敬されるような聖職なので
あろうか。
医者という職業の源流は、古代では呪術師、祈祷師など
であり、時代と場所によっては、医療は奴隷、被差別階
層の人達の仕事でもあった。
中世以後、薬屋、床屋などが簡単な、今で言う医療に相
当する仕事に携わり、医者という専門職種が生まれた。
日本では、古来、薬師、草師 ( くすし ) という、主と
して薬草で治療を行う職業のものがいた。これらのもの
の治療を受けることができる人は皇族貴族などに限られ、
庶民は薬売りから薬草や煎じ薬を買うようなものが医療
であった。くすしの治療を受ける高貴な人々からくすし
をみると、身分の下のものであった。
江戸時代には今で言う開業医に相当する医者が、ひろく
町中で医業を生業とするようになったが、彼らは決して
身分の高いものではなかった。下級武士、僧侶崩れ、
ちょっと学のある町人などの人達の仕事であった。
病気を治すことができれば名医と呼ばれ尊敬もされるが、
そうでなければやぶと呼ばれるのは今と同じ、聖なる職
業などではなかった。

ふ〜ん。おもしろいが・・・
だも、それでスレたてたのかい。

ヨーロッパでは、医者は聖職であるらしい。しかし、そ
の国の最高のエリートは医者にはならない。トップ
エリートは官僚、実業家、科学者などになるという。
アメリカでは、医者は弁護士よりなるのが難しい職業で
ある。
国によって様々であるが、一応、どこの国でも医者は
doctor ( of medicine ) と呼ばれ、尊敬を込めた呼称で
呼ばれる。

>>医者は、はたして人々から尊敬されるような聖職なので
あろうか。

これが言いたかったんだろ

＜終了＞

日本語の医者という言葉は、本来の医を行うものという
意味以外に、多少の親近感、時には侮蔑を込めて用い
られる。
敬意を伴うときはお医者さんとでも言うところを、
おい、そこの医者、などと言うと軽蔑を込めた
意味合いになる。
医師と言うと、冷静に、事務的に、医者を指すが、尊敬
も軽蔑も含まれない。日本では、医者を尊敬して呼ぶ言
葉が元々ないのだ。
病気を治せて当たり前、治せなければ用はない、古代の
呪術師と同じ。呪術師は病気が治せ、占いが当たれば重
宝されたが、神通力がなくなると用済みとして処刑され
たり追放されたりした。
現代の医者に対する評価も、2000年前の古代日本と変わ
らない。日本の医者は決して尊敬される、聖なるものな
どではないのだ。

日本語の医者という言葉は、本来の医を行うものという
意味以外に、多少の親近感、時には侮蔑を込めて用い
られる。
敬意を伴うときはお医者さんとでも言うところを、
おい、そこの医者、などと言うと軽蔑を込めた
意味合いになる。
医師と言うと、冷静に、事務的に、医者を指すが、尊敬
も軽蔑も含まれない。日本では、医者を尊敬して呼ぶ言
葉が元々ないのだ。
病気を治せて当たり前、治せなければ用はない、古代の
呪術師と同じ。呪術師は病気が治せ、占いが当たれば重
宝されたが、神通力がなくなると用済みとして処刑され
たり追放されたりした。
現代の医者に対する評価も、2000年前の古代日本と変わ
らない。日本の医者は決して尊敬される、聖なるものな
どではないのだ。

2重になっちゃった。すまそ m(_ _)m

昨今のマスコミ報道を含め、日本人が医者に持つ
イメージ、医者とはこう有るべき、と思われているで
あろうものについて考えてみる。
有名なコピペから引用、改編、加筆してあることも
あらかじめお詫びしておく。

○勤務医も開業医も、医者は儲けすぎ、医者の収入を減らせ。
○日本の医療費が高すぎるのは、医者が高収入だからだ。
○貧乏そうな医者には診てもらいたくない。
○みすぼらしい建物の病院には行きたくない。
○大きい病院はいい病院。建物が立派な病院には名医が揃っているはずだ。
○医者は薬漬け、検査漬けで儲けすぎ。投薬や検査はあまりするな。
○病気で病院に行ったのだから、薬くらい出せ。
○検査をせずにいて病気を見落としたら許さん。
○医者の態度は尊大。謙虚になれ。
○医者は自身に溢れた態度をとれ。自信なさそうな、不安そうな態度を出すな。
○医者はいつも笑顔で話せ。
○こっちは深刻なのに、笑うな。
○簡単な分かりやすい言葉で説明しろ。
○専門的なことも、医療の最先端も、すべて説明しろ。
○医者は聖職だ。
○医者は偉くもなんともない。

○医者のミスは言語道断。謝れ、賠償をしろ。死なせたら何億でも払え。
○医療の結果が満足できなかったら、患者にとっては医療ミスだ。
○病気が治せないで、それでも医者か。風邪くらいすぐ治せ。
○医者は儲けているんだから、賠償金くらいすんなり払え。
○休みだろうが深夜だろうが、文句言わずに患者を診ろ。診療拒否は許さない
○専門以外は診療するな。内科小児科の医者って一体どっちが専門なんだ?
○子供は全て小児科医が診ろ。
○患者をたらいまわしにするな。一人の医者ですべてすませろ。
○研修医には診てもらいたくない。練習台は御免だ。
○ベテランの医者、専門医に診てもらいたい。
○ミスを犯したことのある医者には診てもらいたくない。
○経験が乏しい医療を行うのは許せない。実験台は御免だ。
○常に最新の医療を行え。
○待ち時間が長すぎ。さっさと済ませろ。
○時間を充分にかけて丁寧に診療しろ。
○医者を減らせ。少ない医者でもっと働け。

>>1
おなにーは、ひとりでやってください。

○検査、治療の前には必ずインフォームド・コンセントをとれ。
○患者の苦痛はすぐに取り除け。ちんたら説明はいいからさっさと治療しろ。
○院内感染は医者のせいだ。責任をとって治療費を負担しろ。
○老人は最期まで病院で面倒をみろ。転院、退院させようなんて考えるな。
○家で年寄りの面倒が見れるか。病院で見てくれ。
○入院させたら、じいさん惚けたじゃないか。責任を取れ。
○ばあさん、病院の廊下でこけて骨折しただと? 責任取ってただで治療しろ。
○老人医療費を下げろ。
○医者はサービス業なんだから、患者を満足させろ。
○患者が医者を選ぶんだ。医者は患者にかしづいて奉仕しろ。

これらをクリアできる医者が世界中のどこかにいるのだ
ろうか。

西暦20X3年11月、日本のとある場所

赤坂のとある店に向かう車の中で、毒柳の心中は穏やか
ではなかった。昨日、坪丼会長と板口大臣から、相次い
で電話があってから、状況がさっぱり分からなくなって
しまっていた。
これからの自分と日医がどうなっていくのか、いや、
日本の医療制度が誰によって、どのように変えられて
いくのだろうか。
坪丼はやめるつもりなのだろうか。だとすれば何の
責任を取る形にするのだろうか。
今日は本村厚生労働副大臣が相手だ。副会長の自分と
副大臣のさしでの会談だ。一体何を言い出してくるの
だろうか。

これまでの情勢の流れでは、診療報酬の切り下げを
医師会に飲ませる調整役を自分にやらせるつもりなの
だろう。それで医師会側に責任を取る形で坪丼会長を
退任させ、医師会のガス抜きをするか?
しかし昨日の2本の電話は一体何なんだ?
雨降る夜の都心を車は走る。

考えている内に、車がとある店の前で止まった。ここは
これまでは坪丼会長のお供で何度か来たことがある。
お供について来ただけだから黙って座って料理を食べ、
議員や次官にお酌をしていればよかった。
しかし、今日は違う。毒柳の足取りは重かった。
部屋に通されると、既に副大臣が待っていた。
型どおりの挨拶をする。お互いに何度か話をしたことが
あるが、いつも自分は坪丼の後ろにいた。

本村が切り出した。
「今日は呼び出したりして済みません。」

毒柳
「会長でなく私にとは、一体どういうご用なのでしょうか。」

本村
「私は大臣をはじめ、日本のトップの方々からの意向を
伝えに来ました。今日お話しすることを手伝っていただ
きたいのです。これは日本の国にとって最も重要なことで
あるだけではなく、すでに決定したこと、変えることの
できない、先生にとってはいわば使命のようなものです。」

毒柳
「そんな大切なことは、会長に大臣から直接おっしゃっ
ていただいた方がいいのではないでしょうか。」

本村
「坪丼先生は既にご存じです。ですが、これから私が申
し上げることを、医師会で、医者サイドで実行できるの
は毒柳先生しかいません。
あることをするのです。その責任を取る形で坪丼先生に
は日本医師会長をやめていただきます。貴方が次の医師
会長になるのです。」

毒柳
「・・・・・」

毒柳にお構いなしに本村は続けた。

本村
「日本医師会長の選出方法はよく知っています。各都道
府県の医師会の代議員の先生方には、党の県連から根回
しします。党もこの政策を進めることで一致しています。」

　　　　　　　　　　,,..--―-､　　 　　　 /￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　 ／, -----､.ヽ, 　　　 /　　　　世界　　　　　|
　　　　　　　　 | 　i_,,,,_ 　__ﾞl |　　　　| 　糞スレ、 発見！　|
　　　　　　　　 ,!､i'ﾞ-‐-: '-､|/　　　／　　＿＿＿＿＿＿＿/
　　　　　　　　/'') ..., '‐-‐､.j　　　　￣￣
　　　　　　　 / ,‐!::...`'''''''`ﾉ
　　　　　　_,,,l ;! ::|ヽ､二 イ
　　 , -‐'ﾞ゛　i::.. 　| .ヽ/;ヽj!`‐-､_
　　 l 　　　 ﾉ::.　.:|、 .ヽ,:ヽ|　 <゛~ヽ、
　　,:''`` ''"ﾞ.|;;:‐''ﾞ|.ヽ、 ヽ;::|　 /　 .|ﾞl
　 ,:　　　　 ヽ::il;;!　　ヽ､ヽ|　/　　 | :|
　 i　　　 oﾟ :｀;''ﾞ　　　 　ヽ| /　　　|　.|
　 i　　 ..:::::,:::'::::: .　　 　　 |ﾟ　　　 |,,;:->、
　　`.､__;;／:::::::::: :　　　　 |　　　　!''"　 |
　　　　　i　 ::.:::: :　 　 　　 |　　　 |　　　.|　　
　　　　　|　　　　　　　　　 |ﾟ　　 /　 　　 |

あつし-medical

毒柳
「いったい何のお話なのですか?」

本村
「日本の医療制度をドラスティックに変えるのです。
患者本意のサービスがなされる制度に変えるのです。
しかも国庫からの費用負担なく実行でき、医療費が高騰
する心配のない制度を目指します。」

毒柳
「それは日本中の医者が努力しているはずですし、
私共医師会もつい昨年、診療報酬引き下げに協力させて
いただいたと思います。」

本村
「そのご協力には感謝します。毒柳先生が医師会を抑え
て下さったおかげで、予想以上の診療報酬引き下げが
実現しました。しかし、今のままではすぐにもっと大幅な
診療報酬の引き下げをしないといけなくなります。
国の財政上はこれ以上保険医療に金は出せません。」

毒柳
「それでしたら、坪丼先生がもう一期医師会長をしてい
る間に引き下げをされたらよろしいでしょう。」

本村
「それではだめです。はっきり申しあげますと、国は
医師会を見限ることにしたのです。」

毒柳
「えっ?」

本村
「いや、正しく言い直しましたら、医師という職種の
人々を見限ると申し上げた方がいいでしょう。
あと1回は昨年と同じように診療報酬を切り下げることが
できるとは思います。しかしこれ以上の締めつけは、
公的な病院の赤字も増え、独立採算法人にしても倒産す
るところが続出するでしょう。お医者さん方のモラルハ
ザードを引き起こしかねません。」

毒柳
「・・・・・」

本村
「来年初め、国会にある法案が提出されます。医師法を
改正するための関連法案とでも言っておきましょう。
この法律は可決されましたらその年の4月から施行され、
日本は大きく変わります。
この法案には政府、与党、厚生労働省だけでなく、
野党の協力もトップの方々からは取れています。」

コメディカルの気苦労は伝わってきました
自分の持ち場ではそういうそぶりをみせずにがんばってください

：名無しちゃん…電波届いた？ ：02/10/30 14:22
誰だよ、漏れのきゅうり盗んだの！！！
398 ：名無しちゃん…電波届いた？ ：02/10/30 15:48
>>397
その辺でマラソンしてたぞ。ちゃんと首輪つけろＹＯ
399 ：1 ◆tsGpSwX8mo ：02/10/30 15:57
キュウリなんて盗んでないぞ
エノキダケなら盗んだか臭くて喰えかったからすてた
400 ：名無しちゃん…電波届いた？ ：02/10/30 16:47
ぬかづけー･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡
403 ：糞 ：02/10/30 16:58
カツオにいじめられたよ！さっき俺の自転車を食べやがった！すげー萌えたよ！

すみません全部省略してください

こりゃ、荒れそうなスレだね。

毒柳
「そういう話があったんですか。私どもの方には何も
伝わってきませんでした。」

本村
「それはそうでしょう。極秘ですからね。党でも幹部会、
総務会のメンバー、医療関連の中枢の議員しか知りません。
武貝先生にも知らせてはいません。
お医者さんにお話しするのは、坪丼先生と貴方が二人目です。
これから法案の内容を申します。念を押して言いますが、
決して口外しないでください。」

毒柳
「もし漏れたらどうなります?」

本村
「この話が漏れて得をするのはお医者さん方だけです。
もし漏れたら先生が洩らしたと見做します。坪丼先生と
毒柳先生の将来はなくなります。」

毒柳
「約束はできかねます。」

本村
「もうここまで聞いた以上、先生は後には戻れませんよ。
このまま席をお立ちになられたら最後、日本医師会にも、
日本の医療の世界のどこにも先生の居場所はなくなります。
開業医にも戻れなくなります。」

毒柳
「坪井先生とも話がついているのでしたね。ひょっとして
下林副会長や健保連、支払基金とかにも話が通っているの
ですか?」

本村
「じつはあなたを初めてみたときから・・・」

毒柳
「えっ？」

本村
「あなたも同性愛の趣味があるのではと、見抜きましてね」

毒柳
「な、なにを根拠にそんなことを。私はけっして・・・」

本村
「そのご協力には感謝します。毒柳先生が医師会を抑え
て下さったおかげで、予想以上の診療報酬引き下げが
実現しました。しかし、今のままではすぐにもっと大幅な
診療報酬の引き下げをしないといけなくなります。
国の財政上はこれ以上保険医療に金は出せません。」

毒柳
「それでしたら、坪丼先生がもう一期医師会長をしてい
る間に引き下げをされたらよろしいでしょう。」

本村
「それではだめです。はっきり申しあげますと、国は
医師会を見限ることにしたのです。」

本村
「現在の時点で誰がこの話を知っているか、先生には関係
ないことです。ですが、来年早々には、遅くとも3月には
お医者さん方の敵が誰か分かるでしょう。
お医者さんの敵というのは正しくないですね。
我々からすればお医者さんが国民の敵になるのですからね。」

毒柳は凍りついた。
ここまで医者側は攻め込まれているのか.....
一体どんな法案なんだ? 黒幕は誰なんだ?

毒柳
「い.....いったいどうしようとおっしゃるのですか?」

本村
「やることは簡単です。お医者さんを医師でなくするのです。」

毒柳
「えっ?」

本村
「言い直しますと、医師の師の字を武士の士の字に変え
るのです。」

毒柳はあっけにとられた。

本村
「今やすべての医療職はなになに師と教師の師の字を使
うようになりました。お医者さんだけ武士の士の字に変
えて、お医者さんの持つ高貴な、とか、聖職といった
イメージを払拭するのです。
医行為についての規定とかは変えませんし、医療機関の
開設者も名目上だけでもお医者さんであるのはこれまで
どおりです。」

毒柳
「そんなことで何が変わるのですか?」

赤坂のとある店に向かう車の中で、毒柳の心中は穏やか
ではなかった。昨日、坪丼会長と板口大臣から、相次い
で電話があってから、状況がさっぱり分からなくなって
しまっていた。
これからの自分と日医がどうなっていくのか、いや、
日本の医療制度が誰によって、どのように変えられて
いくのだろうか。
本村
「それはそうでしょう。極秘ですからね。党でも幹部会、
総務会のメンバー、医療関連の中枢の議員しか知りません。
武貝先生にも知らせてはいません。
お医者さんにお話しするのは、坪丼先生と貴方が二人目です。
これから法案の内容を申します。念を押して言いますが、
決して口外しないでください。」

毒柳
「もし漏れたらどうなります?」

本村
「病院でお医者さんが偉そうに職員に命令することが
無くなるでしょう。
お医者さんの、いわば専制君主制が崩壊するのです。
お医者さんが医療を行おうとする、どんなシチュエー
ションにおいても、かならず周りのスタッフと相談す
ることになるでしょう。
それよりもまず、患者の前で偉そうな態度は取れなく
なります。インフォームドコンセントもすすみ、
患者さんの要求するとおりのサービスが行われるように
なるでしょう。
お医者さん、これからは武士の士の字の医士ですが、
医療スタッフの中で下の階層になり、世間の人達からも
下に見られる職業となるのです。」

本村
「きのうは、坪八でのんでいました。もう鮭がシーズンですな」

毒柳
「白木屋も捨てたもんではありません。でも、あのコマーシャル。
『しらきや、しろきや、ああ、しらきや』とかいうやつ。
あのせいで、本当にどっちだかわからなくなりましたわい」

なおも本村は続けた。
「こうすると、必然的に医者になろうとする人は、高い
収入や社会的地位を目標としなくなり、医療行為が本当
に好きな人だけが医者になるようになるでしょう。
先生も自分のお子さんが子供の頃を思い出してみてくだ
さい。子供はなぜかお医者さんごっこが好きでしょう?
整体やら健康食品を売る業者もそうですが、人間は
みんな医者のまねごとをするのが好きなのです。
趣味が高じて、その趣味に没頭できる人が医者をやるように
したら、お金もかからず、仕事の精度も高くなるでしょ。」

毒柳
「そんな目茶苦茶な。病院での実務的な所はどうなるのです?
これまでどおり医者が看護婦、いや看護師や検査技師に
指示を出したりすることはできるのですか」

本村
「それはさっき申しましたとおり、医行為は医者にしか
できません。今まで医者の指示といっていたものは、
これからは医者からのお願いという形になるでしょうね。
しかし、どんなお願いを出して医療スタッフを働かせるか、
そのお願いがまわりのスタッフや患者を納得させることが
できないと、だれもお願いを聞かなくなるでしょう。
医療ミスも減るんじゃないでしょうか。」

毒柳
「・・・・・ 私に何をしろとおっしゃるのです?」

本村
「この法案が国会審議に入ったとき、坪丼会長がこの法
案を支持すると発言する手はずになっています。
誰でもいいですから、今の日医幹部のだれかをそそのか
して、それに異議を唱えるように仕向けてください。
日本医師会員が法案反対で結束するように仕向けてください。
紙先生あたりがいいんじゃないでしょうか。
坪丼先生はこれで辞任するはめになるという筋書きです。
日医は国民の敵となるでしょう。
今の医師会には、ストや保険医総辞退をする力はないで
しょう。勿論、ストとかやってもいいんですよ。法案が
通しやすくなりますからね。
法案成立後、医師会員からの先生へのバッシングもおこ
るかも知れません。ですが、日医代議員は党が抑えます。
先生は会長になれるはずです。」

毒柳
「一体どうやって?」

毒柳
「ところでフジテレビの三谷こうきのＨＲはなかなかおもしろいですな。
ＨＲというのは、例のＥＲのパロディでしょうな」

本村
「確かに、水曜日の楽しみが増えましたよ。サイコ・ドクターが
どうしょうもないだけに。はっはっはっ」

つうか、全部書いてから大量にウインドウを開いて、
順次一気に張ってくれ。

本村
「法案が適用されるのは、当分の間、ある年齢以下の
医師、まあ、部長クラス以下ですが、それと新卒の医師に
限るのです。
その条項について、毒柳先生からのせめてもの抵抗という
形を取りたいので、法案の衆院可決直前のタイミングで、
そのような発言をして頂きます。その時はおって指示
します。そこで法案に修正を加えて可決します。
それで日医代議員は先生を医師会長に推すはずです。」

毒柳
「それでは坪丼先生はどうするおつもりなのですか?」

本村
「坪丼先生には、この前勲章をもらって頂きましたから、
もう充分でしょう。お金も名誉も手にされた。恥を
上塗りしない内に引退していただこうと思っています。
これは私個人の意見ではなく、国家の中枢の人達全員の
意見だということを、ここでもう一度肝に銘じてください。
具体的には、今申しました法案が国会に提出され、
可決されたらすぐ辞任していただき、どこにも天下らずに
身を引いていただくことになっています。
坪丼先生はある方からの説得でこれをのまれました。」

毒柳
「ある方って.....?」

本村
「それは言えません。今は先生は知らない方がいいでしょう。
お医者さん側を一方的に締めつけるのでは坪丼先生も
納得できかねるとおっしゃいました。私どもはある交換
条件を示しました。その条件で坪丼先生は納得されました。」

毒柳
「どんな条件なのですか?」

本村
「医師の応招義務の規定を医師法から外すのです。この
規定はお医者さんの足かせになっていますし、自由診療、
混合診療を導入するときに邪魔になります。それに罰則が
定められていませんし、今や形骸化していますからね。」

本村
「これには大変な秘密があるのです。リングという映画があって、
ビデオを見てから７日目に、テレビ画面から貞子が出てくるのです。
それはとても恐ろしいシーンなんですが、そのとき、もし
ビデオを見た人が外出中だったらどうなるのでしょうか」

毒柳
「と、いいますと｝

本村は続けた
「つまり貞子がテレビから出てきても、留守中で誰もいないのです。
貞子は、お茶でも飲んで待っているのでしょうか？」

毒柳
「はぁ.....そうですか。私はどうなるのです?」

本村
「先生は医士会長になられたあと、どんな形でおやめに
なられるかは別として、会長退任後の保証は官邸、厚生
労働省がきっちりとさせて頂きます。
残念ながら名誉を用意することはできません。
多分、先生には悪いですが、先生は医士会長の座を
追われるような目にあわれるかも知れません。しかし
それの方がいいのです。先生には我々の側の人間に
なっていただき、将来は実利が得られるポストについて
いただきたいと思っています。」

毒柳は言葉を口にする力もなくなった。
俺に日本医師会と日本の医者全体を売れと言うのか.....
そのあとどんな料理を食べたのか、どうやって家へ
帰ったのかも覚えていなかった。

西暦20X4年1月某日

国会は冒頭から荒れた。
古泉首相、竹仲大臣の政策に与野党をあげての反発が
繰り広げられ、補正予算、不良債権問題、有事、教育、
特殊法人改革の関連法案など、いずれの審議も泥沼化
していた。
しかし、古泉には起死回生の切り札があった。医師法
改正関連法案である。これを出せば、共酸党以外は
全て与野党すべて同調する手はずだ。国民世論も賛成
するだろう。そこで一気に他の法案までまとめて与党
単独採決を図る腹積もりだ。衆院予算委員会が荒れな
い内に、この法案を厚生労働委員会に提出だ。

古泉は思う。これを考えた人間は頭がいい。元厚生事
務次官の彼は自分が大臣だったときには既に天下って
しまっていたが、厚生官僚達はこっそりこんな事を
考えていたんだな.....
橋元龍太郎先生と橋元先生から紹介されたあの老人に
感謝しないとな。

同日、東京某所

毒柳は国会が始まってから、毎朝の新聞に隅から隅ま
で目を通していた。一体どんなことが起こるのか、
気が気でない。
朝刊の第3面の右下の隅に「医師法改正へ」という
小さい見出しの数行の記事が目に留まった。
「医療制度の抜本的改革のために、医師法と関連法規を
改正する法案が、与党から今国会に上程されるもよう。
医療費の根本的な抑制と医療サービス充実の両立が可能か。」
と、ただこれだけの記事だった。
いよいよか、毒柳は思った。いつもの官僚からのリークだな。
明日のニュースではもう少し詳しく報道されるのだろうな。

毒柳は躊躇した。なぜなら彼は自転車に乗れなかったからだ。
小さい頃、補助輪をはずそうとして転び、大けがをした。
それ以来、彼は自転車に乗ったことがないのだ。
それなのに、今になって自転車に乗らなくてはいけないとは・・・。

本村
「先生、どうしたのですか。なにか疑問でもあるのですか。
さあ、乗って下さい。」

毒柳の予想より早く、その日の夕方にテレビニュースに流れた。
師の字の改正についてだけ、法案の重要性が理解されて
いないのか、番組の最後にほんの20秒ほど流れただけだった。
本村副大臣からの電話が入った。
「先生、本村です。これからしばらく大変でしょうが、
お世話になります。頑張ってください。まずは紙先生に
電話して、坪丼会長の真意を確かめるから、今後の対応を
相談したい、とおっしゃってください。」

毒柳はすぐに言われたとおりにした。紙副会長はまったく
ニュースのことを知らなかった。
毒柳は思った。報道機関は全部コントロールされている
なと。自分のところにも、紙副会長にも取材は誰も来な
かった。政府は本気だな。
毒柳は坪丼会長にも電話を入れた。
坪丼は本村が言ったとおり、法案には賛成だと言った。
このじじい、本当に分かって言ってるのか、芝居か?
まあ分かっていても芝居を演じるしかないのだけどな。
また紙副会長に電話する。

紙
「ああ、毒柳先生、すみません。電話替わりました。
ひどい話ですね、医者が医者でなくなってしまう。
納得できません。
政府や厚生労働省は何を考えているんでしょうか。」

毒柳は坪丼の言ったとおりのことを伝えた。
紙がだんだん怒ってくるのが分かる。

紙
「会長を呼んで、今から理事会を招集しましょう。」

毒柳はそのようにしようと返事し、医師会館へ
でかける準備を始めた。

古泉は思った。
「どうして扇千景はこんなに厚化粧なんだろう。
まるで、おばけのＱ太郎じゃないか。昔は美人だったのに・・」

そこに突然扇が現れた
「あら、古泉さん。息子さんの出演しているホームアンドオエー
とかいうドラマ。評判悪いですわね〜」

理事たちが集まってくる。坪井会長にも電話を入れたが、
後から行くからはじめておいてくれとだけ言われた。
坪丼会長、もう逃げる準備をしているな。

「坪丼先生は何も分かっちゃいないんだ。俺たちに何の
相談もなくこんな事を政府と決めやがって.....」
「応招義務との引き換えなんてあんまりだ。」
「坪丼先生はまだか、どうしてすぐ来ないんだ?」
「坪丼は医師会を裏切ったのか?」
理事たちは口々に怒鳴っている。

毒柳
「あ〜すっきりした。さて・・と。おや、紙がない。
紙が・・・」

紙
「私をよびましたか？」

毒柳
「おまえではない。いや、丁度いいところに来てくれた。
紙をとってくれたまえ」

理事たちは、その法案がどういう結果をもたらすのか、
おぼろげながら理解しはじめていた。
会長不在のまま、理事たちの話し合いが続く。その日、
結局坪丼は姿を見せず、理事たちは会長の辞任と法案
廃案を働きかけて行くことを確認した。
そうこうしている内に夜の10時になった。テレビの
スイッチを入れるとニュースでは坪丼会長が記者会見を
行い、法案への賛成を表明していた。
街頭ではテレビキャスターが街を行く人々にインタ
ビューしている。ほとんどの人の反応は、
「えっ、何それ??」という具合のものだった。

毒柳は終始黙っていた。紙副会長に発言を求められた。
とりあえず、坪丼会長の真意を聞き、辞任していただ
くように持っていきましょうと答えた。
それ以上は何も言えなかった。
毒柳は思った。国民が無関心な内にさっさと法案を
通してしまうつもりだな。

その後の展開は、本村から聞いていたとおり、
予定通りに事が進み、毒柳は日本医師会長になった。
毒柳は本村に指示されるとおり、法案反対の記者会見を
行い、政府、与党に法案修正を働きかけるポーズを取った。
その数日の間で国民の日医に対する風当たりは強まって
いった。マスコミの世論調査では、日医への支持は
日ごとに下がっていった。

そして、法案の修正案が衆議院本会議に上程されたとき、
予定外のことが一つ加わった。医療法人は利益を配当して
よいことになってしまった。
毒柳は騙されたと思ったが、後の祭り、毒柳も医師会を
追われる身となった。毒柳が会長室にいることが
できたのは10日間だけだった。
医療への自由主義経済導入の幕開けでもあった。

毒柳
「坪丼はもう旬が終わりでしょう。これからは、海老丼やカツ丼
それから天丼もいいですな・・・」

坪丼
「それはないでしょう。毒柳さん。静岡の桜エビの旬は
終わったんですかね。今年は食べに行こうと思っていたのに」

西暦20X4年4月末、日本のとある病院

暖かい春の土曜日の午後だった。日が少し傾きかけた
午後3時過ぎ、小田祐二は重い足を引きずりながら亀口
総合病院の職員通用口をくぐった。
昨日は解離性大動脈瘤の緊急手術で寝ていない。
今朝もICUの回診をし、少し仮眠を取っただけで、今から
夜勤に入るのだ。
つい先月までは自分が3交替の夜勤をする身分になろうとは、
夢にも思っていなかった。

「あの頃はよかったな」
小田は思った。
術前の準備も指示出しも、術後の管理も全部研修医や
レジデントに任せて、自分はムンテラして手術して、
部下の働きをチェックするだけでよかった。
夜はゆっくり休め、休日は病院に電話を入れるだけで
よかった。
それが今はどうだ。胸部外科部長だった俺がレジデントの
連中とローテーションで3交替勤務で準夜勤、深夜勤を
しないといけない。
以前は研修医はソルジャーとして働いてくれたが、
スーパーローテートになった今は、昼間にぼーっと
立っているだけ、邪魔なだけ、何の役にも立たない。
スーパーローテートの研修医は国が身分、給与と労働条件を
保証することになったから、夜は働かないし週休2日だ。

毒柳
「しかし、１のカキコはながいですな。小説の新人賞にでも
出すつもりでしょうかね。」

古泉
「そうだね。　　よく、頑張ったね。　　感動した。」

今日は救急部の夜勤だ。午後4時から0時までの8時間、
休む暇はないだろう。その上ICUの回診や処置もしないと
いけない。
給料も減った。医士は看護師や検査技師なんかよりも安月給だ。

「今や俺も主任医士ってな肩書きになっちまった。はぁ.....」
いつも病院の入り口でため息をつくようになった。

申し送りまで少し時間がある。今の内にICUを診ておこう。
医局にまず立ち寄って服を着替える。以前は病院の3階に
あった医局も今は地下だ。看護師の更衣室と交換させら
れたのだ。
机もなくなって今では小さいロッカー1つだけだ。

薄暗い地下の医局のロッカーの前で手早く着替え、
ICUに向かう。
日勤の医士たちが3名、まだ走り回っていた。
「日勤のメンバーは消化器内科と整形外科と耳鼻科か。
彼らにはICUは荷が重いだろうな。」
小田は心中で少し哀れむ。小児科と産科、眼科、精神科
以外は、すべてICU、救急部と各診療科の病棟の3交替勤務を
しないといけない。
小児科は独自のローテーションで病棟とNICUの3交替勤務
と外来をこなしている。
「たった2人の小児科スタッフとレジデントでよくやって
いるな。」

小田は自分がまだましなのだと思った。
眼科は4月から医者が減らされ、医士一人になった。
眼科医長、いや今ではただの眼科医士となった女医は
毎晩仮眠室で暮らしている。
「彼女はいつまで持ちこたえるかな。家庭崩壊だろうな。」

昨日の人工血管置換の患者は、循環動態も安定している。
人工呼吸器は今日の早朝に外せたし、ドレーンからもあまり
出ていない。
日勤帯で誰かが胸部のXpを撮ってくれている。肺もクリアだ。
小田はほっとした。
今晩はここへあまり呼び出されずに済むな。

小田は思った。
小田原の蒲鉾はおいしいが、おれはひものも好きだ。
小田原駅でうっていた弁当はなんだっけ。確か寿司だった。
アジのばってらだったか。
今年の夏の台風の時、あの弁当屋の前の地下道が浸水している
のをテレビでやっていた。被害はなかったんだろうか？

日勤医士と準夜勤医士の申し送りが始まった。
整形外科医から皮膚科医に人工血管置換患者の引き継ぎが
行われている。小田はそれを横に立って聞いていた。
「彼らも必死だな。頼りないけど任せられるところを任せ
ないとやっていけないしな。この整形外科医だって俺の
大学の先輩だったんだ。本当なら今年か来年、副院長に
なれたはずなのに、主任医士なんかになってしまって.....
副院長は事務師と看護師がなってしまった。」

申し送りといっても医士同士の場合は主にバイタルサイン、
投与された薬剤についてなどだ。
申し送りを聞いた後、小田はカルテ台にある依頼簿に今夜の
依頼を書く。
これは指示簿と呼ばれていたものだ。
依頼簿にいつ何をするか書き込む。
ドパミンと利尿剤については皮膚科医にやってもらうので
簡単に書けばよい。
看護師や検査技師相手に書く場合が厄介だ。これこれこう
いう理由で血圧、脈拍、尿量、ドレーン排液のチェックと
体位変換を、何時何時にしてください、とお願いを
書かないといけない。
明日の朝の胸部XPの依頼も書く。
心拡大、胸水貯留、肺合併症などの確認のため、胸部Xpが
必要なのでお願います、と。

「何でいちいちこんな事を書かされるんだ。」
小田は顔には出さないが、いつも不満だ。
看護婦、いや看護師たちは丸テーブルのいすに座ってまだ
ぺちゃくちゃと申し送りをしている。彼女らは座れていいな。
俺たちは立ってやるんだけどな。
それになんだあれは。目を少し右に動かしたとか、指先が
かすかに動いただとか、それが何秒間だったとか、どう
でもいいじゃないか。意識障害ならコーマスケールで
一言で済ませろよ。
体位変換のときに腰のどこに手を当てるかだと?
腸骨陵の下何横指がいいかだと?
そのくせ、この後さらに長々と看護カルテなどを書くんだ。
看護診断は仰臥安静による腰痛と皮膚発赤、
1度褥創の疑いだと? 勝手にやってろ。

小田はさらに考えるのだった。
どうして真鶴道路はあんなにこむんだろう。これだから
伊豆半島に遊びに行くのを躊躇してしまう。
小田原厚木道路が、直接真鶴道路につながって、
多少流れは良くなったものの、あの短い区間で２００円は
高いんじゃないか・・・。

小田はICUを出て救急部に急ぐ。救急の申し送りを受け
なければいけない。
救急部に着くと、もう申し送りが始まっていた。

「小田さん、遅いよ。」
看護師長のちょっと怒った声が響く。

「すみません。昨日の人工血管の患者を診に行って
いたんです。」
小田はそう言いつつ空いた椅子に座ろうとすると、
また怒ったような声が響く。
「そこ、どいてください。私が座る所よ。」
見知らぬ小娘、いや看護師が睨んでいる。
俺の歳の半分位の娘か、今年の新卒、新入職かな。
「ごめんごめん」
小田は詰め所の端のカウンターへ行って、立ったまま
日勤帯での救急入院の患者のリストを見る。

救急処置室の方から日勤医師が一人走ってきた。
「済みません、遅くなりまして。吐下血で緊急にアンギ
オ、エンボリをしていたんです。」
放射線科医の彼は元医長だが今はヒラ医士だ。

放射線科医、脳外科医、消化器外科医の日勤医士たち
から申し送りを受ける。
患者も彼らがいるときに運ばれてきてよかったな。
今晩は俺の他は膠原病内科医、呼吸器内科医だ。
外科疾患は全部診ないとな。骨折や熱傷が来たら嫌だな。
整形外科医や形成外科医を呼び出すのに気が引けるが、
まあ仕方ない。お互い様だ。

小田は申し送りを聞くとはなしに聞いていた。

「脱腸で入院の原田さん。趣味は囲碁だそうです。好きな
棋士は宇宙龍の武宮九段」
次々と申し送りが続いていく。

「特発性いんきんたむしで入院の笠井さん。昨日のかゆみは
３−２でした。かきこわして出血性いんきんに移行しつつあります。」

なんでこんな申し送りを聞かないといけないんだ・・と小田は思った。

小田は救急入院の患者の引き継ぎはなかった。
担当医の割り当ては看護師長が決める。
内科医2人がばたばたとICUへ走って行く。
休日夜間の緊急入院はICUに入ることになっている。
吐下血の患者は放射線科医がストレッチャーを押して
ICUへ搬送している。
消化器外科医がこのあと休まずにしばらくは検査と処置に
あたるんだろうな。
何が3交替だ。
8時間勤務の後もどうせ働かなきゃならないのにな。

そんな事を考える間もなく救急外来の内線電話が鳴った。
看護師は電話を取ろうとしない。申し送りと称した
おしゃべりに夢中だ。
織田が電話を取る。相手は救急受付窓口の事務師だ。

事務師
「もしもし、今晩の準夜さん? 受付に急患さんが来て
るんだけど、カルテできたから取りに来てくれない?」

小田は答える。
「はい、わかりました。有り難うございます。」

小田はどうしても我慢できなくなった。
机の下でそっとズボンを下げると、ゆっくりと肛門に
ボルタレンを挿入した。
これを発射したとき、彼らがどんな反応を示すかをかんがえると、
いいようもない喜びと不安がわき上がってきた。

小田は受付までかけていく。事務師は無愛想にカルテを
投げてよこした。そのまま彼はカウンターの裏のテレビを
見ている。
小田は患者らしい親子連れを見て、声をかけた。
「どうかなさいました? 外来処置室の方にご案内します。」
カルテは子供のものだ。2歳か、小児科医を呼ばないと。

若い父親が歩きながら小田にしゃべり始めた。
「3日前から咳と鼻水出して、今日は朝から熱っぽいんだ。」

小田
「はい、そうですか。小児科の医者にはかかられましたか?」

父親
「おととい、近所の小児科か内科かわからん医者に
連れて行ったけど、薬を何かくれたけど、1回飲ませて
子供が嫌がったんで飲ませてないよ。」

小田
「どういう診断でどういう薬をもらったのですか?」

父親
「そんなの知らないよ。ここでちゃんと治してくれよ。」

やれやれ.....小児科医には悪いが、小児科が別ローテー
ションで交替勤務していてくれて助かった。
救急処置室に着いた。
子供をベッドに寝かせ、机の上にカルテをおいたとき、
母親が急にどなり始めた。
「ここは総合病院でしょ。この人小児科じゃないじゃん。
小児科の医者を出してよ。」

小田
「はい、今すぐ小児科医に連絡を取ってきてもらいますね。」

母親
「早くしてよ。この子に何かあったら訴えるわよ。」

小田はにっこり笑いながら小児科医の院内PHSにダイアルする。
3日前からの風邪ひきだろ、何をわめいてるんだ、と思いながら。
NICUからコールバックが来た。
小田が電話に出ると看護師の声だった。
「小児科の日勤さんと準夜さんで、今新生児仮死の蘇生を
してるわよ。もうちょっと待てないの?」

小田
「多少なら待てそうです。お願いします。」

母親がなおもわめいている。
「救急車で来たのよ、すぐに診てよ!!」

看護師が対応する。
「すみません、お母様。ちょっと小児科医が別件で手が離せ
ないようです。すぐに来させますので、少しお待ち下さい。」

母親はなおも何か言いたそうだ。
小田はとにかく子供の熱を計り、バイタルサインを取ろうとした。
子供はどこが悪いのかと思うばかりに元気でじっとしていない。
これでは熱も計れないし診察もできやしない。

父親が声をかけてきた。
「あんたがうちの子に触らなくていいよ。小児科医じゃ
ないんだろ。」

小田はにっこり笑顔を作りながら、
「はい、すみません。私が今夜の救急担当ですので、小児
科医が来るまでにお子さんの様子をちょっと拝見させてく
ださいませんか。」

父親
「あんたはいいよ、どうせ分からないんだろ。」

小田
「では横で待機していますので、何かございましたらお呼び下さい。」

父親
「きのうは水族館でイルカショーを見てきた。
むかし、イルカにのった少年って言うのがあったが、
あれは城みちるだっけ？」

小田
「しりません。コナンじゃないですか。それとも
海のトリトンか？」

父親
「医師である君がそんないいかげんなことを言っていいのかね。」

これ以上関わらない方がいいな。小田は思った。
俺だって子供を育てたし、乳幼児の心臓手術をするんだ
けどな。悔しいが仕方ない。
トラブルを避け、自分と病院を守るためだ。
うっかり薬でも飲ませて、もし薬疹でも起こしたら、
弁護師が素っ飛んで来るしな。

若い女医が救急外来にかけ込んできた。小児科のレジデ
ントだ。目は真っ赤でげっそりしている。
織田は手短に経緯を説明する。
女医はNICUの様子を簡単に話してくれた。
緊急帝切で生まれた極小未熟児に挿管して、呼吸器に
つないだのだと。

女医はいすに掛け、親と子供の方を向き、話しかけた。
「どうなさいました?」

父親
「さっきも言っただろ。何も聞いてないのかあんたは。
この子が風邪ひきなんだよ。」

小田は思う。なんだ分かってるんなら家で暖かくさせて
寝させて、月曜日に小児科開業医の所へ連れて行けよ。

小児科女医
「すみません。ではお口の中と胸の音を聞かせてくださいね。
ほら、いい子いい子、大丈夫、痛いことはしないわよ。
お母様、すみませんが、お子さんを膝に抱いていすに
掛けていただけますか?」

母親は憮然としたまま黙って子供を抱いて椅子に座る。
子供は退屈して動き回って診察させようとしない。

小児科女医
「ほら、大丈夫よ、お口あーん。」

母親
「子供が嫌がってるじゃない。無理しないでよ。
あんた専門医?」

小児科女医
「いえ、違いますけど。」

母親
「なによ、ここは総合病院じゃないの? 専門医が
いるって聞いて救急車で来たのよ。あんた研修医?」

小児科女医
「いえ、研修は終了しています。」

父親が割って入る。
「もういいよ、あんたじゃ分からないんだろ。
もういいから、さっさと何か薬だしてくれよ。」

小児科女医
「あの、すみません、風邪ひきとおっしゃるのなら
そうかも知れませんけど、診察は最低限させて
頂きませんと、お薬も出せないのです。」

母親
「じゃ、さっさとしてよ。あんた下手なんじゃないの?」

小児科医の彼女はかろうじて子供の口の中をのぞき、
胸の音を聞く。

小児科女医
「お食事は取れてますか? お茶や水分はとられました?
今日は朝から何回かおしっこは出てますか?
うんちはどうでした?」

母親
「ご飯は朝も昼も食べてさっきおやつにバナナ1本と
オレンジジュースをコップ1杯飲んだわ。おしっこは
おむつを4回くらいかえたかなぁ。
えーっと、うんちはいつもといっしょよ。」

小児科女医
「前の開業医さんでもらったお薬は、今日はお持ちに
なられてますか?」

父親
「持ってきてないよ。ここで出してよ。」

小児科女医
「はい、分かりました。少しのどが腫れて鼻水が出て
いますけど、胸の音もきれいですし、今のところ、
単なる風邪引きでしょう。
咳と鼻水を抑えるお薬をお出しします。アレルギーを
抑えるお薬、痰の切れをよくするお薬です。それと
念のためにばい菌を抑えるお薬を入れておきますね。」

母親
「熱さましはいらないの?」

小児科女医
「今は熱もなさそうですし、お子さんの風邪ひきは
無理に熱を下げないほうがよろしいかと思いますが。
いままで熱性痙攣を起こされたことはございませんで
しょうか?」

母親
「なによそれ。」

小児科女医
「お子さんが高い熱を出したときに引きつけを
起こすことです。」

母親
「そんなことは今までなかったわよ。」

小児科女医
「では、38.5度以上の熱が出たときに使う坐薬の解熱剤を
用意するようにしますね。お薬は救急受付の窓口の横で
清算のときにお渡しします。2日分になります。
もし何かございましたら、今日、明日でもいつでもこちらへ
お問い合わせください。月曜日になって風邪引きがひどい
ようでしたら、ご近所で小児科にかかられた方がいいと
思います。」

父親
「ああ、もうここには来ないよ。何かあったらただじゃ
おかないぞ。」

両親は席を立って出て行った。
小田と小児科女医と看護師でその後ろ姿に最敬礼で頭を
下げる。
「どうぞおだいじに。」

小田は小児科女医に声をかける。
「有り難う、お疲れさまでした。」

小児科女医は半べそをかいていた。
「私、NICUに戻ります。失礼します。」

小田は思う。今のなんかまだましな方だな。彼女には
悪かったけど、仕方ないな。彼女はいつまで持つかな。
4月から次々と医者がやめていった。若いのもベテランも。
大学医局から派遣されてくる医者は、皆、レジデント
クラスか専門医になりたての若い連中だが、ほとんど
すぐにやめてしまう。
大学もそうだと聞いた。スーパーローテートのおかげで
新入局者がいなかった上に、市中病院に派遣に出すのと、
医局そのものをやめてしまう者とで中堅以下がほとんど
いなくなったという。
大学では教授が3交替勤務に加わるようになった診療科も
あるという。

緊急警告！　「貴方の個人情報が販売されている！」
２ちゃんねるは、通信ログを悪質な探偵業者に金銭で販売している！
既に雑誌やネット配信、関係者の証言によって百パーセント確実となった
２ちゃんねるのログ販売問題。
西村博之（２ちゃんねる管理人）は、創価学会の両親に育てられ、日本赤軍や
北朝鮮と親密な裏社会の人物と親交が深い。商工ファンド（ヤクザ）＝日本探偵協会に、
２ちゃんねる利用者全てのログを、販売している。
http://www.google.co.jp/search?q=cache:HsTUpn5uXbEC:saki.2ch.net/news/kako/981/981387053.html+%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%80%80%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E3%80%80%E6%8E%A2%E5%81%B5+%E6%B8%A1%E8%BE%BA%E3%80%80%E9%80%AE%E6%8D%95&hl=ja&ie=UTF-8
最近、プロキシ規制が厳しくなって生ＩＰでないと書き込めなくなった理由を
貴方は知っていますか？それは、「日本の」いつ、誰が、どんな書き込みを
しているかを「探偵に販売する為に」把握する必要があるからだ。

救急処置室の電話が鳴った。
やれやれ、小田が電話に出ると救急受付からだった。
小田
「はい、救急処置室です。」

事務師
「小田さん? 受付だけど、さっきの患者さん、薬のことで
クレーム付けているんだよ。来てもらえない?」

小田
「はい、すぐうかがいます。」

最悪の事態と思っているかもしれないが、
こういう親は量産体勢だし、大学病院の
看護婦は実際こんなもんだぞ（W

受付に行くと薬剤師がさっきの両親とやり合っている。
小田の姿を見て薬剤師がくってかかってきた。
「どんな説明して処方したんだ。こっちは言われたとおり
してるだけなんだぞ。小田さん、あんたが応対してくれ。
俺は処方通りに調剤したからな。」

小田は若い薬剤師に頭を下げる。
「はい、すみませんでした。以後気を付けます。」

小田は両親に向き直って尋ねた。
「何か不備がございましたでしょうか?」

父親
「不備って何だよ、その聞き方は。たった2日分しか
入ってないぞ。2日で治るのか?」

小田
「さっき、小児科医から申し上げましたように、この
お薬で2日間様子をみられて、月曜日にまだ調子が
お悪いようでしたら、近所の小児科医にかかられるのが
よろしいかと。
それまでの間に何かございましたら、私どもの方へ
お問い合わせください。」

父親
「近所の小児科ぁ? ここの医者の方がまだましなんじゃ
ないのか。あんなちっぽけな医者に行ってなにされるか
分かったもんじゃない。」

小田
「いえ、今は専門医は医院に表示したり、電話帳に広告を
載せたりするようになっていますから、小児科専門医を
おさがしになられたらよろしいかと思います。
こちらではいつでも必ず専門医が対応できるとも
限りませんもので。
ご不便をおかけしますけれども、それでお願いいたします。」

小田はこの若い父親を呪いながら頭を下げた。

「ふん」
両親は何も言わずに背中を向けて出て行った。

事務師
「小田さん、ちゃんとしてよ。」

小田
「すみませんね、いつもご迷惑をおかけして。」

事務師
「トラブル事例は全部報告するんだよ。院長は医士だから
いいけど、取締役や副院長達はどういうかな。」

小田
「すみません、本当に。以後若い者にも徹底させます。」

そう言って小田は救急処置室に戻る。心の中では早く首に
してくれと叫びながら。
その後ろから若い女の叫び声がする。
「死んでやるんだ。」

おやおや今度は精神科の出番か。この週末も大変だな。

そのあとバイクでこけて下腿開放骨折のヤンキー兄ちゃん、
また風邪ひきの子供、腹痛の若い女性、などなど
20人か、30人か、覚えきれない数の患者が押しかけてきた。
結局は全診療科の医者が呼び出されるはめになった。
毎日毎晩がそうだった。小田はそれでもちょっとはほっと
していた。胸部穿通外傷とか来たら厄介だったな。

時計の針は午前0時に近付いてきた。もう少しだなと
思ったとき、救急受付からの電話が鳴った。
事務師が言うにはVIPが手を切って今から来ると連絡が
あったとのこと。
小田の一番嫌なタイプの患者だ。しかし仕方がない。
VIPとは政治家、議員など以外では、この病院の株主か
取締役だ。
誰が来るのか、小田が尋ねた。
事務師が教えてくれる。
「上株主の宮肉さんだ。俺が外来のVIPルームを開けて
おくから、小田さんは形成外科の、そう、あのきれいな
姉ちゃんを呼び出しといて。
あと、俺は看護師長に言って、看護師を一人、着替えて
VIPルームへ行ってもらうにするよ。」

患者のトリアージは看護師の仕事だ。しかしVIPだけは
誰がどういう怪我、病気で来たら、スタッフの誰が診療の
対応をするのかマニュアルで決めてある。
医士の権限はほとんどなくなっていた。

個人株主にも、持っている株数で上、中、下がある。
この中でVIPは上株主だ。
病院の職員で取締役はヒラ取締役の院長、副院長だけだ。
法律の上では、病院開設者は医士でないといけないので、
最低限、こういう形を取っているが、ヒラ取締役なんて
何の力もない。

結局なんでも言葉だけでも平等だと考えたがる日本人の習性は
民族的なものではなく、戦後サヨクと
朝日新聞による国民の洗脳によって作り上げられた形質である。
これに韓国・中国の国際問題もからんで非常に悪平等・自虐主義が
はびこった結果によるものである。
日本の医者はこれ以上自虐とは決別し厳しい職業倫理に裏打ちされた
誇りを取り戻さなければ未来は暗いであろう。

小田は形成外科レジデントの深田今日子のPHSをコールする。
彼女は独身医士だから病院の裏の寮にいるはずだ。
ひょっとしたら院内のどこかで夜勤をしているかもな。

コールバックが来た。寮からだった。
小田
「あ、深田先生、小田です。今日の救急準夜です。
お休みのところすみませんが、VIPの宮肉さんが手の切り
傷で来院されるそうです。
外来VIPルームへ来てもらえますか?」

この時代でも医士同士は以前の名残で先生と呼びあう。

小田は宮肉が嫌いだ。病院の全員もそうだろう。
深田先生には悪いなと思うが仕方ない。4月1日の天変地異
から、時代は変わったのだ。

深田は気の重そうな声で返事する。
「はい、すぐ行きます。」

深田が宮肉の処置をするのはこれが2度目だ。
宮肉は大嫌いだ。
牛蛙やゴキブリと同じくらいに嫌だ。けど給料のため。
この病院を辞めてどこの病院へ行っても同じだし、
開業医にはもはやなれそうにない。まだ専門医にも
なっていないしなぁ。

地下の医局という名の更衣室へ降りる。ロッカーには
通常の白衣や術衣の他に、VIP用のコスチュームが置いて
ある。
「誰がこんなものを考えたのかしら」

したがって、まず卑近な例から言うと
国立病院であたりまえのように行われている
研修医が患者を検査につれていく姿などは即刻廃止し
パラメディカルにすべてを行わせるべきであろう。

VIPには誰がどのコスチュームを着て接待にあたるのかが、
マニュアルで決まっている。看護師も多分呼び出されて
いるだろう。
これを着るのは嫌だけど、今日は準夜帯、人目が少なくて
助かった。
深田がこれを着ることは週に2〜3回ある。
VIP用のコスチュームを着て階段を上る。今日は下から
男どもに覗かれる心配はない。
外来への廊下を急ぐ。行くのが遅くなったら何をいわれ
るか分からない。

VIPルームは外来の奥で、通常の外来や処置室とは少し
離れている。VIP患者は他の一般患者に見られること
なくここへ出入りでき、スタッフも通常の通路とは別の、
裏の通路から出入りする。

VIPルームに近付くと、下品な笑い声が響いてきた。
ドアを開けると宮肉がソファーに座っていた。
看護師と小田も来ている。看護師はVIP用コスチュームを
着ている。
彼女も可哀想ね、私よりももっとえげつない服を着さされて
いるんだから。これも営業のため.....
「遅くなりまして申し訳ありません、宮肉様」
深田と看護師はひざまづき、片膝を床について頭を下げる。

宮肉は身を乗り出して体を低くして深田たちに声をかける。
「おお、深キョンちゃん、また世話になるよ、よろしくな。
そっちの娘は?」
看護師がひざまづいて下を向いたまま答える。
「国中涼子と申します。」

宮肉
「りょーこちゃんか、よろしくな。
ちょっと飲んでてグラスで手を切っちゃったんだ。
痛くないように頼むよ。」

小田は深田に声をかける。
「私はもう少し残っているから、何かあったら
呼んでください。」

小田は宮肉にも声をかける。
「何かそそうがございましたら、すぐに私と看護師長を
および下さい。それではよろしくお願いいたします。」
深々と頭を下げて小田はVIPルームを後にした。
男に生まれてよかったと小田はしみじみと思う。
宮肉はまだいい、商品に手出しをしないからな。
けど政治家の連中はここをどこかの店と勘違いする奴も
いるからな.....
幸い、小田は女性のVIPには指名されずにすんでいる。
胸部外科の若い医士が一人、VIPの乳癌検診に
あてがわれている。

小田はICUへ足を運ぶ。人工血管置換の患者を診て、
あとは、何事もなければ、明日のICUの日勤まで一休みだ。

先日はやばかったな。割ばしをのどに突き刺したって
幼児が来たけど、耳鼻科医が診て入院させたのはいいが、
結局死んでしまった。
その日の内に耳鼻科医は逮捕されてしまったな。

医者は、この国で落下測度がいちばん速いのね。
誰も医者に奴隷になれとか、プライド捨てろと言ってないのに。
傲慢も自虐も見苦しいな。

小田はこの3カ月余りの出来事を思い出していた。
どんな形でも病院が残り、給料がもらえている方が
いいかもな。
あの国会はひどかった。ニュースで法案のことが報道
されるやいなや、すぐに厚生労働委員会で共酸党以外の
賛成多数であっと言う間に本会議送り。
医師会は反対を唱えて、急遽医師会員の組織率を
あげようと入会の勧誘があった。けど、俺なんか
B会員になっても、医師会の何の役にも立ちやしない。
医師会長は二人も替わった。

ストでもするのかと思ったら、ストをしたのは眠医連の
医者だけだった。
得州会はさっさと法案賛成を表明して世論に迎合した。
その方が正解だったな。眠医連は患者がガタ減りし、
医者があっと言う間にいなくなって、小さい診療所を
残して眠医連病院は全て潰れてしまった。
やっぱり辞めるに辞められないな。いつか光が見える
日が来るのだろうか。たった一月前までだったが、
旧医療制度は遠い昔のように思えた。

つか、終わったのか？

拝啓　ボクのおちんちん様

　おはよう、ボクのおちんちん。突然のお手紙をお許しください。
　思えばこんな風に手紙を書くのは初めてだね。少し照れくさいです。
いつも僕と一緒にいてくれてありがとう。思えば24年前だったかな？君と出会ったのは。
僕は君との出会いの瞬間をあまり覚えていません。でもいつも暖かくて、
柔らかくて、そばにいてくれてたように思う。
本当に感謝しています。
　言うなれば、最良の友。２４年間共に戦いをしてきた、戦友。
君は覚えていますか？僕たちの初陣のときのことを。
初めて君から白い液体が出たとき、ビックリしたよね。
今となっては青春の１ページとして懐かしい思い出です。
　ところで、僕は君に謝らなくてはなりません。僕は知っています。
２４年間ずーっと、君がおまんこに入りたいと願っていたことを。
ごめんなさい。こんなふがいない友達を持って、君は憤慨しているのでしょうね。
そして僕は、君の怒りに対して何もしてやれなかった・・。
でも君は、そんな僕を見捨てることなく過酷なオナニーに耐えてくれた・・。
ごめんなさい。僕に彼女が出来ないばっかりに。
　でも、俺がんばるからね。
きっと今に彼女を作って、君をおまんこに入れてみせる。
『明日があるさ、明日がある』。　使い古された言葉だけど、今の僕たちの言葉だね。
僕のおちんちん君。いつまでも一緒にいよう。

今までありがとう。そしてこれからもよろしく。
フレーッ！　フレーッ！　ぼくのおちんちん！！

An editorial in the British Medical Journal, 5 May 2001 p 1073
Why are doctors so unhappy ?
http://www.alemana.cl/Mbe/Conferencias/Unhappy_BMJ.pdf

なかなか面白かった。
小田原方面在住のWVCtnNYmの途中カキコもﾜﾛﾀ。

まじでこういう世の中が来るのだろう　鬱だ開業しよう

まあ、そうなる前に日本が消滅するわけだが。

その後小田医士は痛飲し、先の外来診察室で暴言を吐いたのであった。
暴挙に任せ設備の一部を破壊してしまった。
始末書を上申し、平身平頭で深謝した彼の医士を待っていたのは
勝ち誇ったかの如き、過日の家族の冷笑であった。

意を決した小田は散弾銃と鉈を手に過日のDQN親子の自宅に押し込んだ。
「て、てめえはこないだの使えねえ医者…」と言い終わらないうちに父親の頭は半分吹き飛んだ。
母親の首に鉈を一振りする。｢なぜ・・」といったまま転がる下劣な女の生首。
呆然と凍りついたガキに腹部にも一撃、飛び出た腸が床の上にひろがり、声も出せぬまま絶命した。
返り血を浴びて鬼神の形相となった小田は次に病院にクルマを走らせた…

うい。

筒井康隆から大藪春彦ですか

何かカッコイイ展開。

age

横溝正史だろ。

意を決した西城はレミントンM1892とゾーリンゲンヘンケルのナイフを手に過日のDQN親子の自宅に押し込んだ。
「て、てめえはこないだの使えねえ医者…」と言い終わらないうちに父親の頭はザクロがはぜたようになった。
母親の首にゾーリンゲンヘンケルのナイフを一振りする。｢なぜ・・」といったまま転がる下劣な女の生首。
呆然と凍りついたガキに腹部にも一撃、飛び出た腸がボローニアソーセージのように床の上にひろがり、脱糞した。
返り血を浴びて鬼神の形相となった西城は次に病院に三菱コルトギャランFTOを走らせた…

カット！カット！カット！
ネタばらしも結構だが，話しを進めよう
3,2,1,Q!

　　＼
:::::　　＼　　　　　　　　　　　　小田の両腕に冷たい鉄の輪がはめられた
＼:::::　　＼
　＼:::::　＿ヽ ＿_ 　 ＿　　　　　外界との連絡を断ち切る契約の印だ。
　　ヽ／,　 ／＿ ヽ/､　ヽ＿
　　 // ／<　 ＿＿） l -,|__) >　「刑事さん・・・、俺、どうして・・・
　　 || ｜ <　 ＿＿）_ゝJ_)＿>　　　　こんなことやっちゃったのかな？」
＼　||.｜　<　 ＿__）_(＿)_　>
　 ＼|　|　 <_＿__ﾉ_(＿)＿ )　　　とめどなく大粒の涙がこぼれ落ち
　　　ヾヽニニ/ー--'/　　　　　　　　震える彼の掌を濡らした。
　　　 |_|＿t＿|_♀__|
　　　 　　９　 　∂　　　　　　　　「その答えを見つけるのは、お前自身だ。」
　　　　 　 ６　　∂
　　　　　 　(9_∂　　　　　　　　　　小田は声をあげて泣いた。

>>133
筒井康隆は「大藪春彦が直木賞を受賞していないのは日本の文学の名折れだ！」
と憤慨していた。

筒井康隆が勲章もらうようじゃ、世も末だね。

もう終わり？

小田はどうなったんだ？？

”小田医士"にね”

>>144
「おだいじ　にね」ってことか．小田医死に．