奈瀬明日美とほのぼのしない?

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839オリバー物語
僕は明日美との関係を、一方的に断ち切った。
明日美には二度と会わないと、心に決めた。
どうしてそうしようと思ったかなんて、僕のちっぽけな脳じゃわからない。
ただ、そうしなきゃいけない、そう思ったんだ。
――それなのに。

こんな形で明日美と再会するなんて。
いや、正確には再会じゃない、明日美は僕に気づいていないのだから。
薄暗い、雑居ビルに挟まれた路地裏だった。
明日美は、周りの様子なんか気にもしないで地面にひざまずいている。
壁に背中を預けた男が明日美の前に立っている。
まだ若い、明日美と同い年くらいの、背の高い男だ。
明日美は一心不乱に、男のものをくわえていた。
「んぐっ、んん……、んふぅ」
両手を壁について、首だけを前後左右に揺り動かし、時々上目遣いで男の顔を見る。
明日見に見つめられた男は、より大きな興奮を感じていた。
「ああ、いいぞ……、明日美……」
驚いた。男はどうみても高校生なのに、その声は……。
「んぐ、うれし、い、ですぅ。せんせぇ……」
男の声は、塔矢名人にそっくりだった。
声帯模写、なのか?
僕はすぐに理解できた。明日美は、新しい代用品を見つけたんだ……。

――つづく