【小説】　破片

あくまでフィクションです。
実在する事件、団体、個人とは一切関係有りません。

　空調は効いているものの、院内を忙しく駆け回るとケーシーにじわりと汗がにじむ。
世紀末のとある７月の土曜日、時計の針は午後六時をまわろうとしていた。
土曜といえども大学病院の若手医師は朝から忙しく馬車馬のように働かなければならなかった。
やるべき仕事は腐るほど有る。低賃金の労働力としてあらゆる雑務を押しつけられているのだ。
「チェッ、今日も朝から何も食ってないよ。腹減ったなぁ。」
売店でパンでも買ってこようか。いや、土曜日は何時に売店閉まるんだっけ？
入院患者の検査データを整理しながら、ふとそんな事を考えていたその時である。
寝元医師のポケベルの耳障りな電子音がけたたましく鳴った。
「なんだ、またかよ？（いい加減にしてくれ。）」
今日院内ポケベルが鳴るのはこれで１５度目だったが、彼自身はもちろんそんな回数まで
いちいち数えている余裕などなかった。
パンを諦め、表示された院内回線番号に電話を入れた。
「もしもし、寝元ですが。ポケベル鳴らしました？」
「あ、先生、救急車が来ましたので救急外来にお願いします。」
「なんの急患ですか？」
「四歳の子供なんですけど、喉の怪我みたいです。」
「はぁい、今から行きます。」

しねばかにどとくるなきえろ

　子供の診察は気が進まなかった。
なんせ、耳や鼻の穴を診るだけでも泣きじゃくって抵抗し、まともに所見が取れないからだ。
憂鬱な気分で書きかけのカルテを閉じ、ナースステーションのドアを開けた。
「あっ、ちょっと、先生！※※さんのの不眠時の指示は？・・・」
申し送りをしていた看護婦が慌てて入院患者の指示を請う。その声が後ろからかすかに聞こえた。
「いつも同じ事ばかり聞きやがって！」
くだらない申し送りの直後には、くだらない指示受けの確認ばかりだ。
エレベーターはいつも混雑しているので、非常階段を使って救急外来まで降りた。
ケーシーの胸元がさらにじっくりと濡れた。

　渡された外来カルテは新患のものではなく、小児のそれにしてはかなり厚かった。
ページをめくってみる。
過去に何度も救急受診をしている。
熱発、打撲、咳、擦り傷、腹痛・・・・
どうやら時間外の常連らしい。この手の患者はやっかいなケースが多い。
気分はさらに憂鬱にならざるを得なかった。
しかし、じっくりカルテを読んでいる時間はない。まだまだやり残しの仕事もある。
「杉山さん、どうぞ。」
子供の年齢からするとやや年配の母親が我が子を抱いて診察室に入ってきた。
「転んで割り箸が喉に刺さったんです！」
母親はややパニック気味で叫んだ。
後ろには父親らしき男も立っている。
彼の顔を赤く染めているのは、少々のビールであろうと推察された。

　「どんなふうに割り箸が刺さったのですかね？」
「綿菓子の割り箸なんですが、私らが目を離した隙のことなので詳しい事は・・」
気が動転していてなかなか要領を得なかったが、要するに施設での夏祭り会場で
転んだ拍子に、くわえていた綿菓子の割り箸で喉の奥を突いたらしい。
「救急車の中で何度も吐いたんです。あぁ、こんなにぐったりして！」
喉の奥を突けば吐くに決まっている。何度も吐けば大人でもぐったりする。
ヒステリックにまくしたてる母親にウンザリした気持ちになった。
「いい子だから、お口を開けてごらん。」
子供は微かにうなずき口を開けた。
軟口蓋に刺入創が見えたが出血は止まっていた。
割り箸の破片も見あたらない。
「少ししみるかもしれないよ。」
とりあえずイソジンで消毒した。
傷の深さはよく解らなかったが、小さな子供の喉の奥の傷にゾンデを突っ込むわけにもいかなかった。
見た目は大した傷には見えなかった。

　この時はまさか割り箸が脳まで突き刺さっていようとは、想像すら出来なかった。

つづききぼんぬ

　「こんなにぐったりしていて大丈夫なんですか？」
母親に詰め寄られたが、開口の指示にも応じるし、やはり、泣き疲れてるだけであろうと
寝元医師は思った。病棟のベッドは満床だし、救急部のベッドを使わしてもらうには
またペコペコと頭を下げて許可を取りつけなくてはいけない。手間も時間もかかる。
やはり、この場はとりあえず返そう。
「柔らかいものを食べさせてくださいね。」
週明けの再来を指示して外来を後にした。
次の瞬間には週明けのカンファレンスの準備の事で頭の中は一杯だった。

　その夜は宿直だった。アレルギ―性鼻炎と中耳炎、鼻骨骨折、鼻出血が一例ずつ来た。
１１時に、鼻水が続いて眠れないと、ティッシュの箱を小脇に抱えた中年男性が訪れた。
リストラされた福田官房長官といった感じだった。
その後には三日前から痛みがあったという中耳炎。
仕事が忙しくて昼間に耳鼻科を受診できなかったらしい。ヤレヤレ。
２時過ぎには飲み屋で喧嘩した男がおしぼりで鼻を押さえつつやって来た。
品のない金（メッキ）のブレスレットが目にしみた。
パンツが見えそうな程、短いスカートの若い女が付き添っていた。
大男のくせに整復時には大声で泣き叫んだ。
あと、老人の鼻出血。出血は止まっていたが、心配になって受診したとのことだった。

改行縊死 ：02/08/12 22:11 ID:rWruCffg
サリドマイドはアメ公ではAIDS患者の治療にも使われる。食欲が増し、体重増加の効果がある。
また、新生血管の抑制が胎児の「アザラシ畸形」発生の原因となっているが、それを逆手にとって
癌の転移、増殖の予防、また糖尿病性網膜症への効果が期待されている。
なお、サリドマイドの光学異性体のうち一方が睡眠剤の効果、一方が新生血管抑制効果があるので
うまく使い分けることができれば今後、化ける可能性がある藥だ。
海外ではハンセン病の治療薬として主にブラジルで多用されているので、多分
ブラジルから輸入されてるんじゃないかな？


7 名前：卵の名無しさん ：02/08/12 22:13 ID:rWruCffg
マンコのほうが百倍は臭いな。

：( ﾟ∀ﾟ)y─┛~~さんは文才がある。続きをがむばって！
〜愛読者より

おじちゃん、続きまだ？

　ほとんど寝ていない。急患はさほど多くはなかったのだが
明け方までかかってカンファレンスの資料を作るために英語論文と格闘していたのだ。
目の奥がちくちくする。喉の奥に消しゴムのカスを詰め込まれたような気分がした。
間もなく朝の採血・点滴の時間が迫ろうとしていた。
多くの大学病院では採血・点滴はドクターが施行しなければならない。
看護婦は看護記録と申し送りが主な仕事だ。
よれよれになった白衣をはたき、無精髭が伸びた顔でじっと鏡を見た。
研修医上がりにしてはチョット老けた間抜け面の男がこっちを見つめている。
「よお！」
微笑みかけてみたが、顔面神経麻痺にしか見えなかった。
そのときまた、ポケベルが鳴った。

　いつもの断続的な電子音と違う。
ピーーー！と連続でカン高く鳴り続けるのだ。
「ああ、電池切れか。」
ナースステーションに新品の電池を探しに行った。
「おはようございます」
返事は無い。
深夜勤の看護婦達は皆、看護記録の記入に余念がなかった。
病棟の電話が鳴っていたが、看護婦は出ようとする気配がない。
しょうがなく受話器を取った。
「はい、耳鼻科病棟です。」
「・・・あの、寝元は僕ですが・・・」
「・・・あ、はい。すぐ行きます」
なんだ？昨日の患者がどうしたってんだ？
不吉な予感がべったりと背中に張り付いた。

ああ、こういうことってあるよね。
どうなるんだろう

応援あげ

7 名前：卵の名無しさん ：02/08/12 22:13 ID:rWruCffg
マンコのほうが百倍は臭いな。

マジ面白い。続きがんばれ！
〜愛読者

先生、頑張ってください！
読者の皆さん、文間のファンレターはsageにいたしましょうね！

その後のことはほとんど覚えていない。
救急外来の処置室には冷たくなった子供の死体が横たわっていた。
縮んだ猿のように見えた。
父親に胸ぐらを捕まれたことも、号泣する母親の様子も、
彼の記憶には残らなかった。
一体何が起こったんだ？？
サッパリ訳が分からなかった。
昨日診たときはちゃんと生きていた。
指示に答えて口を開けたんだ！
処置台の足の錆がちょうどタイ（国）の形に似ていた事、
外来にいた看護婦の鼻の下のほくろが鼻くそみたいだった事、
など、どうでもいい事ばかりが脳裏に焼き付いた。

>>20
あなたは天才ですか？

警察の取調べが始まった。
医大は解雇され、部屋に閉じこもって何するとも無しに
日々を過ごした。
朝になると警察がやってきて車に乗せられた。
カンファの資料、使わなかったなぁ。どうなちゃったんだろう？
結構大変だったんだぜ、準備するの。
＊＊さん、退院したかな？確か術後二週間ほど経ったはずだけど。
紹介医への返事は誰が書いたんだ？
彼の髪の毛は無惨なほどに抜け落ち、皮膚には全くといっていいほど
ツヤが消えていた。
風呂にも入っていない。乾燥した口唇がひび割れ、血がこびりついている。
迎えに来た警官もあまりの変貌ぶりに正視できない程であった。

あげ

　取調室は意外と小綺麗であった。
担当の取調官も穏和な思ったよりは態度で接してくれた。
ただし、カツ丼は注文してはもらえなかった。
どっちにせよ食欲はなかったが。
「あの子には申し訳がなかったと思います。」
「自分が診なければ、救ってあげれたかもしれません。」
寝元医師が答えるだけ精一杯の言葉であった。
いくら望んでも、不思議と涙は出なかった。
何故死んだのか？
この時はまだ判らなかった。
罪悪感に押しつぶされそうで、息をするだけでも生汗が頬をつたっていった。

　一体どれくらいの時間が経ったのだろう。
実際にはまだ、数日しか経過してはいなかった。
司法解剖の結果を告げられた。
数人いるうちの取調官の中で一番意地悪そうな男が、面倒くさそうにタバコに火を
付けながらこう言った。
「割り箸が脳味噌まで刺さってたんだとよ。」
「7.6cmも残ってたんだぜ。判んなかったのか？」
「だって脳だぜ。様子がおかしいって思わなかったのかよ？」
「かわいそうにな。」
脳に割り箸が！！！
信じられなかった。
あんな角張って柔らかい木の箸がそこまで深く刺さるものなのか？

　彼の自宅には時々母親が訪れて、洗濯や掃除をし、食料を冷蔵庫に入れていってくれていた。
最初の頃、電話がひっきりなしに鳴り響いたが、期待している医局からの
連絡は全くなかった。
多くは、マスコミからのぶしつけなインタビューであった。
「今のお気持は？」
「貴方自身、今回の件は医療ミスだとお考えですか？」
「なんでもいいから一言お願いします！」
報道を観た一般人からも電話はかかってくる。
「・・・・・・」
殆どは無言電話であった。
「人殺し！」
「ふざけんな！ヤブ医者が！」
電話回線を引き抜き、このコードで首を吊ろうかとも思ったが
ケーブルは彼の体重を支えるほど太いとは感じられなかった。

もう寝ます。大夫酔ってしまいました。
慣れないことをすると疲れますね。
だんだんレベルダウンしていってる事が自分にもハッキリ解ります。

続きは・・・
気が向いたら。

誰れか書いてくれれば幸いですが。

ちょっと美化しすぎだな

続きｷﾎﾞ〜ﾝ

気づくと俺は夢精していた。

頭の中でこれまでの人生を考えてみる。。。
普通の少年時代だった
夏休みにはセミとりをしたり、釣りをしたり・・・
そういえば初恋なんてのもあった
成績はそう悪くは無かったな
そのために医学部大丈夫そうだという教師の勧めもあって医者になれた
医学部入ってからは先輩の医師に卒業してからは大変だぞとか言われたが
こういう結果が待ちうけてるとは夢にも思わなかったな
毎日毎日患者の顔を見てカルテ書きして手術で初めて介助についたときは緊張したな

ああ　頭の中が真っ白だ

一生懸命やってきたのに何故こんなことになってしまったのだ
人の命を軽んじて考えたのだろうか？
ともすればそういう傾向になりがちなのを自分で抑えてきたのではなかったか・・・

頭の中で様々な思い、考えが交錯するが
刑事起訴されたという事実は簡単には受け止められなかった

取調べは続く。「お前、めんどくさかったたけなんだろ。だからろくろく診察もせず
帰したんだろ。そうだろっ、おいっ！」「違います。そのときはそんな、割り箸が脳
まで刺さっているなんて思いもしなかった。口の中だってよく診たけど、そんな破片
なんて残っていなかった。」「おいおい、お前、７�pだぞ。そんなもんわかんねえ訳
ねえだろ！お前メクラか！手抜き診療したんだろっ。」「そんな、違いま・・」「い
いんだよ。俺だって夜勤で疲れてりゃちょっとぐらい手を抜くことはあるさ、お前も
そうだったんだろっ。なっ。」「違うっ！。あの状況ではどんな医者だって脳にまで
損傷が達してるなんてわからなかったはずです。第一、親だって折れた箸の残りも持
ってこなかったし、抜くとき折れたならわかったはずなのに、そんな話は・・」
「てめえっ！自分の手抜き診療を親のせいにしやがるのかっ！てめえみてえな野郎は
必ず務所に放り込んでやるっ！」
　毎日同じことの繰り返し。もうどのくらいたったのだろう。最近では、僕はやっぱり
手を抜いてたのかなぁ、と思う。カンファの準備で忙しかったもんなー。割り箸が脳
に達してる可能性も実は考え付いていた気になってきた。CTをとらなかったのはやっぱ
めんどくさかったからかな？取調官にそういったら最近優しいんだ。僕が手抜き診療を
したことを認めて、みんなにあやまったらそれでまるくおさまるんだって。

ついに俺は決心した。
みんなの前で夢精しよう。
そうすれば丸く収まるんだ！！

誰か続き書いて

俺は夢精した。なんと・・・

てゆか、ラストをどうまとめるつもりなんだろ。
それが見えなきゃ続きも書けないし。

続きは?

ここからの展開は医者板ではむずかしいな。
警察板と法律・弁護士板にもスレをたてて、
ここまでをコピペしてみたらどうか？、
パラレルに進行させてみるのも面白いと思われ。

乞！新章再開

ＤＱＮ教師に民事で訴えられて、刑事事件にもなってるの？
児童虐待で喉に割り箸が刺さった可能性とか、高額の保険金が
かかってるとか可能性としてはどうよ？

医者選びで寿命が決まる

ああこりゃこりゃ

ウム。ここからはミステリーがよいな、社会派より。
謎解きだぁ！

ぼけ。小説なんてどうでもいいんだよ、それよか、被告とコンタクトが
取れてるのなら、被告の考える真実を早く公表しろっつーの。

良スレの予感がしたが43でスレストッパーが現れておしまいだな。

えへへ。そうかい？

牛を良スレ破壊防止法違反で謙虚しますた！

＞子供の死体が横たわっていた。
縮んだ猿のように見えた。

人ひとり、悲惨な死に方してるんだぞ。

おまえの親の顔が見たいな。

これはフィクションです。

そういうこといってんじゃないの。
センスない医者様ばかりだな(藁。

２１世紀の医者は技術屋的になるっていうからな。
車の修理屋さんくらいに思って割り切ってつきあわせてもらうよ。

おや、その論調は農学部さんでしょ？　　　>>50

>>50
まあ、あなたの価値も自動車並みですから。

＞( ﾟ∀ﾟ)y─┛~~ さま
ここまでの状況はなんとなくイメージが沸くんですが、そこから先の展開が
表現しにくいっすよね。まあ、腕の見せ所ですかね。

age

保全sage

>>47
人の生き死にをどう表現するかは個人的問題
しかもこれは小説といういわば芸術だ

そういう場所に陳腐な倫理感を持ち込む貴様は人類の敵だ

すげー
本人が書いているのか？

そして夢精した

　

夢精にこだわる理由は？

朝、起きると
やはり
夢精
していた

sage

今度は「乳児たらいまわし事件」バージョン､ｷﾎﾞﾝﾇ

mente.