あれからもう、三日が過ぎていた。
明日美は、薄汚れた部屋の中で、後ろ手に回した両手首と、
同じく両方の足首とを、細い登山用のザイルでしっかりと縛られていた。
三日着替えていない制服は所々がすり切れている。
あれから何回、明日美は犯されただろうか。
この数日間、明日美は何人もの男を相手にしていた。
だけどその全ては、塔矢名人への想いを満たすためのものだった。
体を男達に預けていても、その心は塔矢名人だけを見ていた。
だからこそ、快感にも溺れていたんだ。
明日美を抱く、男達の心なんか気にもしないで……。
明日美の本当の気持ちを知ってしまった僕は、関係を断ち切った。
そしてもう一人、気づいてしまった男――椿は、明日美をここに閉じこめた。
「う……ぅん」
冷たいコンクリートの床に眠っていた明日美が目を覚ました。
目の前には、椿が置いていったオートミールの入った器がある。
明日美は、芋虫のように体をひねり、器に顔を近づける。
椿は、それ以外に食事の方法を許さなかった。
初めこそそんな屈辱的な食事を拒んでいた明日美だが、いつのまにか
受け入れてしまっていた。
がつがつと、口の周りを汚しながら明日美は食事をむさぼる。
もはや、人間としてのプライドになんか拘っていられないようだ。
その時、重そうな扉が開いた。椿だ。
はいつくばって食事をする明日美の無残な姿を見て、いやらしく笑う。
口の周りにオートミールをつけたまま、明日美が顔を上げた。
その眼には、涙がうっすらと滲んでいる。
「今日は、お客さんがいるんだよ」
ひどく高飛車な口調で言う椿の後ろに、人影が見えた。
「嘘……」
人影の正体に気づいた明日美は、絶句していた。
――つづく