227 :
産経新聞:
平成14(2002)年 10月 6日[日]
著者に聞く 近藤誠さん 『成人病の真実』〈文芸春秋・1429円〉
バブル医療に鋭い批判
「コレステロール値は高くていい」「ポリープはがんにならない」
「定期健診は人を不幸にする」こういった刺激的なタイトルが十二章も並ぶ。
だが、通読すると病める医療の構造的な問題がはっきりしてくる。
「そのことが自然にわかっていただければ幸いですね。要するにバブル医療
なんです。必要以上に金がかかり、必要以上に患者がつくられる。その原因に
医者の過剰がある」と近藤さんは顔をしかめる。
例えば、高血圧症。一昨年、日本高血圧学会がそれまでの基準値一六〇/九五
mm以上を一四〇/九〇mmに引き下げた。すると、新たに高血圧と診断される
人が二千百万人、これまでの人と合わせると三千七百万人が高血圧となり、降圧
剤を飲まされることになる。しかし、近藤さんはこの基準値変更は単に世界保健
機関や米国のガイドラインに沿ったもので日本での科学的データや根拠はない、
とする。そして、この構造は高コレステロール血症や糖尿病、脳卒中予防など
医療の各所で見られるというのだ。
228 :
産経新聞:02/10/06 21:31 ID:Jad1jNVX
「昔は痛い、苦しいといった症状があって病院に行った。今は検査値
だけで病院に行き、医者は勉強不足で志がなく、すぐ薬を出す」。
その医師批判は歯にきぬ着せず鋭い。医師は毎年、四千人増えている。
「医者が平均収入を減らさないためには患者を増やすしかないんですよ」
また、むやみに薬に頼る危険を警告する。インフルエンザ脳症は主に
子供が脳障害を起こしたり、死にいたる病気。日本で解熱剤が原因とされ
たのはごく最近のことだ。「日本の医者のいいかげんなところ、薬害に
気が付かない体質がある」
本のタイトルは「成人病」を使っている。「年をとれば身体の不具合、
不都合がでるのは当たり前です。それに高齢になるほど医療行為には危険
がともなうのですよ。生活習慣病という呼び方になって医者が生活習慣
についてのアドバイスをすることが多くなりましたが、それでよい結果が
出たというデータはなにもないのですから」
それでは患者としてはどうすればいいのか? 「症状がないときに、
検査、医療機関に近づかない。患者にさせられない。一般の人は自衛
しなくては」。患者よ、医者と闘え、であろうか。(梶山龍介)