奈瀬明日美とほのぼのしない?

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893オリバー物語・監禁編
あれからもう、三日が過ぎていた。
明日美は、薄汚れた部屋の中で、後ろ手に回した両手首と、
同じく両方の足首とを、細い登山用のザイルでしっかりと縛られていた。
三日着替えていない制服は所々がすり切れている。
あれから何回、明日美は犯されただろうか。
この数日間、明日美は何人もの男を相手にしていた。
だけどその全ては、塔矢名人への想いを満たすためのものだった。
体を男達に預けていても、その心は塔矢名人だけを見ていた。
だからこそ、快感にも溺れていたんだ。
明日美を抱く、男達の心なんか気にもしないで……。

明日美の本当の気持ちを知ってしまった僕は、関係を断ち切った。
そしてもう一人、気づいてしまった男――椿は、明日美をここに閉じこめた。
「う……ぅん」
冷たいコンクリートの床に眠っていた明日美が目を覚ました。
目の前には、椿が置いていったオートミールの入った器がある。
明日美は、芋虫のように体をひねり、器に顔を近づける。
椿は、それ以外に食事の方法を許さなかった。
初めこそそんな屈辱的な食事を拒んでいた明日美だが、いつのまにか
受け入れてしまっていた。
がつがつと、口の周りを汚しながら明日美は食事をむさぼる。
もはや、人間としてのプライドになんか拘っていられないようだ。
その時、重そうな扉が開いた。椿だ。
はいつくばって食事をする明日美の無残な姿を見て、いやらしく笑う。
口の周りにオートミールをつけたまま、明日美が顔を上げた。
その眼には、涙がうっすらと滲んでいる。
「今日は、お客さんがいるんだよ」
ひどく高飛車な口調で言う椿の後ろに、人影が見えた。
「嘘……」
人影の正体に気づいた明日美は、絶句していた。

――つづく