訪問先は,日野原重明ライフ・プランニング・センター理事長の助言により,ボストン 市とニューヨーク市に限定し,前者はHarvard大学関連施設,後者はCornell大学関連施設 とした。ボストンでのスケジュールはHarvard Medical SchoolのDr. Mitchell T. Rabkinに計画 を立てていただき,ニューヨークのスケジュールはCornell Medical CollegeのDr. Tong H. Joh 教授にBurke Rehabilitation Hospitalの訪問を依頼した。
老年の終末期医療:HRCAにて 【12月10日】 HRCA(Hebrew Rehabilitation Center for Aged)にDr. Lewis Lipsitzを訪問した。 Dr. LipsitzはHarvard Medical Schoolの内科学教授であり,Harvard Division of Gerontologyの 統括責任者でもある。 この施設のDivision on AgingはResearch and Training Instituteでもあり,Harvard Medical Schoolのみでなく,HSPH(Harvard School of Public Health),VAMC(The Veterans Affiars Medial Center),BWH(Brigham and Women's Hospitals),SRH(Spauling Rehabilitation Hospitals),MGH (Masachusett General Hospitals),MAH(Mount Auburn Hospital),BIDMC(Beth Israel Deaconess Medical Center),HRCAなど多数の周辺医療機関との連携において「老年医学」の中心的 役割を果たしている。HRCAでは老人の終末期医療について視察した。
MAHには「老人のためのMental Health Service」があり,Geriatric Psychiatristのディレク ターとナースのプログラムディレクター,老年科内科医,Psychiatric Social Workerからな るMultidisciplinary Teamで行なわれている。数多くあるサービスの中で,今回は「house calls」 と「Mental Health Service」を中心に視察した。
次の患者は79歳の女性で,痴呆がかなり進み,Dr. Noeをかろうじて識別できる程度で あった。Lewy's body cerebropathyが背景にあり,そのための痴呆とパーキンソン様症状が 生活上の問題であり,特に後者には多くの制約があるため自費で行なわれているとのこと であった。たまたまPTが居合わせたが,家人は不在であった。この患者の場合には皮膚 疾患や下腿の顕著な浮腫などの他に栄養上の問題や,polypharmacyによる服薬コンプライ アンスの問題など多くのケア上の困難があるように見えた。2名のhouse callsを終了して, 11時30分にMAHに帰院し,老人科医のDr. John R. Andersonと精神科医のDr. Halbert Miller から,院内にあるThe Wyman Centerの「老人のためのMental Health Service」について説明 を受けた。