ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.4

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1ほんわか名無しさん
◆このスレは何?
ツンデレの妄想でひたすら萌え続ける場です。どんな形でもいいのでアナタのツンデレ妄想を垂れ流してください。
◆前スレ
ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら0.3
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/honobono/1354321198/
◆過去ログ置き場
http://www.tndr.info/
◆Wiki(過去ログ置き場以前の過去ログ・更新停止中のまとめ等もwiki参照)
http://www45.atwiki.jp/viptndr/pages/1.html
◆ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら 専用掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/computer/21510/
◆うpろだ
http://tunder.ktkr.net/up/
http://www.pic.to/ (携帯用)
◆お題作成機
http://f3.aaa.livedoor.jp/~fake/odai/sel.cgi
http://masa.s23.xrea.com/
http://maboshi.yh.land.to/tundere/
◆規制中の人向け、レス代行依頼スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/21510/1275069975/
2ほんわか名無しさん:2013/03/26(火) 15:22:12.89 0
◆ツンデレって何?
「普段はツンツン、二人っきりの時は急にしおらしくなってデレデレといちゃつく」ようなタイプのキャラクターのこと。
◆このスレでよく使われる人物設定
男:デフォルトネームは別府タカシ。ツンデレに色々したりされたりする。
アッパー:デフォルトネームは椎水かなみ。感情表現豊かな基本形。
ダウナー:デフォルトネームはちなみ。ローテンションで「……」を多用して喋る。
お嬢:デフォルトネームは神野りな。お嬢様口調。というかお嬢様。
老成:デフォはまつり。「纏」と書く。わしは?じゃのう等、古風かつジジ臭い言い回しをする。
尊大:デフォはみこと。「尊」と書く。自信に満ちあふれたような、偉ぶった言い回しをする。
関西:デフォはいずみ。関西弁で喋る。
ボクっ娘:ボクっ娘ツンデレ。一人称「ボク」。デフォルトネームは決まっていない。
勝気:気の強い男勝りツンデレ。デフォルトネームは決まってい(ry
無表情:無表情ツンデレ。デフォルトネームは決まっ(ry
中華:中華系ツンデレ。「??アル」といった言い回しをする。デフォルトネームは決(ry
幽霊:幽霊ツンデレ。憑依したりする。アッパーだったりダウナーだったりする。デフォルトネームは(ry

山田:クラスメイトとして使われることが多い。いわゆる友人A。なぜかVIPPER口調で描かれがち。
友子:クラスメイトとして使われる事が多い友人B。好奇心が強かったり世話好きだったりいろいろ。

※名前の由来などについてはまとめサイト参照

・上記の名前や設定はあくまでデフォルト。
・投下許可は求めなくていいですが、長編SSについては、投下前に宣言をしていただけると他のSSとのごちゃ混ぜ防止になるのでスレに優しいです。
・書き上がってから一斉投下してね。 書きながら投下はイクナイ。
・感想レスは励みになるので大歓迎。
・投下のタイミングは自分で見計らおう。投下直前にはリロードを心がけよう。
・もしスルーされても泣かないこと。
・投下後に殊更に感想を求めたり、レスが付かないからって自虐したりすると、ツンデレに嫌われます。
・みんなも多少のことは大目に見てスルーしよう
3ほんわか名無しさん:2013/03/26(火) 15:23:01.39 0
ほのぼの板は容量オーバーでスレが終了する場合が多いと思われ、本スレに次スレ案内が貼られない可能性が高いのでそうなった場合

現行スレの案内をするスレ+
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/21510/1312991155/

を見るようにしましょう。
4ほんわか名無しさん:2013/03/27(水) 08:27:23.76 0
>>1乙ンデレ
5ほんわか名無しさん:2013/04/01(月) 06:59:09.16 O
ついに前スレ容量落ちか
6ほんわか名無しさん:2013/04/01(月) 08:19:32.21 0
「ね、今日は大事な話があるんだけど」
どんな話だ?言ってみろよ
「ずいぶんとオープンなのね」
お前の大事な話なんて明日の服の話位だろ?
「そんなんじゃない」
じゃあなんだよ
「……」
ん?
「……好きな人がいる、っていったら?」

「アタシにとってはすっごく大事な話なんだけど」
……本当か?
「……」
――いやまさかな!お前が誰かを好きになるなんてそんな冗談めいた話があるかよ!
「――冗談じゃないよ、好きな人はいる」
うわまじかよ……で、それがどうしたんだ?
「どうか、って言われても……どう思うのかなって」
そんなの個人の勝手じゃん。俺がどうこういえる話じゃないって
「じゃあアンタが好きっていったら?」
――は?
「……」
――えっと、それは……は、マジで言ってんのそれ?
「冗談」

「ただの冗談よ!、じゃまた明日ね」
え、あ、おい!どういう……あぁ、今日ってそういえばそうか、こりゃまんまと騙されたな


(言えない……これ以上は流石に無理……!)
7ほんわか名無しさん:2013/04/01(月) 10:17:49.53 O
>>6
純情過ぎるツンデレ可愛いwwwww
8ほんわか名無しさん:2013/04/01(月) 13:27:35.30 O
・ちなみんのエイプリルフール


女「……タカシ」
男「ん? 呼んだかちなみ」
女「……今日はエイプリルフールだ」
男「うん、で?」
女「……だから、私が今から言うことは……全部、嘘だから……」
男「妙な前置きだな。そこまで言うならその嘘を聞かせてみやがれ」
女「……あのね、あの……」
男「なんだ」
女「……」
男「宣言しといて黙るなよ」
女「……た、タカシのことなんか……大っ嫌い……」
男「えっ」
女「……うぅ///」カァッ
男「……あー、そうか。なら俺も言わせてもらうけども」
女「……うん」
男「俺もちなみのこと嫌いだ。今すぐこっから離れて一人になりてぇ」
女「……そう……。私も、タカシなんかと……知り合いたくなかった……」
男「それなら、もう二度と俺の前に顔見せるな。分かったか?」
女「……そっちこそ……私に声かけたりしたら……殴るからな……」
男「あぁ。大嫌いだよ、ちなみ」ギュッ
女「……タカシなんて、大嫌いだ」ムギュッ
9ほんわか名無しさん:2013/04/01(月) 15:11:25.50 O
>>8
仲良すぎだろwww

爆発しろ。くそうくそう
10ほんわか名無しさん:2013/04/01(月) 17:47:36.27 0
前置きに嘘って言ったら本当のことになるような....
11ほんわか名無しさん:2013/04/01(月) 17:52:45.12 O
それでも通じてるんだからいいジャマイカ
12ほんわか名無しさん:2013/04/01(月) 22:08:23.99 O
ちなみんを花畑に連れていって、花冠を作って被せてあげたい

花畑の真ん中にちんまり座らせて、真っ赤になった所を写真に収めたい

花畑から離れても花の匂いが取れなくて、まるで妖精みたいだねって言って照れさせたい
13ほんわか名無しさん:2013/04/02(火) 08:20:01.50 0
お題
つ・今日からツンデレと始まる新生活
14ほんわか名無しさん:2013/04/02(火) 17:02:41.96 0
>>12
本当の桃源郷だな
15一日遅れのエイプリルフール:2013/04/02(火) 23:30:22.19 0
「ほら、起きろ、馬鹿亭主」
「ん……」
 目を開けると、尊が腕組みをして冷たい目でこちらを見下ろしていた。
「いい年なんだから、いい加減に一人で起きるようにならないか」
「んぁ……はぁ、月曜か……鬱だ」
「朝から愚痴るな! さっさと着替えろ。だらしないのは嫌いだぞ」
「尊は朝から元気だなぁ……」
 昔から朝が弱い俺は、尊の声で目覚めるのが日課になっていた。もう……何年だ? 
 結婚したのは最近だけど、付き合い自体は高校時代からずっとだ。しかも俺が一人で起きると、なぜかその日は機嫌が悪い。
本当、尊はあの頃から変わってない――ん?
 俺は少しだけ違和感を感じて首をひねったが、その正体を掴むことが出来ず、のろのろと着替えにかかった。
 台所に行くと、尊が味噌汁のお椀を置いたところだった。
「いただきます」
 挨拶をして、純和風の朝食に箸を付ける。納豆もパックのまま出すような横着はない。ちゃんと小鉢に移され、薬味が添え
られている。
「まったく、月曜日ごときで朝から手間をかけさせるな」
「そうは言うけどさ、やっぱり幾つになっても休み明けは憂鬱だよ」
「ふん、本当に鬱々と朝から気分が悪い奴だ。こんな嫌いな奴と結婚してしまったとは、私もヤキ回ったな」
「ん?」
 俺は再び違和感を感じて、納豆をかき混ぜる手を止めた。なんだ、このもやっとした感じ……
「なんだ? さっさと食べろ」
「あ、おう……」
 いよいよ、本格的に苛立ち始めた声に急かされ、俺は醤油を取ろうと手を伸ばしかけて、止まった。
 尊の口元が、笑みを作っていた。
「どうかしたか? なんか嬉しそうだけど」
 何気なく尋ねたつもりだったが、相手は次の瞬間笑みを引っ込め、
「な、なんでもない! さっさと食べろ、馬鹿!」
と再び仏頂面で俺を急かすのだった。
16一日遅れのエイプリルフール:2013/04/02(火) 23:30:58.61 0
 ――さて。
 なんとなーく違和感を払拭できないまま出勤してしまったが、一度気になり出すと頭の片隅から離れない。
 特に今朝のやりとりでおかしいところは無かったと思うんだが……まぁ、尊が俺のことを『馬鹿』だの『愚図』だの罵るの
は概ねいつものことだと言って良いし、いい加減慣れてるからこちらも別に気にはしてないんだが……。
「おーい、別府。お前、○○企画への見積もり額、間違ってたぞ!」
「えぇっ!?」
 唐突に同僚に怒鳴られ、飛び上がった。○○企画と言えば我が社のお得意様で、見積もりと言えば――あれ?
「……それ、俺の仕事だっけ? 全然記憶にないんだけど」
「エイプリルフール!!」
 同僚の満面の笑みに、ビンタをたたき込む。
「ぶはっ!?」
「てめぇ、エイプリルフールならもうちょっと解りやすい嘘にしろや。半端にリアルで笑えねぇんだよ」
「だからって殴らなくていいだろ……この後、得意先回りなのに顔はやめてよ。ボディにして、あ、ごめん。すんません」
 そそくさと退散する同僚を見送りながら、俺は横目でカレンダーを見た。
 4月1日。
 エイプリルフール。四月馬鹿。
 嘘をついても良い、とされる日。
 ――あ。
 もしかしたら、と俺は携帯をいじった。丁度、一年前のメールを見てみる。
17一日遅れのエイプリルフール:2013/04/02(火) 23:34:04.92 0
『今日は何時頃帰れるんだ。大嫌いなお前のために、食事を作る身にもなってみろ』

「……むふん」
 口元から妙な笑いが漏れ、慌てて周囲を見回す。幸い、聞こえてはないようだ。
 尊は、愛情に大して素直になれない部分がある。だから、普段から俺に『好きだ』『愛してる』ということを言うのは非常
に苦手である。
 その反面、嘘も嫌いな性分だから、俺のことを面と向かって『嫌い』ということもない。それもそうだ、結婚までしておい
て『嫌い』もないだろう。
 結果として、俺には『のろま』とか『阿呆』と言った言葉が出力されるのだが、それは所詮照れ隠し。可愛いものだ。
 だが、今朝は朝一番で『嫌い』と言ってきた。それが感じていた違和感の原因だったのだ。
 年に一度、尊が俺に『嫌い』という日。それは年に一度、嘘が許される日なのだ。
 朝食のときの、嬉しそうな笑顔を思い浮かべながらメールを送ってみる。

『大嫌いな尊のために、今日は××堂のケーキを買って帰るよ』

 ほどなく返信が来た。


『お前のそう言うところ、大っっっっ好きだ』


終り
18ほんわか名無しさん:2013/04/03(水) 13:05:18.44 O
嫁尊さん可愛いよ可愛いよぉぉぉぉぉ!!!!!
19ほんわか名無しさん:2013/04/03(水) 15:18:02.19 0
エイプリルフールに嘘に託つけてしか言えない嫁みこちん可愛いよwww
20今更エイプリルフールネタ:2013/04/03(水) 16:35:39.01 0
「あずさー」
『ん?なに?』
「本日この日、4月1日はなんの日か知ってるか?」
『またそうやって僕のこと馬鹿にして。そんぐらい知ってるよ!エイプリルフールでしょ?』
「はは、さすがにそれぐらいは知ってるか」
『で、なに?ヒマなバカシと違って、僕は忙しいんだけど?』
「思いっきりゴロゴロしてるがな……まあいいや。これから、エイプリルフールにちなんだゲームをしようと思う」
『ゲーム?』
「そう。俺はこれから3つのことをあずさに伝える。そんで、これから一つだけ嘘を言うから、それを当てて欲しいんだ」
『ふーん……で?』
「ん?」
『ゲームって言うからには、もちろん僕にもメリットがあるんだよね?』
「ああ、見事正解したら、千葉にあるのに東京と名のつく夢の国に連れて行ってやる。もちろんおごりでだ」
『本当に!?』
「おう、ただし、不正解だった場合はこの話は無しだけどな」
『むむむ……』
「どうだ?乗るか?反るか?」
21今更エイプリルフールネタ:2013/04/03(水) 16:36:30.31 0
『むぅ〜……よし!やる!ぜったいタカシに連れて行ってもらうんだから!』
「よしよしその意気だ。じゃ、まず一つ目いくぞ」
『こい!』
「あずさ、ずっと俺と一緒にいてくれ」 キリッ
『…………ぇっ……?///』 ドキッ
「…………」 ジー
『…………ぁっ……そ、そう! ゲームね!うん!そうだよね!そうそう!』
「おう、じゃ、二つ目だ。いいか?」
『おおうよ!く、来るなら来い!』
「他の男のことなんか見ないで、ずっと俺だけを見てて欲しい」 ガシッ
『ぁっ……(肩……掴まれて……)///』 ビクッ
「ずっと好きだったんだ。俺と……恋人になってくれ」 ギュッ
『(うあうあーっ!抱きしめられちゃってるー!?)/////』 ドキドキ
「……っと、これで三つだ」
『…………/////』 ポワー
「……あずさ?」
『えっ!? あ、うん!?』
「だからほれ、ゲームの続き。俺が言った中で、どれが嘘でしょうか?」
『えっ、う、嘘!?』
「おう」
22今更エイプリルフールネタ:2013/04/03(水) 16:37:37.29 0
『あ、そ、そっか……ゲームね……えーっと……うんと……』
「…………」
『(一つ目が嘘だとしたら……ずっと一緒にいて欲しくはないけど……タカシは僕のことがす……好きで/////……ずっと自分のことだけを見てて欲しいとか思ってて……)/////』
『(二つ目が嘘だと……タカシは僕のことがやっぱり好きで……ずっと一緒にいたくて……)/////』
『(三つ目は……た、タカシは僕のこと好きなわけじゃないけど……ずっと一緒にいたくて……自分のことだけを見てて欲しい……?)/////』
『(な、なんかいろいろおかしい……どれが嘘でもなんとなく矛盾してるような……ぅうー!どうすれば……っていうかなんか全部同んなじような意味だと思うけど……一体どれが嘘なのー!?)』
『(こ、個人的には三つ目は嘘じゃないほうが……って僕はなに考えてんだーっ!)/////』
『』 ウー、ウー、グヌヌヌヌ…
「(バカだなぁ……)」 ニヤニヤ
23今更エイプリルフールネタ:2013/04/03(水) 16:38:20.60 0
終わり
さて問題です、ボクっ娘は夢の国につれていってもらえたでしょうか?
答えはWebで
24ほんわか名無しさん:2013/04/03(水) 18:00:44.26 0
おい










おい
25ほんわか名無しさん:2013/04/03(水) 18:21:30.25 0
「千葉にあるのに東京と名のつく夢の国」って、本当にデ○ズ○ー○ン○なのか?
26ほんわか名無しさん:2013/04/03(水) 20:34:02.51 0
>>25
袖ヶ浦にある東京ド○ツ村じゃないの?
27ほんわか名無しさん:2013/04/04(木) 00:36:29.98 0
家に帰って部屋に入ったら友ちゃんがボクのベッドに寝っ転がって漫画読んでた
ボクに気づいて、「おかえりー」とか言ってんの。いや、ここボクの部屋なんだけど
そしたら「今日は編集作業する約束だったでしょうが。先にあんたの家で待ってて何が悪いの」だって
確かにそうなんだけど、友ちゃんがあまりに自然にくつろいでるから、なんだかまるで一緒に住んでるみたいな感じがしてこっ恥ずかしかったんだよね
それ聞いて友ちゃん、「ば、ばかじゃないの」って。しかも赤くなった顔見られないように漫画で隠しながら
もうなにこの子。ボクを萌え殺す気?
たまんないから友ちゃんの隣に寝転がって友ちゃんを抱きしめてなでなでモード突入
最初は嫌がってたけど最近は諦めたのかされるがままだ
30分くらい続けてたけど、ふと思い立って友ちゃんの耳元で囁いてみた
「編集、しなくていいの?」
そしたら友ちゃんは
「…そんなこと…とっくにどうでも良くなっちゃってるもん…早く気づけ…ばか」
だってさ

友ちゃんかわいい
28ほんわか名無しさん:2013/04/04(木) 11:04:58.78 0
今日の暴れん坊将軍のヒロイン的な人が、尊みたいで可愛い。
29ほんわか名無しさん:2013/04/04(木) 11:41:51.74 0
お題
つ・ツンデレがご禁制の品に手を出す商いをしていたら
30ほんわか名無しさん:2013/04/04(木) 13:15:01.88 O
タカシの春画ですね分かります
31ほんわか名無しさん:2013/04/04(木) 23:14:52.86 0
新学期だよ
お題・もしツンデレと男が3年連続同じクラスになったら
32ほんわか名無しさん:2013/04/05(金) 18:11:17.55 0
春はツンデレとの出会いの季節
33ほんわか名無しさん:2013/04/06(土) 14:44:53.66 0
友ちゃんもふもふ
34ほんわか名無しさん:2013/04/06(土) 16:44:59.52 0
お題
つ・ツンデレに今晩天気が荒れるらしいから早く帰った方がいいぞって言ったのに、ツンデレがグズグズしてなかなか帰ろうとしなかったら
35ほんわか名無しさん:2013/04/06(土) 19:16:01.46 0
容量落ちしてたのにも新スレ立ってたのにも今の今まで気づかんかった…

ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら669.3
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1365243222/
36ほんわか名無しさん:2013/04/07(日) 01:18:59.16 0
本スレの流れを見てて、俺も昔のSSを読み返してみた。
圧倒的なダウナーと老成とちなみん率だった。幸せだった。
37ほんわか名無しさん:2013/04/07(日) 01:29:04.50 0
俺は8割くらい山×友や…
38ほんわか名無しさん:2013/04/07(日) 01:59:42.94 0
俺はみこちんばっかりだわ。
いろいろ思い付くけど文章に出来ない悲しさよ…
39ほんわか名無しさん:2013/04/07(日) 06:42:31.83 O
俺は妄想を文章にする時間がない時は簡略にまとめたり箇条書きにして投下するよ
大切なのは文章力じゃなくツンデレに萌える心だもの
40ほんわか名無しさん:2013/04/07(日) 12:22:06.02 0
>>39
「大切なのは文章力じゃなくツンデレに萌える心」

名言出ました
41ほんわか名無しさん:2013/04/07(日) 12:41:41.97 0
箇条書きでも十分萌えられるよね
行間妄想することも出来るからそれはそれで
42双子・告白・髪飾り その12:2013/04/07(日) 13:57:37.05 0
スレも新しくなったので、長編の続き行きます

前スレまではこっち
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2735.txt
43双子・告白・髪飾り その12 1/5:2013/04/07(日) 14:00:01.39 0
 その一言で、私はもう、何も言う事は無くなった。彩花は最初から全部、承知だった
んだ。つまりは、私は上手く彩花に乗せられたのだと。しかし、それでも不思議と怒り
は湧いて来なかった。それくらい彩花は、この告白に真剣にぶつかっているのだから。
「気をつけて出て来て。服を枝に引っ掛けたりしないでね」
「分かってるわよ、そんなの。もう、手を引っ張らなくていいから」
 植え込みから出て来て、タカシの前に立つ。彩花はそう言ってくれたけど、やっぱり
タカシの前に立つと、盗み聞きをしていた事が気まずくて、私はそれをごまかす為に綾
香にビニール袋を突きつける。
「はい、頭痛薬。もう必要ないかもしれないけど!!」
 すると今度は、彩花が私に向けてバツの悪そうな笑顔を浮かべた。
「ありがとう。それと、本当にゴメンなさい香菜美。でも、どうしようもなかったんだもの」
 頭を下げる彩花に、私は憤慨して鼻を鳴らした。
「この卑怯者。どうせだったら、知らん振りして、全部済ませちゃえば良かったのに、
いちいち引き摺り出して恥まで掻かせて。もう最低っ!!」
 彩花は全部分かってくれているからいいけど、タカシがどう思うかなんて分からない。
軽蔑とまでは行かなくても、呆れられてはいるかも知れない。それなのに、わざわざ私
の存在をバラして、しかも一番その場に居たくないシーンに立ち合わせるなんて、本当
に酷いと腹が立つ。しかし、彩花はチョロッと舌を出して首をすくめた。
「別に悪気はないのよ。でも……どうしても、香菜美にもこの場にいて欲しかったから」
「いいから早く済ませなさいよっ!! どーせ耳塞ごうが何しようが、聞こえるものは
聞こえるんだから、ちゃんと聞いててあげるわよっ!!」
 彩花に怒鳴り散らしてから、私は憤然と背中を向けた。せめて、視覚の内には入れた
くなかったのだ。そんな私を、クスリと小さく笑ってから、彩花がタカシに告げた。
「お待たせしました、タッくん。私……椎水彩花は、別府タカシ君に、今から大切なお
話をさせて貰います」
44双子・告白・髪飾り その12 2/5:2013/04/07(日) 14:02:07.21 0
「大切なお話って……え? え? ちょっと待ってくれよ。そんな、何で急に……って、
そんな事言われても……」
 改まった彩花の態度に、タカシの声が動揺を帯びる。しかしその言葉が途中で途切れ
る。彩花が、何がしかして、言葉を封じたのだろう。
「大丈夫。タッくんは、聞いていてくれるだけでいいから。少なくとも、私の話が終わ
るまでは、相槌を打つ以外の発言は控えて下さい。その……ちょっと、勇気が必要だから……」
 ハキハキとした口調から一転、最後に弱気な呟きが聞こえる。するとタカシが、一つ
吐息をついた。それは、聞く覚悟が出来たという、意思表示のように私には思えた。
「分かった。彩ちゃんがそう言うなら、黙って聞いてる。真剣な話……みたいだしな」
「ありがとう」
 同意するタカシに、彩花の畏まったお礼が重なる。そして、二呼吸ほど間が空き、つ
いにその言葉が、彩花の口から発せられた。
「……私……私、椎水彩花は、ずっと……ずっと前から、別府タカシ君の事が、大好き
でした。幼馴染としてじゃなくて……ううん。それはもちろんなんだけど、それ以上に、
一人の男の子として、タッくんのこと、愛してます」
 私は、グッと歯を食いしばった。こんな場所に立ち会わされるなんて、やっぱり辛く
て堪らない。さっきは隠れていたから、まるで遠いところから眺めているような非現実
感が私の感覚を麻痺させていたけど、今こうして告白の現場にいると、やっぱり様々な
悔しさや悲しさが滲み出てしまう。何とか自分を抑えよう、みっともないところを見せ
ないようにしようと必死で心を制御する。しかし、次の彩花の言葉は、その防御を、い
とも容易く打ち破った。
「そして、私の大切な双子の姉…… 椎水香菜美もまた、別府タカシ君の事が大好きな
んです。私と同じか、ひょっとしたらそれを超えるくらいに」
45双子・告白・髪飾り その12 3/5:2013/04/07(日) 14:03:40.18 0
「ええええええええええーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!」
 私は思わず絶叫した。同時に身を翻して彩花に詰め寄る。
「ちょっと彩花!! あああああ、アンタ何言ってんのよ!! わ、わ……私がタカシ
の事を好きだとかって……今日はアンタが告白する日だったんでしょうが!!」
「だからしたよ? 私も、香菜美もタッくんの事を愛してるんだって」
「だからそうじゃなくってばーっ!!」
 全く心の準備も出来てないのに、いきなり彩花の口から私の想いをタカシに告げられ
て、私は動揺と混乱で何をどうしたらいいのかすら、全く考えられなかった。ただ、思
いついた事を片端から言葉に乗せる。
「彩花、アンタバカじゃないの? 何だって人の事を勝手に巻き込むのよ!! そんな
事言って良いだなんて一言も言ってないでしょ? こっちは全然そんな心の準備とかし
てないし、大体アンタだって独り占め出来るチャンスを逃してどうすんのよ!!」
「落ち着いて、香菜美。まずは私の話を聞いてってば」
 彩花が宥めようとするが、もちろんそんな事で収まる訳が無い。誰だって自分の好き
な人に、想いを勝手に告げられたら怒るし動揺するに決まっている。すると彩花は、お
もむろに両手を私の左胸に当てて、グニッと掴んだ。
「香菜美。どうどう」
「にゃあああっ!!」
 胸を揉まれて、私は思わず変な叫び声を上げてしまった。すると彩花が、真剣な眼差
しで私をジッと見つめ、互いの視線が交錯したと知るや、ニッコリと微笑み掛けて来た。
「今からちゃんと説明するから。ね?」
 それから、私から離れると今度はタカシに向き直った。
「ゴメンね、タッくん。何が何だか良く分からなかったでしょう?」
「いや、その……そりゃ当たり前だろ!!」
 彩花が頭を下げると、呆然として何が何だか分からない様子でこっちを見つめていた
タカシも、さすがに興奮気味に叫んだ。
46双子・告白・髪飾り その12 4/5:2013/04/07(日) 14:05:01.46 0
「何でこんな事になってんだよ!! 彩ちゃんはともかく……って言うか、その……さ
っきベンチで言わなくちゃならないことがあるって告げられた時からさ。もしかしたら
……って、期待……っつーか、予想はあったさ。いや、ずーっと考えてたよ。俺の都合
のいい妄想じゃないかとか何とかさ。けど、もし好きだって言われたら……っていう思
いもずっとあって、心の準備もある程度は出来てた。けど、香菜美もだなんて……いや。
本人の口からじゃねーし、彩ちゃんの言葉じゃなかったら絶対信じなかったと思うけど、
けど……」
「本当よ」
 冷静に、コクリと頷いて告げてから、彩花は人差し指をタカシの口に当てて、それ以
上の発言を封じる。
「私達、ずっと前からタッくんの事が大好きだったの。香菜美は素直じゃないから誰に
も気付かれないようにしていたけれど、私は知ってたし、香菜美も私には誤魔化せないっ
て知ってたから、だからお互いの秘密にしてたの」
「それにしたって、今言う事じゃないでしょ? 彩花の……大切な時なのに……」
 思わず私は、それに口を差し挟んだ。彩花が何で、下手をしたら自分の告白を犠牲に
するような事を言ったのか、全然分からなかったから。すると彩花は、私に向き直って
首を振った。
「私じゃない。私達の……でしょ? 香菜美」
「え……?」
 まるで当然のように答えられて、私は思わず問い返してしまった。すると、彩花は私
のすぐ傍に立つと、優しく笑い掛けた。
「だって、言ったでしょ? 私は香菜美にだったらタッくんを取られても仕方が無いっ
て。香菜美も……そうだって。だから、私はタッくんにキチンと、公平に私達を見て、
選んで欲しかったの。私だけ抜け駆けしたら、本当は香菜美の事がより好きなのに、タッ
くんは優しいから、私を選んじゃうかも知れない。だけど、香菜美もタッくんの事が好
きだって知ったら、本当に好きな方を、真剣に考えて選んでくれるでしょう?」
47双子・告白・髪飾り その12 5/5:2013/04/07(日) 14:06:06.64 0
 彩花の説明を聞き、私はいかにも彩花らしい、人の心を思いやった考え方だと思った。
本当にこの子は、どこまでも優しいなと。生まれた時からずっと一緒でも、私の持って
いない一面には感心させられる。時として暴走するのが玉に瑕だが。今回のように。
「それはいいんだけど、だったら最初からそうだって言いなさいよ。告白するっていう
から、私はてっきり、彩花だけが……」
 取り乱した事を恥ずかしく思いつつ、そうさせる原因となった彩花を恨みつつ文句を
言うと、彩花はぺロリと舌を出して悪戯っぽく笑った。
「だって、それは香菜美の勝手な思い込みでしょ? 私はタッくんに告白するとは言っ
たけど、何をどうとまでは言わなかったもの」
 そこでタカシが会話に割って入るように手を上げた。
「あのさ。その……一番大切な所はその……分かったけどさ。ちょっと、その……経緯
を説明して貰えないかな? いや、その……かいつまんででも、いいけど」
 タカシからしてみると、どうしてこんな展開になったのか、イマイチまだ良く掴めて
いないようだった。それはそうだろう。いきなり幼馴染二人が自分の事を好きだったな
どと告げられても、現実感が乏しいに違いない。
「うん。実はね……」
48ほんわか名無しさん:2013/04/07(日) 14:08:00.29 O
続く
次回でラストです



妄想を欲張り過ぎるとこういう事になるんだという
49ほんわか名無しさん:2013/04/08(月) 23:40:37.72 O
双子ちゃんペロペロ
50ほんわか名無しさん:2013/04/09(火) 12:21:28.36 0
お題
つ・男が自分で料理を作っているという話に、そんなのマズいに決まってると言って譲らないツンデレ
51ほんわか名無しさん:2013/04/09(火) 22:20:59.45 0
みこちんの目の前でねこじゃらし振ったらどうなるの
52ほんわか名無しさん:2013/04/09(火) 22:45:18.55 O
興味なさそうなフリをしながら 目で追う→目で追う→目で追う→我慢できずついにタックル
53ほんわか名無しさん:2013/04/10(水) 00:22:05.09 0
真ん中のお題作成機
追加削除可能のを充実させて、もっと妄想の幅を広げようずwww





最近ちょっとノーマルの方に飽きが来た感も……

とりあえずちょっとだけ入れて来た
54ほんわか名無しさん:2013/04/11(木) 00:22:39.09 0
タカシとツンデレが入学式で数年ぶりに再会したらどうなるの?
そのときタカシが思わずツンデレの名前を叫んじゃったらどうなるの?
そこから噂が広まって、それが友ちゃんの耳に入っちゃったらどうなるの?
551/3:2013/04/11(木) 02:25:55.34 0
【男が自分で料理を作っているという話に、そんなのマズいに決まってると言って譲らないツンデレ】

 最近は親が忙しいのか、夕食時に一人ということが結構あり、そのため一人で適当に飯を作って食ったりしている。
「聞いたよ!」
 そんなある日、教室へやってくるなりボクっ娘が突然詰め寄ってきたのでびっくりした。
「いや、そんなことはない」
 とりあえずそれを否定して教室の中に入ろうとしたら前を遮られた。
「勝手に嘘にするなっ! そじゃなくて、そじゃなくて! 最近料理作ってるらしーじゃんか」
「ああ、はい。男の料理をつくる俺はかっこいいだろう。なので股を開け」
「朝から今日も下品っ!」
「すいません」
 ぺけぺけ叩かれたので、素直に頭を下げる。
「もー……。とりあえず席にいこ?」
「ああ、はい」
 入り口でドタバタしても他の人の邪魔になるので、そそくさと移動して席に着席。
「そこボクの席だよっ!」
「ああ本当だ。言われてみれば席がおしっこで濡れててびしょびしょだもんな」
「勝手に人をおもらしにするなっ!」ポカポカ
「わはは」
 軽いボケで満足したので、今度こそ自分の席に着席。
「で、なんだっけ。俺の家政婦になるって話だっけ」
「そんな話は存在しないよっ! ボクじゃなくて、タカシの話だよっ!」
「俺に家政婦になれと言うのか」
「た、タカシが執事に……?」
「いや、執事でなく家政婦」
「し、執事……タカシが、執事……」
 何やらボクっ娘がアヘ顔ダブルピースで夢見心地になってるので、怖いと思いました。
「……はっ! ぶるぶるぶる。そ、そうじゃないよ!」
「アヘ顔ダブルピースはもういいのですか」
「そんなのしてないよっ! ちょこっとだけぼーっとしてただけだよっ!」
562/3:2013/04/11(木) 02:26:31.72 0
「『ちんぽには勝てなかったよ…』とか言え」
「今日もえっちえっちえっち!」ポカスカ
「わはは」
「うぅー……。あのさ、そじゃなくてさ。料理、作ってるんだよね?」
「ああ、はい。食いたいのか?」
「いいのっ!?」キラキラ
「ものすごい食いつき方だな。そんなに食うに困ってるなら、今日から毎日俺の家に来い。大したものはないが、少なくとも飢えることはないぞ」ナデナデ
「あ、あぅ……ち、違うよ。別にそんなんじゃないよ。……うー、時々優しいから困るよ」
「ただ、お前が食材になる可能性があるので、それだけ気をつけてください」
「と思ったら悪魔だった!」
 この娘はリアクションが素晴らしいので話してて飽きないなあ。
「で、いつ来るんだ?」
「ふぇ?」
「や、飯食いに来るんだろ。いつがいい? 今日か? 明日か?」
「わっ、わわっ、話がなんだか進んでる! そ、そじゃないよ!」
「んぅ?」
「え、えと……こほん。えーと、タカシなんかが作る料理なんて、へたっぴに決まってるよ」
「ボクっ娘が突然棒読みに過ぎる声で語り出した」
「ぼ、棒読みなんかじゃないよっ! あと、ボクっ娘ってゆーなっ!」
「はいはい。んで、俺の料理が下手だとしたら、どうなのだ?」
「あ、えっと……ま、まずいだろーけど、タカシは上手と言ってはばからないから、ボクが実際に食べて評価してあげるよ!」
「や、別に自分で上手なんて言ってはいないのだが」
「あ……」
「自分が食うだけだから、適当に作ってるのでお世辞にも美味いとは言い難いし。や、まずくはないとは思うのだけどね」
「う、うぅー!」ポカスカ
「なんか突然殴りかかって来た。とてもびっくりしたが、梓はヘナチョコで力がないのが幸いして、俺へのダメージは0だ!」
「へなちょこじゃない! あと、なんで普段は無駄にえらそーなのに、自分の料理の評価だけまともなんだよっ!」
「無駄に偉そうとか言うない。偉いんだよ、俺様は」
「ほら! そーゆー感じを自分の料理にも出せよなっ!」
573/3:2013/04/11(木) 02:27:05.26 0
「む。では、俺の料理も偉い」
「そーじゃなくてっ! 料理が上手って感じのほう!」
「いやいや、そんなそんな」テレテレ
「謙遜じゃなくて、これは確実に意地悪でやってるよっ!」
「見事な慧眼です」ナデナデ
「け、けーがん?」
「あー……観察力が高い、って感じかな」
「あ、そ、そなんだ。……し、知ってたけど!」
「…………」ナデナデ
「優しい目でなでんなっ!」
「わはは。で? どうする、食いに来るか?」
「え? ……い、いーの?」
「なんか食べたいみたいだからな。それに、一人で飯食うのも正直寂しかったし、お前が来てくれると嬉しい」
「…………」
「どしました」
「……タカシってさ、そーゆーコト、ふつーに言うよね」
「なんだ、そーゆーコトって」
「いーケドさ。……でも、そーゆーコトを誰にでも言うのは、しょーじきどーかと思うケドね、ボクは」
「だから、なんだ。そーゆーコトって」
「……うー」グニー
「人の頬を引っ張るない」
「……はぁっ。まあいいよ。んじゃ、寂しがり屋さんのタカシのために、明日行ってあげるよ♪」
「そか、分かった。じゃあゴム買っておく」
「そーゆーことはやんないっ!」
「学生の内は避妊した方が良いと思うのだけど」
「やんないって言ってるだろっ!」
 赤い顔でぺこぽこ叩いてくる梓は可愛いなあと思った。
58ほんわか名無しさん:2013/04/11(木) 08:18:31.53 0
朝からニヨニヨwwwww


ボクッ娘は可愛いなあ
59ほんわか名無しさん:2013/04/11(木) 12:45:09.60 0
さすがボクッ娘可愛いなwww
60ほんわか名無しさん:2013/04/11(木) 14:00:24.47 O
ボクッ娘は俺の嫁
61ほんわか名無しさん:2013/04/11(木) 23:44:22.18 0
ボクっ娘の兄になって、無邪気に「にーちゃん」って呼ばれたい
62【代行スレ>>716】:2013/04/12(金) 01:57:45.87 0
・両親が再婚して義兄妹となってしまった男とツンデレ
・今まででお互い苗字で呼び合っていたので、同じ苗字になってしまってどう呼ぼうか悩む男とツンデレ
・お互いの呼び方をどうしようか話し合うも、どうしても男を『兄』として認めたくないツンデレ
・ツンデレにお互い名前で呼び合おうと進言する男
・急にお互い名前で呼び合い始めたら学校で変に勘ぐられてからかわれると反論するツンデレ
・男「じゃあ学校では今まで通りで、家では名前で呼び合おうZE!」
・ツンデレ「(そんなのまるで皆にに秘密で同棲してるみたいじゃん!)」
・恥ずかしいけどそれもイイかもと思ってしまったツンデレ
・そんなこんなで数ヶ月後、油断して友達を自室に連れて行くと、これまた油断したツンデレが男のベッドで安らかに眠っているのを目撃されてしまった男
・最近距離の近くなった二人の関係を誤解していた友人達がさらに誤解したおかげで噂は学校中に広まってしまったようです
・開き直る男
・男「俺たち実は同棲してるんだ!」
・ツンデレ「!!?」
・驚愕するもほぼ事実で状況証拠も残っているのでどうしようもなく赤面するツンデレ
・(中略)
・結婚
・(中略)
・二人は幸せな家庭を築きましたとさ、チャンチャン♪
63ほんわか名無しさん:2013/04/12(金) 08:54:59.68 O
ハッピーエンドすぐるwwww

GJ!
64ほんわか名無しさん:2013/04/12(金) 11:45:58.12 O
>>62
ついにセリフ入りにwww
GJ!!
65ほんわか名無しさん:2013/04/12(金) 13:29:23.38 O
日本の法律上、義理の兄妹って結婚できるの?
66ほんわか名無しさん:2013/04/12(金) 17:54:35.71 0
>>62
素晴らしい!そして素晴らしい!
GJ!!

例え現実の法律で無理でも義理の兄妹が結婚できる世界線を舞台にすればなんら問題ないな!
67ほんわか名無しさん:2013/04/12(金) 18:06:56.96 0
スレチな話だが血縁が無ければOKじゃなかったかな?
68ほんわか名無しさん:2013/04/12(金) 18:45:45.27 O
>>67
そうなんだ。いや正直空気読まない質問かなぁとも思ったが気になったもんで
サンクス
69ほんわか名無しさん:2013/04/12(金) 21:54:08.90 O
今書いてるのに行き詰まったからお題ネタ


・くせっ毛なのを気にしてストパーをかけたツンデレ
・新しい髪型を男に見せると、あまり反応がよくなかったようです
・いつもはどんな髪型にしても似合うというのに、不審に思ったツンデレは男を問い詰めました
・男はツンデレの柔らかなくせっ毛が大好きだったようです
・髪の毛のくせがコンプレックスだったツンデレですが、男が好きだとあらば黙ってはいられません
・すぐにもとの髪型に戻し、男に頭をなでるよう迫りました
・ツンデレはコンプレックスがやや解消され、男はツンデレの髪を毎日愛でています
・WIN-WINの関係とは恐らくこういうことを言うのでしょう……。
70ほんわか名無しさん:2013/04/12(金) 22:17:51.37 O
もいっちょお題ネタ

・幼くして父親を亡くしたツンデレに、母親の再婚の話が舞い込みました

・男は素直におめでとうと言いましたが、ツンデレはどこか浮かない顔です

・男はツンデレの態度を敏感に察し、何か困ったことがあるのかと尋ねました

・ツンデレは、新しい父親と上手くやっていけるのか不安だと言いました

・今まで女手一つで育ててもらったため、ツンデレは男性に対してどう接するべきか分からないそうです

・男はそんなツンデレをカラカラと笑いとばし、何も不安がる必要はないと断言しました

・男は、自分の母親が選んだ人なら信用してあげるべきだと、ツンデレの目を真っ直ぐに見て言いました

・そしてもしも父親が、我慢できないくらい最低な人間なら、俺がお前の代わりにぶん殴りに行ってやると、男は拳を握りました

・男の力強い励ましにツンデレは少しだけ涙し、新しい父親を笑顔で迎える決心をしました

・半年後、そこには父親と写った写メを嬉しそうに見せるツンデレがいました

・ツンデレと父親の関係は、なかなか良好なようです

・ただ、娘の口からまるで恋人のように語られる男の話を聞くと、父親は少し複雑な顔をするそうです

・そう遠くない未来、この二人は意気投合することになるのですが、それはまた別のお話……。
71ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 01:19:32.99 0
犬を飼っているタカシがツンデレの目の前で、
「よしよし、お前はかわいいなあ」って言いながら犬をなでなでし始めたらどうなるの?
72お題「70」【一日目】:2013/04/13(土) 01:24:01.71 0
「……ぺったりしてるなぁ」
「でもさらさらしてる、……へへ」
「っといけない、引き締めないと」


「っはよー」
『おう、おは……』
「ん、どしたの?」
『……』
「え?」
『……あらやだ、まっすぐ……』
「気付いた!? 実は頑張ってストパーかけたんだー」
『あ、あぁ……そっか、いいんじゃない?』
「……なんで」
『へ?』
「いつもと反応が違う」
『どういうことだよ』
「いつもはそんな自信なさげじゃない」
『そうか?』
「いつもなら会った瞬間にもっと明るく『おー髪型変えたんだなーいいよいいよー』とか言う」
『そ……そうか?』
「うん」
『……いや、ね』
「うん」
『俺結構猫っ毛の方が好きなのね』
「……うん」
『ぐしゃってするとふにゃってするのってかわいくない?』
「……なによそれ! くっそ、今に見てなさいよ!」

『……今に見てろってどういう意味だよ』
73お題「70」【二日目】:2013/04/13(土) 01:26:48.05 0
「……よし、これでおっけー」
「でもセットめんどいしなんでこんなの好きなんだろう?」
「いや……ううん、チャンスにするのよ、アタシ」


「っはよー!」
『おう……キェァァァァァァモドッタァァァァァ!!!!!』
「なんでそんなにびっくりするのよぉっ!」
『あ、すまん取り乱した……でもなんで戻したんだよ?』
「……あんたが言うから」
『……え?』
「ぐしゃってするの、好きなんでしょ?」
『うん』
「……なででいいよ」
『え』
「ほらこれ! 戻したんだからやればいいじゃないの!」
『……うーん……何かこう違うような』
「――」
『……失礼』
「ふにゅ」
『あーやべーぐしゃぐしゃにしたくなるー』
「それはやめろ」
『えい』
「あ、うわちょっとマジでやめてってば……!」
『やだ』
「いやほんとこれセット面倒」
『えへーぐしゃぁー』
「やめろっていってんだろーが!m9」
『バニホっ!!』

「……これ、……いいかも……セット面倒だけど」
74ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 01:29:08.74 0
これは良いイチャイチャ
GJ!
75ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 02:49:14.91 0
>>71

 吾輩は犬である。名前はポチという。
 ご主人には拾ってもらった恩があるとはいえ、少し安直すぎる名前である。この身が、人語を解するように
なった暁には、一つ抗議をしてみたいものだ。
「おーよしよし、お前は可愛いなー、ポチー」
 今日のように天気が悪く、風も強い日は、危ないので散歩には連れて行ってもらえない。しかし、その代わり、
ご主人に手ずから、じっくりとブラッシングしてもらえるので、吾輩としては申し分の無い心地よさである。
 ……こちらを、ジロリと睨みつけている者さえ居なければ、更に言うことがないのであるが。
「はん、バッカみたいっ。高校生にもなって、飼い犬にそんなに熱を上げたりしてさ」
 そう悪辣な難癖をご主人に投げかける少女の名は、かなみ殿と言う。ご主人とはいわゆる幼馴染という間柄らしく、
よく我が家にやってきては、いつもなんだかんだとご主人に文句をつける御仁である。それは、犬畜生の吾輩から見ても、
理不尽としか言い様のないような物ばかりなのであるが、ご主人はいつも嫌そうな顔ひとつしない。ご主人の器が大きいと
言うよりは、おそらく付き合いが長く、かなみ殿の扱い方をよく知っておられるからであろう。
「別にいいだろー、高校生がペットを可愛がってもさ」
「よくないわよ。大の男が、デレッとしちゃってさ、みっともないったらないわ」
 別に、ご主人はそれほど締りのない顔をしたりはしていないのだが、かなみ殿はいつものごとく、ご主人を罵倒する。
ご主人、慣れたもので肩をすくめるだけでやり過ごす。
「あーはいはい、みっともなくて悪かったな」
「ふん……分かればいいのよ、馬鹿」
 かなみ殿の方を見もせず、我輩を撫ぜながら答えるご主人に、かなみ殿は拗ねたような声で呟いた。大方、ご主人に
構ってもらえず寂しいだが、その性格からとても言い出せないのであろう。人間とは難儀な生き物である。
76ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 02:50:57.50 0
「…………」
 "ジー"っという音が聞こえてきそうなほど、ご主人の方を執拗に睨み続けるかなみ殿に、ご主人も思うところ
があったのか、我輩を撫でる手を止めて、口を開く。
「さっきから、やけに噛み付いてくるけど……かなみ、お前もしかして……」
「な、何よ……?」
 かなみ殿、少し顔を赤らめて、何かを期待するようにご主人を上目遣いで見つめる。
「お前も、ポチを撫でたいのか?」
「何でそうなるのよ!?」
「じゃあ、お前もポチみたいに撫でて欲しかったとか? いやいや、まさかなー」
 ご主人、ニヤニヤしながら、かなみ殿をじっと見つめる。鈍感なふりをしていたが、どうやら最初から、かなみ殿
の気持ちには気づいていたようである。まったく、我が主ながら食えない御人だ。
「な、そ、そんなわけないでしょ……馬鹿」
 かなみ殿は、顔を真赤にしつつ反論するが、その声には先程までの覇気はなく、その様は陥落寸前の城砦を思わせた。
「へえー、そうなると、何でかなみが怒ってるのか、俺には全然わからないなあ?」
 わざとらしく、しらばっくれるご主人に、吾輩は呆れながらも、その膝の上から降りた。
 何故なら、この後の展開が予想できたからである。人間の言葉で言うところの"空気を読む"というやつだ。
「うぅ〜、わかってたなら、最初から構いなさいよぉ、馬鹿ぁ!」
 最早誤魔化すのは無理だと悟ったのか、かなみ殿はご主人の胸に飛び込んだ。
 ご主人もそれをわかっていたのか、驚くこともなく抱きとめると、先程まで我輩にしていたように、かなみ殿の
頭を撫で始める。
77ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 02:52:37.09 0
「ごめんごめん。犬のブラッシングって大切だし……それに、ポチに嫉妬してるかなみが可愛くて、わざと
焦らしちゃうのがやめられなくてさ」
「う〜、馬鹿馬鹿っ、もう許さないんだからぁ」
「それは困るな。どうにかして許してもらえませんかね?」
「じゃ、じゃあ……ポチにしてたの同じくらい……ううん、倍の時間撫でてくれたら許してあげる」
「はいはい、お安い御用ですよ、お姫様」
「子供扱いすんな、馬鹿っ…………ばか」

 最早、犬の出る幕は無さそうなので、吾輩は退散させて頂くとしよう。まったく、我輩をダシにして、いちゃつく
のはいい加減にして貰いたいものである。
 それにしても、夫婦喧嘩は犬も食わぬとはよく言うが、恋人同士の睦言も甘ったるくて食えたものではないと、
吾輩は思うものである。どっとはらい。
78ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 02:56:45.04 0
>>77
GJ
79ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 09:40:27.34 O
>>73
いいなあ
俺もツンデレのくせっ毛クシャクシャしたい

>>77
かなみさん甘えたがり可愛い
犬もGJ
80ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 11:10:23.13 0
>>72ー73のタイトル間違ってた
お題「69」だった

実はお題見て「えへーぐしゃぁー」ヲカキタクナッタダケー
皆さんいっつもありがとです
81ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 12:03:28.96 0
>>69 ・くせっ毛なのを気にしてストパーをかけたツンデレ
???「できたっ!! ふ、ふふふ……! もうボクに弱点はないよ! やべーよ完璧超人だよ! 究極生物(アルティメットシィング)だよっ!!」
???「明日はあのバカを、ぎゃっふんと言わせてやるぜェェェェ〜〜〜〜〜ッ!!」
 ――朝の教室。
あずさ「おっはよ〜、バッカたっかっし〜〜!」
タカシ「なんだぁ? 今日はエラくテンションがたか……。……あの、どちら様でしょうか?」
あずさ「なんで途中から言い換えたんだ! ボクはボクだよ!!」
タカシ「はぁ、朴さんですか。初めまして、よろしくお願いします」
あずさ「こちらこそどうも……ってちっげーーーよ!! あずさだよ! 何で気づかないんだよ!!」
タカシ「冗談だ、ははは」
あずさ「こやつめ、ははは」
 がっしボカ! ぐしゃっ、メキメキッ!
タカシ「ご、ごべんなしゃい……」(ピクンピクン……)
あずさ「タカシのくせにボクをバカにするからそーなるんだよ」
タカシ「つーかさ、何でそんな残念な髪になってしまったんだ?」
あずさ「ざざざ、残念ってどーゆーことだよ! せっっっっかくボクが黒髪ストレートの超ハイパー美しヘヤーになったのに! 短いけど」
タカシ「なんつーボキャブラリーしてんだお前は。……いや、なんと言うかだな。う〜ん……」
あずさ「あんだよ。はっきり言えよなー」
タカシ「俺はお前の、あのやわっこい頭が好きだったわけで」
あずさ「……はい? だ、だって黒髪ロングヘアーが好きだとか何とか……」
タカシ「見る分にはな。撫でくりまわすなら、お前の髪だよ」
あずさ「な、う、あ……。べ、別におめーに撫でられたくなんてないもんね!! ふん!!」
タカシ「さよか」
 ――次の日。
あずさ「お、おはよー……」
タカシ「お、やっぱり元に戻したな」
あずさ「やっぱりってどーゆー意味だよ……!」
タカシ「さーな。とりあえず、撫でてもよろしいか?」
あずさ「とりあえずで撫でるなよな! 丹精込めるなら、撫でさせてやんよ」
タカシ「はいはい、出来る限りの事はしてみましょうね」
あずさ(なんだよ、くせっ毛もわるくないじゃん。ふふ〜ん♪)
 子犬もかくや、というあずささんなのでした。
82ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 16:56:04.23 0
>>80
書きたくなっただけというのは実に正しい妄想投下の形だと思う


>>81
ボクッ娘偉そうにしてるけど完全に飼い馴らされてますなwwww
可愛い可愛い
83ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 20:29:26.66 0
>>81
ぐ……ぐしゃぁ()
gj
84ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 20:37:20.51 0
たてたて

ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら669.5
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1365852969/
85ほんわか名無しさん:2013/04/13(土) 21:11:31.70 0
即落ち2コマシリーズ

ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら669.51
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1365855024/
86ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 13:00:19.30 0
お題
つ・髪の毛が伸びて来た男にツンデレがそろそろ髪切って来なさいよみっともないって言ったら男が散髪代貰ったんだけど使っちまったテヘって返したら
87ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 19:40:11.03 0
抱っこしてなでなでしてあげたら、口では嫌がってるけど顔は緩んじゃってる友ちゃんかわいい
88ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 20:52:17.30 0
ツンデレとの間に生まれた娘はどんな性格になるんだろ?
89ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 21:24:42.77 O
パパ大好きなのに人前ではしっかりしてよね!って感じになると予想
そして二人きりだと甘えん坊モードに入る

あるいは娘はデレデレで奥さんが嫉妬しちゃう系とか?
90ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 22:19:11.05 0
娘がクール系で母親のツンにいちいちツッコミ入れまくるというのもありかもです。


話題ぶった切って>>47の続き投下です
91双子・告白・髪飾り その13 1/5:2013/04/14(日) 22:22:27.62 0
 彩花が、今朝の私達の会話の内容を話し始める。タカシが、彩花の髪飾りを褒めてく
れたら、その言葉がキーワードとなって告白すると決めた事を。しかし、かいつまんで
どころか、話を盛るものだから、それを突っ込んで否定するのが大変だった。
「なるほどな。それで彩ちゃんがやたら髪を気にしてたのか。いくら髪型を変えたにし
ても、ちょっと気にし過ぎだろとか思ってたけど、それで納得が行ったわ」
 私は理由が分かっていたから、あざとすぎる彩花の行動を疎ましく思って邪魔したり
もしたのだが、タカシからすればさすがに不思議だったのだろう。しかし彩花は、拗ね
たように口を尖らせた。
「もー、タッくんてば!! 気付いていたんなら、もっと早く褒めてくれればよかった
のに。そうすれば、頭が痛い演技なんてする必要もなかったんだよ」
「やっぱり、あれ演技だったのね。いくら何でも人に心配掛けさせるなんて最低よ。そ
もそも、告白の内容だって教えてくれないし、今日の彩花ってば黒過ぎ」
 半ば予想はしていたものの、本人の口から真実を告げられて私は文句を言った。それ
に乗じて、騙された事を詰る。すると彩花は、タカシには申し訳なさそうな顔で頭を下
げつつ、私にはしゃあしゃあとした感じで言い訳を始めた。
「確かに、頭痛の件は悪かったと思うわよ。でも、ああしないと膝枕とか出来ないし、
タッくんに気付いてもらえなかったから……本当にゴメンなさい。でも、告白の件は最
初から教えちゃったら、絶対香菜美は止めるもの。だから、言う訳には行かなかったのよ」
「当たり前でしょ? 大体そんな……好きな人にその……告白するのを妹に代行して貰
うなんて、みっともなくて出来る訳無いじゃない!!」
 好きな人、と言うのは抵抗があったが、どうせもうバレてしまったのだから仕方が無
いと開き直って怒鳴り散らす。しかし彩花はさも当然のようにそれを退けた。
「ほら。だから、言える訳無いじゃない。私は告白する時は絶対香菜美とセットで……っ
て思ってたけど、香菜美が告白する勇気を持つまで待ってたら、私達おばあちゃんになっ
ちゃうわよ」
「おば……」
 さすがにそれは聞き捨てならず、私は思わず食って掛かった。
92双子・告白・髪飾り その13 2/5:2013/04/14(日) 22:23:42.93 0
「そんな事ないわよ!! わ、私だってそんな……臆病者じゃないもの!! ちゃんと、
時期が来たら言うつもりだったわよ」
 自分でも確証のないまま、つい負けず嫌いな性格が高じて余計な事を言ってしまう。
すると、彩花はニコッと笑って頷いた。
「じゃあ、香菜美も今、この場でタッくんに告白すれば? そうすれば、キチンと香菜
美の口から、思いが告げられた事になるよ?」
「今!? こ……ここで?」
「うん。勇気があるのだったら、言えると思うし、むしろ一番言いやすいわよ。タッく
んだって聞きたいだろうし」
 その言葉に、私は思わずタカシの方を向いた。タカシも驚いた顔をしていたが、私と
目が合うと、照れ臭そうにそっぽを向きつつ、しかし彩花に同意して頷いた。
「まあ、その…… そうだな。彩ちゃんの言う事を疑う訳じゃないけど……でも、俺も
ちゃんと、香菜美の口から聞きたい」
 うっ、と私は言葉に詰まる。すると、その背中に彩花の手が触れた。明らかに期待し
ているタカシと、背中を押す彩花に挟まれ、私は退路がもうどこにも無いのを悟るしか
なかった。もちろん、この場で否定なんて出来る訳も無い。
「う……じゃ、じゃあその……い、一度しか言わないから……ちゃんと、聞きなさいよ
ね…… 分かった?」
 そう念を押すように言いつつ、同意すると、タカシはコクリと頷き、顔を上げて私を
見つめた。
「ああ。しっかり聞いているよ。だから、頼む」
 ゴクリ、と私は唾を飲み込もうとしたが、口の中はカラカラに乾いていた。口を閉じ
たまま、ほぐす様に口を動かして、唾液も分泌させる。それから、一つ大きく息を吐い
て、俯いて精神を統一して告白の言葉以外の一切を頭から締め出す。それから、顔を上
げて、口を開いた。
「……その……わ、私……私も……椎水香菜美も……タカシの事が、ずっと昔から好き
でした…… 多分彩花には負けないと思うくらいに……です……」
93双子・告白・髪飾り その13 3/5:2013/04/14(日) 22:24:55.13 0
 言い終えると、ドッと恥ずかしさが体中を襲い、熱が全身から噴き出した。思ってい
た以上の言葉が自分の口から出て、彩花が何か言うんじゃないかと気になったが、顔を
見る勇気も無かった。顔を伏せ、内から沸いてくる激情をひたすら我慢していると、よ
うやくタカシの声が聞こえた。
「ありがとうな。その……正直、香菜美からもそんな風に思って貰えてるとはさ。まあ、
夢にもって訳じゃないけど、都合のいい妄想としか思ってなかったから、嬉しく思うよ」
 私は、恐る恐る顔を上げた。今の言葉だと、正式な返事だとは思い難い。嬉しいけど、
やっぱり彩ちゃんの方がという答えもあり得るからだ。タカシの表情から答えを察しよ
うと思うが、タカシは困った顔を浮かべて私から彩花に視線を移し、そしてまた戻して
聞いて来た。
「あの……さ。これって、その……今、選ばなくちゃダメ……なのかな?」
 それには、彩花が首を振って否定した。
「そんな……もし、考えもしていなかったのに、すぐに決められたら私達こそ困っちゃ
うわ。タッくんも、どちらか片方の事がずっと好きだった、とか言うなら別だけど。決
まっていないのだったら、今日からは私達の事を、恋人にするなら……お嫁さんにする
ならどっちがいいか、ちゃんと真剣に考えて、答えが出たら、私達二人の前で告白して
くれればいいわ。もちろん、二人とも、なんてのは無し。ちゃんと私と香菜美のどちら
かを選んでね」
 するとタカシは、一つ大きくため息をついた。
「どっちか一人……か…… 難しいよなぁ…… けど、今まで双子の可愛らしい姉妹と
幼馴染っていう特権に甘えて来たけど、決めなくちゃ行けないのかぁ……」
「うん。でも、時間はあるんだから、ゆっくりね。私は急がないわ」
 彩花が同意を求めるように私を見たので、私も頷いた。
「私も。大体、適当に選ばれたりしたら困るし」
「本当にね。サイコロで奇数なら私で偶数なら香菜美とかだったりしたら、怒るわよね」
 言葉とは裏腹に、弾んだ声で冗談を言って彩花が笑う。するとタカシが、ボソッと呟いた。
「あのさ。仮に……だけどさ。両方選ばないっていう選択肢があるとしたら……それは、
選べるのか?」
 タカシの問いに、彩花はコクリと頷いた。
94双子・告白・髪飾り その13 4/5:2013/04/14(日) 22:26:48.60 0
「もちろん。それは、私達に取っては最悪の結末だけど……ね?」
 同意を求める彩花を無視して、私は挑戦するようにタカシを睨み付けた。
「いいけど、出来るの? こんな可愛らしい双子姉妹が好きだって言ってるのに、両方
揃って振るなんて。アンタみたいな凡庸で何のとりえも無い男子がそんな事したら、全
国の彼女無し男子の呪いが降り注ぐわよ?」
 するとタカシは、慌てて両手を振って否定してみせた。
「いやいやいや。確認事項として聞いただけで。つか、この二人を振るって……ハード
ル高過ぎるだろ。どっちかを選べって言われる以上にさ」
 すると彩花が、ソソソッとタカシに近寄ると、腕を取って、自分の腕に絡め、体を押
し付けた。
「そうよ。だからタッくん。真剣に、私達の事を選んでよね?」
 それに私も乗っかって文句を言う。
「そうよ。だから適当に選んで振ったりしたら、一生恨んでやるんだから」
「責任重大だな。これは……」
 嬉しいというよりも疲れた様子のタカシに微笑みかけてから、彩花は私に向かってタ
カシの反対側の腕を指して呼び掛けた。
「ほら、香菜美。タッくんの反対側が空いてるわよ」
 何をしろと言うのか察して私は一瞬怯んだ。自分からタカシと腕を組むなんて、そん
な事した事もないからだ。しかし、彩花が見せ付けるように体を押し付けるのを見て、
負けず嫌いの心が恥ずかしさに勝ち、私はタカシの腕を取った。
「しょうがないわね。したくないけど、バランスの問題で両手に花の方がいいだろうか
ら、腕組んであげるわよ」
 そして同じように腕を絡め、体を押し付ける。すると、ちょっと揶揄するようなタカ
シの言葉が聞こえた。
「両手に花って言っても、色は赤と青くらい違うけどな」
「やかましいわよ。このバカ」
 自分のひねくれさをからかわれたと思い、悪態を付いて腕を締めるとタカシが悲鳴を
上げた。
「イッテ!! 香菜美、止めろって!!」
95ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 22:28:30.65 O
リアルタイム遭遇!
支援
96双子・告白・髪飾り その13 5/5:2013/04/14(日) 22:29:15.67 0
 彩花がそれにクスクスと笑い、そして私達を交互に見て言った。
「それじゃあ、予定通りスイーツを食べに行きましょうよ。何か緊張したし、色々頭も
使ったから、糖分が必要になっちゃった」
 彩花でもやっぱり私と同じようにドキドキして興奮したりしてたんだなと親近感を覚
えつつ、私は頷いて、それから突き放すように付け足した。
「いいけど、言っとくけど全額彩花のおごりだからね。私とタカシを騙したんだから、
それくらいの罰はあって然るべきだと思うけど」
 すると彩花が泣き声を上げた。
「ふぇええええっ!? そんなお金ないよぉ〜 お願い、お姉ちゃん。半分出して」
「それじゃ意味ないでしょうがっ!! 足りない分は出してもいいけど、後から徴収す
るからね」
「香菜美ってば酷い。告白の手伝いしてあげたのに、鬼。悪魔!!」
「やかましい!! 頼んでないし、結果オーライだっただけで、ホントに考え無しなん
だからアンタは!!」
 するとタカシが、やれやれと言った感じで肩を竦めた。
「どっちを選ぶまでは、今後はこれがずっと続くのか…… やれやれ」
 その言い方がちょっとカチンと来たので、私は軽く脛を足で蹴飛ばしてやった。
「イテッ!! 何すんだよ」
 しかめっ面で文句を言うタカシを睨み上げて、私はフンと鼻を鳴らして、そして言っ
てやった。
「そうよ。どっちかを選ぶまで……じゃなくて、どっちを選ぼうと、今後一生続くんだ
から…… 覚悟しなさいよね……」
「私はタッくんにはどこまでも優しいよ? だから、タッくんならスイーツご馳走免除
してくれるよね」
「それはダメ!!」
 ふぇぇーと泣き声を漏らしつつ、楽しそうな彩花を見て、私は内心ため息をついた。
ライバルは多分、世界で一番強大な女の子だなと。だって、私が理屈抜きで、世界で一
番大切な人なんだから……と、あらためて肝に銘じるのだった。


終わりです
ここまで読んだ人は、長々とお付き合いください、ありがとうございました。
97ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 22:32:23.21 0
GJ

なんだよ両方嫁にすればいいじゃないか
98ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 22:33:01.46 O
GJ!!タカシがやれやれ系主人公にwww双子ちゃんハーレム羨ましす!
綺麗に収まって良かったよ!

自分も投下行きますー
いつぞやのVIPで投下した、「ツンデレに偽嫁になってくれって頼んだら」の最終章です
991/11:2013/04/14(日) 22:36:14.44 O
―――

男(この恋が成就するも立ち枯れるも俺次第、か……)

女「お帰り、早かったわね。店長さん、なんて?」

店長「ん……それがさ、俺とかなみが夫婦じゃないっての、バレちった。つーか嘘つくの気まずいから、俺からバラした」

女「えーっ!? それじゃ私のここ数時間の努力が水の泡じゃなーい!!」

男「大丈夫。店長は気にしてなかったし、他の二人にバラすようなこともしない人だから」

女「そう……それならいいけど」

男「後片付け、一人でさせて悪かったな。手伝うよ」

女「当然よ、ちゃっちゃとなさい!!」

男「……」
1002/11:2013/04/14(日) 22:39:45.43 O
女「……」カチャカチャ

男「……なぁ、かなみ。そのままでいいから、ちょっと俺の話聞いてくれるか?」

女「なぁに? まさかとは思うけど、今日の反省でもしようっていうの?」

男「ま、待てっ、かなみ! 頼むからそのままで、こっち向かないでくれ!」

女「な、何よそれ? なんか、そんな言い方されるとムカつくんですけど」

男「いや……面と向かって言いにくいことだからさ」

女「……分かったわよ、私はこのまま食器洗ってればいいんでしょ?」

男「あぁ、お願いだ……」

女「……?」

男「……」ドキドキ
1013/11:2013/04/14(日) 22:42:32.43 O
女「で? 言いにくいことって何よ?」

男「えっと……まずは、さっき飲み会の時、無理やりキスしてすまんかった」

女「なんだ、そんなことか。いいわよ、別に減るもんじゃないし。誰かに操立ててる訳でもないしね」

男「……お前、嫌じゃなかったのか?」

女「嫌に決まってるじゃない! けど、あそこで拒絶したら不自然だし、仕方なくよ」

男「そっか……じゃあさ、もう一回したいって俺が言ったら、お前、どんな顔する?」

女「……はい?」

男「俺、かなみともう一回、キスがしたいんだ」

女「……!!」
1024/11:2013/04/14(日) 22:44:07.10 O
男「正直、俺、かなみとキスした時、こんな形でしたくなかったって思った」

男「だから、今度はちゃんと……恋人として、かなみにキスしたい」

男「俺、かなみのことが好きだから」

女「……」カチャン

男「……黙らないでくれよ、すげぇ恥ずい」

女「……今まで、何度も断ってきてるじゃない。なのになんであんたは諦めないの?」

男「だってお前、断った後も距離置いたりしなかったじゃんか。諦めきれるかよ」

女「……」

男「どうしても駄目なのか? 俺ってお前にとって、ただの幼なじみでしかないのか?」

女「そんなにやいのやいの言わないでよ……気持ちの整理がつかないから」
1035/11:2013/04/14(日) 22:46:19.86 O
男「整理つけようとしてるってことは、まだ脈はあると思っていいんだよな?」

女「だからっ!……ちょっと静かにしてってば」

男「……分かった」

女「……正直に言うと、付き合いが長いせいで、あんたのことは家族みたいにしか思えないのよ」

男「……」

女「だから、何回告白されても、私の中では何も変わらないの。分かってよ」

男「……そうか」

女「……納得してくれた?」

男「うん。けど、それなら最後にもう一個だけ、質問させてくれ」

女「……何よ?」
1046/11:2013/04/14(日) 22:48:01.14 O
男「さっき酒飲んでる時に、俺のどこを好きになったか聞かれたじゃんか」

男「あれも、全部嘘だったのか?」

女「……!!」

男「自惚れだって言われるかもしれないけど、かなみのあの台詞、俺には嘘だと思えなかったんだ」

男「だからもしあれが嘘じゃなかったんなら、幼なじみの関係から、一歩だけ前に進ませてくれよ」

女「……あんなの、口から出任せに決まってるじゃない……真に受けないでよ」

男「本当か?」

―――ギュッ

女「……ッッ!!」

男「本当に、心にもない嘘っぱちだけだった?」
1057/11:2013/04/14(日) 22:49:42.12 O
女「やだ、離してよ……気持ち悪い……」

男「離したら逃げるだろ。いいからこのまま、俺の話を聞いててくれ」

女「……何よ」

男「俺もさ、かなみのこと昔から好きだったから、かなみのどこを好きになったかいろいろ上げれんだ」

男「頑固で素直じゃないけど、意思が強くて凛としてるとこ、ワガママに見えて俺みたいなのにもさりげなく気ぃ遣ってくれるとこ」

男「料理は美味いし、俺の馬鹿話にも笑ってくれるし、弱った時に見せる困り顔もすげぇ好きだ」

女「……」

男「お前が見てるのと同じくらい、俺もお前のこと見てるんだよ。だからさ……」

男「結婚してくれ、かなみ」

女「……!!」ビクッ
1068/11:2013/04/14(日) 22:51:24.57 O
女「な、なんで、結婚なんて……」

男「かなみが踏ん切りつかないなら、いっそいろいろぶっ飛ばした方がいいのかなーと思って」

男「もちろん急な話だから、すぐにとは言わないけどな」

女「……なんでなのよ、なんで私なんかに、そんな言葉かけるよの?」

男「えっ?」

女「私なんかがタカシに釣り合うはずないじゃん! すぐに手を出すし、焼きもちだって焼くし、全然素直になれないし……」

男「手ぇ出すのは俺が馬鹿した時だけ。焼きもち焼かれるのも嬉しいっちゃ
  嬉しい。素直になれないならなれないままの感情をぶつけてくればいい」

男「それくらい、朝飯前でこなしてやるさ。何年付き合ってると思ってんだよ」

女「……本当に?」

男「あぁ。それに、お前がなんて言い訳しても、今日の俺たちは夫婦に
  しか見えなかったって、店長からもお墨付きをもらってるからな」

男「だから、結婚しよう。明日でも明後日でも十年後でも百年後でも、かなみの気持ちの整理がついた時でいいからさ」
107ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 22:53:19.17 0
リアルタイム支援
1089/11:2013/04/14(日) 23:00:51.79 0
女「……」

男「……かなみ?」

女「……仕方ないなぁっ。あんたって、一度こうと決めたら絶対に曲げないんだから」

女「お馬鹿で頭固くって、こんな何でもない女に何年も何年も執着しちゃってさ……」

男「そんな言い方するなよ……聞いてるこっちが切なくなるわ」

女「うるさいわね……タカシがそんなだから、私が折れなきゃいけなくなるんでしょ……」

男「……えっ」

女「付き合ってあげるって言ってんの……これ以上、あんたに羽交い締めにされてたらおかしくなっちゃう」

男「マジか……マジかぁ! はははっ、やった、やったぁ!」

女「何浮かれてるのよ……本当、子供みたいなんだから……」

男「そういうお前だって、泣いてるじゃないか」

女「う……うっさい! 女の涙に触れるな、バーカッ!」グスン
10910/11:2013/04/14(日) 23:02:46.08 O
男「でさ、かなみ」

女「何よ、まだ何か言い足りないの?」

男「いや、さっき言ったことの確認なんだけどさ……」

男「俺、かなみと正式に恋人になってキスしたいって言ったじゃん? 告白を受けたってことは、そっちもオッケーなんだよな?」

女「そ……そういえば、そんなことも言ってたわね」

男「……嫌か?」

女「……別に、今さら嫌とは言わないわよ」

男「えと、じゃあ、こっち向いてくれるか?」

女「……うん」クルッ

男「……かなみ、俺、お前のこと愛してる。一生かけて幸せにするって誓うよ」

女「……似合わない台詞なんか、言ってんじゃないの」クスッ


―――チュッ
11011/11:2013/04/14(日) 23:14:52.77 O
【数ヶ月後、タカシのバイト先にて……】

後輩「……そーいや先輩、最近奥さんとはどうなんスか? 元気してるッスか?」

男「どうって……至って普通だよ。喧嘩もすりゃあ仲違いもするしな」

同僚「とか言って〜、どうせお前のこったから、調子乗って奥さんに愛してる〜とか言っちゃうんだろ?」

男「あぁ、それもよく言うなぁ」

同僚「げっ、マジで!?」

後輩「相変わらずアツアツぶりを見せつけてくれますねー」

男「ったりめーだろ! なんたってかなみは、最高の嫁さんだからな!」

後輩「そこまで言い切るッスか! パネェッス!」

同僚「これは独身者として許せんな。後輩、タカシの足を持て、パイルドライバー食らわせてやる」

男「ちょっ……待て待て! こんなとこでプロレス技かけたら死ぬって!」

同僚「うるせーい! 恨むならノロケに蓋をしなかった己を恨むんだな!」

後輩「同僚さん、ツープラトン準備オッケーッス!」

男「ちょっおまっ……うわあぁぁぁぁぁ!!」ドスンッ

店長「……どうやらあいつら、上手くやってるみたいだな」フッ
……店長の視線の先には、タカシの左手薬指に輝く指輪が写っておったそうな。
111ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 23:16:21.84 0
猿食らってたスマソ
支援とか感謝
112ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 23:33:20.20 0
おお……GJ!!


かなみさんヤキモキさせるなあ
113ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 23:39:32.72 0
・ツンデレに「お前の夢を見てたんだ」って言ったら

女「……おはよう、別府くん」ポン
男「うおぉ!? 会長!?」
女「……何をそんなに驚いてるの?」
男「いや……後ろからいきなり声かけられたからビビって……」
女「……嘘ね」
男「へぁ!?」ビクーン
女「……今の君、何かやましいことがある時の顔してる」
男「か、会長にやましいことなんて何も……」
女「正直に言うなら許してあげる。けどこれ以上嘘を塗り固めるなら、相応の手段に出る……」
男「……すんませんっ! 実は今朝、会長のこと夢に見ちゃって気まずくてっ」
女「……そんなこと? 夢なんて不可抗力よ。許しを請うような問題じゃない」
男「……あの、怒ってます?」
女「……怒りも湧かないくらい下らない事情ね」スタスタ
男「……」ホッ
女「……けど、一つ聞きたいわ」
男「はいっ!?」
女「……夢の私って、どんな顔してた?」
男「は? あー、えぇと……いつも通りの顔、でしたよ?」
女「……そう」
男「あの……それが何か?」
女「……夢の中でくらい、私も笑えばいいのにね」
男「あっ……」
女「……」スタスタ

男(うーん、困った……今さら会長のエロい夢見てたなんて言い出せない空気になっちった)
114ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 23:43:17.24 O
・纏さんに
115ほんわか名無しさん:2013/04/14(日) 23:44:13.20 0
ミスったすまん
116ほんわか名無しさん:2013/04/15(月) 11:30:03.60 O
>>113
エロい夢の内容kwsk
117ほんわか名無しさん:2013/04/15(月) 13:17:33.92 O
裸で眠る無表情生徒会長さんに近づいたら、こっちの気配に気付いて起き上がる

その拍子に体に纏っていたシーツがはらりと落ちて、真っ白い裸身が露になる

あわてて目を覆うタカシだが、会長は気にする様子もなく、むしろ挑発的な表情さえ浮かべてこちらを誘惑してくる……


的な?
118ほんわか名無しさん:2013/04/15(月) 19:24:57.51 0
友ちゃんのぼさぼさヘアーを整えてあげたい。そのためにヘアブラシを肌身離さず持ち歩きたい
119ほんわか名無しさん:2013/04/15(月) 20:20:18.49 0
お題
・くのいちなみん
120ほんわか名無しさん:2013/04/15(月) 23:37:54.27 0
くのいちなみんは何を偵察するの?
121ほんわか名無しさん:2013/04/16(火) 01:34:46.14 0
風呂に入ろうとしたら怪しい竹筒があって浴槽の中を覗くと全裸のちなみさんが…
122ほんわか名無しさん:2013/04/16(火) 01:41:04.94 0
>>120
 タカシn……ブンブン
 タカシがバカやらかさないように監視するだけよっ!
 なに考えてんのこのバカ!」
123ほんわか名無しさん:2013/04/16(火) 06:27:50.46 O
>>120
くのいちなみん……です……
タカシの……おはようから……お休みまでを……しっかり……観察するの……です……
124ほんわか名無しさん:2013/04/17(水) 03:17:18.21 O
>>110
鈍亀だがGJ






うぉぉぉぉかなみぃぃぃぃぃぃん
125ほんわか名無しさん:2013/04/17(水) 21:49:59.59 0
一回百万円ね、とかぼったくられたい
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2737.jpg
126ほんわか名無しさん:2013/04/17(水) 21:52:22.83 O
おっぱい枕でオナシャス!
127ほんわか名無しさん:2013/04/17(水) 23:09:45.51 0
ちなみんのおっぱい枕はちょっと低いね
128ほんわか名無しさん:2013/04/18(木) 10:32:33.87 0
・年子の姉妹(どっちもツンデレ)に好かれる(恋人的な意味で)タカシ

妄想してたら姉妹ケンカ始まっちゃって収集つかなくなった
どうやって諌めよう……
129ほんわか名無しさん:2013/04/18(木) 12:24:38.33 0
まずは形にしてみようぜ
130ほんわか名無しさん:2013/04/19(金) 11:27:00.93 O
ああああかつみんと結婚したいよおおお
意外と家庭的なかつみんかわいいよおおお
ネグリジェとか着て顔真っ赤にして待ってるかつみんエロかわいいよおおおお
131ほんわか名無しさん:2013/04/19(金) 13:16:30.28 O
まつりんと倦怠期すら乗り越えたような落ち着いた夫婦になりたい
132ほんわか名無しさん:2013/04/19(金) 20:41:14.08 O
・乗っかるちなみさん

男「……」ゴロゴロ
女「……」ポフ
男「……ん? なんだちなみか」
女「……タカシの……背中……」
男「うん、そうだな背中だな。重いからどけ」
女「……やー」ゴロゴロ
男「やーじゃねぇ、部屋から強制退去さすぞこの合法ロリータめが」
女「……それなら私は……しがみつくだけ……」ガシコ
男「だあぁっ! ゲームに集中できん!」
女「……タカシのあらゆる身体のパーツの中で……背中だけは評価できる……」
男「評価しなくていいから可能な限り早くどけよ」
女「……背中の肉だけ削ぎ落として、私にちょうだい……?」
男「そんなおぞましい提案は却下で」ゴロン
女「きゃ……!」ポテン
男「お前がどけないなら今度は俺が上になってやんよ」ムギュ
女「……犯す?」
男「誰が犯すか!……まぁ、ちなみが拒否しなきゃチューくらいはするけど」
女「……ゲームは……もういいの……?」
男「んー。ちなみが構ってほしそうだから、こっちを先に、な?」チュッ、チュッ
女「……ん……もっとしろ、馬鹿……」
男「はいはい」
1331/2:2013/04/19(金) 21:48:49.25 0
>>128

姉「だーかーらっ、妹は留守番しててって言ってるでしょ!」

妹「聞き分けないのはそっちだよ! なんで僕が一人で留守番なんかっ!」

男「ちぃーっす! 上がるぜぇー!」

姉「あっ、タカシ……」

妹「タカ兄!」

男「どうしたい、喧嘩の声が外まで響いてたぞ」

姉「あんたには関係ないの!」

妹「そ、そうだよ! 女の喧嘩に割って入んないで!」

男「お? 妹の方、一瞬動揺が顔に出たぞ。ってことは、また俺の取り合いか?」

姉「取り合ってなんかないっ! どーしてあんたはそう顔に感情が出やすいの!?」

妹「し、仕方ないじゃん! 僕はお姉ちゃんと違って素直なんだから!」

男「まぁまぁ。せっかくだからお兄さんに事の発端を話してみんしゃい」

姉「……今夜、どっちがあんたん家に行くかで揉めてたのよ」

妹「タカ兄ん家のおばちゃんが家を留守にするって聞いたから、お夕飯作ってあげよっかなって……」
1342/2:2013/04/19(金) 21:50:29.44 0
男「あぁー! そういえば母ちゃんが、お前ん家の親とどっか出かけるって話してたな!」

姉「二人で押しかけても失礼だから、私が行くって言ってるのに妹が聞かなくて……」

妹「タカ兄の世話くらい僕でも出来るし! お姉ちゃんはでしゃばって来ないで!」

姉「私だって行きたくて行く訳じゃないの! あんただけ行っても何も出来ないから言ってるの!」

男「どうどう、落ち着け。二人して遊びに来ればいいじゃないか、俺は歓迎するぞ」

姉「分かってないわねぇ……私は妹を気遣って、家でゆっくりしてなさいって言ってるだけなのよ?」

妹「お姉ちゃんだって、明日小テストあるから勉強するんでしょ。僕に任せて留守番してなよ」

男「えぇ、何それ……? 結局お前ら来たいの? 来たくないの?」

姉「それは……」

妹「あー、えっとぉ……」

男「あぁもう、面倒くせぇから今日のところは二人で来いよ。いざこざは今日の結果見て後日やり直しってことでさぁ」

姉(……こいつが入ってくると、いっつも喧嘩やる気なくすのよねぇ)

妹(なんで僕とお姉ちゃんが争ってるかも知らずに……タカ兄はお気楽なんだから)

男「おっと! お前らが来るならコンドームも用意しとかなきゃな! 3Pじゃ3P!」ガハハハ

姉・妹(……なんでこんな人、好きになったんだろう)
135ほんわか名無しさん:2013/04/19(金) 21:52:01.69 O
おしまい
「行きたくないけど仕方なく行く」ってスタンスを貫かせたらすごく面倒くさいことになった
136ほんわか名無しさん:2013/04/19(金) 22:06:54.73 0
・料理してたら自作の鼻歌が出てしまった嫁勝美さん

女「〜♪」トントントン
男「お、勝美がえらく楽しげに利用しとる」
女「あん? なんだよテメェ、横から口出すなよ」
男「いや、お前が鼻歌なんか歌いながら料理すんの珍しいなと思って」
女「鼻歌ぁ? 歌ってねーし」
男「いや確実に歌ってたし。何その下手くそな誤魔化し」
女「歌ってねぇっつの。歌ってたとしたら無意識だっつの」
男「そうか? 確かこういう風に歌ってたけど……〜♪」フンフン
女「……!!」
男「でもこれ何の歌だろ……聞いたことないな」
女「おいっ!! その歌のことはもう忘れろ! いいな絶対だぞ!」
男「うわっ、包丁振り回すなよ! あっぶねぇな!」
女「いいから早く忘れろおっ!!」
男「だからあぶねぇって! 分かったよ忘れるよ!」
女(あぶねぇのはこっちだよ……無意識とはいえ迂闊だったぜ)


Q.勝美さんの歌っていた曲って何?
A.本人自作の歌『好き好きタカシきゅん☆』
137ほんわか名無しさん:2013/04/19(金) 22:32:28.49 O
・就寝前の嫁勝美さん

女「さて、ぼちぼち寝るか……」
男「うぃ、おともしますぜ」
女「テメェはあっち行ってろ。シッシッ」
男「どうせ後で一緒に寝るから同じだけどな」
女「そういう問題じゃねぇよ。『お祈り』の邪魔だからあっち行けって言ってんの」
男「別に見られて困るもんじゃないんだろ?」
女「見られてるとなんとなく恥ずかしいんだよ!」
男「あー、ハイハイ。分かったから大声出すな。近所迷惑だ」
女「ったく……」
男「じゃあ俺後ろ向いとくから、終わったら呼んでくれ」
女「あぁ……」

女「……天に召します我らが主よ、本日もあなたの恵みのあったことに感謝いたします……」ブツブツ

〜数分後〜

男「……終わりか?」
女「オッケー。こっち向いていいぞ」
男「はぁ。しかし、お前が敬虔なクリスチャンだなんて、いまだに信じらんねぇわ」
女「そこまで厳密じゃねぇけどな。飯前と寝る前に神様拝むくらいだ」
男「けど、イースターまで祝うのって日本じゃ珍しい方だと思うぞ」
女「そうか? うちじゃ普通だったけどなぁ」
男「それに、祈ってる勝美の姿って、なんかすげぇ神々しくて綺麗なんだよなぁ。惚れ直すぜ」
女「……ん? 祈ってる最中は後ろ向いてたよな? どうして神々しいとか言えるんだ?」
男「あっ、ヤベッ……!!」
女「あーっ! テメェその手鏡っ……覗いてやがったな!」
男「しまったバレた! おやすみ勝美っ!」ガバッ
女(ったく……まぁ、誉められるのは別に嫌じゃないけどよ)
138ほんわか名無しさん:2013/04/19(金) 23:04:08.90 O
・まつりんに合わせて和を意識したら

男「ちぃーっす、おはこんばんちわ」
女「そのふざけた挨拶……タカシじゃな?」
男「ご明察、お邪魔するぜぃ」
女「……なんじゃ、その格好は?」
男「おう! ぼちぼち温かくなってきたから、作務衣着てみたんだ!」
女「どこの陶芸家かと思うたぞ……」
男「それだけじゃないぜぇ。ジャーン!!」
女「ほう……雪駄かえ」
男「そう。纏が和服なことが多いから、俺も意識して合わせてみたんだ」
女「服を合わせた程度で、儂と釣り合いが取れると思うたのか?」
男「自分、何事も形から入るタイプなもんで」
女「仕様がないのぅ……雪駄なぞまだ寒かろうに」
男「正直、靴下履けないからちょっと寒い」
女「足袋を履けばよかろうが。そんなことでは一生儂の足元にも及ばぬわい」
男「纏って俺と同年齢なのに、説教にババ臭さと含蓄が溢れてるよね」
女「喧しい! その口を閉じて、儂についてこぬか!」
男「え? どっか行くの?」
女「その格好で儂の隣に立つなぞ、ちゃんちゃら可笑しいわい。故に
  今から主に、身の程というものを知ってもらおうかと思ってのぅ」
女「儂と共に町を練り歩いて、皆にその姿を見てもらえば、己が
  いかに恥ずかしい存在か、身を持って知ることじゃろうて」
男「……あの、纏?」
女「なんじゃ」
男「それって、単に俺と町を散策したいってだけでは?」
女「ち、違う! 断じて違う! 自惚れるでないわこの下郎が!」
男「自惚れてるつもりはないけど。纏って可愛いなぁ」
女「……なんじゃか物凄く見下されておるような気がする」
139ほんわか名無しさん:2013/04/20(土) 04:49:49.68 0
どれもGJ過ぎるぜ

特に勝美さんの料理とか食べた過ぎる



あと、ツンデレは何かといちいちめんどくさいところも美徳だと思う
1401/5:2013/04/20(土) 11:48:33.54 O
・ツンデレと男が合格発表の会場で偶然出くわしたら

『はぁ〜あ…… もううんざりだよぉ〜』
 グデッとテーブルに体を投げ出す睦ちゃんの肩をポンポンと友香が叩いた。
『頑張れ、睦ちゃん。とりあえず前期分は全部終わったんでしょ? ここは一息入れて、
また後期日程がんばんな』
『そうですよ、睦ちゃん。あと一ヶ月の辛抱ですよ。ファイトです』
 グッと拳を握り締めてエールを送る葉山さんを、睦ちゃんがジロリと睨み付ける。
『いーよねー。推薦で合格が決まった人はさー。友香ちゃんも受験全部終わって、あと発
表だけでしょ? 羨ましいなー』
 すると友香が、ガクッとテーブルに突っ伏してから、視線だけジロリと睦ちゃんを睨み
付けた。
『羨ましい? 第一志望も第二志望も落ちて、滑り止めに辛うじて引っ掛かって落ち込ん
でるこのあたしが、羨ましいとでも?』
 受験シーズンも大詰めを迎えた2月下旬。ボクたち四人は久し振りに集まって、喫茶店
でお茶をしつつ、受験の状況を交換し合っていた。12月に推薦が決まった葉山さん以外は、
みんな一様に疲れた顔をしている。無論、ボクも例外ではない。
『アハハ…… でもでもさ。浪人だけはとりあえず回避出来たんだし。まだ二つ、発表残っ
てるんでしょ? 希望はあるよ』
 睦ちゃんの慰めに、友香は顔を伏せた。
『そーは言うけどさあ。やっぱりガクッとは来るものよ。でもまあ、終わった事気にして
も仕方ないけどね』
 さすがは友香はそういう所の切り替えは早い。体を起こし、ウーンと伸びをしてからボ
クの方に視線を向けた。
『で、悠は? 悠も全部終わったんだっけ? 戦果はどの程度よ』
 急に話題の矛先を向けられて一瞬キョトンとするが、すぐにボクは頷いた。
『えーと…… 本当は後期日程の受験もあったんだけど、第二志望に合格したから、そっ
ちはキャンセルするつもり。あとは明日、第一志望の発表があるから、それに合格すれば、
今まで受けた大学は全部合格……かな? うん』
 指折り数えて確かめるように言うと、睦ちゃんが感心した顔で身を乗り出す。
1412/5:2013/04/20(土) 11:50:19.87 0
『すごーい。全部合格? さすがはいいんちょ。優秀―っ』
『ちょっと待ってよぉ。何だって悠は全勝であたしは2敗もしてんのよ。こんな不条理っ
て事、ある?』
 不満気な友香を、ボクは心外とばかりに睨み付けた。
『不条理って何よ? ボクだって進路決めてから二年間、必死で勉強して学力上げてきた
んだからね。最後の最後の模試まで、本当にA判定出なかったんだから』
『だけど、最後の最後で逆転勝利しちゃうなんて、すごいよねー。いいんちょのそう言う
とこ、あたし感心しちゃう』
『いやその……そんなんでもないけど…… 運もあったと言えばあったし……』
 睦ちゃんに持ち上げられて、さすがにボクも少しは照れて謙遜する。しかし友香は納得
しない様子で、残ったダージリンティーをグイッと勢いよく呷ってから、ボクを睨み付けた。
『そんなの、あたしだって頑張ったわよ。自分なりには……だけど。大体、勉強しか取り
得が無くて体育だって選択授業の芸術だって恋愛だって全部面倒見てきてあげたのにさ。
悠の恩知らず。一人だけ志望校合格しちゃってさ。ズルい』
 理不尽な友香の文句に、さすがにボクも言い返した。
『何それ。一つだってボクが頼んだのはないじゃん。友香が全部勝手に押し付けてきたん
でしょ? 大体、恋愛なんてしてないし…… 恩も何もないよ』
『そういう恩を感じてないところが一番恩知らずだってのよ。友達甲斐がないって言うか
さ。自分の事でいっぱいいっぱいで、得意科目だって教えてくれなかったじゃない』
『だって、教えてくれって言って無いじゃない。そんな、頼みもしないで面倒見てくれっ
て、都合良過ぎだと思うんだけど』
『言える訳ないでしょ? 特に冬休み明けなんていかにも疲れてますって感じでさ。そん
な状態の友達にこっちの面倒まで見てくれなんて言えないわよ。いや……もういい。今の
はちょっと失言だった。忘れて』
 友香は顔を上に向けると、おしぼりを目に当てた。友香にしては珍しく苛立っているの
も、受験が思うように行っていないからだろう。ボク自身も気持ちは分からないでもない
から、ここは頷いて矛を収めた。
 するとそこで、今まで黙っていた葉山さんが唐突にとんでもない事を口にした。
1423/5:2013/04/20(土) 11:51:37.88 0
『仕方ありませんわ。委員長は、別府君と同じ大学に行きたくて、今までずっと頑張って
来たんですから。ねえ、委員長?』
『へっ!?』
 驚いて変な声を上げて葉山さんを見つめる。ニコニコ顔の葉山さんの横に、身を乗り出
してきた二人の顔が視界に入って来る。さっきまでの疲れた顔はどこへやら、二人とも好
奇心から表情が一気に生き生きと変わっていた。
『そうだったそうだった。悠にはまず、その大目標があったもんね。だからわざわざ理系
選択したんだったっけ』
『すごいよねー。いいんちょってばさ。最初美府理大は絶対無理って先生にも止められて
たのに、頑張って頑張って去年の夏の模試で先生を納得させられるだけの成績出したんだっ
け。やっぱり、恋の力ってすっごいよね〜』
 友香と睦ちゃんが口々に言う中、ボクは顔が火照るのを感じながら必死で否定した。
『ち……違うってば!! ずっと言ってるじゃない。ボクが理系選択したのと別府君は関
係ないんだって。みんな、何で信じてくれないの?』
 しかし、そんな事がこの三人に通じる訳もない。葉山さんは嬉しそうな笑顔を見せて、
分かっていますとばかりにコクコクと頷いた。
『大丈夫ですよ。隠さなくたって。その為に、よく別府君と二人で勉強していたんじゃな
いんですか? 志望校が同じなら、勉強内容も似通っていますから効率がいいですもんね?』
 そんな事まで知られていた事に真っ赤になりながら、ボクはブンブンと首を振り続けた。
『だから違うのっ!! 確かにその……教え合うことは多かったけど、でもそれは別府君
曰く、ボクの得意科目の英語と別府君の得意科目の物理をお互い教え合えばギブアンドテ
イクでちょうどいいからってだけで…… ボク達はさ。委員長と副委員長で時間も合いや
すかったから…… でも、休みに入ってからは全然会ってないし……』
『ホントに〜? 受験とかも一緒に行ってたんじゃないの? でさ。別府君に、委員長も
頑張れよとか言われて、べ、別府君なんかに言われなくたって頑張るってば!! とか、
ムキになっちゃったりしてさー』
 友香のからかいに、睦ちゃんも乗ってくる。
1434/5:2013/04/20(土) 11:53:08.07 0
『明日の合格発表も、一緒に見に行くの? それで二人で合格したら思わず手を取り合っ
て喜んだりなんかしちゃってさ。やったーって』
『で、急に我に返って、パッて手を離すんでしょ? で、悠ってばさ。真っ赤な顔で、今
のは合格したのが嬉しくて、咄嗟に握っちゃっただけで…… 別府君と手なんて握りたく
なかったんだからって』
『でさ。別府君も、分かってるよ。委員長がそういう性格じゃないって事は。勘違いとか
しないからいちいち言い訳するなってぶっきらぼうに言ってさ。でも、その後で一言、こ
れからも宜しくな……って』
『で、宜しくなんてされたくないけど……まあ、同じ大学行くんだし、仕方ないからもう
ちょっとだけ、付き合ってあげるよとかって。内心は嬉しくてしょうがないくせにさ。別
府君とまた四年……ううん。六年間も一緒の大学に行けるんだって』
『委員長。明日の合格発表……楽しみですね。お二人一緒の合格、私達もお祈りします』
 勝手な妄想トークを繰り広げられた挙句に、葉山さんから激励を受けて両手で手を握ら
れ、ボクは怖い顔をしてみんなをねめつけた。
『だからそんなんじゃないんだってば!! 志望校をそんな理由で決めたりしないって。もう!!』
 しかし、そんなボクの否定なんて、誰一人として聞き耳を持ってはくれないのだった。
1445/5:2013/04/20(土) 11:55:23.73 0
 次の日。いよいよ第一志望の学校の合格発表日が来た。ボクが一年以上も前のあの日。
別府君と同じ大学を目指して、進路志望票に書き込んで以来、ずっと頑張って勉強してき
て、その成果を出し切った。その結果が公表される日だ。
『ハァ……受かってるかな…… 受かってるよね? 神様、どうかボクの受験番号がボー
ドの貼り紙にありますように……』
 駅に着いてからこの方、何度同じ祈りを繰り返しただろうか。歩いているはずなのに、
何故かちっとも大学に辿り着かないような気がする。
――お願い…… 別府君とボク……二人とも、受かっていますように……
 もっとも、別府君が落ちていたとしても、ボクさえ受かっていれば、同じ大学に行く事
は出来る。第3志望まではほぼ同じ偏差値の学校だし、彼もきっと全滅という事はないだ
ろう。だから、ボクが受かっていれば合わせることは出来る。けれどやっぱり、二人揃っ
ての合格が嬉しいに決まっていた。
『合格していますように……合格していますように……合格していますように……』
「何をやっているんだ? 委員長」



続きます。
本当なら3月中に投下するつもりだったもの。
規制中は辛いぜ
145ほんわか名無しさん:2013/04/20(土) 11:59:48.84 0
続き期待
146ほんわか名無しさん:2013/04/20(土) 19:54:27.11 O
GJ!ボクッ娘が合格してますように……


さて週末だが今日はスレ立つかな
147ほんわか名無しさん:2013/04/21(日) 00:02:40.05 O
続きわくてか
148ほんわか名無しさん:2013/04/21(日) 18:26:46.99 0
>>144の続き行きます

ちょっと長めです
1491/5:2013/04/21(日) 18:28:33.04 0
・ツンデレと男が合格発表の会場で偶然出くわしたら その2

『ひゃあっ!?』
 いきなり知った声が背後から掛かり、ボクは驚きの余り叫び声を出すと小さく跳ねてし
まった。周りの視線を感じ、顔を火照らせながらボクはクルリと振り向く。
『べべべ……べっ……べっ……別府君? なななっ……何でこんな所にいるの?』
「何でも何も……今日が合格発表の日だろ? 見に来るのは当然じゃないのか?」
 ボクの質問がさもおかしいとばかりに彼は聞き返してくる。しかし、聞いたボクにもそ
れなりの理由があった。
『だ……だって、合格発表ってネットでも同時刻に始まってるんでしょ? 別府君なら、
てっきりそれで済ませるとばかり思ってたんだけど。外出るのなんて寒いしめんどくさいっ
て、そう言って……』
 ボクは言い訳じゃなく、本気でそう思っていたのだったが、意外にも別府君は緩やかに
大きく首を振った。
「確かにその方が面倒はないけどな。俺だって人の子だ。第一志望の合格発表くらいは、
多少面倒でもちゃんと見に来るさ。その方が受かったって実感が湧くからな」
『へえ。別府君からそんな感傷的な言葉が出て来るとは思わなかった。実感がどうのとか
なんて……意外過ぎるんだけど』
 本気で感心すると、彼はボクに向けて僅かに眉根を寄せて不満の意を示した。
「悪かったな。委員長の思う通りの人間じゃなくて」
『わ……悪いとは言ってないじゃない。意外だってだけで…… まあ、いいよ。会っちゃっ
たものは仕方ないんだし…… 行こう』
 身を翻し、ボクは先に立って歩き出した。複雑な想いが、ボクの頭の中で交錯する。
――何で……今日に限って、別府君に会っちゃったんだろう……
 おかげで、さっきまでボクを縛っていた恐怖感は消えて無くなっていた。別府君が傍に
いてくれるのは、すごく頼もしいと思う。だけど……
1502/5:2013/04/21(日) 18:29:44.04 0
――ヤダな……万が一……ボクだけ、落ちていたなんて事になっていたら……
 その時、自分はどんな態度を取れば良いのか、検討もつかなかった。ただ一つ、別府君
の前でボロボロと泣きたくない。みっともない姿は見せたくない。だけど、耐えられるか
どうか自信が無かったから、別府君に傍にいて欲しくない。だからこそ、そもそもこれま
でも、今日もずっと、合格発表を見に行くのに声を掛けなかったのだ。
――けれど……これも、運命なのかも……ね……
 今日ここで偶然会うのも、きっと縁なのだろう。そう、割り切るしかない。そう考えた
ところで、別府君の声がボクの思考を遮った。
「委員長は、これまでの所どうだ? 結果の方は」
 別府君から話し掛けてくるなんて、これもまた珍しい。だけどきっと彼も、柄にもなく
発表前で緊張しているのだろうとボクは自分を納得させた。
『今の所は……全部受かってるけど? でも、何でそんな事聞くの?』
 だけどボクは、意地悪にワザと聞き返す。すると別府君は、普段と同じように、素っ気
無い態度で答えた。
「別に。受験中なんだし、クラスメートと会えば、お互いの戦果くらい話し合うだろ? そ
んなに不思議な事か?」
『別府君が、ボクの結果に興味を持つことが、不思議。自分さえ良ければ、人の結果なん
てどうだっていいって、そう思ってそうだったから』
 普段の別府君の思考回路に照らし合わせて彼の逆質問に答えると、別府君は少し無言に
なって考え、それから小さく頷いた。
「ああ。確かにそうだな。どうでもいい事だ。俺には……関係の無いことだったな」
『変なの。何だか、自分にそうだって言い聞かせているみたい』
 言葉から受けた印象を率直に口に出す。今日の彼は、やっぱりちょっとおかしい。そう
思って見ていると、別府君は小さく首を振った。
「いや。その通りだと思ったから、そう言ったまでだ。それが何かおかしいか?」
『別に。それより、別府君の結果は今のところどうなの? ボクは答えたんだから、ちゃ
んと教えてくれるよね?』
1513/5:2013/04/21(日) 18:30:49.68 0
 何となくやっぱりちょっと彼の態度はおかしいな、と思いつつボクは話を進める。きっ
と、別府君にとってはボクは世話の焼ける生徒みたいなものだったから、親心的に気になっ
たんだろうと、その気分には自分で決着を付けた。
「ああ。今のところは、何とか全部合格した」
 別府君らしく簡潔に答えが返って来る。という事は、ボクさえ合格すれば、別府君と同
じ大学に行けるのだ。もっとも、第一志望でない場合は、別府君が何処の大学を選ぶのか
確認しなければならないけれど、彼の事だからきっと志望順通りなんだろう。
『そうなんだ。良かったね』
 その結果を心から嬉しく思っているだなんて知られたら、何でボクがそこまで喜ぶのか
不思議に思われるだろうから、ボクは出来る限り感情を押し殺して、淡々とお祝いの言葉
を言う。すると、別府君はこっちを見て頷き、口を開いた。
「ありがとうな。まあ、今日の結果次第だが。あと、委員長も今の所は良かったな」
 ぶっきらぼうでぞんざいだが、お礼を言われてボクはちょっと驚いて目をパチクリさせた。
『やっぱり変。別府君がお礼とか、人を祝福するような事を言うなんて。受験疲れでもあっ
たの?』
 しかし、彼はあっさりと首を振って答えた。
「いや。単に、そう返しておかないと委員長から文句が飛んで来るかと思ったから事前に
封じておいただけだ。その方が遥かに楽だからな」
『もう!! それを言っちゃったら意味ないでしょ。別府君のバカ。全部台無しじゃない』
 文句を言いつつも、いつもの別府君らしい返事にちょっとボクは安心したのだった。

 そのまま、ボク達は互いにほとんど言葉を交わすことなく、大学の正門まで来ていた。
――いよいよ……か……
 ボクは構内に入る前に、足を止めて深呼吸する。この先に張り出されている大きな掲示
板に、ボクの運命が示されているのだ。
1524/7:2013/04/21(日) 18:31:57.55 0
「どうした? 委員長」
 少し先でボクが付いて来ていない事に気付いて、別府君が声を掛けて来た。しかし、ド
キドキが大きくなる心臓と足の震えになかなか一歩を踏み出す勇気が持てず、ボクは小さ
く首を振った。
『……いいよ。行きたければ、先に行っても』
 何度も深呼吸をして、もう結果は出ているのだから、確認してもしなくても同じなんだ
と自分に言い聞かせる。
――大丈夫。だって、あんなに努力したんだもん。受かってるはず。きっと、そう。そう
に決まってる。
 無理にポジティブに考えて、ボクは何とか勇気を掘り起こす。もう一つ大きく息を吸っ
て吐いてから顔を上げると、視線の先にはこっちを見つめたままの別府君がいた。それが
引き金となって、ボクは引き寄せられるように、彼に向かって構内に足を踏み入れた。
『先に行っててって言ったのに。もう。待ってるなんて、時間の無駄なんじゃないの? 別
府君に言わせれば』
「いや。まあ何となくな。別に急ぐものでもないし」
 無愛想な口調の中に、若干戸惑うような焦るような、そんな響きを感じ取る。もしかし
て、気にして心配してくれたのだろうか? そして、自分で自分の事を柄にもないと思っ
ていたのだろうか? もしそうなら、嬉しくはあるけれど、でもだからこそ胸が痛くもあっ
た。一歩一歩踏み出すたびに、足が重くなる。少なくとも、ボクが様子がおかしいのを気
遣ってくれるくらいにまでは、別府君との仲は近付いたのに、もしボクだけが落ちていた
ら、その関係も終わってしまうかも知れない。
「委員長」
 別府君に声を掛けられ、ボクはハッと顔を上げた。いつの間にか、周りには大勢の受験
生がいて、みんな一様に同じ方向に視線を向けている。それでボクは、自分が掲示板の前
に立っているのに気が付いた。
「俺は、自分の番号があるかどうか見て来る」
1535/7:2013/04/21(日) 18:34:10.03 O
『あ…… うん』
 小さく頷くと、別府君は踵を返して人込みの中に紛れて行った。その背中を見送ってか
ら、ボクは一度掲示板を見上げ、番号がズラリと並んでいるのを確認する。
――ボクの番号は……何番だったっけ?
 コートのポケットから受験票を出して、自分の番号を見る。何度か経験はしているもの
の、第一志望校となると全然緊張感が違った。
――大丈夫。今までだって、ちゃんとあったもの。今日もきっと、あるに決まってるよ。
 これまで、合格発表があった大学での、合格を確認した瞬間のホッとした気持ちを思い
出す。気を引き締めて、ボクは掲示板に顔を向けた。
――えーと……B‐0925だから……
 何度か掲示板上に視線を泳がす。気持ちが逸ってしまって、なかなか自分の番号周辺が
見当たらない。
――何で800番台の次が1000番台なの? 一人もいないとかそんな事って、ないよね?
ちょ、ちょっと待って。えーと、このまま追って行ったら……
 焦る気持ちを落ち着けようとしつつ、仕方なく遠い番号から並び順に追っていくことにした。
――0805…0813……0820…… 結構、飛んでるよね。やっぱり、難しいんだ……
 間の7人とか6人は、落ちているという事になる。その人たちは、この結果を受け止め
て、絶望したり諦めたりしながら帰って行くのだろう。また、弱気な気持ちがぶり返して
くるのを、ボクは目を瞑って必死で抑える。
――ううん。大丈夫。あるから。きっと……あるから……
 自分に何度も言い聞かせて、確認を再開する。
――0892……0908…… そっか。そのまま、下に続いていたんだ……
 しっかりと見ていれば並びの法則くらいすぐに分かっただろうに、それに気付かないと
いう事は、やはり緊張していたからに他ならない。ボクは、いよいよ近付いた事に、下唇
をギュッと噛む。
1546/7:2013/04/21(日) 18:35:05.87 0
――0908から……だったよね。0908……0912……0919……0928……0941…… え? あれ?
 焦ってボクは、自分の受験票を確認する。それからもう一度、視線を掲示板に向けて同
じ箇所をなぞる。
――……0912……0919……0928……0919……0928……
 何度みても、0925の数字は無かった。途端に、スッと心から何かがストンと抜けて落ち
たような感覚に襲われた。
――ボク……落ちたんだ……
 ボクは、クルリと掲示板に背を向けた。人込みを避けて、合否判定を確認する受験生達
から離れる。別に逃げたかった訳ではなく、単に結果が分かった以上、その場所に立って
いたら邪魔だろうと思ったからだ。何故だか奇妙に、理性だけが働いていた。
――まず、学校に寄って先生に結果報告して……家に帰ったら、すぐにお母さんに言って、
穂野大に手続き取らなくちゃ…… 入学手続きの締め切り、今月末だし。
「委員長」
 それがボクを呼ぶ声だと気付き、パッと顔を上げる。視線の先には、別府君がいた。相
変わらず、表情からだと感情の読めない顔をして。
『別府君…… えっと、その……』
 何から話せばいいのか分からなくて、ボクは思考が混乱した。彼の結果から聞くべきな
のか、それとも自分の結果を話せばいいのか。しかし、別府君は待ったをするように手の
平をボクに向ける。それから、一つ頷いた。
「そっか。残念だったな」
『なっ……!? 何それ? ボ……ボク、まだ何も言ってないのに!!』
 まるで予想していたかのように言われて、ついカッとなってボクは怒鳴ってしまう。し
かし別府君は、それは違うとばかりに首を振ると、真面目な顔でボクを見つめた。
「分かるさ。顔に生気がないからな。受かっていれば、どこかしらか嬉しそうな様子が見
えるし、まだ見ていなければ、さっきみたいに不安そうな表情のはずだし」
『……ボク、そんなに分かりやすい顔してるの?』
1557/7:2013/04/21(日) 18:36:22.76 0
 周りからも落ちた事が一目瞭然で分かるようなら、結構みっともないと思って確認する
と、別府君はやや難しそうに首を傾げた。
「いや。俺や千早たち仲のいい女子だったり、あとは家族なら分かるだろうけどな。普段
からちゃんと見てなければ分かりはしないと思う」
 ボクはホッと小さく吐息をつく。少なくとも、みっともない顔はしていないのなら、そ
れでいい。
『まあ……そういう事。仕方ないよ。ボクはボクなりに頑張ったんだけど、受験した他の
人だって、もっと頑張ったんだろうし。人数は限られているんだから』
 もう吹っ切ったようにボクはしゃべる。泣いたって喚いたって結果が変わる訳でもない
し、取り乱せば取り乱すほど、自分の気持ちを露わにしてしまうだけだ。
「運もある。委員長の学力なら、受かっても全然おかしくなかったからな。実際、他は全
て合格しているんだろ? なら別に、自信を失くすような事じゃない」
『それって慰めてくれてるの? 別府君にそんな事言われるなんて、何か気持ち悪いよ』
 冗談めかして、ボクは顔をしかめる。それに彼は僅かに眉をひそめて答えた。
『で、そういう自分はどうだった訳? 人を慰めるなんて、余裕の証拠? それとも、今
のは自分に対しても向けた言葉だったりする?』
 感情を遮断していたせいで、その質問はあっさりとボクの口から滑り出る。すると彼は、
小さく肩を竦めてみせた。
「別に余裕を見せてるつもりは無いけどな。まあ、受かったよ」
 ボクの人生が、彼と違う道を歩む事になるという結果は、いともあっさりと告げられた
のだった。
『そう。良かったね。まあ、別府君の結果なんて、ボクには関係ないけれどね』
 何の考えも、何の感情もなく、ボクは自然のままにそう言ってから、クルリと踵を返した。
『帰るよ。ここにいてもしょうがないし。まだ用があるなら、ボクは一人で帰るけど』
「いや。手続きの用紙は郵送で着くはずだし、特にやる事はないはずだからな」
『そう。別府君は家に帰るんでしょ? ボクは、学校に寄って直接先生に報告してから帰
るから』
「そうか」
 こうして、ボクと別府君は大学の構内を後にした。別府君にとっては、4月から通う事に
なる――そしてボクは二度と来る事がない場所を。
156ほんわか名無しさん:2013/04/21(日) 18:38:00.44 0
続く

ずっと5レス投下だったから、普通に間違えた

申し訳ない
157ほんわか名無しさん:2013/04/21(日) 19:57:53.27 0
携帯から立てたからテンプレ貼れなかった
ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら669.6
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1366541755/


>>155
いいんちょktkr
ここからどうなるんかな
158ほんわか名無しさん:2013/04/21(日) 20:26:50.94 O
誰も来ずに落ちたんか……
立てれるかやってみてもいいが同じく携帯なんでテンプレ貼れん
159ほんわか名無しさん:2013/04/21(日) 20:36:21.47 0
巡り廻るにちなみさんを追加しようと躍起になる保守
160ほんわか名無しさん:2013/04/21(日) 20:40:14.44 0
自分で立てたの忘れて普通に本読んでしまっていた
161ほんわか名無しさん:2013/04/22(月) 11:07:12.31 0
男がツンデレの存在に気付かず本を読み続けてたらどうなるの?
162ほんわか名無しさん:2013/04/22(月) 14:05:04.36 0
男がツンデレが泣かないかなーと気付かないふりをしていたらどうするの?
163ほんわか名無しさん:2013/04/22(月) 20:14:51.15 0
やべぇダウナー熱が高まってる
164ほんわか名無しさん:2013/04/22(月) 20:39:58.22 O
その熱を吐き出せ、さぁ今すぐに!!
165ほんわか名無しさん:2013/04/22(月) 23:14:50.64 O
・ハイチュー


女「……」テクテク、ドカッ
男「……何か?」
女「……お菓子もらったから……食べる……?」
男「お菓子? なんの?」
女「……ハイチュー」
男「おぉ、懐かしいな。一粒くれ」
女「……本当にほしい?」
男「なんだよ、お前がくれるって言ったんだろ?」
女「……じゃあ、目つむれ」
男「また何か企んでやがるな……普通によこせください」
女「……駄目……つむれないなら……やらん……」
男「あーハイハイ、分かったよ。これでいいか?」パチ
女「うん……じゃあ……」チュッ
男「……えっ?」キョトン
女「……はい、チュー……なんてね……」
男「……だじゃれ?」
女「……」コク
男「……」
女「……私のはいチュー……もらったからには……100万円払えよ……」
男「一方的にチューしといて、それはないだろ」
女「……払えないなら……100万円分、私を幸せにしろ……一生かけてでも……」ギュ
男「はぁ……(なんちゅう愛情表現だよ)」
166ほんわか名無しさん:2013/04/22(月) 23:37:03.89 0
思わずフヒッて声が出てしまった
167ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 00:41:48.52 0
ダウナーに熱い何を吐き出すって?
168ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 17:29:13.91 0
169ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 17:40:13.14 O
・マント


男「んぁー、なんだこれ。どうやって着けるんだ……?」モゾモゾ
女「あら、タカシ……どうしましたの、その布は?」
男「あぁ、リナ。いやこれな、マントらしいんだけど着け方が分かんなくて」
女「マント……? 言われてみれば、そう見えなくもないですけれど」
男「昨日フリマで買ったんだけど、留め具はあるのにボタンがないから着れないんだよ」
女「どれ、見せてご覧なさいな。私なら、少なくともタカシよりは分かると思いますわ」
男「マジでか、サンキュ。ほら、肩口んとこに留め具はあるんだけど、それをはめるとこがないんだよ」
女「……タカシ、あなた本当にお馬鹿ですわねぇ。これは服とマントで1セット
  の一点物じゃありませんの。ボタンは服に着いてるに決まってますわ」
男「えぇー、マジで? じゃあこれだけ持ってても意味ないじゃん」
女「興味本意で、身の丈に合わない物を買うからこうなるんですわ。全く、恥ずかしいですわね」
男「なんか、かっちょよく見えたからつい買っちゃったけど、とんだ無駄遣いだったな」
女「専用のピンやブローチで留めることも出来ますけれど、そんな気の効いた物、持っていませんわよね?」
男「分かってて聞くない。あーあ、これどうしようかなぁ……」
女「……だったら、こうすればいいんじゃありませんの?」フワッ
男「ん……? うわっ!」
女「ほら、こうして前から私が留め金を握っていれば、マントを着ている風には見えますわよ」
男「リナさん……ちょっとこれは密着しすぎじゃありませんかね?」
女「どうせマントに隠れて見えやしませんもの……ね?」
男「……最近のリナのデレは強烈だなぁ」
170ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 17:41:42.69 O
>>168
ちなみさん口元が嬉しそうだなwww

GJ!
171ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 18:06:26.36 O
・映画のパンフレット


男「ただいまー、旦那様がご帰宅ですよー」
尊「なんだ、もう帰って来たのか。今日は残業は?」
男「珍しく早く上がれたんだな、それが。久しぶりに尊とゆっくり飯食えるぜ」
尊「それなら、先にシャワーを浴びてこい。汗臭い人間に食べさせる夕飯はないぞ」
男「はーい……ん? なんだこれ?」
尊「……あっ!?」
男「『ONE PIECE FILM Z』……『HUNTER×HUNTER 緋色の幻影』……なんでアニメ映画のパンフがあるんだ?」
尊「さ、さぁな。新聞の広告にでも混ざってたんじゃないか?」
男「なんでパンフレットが広告に混ざってんだよ……」
尊「私が知るか!! いいから早く風呂に入れ!!」
男「……そういや誰かさんって、結婚前は重度のアニメ好きでしたっけ?」
尊「ち、違う! アニメは結婚を機に卒業したぞ! 本当だからな!」
男「無理しなくてもいいよ。大方見に行きたいけど行けないから、友子辺りに頼んで持ってきてもらったんだろ?」
尊「ち……違うと言っているだろ! 疑り深いんだよ、お前は!」
男「……今度の休み、休日出勤もなさそうだから一緒に見に行くか?」
尊「本当か!?」パァァッ
男「あぁ、うちの嫁はなんて分かりやすいのだろう、まる」
尊「あっ、違っ!!……あぁっ、もうっ! なんでこんなことに!」
男「テンパりすぎだよ、尊」ナデナデ
尊「……///」ブスッ
172ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 19:06:12.87 O
・纏さんと読書

纏「……」パラ
男「お邪魔ー」ガラッ
纏「……なんじゃ? タカシかえ」パタン
男「読書中か。こりゃ本当にお邪魔だったか?」
纏「心配せんでも、タカシを邪魔と思わぬ時は一時もないわ」
男「そう言うなよ。邪魔はしないから、部屋の隅にでも居させてくれ」
纏「全く……ならば可能な限り、儂の視界に入ってくるでないぞ」
男「ういっす。ところで、何読んでんの?」
纏「うむ……萩原朔太郎じゃ。主も知っておろう?」
男「……外人さん?」
纏「明らかに日本人の名前じゃろうが。教科書に載っておる
  くらい有名じゃし、この間授業で習うたばかりじゃぞ?」
男「うーん、そうか。その授業の時はきっと耳だけ異次元に飛んでたんだな」
纏「要するに寝ておったんじゃろが……その体たらくでは、『青猫』も『月に吠える』も知らんのじゃろうな」
男「青猫……つまりドラえもんか?」
纏「どこまで阿呆を晒せば気が済むんじゃ、主は……」ガクリ
男「でも、授業で習う文章には興味ナッシングだけど、纏が読んでくれればちょっとは興味湧くかも」
纏「……なに? 儂に朗読せいと言うつもりか?」
男「いいじゃん、朗読。やってみてくれよ」
纏「儂の邪魔はせぬと言うたのに……まぁ、よかろう。ならば儂の好きな詩から詠むかの」
男「うん、うん」ワクワク
纏(全く、子供のような顔をしおって……可愛い男じゃの)クス
173ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 20:05:31.93 0
>>31
昇降口の前に、黒山の人だかり。
なぜなら今日は新学期初日であり、生徒が集まる先には、クラス発表の張り紙がしてあるからだ。
かく言う私、椎水千奈美も自分のクラスを確認するべく、人いきれの中を四苦八苦しているのだが……。
「おい千奈美。なんとまぁ今年も同じクラスだぞ」
……現れた。毎年毎年同じクラスになる、幼馴染の男。
それも高校だけではない。小学校中学校と必ず同じクラスになるという、ウルトラE難度の離れ業を繰り出してきた人物だ。
と言っても、別に彼自身がどうにかしている訳ではないので、何を言っても仕方がない。
「……げげぼ。最低最悪……。私の最後の望みも、ここに潰えた」
「どーゆー意味だよそれは!」
……仕方がないが、言ってしまうものは言ってしまう。最も、心にもない台詞ではあるが。
幼い頃から常に同じクラスにいて、何故かよく話す相手だった。
いつの頃からかは分からない。だが、一度意識してしまってはもう逃げられない。
いや、意識しまいと意識的に……だろうか? 彼に対してだけ、妙にキツイ言葉をかけるようになっていた。
「君といたら、のびのび出来ない……でしょ? 迷惑かけられた期間は……もう、10年近く?」
……そっか。もう10年も、こいつにドキドキさせられっぱなしなのか。本当に、大迷惑。
でも私はといえば、顔も見ずに辛辣な言葉を吐いて、はたから見ればただの嫌な女だ。普通なら、こんなのとはお近づきになりたくないだろうに。
「う、まぁ……千奈美さんには、宿題にテスト勉強にと色々とご面倒をお掛けしておりますが……」
そんな私と、嫌な顔一つせず一緒にいてくれる。

なんでなんだろう?

「全く……口ばっか」
「へへへ。何はともあれ、今年もよろしくな」
連れ立って教室へと向かう。
なんで……か。そんなのはもう分かってる。
でも、確かめるのが怖い。
……今年こそは。
自分の心を、彼の心を。確かめる勇気が欲しい。
それが私の、本当の望み。

 仕事中にダウナーさんの事が頭に浮かびまくってヘマしまくるくらいに、今ダウナーさんが熱い!!!!!
174ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 20:13:48.78 O
・別離(わかれ)の詩


纏「『畳の目 一つ一つと数えるように』……か」パタン
男「何ですか、それ?」ヌッ
纏「わひぁっ!? ど、どこから出てきおった、主は!?」
男「纏が複雑な顔してたから、障子の向こう側に潜んでた」
纏「神出鬼没で心臓に悪いぞ、主は……」ドキドキ
男「で、今の何? また萩原朔太郎?」
纏「違う。詩は詩でも、昭和の歌人の詠んだ詩歌じゃ」
男「ふーん……」
纏「『畳の目 一つ一つと数えるように 男と女は別れてゆくの』、という詩(うた)じゃの」
男「はーい、先生。よく意味が分かりません」
纏「主のような野暮天に説明しておったら、せっかくの気分が台無しになるわ」
男「……つまり、畳職人の悲しい恋愛を描いた詩ってことですね、分かりました」
纏「ぬがー! 違うわい! 主ゃ間違っておるの分かって言っとるじゃろ!」
男「じゃあ意味を説明して下さーい」
纏「全く、狡猾なんじゃか阿呆なのか分からんわ……いいじゃろ、教えてやるからそこへ座れ」
男「オーキードーキー」トスッ
纏「良いか、畳の目というのは聞いての通り、この畳の藺草の編み込みのことじゃな」
男「ほうほう」
纏「この編み込みはほんの小さな物じゃが、小さないさかいを重ねるうち、二人の心はその編み込みの距離ほどに離れてゆくんじゃ」
男「ふんふん」
纏「そうして畳の目を数えるように、少しずつ少しずつ、男女は別れてゆくものだと詠った訳じゃな」
男「分かったような分からないような。要するにスパッと別れられないのが昭和の恋愛ってこと?」
纏「ちーがーうー! 男女の食い違いの微妙な機微が分からんのか主は!」
男「そんなこと言っても、俺は纏を永遠に離さない自信あるしな!」
纏「全く理解しとらん……誰かこの阿呆に費やした時間を儂に返しておくれ……」グッタリ
175ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 20:16:39.05 O
>>173
仕事中にネタが浮かんで仕事が手につかなくなった経験を持つ身としては貴殿が他人に思えない

あと、ちなみん可愛いです。こいつらは在学中は着かず離れずでいて卒業式後にくっつくべき
176ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 20:23:02.85 0
>>174
実はちなみんの次に熱いのがまつりんなんだ。俺もまつりんに滔々と語られたい
177ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 20:42:34.82 0
・ツンデレに今晩天気が荒れるらしいから早く帰った方がいいぞって言ったのに、ツンデレがグズグズしてなかなか帰ろうとしなかったら
ち「……ここまでで、何か質問は」
お「ない! これで週明けのテストもバッチリだ!!」
ち「全く……せっかくの土曜にわざわざ人を家に呼びつけて、何かと思えば……」
お「だってさ〜授業全然ついて行けてなくてさ〜俺困っちゃってさ〜」
ち「甘ったれた声を出すな……。キモい。キモすぎる」
お「それはそれとして、大事な話がある」(キリッ)
ち「な、何……?」(ドキッ)
お「今夜は天気が大荒れらしいから、さっさと帰ったほうがいいぞ」
ち「………………」
お「あ、あれ? 気を利かせたつもりなんですけど……」
ち「なんでもない。……じゃあ、さっさと片付け」
お(なんか雰囲気怖いなぁ……)
ち(こいつは……どうしてくれようか……。そうだ……!)
ち「おっと、消しゴムが……」(ころころっ)
お「おいおい大丈夫か? ほれ」
ち「ん……、さんきゅー。……ああー筆箱がー」(ざばー)
お「いやそれ絶対わざとだろ!? 俺なんか悪い事したか?」
ち「……さぁ? うあー、カバンに入れようとしたノートがー……」(ブンッ! ばさばさっ!)
お「全力投球!? 何? 何なの!?」
ち「あーあ……。これでは片付けている間に、日も沈みきって天気も大荒れで帰れなくなってしまうー……」
お「……はぁ」
ち「……何?」
お「お前は素直なんだか捻くれてんのかさっぱり分からん」
ち「……ふん」
お「つーかその……着替え、とか……」
ち「……準備してある。……今日は、緊張し通しだった」
お「だーもう俺が悪かったよ! ……本当にいいんだな?」
ち「ん……。……覚悟、完了済み」

省略されました。続きを読むにはPrincess Bride!を96時間連続再生してください。
178ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 20:45:22.39 O
・一人でいる時にテンションが上がってしまい、舞い踊っているところを男に見られた纏さん


纏「……」
男「……」
纏「……見たか?」
男「いえ、何も」
纏「本当にかえ?」
男「えぇ……」
纏「……そうか」
男「お、おう……」
纏「……」
男「……『蝶々の舞い』」ボソッ
纏「やっぱり見ておるではないかあぁぁぁぁぁ!!」
男「いやあぁぁぁぁぁ見てません見てませんマジで見てませんからぁぁぁぁぁ!!」
纏「タカシ、主が今見たものはすぐに忘れるのじゃ! よいな!」
男「はいっ! 纏が『蝶々の舞い』という奇っ怪な踊りを踊り狂っていたのは秘密にします!」
纏「忘れる気ないじゃろがあぁぁぁぁぁ!!」
男「うわぁぁぁぁぁからかってごめんなさいぃぃぃぃぃ!!!」
纏「……」ハァ、ハァ
男「……」ハァ、ハァ
纏「……ふぅ。儂としたことが不覚じゃった。主が来る予定を忘れておったとは」
男「で、でも纏の踊り超可愛かったぞ! 蝶々だけに」
纏「よし、そこに座れ。記憶が無くなるほどに折檻してやる故」
男「失言でしたごめんなさいごめんなさいマジでその左手の木刀しまって下さい」
纏「歯ぁ食い縛るのじゃーーーーーーーー!!!」
男「ぎゃああぁぁぁぁぁ……!!」
179ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 20:46:47.43 O
>>177
甘酸っぱいなぁ……ジュルリ
180ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 21:27:19.37 0
・男が自分で料理を作っているという話に、そんなのマズいに決まってると言って譲らないツンデレ
「……なんですと?」
『聞こえなかったなら、もう一度言おうか……? そんなの、マズいに、決まって、る……』
 最近料理に凝っている……という話題を切り出したのだが、この恐ろしい切り返しである。
 彼女の名前は柊ちなみ。俺の幼馴染だ。
「あのねぇ。食べる前からその台詞はひどいんじゃないですかねぇ?」
 100人が100人、「もっともだ」と言ってくれるであろう俺の返しにも、
『食べて死んだら、何も言えない……でしょ?』
 とのお言葉。本当、どうしてくれよう。
「分かった。そこまで言われちゃ男がすたらぁ! 明日お前の分の弁当も持ってきてやる。それ食って判断しろ」
『ふん……。これは……見もの見もの』
 くっ。今にその鼻あかしてやるからな!
――という感じで明くる日の昼休み。
『………………ふぅ』
 もきゅもきゅと口を動かして、俺の手作り弁当を平らげたちなみさん。
 俺は余裕の表情で、称賛の台詞を待っていたのだが……
『まだまだ……だね』
「ええーーーーっ!?」
 どこぞの王子様の様な言葉でバッサリと切り捨てられた。
「どどどどどこがだよ!? このから揚げだって柔らかじゅ〜し〜、だし巻きだって……」
『口で言っても、無駄……。ま、明日を待つんだね』
 というちなみさんの言葉に、俺は納得の行かないまま勝負を持ち越されてしまった。
――そして再びの昼休み。
『……どう?』
「うぐぐ……。……美味しいです」
 がくり、とうなだれる俺。昨日の俺と全く同じメニューであるはずなのに、明らかに美味い。なんとお米に至るまでだ。
『ま、君のも思ったほど悪くはなかった……よ?』
 キィーーーーッ!! 悔しい!! 思わずハンカチを噛み締めて引っ張ってしまう程だ。
「み、み、み、見てろよ! あし、明日は必ずお前をギャフンと言わせてやるからな!!」
『そんなにどもるほど悔しいか……。……ふふん。出来るものならやってみるといい……よ?』
 勝ち誇るちなみさんに、俺は漆黒の決意を持った視線を返して、明日の再戦を宣言するのだった。
 周りにいるクラスメイトの、「毎日ただいちゃついてるだけじゃねーか」という声は、お互いに聞こえなかったことにして。
181ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 21:30:47.76 0
やべえ! 今俺にはダウナーさんが降りてきてる! やったー!
182ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 22:01:48.99 O
・多くを語らないツンデレ


女「……」トトトッ
男「……ん?」
女「……タカシ」ギュ
男「どうした、ちな? 怖い映画でも見たか?」
女「……違う」
男「じゃあどうした。なんか凄い顔してるぞ?」
女「……言葉は、無力だ……」
男「はい?」
女「……私も、私の吐いた台詞も、私の遺した物も……百年の後には全部消えるの……」
男「うん、で? それがどうした?」
女「……それが、なんだか……急に怖くなった……」
男「……そっか。まぁ、なんとなくちなの言いたいことは分かるよ」
女「……本当に?」
男「あぁ。自分がいなくなった後のこと考えるのって、スゲェ怖いよな」
女「……」コク
男「でもさ、だからといって誰にも話しかけずに人生終わったら、勿体ないじゃん?」
男「仮にちなの言葉が誰にも届かなくて、ちなの努力も何もかも、誰の記憶にも残らなかったとしてもだよ?」
男「それが無意味な徒労だったなんて、誰にも言えないんじゃないかな」
女「……」
男「だから、そのー……上手くまとめらんないけど、お前の怖いのはよく分かるから、怖くなったら俺のこと呼べ」
女「……うん」
男「そしたら、俺はちなの一言一句、全部聞き漏らさずに覚えとくからさ」
女「……そんなの無理だ……でも、ちょっと気分が明るくなった……」
男「そうか、それなら良かったよ」
女「……ありがと、タカシ……だいすき……」ギュゥッ
男「……ん」ナデナデ
183ほんわか名無しさん:2013/04/23(火) 22:41:30.06 0
ちなみんが可愛すぎて生きるのが辛い
184ほんわか名無しさん:2013/04/24(水) 11:39:03.12 0
妄想が大量で幸せである
185ほんわか名無しさん:2013/04/24(水) 12:09:51.61 0
「……すぅ」
なんだ、寝てんのか……ったく無防備なやつめ
「……たか、し……すき……えへへ」
ったく器用だなぁ
「くぅ……もうおなかいっぱい」
テンプレどうも
「……ね」
――今度はなんだ
「アタシの、おっぱい……ちっちゃいかな」
ちょwwww
「……えへ、よかった」
こ、これは……
「ん……もっとぉ……タカシぃ……んむ」
どんな夢見てんだよこいつ
「……ん、くぁぁ……」
お、起きた
「んー………………ん」
おはよ
「……! アンタ」
え、何?
「アタシに変なことしてないでしょうね!?」
してないよ……ったく、寝起きなのに元気だな
「だって、アンタさっきアタシにき」
……き?
「き、菊の花渡してきたじゃない首とれそうなやつ!アタシのこと呪い殺す気だったんでしょ!」
えーっと、やっぱ寝ぼけてんの?
「ね、寝ぼけてなんかない! 夢で、ちょっと」
ちょっと何があったの?
「……なんにもない!ないから、全然」

……やっぱその手の夢かよ
186ほんわか名無しさん:2013/04/24(水) 13:14:06.31 O
淫夢にうなされるツンデレを優しくエロエロしく介抱したいな
187ほんわか名無しさん:2013/04/24(水) 20:57:28.89 0
淫夢を見やすそうなのはいいんちょだな。きっと
188ほんわか名無しさん:2013/04/24(水) 21:23:44.08 O
・何かに怒っているらしいが何に怒っているのかさっぱり見当のつかないツンデレ


女「……」ムスーッ
男「なぁ、ちなー。さっきから何怒ってんだよぉ」
女「……怒ってない……激おこぷんぷん丸なだけ……」
男「それってめっちゃ怒ってるじゃんかよ……怒っててもかわいいな、新発見だ」
女「……そんなこと言ってると……私が何に怒ってるか……一生分からない……」
男「だって心当たりねーし。俺、なんかしたか?」
女「……もういい……ほっといて……」プクーッ
男「あら、膨れっ面ステキ。これが激おこぷんぷん丸なら一生そのままでいいかも」
女「……真面目に考える気ある……?」
男「あぁっ、こんな愛らしい生き物を怒らすなんて、俺はなんて罪深いことをしでかしたんだ!」
女「……そんなだから怒られるって……分からないのか……」
男「なるほど。ちなは俺の不真面目さに怒ってるワケか」
女「……違うけど」
男「違うのかよ。じゃあもう迷宮入りだよ」
女「……」フンス


―――『タカシに好かれる怒り方の研究』とは、口が裂けても言えないちなみさんでしたとさ。
189ほんわか名無しさん:2013/04/24(水) 23:30:01.53 O
・愛情の冷める時


男「うーん……どうしよっかなぁ……」
女「あら、どうしたの? お馬鹿のクセに難しい顔してるじゃない」
男「あぁ、かなみ……かなみに相談したらどうにかなるかな……」
女「何なの? また下らない相談?」
男「いや、あのさぁ……今度のGWに、従姉の姉ちゃんがうちに来るんだけどさ」
女「あぁ、あの美人のお姉さんね。小さいころ遊んでもらったから、よく覚えてるわよ」
男「……ここだけの話、姉ちゃん離婚してこっちに帰ってくるんだよ」
女「……本当に?」
男「うん。それ聞いてこっちも困惑しまくりでさぁ……特に俺と親父なんて、本人目の前にしたら絶対キョドるってのに」
女「そうね……まぁ、普通に接してあげるのが一番なんじゃないの?」
男「そうは言っても、そこに触れずに過ごせる自信ねぇよ……こんな憂鬱な気分で迎えるGWってないぜ」
女「大人の事情に首突っ込んでも仕方ないでしょ。華麗にスルーしてあげなさいよ」
男「やっぱそうするしかねぇのかなぁ……ハァ」
女「けど、あのお姉さんが離婚かぁ……人生いろいろっていうけど、ちょっとショックかも」
男「そうだな。いくら夫婦っていっても、好きなままでい続けるのは難しいんだろうな」
女「……私なら、一生いいお嫁さんのままで、添い遂げてあげられるのになぁ」チラッ
男「お前を嫁にもらったら、尻に敷かれて相手の方から三行半突きつけてくるだろ」
女「……あっそ。いちいちムカつくわね、あんたの言い方は!」
男「まぁ結婚も離婚も、俺らにゃ当分縁のない話だけどなー」アハハハ
女(……本当、タカシってぶちんなんだからっ!)
190ほんわか名無しさん:2013/04/25(木) 00:10:59.90 0
うおおおおお可愛い可愛い
GJGJ

・ツンデレに、お前と結婚する奴ってどんな奴なんだろうな、って言ってみたらどうなるの?
191ほんわか名無しさん:2013/04/25(木) 13:24:14.46 0
・ツンデレに、お前と結婚する奴の顔を見てみたいって言ってみたらどうなるの?
・ツンデレに、お前と結婚する奴の顔を見てみたいって言ったときにツンデレが手鏡を持ってたらどうなるの?
192ほんわか名無しさん:2013/04/26(金) 11:28:48.16 0
お題
つ・余裕のないツンデレ
 ・ツンデレに今年のゴールデンウイークはどう過ごすのって聞いたら
193ほんわか名無しさん:2013/04/26(金) 23:31:55.82 O
>>186

・嫁ツンデレが淫夢にうなされていたら

尊「うぅ……」
男「ん? なんだなんだうちの嫁は。うなされよってからに」
尊「……んっ」ビクンビクン
男「おぉ、痙攣しとる。大丈夫かいな? おーい、尊ぉ?」ポンポン
尊「……ん」パチクリ
男「おぉ、起きたか。なんかびくびくしてたから心配したぞ」
尊「タカ、シ……か?」
男「そうですよ。そして君の名前は尊。思い出したかい?」
尊「……下らない戯れ言を言ってないで、早くしたらどうだ……」
男「えぇ? 俺に何をしろって?」
尊「言わすな、バカッ……こ、これでも初めてで……怖いんだからな……」
男「……んん?」
尊「まじまじと見るな……恥ずかしいだろっ……!!」
男(……もしかして尊、寝ぼけてるのか?)
尊「どうした……私じゃ不満か……?」
男(間違いない。これは新婚初夜の時の再現……)
男(大方おかしな夢でも見たんだろうけど、それにしてもなんつー直接的な……)
尊「……そうか。私では役目不足ということか……すまない……」
男「えっ、いや違うよ!? 尊かわいいよ尊。マジ大好き愛してる!」チュッチュッ
尊「んっ……!!」ビクンッ
男(正気に戻してたまるか! 初々しい尊なんて久しぶりだからな!)チュム
尊「んぁっ……貴様、私の胸を……!」
男「脱がしてしまえばこっちのもんよ!」レロレロ
尊「……タカシ……優しく、してくれよ……?」
男「……!!」プツンッ

以下、尊さんが理性を取り戻すまでセクロry
194ほんわか名無しさん:2013/04/27(土) 04:10:59.85 0
これはプッツンしても仕方が無いね!
GJ!
195ほんわか名無しさん:2013/04/27(土) 08:31:47.14 O
性的なことに興味津々なのにいざ本番になるとビビっちゃうちなみんかわいい!
196ほんわか名無しさん:2013/04/27(土) 17:39:16.37 O
>>194の事後


尊「……ん」パチ
男「おぉ、起きたか」
尊「タカシ……私は何を……というか何故裸!?」
男「あんまり動くなって。お前、腰抜かして大変だったんだからな」
尊「……腰を抜かすようなことをした記憶がない」
男「そこはまぁ、ほら、お察しくださいですよ」
尊「……したのか、私と、セックス」
男「いやー、最近手淫すら怠けてたから、もの凄くたくさん出たよ」
尊「……!!」ハッ
男「あぁ、大丈夫。尊の中で出したのは、気絶してる間にちゃんと拭き取りました」
尊「……釈然としない。何が起こったのか、説明を要求する」
男「尊が寝ぼけて求めてきたから、相手してあげただけ」
尊「わっ、私がそんな淫乱のようなことするか!!」
男「まぁなんちゅうか、新鮮な気分でしたよ。まさか尊が『タカシの赤ちゃん欲しい』とか言っちゃうなんて」
尊「……////」ボッ
男「ちゃんと赤ちゃんできてるといいなー。なぁ尊?」ナデナデ
尊「私に聞くなっ、死ねっ///!!」
197ほんわか名無しさん:2013/04/27(土) 17:46:15.77 0
お題
・チナミゾウアザラシ
・カナミゾウアザラシ
198ほんわか名無しさん:2013/04/27(土) 17:59:02.68 O
>>196
おっきおっき
199ほんわか名無しさん:2013/04/27(土) 18:01:07.53 O
sage忘れたスマソ
200ほんわか名無しさん:2013/04/27(土) 21:46:26.59 0
某WizライクゲーがVitaで出たようだけど本体を持ってないし、悔しいからテンプレツンデレさんたちで妄想。

アッパー 王騎士/拳法士
 正統派ヒロインは正統派女騎士! みんなを守る偉大な盾だ!
お嬢 召術士/魔術士
 並み居る化け物どもをひれ伏させろ! 言うこと聞かない悪い子は、鞭でお尻を百叩き!
老成 武術士/拳法士
 寄るな寄るな、寄らば斬る! 有象無象どもをズンバラリンだ!
尊大 射術士/武術士
 平成の女与一とはこの人だ! 額と言わず体中に風穴あけたれ!
関西 学術士/聖術士
 アイテム鑑定はおまかせ! お金の事なら任せなさい!
ボクっ娘 暗術士/拳法士
 背後一閃、首チョンパ! チビ助だから見つからないぞ!
勝気 拳法士/戦術士
 男なら拳で勝負せんかい! え、女の子? 女の子だって拳で勝負せんかい!
無表情 聖術士/武術士
 笑顔は見せなくても、ホントは優しいんだ! でもハンマーは振り回すぞ!
中華 拳法士/暗術士
 中華と言ったらこれしかない! ボクっ娘や勝気と被ってるとかいうな!

幽霊
 回収しましょう。

ダウナー
 なんでもあり。カマキリ拳法だろうが3DOリアルの格好だろうが、何でもすればいいじゃない。


あーあVita欲しい。
201ほんわか名無しさん:2013/04/28(日) 13:10:12.82 O
大規模規制に巻き込まれたツンデレスレ民はどれだけいるのか
202ほんわか名無しさん:2013/04/28(日) 18:06:09.29 O
普通に巻き込まれたわ
どういう環境なら生き残るんだべ
203ほんわか名無しさん:2013/04/28(日) 19:12:37.91 0
どうかな
204ほんわか名無しさん:2013/04/28(日) 19:52:34.20 0
俺も巻き込まれた
けどツンデレへの愛とほんのちょっとのPCの知識で乗り切った
205ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 00:20:18.15 0
そもそも大規模規制の前からずっと規制中な俺が5レス行っときます

>>155の続きです
2061/5:2013/04/29(月) 00:21:32.81 0
・ツンデレと男が合格発表の会場で偶然出くわしたら その3

『ハァ……』
 部屋に入ると、荷物を置いてドサッとベッドに腰を下ろした。そのまま上半身を横たえる。
『疲れちゃうよ…… みんなして残念だったけどよくやったよって…… 結果が出なけれ
ば、同じ事なのに……』
 別府君だけじゃなく、先生にも母親にも労いの言葉を掛けられる。それはそれで悪い事
ではないけれど、これから父や兄にも同じ言葉を言われるのかと思うと、さすがにちょっ
とウンザリする。
――今は、何も考えたくないし…… 少し、寝ようかな……
 目を閉じて気持ちを楽にしようとした時、携帯が着信音を奏で出した。仕方無しに机の
上に置いた携帯を手に取る。相手が友香と知って、ボクは眉をひそめた。
――また、おんなじことを言わなくちゃいけないのか…… 疲れるな、もう……
 それでも、電話に出なくたってどうせ時間を置いて何度も掛かって来るのだ。眠りに付
いたところで妨害されるのはもっと鬱陶しい。仕方ないと諦めて、ボクは着信ボタンを押した。
『もしもし友香?』
『あ、悠? 今日、どうだったのか気になって電話したんだけどさ。その様子だと……も
しかして、ダメだった?』
『だから何で分かるのっ!! ボク、まだ何も言ってないのに』
 別府君の言うとおりだった。先生は分からなかったけれど、母親には顔を見ただけでバ
レてしまったし、友香に至っては声色だけで分かってしまったらしい」
『だって、明らかに疲れた声だったもの。そっか……残念だったね……』
 気遣うような声色に、ボクは気を強く持って憎まれ口を返した。
『友香に言われたくないよ。滑り止め以外全滅してるのにさ。人の事、慰めてる場合じゃ
なくない?』
 これにはさすがの友香も一瞬絶句したが、すぐに気を取り直して話を続けてきた。
『あたしの事はどうだっていいの。まだ後期日程もあるし、そっちの方が重要なんだから』
 そして、一度言葉を区切り、少し置いてから友香は優しくボクの名を呼んだ。
『悠』
2072/5:2013/04/29(月) 00:22:56.24 0
『な……何? 変な言い方して。何か、気持ち悪いよ』
 何かいつもと違う雰囲気にドキリとしつつ、それを隠そうとわざと嫌悪を見せてみるも、
友香は全く構わなかった。
『どうせアンタの事だからさ。平気な顔して振舞っているんでしょうけど……正直、ショッ
クだったんでしょ? 美府理科大に落ちてさ。そこ目指して頑張ったんだもの』
『う…… そ、そりゃショックはショックだけど……正直、もともと無理だって言われて
たのを受験ギリギリで辛うじて合格出来るかってくらいまで引き上げられたんだし……
それに、穂野大の理工学部だって難しかったのに合格出来たんだもの。文句なんて言えないよ』
 先生からは、一杉の二年の時の成績からすれば十分良くやったし、結果としては申し分
ないと褒められたし、母親からも同じように良く頑張ったってねぎらわれた。だからボク
はそのように答えたのだけど、友香は一つため息をついてから、そっと言った。
『いいのよ。我慢しなくたって。だって悠が美府理科大目指して頑張って来たのは良く知っ
てるもの。部屋には誰もいないんでしょ? だったら……泣いちゃいなよ。思いっきりさ』
 友香の言葉が、錐のように胸に刺さった。グッと感情がこみ上げて来るのをボクは必死
で抑えると、最後の力で抵抗する。
『フ……フン。どうせ、別府君絡みで言ってるんでしょ? いつも言ってるのに。別に別
府君と同じ大学に行けようが行けまいが構わないって。それなのにみんなしつこくて、本
当にこっちは困ってるんだから』
 どうせからかい混じりの気持ちなんだろうと思うことで、ボクはそれを最後の防波堤に
した。その時、何故か電話の向こうで友香が首を振ったような、そんなイメージがボクの
脳裏を過ぎる。そして、ちょうどそのくらいの間を置いてから、友香の声が聞こえた。
『全く…… まあ、それもそうなんだけどさ。悠ってば真面目で堅物で、融通が全く利か
なくって、おまけに負けず嫌いからさ。ずっと、美府理科大しかみて勉強してこなかった
んだろうなって。だから……まあ、別府君とか関係なくてもさ。ずっとそこに入る為に頑
張ってきて……それがダメだったんだから、多分相当ショックだったんじゃないかって思
うんだけど。違う?』
2083/5:2013/04/29(月) 00:24:15.09 0
 友香に問われ、違うと答えようとして、ボクは言葉が出なかった。確かに、きっかけは
別府君だったけれど、決めてからはちゃんと、自分が興味を持てる学部を調べて選んだり、
その先の就職の事までちゃんと考えて、さらにはサークル活動やらレクリエーションやら
もちゃんと見て、どんな大学生活になるんだろうと胸を膨らませた事もあったけれど、そ
れが全部入り口で否定されてしまったのだ。
『いいじゃん。泣きなよ。悔しいんでしょ? 悲しいんでしょ? 我慢する事ないよ。あ
んだけ頑張ったのに……あたしだって、悠がどれだけ頑張ってたのか知らなかった訳じゃ
ないからさ。今、すごく残念だったってガッカリしてるのに…… 悠がショックな訳ない
じゃない……』
『……っ……くっ……』
 積み重ねてきた感情の防波堤なんてものは、親友の優しい言葉の前ではあっけなく崩れ
去った。
『何で……そんな事……言うのっ!! いつも……分かった様な事ばかり言って……ボク
の心の中まで曝け出そうとしてっ……グスッ……ウウウッ……』
 目からとめどなく涙が出てきて、それはもう抑えようがなかった。目をしばたたかせな
がら、袖で目を押さえるが、それは単に涙が床に落ちるのを防いだだけで、代わりにあっ
という間に袖が濡れて行く。ボクは唇をグッと強く閉じ、顔を上げて涙が零れるのを少し
でも減らそうとしつつ、垂れてきそうになる鼻水を啜り上げる。
『何で……何だって……友香のバカ!! 我慢してたのに……ヒクッ……ウウウウウッ
…………アッアッ……アアアッ……』
『……いっぱい、泣きなよ。あたしが全部……受け止めてあげるから……』


 どのくらい泣いたのか。ボクはベッドから顔を上げて鼻を啜る。それから、ティッシュ
を探すと、ティッシュペーパーを取り、まだ片手に持ちっぱなしだった携帯を床に置いて
何回か盛大に鼻を噛む。それから、友香と通話中だったことを思い出して画面を見ると、
まだ繋がりっぱなしだった。さすがに切ったかなと思いつつも、携帯を手に持ってそっと
話し掛けてみる。
2094/5:2013/04/29(月) 00:25:20.25 0
『……友香?』
『落ち着いた? どう? 泣いたら少しは気分良くなったでしょ?』
 すぐに友香の返事が来る。どうやらボクが泣いている間もずっと、聞いていたらしい。
泣き声だけじゃなくて咳やら鼻を啜る音やらみんな聞かれていた事が、さすがに恥ずかし
くなる。
『何でまだ切ってないの? 泣き声なんて聞かれたくなかったのに……』
『言ったでしょ? 全部受け止めてあげるって。親友なんだからさ。遠慮しなさんな』
 あくまで気軽に、それでいて彼女の優しさが伝わって来てボクはあらためて友香という
友達がいた事に感謝した。いつも冗談めかして振舞っていて、恋の事では困らせられてば
かりだけど、それでもいつでもボクを気に掛けてくれて、大事な時はいつだって相談にも
乗ってくれて、頼まなくても気を遣ってくれて、本当にありがたいと思う。
『……ここまでしてくれても、ボク……返せないよ? 鈍感だし……気も利かないから』
 すると友香は楽しそうにアハッと笑った。
『大丈夫よ。あたしは悠と違って図々しいからさ。自分から慰めてアピールするもん。そ
れに、悠の事が心配だってのは、そんなのとは違うから……だから全然気にしないでいいし』
『でも、そんな事言われても……』
 むしろ、無償だと言われてしまうとより気が引けてしまう。だけど友香は、全然構わな
いとばかりに答えてきた。
『いーの。悠だって気付いてないだけで、結構助けてくれてるんだし。友達を思い遣るの
にやり方なんて人それぞれだし、悠は今まで通りの悠でいてくれればさ。それで十分なん
だからね』
 ここまで言われてしまうと、もう言い返すことなんて無くなってしまう。いや。一つ、
彼女の真摯な思いに返すべき言葉があったけれど、それを口に出すのは何だかすごく気恥
ずかしくて、抵抗感があった。しかし、同時に今言わなければダメな気がすごく強くなり、
ボクは思い切ってそれを口に出した。
『……友香。ありがとう…… ボクに、ここまで気を遣ってくれて……』
 しかし、言い終えてもむしろそれからの方が余計恥ずかしくなってしまった。それに必
死で耐えていると、少し間が空いてから友香の嬉しそうな声がする。
2105/5:2013/04/29(月) 00:26:39.25 0
『どーしたの? 悠が素直にお礼言ってくるなんて珍しいじゃない』
 こっちが必死で頑張って口にした言葉を、何だか茶化された気がしてボクは思わずカッ
となって携帯に怒鳴りつけた。
『ボ……ボクだってちゃんとお礼くらい言えるってば!! バカにしたような言い方しな
いでよね!!』
 それに友香は何故か楽しそうに笑い声を上げてから、宥めるように答えて来た。
『バカになんてしてないって。ちょっとからかったけどね。でも、悠が感謝してくれてる
のは分かったから、こっちも嬉しいわよ』
『もう……』
 不満気に呟くと、友香はもう一度、小さくクスッと笑い声を上げてから、話を変えた。
『で、もう一つ気になる事があるんだけどさ。そっちは直接会って話したいから……明日、
会えない? あたしんちで』
 特に勉強するとかでもないのに、わざわざ友香の家に誘われる事はそう多くはなかった
から、ボクは首を傾げた。
『何、その気になる事って。変な事じゃないでしょうね?』
 釘を刺すつもりで聞くと、友香はウーン、と唸った。
『変な事……かも。でも、真面目な話だからさ。茶化すつもりならわざわざ二人だけで会
おうとしないって。ね?』
 そうたしなめられるように言われて、今度はボクが唸ってしまった。少し悩んだけれど、
あれだけボクを心配してくれた親友の言葉だし、信じてみようと決めてボクは頷いて了承
した。
『分かった。明日……お昼過ぎに行くね』
『うん。お茶準備して待ってるから。じゃー、今晩はもう遅くなるし、またね』
 友香との電話を終えてから、ボクは友香の言うもう一つの気になる事について、考えを
巡らせてみた。しかし、どう考えても、一つしか思いつくものがない。
『別府君との事……だよね、多分…… 何言われるのかなあ……ハァ……』
 そればっかりは、いくら友香といえどもあまりあれこれと口を出されたくないだけに、
ボクは不安に思ってため息をつかざるを得なかったのだった。


続く
211ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 03:26:29.01 0
これは続きに期待
212ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 06:42:51.73 O
GJ!
213ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 08:43:15.15 O
GWだしツンデレさんと日中からイチャイチャイチャイチャイチャイチャ イチャイチャしたいなぁ……
214ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 09:51:09.46 0
>>191
『ポッキーにーポテチにー、たけのこの里にパイの実でしょ〜。うへへ、ぼくしやわせ〜〜〜〜!!』
 GWだというのに、わざわざ人の部屋に大量の菓子を持ちだして貪るは、ボクっ娘あずさ。
 せっかくの休みだというのに、こいつは他にすることがないのだろうか?
「はぁ……」
『なんだよその溜息は』
 口の周りをお菓子でベッタベタにしていうあずさ。とても同い年とは思えないその顔に、俺は再度ため息をつく。
「はぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜……」
『だから! 何で人の顔見てそんな盛大なため息つくのさ!!』
 口からポテチのカスを飛ばして叫ぶアホの子に、俺はそっと手のひらサイズの手鏡を渡す。
「見てみろ」
『ああ〜? ……うわわ! なんじゃこりゃ!! ティッシュティッシュ!!』
 ようやく自分の醜態に気づいたか、傍らのティッシュで自らの顔面をゴシゴシと拭いまくる。
『ふぅ。お前もさー、先に口で言ってくれてもいいんじゃない?』
 丸めたテッシュをそこらの床に転がして、自分勝手なことをおっしゃるあずささん。
「はぁぁぁぁぁ〜……………」
 俺はカックリと首を落とし、三度深いため息をつく。
『だから!!  男ならはっきり言えよな!! 女々しいぞー!!』
 両腕を振り上げて喚くあずさに、俺は仕方なく言葉を返す。
「あのなぁ。女の子が、せっかくの休みに男の家に転がり込み、大量のお菓子を貪って顔はベタベタ。おまけにゴミを床の上に散らかす」
「ため息の一つや二つや三つや四つ、つきたくもなろうってもんだろ」
『むぐぐ……』
 何が悲しくてこんな母親のような台詞を吐かにゃならんのだ俺は。口をへの字にうつむくあずさに続けて言う。
「全く……。お前と結婚する奴の顔を見てみたいよ、俺は」
『……ムカッ!』
 そんな俺の言葉に、自分でムカッと声を出すあずさ。そして先ほどの手鏡をこちらに放り投げ、
『そんなに見たきゃ見てみれば!? ふーんだっ!!』
 とだけ言うと、ぷいっと向こうを向き、さっき以上の勢いでお菓子を貪り食らう。
 一体どういう意味だ? と一瞬だけ考えたが、すぐに合点がいく。
「……ったくよぉ。おい、俺にもなんか一つよこせ」
『お願いしますあざさ様〜、って土下座したらな!』
 どうやら俺は、一生こんな日常を過ごすらしい。
215ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 10:03:19.66 0
やっぱこっちだと一度の書き込み容量が少なくて不便だ。削らんといけなくなるなw
216ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 10:25:11.01 0
>>214gj

容量気にしないで書けないのは不便だよなぁ
217ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 10:39:15.90 O
GJ!あずあず嫁にしたいよあずあず

強引に2レスに分けるという手段もあるよ
218ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 10:58:48.33 O
・GWに休みが取れた旦那とそれを喜ぶ嫁ツンデレ


男「ヤーハーッ!! やったぜ尊ぉ!!」ドタドタ
尊「……帰って来るなりうるさい奴だ。一体何がお前に馬鹿を晒させる気にしたんだ?」
男「GW、二日間だけだけど連休取れそうだぞ!」
尊「ほ……本当か!?」パァァッ
男「おう! 熾烈なGW休暇争いに俺は勝ったぞ! やったあぁ!」
尊「ふ……ふんっ! ただでさえ安い稼ぎが、余計少なくなるだろうが」
男「そんなこと言うなよ。今から尊と何しようか頭の中で構想考えてるんだからさ!」
尊「私は、込み合う時期に観光なんぞしたくないぞ!!」
男「ん? そうか? せっかくだからどっか出かけようと思ってたんだけど」
尊「……せっかくの休みなら、家でのんびりすればいいじゃないか」
男「ん? んんん?」
尊「わざわざ観光名所なんかに行って、疲れる必要はない……私はっ、お、お前と一緒にいられれば、それでいいから……」
男「尊……」
尊「あぁぁぁ! 今の台詞は忘れろ! 明日は生活用品の買い出しだからな、荷物持ちしろよっ!」
男「……うちの嫁はいい嫁だなぁ」ウンウン
尊「しみじみするな!」
219ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 17:56:46.70 0
嫁みこちんとGWを一緒に過ごしたいな
220ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 20:11:11.51 0
みこちん可愛いよみこちん
221ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 20:44:14.65 O
・平和な午後

男「……」ゴロゴロ
女「……」ポテン
男「……」
女「……」ノシッ
男「……」
女「……無視か」ペシペシ
男「おぉ、いたのかちなみ。軽かったから全く気づかなかったぜ」
女「……わざとらしい……死ねばいいのに……」
男「幼なじみに毎日ゲームの邪魔をされる俺の身にもなれ」
女「……タカシはいつもゲームゲーム……ゲーム脳になって屋上から飛び降りればいいのに……」
男「どういう発想の飛躍だよ。仮にゲーム脳になっても屋上から飛び降りたりしねぇよ」
女「……そのゲーム……面白い……?」
男「ん。まぁそれなりに。クッソ面白くて時間忘れるなんてのは滅多にねぇなぁ」
女「……私と遊ぶのより……面白い……?」
男「ん……それは時と場合によるな」
女「……」ゴスッ
男「後頭部への頭突きは致命傷になりかねないので止めなさい」ズキズキ
女「……」フン
男「あんなぁ、時と場合によるっていうのは、背後から覆い被さられたままじゃ何も楽しめねーよって意味だよ」
女「……それは詭弁だ……タカシは私よりゲームを取った……」フン
男「……そこまで言うなら、一緒にできるゲームやるか?」
女「……ゲーム苦手なの……知ってるだろ……」
男「桃鉄くらいならできるだろ? やんべやんべ」カチャカチャ
女「……全くこれだからタカシは……私までゲーム脳にしようとする……」
男「お前が拗ねこびてるからだろが」
女「……ま、いいけど」


ゴロゴロしてたらちなみんが覆い被さってくるシチュエーションが好きすぎる
222ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 20:58:48.40 0
桃鉄はいかん! 二人の仲が険悪になってしまうぞ!!

お題
・怖がりなツンデレとバイオハザードの協力プレイ
・怖がりな男に無無理矢理バイオハザードをさせるツンデレ
223ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 21:07:34.64 O
・好きな色について(かなみさんVer.)


男「やっほ、かなみ」
女「やっほ、じゃない! 五分遅刻よ!」
男「いいじゃんよぉ、五分くらい……あんま怒るとシワが増えるぞ」
女「五分でも遅刻は遅刻です。待ち合わせの時間くらいちゃんと守りなさい!」
男「はーい。ところでかなみ、その春物のコート、似合ってるな」
女「あったりまえよ。今日のためにわざわざ新調したんだから!」
男「わざわざ俺と出かけるために新調したのか。こりゃニヤニヤが止まらん」
女「べ、別にあんたのためじゃないんだから! たまたまタイミングが良かっただけよ!」
男「ツンデレのテンプレ乙。でも、赤のコートって珍しいな。いつもはもっと大人しい色選ぶのに」
女「……あんた、覚えてないの?」
男「えっ?」
女「あんたが赤色が似合うっていうから、思いきって買ってみたのに……」
男「あぁ、そうだったのか。だとしたら俺の眼力も大したもんだな、本当によく似合うよ」
女「……別に、あんたに誉められても嬉しくないし///」
男(顔がコートの保護色になりよった)ニヤニヤ
224ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 21:20:35.93 O
・好きな色について(ちなみさんVer.)


女「……」ジーッ
男「どうした、ちびっこ。俺のイケメン具合に見とれたか?」
女「……おんぶ」
男「あん?」
女「……疲れたから……おんぶしろ……」
男「おいおい、背丈だけじゃなく脳ミソまで合法ロリになっちまったのか?」
女「……いずれ近いうちに……私の背もグイグイ伸びる……そうなる前にタカシを私の馬にする……」
男「前者も後者も全く肯定できねぇ。……ま、たまにはいっか。ほら合法ロリ、早く背におぶされ」
女「……最初から……そうしてろ……」ノシノシ
男「うぃうぃ。なんでこうもワガママに育ったかねぇ」テクテク
女「……タカシ」
男「んー」
女「……空……青いね……」
男「あー、そうだなー。今日は春の日和だからなー」
女「……私、あの空の青が……この世で一番好きな色なの……」
男「ほう。その心は?」
女「……教えない……自分で想像しろ……」
男「なんだよそれ。自分から言っといてよ」
女(……タカシの背中から見る空の青が……一番好きだからだよ……ばーか)ギュッ
225ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 21:33:25.74 O
・好きな色について(かつみさんVer.)


女「なぁ、タカシ。お前って自分のこと、どれくらい知ってるよ?」
男「うぇ? そうだな……成績は下から数えた方が早くて、好きなパンツはかつみの黒下着ってことくらいか」
女「お前はもっと自分をよく知れよ……あと俺のパンツの色をそれ以上口にしたらコロス」
男「なははは、冗談冗談。でもなんで?」
女「実はこないだ、てめぇに関する重大な秘密に気づいちまったんだよなぁ」ニヤニヤ
男「えー、なんだよそれ。気分悪いなぁ」
女「多分てめぇ自身気づいてねぇんじゃねぇかなぁ、ヒヒヒ!」
男「えー……実は俺とかつみが血の繋がらない兄妹だったとか?」
女「それならもっと深刻に話すわ! お前のド頭どうなってんだよ!」
男「これが違うならもうわからん。俺にも教えれ」
女「教えねーよーだ! 一生悩んでろばーか!」クシャッ
男「うわっ、髪の毛握んな! ボサボサになるだろ!」
女「へっへぇーん! 今のがヒントだよ! 無い知恵絞ってよーく考えな!」
男「えぇぇぇ? 全くわからん……」


女(……あいつの髪、普通の黒髪に見えて、光に透かすと濃紺になるんだよな)
女(俺だけが知ってるタカシの秘密……ってか? ニヒヒ…///)
226ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 21:54:32.21 O
・好きな色について(いいんちょVer.)


男「んがーっ! 勉強わけわかんねーっ!」
女「しっかりしてください。それが人に教えを請う態度ですか」
男「だって数学とか存在する意味自体わかんないもん。数学考えた奴死ね」
女「数学だってあなたの知らないところで役立っているんです。全世界の数学者に謝りなさい」
男「そうは言っても、俺の脳の許容量じゃ微分も積分もイミフだぜー」
女「全く……じゃあ五分間休憩にします。それまでに気持ちをリフレッシュしてらっしゃい」
男「さっすがいいんちょ、話が分かる! ちょうど参考書とのにらめっこで目がショボついてたとこだったんだ」
女「それだったら、遠くの緑を眺めてみたらどうですか?」
男「ん? あれ、それって確か、車酔いとか覚ますための方法じゃなかったっけ?」
女「緑を見るのは、疲れ目にも効きますよ。ほら、私メガネだから、目が疲れやすくて」
男「あぁ、なるほど。日頃から勉強してるいいんちょならではだな」
女「だからこうして、たまにメガネを取って緑を見るんです」カチャ
男「あ……」
女「だからですかね。私、緑が好きで、観葉植物とか集めるのも好きなんです」
男「あ、あぁ……そうなんだ……」
女「……どうかしました? 人の顔ばかり伺って?」
男「あ、いや……メガネ外して遠くを見てるいいんちょの横顔、綺麗だなぁって思って……」
女「へ……? な、何を言ってるんですか!?」
男「いや、ごめん! 自分でも変なこと言ってるのはよく分かるけども!」
女「また意味不明なことを言って私を混乱させようとして! ダメですよ!!」ワタワタ
男「他意はないんだ! ただ本当に見とれちゃっただけで! 他意はないんだよ!」
女「別府くんなんか、私じゃなくてこの観葉植物でも見てればいーんです! こっち見ないでくださいっ!」ドンッ
男「あぁん! 俺といいんちょの間に障害物があぁぁ……!」
女(……なんであんなクサいセリフ、さらっと言っちゃうかなぁ。あービックリした……///)
227ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 22:09:53.06 O
まつりさんVer.書いてたら誤って全消ししちゃった罠
続きはまた後で
228ほんわか名無しさん:2013/04/29(月) 23:18:27.56 O
・好きな色について(まつりさんVer.)


纏「……」シュラ、シュラ
男「……」ジーッ
纏「……出来た。出来たぞえ」
男「おー」パチパチ
纏「これで明日の書道会は万端かの」
男「お疲れさん。さすがに人目に触れるとなると、ヤル気が違うな」
纏「あったり前じゃ! 特に明日の会には、連盟のお偉方が山と来よるからの」
男「ふーん。そんな先生方が、わざわざ纏の書を見に来るのか」
纏「だって儂、日本で十指に入る書道家じゃし」エッヘン
男「ずいぶんと偉そうな態度だこと」
纏「抜かせ、阿呆め……しかし、儂としたことが、ちと墨を摺りすぎてしもうたようじゃの」
男「あ、俺聞いたことある。確かマジもんの書道に使う墨って、滅茶苦茶高いんだろ?」
纏「値段なぞ問題ではないが、この墨は良い黒が出るゆえ、気に入っておるんじゃよ」
男「そうなんだ。なんか使い道ないのか?」
纏「といってものぅ……儂に思いつくのは、タカシの顔面を半紙にして、悪戯描きするくらいかのぅ?」ジリッ
男「……なんで俺の方ににじりよって来てんの?」
纏「墨の供養じゃ、顔を貸せタカシ」
男「嫌だよ! 何が悲しくて正月でもないのに、羽根つきの真似事なんか!」
纏「良いではないか。墨の黒に紛れて、主の腹黒さも薄れるじゃろうて」ジリッ、ジリッ
男「わーっ! 待て待て、落ち着け纏!」
纏「ふははは! 主の話なぞ聞く耳持たぬわーっ!」
男「ぬわーっ!?」
纏「ふふふ……タカシを儂色に染めるのは楽しいのぅ」ヌリヌリペタペタ
男「俺は全然楽しくないっ!!」
229ほんわか名無しさん:2013/04/30(火) 00:58:32.75 0
gj過ぎるぜ…
いい夢見れそうだ
2301/4:2013/04/30(火) 01:02:24.83 0
お題作成機より:お嬢・バス停・下着

「よお、理奈。こんな所に座ってどうしたんだよ?」
『タカシ? 貴方こそ、何でこんな場所にいらっしゃいますの?』
「こんな場所も何も、俺んち、すぐそこだからな。ちょっとコンビニ行って雑誌買って来
た帰り。ほれ」
『フン。どうせまた、コーラとかポテトチップスですとか、体に悪いものもついでに買い
込んだんでしょう? そんな暮らしぶりばかりしていると、そのうち体を壊しますわよ』
「よく分かるよな。といっても、袋見りゃ分かるか。大きなお世話だよって言いたいけど、
もしかして理奈。俺のこと心配してくれてんの?」
『バッ…… バカな事言っているんじゃありませんわっ!! 貴方が体を壊して入院でも
すれば、お医者様や看護師さん達に余計な負担がかかるじゃありませんの。健康保険のお
金だって無駄に使われてしまいますわ。一人で勝手に野垂れ死になさるのでしたら、別に
何とも思いませんわよ』
「へいへい。で、理奈は? お前んちってこの近所だったっけ?」
『わたくしの家はもう少し離れてますわ。今日はちょっとお散歩に出てましたの。わたく
し、天気の良い休日は歩いて遠くまで出歩くのが趣味なんですわ』
「ふうん。俺の母ちゃんも、時々健康の為とか言って近所に散歩に出掛けてるけどさ。た
だ歩いてるだけの何が楽しいのか、俺にはよくわかんねーな」
『よく知った道から一歩外れるだけで新しい発見があったりしますのよ。それに、季節ご
とに変わる草花や空気に触れるだけでも楽しめますし、特にわたくしのように普段出掛け
る時に車での移動が多かったりすると、歩くという事だけでも新鮮に感じますのよ。まあ、
タカシのようにガサツな神経の持ち主では、このような気持ちは理解出来ませんわよね?』
「まーな。それが理解出来なきゃガサツだって言うなら、確かにそうなんだろうよ。で、
散歩中の理奈が、何でこんな場所でベンチに座ってるんだ? 休憩中か?」
『冗談をおっしゃらないで。新品のサンダルを買ったんですけど、ちょっと足に馴染まな
くて……それで、紐で擦れたところを手当てしてたんですわ』
「なるほど。靴ずれか。大丈夫かよ。ちょっと見せてみな」
2312/4:2013/04/30(火) 01:03:06.90 0
『もう消毒して絆創膏も貼りましたわ。ほら。貴方に心配される必要なんて全くありませんわよ』
「(お? 屈んだ瞬間ブラがチラッと見えた。ラッキー)」
「まあ、大した事無いならいいけど。それよか、理奈。靴擦れしてるとはいえさ。お前、
今どこに座ってるか知ってるか?」
『は? 何を言ってますの貴方は。普通にベンチに腰掛けてるだけじゃありませんの。何
か問題でもありまして?』
「ああ。ここさ。バス停なんだけど…… もしかして理奈なら気付いてないかなって思って」
『バス停……って、何の事ですの?』
「まさかバス停って言葉自体を知らないとは思わなかったな。まさかバスも知らないとか
じゃないだろうな?」
『今、貴方わたくしの事を非常にバカにしたような目で見ましたわね? 失礼な。バスく
らいは知ってますわよ。車の買えない家の人たちが乗るような大型の四角い座席のいっぱ
いある自動車の事ですわよね?』
「うーん…… 車の買えない人ってのは日本じゃちょっと違うけど、バスそのものは合っ
てるな。えーっと、だからな。バス停ってのは、そのバスに乗り降りする場所っていうか……」
『つまり、バスストップの事ですの?』
「ああ、そうそう。それ。そっか。海外帰りだから日本での呼び方を知らなかっただけか」
『バスストップでしたら、見たことくらいありますわよ。前に住んでいた国でも、道端に
人が大勢集まってる場所がありましたから、運転手に聞いた事がありますわ。そうしたら、
バスストップだと。でも、こんな風にベンチや屋根のあるバスストップなんて見たことあ
りませんでしたわよ? 標識のついた柱が一本立っているだけで』
「日本でもそういうバス停もあるけどな。でも、最近は結構立派な所も多いぜ。ほれ、こっ
ち来て見てみろよ。ここに柱があるから」
『これですの? ベンチしか気付きませんでしたわ。でも、確かに何か数字の書いてある
表と、地名の書かれた図みたいな物がありますわね』
「ああ。これが時刻表ってバスの来る時間を示してあって、こっちが路線図な」
「(この角度だと、また胸元が覗けそうだな…… 見えたらラッキーなのに……)」
2323/4:2013/04/30(火) 01:04:10.06 0
『随分と立派なものなんですのね? 貧しい人たちの乗り物にしては』
「日本じゃ、普通に一般庶民の足として定着してるからな。車なんて一家に一台って家が
圧倒的に多いから。とにかく、ここで座っててバスが着たら、乗客と勘違いされるぞ」
『でも、わたくしもう十分以上も座ってますけど、さっきから一台もバスなんて来ません
わよ? 本当に、バスが走ってますの?』
「これ、見ろよ。朝晩以外は一時間に一本程度しか走ってない路線だからな。でも、あと
十分もすれば来ると思うぞ」
『ではそろそろ行くとしますわ。まだ足が痛みますけど、仕方ありませんもの』
「何だったら、俺んちまで来るか? さすがに靴擦れした足で無理に散歩することもない
だろ。迎え呼んでさ。来るまでは休んでいればいいじゃん」
『そうですわね。でも、その前に一つ、聞いても宜しいかしら?』
「へ? まあいいけど……どうしたんだよ。疑い深そうな顔して」
『ちょっと気になっていましたけど、貴方、さっきからチラチラとわたくしの、何を見て
おりましたの?』
「へ……? い、いや。別に何も見てないって」
『嘘をおっしゃいなさい。時々、何か変な視線を感じましたわ。女性って、そういう事に
凄く敏感なんですのよ。さあ、正直に白状なさい。でないと、ウチのメイドたちに、貴方
をおもちゃにしていいって申し付けますわよ』
「げっ!? そそそそそ、それは勘弁してくれよ。若い女性に囲まれるのは嬉しいけど、
化粧させられたり着せ替え人形みたく扱われるのはゴメンだぜ」
『そうとう懲りたようですものね。さあ、白状なさい。それとも、ウチのメイドの慰み者
になるのを選びますの?』
「う…… わ、分かったよ。えーとさ……その……理奈のそのブラウスって、結構胸元が
ゆったりしてるじゃん? それでさ。だから、ちょっと前屈みになったり、傍に寄ったり
した時にさ。その……チラチラと中が見えるものだから……」
『なっ――っ!? な……何を見たのです? 白状なさい!!』
「えーと、だから……胸の谷間と、ピンクのブラ…… み、見たって言うか、見えたって
言うか……」
『あ……貴方って人はあっ!!』
2334/4:2013/04/30(火) 01:07:12.96 0
 ゲシッ!!
「あいっっってええええっ!!」
『この……この、スケベっ!! 人に断わりも無く下着を覗き見するなんて、許される事
じゃありませんわっ!! 恥をお知りなさい。恥を』
「イテテテテ…… いやその、だから見たって言うか、見えたんだって。事故だよ、事故。
なのにいきなり脛を思いっきり蹴飛ばしやがって……」
『貴方が視線を逸らせば良かっただけじゃありませんの。それに、一度目はともかく、味
を占めてイヤらしい視線を送っていたんでしょう? 違いますの?』
「えーと……その、はい。いや、自制しようとはしたんだけどさ。どうしても視線が……」
『貴方って人は、本当にどうしようもない人ですのね。いいですの? 覗きは犯罪ですの
よ? もし今後、他の女性にそういう視線を送っているところをわたくしが見つけたら、
その場で警察に引き渡しますわ。それで、神野の名前をフルに使って貴方という存在を世
の中から抹消してさしあげますからね。宜しいですわね?』
「わ、分かったよ。ゴメン。謝る。この通りだからさ。もうそんな怖い顔すんなって。えっ
とその……ウチに着いたら、出来る限りのおもてなしをするから、それで勘弁してもらえ
ないかな?」
『全くもう。貴方のおもてなしなんて何も期待出来ませんけど、今後、コソコソとわたく
しを覗き見するような真似は厳に慎んで貰いますわ。宜しいですわね?』
「はい分かりました。ゴメンなさいもうしません。済みませんでした」
『フン。分かれば宜しいですわ。分かれば』

「(けど……何か引っ掛かるんだよな? 断わりも無く、とか他の女性に対して、とか…… 
いやまあ、理奈自身も含めてって意味なのかも知れないけど…… でも、なんかなあ……
でも、まさかだしなあ……?)」
『(ああ、もう…… タカシに見られると分かっていれば、もう少し派手な下着にしました
のに…… こんな機能だけの下着を見られるなんて、みっともなくて仕方ないですわ。ハ
ア…… でも、わたくしとタカシの縁を考えれば、いつ会うか分かりませんものね。今度
からは、気をつけないといけませんわ……)』
234ほんわか名無しさん:2013/04/30(火) 01:08:36.18 0
終わり
バス停と下着の組み合わせはちょっと無茶振りだろうと思わないでもない
235ほんわか名無しさん:2013/04/30(火) 04:54:14.95 0
まとめてで悪いが全部GJ!
みんな可愛い素晴らしい
236ほんわか名無しさん:2013/05/01(水) 11:16:51.47 0
お題
つ・男の連休中のスケジュールを聞いて不機嫌になったツンデレ
 ・男の突飛な行動に付き合わされるツンデレ
237ほんわか名無しさん:2013/05/02(木) 13:08:24.76 O
博多弁ツンデレさんに「しぇからしかっ!!」って怒られたい
2381/4:2013/05/02(木) 20:48:36.21 0
【放課後になってもツンデレが寝てたら】

「zzz……」
 授業が終わりほっとしてると、隣からzが聞こえてきた。見ると、アフリカっぽい所からの留学生であるナコが机の上に頭を載せ、すやンすやンと眠っているではないか。
「ンー……バナナン……おいひい……」
 口元をもぐもぐさせて、夢の中でバナナンとやらを食している模様。チャムチャムか。
 一瞬『ほーら俺様のバナナンを喰らいな』と悪い俺が鎌首をもたげそうになったが、よく考えたら教室で陰部を露出させたら捕まるので、やめた。というかえっちなのはいけないと思います!
 さてどうするか。幸か不幸か今日の授業はこれにて閉幕なので先生に怒られる心配はないが、このまま放って帰り、翌日登校してもまだここで寝てられたら、
『このままでは寝る子は育ち、この貧乳が巨乳になってしまうやも!』という危惧のあまり、心労がたたって俺が死んでしまうかもしれない。
 ……くだらないことを考えてないで、とっとと起こそう。ゆっさりゆさゆさ揺すぶってナコを起こす。
「おーい、ナコ。起きろ。授業終わったぞー。いわゆるところの放課後だぞー」
「ン、ン……。ナコ、こーこーせーだゾ……」
「んなこたぁ聞いてない。ほれ、起きれ」
「ンぅ……?」
 薄っすらとナコの目が開く。しぱしぱと瞬き、視線が左右に揺れ、最後にゆっくりと俺を捉えた。
「うぃす。おはよ、ナコ」
「ン……ンー」
 ナコは目をこしこし擦ると、胡乱な様子で俺に突然抱きついた。……え?
「え、えええええええええと、な、ナコさん?」
「ンー」
「い、いや、んーではなくてですね、え?」
「ンぅ?」
 不思議そうな顔で小首をくりって傾けるとか。……というか、あれ、ひょっとしてまだ半分くらい寝てる?
 よし、それならとっとと起こしてこの素敵空間からの脱出を図らねば! いや本当はそんなことしたくなくて一生抱きつかれていたい所存ですが、周囲の女生徒があからさまに俺を見ながらヒソヒソしてるので、どうにも今後の学生生活に不都合を感じまして!
「あー、ええとだな、ナコ。これは夢でもなんでもなくて、ただの現実で」
「ぺろぺろ」
「…………」
「にゃー。おいひい」
「…………。なんだ夢か」
「ぺろぺろぺろ」
2392/4:2013/05/02(木) 20:49:18.16 0
 夢の割にやけに質感がリアルだ。まるで現実のように、温かな舌が俺の顔を舐めているように感じる。
「──よし。現実逃避終わり。ナコ、いい加減目を覚ま」
「ンー」ギュー
「抱っことか!」ムギュー
「ンにゃー」スリスリ
 …………。いやいや、いやいやいや。何をしているのだ、俺は。そうではない、そうではないだろう。落ち着いて周囲を見渡してみろ、こちらにスマホを向けて何やら撮影している群れが見えないのか!
「ていうか撮らないで! 記録に残さないで! どうか記憶だけに留めておいてくださいお願いします!」
「うー……。うるしゃー!」ペシペシ
「ぶべらはべら」
「うー。ゆッくり寝てらンないゾ。……ン?」
「おはやう、ナコ」
「お、おはよー。……う?」
「どしました?」
「……ふ、ふにゃあああああッ!!?」
「わぁ」
 突然大きな声を出されてびっくりしてたら、ナコは俺を蹴飛ばし、その勢いを使って大きくジャンプし、空中でくるりと回転した後、教室の後ろにあるロッカーの上に飛び乗った。
「な、な、な、なンでナコに抱きついてンだ、オマエ!?」
「ああ悪いが少し待ってくれ。ナコに蹴られて昏倒して倒れ伏しているという大義名分を得、存分に床からの白や青やピンクの布の眺めを堪能している最中なので」
 教室に黄色い声が立ち込める。
「ふふふ。ふふふふ」ニヤニヤ
「踏んじゃえ!」ゲシゲシ
「ぶべらはべら」
 いい気になってにやけてたら、たくさんの足が俺を踏んだので辛い。俺にM属性があったら、と思うと悔やんでも悔やみきれない。
「ただ、踏まれてる最中も刮目していたので、様々な動きを見せるパンツは俺の脳内HDDに保存済みですので、皆様ご注意を!」
 さんざ俺を踏んでいた足の持ち主たちは、キャーキャー言いながら教室を出て行った。
「窮地を機知に富んだジョークで華麗に回避した俺をどう思うか」
「ただの変態だゾ!」
「ああ、そういえばそうだね。我ながら最低だね。ところでナコ、いつまでロッカーの上にいるのだ」
「う……」
「そしていつまで顔を赤くしているのだ」
「み、見るなぁ!」フカーッ
「おや、猫の威嚇ポーズとは。ははーん、さては俺を誘っているな?」ワキワキ
2403/4:2013/05/02(木) 20:50:00.25 0
「違う! 怒ッてるの! く、来るなあ!」フカーッ
「ふふふ。ふふふふ」ニマニマ
「にゃああーッ!?」

「三角飛びからの飛び蹴りが来るとは予想だにしなかったよ」プシュー
「うー。ナコは悪くないゾ。うー」
 矢のような飛び蹴りを喰らい、床に倒れ伏す。一日に二度も教室の床に口付けするとか、俺の人生を設計した奴出てこい。
「優れた身体能力を保持しているのは分かるが、そうみだりに使うものではない。喰らったのが俺だからいいものの、普通の奴だと一週間は飯を食えないぞ」
「うるさい!」
「まあいいや。あいたた……」
「うー。……痛い?」
「内臓が破裂したか真剣に痛みを探る程度には痛いね。ただ、まあ、回復力に優れた俺なので、しばらくすれば治るだろうから、過剰な心配は不要です」
「だ、誰も心配なンてしてないゾ!」
「なんだそうか。残念」
「……うー」ツンツン
「つつかないで」
 ナコは俺の隣にしゃがみ込み、つんつく俺をつついた。
「うー。早く治れ」ツンツン
「じき治りますが、そうもツンツンされると治癒も遅れます」
「むー」

「治った!」ジャーン
「遅い」ムスー
 言われた通り既に日は暮れかけており、教室に残るは俺とナコのみ。
「別に待っててくれなくてもよかったのに」ナデナデ
「ま、待ッてたワケじゃないゾ! 苦しむオマエを間近で見てただけだかンな! あと、なでんな!」フカーッ
「嫌です」ナデナデ
「うぅー」
「さて、帰るか」ポムポム
「ナコの頭をポンポンするな!」
「嫌です」ポムポム
「全部断られるぅ……」ションボリ
2414/4:2013/05/02(木) 20:50:36.20 0
 ションボリしてるナコと一緒に学校を出る。
「いやはや、すっかり遅くなってしまったな」
「全部オマエのせいだ。早く治ンないから」ジトーッ
「そうは言うがな、ナコ。そもそも論で言うなら、お前が授業中に寝なきゃ今日の騒動は起きなかったのではないか?」
「眠いもン」ドキッパリ
「なんという潔い猫魂。素晴らしいね」ナデナデ
「猫じゃない! なでんな!」フカーッ
「いいえいいえ」
「だぶるー……」ションボリ
「とはいえ、寝てもらったおかげで色々と美味しい思いも出来たので、俺としては万々歳ですがね」
「うー。エロ魔人め。みンなのスカート覗きまくッてたもンな。エロ魔人め」ペシペシ
「ふべべ。まあ、それもありますが、どちらかと言えばナコに抱きつかれてぺろぺろされた方が比重は大きいですかねウヘヘヘヘ」
「…………」
「お?」
「……〜〜〜っ」
 黙って赤くなられては、その、お兄さんも困ります。
「いや、あの、その」
「……ね、寝ボケてたから! 夢と思ッてたから! ほ、ホントは、オマエなンか嫌いだからな!?」
「そ、そうなんですか」
「……ち、ちょッとだけ嘘だけど。で、でも嫌いだからな!? オマエすぐナコをからかうし! なでるし! 猫扱いするし!」
「お手」
「犬扱いすればいーッて話じゃないッ!」
「難しいね」ナデナデ
「あーッ! ほら、またなでた! もーッ!」
「わはは」ナデナデ
「うー」
 不満げな顔をしながらも、振り払うこともなくそのまま俺になでられてるナコだった。
242ほんわか名無しさん:2013/05/02(木) 22:47:05.83 O
ナコだあぁぁぁぁぁ!!

GJGJ!!
243ほんわか名無しさん:2013/05/03(金) 14:10:34.71 0
ナコかわいいよナコ


>>206-210の続き行きます
2441/5:2013/05/03(金) 14:11:58.78 0
・ツンデレと男が合格発表の会場で偶然出くわしたら その4

『で、別府君はどうだった訳?』
 次の日、友香に迎え入れられて家にお邪魔し、一通りお茶とお茶菓子の準備が出来、ボ
クの向かいに座るといきなり友香は本題を突いて来た。
『……やっぱり、それか……』
 ボクは俯いて眉間を指で押さえ、しばらくジッと苛立つような感情を抑えた。ハーッ、
と深く一つため息をついてから、顔を上げて紅茶にスティックシュガーをザーッと入れて
ティースプーンでかき混ぜる。
『雑談もなしにいきなり入るとか、遠慮の一つも無いよね? どんだけがっついてんのよ』
 一口、紅茶を啜って友香を上目遣いに見やる。すると友香は、ティースプーンを振って
当然とばかりに頷いた。
『だって、大事なお友達のこれからですもん。気にならない方がおかしいじゃない。で、
別府君はどうだったのよ? 受かったの? 落ちたの?』
『……そんなの……知らない。だって……いちいち連絡なんて取り合ってないもの……』
 昨日、偶然にも合格発表の場で出会った事は友香には内緒にしておこうと決めていた。
知られたら、それこそ完璧に仲を疑われてしまう。もっとも、もう手遅れな感も否定出来
ないけれど。
『まあ、悠の性格ならそうよね。でもさ。このまんま、教え合わないなんて事はないわよ
ね。お互い同じ目標を目指した戦友みたいな所もあるわけだし。卒業式の前に登校日があ
るけど、その時かな?』
 この時は日頃のボクの態度が功を奏したのか、友香は疑いもせずに話を進めた。これを
焦って完全否定なんてすれば、却って下手に疑いを招きかねないので、ボクは素っ気無さ
を装って答える。
『そんな事、いちいち考えてないよ。いちいちボクから話し掛けるまでもないし。まあ、
機会があったら話すと思うけど』
『なるほど。機会があったら……ねえ……』
 何か含んだ言い方をして、友香も紅茶を飲む。それがちょっと気に入らなくて、ボクは
文句を言った。
2452/2:2013/05/03(金) 14:13:07.42 0
『何その言い方。変に怪しむような目で見ないでよね。ボクは別に……別府君の結果とか、
興味ない……とまでは言わないけどさ。そんな、こっちからいちいち好奇心丸出しで聞く
ようなみっともない真似とかまではしたくないし』
 何とか当たり障り無い答えを自分の中から引き出しつつ、ボクはふと考えた。もし、昨
日あそこで会わなかったら、ボクは別府君から結果を聞けたのだろうかと。もしかして、
怖くて聞き出す勇気すら持てなかったかも知れない。
『ふーん。まあ、どう聞くかは悠次第なんだけどね。まさかあたしが別府君に結果を聞い
てアンタに教える訳にも行かないしさ』
『当たり前でしょそんなの。友香に頼む気なんてある訳ないし、むしろそんな事したら怒
るもの。余計な事するなって』
 思わずムキになるボクに、友香は笑いながら手を振って退ける。
『だからしないってば。分かってるわよ。この事で悠が余計な口ばしを入れられたくないっ
て思ってるのは』
 まだ不満な気持ちはくすぶっていたが、しないと言っている以上、ボクは矛を収めざる
を得ずに、浮かした腰を落とす。
『余計な口ばしも何も……そもそもボクは別に何もするつもりなんてないし。だから勝手
に回りで騒いで欲しくないだけだってば』
 今後どうしようなんてまだ考えてもいなかったけれど、とにかく友香や葉山さんや睦ちゃ
んにあれこれ言われるのは嫌だったので、ボクはそう言って何とか大人しくしてもらおう
と考える。しかし、友香は心配そうにボクを見つめた。
『本当に、何もするつもりないの? もし、別府君が受かってたら…… ううん。落ちて
いたとしても、悠と違う大学に行く可能性だって低くはないのよ。そしたら離れ離れになっ
ちゃうのに、本当にそれでいいの?』
 いつものような、からかうような様子じゃなくて本気で心配しているような友香の態度
にボクはドキリとした。それから、友香が突きつけた現実が心にズンと重く圧し掛かる。
2463/3:2013/05/03(金) 14:14:15.82 0
――考えないようにしてたけど…… もう、別府君と同じ大学には行けないんだよね……
 今、掘り起こさなくても良かったのにと、ボクは友香を不満気に睨み付ける。しかし、
いくら友香を恨んだところでその現実は変わらない。あと卒業式まで10日ほど。その間に
会えるのだって、二日ほどしかない。卒業式の予行演習の日と、下級生と先生達が行う予
餞会の日だけだ。
『いいのって……そんな事言われても、卒業すれば離れ離れになるのは誰もが同じじゃな
い。まあ、友香とは今後も友達ではいたいと思うけど…… 別府君だけ、何で何とかしな
くちゃいけないの?』
 惚けたように聞き返してみても、友香は態度を変えなかった。
『ありがと。あたしとは友達でいてくれるって言って』
 ニッコリと微笑んでから、また真面目な顔に戻ってボクをジッと覗き込むように見つめ
る。まるで、心の奥底まで見透かそうかという感じだった。
『それはそれとして、悠が本当に別府君とこれでずーっと別れっぱなしで、まあ同窓会な
んて機会は別として、もう二度と会うことも話すことも無くても平気だって言うなら、そ
れはそれで仕方ないけど。でも、本当にそれでいいの? あたしじゃなくて、自分の心に
聞いてみてよ』
 まるで、ボクがずっと別府君への想いを隠し通し続ける事まで見越した上での言葉に、
ボクは思わず言葉を失った。友香に対してそんなのいいに決まってる。だってボクと別府
君は何の関係もないんだからと言い続けるのは簡単だけれど、自分の心には嘘なんてつけ
ないから。
『……何か……ボクが、嘘を言ってるとでも言いたげな言い方だよね。それって』
 やっとの事で言う言葉を見つけて、友香に疑いをぶつけてみると、彼女は肩をすくめて
首を振った。
『だって、悠が本気でどう思ってるかなんてのはさすがの私にも分からないもの。だけど、
何となく悠が別府君と関係ないって言ってるのを聞くたびに、どっか寂しさっていうか切
なさっていうのか、そういう感じがしちゃってさ。別に根掘り葉掘り聞くつもりはないか
ら、安心して』
2474/5:2013/05/03(金) 14:15:28.40 0
『どのみち聞かれたって答える気もないっていうか……そもそも答えなんてないんだから、
安心するも何もないよ』
 答える気がないと言うと答えがある事になってしまうので、ボクは慌てて言い回しを変
えた。それにも友香は納得して頷くと、ズイッとテーブル越しにボクに身を乗り出してくる。
『まあ、悠がどうするかはともかくとしてさ。仮定として聞いてよ。もし、このままだっ
たらどうなっちゃうのかと、そうならない為にはどうすればいいかをね』
『仮定としてって…… そんな仮定なんて成り立つの? 当事者が関係ないって言ってる
のに……』
『いいから。別府君じゃなくても、悠が今後好きになる男の人が出来て、その人にまだ何
にも打ち明けていないのに、このままじゃ永遠に別れ別れになるような展開もあるかも知
れないでしょ? そういう仮定も含めてよ』
 軽くウインクなんてしてみせる友香に、ボクは肩を落としてため息をつく。しかし、こ
れは多分友香なりに、何かアドバイスをしたくて、考えてくれた事なのだろう。ボクにし
たって、自分からこれ以上話さずにアドバイスが聞けるのなら、それに越した事はないはずだ。
『分かった。じゃあ、聞くから話を進めて』
 渋々といった様子でボクが頷くと、友香も頷き返した。
『いい? 相手の男はね。何につけてもめんどくさがりやで、特に必要が無かったりより
面倒な展開になるような事でもない限りは大して行動もしないの。そんな人の恋愛感って、
どうだと思う?』
『……付き合うのがそもそも面倒、とか? いちいちお金と時間使ってデートしたり、相
手の気を遣って贈り物をしたりとか、あーだこうだと考えるのも嫌だったりとか』
 友香の質問に、別府君を重ね合わせてボクは答える。ホワイトデーのお返しとかも超め
んどくさがってた別府君なら、きっとそう考えるだろう。
『でしょ? そんな人が、卒業した後も悠にいちいち連絡くれたり、会ってくれたりとか
アクション起こすと思う?』
2485/5:2013/05/03(金) 14:17:22.73 O
『思わない。別府君が……ううん。そんなめんどくさがりな人が、特に付き合ってる訳で
もない女の子相手に連絡とか絶対しないと思う』
 咄嗟に彼に名前を出してしまい、しまったとボクは顔をしかめたが、友香は何一つ特別
な反応を示さなかった。友香の性格上、こんな露骨な隙を見逃すとは思えなかったから、
これはもう分かって承知しているとしか思えなかった。
『でも、悠はこれからも連絡を取りたいし、会いたいと思ってる。だとしたら、何をすれ
ばいいと思う?』
『う…… な……何か、約束を取り付ける、とか? 本の貸し借りだったりとか……』
 咄嗟に聞かれて、咄嗟に浮かび上がった事を答えてしまうが、友香はあっさりとそれを
否定した。
『ダメダメ、そんなんじゃ。連絡取り合おうとしたって、メールで事務的な返事しか寄越
さないだろうし、下手すれば着払いで送ってくれて構わないとかあるわよ。その方がお互
いに会う手間も省けていいだろとか』
 別府君の日頃の態度からだと、確かに十分ありえそうでボクは納得してしまった。
『じゃあ……どうすればいいの? メールしたら、返事くれるかな、とか聞くの?』
 そんな事、どんな顔で言えばいいんだろうと想像するだに恥ずかしかったのに、友香は
それにもダメ出しを突きつけて来た。
『ダメ。何で用もないのにいちいちメールで連絡取り合わなくちゃならないんだとか聞か
れたら何て答えるのよ? そんな遠回しな言い方してたら、向こうがいい加減めんどくさ
くなって、話打ち切られちゃうわよ』
 確かに、そう聞かれたらボクは何と答えればいいのか分からなかった。ああだこうだと
訳の分からない理由を言っても、その場しのぎの答えじゃあ別府君にあっさり切り返され
て終わってしまいそうだった。
『……じゃあ……どうすればいいの?』
 このままじゃ、本当に卒業と同時に別府君との仲が終わってしまいそうで、不安になっ
てボクはつい、泣き付くように友香に聞いてしまった。友香は一つ、大きく頷くと大真面
目な顔でまっすぐボクを見つめて、囁くように言った。
『……この際だからさ。告白しちゃいなよ、悠』

続く
249ほんわか名無しさん:2013/05/03(金) 19:14:31.32 O
ボクッ娘決断の時か……先が気になるwww

GJ!!
250ほんわか名無しさん:2013/05/04(土) 03:06:02.08 O
続きわくてか
251ほんわか名無しさん:2013/05/04(土) 07:30:11.53 O
・寝ぼけボクッ娘にイタズラ


男「ちゅーす。梓いるか?」
女「…Zzz」
男「なんだ、寝てるのか。ハイパーイタズラタイムの始まりだなこれは」
女「……」スピー
男「……本当にぐっすりだな。息してるのか?」ソ〜ッ
女「うーん……」パクッ
男「いっ!?」ビクッ
女「ん〜……? この餃子固いよぉ〜……」モグモグ
男「こいつっ、人の耳を……!!」ゾクッ
女「……美味しくない……金返せぇ〜……」ペッ
男「うおぉ、ビックリしたぁ……なんつーいやらしい娘っ子なんだ」ゴクリ
男「お返しに俺も耳モグモグしちゃうぞー!」パクッ
女「……やぁ」ピクンッ
男「あずみみペロペロ」ハムハム
女「……やだぁ……巨大なアルパカがボクの耳を……ふあぁん……」
男「……どんな夢見てんだろう、こいつ」
252ほんわか名無しさん:2013/05/04(土) 18:02:52.15 0
メイドさんに(敬語+敬称禁止)と(心の壁のメイド服禁止)を言い渡したうえで
一緒に映画とか買い物とか二人ならんでテレビとかしたらどうなるの?
俺「お前さんには、ゴールデンウィークの予定って物がないのか?」
ち「……私の個人情報を引き出そうとしてる。一体何を企んでる……の?」
俺「何にも企んでねえっての。っていうかこっちのセリフだっての」
ち「……はっ。まさか、何処かで私を待ちぶせて……何かするつもり、だ。えっちな同人みたいに」
俺「するわきゃねえだろそんなこと!!」
ち「む……。しかも私には魅力がないという……。これは、酷いセクハラ……」
俺「……もう俺はどうすりゃいいのよ?」
ち「こんなド変態を放っておくのは、世の女性の危険が危なく険しい……」
俺「なんだかよく分からんが、で?」
ち「かくなる上は、私が君を監視する以外に方法がない……」
俺「んで、ここんとこ一日中俺にひっついているわけだ」
ち「……ん。これは、大変重要な仕事。したくないけど、仕方がない」
俺「したくないけど、仕方がない」
ち「…………」
俺「したくないけど、仕方……」
ち「……前言撤回」
俺「どのように?」
ち「世の女性の為。だから、とてもやり甲斐がある」
俺「なるほど」
ち「……ん。……何?」
俺「まさか、とは思いますが」
ち「……だから、何?」
俺「その女性というのは、たった一人だったりしませんかね?」
ち「…………」
俺「そしてそして、まさかまさかとは思いますがその人は……」
ち「……いじわる」
俺「回りくどいこと言う奴が悪いんだろ?」
ち「ふん……」
俺「そんなちなみさんには、罰として映画にでも付き合ってもらおうかなぁ。一人で映画って行けないんだよね、俺」
ち「やっぱり恐ろしい企みだった……。……私にはもう逃げ道がない。くわばらくわばら」
俺「なんだか、普段と逆になっちまったな?」
ち「知らない……。つ、付き合ってやるんだから……おごり、だよ……?」
254ほんわか名無しさん:2013/05/04(土) 21:15:32.17 O
ちなみん激かわう!!
GJ!
2551/2:2013/05/04(土) 21:52:24.39 0
そんなことよりちょっと俺の話聞いてくれよ

涼しい風がほっぺに当たる真っ赤な立夏、俺はツンデレと川釣りに興じてたの

というのも俺の家の近場には最高の釣り場があって春から秋まで遊びに行くんだけどさ

見学に来てたツンデレに試しに竿持たせたら大当たりしちゃって、今では二人並んで釣りするようになったの

そんで岩陰にいる虫を餌に糸垂らす訳だけど今回は全然食いつかなくてさ

しょうがないから薄着に浴衣羽織ってるツンデレ見て時間つぶし

それで思い出したんだけど、昔の人って着物の下パンツ穿いてなかったらしいじゃん

って事でツンデレにノーパンか聞いたら、穿いとるわい、って怒られてさ

でもかたくなに証拠見せてくれないし、俺は本当は下着無着用と睨んだの

そしたらツンデレ俺の手首掴んでわき腹からふとももまでなぞらせてさ

確かに浴衣とは違う布の感触を確認しました

けれども着物にパンツ穿いてたなんて、男の夢が分かってないツンデレにはしょんぼりだよ

それでも諦めきれない俺は、魚が釣れない日なんかに下着の有無を確かめさせてもらうようになったの、って話
2562/2:2013/05/04(土) 21:53:28.44 0
そんなことよりちょっと私の話聞いてほしいんだけど

涼しい風がほっぺに当たる真っ赤な立夏、私はアイツと川釣りに興じてたの

というのもアイツの秘密の釣り場があって連れて行ってもらったことがあってさ

その時興味本位に挑戦したら大物が釣れちゃってね、あの感触が病みつきで私もお供させてもらってるの

そんでアイツに餌の虫つけてもらって針投げる訳だけど今回は全然食いつかなくてさ

暇を持て余したアイツは私の浴衣ジロジロ値踏みしてくるし、こんな時釣りは時間の無駄って思っちゃうよね

したらアイツどこでそんな情報仕入れてきたのか、、昔の人ってパンツ穿いてなかったんだって、って前置きして

私にパンツ穿いてるのか聞いてきおってさ、穿いてるに決まってるだろうに

なら今度は、パンツ見せてみ、とか言うし、いくら人影ないからって脱ぐ勇気もないし

仕方なしにアイツの手首掴んでわき腹からふとももまでなぞらせて下着のライン確認させたの

ならアイツも納得したのか大人しく川に向きなおったんだけど

それからというもの、味をしめたのか私が浴衣の恰好してる日なんかはパンツチェックしてくるようになってさ

何でこんなのに心惹かれるか私も分からないけども、とりあえず今度釣り行く日ノーパン挑戦してみよ、って話
257ほんわか名無しさん:2013/05/04(土) 22:04:19.33 O
ちょwwwラスト一行wwww
激しく萌えた
2581/2:2013/05/04(土) 22:41:53.36 O
>>252

女「タカシ様……ちょっとよろしいですか?」
男「んあ? どうしたの?」
女「私のメイド服をご存知ありませんか? 今日クリーニング業者が持ってくるはずなんですが」
男「あぁ、それなら俺が受け取って、ほらここに」
女「それならそうと言ってくだされば、探す手間が省けましたのに……」
男「おっと、ただで渡すと思ったら大間違いだぜぃ」
女「……は。と言いますと?」
男「メイド服を渡してほしくば、今日一日俺に付き合ってもらおうか」
女「何をお馬鹿なことを……戯れ言もほどほどにしてください」
2592/2:2013/05/04(土) 22:44:32.12 O
男「だってさぁ、女さんGWも仕事ばっかじゃん? たまには息抜きしなよ」
女「タカシ様のご家族もお仕事ですのに、メイドの私が休むなんてあり得ません」
男「って言ってもねぇ……女さんの場合、365日休みがないようなもんじゃん」
女「必要最低限の休みはいただいています。タカシ様の心配するようなことではありません」
女「そしてそれ以前に、私が一日休めばタカシ様の住環境が、どれほどお荒れになるか……」
男「うっ……まぁそれはそれとして、どっちにしろメイド服ないと仕事にならない訳だし。元より交渉の余地はないと思うぜ?」
女「……ハァ。分かりました、そういう条件でしたらお付き合いします。ただし、
  メイド服はなくともメイドとしての最低限の仕事はさせていただきますから」
男「うん、それでいいよ。ただ、俺からも一個条件があるんだな」
女「……この上何を申しつけるおつもりで?」
男「今日一日、俺に対して敬語敬称を使うの禁止な」
女「……えっ!?」
260ほんわか名無しさん:2013/05/04(土) 22:46:17.56 O
以下続く
こっからどう展開させよう……
261ほんわか名無しさん:2013/05/05(日) 02:46:37.95 O
みんな最高にGJだぜ

>>260
メイドさんにかわいい私服買ってあげたい
262ほんわか名無しさん:2013/05/05(日) 09:45:13.63 0
>>256
ラストwww
これは釣れない日はわっふるしていいんですかね?GJ!!

>>260
ゴールデンウイークの由来が由来だし映画行く展開とか?
続き期待 +(0゚・∀・) +
263ほんわか名無しさん:2013/05/05(日) 10:55:47.14 0
さすがにGWなだけあって、良い妄想が投下されてますな

>>244-248の続き6レス投下します
2641/6:2013/05/05(日) 10:57:03.14 0
・ツンデレと男が合格発表の会場で偶然出くわしたら その5

『ふぇっ……!?』
 ボクは驚きの余り、変な声を上げて友香を見つめた。友香はボクをジッと見つめたまま、
コクリと頷いてみせる。しばらくボクは硬直していたが、最初の衝撃から冷めると、徐々
に恥ずかしさと恐怖に狼狽してしまった。
『ダダダ……ダメ……ダメだってば!! そんな……いくら繋がりを持ちたいからって……
それだけなのに、何で告白なんてしなくちゃならないのっ!! いいい……意味分かんな
いよっ!!』
 完全に仮定なんて話は忘れて、ボクは必死で拒否してしまった。しかし友香は大真面目
で首を振った。
『いい? 相手はとんでもないめんどくさがりやさんなのよ。色々グダグダと理由を付け
ていたら、あっさりと拒否されるに決まってるわ。何で卒業しても会いたいのか? 好き
だから。これなら単純明快でしょ?』
『う……』
 その論理自体に否定すべき所は見つからなくて、ボクは言うべき言葉を失ってしまう。
だけど、やっぱりそんな事出来るとは思えず、何とかそれだけは先延ばしにしようと抵抗した。
『け、けど……いきなりそんなの、無理だってば。唐突だし……変に思われるに決まって
るよ。だって今まで一度だって遊んだりもしたことないのに……』
 しかし、友香はいかにもボクの発言がおかしいとばかりの表情を浮かべた。
『何言ってるのよ。告白なんてそんなもんでしょうが。むしろそこからが始まりじゃない
の。例えばの話だけど、悠と別府君なんて好きな男の子と会話すらした事ない女子からす
れば、物凄く進んでる方よ。一緒に下校したり、テスト勉強したりしてさ。むしろここか
ら一歩進むとしたら、もう付き合うくらいしかないってぐらいに』
 その指摘に、ボクはまたしても言い返すべき言葉が無い事に気付いた。友香に言われて、
大分前の事を思い出す。別府君が他の女子から告白された時の事を。彼女はボクなんかよ
り全然別府君と会話もした事が無かったはずだったのに、好きだって伝えた。あの時の印
象はまだ鮮烈に残っている。
2652/6:2013/05/05(日) 10:58:09.44 0
――ボクに……そんな勇気、あるのかな……
 別府君に告白する。好きだって、自分の想いを伝えることが。
――だけど……別府君にとって、恋愛って面倒なんじゃ……
 前にもそう言われた気がする。それじゃあ、最初から芽なんて無いのかも知れない。
『それに、告白するって事は、向こうにだってメリットはあるはずよ』
 ボクが押し黙って考え込んでいるのを見て、友香が話を続けた。それにボクは、ハッと
顔を上げる。
『な……何が? ボクが告白すると、どんなメリットが向こうにあるって言うの?』
 それが、意気地なく立ち止まるボクを後押しするアドバイスのように思えて、ボクはつ
い興奮して聞いてしまった。友香はニッコリと笑って指を立てる。
『まず一つ。悠を恋人にすれば、これからいちいち彼女を探す手間が省けるってこと。次
に、仮に別の誰かと付き合うとしても、一から関係性を築いていかなくちゃいけないけれ
ど、その点悠だったらなまじっかお互い知ってる相手だけに、そこまで気を遣う必要も無
いって事。押すとすればそこね』
『……何か……それって惰性の付き合いを推奨してるみたいじゃない。ボクのアピールポ
イントってそこな訳?』
 友香の指摘は実に的を得ていたが、普通の告白とは余りにかけ離れた理由に、何となく
情けない気がしてつい文句を言ってしまう。しかし、友香は小さく首を振った。
『大丈夫よ。悠ってば、自分で思ってるよりはずっと可愛いし女の子らしいから。まあ、
向こうがどう思ってるかは保証できないけどね。でも、もし今後付き合う気が全く無いな
ら、それはそれで綺麗に縁が断てるから、それはそれで後腐れなくてお互い良いでしょうし』
『ちょっと!! それってば全然慰めになってないよ!! ていうか、散々押しといて最
後の最後でそれ? 玉砕覚悟で突っ込めって言われたって……』
 友香の最後の一言で、芽生え始めていた希望があっという間に絶望に取って代わってしまう。
2663/6:2013/05/05(日) 10:59:20.17 0
『まあ、あくまで仮定の話だからね。悠がそういう状況になった時のアドバイスという事
で。決めるのは悠自身よ。いくらあたしがどうこう言ったって、悠にその気がなければ強
制は出来ないんだから』
『あああああ…… しかもそこに来てこっちに放り投げるとか……もう、友香ってば勝手
なことばかり言うんだからぁ……』
 悶絶するボクを前に、友香はニヤニヤと笑ってボクを見つめて楽しそうにしていた。
『フフフ。悩め、悩め。恋の悩みなんてあたしにとっちゃ贅沢病なんだからさ。この幸せ
者が』
 どう考えてもバッドエンドしか浮かばないボクは、友香の前で頭を抱えて呻き続けたの
だった。
『ほら。あそこですよ、委員長』
『わっ!? ちょ、ちょっと待ってよ葉山さん』
 卒業式も無事終わり、体育館から出るとボクは葉山さんに手を引かれて、友香と睦ちゃ
んに合流する。
『お〜、悠。葉山さん。卒業、おめでとーっ!!』
『おめでとうございます。お二人とも……って、どうしたんですの睦ちゃんは?』
『ヒグッ……エグッエグッ……おえれどう〜っ……』
『もう、睦ちゃんったらさ。式の雰囲気に飲まれちゃってさ。途中からボロボロ泣いちゃっ
て手が付けられないのよ』
『らっれらっれ……これれ最後らっれ……おもっらら……スンッ!!』
『あらら、鼻水。ほら、睦ちゃん。ティッシュですよ』
『ありがろ……葉山さ……ヴーッ!! ヴォーッ!!』
 差し出されたティッシュで鼻を噛む睦ちゃんをあやすように支える葉山さんを、何とな
くボクは微笑ましい気分で見つめていた。すると、睦ちゃんの面倒から解放された友香が、
ツツツッとボクの傍に寄って来ると、悪戯っぽい笑みを浮かべて肘で突付いてきた。
2673/6やり直し:2013/05/05(日) 11:03:02.23 0
『まあ、あくまで仮定の話だからね。悠がそういう状況になった時のアドバイスという事
で。決めるのは悠自身よ。いくらあたしがどうこう言ったって、悠にその気がなければ強
制は出来ないんだから』
『あああああ…… しかもそこに来てこっちに放り投げるとか……もう、友香ってば勝手
なことばかり言うんだからぁ……』
 悶絶するボクを前に、友香はニヤニヤと笑ってボクを見つめて楽しそうにしていた。
『フフフ。悩め、悩め。恋の悩みなんてあたしにとっちゃ贅沢病なんだからさ。この幸せ
者が』
 どう考えてもバッドエンドしか浮かばないボクは、友香の前で頭を抱えて呻き続けたの
だった。


『ほら。あそこですよ、委員長』
『わっ!? ちょ、ちょっと待ってよ葉山さん』
 卒業式も無事終わり、体育館から出るとボクは葉山さんに手を引かれて、友香と睦ちゃ
んに合流する。
『お〜、悠。葉山さん。卒業、おめでとーっ!!』
『おめでとうございます。お二人とも……って、どうしたんですの睦ちゃんは?』
『ヒグッ……エグッエグッ……おえれどう〜っ……』
『もう、睦ちゃんったらさ。式の雰囲気に飲まれちゃってさ。途中からボロボロ泣いちゃっ
て手が付けられないのよ』
『らっれらっれ……これれ最後らっれ……おもっらら……スンッ!!』
『あらら、鼻水。ほら、睦ちゃん。ティッシュですよ』
『ありがろ……葉山さ……ヴーッ!! ヴォーッ!!』
 差し出されたティッシュで鼻を噛む睦ちゃんをあやすように支える葉山さんを、何とな
くボクは微笑ましい気分で見つめていた。すると、睦ちゃんの面倒から解放された友香が、
ツツツッとボクの傍に寄って来ると、悪戯っぽい笑みを浮かべて肘で突付いてきた。
2684/6:2013/05/05(日) 11:05:52.25 O
『な、何? 友香』
 てっきり例の件かと思い、ドキリとして聞くと、友香はボクの顔をジッと覗き込んで聞
いて来た。
『で、悠は泣いたの? 卒業式で』
『へっ……? べ、別にそんな……泣いたりなんてしてないよ』
 予想外の質問に戸惑いつつも、ボクは慌てて答える。すると友香はクスッと笑ってボク
の目を指差した。
『そんな事言って、目の周り赤いわよ』
 からかうような口調に、つい恥ずかしくなってボクは咄嗟にムキになって怒鳴り返した。
『ち、違うってば!! 確かにちょっとウルッとは来ちゃったけど、涙まではこぼしてな
いんだから!! これは目が痒くて擦っただけなんだからね!!』
『はいはい。分かった分かった』
 ムーッと膨れるボクをあやしつつ、友香の顔は笑っていなかった。ちょっと意味有り気
なサインを顔で示す。それに気付いてハッとすると、誰にも聞こえないような微かな声が
聞こえる。
『……まだ、言ってないんでしょ? 今日が最後のチャンスよ』
『…………分かってる』
 ボクも微かな声で答え、頷いた。それからチラリと別府君の方に視線を走らせる。葉山
さんに連れられている時からずっと、別府君からは視線を外さずにいた。最初は友達と。
今は家族の人と一緒にいるみたいで全然話す機会が無い。それでも、ボクとしてもこのま
まお別れするわけには行かなかった。何にせよ、ちゃんと最後に二人だけで話をしたかった。
『ね? これからどうする? 卒業記念カラオケとか行っちゃう?』
 友香の提案に元気を取り戻した睦ちゃんが乗った。
『さんせーい!! あ、でもでも、まだこれから他のみんなとも会わなくちゃいけないか
らさ。一度解散して、お昼前にまた集まろうよ。携帯で連絡取ってさ』
『そうですね。私も両親が来ているはずですけど、まだ会っていないので。ちゃんと挨拶
はしないといけないから』
 葉山さんもそれに同意して頷く。それから三人の視線がボクに集まったので、ボクは頷
いて小さく答えた。
2695/6:2013/05/05(日) 11:08:06.51 0
『……ボクも、大丈夫。ちょっと用事あるけど、多分お昼前には終わってるから時間には
間に合うと思うし』
 そう言った時、友香が小さく頷くのに気付いた。その用事が何なのか悟られている事に
何となく気恥ずかしくなってボクはつい身を窄めてしまう。
『よし。じゃあ決定ね。一旦解散して、後で校門集合って事で。あたしが予約取っとくから』
 別れ際、友香がボクの背中をパンと叩いた。その最後の激励に、ボクはもう前に進むし
かないと覚悟を決めざるを得なかった。例え結果がどうなろうと。


 一人になったボクは、周囲をグルリと見渡して別府君を探した。さっきまで家族の人と
いた辺りを見ても、もう姿は見えない。
――まさか……もう、帰っちゃったなんて事ないよね?
 チラリと不安が過ぎり、ボクは焦って中庭を見回す。しかしどこを見ても彼の姿は無か
った。最後の話をする機会すら得られなかったのかと動揺し掛けるが、ボクはグッと自分
の心を抑えた。
――一度落ち着こう。もし別府君がまだ帰っていないなら、こんな人が大勢いる場所には
いないはずだから……
 色々と考えてみる。彼は部活には入っていなかったから、クラスの人間以外とは特別挨
拶を交わすような人はいないはず。それに、自分が特に挨拶すべきと思うような人以外と
は余り接触したがらないだろうから、もしいるとすれば余り目立たないような場所だ。そ
う思って、ボクは探す場所を変えた。校舎の影から余り目立たない隅の方へとグルリと視
線を巡らせる。
――これで見つからなかったら…… もう帰っちゃっていたら……多分きっと、別府君と
はそれ以上の縁がなかったって事なのかも……
 悪い方、悪い方へと考えが傾きつつも、ボクは探すのを諦められなかった。しかし、か
なり遠い方まで目を凝らしてみても、少し場所を変えてあちこち歩き回って見ても、やは
り別府君の姿はない。
2706/6:2013/05/05(日) 11:11:29.88 0
――帰っちゃった……かな……?
 諦めかけて、校門の方へと体を向けた時、ボクは胸ポケットにあるものを思い出した。
『そうだ。携帯……』
 慌ててブレザーの胸ポケットに手を入れて、携帯を取り出した。画面を開いて、その手
が止まる。
――でも……何て話しよう……
 まさか今から呼び出したとして、もし帰る途中だったら別府君が戻って来てくれるなん
て、まるで期待出来ない。まだ学校に残ってくれていたら、場所を聞くだけでいいけれど、
そうじゃなかったら何を言えばいいのだろうかと迷う。
――もしそうしたら…… 挨拶だけ、しよう。迷惑も掛けられたけど、一応お世話になっ
たからって。電話で……話すような事じゃないしね……
 ここは人の行き来があるので、もっと隅の方にしようと、ボクはさっきまで友香とかと
話していた場所の近くまで戻った。この辺りなら誰かの邪魔をする事も、逆に誰か知り合
いに声を掛けられる事もなく電話出来そうだ。適当に電話する場所を探していると、ちょ
うどそれに相応しそうなクヌギの木の下に、それを邪魔するように一人の男子生徒が立っ
ていた。手でスマートフォンを持って、難しそうな顔でいじくっている。
『なっ……?』
 ボクは驚いて小さく声を上げてしまった。もはや必要無くなった携帯を胸にしまうと、
思わず駆け足になって彼の方へと向かう。声の届く距離まで近付くと、ボクは彼の名を呼んだ。
『別府君!!』


続く
3レス目のシーン転換の改行が入ってなくて、さすがに分かりづらいのでやり直させて貰いました。
申し訳ない
271ほんわか名無しさん:2013/05/05(日) 11:32:17.84 0
>>259
箸とフォークで皿を叩いてマダー?
272ほんわか名無しさん:2013/05/05(日) 18:34:05.06 0
そろそろ佳境だな
期待期待
273代行725:2013/05/05(日) 18:40:33.45 0
とうとうワルプルギスの夜を乗り越えることが出来たわ

これも貴方が助けてくれたからね

私だけだったら、きっと上手くいかなかった、

私はもう無限に時間をループしなくてもいい

巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子、勿論まどかも

明日を迎えられる

そして、貴方も一緒に

「気になることないよ、ほむらちゃん」

「俺はただ、ほむらちゃんの助けになりたかっただけだから」

あの、貴方に伝えたい事があるの、聞いてくれるかしら…

「どうしたの?改まって、」

わ、私、暁美ほむらは別府タカシさんのことが…
274代行725:2013/05/05(日) 18:41:42.94 0
━━━━━━━━━━

[どどどどどどどうするんですか〜]

[大丈夫ですよね、すぐに目を覚ましますよね、ちなみさん]

『委員長…落ち着いて…薬が効きすぎただけ…すぐに目を覚ます………たぶん』

[たぶん!?心配になるような事を言わないでください!]

『うーん…科学と魔術の融合により完成した薬を飲ませたら…まさか即昏倒とは…』

[とは…じゃないですよ!もしもこのまま目を覚まさなかったら、私、]

『委員長…落ち着いて…この薬の名前は【胡蝶夢丸】…飲んだ人が…楽しい夢をみる薬…』

[楽しいって別府君の顔を見てください!うなされて、苦しそうですよ!]

『ふむ…少し魔術で夢を覗いてみよう』

[……ちなみさん、なんでも出来ますね、]

『なんでもは出来ない…出来る事だけ…』
275代行725:2013/05/05(日) 18:42:14.15 0
━━━━━━━━

「あぁ!ほむらちゃん!ほむらちゃん!」

ここ?ここが気持ちいいの? パンパン!

「気持ちいいです!ほむらちゃんのフタ○リチ○ポ気持ちいいですぅ!」

ふふっ…フタ○リ魔法少女チ○ポでけつま○こ犯されて気持ちいいだなんて、ド変態ね パンパン!

「はいぃ!変態ですぅド変態ですぅ!だからもっとぉもっと犯してくださいぃぃぃ!!」

━━━━━━━━

『うぇぇ…』

[どうしたんですか、ちなみさん、別府君はどんな夢を、]

『……………言いたくない』

[く、口に出せない程酷い状況だったんですか!]

『そう…かな…うん…もう…それでいい…気分悪い…』
276代行725:2013/05/05(日) 18:43:19.14 0
[起こす方法はないんですか!これ以上別府君を苦しませる訳にはいきません!]

『ない訳ではない』

[どうすればいいんですか]

『キス』

[…………え?]

『キス…口づけ…接吻』

[いいいいい意味はわかりますよ!そうじゃなくて、なんでキ、ぇと、ぁ、せ、接吻しないといけないんですか!]

『…悪巫山戯…?』

[いい加減にしてください!]

『ほっといても…目…覚ますよ…』

[そんな悠長な事言ってられません、キ、キスしてやりますよ!!!]

『うん…頑張って』

「うん…んぁ、」ビクビク

『(あ…昇天った)』

[別府君!すぐに、すぐに助けますからね!](///)
277代行725:2013/05/05(日) 18:44:11.83 0
『私が…やろうか…』

[え?]

『委員長が…無理しなくても…こうなったのは…私の責任…キス…するよ』

[いやいやいやいやいやいや大丈夫ですよ!ほら、私、委員長ですし!クラスメイトを助けるのは、ほら、あれですよ!]

『作ったのは私…それにタカシなんかと委員長を…キスさせるのも…ほら…あれだし』

[いやいやいやいやいやいや!ちなみさんこそ無理しないでくれて大丈夫ですよ!]

アーダコーダ ケンケンガクガク


━━━━━━━━

「あぁ!壊れちゃうぅ!壊れちゃうよぉ!」

射精すわよ、一番奥に射精してあげるわ パンパン

「あぁ、イく、イく、イく、昇天くぅぅ!!」ビクンビクン

━━━━━━━━

「はぁぁ…」ビクンビクン

『(二発目…だと…)』



〜終われ〜
278ほんわか名無しさん:2013/05/05(日) 19:14:42.47 0
なんだこれ(困惑)
279ほんわか名無しさん:2013/05/05(日) 19:38:28.54 O
これは困惑せざるをえないwww




女の子だから端午の節句あんま関係ないけど、ちまきだけは食べときたいまつりんかわいい
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2741.jpg
280ほんわか名無しさん:2013/05/05(日) 19:40:10.19 0
>>279
GJ
ちまきはむはむ食ってるまつりんの耳をはむはむしたい
2811/5:2013/05/05(日) 22:56:09.19 0
お題作成機より:くのいち・実家・髪の毛

『タカシ様。ちょっと宜しいですか?』
「何だよ、しのぶ。つか、学校で様付けは止めろって言ってんじゃん」
『申し訳ありません。一応お役目に係わる事なので…… あと、今この周りに誰もいない
のは確認済みです』
「誰もいないって……無理矢理排除したりとかしてないだろうな? 近くの生徒全員気絶
させたりとかさ。お前、時々無茶するし」
『この間偉そうに説教されたので、もうその方法は取っておりません。二人ほど話を聞か
れそうな生徒がいましたので、薬で眠らせただけです』
「ほらみろ。やっぱりヤバい事やってんじゃねーかよ。他の生徒を巻き込むような事はす
るなっていつも言ってるだろが」
『タカシ様に私の任務のやり方についてとやかく言われたくはありません。正直、こうし
てお仕えしているだけでもありがたく思って欲しいくらいです』
「あー、はいはい。ここでまた俺が頼んだわけじゃねーしいつでも止めて貰っていいんだ
ぞって言ったら、伊賀家が云々とか、頭首の命令は絶対とか言うんだろ? 無駄に時間食
うだけだから、まあいい。要件だけ言え」
『はい。実は今晩だけ、実家に里帰りさせて貰おうかと思いまして、その許可を頂きに上
がりました』
「別に断る事でもないだろ。そもそも別に俺が命じて護衛させてる訳でもないし、好き勝
手にしてくれていいんだぞ」
『私だって好き勝手にしたいですけど、そうは参りませんっ!! 万が一勝手に主人の下
を離れたなどと母様に知られた日には、キツイお仕置きをされてしまいます』
「しのぶのお母さんって、前にうちに挨拶に来た人だろ? かすみさんって言ったっけ?
美人で優しそうな人だったけどなあ。そういえば、あれ以来俺は会ってないな。かーちゃ
んとかは、何度か会ってるらしいけど」
『母様はああ見えて怖いんです。外面はすごく優しく見えますけど、子供の頃に受けた罰
の数々を思うと…… 逆らう訳には行きません』
2822/5:2013/05/05(日) 22:57:10.72 0
「まあ、かすみさんもくのいちだからな。愛の鞭って奴だろ。まあ、許可出せばいいんだ
ろ? いいよ、別に。何ならニ、三日羽を伸ばして来てもさ」
『そういう訳には参りませんっ!! タカシ様はお気付きにならないようですが、色んな
危険が周りに潜んでいるんですから、目を離すわけにはいかないんです』
「それにしても、わざわざ呼び出す必要あったのか? これ。人に知られて困る事でもな
いだろ。大体、そんな事でお前は近くにいた奴眠らせたりしたのかよ」
『タカシ様を狙っている人物はどこにいるか分かりません。別府家は今でも地元の名士と
して名が通っておりますし、お父上様は県会議員でありませんか。あと、それだけではな
くて、私とタカシ様が二人きりで会っているのを万が一にも誰かに見られて変にカップル
扱いされるのは勘弁ですし、それに眠らせたのがもの凄く仲の良さそうなカップルだった
のでついイラッとしてというのもありましたが』
「私情絡みまくりじゃねーか、このダメくのいちが。どう考えても俺の周りで一番危険な
のはお前だろ」
『失礼な事をおっしゃらないで下さい。別に傷一つ付けてはおりません。ちょっと起きた
ら面倒な事になるかもしれませんがそれだけです』
「何かやったな? 何かやったんだろ? まあ、係わりたくないから敢えて聞かなかった
ことにしとくけどな。今度変な事をやったら、かすみさんに全部チクるから。分かったか?」
『母様を使って脅しとか、性格悪い事この上ないと思いますけど、主人の言う事ですから
聞かざるを得ませんね。分かりました。今後は少し自重します』
「あやしーよなあ。どうせ、俺にバレなきゃ平気だとか思ってるんだろ? だけどお前っ
て粗忽者だからな。下手な事すればすぐ足が付くって覚えとけよ」
『タカシ様に粗忽物とか言われたくありませんっ!! まあ、そういう訳ですから今晩は
失礼させて頂きます。無論、タカシ様がお家に帰られるまではしっかりと見張っておりま
すので。あと、今宵は無用な外出は控えて下さいね。では』
「あ、ちょっと待って」
『は? な、何か……? 余り二人で長く話していると、誰かに見られる危険性が増えま
すのでイヤでイヤで堪らないのですが』
「いや。ふと思ったんだけどさ。しのぶの家ってどんな家なのかなって思って」
2833/5:2013/05/05(日) 22:58:23.76 0
『は? い……いやその……普通の一戸建てですよ? 別に時代錯誤な忍者屋敷とか、そ
んなものではありませんからね』
「ホントかよ? 玄関が普通に入ると罠に掛かるようになっていて、入り口は隠し扉になっ
てるとか、あちこちに抜け穴やからくりがあるとかないのかよ」
『ありませんっ!! タカシ様は現代の忍びをなんだと思っているんですか。大体、忍び
とは言っても、時代劇で出て来るようなあんな派手な技を使ったりとかそういう事も出来ません』
「いや。結構しのぶはやってると思うけどなあ。主に人に迷惑が掛かる方向で」
『失礼な事をおっしゃらないでくださいっ!! それもこれもタカシ様が変な事ばかりな
さるから……って、あああもうっ!! 守りがいのない主人はこれだから嫌なんですよっ!!』
「でさ、しのぶ。物は相談なんだけどさ。一度、お前の家、見せてくれないか?」
『は……? だだだだだっ!! ダメですそんなっ……何で私がタカシ様を家に連れて行
かなくちゃいけないんですかっ!! い、い、い……意味が全く分かりませんっ!!』
「いや。単に現代の忍者屋敷ってどういうもんかなーって思って。興味本位で」
『絶対ダメですっ!! そんな、こんな……いくら主人の頼みとは言っても、こればかり
は聞けません!! わ、私の家にタカシ様をだなんて……』
「別に、ちょっとお邪魔したらすぐ帰るからさ。確か、学校からでも通える距離だろ? お
前は普段、俺の護衛だとか何とか言って、すぐ向かいのアパートに住んでるけどさ」
『それでもダメですっ!! タ……タ……タカシ様をウチに入れてその……よからぬ菌と
か入り込んだりしたら困りますし……』
「よりによって主人をばい菌扱いかよ。おばさんにチクるぞ?」
『なっ……!? タッ……タカシ様は卑怯です。人の家庭の事情を逆手に取って脅迫なさ
るとか…… だ、大丈夫です。この程度なら失言として水垢離二百回程度で済みますから……』
「それって大丈夫の範囲なんか……? ああ。それにさっき一般生徒を巻き込んだっての
も付け加えとくか」
『それは任務の範囲内ですっ!! 大体、そこまでして私の家に期待っていう理由が分か
りません!!』
2844/5:2013/05/05(日) 22:59:59.50 0
「いや。一応、俺の護衛に付いてる娘がどんな環境で育って来たかってのも知りたいじゃ
ん? それに、さっきからしのぶの態度を見てると、特別感情面以外で断わる理由もなさ
そうだし」
『う……ううう…… そ、それでも大事な事なのです!! 私だって忍びであると同時に、
その……一人の女の子なんですから……お、男の人を家に呼ぶと言うのは……』
「大丈夫だって。何にもしやしないから。ちょっとおばさんに挨拶して、一通り家を見て
回ったら帰るよ。部屋にお邪魔するとかしのぶのプライベートまで探るような真似とかは
しないし。な?」
『う……しかし……』
 キャーッ!!
「ん? 何だこの悲鳴は」
 チョチョチョチョットアンタドコニカオツッコンデルノヨ!!
 チ、チガウヨコレハソノゴカイ……ゴカイダッテバ
 テ……テモ、ドコサワッテンノヨ!!
 ワアッ!! ゴメンソノキガツカナクテ
 ウルサイコノヘンタイ(バシッ!!)
 アイテッ!! チョ、チョットマッテクレヨオイッ!!
『……………………』(滝汗)
「なあ?」
『はいっ!?』
「お前その……さっきカップル眠らせた時、他に何かしたのか? 正直に言ってみろ」
『え、えーとその……』
「命令」
『ふぇええっ!? いやその……リア充っぷりがあんまりにもムカついたもので……ちょっ
とその、男子生徒の顔を女子生徒のここに当てて、で、手の平をこうやって置いただけで
…… ちょ、ちょっとした悪戯心ですから。ハハ……』
「そうかそうか。そうやって一組のカップル崩壊をもくろんだ訳か。これはおばさんに……
いや。むしろおじさんに報告しないとな」
2855/5:2013/05/05(日) 23:01:35.70 0
『わあっ!! 父様――頭首様に報告されるのは勘弁です!! だってだって、私だって
年頃なのにタカシ様とはちっとも……じゃなくてちっともそんな縁が無くてタカシ様みた
いな変態ご主人に仕えさせられて……これじゃあ私じゃなくたってやさぐれて当然です』
「分かった。じゃあ、お前ん家に招待してくれるなら、今回の件は不問にしといてやる。
まあ、ホントに仲のいいカップルならいずれ修復するだろうしな……」
『うぐぐ…… 本当にタカシ様は腐れ外道です……』
「何とでもいえ。じゃあ、俺は放課後になったら勝手にお前ん家に行くから、適当な所で
出て案内しろ。いいな?」
『グッ…… しょ、承知致しました……』


続きます
286ほんわか名無しさん:2013/05/05(日) 23:43:27.53 O
こういうタイプのツンデレさんは守ることに徹する反面、自分が守られる立場になると弱くなったりならなかったり云々かんぬん

何が言いたいかと言うと、しのぶさん守ってあげたい
287ほんわか名無しさん:2013/05/06(月) 14:35:52.68 0
>>285いいね
続きに期待
288ほんわか名無しさん:2013/05/06(月) 14:56:09.13 0
>>281-285の続き4レス行きます
2891/4:2013/05/06(月) 14:58:29.44 0
お題作成機より:くのいち・実家・髪の毛 〜中編〜

「へえ。ここがしのぶの家か。確かに普通の一戸建てだよな。まあ白壁に瓦屋根で、庭付
きなのは和風っぽいイメージだけど」
『だから言ったじゃないですか。普通の家だって。セキュリティだって、ほら』
「へえ。ヴィップ警備保障の最新のセキュリティシステムなんて入れてるのか。結構金持
ちなんだな」
『タカシ様の家ほどじゃありません。そもそも別府家の当主様から頂いた給料で付けさせ
て頂いたものですし』
「ウチの親父も忍者なんて時代錯誤なものにいくら金払ってんだか。まあ、生活に困らな
い限りは好きに使ってくれって感じだけどさ」
『セキュリティ、解除しました。さあどうぞタカシ様。上がるのはリビングまでですからね』
「いや。もうちょっと色んな仕掛けとか見せてくれてもいいんじゃないか? 忍びの頭領
のお屋敷なんだしさ」
『だから現代のこの世にそんな仕掛けは必要な――タカシ様危ないっ!!』
 ドンッ!!
「わあっ!?」
 バキバキバキッ……
『クッ!!』
 カコンッ!!
「イテテテテ…… 何だよ一体……」
 ヒュッ!! ヒュッ!! ヒュッ!!
『棒手裏剣まで……えいっ!!』
 ザッ!!
『全くもう……変な仕掛けばかり母様は――って、着地点落とし穴……!! 鎖鎌っ!!』
 ヒュウッ……ガシッ!!
『引っ掛かった。玄関まで飛べば……たあっ!!』
 スタッ!!
『ふうっ……危なかった……これしきの罠に掛かる私じゃ――』
 ガコンッ!!
2902/4:2013/05/06(月) 14:59:39.39 0
『へ……? んきゃああああああっ!!』
 バッシャアアアアン!!
〔フフフ。まだ甘いわね娘よ。一番安心しそうな所に、最大の罠を仕掛けておきなさいっ
ていつも言っているでしょう? まさかタカシ様との色恋沙汰にうつつを抜かして腑抜け
たのかしら〕
『そんな訳ありませんっ!! 何を考えているんですかお母様は!! 久し振りに実家に
帰ったわが子を水の中に叩き落すなんて』
〔あら? 獅子はわが子を千尋の谷に突き落とすというじゃない。これも愛情よ〕
『こんな愛情いりませんっ!! ああもう制服ビショビショ……てかクサッ!! まさか
ここ下水道ですか?』
〔敵を落とすならちょうどいいと思ってね。最初の落とし穴に素直に落ちておけばびしょ
濡れにならずに済んだのに。その代わり虫と戯れる事になったけど〕
『どんだけ非道なんですかお母様はっ!!』
「アイテテテ…… 何だったんだ今のは? しのぶは罠とか無いとか言ってたけど、思いっ
きり仕掛けてあったじゃんか」
〔お久しぶりですわ。タカシ様〕
「ああ。かすみさん。どうも…… つか、手荒い歓迎ですね」
〔ええ。申し訳ありませんわ。タカシ様もご一緒なさると知っていればこんな仕掛けは施
さなかったのに巻き込んでしまって〕
『嘘ですタカシ様っ!! 私ちゃんとれんら――ヒイッ!!』
 ビィィィーン……
〔お喋りな忍びは長生き出来ませんよ。全く、腕の方はまだまだなのに、口ばっかり達者
になってこの娘は…… どうですかタカシ様。ウチの娘はお役に立ててます?〕
「えーと、いえ。まあその……今の世の中で護衛が必要かどうかってのはともかく……ま
あまあその……うーん……」
『どうしてそこで口を濁すんですかタカシ様!! わあお母様!! こっち睨まないで下さい』
〔ごめんなさいね。粗忽者の娘で。で、タカシ様は今日はどんなご用件で?〕
2913/4:2013/05/06(月) 15:00:43.38 0
「いやその……こんな事言ったら申し訳ないんですけど、しのぶ……伊賀さんのお宅って
まだ一度も見た事なかったので、現代の忍者屋敷ってどんな物なのかなって……興味本位
ですいません」
〔いいんですのよ。タカシ様でしたら、存分に我が家を堪能していってくだされば。でも
ゴメンなさい。普通の家でがっかりなされたでしょう?〕
「いえ。もう入り口の時点で十分凄さは分かったような……」
〔あんな物は些細な仕掛けですよ。家は普通なんですけど、ほら。私ったらリフォーム好
きなものですから〕
『またお母様ったら変な改造をなさいましたね!! お父様に知られたらお説教食らいますよ!!』
〔あんな、年に数回しか家に帰ってこないような薄情者の旦那なんて知りません。さあさ
あ、タカシ様。上がって下さいな。大したおもてなしも出来ませんけれど、ゆっくりして
行って下さい〕
「あ、はい。お邪魔します」
『ちょ、ちょっとお母様っ!! 私はどうなるんですかっ!! 早く引き上げて下さいってば!!』
〔あら? 貴女も忍びの一族の娘でしょうが。自力でその程度の落とし穴から脱出出来な
くてどうするんですか? 早くそこから出てシャワーを浴びて来ないと、お茶は抜きにし
ますからね〕
『だって鎖鎌も使っちゃったし、この壁すごくぬるぬるしてておまけに臭いしっ!! あー
もうっ!!』
「あ、あの……かすみさん? しのぶの奴、出してあげた方が……」
〔いいんですよ。この方があの子の薬になりますし。それにこの事は我が伊賀家の方針ゆ
え、主筋の方とはいえ、口を出していただきたくないものですわ〕
「は、はい……(やっぱりこの人おっかねえ……)」
『こらーっ!! 出してくださいってば!! お母様ってば!! このバ――ヒイッ!!』
 ザクッ!!
「今、母を愚弄する言葉が聞こえたような気がしますが、もちろん気のせいですわよね?
しのぶがそんな言葉を母に向かって浴びせるとか、ありえませんもの」
『は……はひっ……お母様……』
2924/4:2013/05/06(月) 15:01:46.46 0
『うー……酷い目にあったわ…… まだ臭い……残ってないわよね……』クンクン……
「よお、しのぶ。何とか脱出出来たか」
『結局、下水通ってマンホールから脱出致しましたから。タカシ様はよろしゅうございま
すわね。私が救って差し上げたというのに、いい気分でくつろいでおられまして』
「いや。救ったっつっても、最初に飛んで来た武器って、スポンジで出来た棒だったんだ
よな。だからしのぶに突き飛ばされた方がよっぽど痛かったかも……」
『左様でございましたか。フン。どうせ私のした事など、無用の長物に過ぎませんでしたよ』
「……………………」
『は? どうなされましたかタカシ様。アホ面みたくポカンと口を開けられて』
「ああ、いやその……ゴメン。何でもない」
『おかしな方ですね、タカシ様は。と言っても、日頃からおかしな方ですから今更といえ
ば今更ですけど』
「そ、そうだな。アハハハ」
『そのごまかし方もタカシ様らしくないというか…… まあいいです。それより、家を案
内して欲しいのでしょう? どうやら母がまた変な仕掛けをこしらえたらしいですからね。
忍者屋敷らしいからくりも見れるかと思いますよ。まあ私が帰って来るからと、嬉々とし
て改造したらしいので、私にもどんな仕掛けがあるか分かりませんから気をつけて下さいね』
「ああ。それはそうと……しのぶはお茶とかいいのか? 一応取っておいたけど」
『母様のことですから、私の分だけ普通に毒物とか仕掛けるとかやりかねません。遠慮し
ておきます』
「うーん……危険な親子だな。まあいい。案内して貰うとするか」
『はい。では参るとしますか』


続く
293ほんわか名無しさん:2013/05/06(月) 18:39:08.50 0
・くのいちなみん
 GW最後の休日。俺が部屋で寛いでいると、マッポーめいたアトモスフィアが辺りを覆う。
 次の瞬間現れたのは、オブシダンめいた黒髪のニンジャガールだった!
『ドーモ、タカシ=サン。くのいちなみんです……』
「アイェェェェッ!! ちなみん!? ちなみんナンデ!?」
 普段は奥ゆかしいツンデレアトモスフィアを持ったちなみだが、時にこのようなニンジャめいた行為をとる。
『ふふふ……無防備股間はいただきです。さぁ、ハイクを詠むのです……』
「アバァーーーッ!!」
 性的かつカワイイくのいちなみんは、違法行為に出る!
『私今、体温何度かな……』
「……ここまでの仕打ちを受ける謂れは無い!」
 その時、タカシの中に潜んでいたニンジャソウルが覚醒!
 常人の三倍の脚力で飛び上がり、くのいちなみんを押さえつける! スゴイ!
『ウカツ……でした……』
「ちなみ=サン、俺のヒサツ・ワザを見ろ。ワッショイ!」
『ワザマエ……』
  こうしてワインインチ距離まで近づいた二人の間で、猥褻アトモスフィアはしめやかに行われていくのだった。

(くのいちなみん#1 終わり。#2に続かない)
294ほんわか名無しさん:2013/05/06(月) 19:24:16.59 O
>>289
お母さんKOEEEEEEEEEEE!!!
そしてしのぶさんドジかわいい!!


>>293
ニンジャスレイヤーかよwwwwワロタwwww
295ほんわか名無しさん:2013/05/07(火) 01:33:02.71 0
>>289-292の続き4レス行きます
2961/4:2013/05/07(火) 01:34:21.69 0
お題作成機より:くのいち・実家・髪の毛 〜後編〜

『全く母様はこんな所に…… タカシ様。この掛け軸の裏側です。ここを押すとこのよう
に壁が回転して裏の部屋に抜けられるようになっています。もっとも、廊下にちゃんとし
たドアがありますので全く意味はありませんが…… って、聞いてますかタカシ様』
「へ? あ、ああ…… もちろん。ちゃんと聞いてるよ。かすみさんって自分もくのいち
のクセにホントマニアだよな。こんなにあちこち仕掛け作ってさ」
『一体どうしたんですか? 見たいと言ったのはタカシ様なんですよ。私は仕方なくわざ
わざ仕掛けのありそうな場所を回って案内しているのに、タカシ様が気乗りしないんじゃ
意味がありません』
「そ、そう見えたならごめん。でもちゃんと聞いてるし、感心もしてるからさ」
『ならいいのですが、さっきからずっとうわの空に見えましたので。それにしても、母様
の道楽にも困ります。父様がこの家を建てた時は、ほとんど普通の家と変わらなかったの
に。キッチンも訳の分からない場所に収納を付け足してるし……』
「まあ、いいんじゃないかな。今は実質かすみさん一人でこの家にいるんだし、気を紛ら
わせているんじゃない?」
『あの母親が、寂しさを紛らわせるとかそんな事で精を出しているとは到底思えないので
すが……』
「いじる娘もいなくなったから退屈しているんだよ。で、次はどこ?」
『もう一階は大体見終わったので、上に行こうかと』
「上? じゃあ、この階段上がればいいのかな?」
『タカシ様。いけません』
「は?」
『恐らくそこには罠が仕掛けてあります。えいっ!!』
 コンコン…… ズドンッ!!
「おわっ!? 何か出て来たぞ?」
『槍の先を剣道の竹刀に変えたものです。ちょうど私の脇腹を的確に射抜くように計算さ
れてますね。あの腐れ外道は』
2972/4:2013/05/07(火) 01:35:59.48 0
「はらー…… おっかねえな。しのぶの家は…… うかうか階段も上れないのか」
『本当に困ります。何も日常生活にまで緊張感を持ち込まなくてもいいのに。あと、この
階段は直接私の部屋のある三階に繋がっているので、上るのは禁止です』
「あ、ああ。そっか…… でも、三階って……二階は?」
『二階は、こっちの階段です』
 グイッ!! バタンッ!!
「そんな所に隠し階段があるのかよ。これもおばさんが作ったのか?」
『いえ。これは父様が。自前のパソコンルームを中二階に置きたいと言うので』
「へえ。まあロフトみたいなもんか」
『ですね。気をつけて下さい。天井が低いですから』
「あ、ああ……」
『この天井が低いのは、万が一敵が攻めてきた時に自在に武器が操れないようにとの工夫
だそうです。私達は小さな武器を扱うのには慣れてますから。それで、あそこの窓から逃
げるようになっています。今は普通に察しの窓を入れてありますけど、本当なら壁と同じ
ようにカムフラージュしてありますので』
「……………………」
『タカシ様? タカシ様?』
「へっ? わわわっ!! 顔、顔近いって」
『ボケーッとしているから様子を窺っただけです。一体何なんですかさっきから。もう何
も無いとは言わせませんよ』
「いや、ホントにその……ちょっとボーッとしてただけでさ。物珍しいものばかりだから、
つい色々と考えちゃって」
『物珍しいもの……ですか。そんなにも珍しいですか? 私が』
「ふへっ!? おま……お前、何言ってんの? 何でお前がとか……そんな話になってん
だよ? 俺はその……お前の家の中が……」
『ごまかしても無駄です。さっきからタカシ様の視線がやたらと私に注がれている事は知っ
ています。母様に聞かれると厄介でしたので、敢えて放置しておきましたが、この部屋は
防音完備なので聞かれる心配はありません。一体さっきから、私の何をご覧になっておら
れたのですか?』
2983/4:2013/05/07(火) 01:37:15.84 0
「いや、えーとその…… まあ、正直に言っちゃうとさ。しのぶっていつもその……ポニー
テールに結ってるじゃん。それが、髪洗ってそのまんまだからさ。ストレートなのはなん
か新鮮だなって思って……あと、洗った後の半渇きの髪って綺麗だなって……あと、シャ
ンプーとかの香りもいいし……」
『ふぇっ!? ななな……何をおっしゃっているのですかタカシ様は…… わ、私を褒めるなんて気でも違いましたか? それとも実は女性の髪フェチとか……そうなんですね?
私は従者である以上主人の好みに口を出す訳には行きませんが…… は、ハッキリ言って
変態だと思いますよ。気持ち悪いです』
「まあ、そう言われても仕方ないよな。だから黙ってたんだし。でもさ。正直、今までし
のぶの髪の毛見てもこんな気分にはならなかったのに、何ていうか、こんなに雰囲気変わ
るんだなって思って見てたら、どんどん色々気になってきて……」
『た、確かに私はその……自分の髪の毛が好きですから、だから痛まないように色々と気
を遣ってはおりますけど、それは別にその……こんな風にタカシ様に褒められる為じゃ……』
「いやその……そんな事分かってるってば。俺だって別に、こんな風にしのぶの髪をちゃ
んと意識して見たのって初めてだし…… だからその……ゴメン。忘れてくれ」
『わ、忘れてくれと言われても……えーと、その……』
「一応言っておくけど、俺は隠し通せないと思ったから答えただけだからな。困らせるよ
うな事を言って悪かったけど、しのぶがスルーしてくれれば、言わずに済んだんだし」
『いえ、そのあの……えっと……』
「ど、どうしたんだよ? 何かいつもと感じが違うぞ?」
『そ、それはそうですっ!! その……だって、こんな風に髪の毛を褒められたのなんて初めてで……だから、どう対応していいのか……』
「はい?」
『と、とりあえず……その……さ、触って……みます?』
2994/4:2013/05/07(火) 01:38:33.47 0
「ちょっ……ちょっと待てしのぶ!! お前何かおかしいぞ? どーしたんだよっ!!」
『タカシ様が悪いんですっ!! 中途半端に髪の事をお褒めになるから…… だ、だった
らその……ちゃんと触って、感想頂けないとどうもすっきりしないというか……』
「さっき人の事髪フェチキモいとか言ってたじゃんか。どういう心境の変化だよ?」
『あ、あれこそその……突然の事でどう対応すればいいかとか分からなくて…… でも、
でも……女の子からすれば、髪を褒められるのは悪い気はしないんですよ? 例えタカシ
様であっても……だからその……触りたければ、どうぞ……』
「何かちょっと引っ掛かる言い方だけど……触っていいって言うなら、触らせて貰うぞ?」
『は、はい…… くれぐれも、優しくお願いしますね……』
「じゃあ、失礼して……」
『……………………ど……どう、です……か……?』
「いやその……予想通り凄く滑らかで……何かキラキラ光ってるような感じでさ。絹みた
いだよな、うん。それに、わざわざ嗅がなくてもフワッといい匂いも漂ってるし……」
『(タカシ様に……タカシ様に髪の毛を褒められちゃった……信じられない…… あああ、
何か嬉しいっ……!! ダメなのに……忍びとして、主人にこんな気持ちを抱いたりした
ら……)』
「しのぶ?」
『ひゃいっ!? ま……ままま、満足なさいましたか? でなければもうちょっとその……
好きなだけ、宜しいですけど……』
「いいのかよ…… じゃあ、もうちょっとだけ……」
『(タカシ様に髪の毛愛撫されてるのが……こんなに幸せだなんて……はふぅ…… 落と
し穴に落ちて良かったかも……)』


 だがこの後、中二階から出ようとして完全に閉じ込められたことを知り、またしても母
に絶望の罵りを浴びせ掛けるしのぶであった。 〜完〜
300ほんわか名無しさん:2013/05/07(火) 02:46:21.02 O
しのぶんかわいいよかわいいよ!!
この親御さん相手だと恋愛するのも命懸けだなwww

GJ!!
301GWに乗り遅れた 1/4:2013/05/07(火) 17:47:21.90 0
「今年もゴールデンウィークがやってきました。
 全国の観光地では、大きなイベントが行われ、家族連れや観光客で多いに賑わっていま――」
 明るいキャスターの声を遮って、あたしはテレビの電源を消した。
 何にもする気がなくなって床に直接寝転ぶと、そのままぐったりと力を抜く。
 買い物しなくちゃな−、と思うけど面倒臭くって仕方ない。乾麺のおそばがあったから、夕飯はそれですまそうかしら。
 どうしてこんなに無気力なのかと言えば、それは旦那のせいだ。
 そう、あたしは一応、世間で言うところの『新婚さん』ってヤツである。表札には

 『別府  タカシ
      かなみ』

とちゃんと書いてある。
 なのに、うちのロクデナシは新年度早々GWを挟む1ヶ月の長期出張を食らいやがったのだ。
 いや、別にいいんだけどね。家事も一人分で済むし、誰にも気を遣わなくて良いし。
 あんなアホなんか、顔見ない方がすっきりするってもんよ。もともと、毎日見てたいようなイケメンでもないし。
 こうやってゴロゴロしながら旦那の顔を思い浮かべてると、どうしてあんなのと結婚したのか自分が解らなくなってくる。大して稼ぎが良いわけでもなく、どうしようもなくスケベで、鈍感で、ヘタレ。気が利かないったらありゃしない。
 なによりも頭に来るのは――

「なんで折角のGWに連絡一つよこしやがらないのよ、あのアホ!!」

 思わず叫んだ。
 いや、別に毎日連絡よこせとか言ってるわけじゃないの。連休中でも仕事があるってのも別にいいの。
 ただ、電話くらいしなさいよ! なんで『忙しくてしばらく連絡できそうにない(原文ママ)』ってメール一本だけなのよ!
「はぁ……空しい」
 咳をしても 叫んでも 悶えても ひとり
 床に転がり、お好み焼きに振りかけたかつおぶしのごとく、ぐねぐねと動いてみたが気持ちは晴れない。
 お好み焼き。
 お好み焼き食べよう。
 唐突なようだけど、お好み焼きはあたしの好物だ。自分で作るのも悪くないけど、やはりお店の大きい鉄板で焼いた方が美味しいように思う。
 こうなったらマヨネーズ多めで、やけ食いしてやる。
 あたしは立ち上がるとのろのろと外出の準備を始めたのだった。
302GWに乗り遅れた 2/4:2013/05/07(火) 17:51:15.13 0
 じゅうじゅうと目の前で音を立てるお好み焼きの香ばしい匂いに、あたしはつかの間苛立ちを忘れた。
 牛すじの煮込みとお餅をトッピングした大ボリュームの円盤。マーブル模様を描くたっぷりのソースとマヨネーズが、鉄板に垂れ落ちて細かい泡と共にパチパチと弾ける。
それに耳を傾けながら、青のりと鰹節の華やかな香りを一杯に吸い込む。
 女一人でお好み焼き屋というのもビジュアル的に少々アレな気がするけど、知ったことじゃない。周りにカップルが多めな気もするけど、関係ない。家族連れも知らない、
見えてない!!
 でも、子供の首に紙ナプキンをつけてやる母親を見てると、妙な気持ちになってくる。あたしもいつか、子供ができるのかな。そしたらあんな風に優しい顔ができるのだろ
うか。
「子供かぁ……」
 ぽつりと呟く。あ、あいつと子供?
 ……いや、そりゃ夫婦なんだし? いずれはそうなるんだろうけど? 
 なんか、想像できないような、でもちょっと憧れるなぁ……出張から帰ってきたら……。
 いや、待て待て。今はお好み焼きだ。ボヤボヤしてたら焦げてしまう。
 一瞬妄想に逃げ込みそうになったのを無理矢理振り払い、お好み焼きをヘラで切り分けて取り皿に取る。ヘラのまま食べるのがこだわりという人もいるようだけど、あたし
は普通に箸で食べたほうがいいな。ヘラ食べにくいし。
 口に一口含むと、文句なしに美味しい。
 熱々の欠片をホフホフいいつつ口の中で転がして噛みしめると、さっくりとした生地の間から牛すじのとろりとした食感とお餅のねっとりした感触が溢れて、じんわりと旨味
がしみ出てくる。
 一通り味わってから、それを冷たいビールで一気に流し込めば、
「くぅ〜〜〜っ!!」
と思わず口から声が漏れた。幸せとはこのことなのだ。
 と、あたしはそこで違和感に気付く。鉄板に人影が差していた。テーブルの横に誰か立ってるらしい。店員さんかと思ったけど、立ったまま動かない。
 顔を上げた。

 「「あ」」

 声がハモる。

 複雑な――見たこともない顔をしたタカシが立っていた。
303GWに乗り遅れた 3/4:2013/05/07(火) 17:53:45.09 0
 一瞬何が起きたのか解らなかった。だって、あいつは出張のはずでこんな近所のお好み焼き屋に居るわけないしっていうかどうしてそんな哀れむような目で見るわけタカシのくせになまいきよ。
 混乱したあたしに、スーツ姿のタカシは的確な一言を返した。
「出張からサプライズのつもりで帰ってきたら妻がおっさんになってた件について」
「っ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 今度こそあたしは、人目もはばからず悶絶したのだった。

  
「信じられない! 信っじらんないっ!!」
 二人でどうにかお好み焼きを食べて帰宅したあと、あたしはそれだけを繰り返していた。帰り道にコンビニで買い込んだビールや酎ハイをテーブルの上に広げて、酔いに任せて悪態をつく。
「サプライズとか今時寒すぎんのよ! 連絡の一つも入れないでばっかじゃないの!?」
「いやぁ、驚くと思って」
 ソファの隣に腰掛けて肩をすくめるその仕草がまた小憎らしくて、あたしは一気にレモンハイの缶を空にする。
「ぷはっ、あぁ、そりゃぁびっくりしましたわよ!? 驚きまくりですわ、本当に!」
 そこでふいに疑問がわき起こる。
「っていうか、なんであたしがあのお店に居るって解ったの?」
「あぁ、いや。それは、たまたまだよ。お前あの店のお好み焼き好きだから、お土産にテイクアウトしていこうかと思って寄ったんだ」
「あぁ……そう」
 持ち帰り! そういうのもあるのか……じゃなくて。
「そしたら、カップルや家族連れの中で、一人、手酌でビール飲んでる寂しい女が居るじゃありませんか。
 はて、これはどういうことだらう、折角の黄金週間になんとさもしいことだろう、それにひきかえ私はなんとしあわせなことだ、愛すべき伴侶が我が家で待ってゐるのだから。思ってよくよく見てみれば、それはわたしの細君だった」
「ながああぁぁぁっ!!」
 なんでそういうこといちいち言うんだ! なんで昭和初期の文学作品風なんだ!! 悪かったなさもしくて! でもそれはお前のせいだろうが!!
 それらの全部を同時に発音しようとして失敗した結果、あたしは口から奇声を発することになった。
「ははは、いや、でもかなみの意外な一面が見れて良かったよ」
「全然よくないわよ、馬鹿、アホ、人でなし……」
「携帯の待ち受けにしよう」
「なん……だと……?」
304GWに乗り遅れた ごめん、やっぱり5:2013/05/07(火) 17:56:00.03 0
 まさかアレを撮られたと言うのか!? 夫ならともかく、余人に見られたらあたしもう生きていけない!!
 さっきまで店内という公衆の面前で思いっきり晒していた光景ではあるが、写真となると話は別。
「よこせっ!!」
 携帯をひったくろうと手を伸ばすが、すい、と巧みによける。あたしは当然追いすがる。
「消せ! それを待ち受けにしたらお前を殺してあたしは死なない!!」
「死なないんかい!」
「う〜〜が〜〜!!」
「うわ、馬鹿よせ!」
 タカシがこしゃくにも、身を乗り出すあたしの顔に手を当てて、全力でつっぱった。乙女の顔になにすんのよ! お返しにあたしは右手をこれまたタカシのほっぺたに当ててぐに〜〜と押し付けてやる。
「よぉ〜こ〜せぇ〜〜〜!」
「いででで! 待って、待てって! うおぅっ!」
 ソファでそんなもみ合いをしていて、まともに座ってられるはずもない。あえなくもつれ合うように転落した。
「あたた……」
「う〜〜、マジで消しときなさいよ、それ」
「もともと撮ってないよ。冗談だっつーのに」
 あたしを身体の上に乗せた状態で頭を振りながら、タカシは言った。
「あー、でも待ち受け用の写真が欲しいのは本当かな」
「ならもうちょっとマシなときにしなさい。全裸で土下座すれば写真くらい撮らせてあげるから」
「ハードル高くないスかね」
「うっさい……うっさい、馬鹿」
 ぴたり、とさしてたくましくもない胸板に顔を寄せて、大きく息を吸った。
 汗臭い。酒臭い。埃臭い。
 でも、タカシが居るのは、確かだ。帰ってきてくれたんだ。仕事で疲れてるのに、休みを削って会いにきてくれた。
 きっと、忙しくて帰れそうにないのは本当だったんだ。結構色々無茶をして、無理矢理に帰ってきたに違いないんだ。そうでなきゃ、スーツ姿で来るはずがない。着替える余裕すらないのに、頑張って休み取って、あたしのとこに帰ってきてくれた。
 でも、楽しそうに笑うタカシが調子に乗らないように、ちゃんと釘を刺しておく。
305GWに乗り遅れた ごめん、やっぱり5:2013/05/07(火) 17:58:15.62 0
「次は、あたしの方から行くからね。あんまり無茶しないでよ?」
「……うん、待ってる」
「あたしが会いたいんじゃないからね! ただ、職場の人に迷惑かけてまで帰ってくるくらいなら、そっちの方がマシな、だけ……で」
「解ってるって」
「……解ってない」
「いいや、解ってる」
 にんまりとした顔を見て気付いた。『解ってる』んじゃない。『バレて』るんだ。
 でも、それで良いと思う。夫婦の隠し事なんて、ない方がいいに決まってる。でも、同時にこれはタカシだけが知ってればいいことだ。
「罰として、絶対、休みの間は離れちゃダメだからね?」
「ほう」
「ずっと、ずっと手を握ってるの……起きてる時も、寝てるときも」
「乙女チックかなみんっすね」
「茶化すな……馬鹿」
 あたしは胸板をぽこりと叩くと、ひさびさの温もりを存分に味わったのだった。




 改行ミスったりレス数ミスったりすまなんだ。
 でも出張とか進学で離れ離れになって寂しさリミットブレイクのツンデレは破壊力すごいと思うんだよ(机バン!)
306ほんわか名無しさん:2013/05/07(火) 20:33:02.01 0
GJ
新妻は良い物だ
307ほんわか名無しさん:2013/05/07(火) 21:29:58.33 O
言い知れぬ感慨が胸に湧いた!!(机ドカバン)

GJ!!
308ほんわか名無しさん:2013/05/07(火) 21:35:12.06 0
>>305
GJ
309ほんわか名無しさん:2013/05/07(火) 23:49:42.04 0
>>305
新妻かなみんかわゆすwww
GJ!!
310ほんわか名無しさん:2013/05/07(火) 23:52:48.84 0
こいつは最高だ
かなみん可愛すぎる
311ほんわか名無しさん:2013/05/08(水) 09:31:04.24 O
このスレには友ちゃん分が足りない


山田「あれ、友ちゃん?」
友「あら、山田。お帰りなさい」
山田「人んちで何してるの?」
友「山田がまだ帰ってないっていうから、おばさんに言って上がらせてもらったのよ」
山田「いつの間に……ホント、人に取り入るのだけは上手だよね」
友「キッチン借りてるから、用があったら呼びなさい」
山田「あ、お茶だったら僕淹れるよ。友ちゃんは編集作業やってて」
友「お茶ならおばさんが淹れてくれたわよ。そうじゃなくて、今おやつ作ってるから」
山田「……おやつ?」
友「そ。あんたいつも編集長引いて、お腹空かせるじゃない」
山田「わぁ……ホットケーキだ! なんかいい匂いがすると思った!」
友「ちゃんと許可は得てやってるんだからね? 勘違いしないでよ」
山田「ありがとう、友ちゃん。わざわざ僕のために作ってくれて」
友「あんたのためじゃない、私も食べるんだからお互い様よ」
山田「じゃ、僕も手伝うよ。やってもらってばっかりじゃ友ちゃんに悪いし」
友「あんたは座って編集してなさい! 何のためにおやつ作ってあげてると思ってるの?」
山田「いいから、いいから。僕、ホットケーキ焼くの久しぶりだし、やってみたいんだ」
友「んもぅ!……じゃあ、さっさと終わらせて作業するよ!」
山田「うん」


そんな二人の様子を物陰から盗撮する山田母がいたりいなかったり。
312ほんわか名無しさん:2013/05/08(水) 23:58:21.72 0
友ちゃんマジ山田のお嫁さん
313ほんわか名無しさん:2013/05/09(木) 00:16:23.18 O
>>311
GJ
山田母が撮った映像は披露宴で使われるんですねわかります
314ほんわか名無しさん:2013/05/10(金) 02:02:04.44 0
>>264-270の続き
4レス行きます
3151/4:2013/05/10(金) 02:03:11.52 0
・ツンデレと男が合格発表の会場で偶然出くわしたら その6

「ん?」
 画面から顔を上げ、ボクの方へと顔を向ける。相変わらずニコリともせず、何を考えて
いるか分からない表情で、ボクが傍に来るまでジッと見つめていた。
「委員長か。どうした?」
 ボクは顔を上げると、キッと別府君を睨み付けた。散々探したというのに、よりにもよっ
て最初にボクらがいた場所のすぐ近くにいるなんて思いも寄らなかっただけに、何だか酷
く無駄な事をさせられてしまった気分になる。
『どうしたじゃなくてっ!! こんなところで何をやってるの?』
 すると別府君は、手に持っていたスマートフォンをボクに示して些か不満気な顔で言った。
「ああ。これなんだけどな。大学の合格祝いにって親戚が買ってくれたんだが、イマイチ
扱いに困っててな。めんどくさがりやのお前にはちょうどいいって姉貴にも言われたんだ
が、余計な機能がいろいろついてて、逆にめんどくさくて困る」
 どうやら、スマホの扱いに四苦八苦していたらしい。ボクはドッと疲労感を覚えて頭を
垂れたが、今はそんな事している場合じゃないと気を取り直した。
『要するに、今は暇だって事でいいよね? なら……ちょっと、付き合ってくれない?』
 言い終わると同時に、有無を言わさずボクは別府君の袖を掴んで引っ張った。唐突なボ
クの行動に、さすがの別府君が驚いた声を出す。
「ちょっと待て委員長。付き合えって……一体どこに行くつもりなんだ?」
『ちょっと話があるだけ。あまり時間は取らせないつもりだからいいでしょ』
 それに対しての答えは無かった。しかし、抵抗する素振りもない事から、ボクはそれを
了承と受け取って歩みを進める。
――もう……ここまで来たら……ちゃんと言うしかないんだから……
 とにかく前に進めと、ボクはそれだけを心に念じたのだった。
3162/4:2013/05/10(金) 02:04:21.68 0
「……で? 話って何だ?」
 人気の無い校舎裏まで別府君を引っ張ってから解放する。しかし、なかなか別府君の方
を向く勇気が出ずに、ボクは背中を向けて俯いたまま黙っていた。それに、痺れを切らし
て別府君の方から質問されたのだ。
『え……えっと、その……ちょっと待ってて。今……言うから……』
 勢いだけでここまで来てしまったけれど、いざ話し始めるとなると、物凄く緊張した。
これまでも別府君には散々ドキドキさせられて来たけれど、今ほどドキドキした事はない。
胸が軋んで痛いし、怖くて膝が笑う。
――い……言わなくちゃ……ちゃんと、ボクの気持ちを…… 伝えられれば、後はもうど
うなったっていいんだから……
 友香にそう言われてから、散々迷って、選んで選んで、選びつくして何度も脳内シミュ
レーションして、言うべき言葉の順は決めてあった。ギュッと目を瞑り、左胸を右手で痛
いほどに鷲づかみにして、ボクは勇気を振り絞った。
『べ……別府君……』
 手を胸から離すと、思い切ってボクは振り向いた。
『ボ……ボク達さ。高校入ってから……何かと縁……あったよね? クラスはずーっと一
緒で、ボクが委員長で別府君が副委員長で……それだけじゃなくてさ。お弁当分けてあげ
たり……夜中に忘れ物取りに行くのに付き合って貰ったり、勉強もお互いに教え合ったり、
お正月に初詣に誘われたりした事もあったし……』
「まあそうだな。色々と世話になった事もあったし、逆にめんどくさい事に付き合わされ
たこともあったけどな」
 無愛想で淡白な物言いに、ちょっとだけボクは鼻白む。しかし、別府君のそういう性格
は最初から分かりきってる事だし、そもそも、シミュレーションの中じゃ、もっと酷い言
葉だってあったんだから、これならマシだと気を奮い立たせて、言葉を続けた。
『それもさ。その……今日で終わりになっちゃうわけだけど…… ボ、ボクとしてはその……』
「委員長ちょっと待て。話を遮って悪いけど――」
『黙って!! 今はまだ……ボクが話してる最中だからっ!!』
 ボクは右手を広げて勢いよく別府君に突き出した。今邪魔をされたら、とてもこの先の
事なんて言えなくなってしまう。だから、最後まで口を挟んで欲しくなかった。
3173/4:2013/05/10(金) 02:05:18.55 0
『えっと……その……まだ終わらせたくないって言うか、もうちょっと別府君と会ったり
出来ないかなとか思って…… だからつまりその……べ、別々の大学に行っても、連絡取っ
たり、会ったり出来ないかなって…… まあその……要するに、つ……付き合ってもら
えないかなって…… そっ……そういう事なんだけど…… べっ……別府君がイヤじゃな
かったら……だけど……』
「委員長。えっと……実は……」
 別府君が言いにくそうに何かを言い掛けたのを聞いて、ボクはドキリとした。何やら嫌
な予感が掠めて慌てて言葉を継ぎ足す。
『もうちょっと待って!! そりゃボクは美人でも何でもないし、性格だって決していい
とは言えないけど…… でも一応料理とか出来るし、えっとその……き……気心は一応知
れ合ってると思うから、彼女にしてもめんどくさい事とかそんなにないと思うんだけど……
えっと、その……どう……ですか……?』
 結局別府君に一番アピール出来るのは、めんどくさくないの一語に尽きるのが情けなく
思いつつも、そこしかなかったのだ。それでもやはり、別府君が受けてくれる自信が無く
て、声はどんどん掠れて小さくなってしまった。最後にペコリとお辞儀をして、ボクはそ
のまま固まる。すると、上から別府君の声が聞こえて来た。
「実は俺…… 委員長に一つ、言ってない事があってだな。言ったら言ったでめんどくさ
い事になるからと思って、わざわざ言うのはよそうかとも思ったんだが……」
 このタイミングで、別の話を振って来る事に、ボクは凄く嫌な予感がした。この後が聞
きたくない。けれど、ダメだとしても耐えなくちゃならないんだと、ボクは思いっきり顔
をしかめて拳を握り締め、次の言葉を待った。
「……その…… 俺。実は、穂野大の理工学部に行く事にしたから」
『え……?』
 ボクは一瞬耳を疑った。別府君が何処の大学の名前を言ったかを、もう一度反芻してみ
るが、やはり信じられず、ガバッと体を起こすと別府君に詰め寄った。
3184/4:2013/05/10(金) 02:06:57.86 0
『ちょっ、ちょっと待ってよ。今何処の大学だって言ったの? 穂野大だって聞こえたん
だけどボクの聞き間違いとかじゃないよね?』
「ああ。確かにそう言った。聞き間違いなんかじゃない」
 いとも簡単に別府君は頷いたが、ボクの方は驚きも動揺も隠す事が出来なかった。
『ホ……ホントに? 何で? 美府理科大じゃないの? 別府君、合格してたじゃない。
第一志望だったのに……何で何で?』
「まあ、第一志望といっても、上から三つくらいは学力的に見ても大学のランクからいっ
てもそんなに変わらないからな。美府理大の方が若干偏差値が高いのと通うのに便利だか
ら、とりあえず一番に置いたってくらいで……」
『でも、それだったら尚更じゃない? 穂野大って、電車で一時間近くは掛かるのに……
別府君が無理すれば自転車で行ける距離の大学を蹴ってそっちを選ぶとか信じられない』
 自分の希望も忘れてボクは納得がいかないとばかりに別府君に詰め寄った。すると別府
君がちょっと視線を逸らした。その仕草が、ちょっと決まり悪そうに見える。
「……親とか先生には、学科がより専門的なのがあるとか教授にも有名な人がいるから、
もともとどっちにしようかはずっと迷ってた、とか言ってあるけどな」
『言ってあるけどって…… じゃあ、それは本当の理由じゃないって事?』
 ボクは首を傾げた。確かにボクだって大学の比較はしたし、別府君の言う理由が分から
ないでもない。別府君の性格を省みなければ、の話だけれど。それにしても、こういう持っ
て回った言い方をする事自体が意外に思う。ボクの質問に、別府君は頷いた。
「ああ。本当の理由は……まあ、その…… 委員長と同じ大学に行こうと、そう決めてい
たから……なんだ。最初から」


続く
319ほんわか名無しさん:2013/05/10(金) 02:30:51.57 0
うおおおおGJ!!
続きはまだかああああああ
320ほんわか名無しさん:2013/05/10(金) 07:43:04.74 0
続きはよ!
GJ!
321ほんわか名無しさん:2013/05/10(金) 18:03:37.06 O
続きわくてか
322ほんわか名無しさん:2013/05/11(土) 13:52:43.63 0
>>315-318の続き5レス投下します
3231/5:2013/05/11(土) 13:53:54.80 0
・ツンデレと男が合格発表の会場で偶然出くわしたら その7

『えっ……』
 ボクは一つ、小さく驚きの声を発する。今、別府君が言った言葉が、意外過ぎて頭の中
に素直に入って行かなかった。
『ちょっと待って。今、何て言ったの? ボク……その、ちゃんと聞こえていたはずなん
だけど、よく理解出来なくて…… ゴメン。もう一度……ちゃんと言ってくれない、かな?』
 ボクのお願いに別府君が一瞬顔をしかめたような気がした。しかし、別府君は小さく吐
息をつくと、視線をボクにしっかりと向けて言った。
「だから…… 委員長と同じ大学に行きたかったから穂野大を選んだんだ」
『えっ……ええええええーーーーーっ!!!!』
 今度こそハッキリと理解出来たと同時に、ボクの中で驚きが爆ぜた。声になってみっと
もなくも絶叫してしまう。
『ウソ……ウソウソ……ッ!! ボクと……ボクと同じ大学に行きたいって……何で?
何で何で何で?』
「言うまでもない事だと思うけどな。その……委員長と一緒にいたいから…… まあ、そ
の……好きになったからな……」
 ボクの体が、好きという言葉に反応して一瞬で熱を帯びた。
――ウソ……ウソ…… 別府君が、あの別府君が……ボクの事を好きだなんて……
 これは夢なのだろうかとさえ思った。自分の願望を見ているだけなのだろうかって、そ
れくらい信じられなかった。だけど、目の前の別府君の珍しく照れたような仕草が、ボク
の疑問なんてどうでも良くしてくれる。同時に、合格発表の日から今日まで、ずっと心に
あった絶望と不安が安堵と喜びに代わる。
『バカッ!!』
 ボクは、つい叫んでしまった。別府君がその声に反応してボクの方を向く。その顔を見
つめた途端、ボクの目尻からボロッと涙が溢れて頬を伝った。
『バカ……バカバカバカッ…… 何でもっと早くから……言ってくれなかったの? そし
たら……あんな風に不安な毎日を過ごさなくて良かったのに…… 必死になって……みっ
ともなく告白なんてしなくたって……ボクは、仕方ないなって言えば……そう良かっただ
けなのに……』
 すると別府君がボクにスッと近寄って来るのが気配で分かった。そっと、優しく頭を撫
でられる。
3242/5:2013/05/11(土) 13:55:06.84 0
「悪かったな。辛い思いをさせたのなら、謝る」
 ボクは、我慢出来ずに別府君に抱きついた。大きな胸に顔を埋めて泣きじゃくる。背中
に手が回され、優しくあやされるように叩かれながら、耳元で別府君が弁解の言葉を続ける。
「まさか……委員長から告白してくれるとか思ってなかったからな。まあ、同じ大学だし、
会った時に聞かれたら言おうって思ってたから。わざわざ呼び出すとか、まあそのなんだ。
時間取らせるだけだし…… 卒業式の後時間があればって思ってたけど、委員長も早見た
ちとしゃべってたし」
 別府君の言葉が終わっても、ボクはしばらく泣き続けていた。嬉しくてこんなに泣ける
んだって、自分でもびっくりするくらいに涙が出続けた。そして、涙がようやく出切って、
気持ちが落ち着いてから、ボクは彼から体を離す。袖で涙を拭ってから、別府君を睨み付けた。
『ほんっとにもう……告白するのにボクを呼び出すのすら面倒だなんて……別府君って、
本当にどうしようもない人なんだから…… そんなんじゃ、女の子と付き合うなんて出来
ないよ。ボク以外の子だったら、きっとすぐ愛想尽かしちゃうに決まってるんだから』
「自覚はしている」
 ぶっきらぼうなその物言いに、我慢出来ずにボクは笑顔を見せてしまった。別府君とボ
クは今日から恋人同士。3年間、ずっと密かに思い続けてきたけど、今日から晴れてボクは
この人の彼女になれたんだ。全身をくすぐったいような喜びに襲われて、嬉しさを満面に
出しつつ、ボクは別府君を突付きながら注文を付けた。
『……ちゃんと、デートとか、誘ってくれるよね? ダメだよ。めんどくさいから帰りに
お茶してればいいだけとか、会えれば何処だっていいとかそんな事言ってたら』
「出掛けるのは別にいいけどな。行きたい所はちゃんと言ってくれよな。いちいち彼女の
行きたいところを推測してサプライズでデートコースを選んで、そんなしちめんどくさい
ことをした挙句に散々文句言われるなんて正直やってられないからな」
『まだ付き合い始めたばかりなのに、いきなりそれ? 本当に別府君って雰囲気作りも何
もあったものじゃないんだから』
 文句を言いつつクスクスと笑うと、別府君は不満気にプイとそっぽを向いた。
3253/5:2013/05/11(土) 13:56:11.40 0
「文句があるなら自分に言え。委員長が自分で付き合って下さいって言ったんだからな」
 自分が告白した事実を相手から告げられてまたも体が熱くなってしまうが、今度はさっ
きほどじゃなかった。むしろちょっと憤りすら覚えて、グーで軽く別府君の体を叩く。
「イテッ…… 何するんだよ全く」
『分かってるよそんな事。まあ……それくらいはしょうがないかなって思ってるしね。何
と言っても、別府君なんだから』
 もう一度ニッコリと笑顔を向けると、さすがの別府君も照れたのか、頭を掻いて視線を
宙に泳がせる。それから、気を取り直してボクの方に真っ直ぐに向くと、手を差し出した。
「まあ……何だ。その、こんな奴と付き合うのは大変かも知れないけどな。宜しく頼む」
 その手をボクは両手でしっかりと握った。深々と頭を下げる。
『……こちらこそ……めんどくさい女の子で申し訳ないけど、宜しくお願いします』
 そして、もう一度ボクは別府君に抱きついて、そのまま友香からの呼び出しが鳴るまで、
ボク達は抱き合っていたのだった。


『悠―っ!! こっちこっち!!』
『ゴメン、みんな。待たせちゃって』
 息を切らせて校門で待つ三人の所まで駆けると、ボクはその場で膝に手を付いて息を整
えた。そして、ようやく落ち着いて顔を上げると、何故か三人とも無言でボクを囲んで見
つめていた。
『え? 何? どうしたの三人とも?』
『何、じゃないわよ』
 友香がウインクしてボクを肘で小突くと、そっと顔を寄せて囁いた。
『告白してきたんでしょ? 別府君に。首尾はどうだったのよ』
 見ると、興味津々な顔つきなのは友香だけじゃなく、葉山さんと睦ちゃんもだった。二
人とも、何かを堪えるような顔つきで、ジッとボクを急かす様に見つめている。
『ちょ、ちょっと待って? 友香、もしかしてしゃべっちゃったの?』
 友香は悪戯っぽく笑うと、小さく舌を出してみせた。
326ほんわか名無しさん:2013/05/11(土) 13:56:18.43 O
仕事の昼休みにリアルタイム遭遇とか……
支援だけ残して去る
3274/5:2013/05/11(土) 13:57:17.48 0
『つい今さっきよ。だって、別れ際に悠が別府君とこれから会うんだなってのは雰囲気で
察せられたし。まあいいでしょ? この二人は私と同じ、親友なんだから』
 いつもならここで口を挟んで来る二人も、今は神妙な面持ちで頷くだけだった。この三
人には困らせられる事もいっぱいあったけど、みんながいたから楽しい学園生活も送れた
し、何よりも別府君と付き合うことが出来たんだと、今のボクには本気でそう思えた。
『ありがとう。友香』
 そして、何よりずっとボクを支えてくれて、最後まで助けてくれた友香にお礼を言って、
ボクはギュッと彼女を抱き締めた。
『ちょ、ちょっと悠? や、止めてよこんな人がいっぱいいるのに』
 珍しく戸惑う友香を無視して、ボクは小さな声で報告した。
『……いっぱい言いたい事はあるけど、とりあえず…… 上手く行ったよ』
『ホントに? おめでとう』
『おめでとう委員長!! 素晴らしいわ』
『やったーっ!! 良かったねいいんちょっ!!』
 口々にみんながお祝いしてくれる。ボクは友香から離れると、葉山さんと睦ちゃんにそ
れぞれ頭を下げる。
『ありがとうみんな。本当に、今までありがとう。それと……これからもね……』
『ええ。卒業しても、私達いつまでも友達です。大人になってもずっと、仲良くしていき
ましょう』
『こちらこそ。あたしの方こそよろしくだよ。でも、いいんちょもついに彼氏持ちかー い
いなー 友香ちん。一緒にがんばろ』
『ちょっ!? そこであたしに振る? まあ確かにまさかの悠に先越されたけどさ……
でも、あたしの時は悠に協力して貰うからね。それこそガッツリ引き立て役とかなっても
らってさ』
『いや。ボク、そういう演技とか無理だから。大丈夫。友香ならきっと大学でいい人見つ
かるって』
『気軽に言ってくれるじゃないの。自分は余裕になったからってさ。ムカツク!!』
『アハハ。友香ちゃん怒らない怒らない。あたしと二人でいい男見つけようよね』
『う〜っ…… 睦にはぜったい負けないんだからぁ〜』
 友香が睦ちゃんを睨み付けたところで、葉山さんが場をまとめに掛かった。
3285/5:2013/05/11(土) 14:03:16.55 O
『はい。それじゃあ積もる話はいっぱいあるけど、続きはカラオケ行って、ご飯食べなが
らにしましょう。委員長からも聞き出す事、たくさんありますからね』
『う……お手柔らかにお願いします……』
 怯むボクに友香がガシッと肩を組んでホールドして来た。
『ダメよ。今日は悠がもうしゃべりつくしてもしゃべりつくせないくらい話して貰うから
ね。覚悟しなさいよ』
『それじゃあ、いざ。レッツ、ゴーッ!!』
 睦ちゃんの声を合図に、ボク達は笑い合いながら校門から外へ出る。そして、そこで最
後とばかりに振り向いた。
『色々あったけど……』
『ええ。色々ありましたね』
『ホント、色々あったよねぇ』
 感慨深げに校舎を見上げる三人に合わせて、ボクも校舎を見上げた。この場所で過ごし
た三年間。思い出はどれもこれも大切なものばかりだ。
『……色々あったね、みんなっ!!』
 そして、ボク達は顔を見合わせる。最後にとばかりに深々と一礼して、叫んだ。
『『『『お世話になりましたーっ!!』』』』
 そしてボク達は、新しい人生に向かって、その第一歩を踏み出したのだった。

終わり
ボクッ娘委員長シリーズも以上です

長々と妄想に付き合ってくれた人、乙でした
329ほんわか名無しさん:2013/05/11(土) 16:09:40.15 0
乙!!
いいラストだ
330ほんわか名無しさん:2013/05/11(土) 16:47:48.12 0
>>328
GJ!!!!!!!!!
いいラストでした!
331ほんわか名無しさん:2013/05/11(土) 16:50:28.80 O
gj!!お疲れさまでした
332ほんわか名無しさん:2013/05/11(土) 22:23:01.48 0
よかよか
333ほんわか名無しさん:2013/05/11(土) 22:34:26.67 0
教師っぽい格好しただけで頭良くなった気になって軽く調子乗り始めるボクっ娘アホかわいい
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2742.jpg
334ほんわか名無しさん:2013/05/12(日) 09:18:29.03 O
>>333
ボクッ娘ドヤ顔wwwww

だがそれがいい
3351/3:2013/05/12(日) 23:26:36.97 0
【GWをもう一度味わいたいとツンデレに言ったら】

「GWと聞きましたが」
「…………」
 どういうわけか、ちなみがアホの子を見る目で俺を見る。
「……まだ若いのに、もうボケたか。なむー」
「拝むな」
「……GWはとっくの昔に終わった。残念でした。……分かったら成仏しろ」
「まだ死んでない」
「……むぅ」(不満げ)
「なんでやねん。それはそうと、俺は冷凍保存されていたので連休を過ごした記憶がないので、その旨を担任教師の年齢詐称してる小学生に言ったら、特例で改めて連休をもらえないだろうか」
「…………」
 珍しくちなみが目を見開いてる。可愛い。
「……時々、タカシは全力でとんでもない嘘をぶちこんでくるから侮れない」
「いや、大谷先生が小学生というのは周知の事実だと思ったが」
 廊下の方から可愛らしいくしゃみが聞こえてきた気がしたが、気のせいだ。
「……それじゃなくて、冷凍保存の方」
「ああ。最近の冷凍食品はすごいね。チャーハンなんて店のと比べても遜色ないレヴェルだよね。チャハハーン」
「……そんな話はしていない」
「なんの話だっけ。サメ?」
「……タカシはすぐにサメの話をしたがる。……正直まるで興味がないくせに、どうしてサメの話をしたがるのか」
「そんなのはどうでもいい。兎に角、俺はもう一度連休を味わいたいんだ」
「……もう、一度?」
 ちなみの眉が跳ね上がる。なんという失言を。
「それにしても今日もちなみは可愛いなァ。ちゅーしていい?」
「……もう一度、味わいたいと、言った?」
 俺の必死の抵抗を完全に無視し、ちなみはジロリと俺を睨み上げた。
3362/3:2013/05/12(日) 23:27:18.97 0
「ああ、もう一度ちなみの唇の感触を味わいたいと言った」
「……そういう気持ち悪い妄言は、また後にしろ」
「はい」
 本当に嫌そうな顔をされたので、素直にうなずく。
「……もう一度味わいたい。つまり、一度連休を経験した。……それ即ち、冷凍保存が嘘であったなによりの証左……っ!」
「そりゃそうだろ、ばーか」
 探偵が謎の解明編の時とかにする、ズビシと指を突きつけるアレをされたので、馬鹿にする。
「…………」
 ちなみがびっくりした。目を見開いて口もポカーンと開いてる。可愛い。
「…………」
 ややあって、ちなみは頬を膨らませて不満を分かりやすく表した。可愛い。
「小学生か」ナデナデ
「……背と胸で頻繁に間違われるが、タカシと同級生だ。なでるな、馬鹿」
「いや、今回に関してはそのほっぺぷくーの抗議に関して言ってるのだが」
「…………」(ほっぺぷくー)
「うぅむ。可愛い」ナデナデ
「……怒っているのだけど」ムスー
「騙されたことを?」
「……騙されてなんてない。最初から冷凍されないのは知ってた。なのに、まるで私が信じてたみたいにされたのが非常に不満だ。乗ってあげただけなのに」ムスー
「それは、ほら、俺の方が上手だったということで決着してくださいよ」ナデナデ
「……タカシ如きが私より上手など、片腹大激痛。……あと、なでるな、馬鹿」
「ちっちゃい子をなでるのが途方もなく好きなので諦めてください」
「……ちっちゃくない。他の子が異常に発育がいいだけだ。私は平均的だ」
「無理が過ぎる」
「……道理など、犬にでも食わせてしまえ」
「つるぺたの方が俺に大人気ですよ? ナタデココくらい大人気」
「…………」
 非常に微妙な顔をされた。
3373/3:2013/05/12(日) 23:27:52.95 0
「ナタ・デ・ココ・ブッタ・ギル。オレサマ・オマエ・マルカジリ!」
「……うるさい」
「カタカナを並べると、どうしてもマルカジリが出てきますよね」
「……いいから黙って滅べ、馬鹿野郎」
「ぎあああ」ナデナデ
「……馬鹿にされた。タカシ如きに馬鹿にされるなど、屈辱の極みだ」
「後学のために聞いておきたいのだけど、ちなみの中で俺の評価ってどのくらいのレベルなんですかね」
「……うーん。……頑張れ鉛筆、負けるな包丁研ぎ器。……の、間くらい?」
「なるほど、わからん」
「……どうでもいいレベル」
「なんと悲しい事実なのか」
「……というか」
「?」
「……連休中、ずっと一緒に遊んでたのに、どうして冷凍保存されていた、などと明らかな嘘をついたのか、理解に苦しむのだけど」
「ちなみと益体もない話をするのが、とても好きなんだ」
「…………」
「?」
「……わ、私はお断りだ。……そ、その。……ば、ばーか」
 ほんのり頬を染めてそんなことを言ってくるので、頭をなでました!
「この馬鹿呼ばわりは大変心地よいですね!」ナデナデ
「……う、うるさい。……あんまりなでるな、ばか。……う、うぅー」
 小さく口を尖らせ、困った顔で俺をチラチラ見てくるので、興奮しました!
「……うぅ。今日もタカシは変態だ」
 しかし、俺の鼻息の荒さから興奮を読み取り、ウンザリした顔をされたので、今回の勝負は引き分けと言っていいだろう。
338ほんわか名無しさん:2013/05/13(月) 00:37:33.51 0
>>337
ちなみんは相変わらずかわいいなあ!!
GJ!!
339ほんわか名無しさん:2013/05/13(月) 08:22:02.43 0
珍しくちなみんがタカシのペースに飲まれてるwww
だが不満そうな所がまた可愛いな
3401/7:2013/05/13(月) 21:08:26.00 0
・クラスが3年間同じになったツンデレと男

「よう。おはよ」
 バス停のベンチに座る彼女に挨拶をする。しかし彼女は、彼を見るなりげんなりとした
顔でため息をついた。
『あーあ…… 最っ……低っ……』
「何だよ。朝からボヤいて。何かヤな事でもあったのか?」
 彼女の様子を窺いながら隣に座ると、彼女は不機嫌そうな顔で彼を横目でチラリと見た
だけで、一つ大きくため息をついた。
『だーって、今日からまたアンタの顔見て過ごさなくちゃいけないのよ。この間の抜けた
ダサい顔をさ。これがボヤかずにいられますか』
 彼女の不機嫌さの理由が分かって、彼は彼女から視線を逸らす。うーん、と伸びをして
ベンチの背もたれに体を預けた。
「仕方ねーだろそんなの。決まっちまってるんだから。いい加減諦めろっての」
 そう諭す彼に、彼女はグイッと彼の方に身を乗り出して納得行かないとばかりに主張し始めた。
『だって3年間ずっとよ。ずっと。ううん。中学の時からだと6年……いや。小学校の時
もだから、もっとじゃない。これだけ毎朝毎晩アンタの顔見てれば飽きもするっての』
 不満気な彼女の愚痴に、彼は興味ない風を装ってワザと携帯をポケットから出して指で
画面を触る。特に何かをしたい訳ではないが、彼女の愚痴に付き合わないというアピールだ。
「そりゃまあ、誰だって同じだろ。つか、俺だって毎日おんなじ顔突き合わせるんだぜ。
立場は一緒何だからな」
 彼の気の無い返事に、彼女は更に苛立ちを募らせて詰め寄って来た。
『何よ。あたしの顔見て飽きるとか言うわけ? それって女の子に向かって失礼極まりな
い言葉よ。大体、毎朝こうやって一緒に学校行ってあげてるだけでも有り難いと思いなさいよ』
 すると彼は、チラリと彼女に視線を向けると、意味有り気な笑みを浮かべて首を傾げてみせる。
3412/7:2013/05/13(月) 21:09:30.78 0
「あれ? 通学時間がおんなじだから一緒に来てるように見えるだけで、一緒の電車に乗っ
てるからっていっても、約束も何もしてないんじゃなかったっけ? 前にクラスの女子
にからかわれた時に、確かそうやって説明してたよな?」
 彼の指摘に、彼女は一瞬言葉を詰まらせる。その嫌味な顔を憎たらしく思いつつ、プイッ
と顔を背けて言い訳をした。
『あ……あれは、ああいう風に言い訳しとかないと付き合ってることにされちゃうから……
それに約束してないのはホントでしょ? 何分のバスに乗るか、お互い分かってる訳だし。
知り合いと同じ空間にいておしゃべりしないって、耐えられないのよあたしは』
 ムキになる彼女を片手で制しつつ、彼はワザとらしく肩を竦めてみせる。
「ま、このやり取りも今更だけどな。つか、もう諦めろ。これが現実だ」
 その言葉に、彼女は諦めのため息をついた。さっきの彼と同じように、両手を上げて体
を伸ばすと、ベンチの背もたれに上半身を預けて待合所の天井を見上げた。
『あーあ…… どうせならタカシなんかじゃなくて、もっとカッコ良い男子が良かったな〜
そうすれば、毎日同じ顔見ても見飽きることなんてなかったのに』
 その愚痴自体、聞き飽きた事だよと内心ツッコミを入れつつ、彼は横目で彼女をジロリ
と見つめて不満気に口を尖らせた。
「贅沢言うなよな。そんな事言ってたら、俺だってかなみみたいに愚痴ばっかじゃなくて、
毎朝顔を会わせる度に笑顔で挨拶してくれる子の方が良かったよって言うぞ」
 すると彼女の顔が見る間に怒りで歪む。パッと勢いよくベンチから立ち上がると、両手
を腰に当てて体を前のめりにし、彼の顔のすぐ傍まで顔を近付けて息巻いた
『何よ。あたしじゃ不満だって言う訳? わざわざ時間合わせて一緒に行ってあげてるの
に、文句言うんだったらどーぞ。お一人で寂しく学校行けばいいじゃない。あたしは別に
アンタなんかいなくたって全然構わないんだからね』
 彼女の怒りに、彼は両手で思わずガードしつつ言い返す。
3423/7:2013/05/13(月) 21:10:46.52 0
「ほら。自分が言われるとすぐそうやって怒るじゃん。お前が文句ばっか言うなら俺だっ
て話だよ。まあ、上を望めばキリがないってこと。それに俺がいなくなったからって、急
にイケメンが現れる訳でもないだろ?」
 彼の正論に、彼女は口を尖らせたものの反論は出来なかった。仕方なく体を引っ込める
と、バッグを手に取り諦めたようにそっぽを向く。
『分かってるわよそんな事。ちょっと愚痴りたくなっただけよ。さすがにこんだけ腐れ縁
が続くとちょっとね……』
 ちょうどその時、バスがやって来ると二人の前でエンジン音を響かせて止まる。彼も立
ち上がってバッグを担ぐと、彼女の後に続いて乗り込んだ。
「腐れ縁っつーかなんつーか、高1んときのクラスが一緒だった段階で決まってたような
もんだろ? むしろ今更文句もクソもあったもんじゃないだろ」
 バスに乗り込み、運転手に定期を見せる。先に進む彼女が振り返りつつ怒鳴った。
『だから分かってるっての!! それでも愚痴りたいもんは愚痴りたいの。うんざり感は
今になって実感出来るもんなんだから』
 一番後ろの、いつもの席にバッグを置くとドスンと勢いよく座る。彼もその横に座って
バッグを置くと、ふくれっ面の横顔を見つめつつ、宥めるように言った。
「別に分かり切ってる事なんだから、最初から気持ちの整理付けとけっての。ウチの学校っ
て、進学クラス一つしかないんだから」
 エンジン音を響かせ、バスがゆっくりと発車する。車窓から流れる見慣れた田園風景を
見るとも無しに見つつ、彼女は毒づいた。
『あーあ、もう!! これだから嫌なのよ。田舎の学校って。学年でふたクラスしかないっ
て、人数少な過ぎ』
「で、3年になったら就職組と受験組でひとクラスずつだからな。だから、ま、最初から決
まってた運命に愚痴言ったってしょうがないってことだ」
 軽く片手の手の平を上に向けて万歳するように肩をすくめる彼に、彼女が恨めしげな視
線を送った。
3434/7:2013/05/13(月) 21:12:00.42 0
『アンタが進路変更して、就職か専門学校にすれば良かったのよ。そうすればクラス別々
になったのに』
「そーいうの、人に押し付けんなよな。そんなに変えたかったら、自分がそっちにすりゃ
良かったのに」
 無茶な彼女の言い分にさすがに我慢ならずに彼も言い返すと、彼女はブンブンと首を激
しく振って拒絶する。
『嫌よ。あたしはちゃんと大学行きたいの。こんな田舎の高校で学年生活終わりにするん
じゃなくって、せめて街で素敵なキャンパスライフ送りたいもん』
 彼女の勝手な言い分に、彼は呆れた気分でもう一度肩をすくめる。それから、何となく
日頃思っている事を口に出したくなって、嫌がられることは承知であったが、つい聞いてみた。
「でもさ。こんだけ一緒にいるって事はさ。俺達って間違いなく何らかの縁で結ばれてる
って、そう思わないか? 小学校中学校はともかく、高校まで一緒ってなかなかないだろ。
だって、クラスまでずっと一緒って俺達だけなんだしさ」
 彼の言葉に、彼女は咄嗟に体を引くと、おぞましいものでも見たかのように顔を歪めて、
腕で体をガードするようにかざした。
『うわっ!? キモッ。何勝手に運命的なものにしようとしてんのよ。そんなこと有り得
る訳ないでしょ。アンタってば以外と乙女チックなところあんのね。知らなかったわ』
「何言ってんだよ。さっきかなみだって腐れ縁っつってたじゃん。いい悪いはともかく、
お前だって信じてるんじゃないのかよ」
 言質を取られて、彼女は思わず言い返す言葉を失い逡巡する。同時に、縁と言われて勝
手に恋人同士みたいな物しか想像していなかった事をたまらなく恥ずかしく感じてしまっていた。
『あ、あれはその……例えって言うか表現の一つって言うか……、ほ、本当にそんな縁が
あるなんて思って言った訳じゃないもん』
 たどたどしく言い訳する彼女に、彼は更に追及するように聞いた。
「じゃあ聞くけどさ。お前、こないだの進路志望、何て書いた?」
『な……何で急にそんな事答えなくちゃいけないのよ。アンタなんかに教える義務、ない
と思うけど』
 何か嫌な予感がして、彼女は思わず拒絶する。しかし彼は、あっさりと反論してみせた。
3445/7:2013/05/13(月) 21:13:20.60 O
「逆にいえば隠す必要だってないだろ? 今更そんな、この程度の事で秘密にしとくよう
な間柄でもないじゃん」
 言われてみれば確かにその通りの事に、彼女はまたしても上手い切り返しが出来なかっ
た。渋々の体で、しかしせめてもの抵抗をしてみせる。
『うー…… じゃ、じゃあ人に聞く前にアンタから教えなさいよ。それが道理ってもんでしょ』
 彼女からの提案に、彼は即答で返した。
「俺? 俺は穂能産業大学。国際文化学部な。で、かなみは?」
『…………』
 言葉に詰まる彼女に、彼はつい、ニヤニヤしてしまいそうな気持ちをグッと我慢し、さ
り気ない風で彼女に答えを迫る。
「どうしたよ? 俺が答えたら教えてくれるんだろ?」
 しかし、彼女にしてみればニヤけていようが済ましていようが大して変わらなかった。
というか、明らかに劣勢に立たされている自分が腹立たしくて、それを八つ当たりの形で
彼にぶつける。
『その言い方、何かすっごくイヤらしくてムカつく。分かってるわよ。答えればいいんで
しょ。答えればっ!!』
「俺からすりゃ、何でそんなやけっぱちな態度なのか、そっちの方がわかんないけどな。
自分の志望校言うだけじゃん」
 首を傾げる彼に、彼女は顔を背けると、ボソボソと小さな声で答えを呟く。
『だ、だって……それは…………アンタと、同じだから……』
 恥ずかしさを耐えて答えたのに、彼は手に耳を当てる仕草をしてみせた。
「最後、何て言った? よく聞こえなかったんだけど」
『ああ、もうっ!! だから、アンタと同じって言ったの!! 穂能産業大学の国際情報
学部よ!! これで満足?』
 ブチ切れて大声を出した彼女に、彼はとうとう我慢出来ずに笑みを浮かべてしまう。
「ほら。やっぱり一緒だったじゃん。これで何の縁もないなんて言えるのかよ」
 ちょっと得意気な彼に腹が立って、彼女は無理矢理抵抗してみせる。
3456/7:2013/05/13(月) 21:14:10.23 0
『い……言えるわよっ!! ア……アンタがあたしの志望大学に合わせたんじゃないの?
何か知ってるぽかったし……わざと聞いたんでしょ?』
 しかし、彼はまさかとばかり手を振って退けた。
「ないない。つか、どうやったら分かるんだよ? 人の進路なんて見れる訳ないだろ。た
だ、まあ予感はあったけどな」
『何よ。その予感って?』
 彼の言葉に彼女が小首を傾げる。すると彼は、さも当然といった様子で答えた。
「だって、お前と俺、大体成績一緒じゃん。それでここから通える範囲内でって言ったら
穂能産大くらいかなーって。で、第二志望が美府女子ってとこじゃね?」
『当てるなぁっ!! ううううう……これだから一緒にいるのはイヤなのよっ!! 隠そ
うと思ってる事まで大概は見透かされちゃうんだから……』
 頭を抱える彼女に、彼も苦笑して頷く。
「まあ、お互いにな。お陰で俺も苦労してるし」
『アンタの苦労なんて、どーせエッチな物の隠し場所とかでしょ。イヤらしい。乙女の悩
みと一緒にすんなっての』
 いかにもな非難に、彼は困惑した表情を浮かべる。内心、それを否定出来る男子高校生
が世の中にいるとは思えないなと愚痴る。
「いやまあ、否定はしないけどさ。でもそれだけじゃねーし。まあ、色々あんだよ」
『ちょっとは否定しなさいよっ!! 全くもう…… まあいいけどね。アンタのキモそう
な秘密とか、考えて見る気にもなれないし』
 あっさりと同意する彼につい激昂してから、彼女は頭を掻きつつ矛を収める。これ以上
追求して、また自分に返って来たりしたらたまったものじゃないからだ。しかし、次の彼
の言葉が、また彼女の逆鱗に触れてしまう。
「まあ、俺もさすがに何だって分かるって訳じゃないけどな。ただ、かなみの機嫌見てれ
ば生理の周期くらいは分かりそうだけど」
『だからそういう事当てないでよね!! どんだけ乙女に失礼なのよアンタは!! あー
もうっ!! こんなのと大学一緒だったりしたら最低。かといって、コイツの為に志望校
変えるとかしたくないし』
 不満も露わな彼女に、さすがにちょっと言い過ぎたと感じて彼は気休めの言葉を掛ける。
3467/7:2013/05/13(月) 21:16:26.76 0
「まあ、学部が一緒って言ったって、さすがに同じクラスとかないだろ。高校までとは人
数違い過ぎるし。それに、授業だって単位性だし、顔合わせる事はあっても今までみたい
な四十六時中って事はまずないって。サークル活動とかすれば、もっと会う時間は減るだろうし」
『そんなの分かんないじゃない。何かホントに、このまんまだと大学生になっても、何だ
かんだでタカシと一緒になりそうで怖いわ』
 ガクッとうな垂れてみせる彼女を見つめて、彼はつい、彼女の気持ちを試してみたくなっ
て、自分の気持ちを吐露してしまった。
「そっか。まあ……俺は一緒なら一緒でも……全然構わないっつーか……それはそれで嬉
しいけどな……」
『ふぇっ!?』
 彼女がガバッと顔を上げて彼を見つめた。その顔が見る間に朱に染まっていく。
『ちょっ……ちょちょちょ、ちょっとその……何よ? いいい、今アンタその……なんて
言ったの?』
 彼女のその表情に、彼もまた恥ずかしくなってしまって繰り返す事が出来なくなってしまった。
「い……いやその、何でもねーよ。つかその、忘れろって」
 しかし無論、彼女がそんな事で収まるはずも無く、彼にくっ付かんばかりに顔を近付け
て追求してきた。
『何でもない訳ないでしょっ!! も、もう一回言いなさいよねっ!! ちゃ、ちゃんと
あたしの目を見て。ほら、ほら!!』
「わわわっ!! お、落ち着けってバカ!! ほら。他のお客さん乗って来てるから!!
誤解されるだろうがっ!!」
『うるさいっ!! こここ、このままじゃ済まさないんだからねっ!! ちゃ、ちゃんと
もう一度ハッキリ言ってもらわなきゃ許さないんだから!!』
 しかし、時が経てば経つほど恥ずかしさは増すばかりで、結局彼は駅に着くまで彼女の
執拗な追及にも係わらず、言う事は出来なかったのだった。


終わり
時期外れになってしまったわ
347ほんわか名無しさん:2013/05/14(火) 02:08:52.04 0
この子、式の最中でもツンツンしそう
348ほんわか名無しさん:2013/05/14(火) 19:37:52.09 0
ちなたそ〜
 ツンデレカフェ……と呼ばれている喫茶店がある。
 一時期、メイドカフェ等のアキバ系文化の中でそのような店が現れたことがあったが、今回については違う。
 そもそも、『ツンデレカフェ』という名称は、店が積極的に掲げているものではない。正式な店名は全く別物で、いわば『あだ名』
に近い呼び名なのだが、常連や近隣住民の間では『ツンデレカフェ』で通っており、その名称が本来の店名を置き去りにしてそのまま
口コミで広がってしまった、というのが実情のようだ。
 どんな店なのか。
 雑居ビルの1階を間借りしており、従業員は男性の店長と女性店員の2名のみ。カフェとしてはかなり手狭である。どうやら元々は
コーヒーの輸入代行業をしていたらしいが、それらのコーヒーを味見してもらうためにカフェという体裁を取り始めたのが、店の起こ
りらしい。そのため、店内にはコーヒー豆の販売コーナーも併設されている。
 印象としてはシンプルな落ち着いた内装である。BGMの類は無い。
女性「いらっしゃいませ」
 ドアを開けると、そんな声がかかる。当然だが、例のあだ名を知っているといささか拍子抜けする感じだ。
 しかし、にこりとした自然な笑顔の女性店員が出迎えてくれるのは悪い気はしない。二十代前半だろうか、若く、そして美人だ。シ
ンプルなエプロン姿が、よく似合っている。
 カウンターの奥には、店長がこれまたエプロン姿で笑顔を見せた。こちらも若い。
 カード型の小さいメニューには、オリジナルブレンドやエスプレッソ、カフェ・ラテ、カプチーノといったもの他に、軽食も載って
いた。 とりあえず、ブレンドとサンドイッチを注文する。
女性「はい、ブレンドとサンドイッチですね。ありがとうございます……ほら」
 女性店員が注文を書き付けた伝票を、店長にそっけなく渡す。
 待っている間、話をしてみることにした。
筆者「二人はご夫婦ですか?」
女性(以下奥方)「えぇ、残念ながら」
店長「残念ってこたぁないだろ?」
奥方「あんたは黙ってなさい。しゃべると衛生上よくないんだから」
店長「へいへい」
 奥様は妙に夫に素っ気ない。しかし、店長もさるもの、飄々とかわす。
筆者「小さいお店ですね……あぁ、いや、他意はないですけど」
奥方「大丈夫ですよー、その通りなんで。本当、こいつが行き当たりばったりなもんで。大した資金もない癖に借金まみれで店出して」
店長「一応返済計画は組んでるんだけど……」
奥方「そんな当たり前のことで偉そうにしないの。あぁ、ほら。しゃべってると指切るわよ?」
店長「大丈夫だよ」
奥方「まぁ、ネットでコーヒーの通販なんかもしてるんで、それでどうにかしのいでる感じですねー」
 店長への厳しい言葉の間世間話の間にも、奥方の気遣いが確かに見えた。なるほど、ツンデレカフェ……か。
筆者「この豆は、ご主人が個人で仕入れているんですか?」
奥方「変なところが凝り性なんですよ」
店長「いや、カフェの店長なんだからコーヒーには凝るだろ」
奥方「メチャクチャ試飲させられて、死ぬかと思ったわよ」
店長「お前だって結構ノリノリだったろ」
奥方「き、記憶にないわね」
店長「新婚旅行がハワイだったから、ハワイで飲んだコナコーヒーは絶対に入れるんだーとか」
奥方「い、言ってない! そんなこと言ってないわよ!(赤面)」
筆者「ははは、顔が真っ赤ですよ」
奥方「やだ、お客さんもからかわないで下さいよ!」
店長「はい、ブレンドとサンドイッチ、おまちどうさま」
 出てきたブレンドは、確かにコナの酸味が強い味わいだったが、その奥にまろやかな舌に馴染む風味が隠れていた。サンドイッチも、
タマゴやレタスハムのシンプルなものだが、やや甘めの味付けがコーヒーの苦みによく合う。異なる味わいのコントラストは、まさに
ツンデレのようである。
筆者「仲がよろしいんですね」
奥方「そ、そんなことないですよ!」
筆者「本当に?」
店長「こいつがね、学生の頃から、コーヒーを淹れるのだけは上手いって褒めるんです。だからてっきり、『毎日n死ぬまでコーヒー
  を飲ませてくれ』みたいな話だと思って」
奥方「余計なこと言うな!」
筆者「否定はしないんですね」
奥方「……(赤面)」
 笑顔の絶えない店だ。よく笑う店長に引きずられて、ついつい奥さんをからかいたくなってしまう。
奥方「ありがとうございました!」
 はきはきした笑顔と挨拶に見送られて店を出る。それこそ南国でコーヒーを育む、カラッとした日差しのような笑顔が眩しい。

 ――ちなみに後日、早朝に店の前を通りかかったのだが、ドアのガラス越しに夫婦の姿を見えた。
 奥さんは店長の膝の上に座り、ほっこりと湯気を立てるコーヒーを、幸せそうに味わっていた。あの笑顔の源は、きっとこんな触れ
あいなのかもしれない。


〜文責 山田友子〜     (記事引用ここまで)


――後日――――――――――――――――――――――――――――――――――

『ちょ、ちょっと友子!! なによこの記事! なにがツンデレカフェよ!』
『いい宣伝になったでしょ? あー、あと別にツンデレカフェってあたしが名づけたんじゃないから。ご近所では有名よ?』
『うそっ!?』
『いちゃつくのはいいけど、外から見えないところにしなさいよね』
『〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!』
『赤面(笑)』
『タカシイイィィィィ!!』
『ちょ、俺ェ!? あれは毎朝かなみの方からd痛い! やめてください死んでしまいます』

終り
352ほんわか名無しさん:2013/05/14(火) 21:56:56.89 O
>>346
>>351
ほっこりした。GJ!!
353ほんわか名無しさん:2013/05/14(火) 22:51:39.78 0
>>351GJ!
354ほんわか名無しさん:2013/05/14(火) 23:48:12.93 0
>>351
友子GJ!!www
355ほんわか名無しさん:2013/05/15(水) 08:20:25.25 0
なにげに友ちゃんも山田の嫁になってるしwww
356ほんわか名無しさん:2013/05/15(水) 12:08:51.93 O
>>355
だがちょっと待って欲しい。むしろ、山田が友ちゃんの嫁になっているとも考えられないか?
357ほんわか名無しさん:2013/05/15(水) 21:56:41.00 O
友ちゃんがイケイケの記者で山田が主夫か……
3581/5:2013/05/16(木) 03:11:22.67 0
・風邪を引くと極度の心配性に陥ってしまうツンデレ

「全く…… 何だって俺がお見舞いに行く役なんて押し付けられんだよ……」
 ぶつくさと呟きつつ、別府タカシは折り畳んだコピー用紙を広げる。そこには、パソコ
ンで検索した地図が道順付きで印刷されていた。
「確か……この辺だよな……ファミール穂野って…… ああ、あった。あそこか」
 ほんの数メートル先の二階建てアパートの壁についている看板の名称を確認して、タカ
シは入り口まで急ぎ足で近寄った。
「ここの202号室か…… やっぱ、いきなり尋ねるよりも電話しといた方がいいよな。具
合悪いトコ申し訳ないけど、絶対怒られるし……」
 独り言を呟きつつ、携帯電話の住所録から一人の女性の名前を選択して発信ボタンを押
す。すると、機械的な女性の声が、携帯電話から聞こえてきた。
『ただいま、この電話は電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため掛かりません』
「ハァーッ…… やっぱ、寝てんのかな……? でも、一応呼び鈴は鳴らしとくか。行っ
たけど出なかったって既成事実は作っとかないと、クラスの連中うるさいからな。特に女子が」
 首を傾げつつも、タカシは今風のオシャレなアパートの階段をゆっくりと上っていく。
その間も、彼の愚痴は止まなかった。
「全く……自分達でお見舞いに行った方がよっぽど委員長も喜ぶだろうに。副委員長何だ
からクラスの代表としてお見舞いに行くのは当然だみたいな事言いやがって。つか、普通
一人暮らしの女子の部屋に男を派遣するか? 何考えてんだよ全く。俺だって朴念仁じゃ
ねーっての」
 そうこうしているうちに、202号室と書かれた部屋の前に着いた。
「それじゃあ……仕方ない。押すか。いっそ寝てるとかで出ませんように」
 玄関脇のチャイムを、彼はそっと押した。ピンポーン、という電子音と共に、インター
フォンが繋がる。
3592/5:2013/05/16(木) 03:12:20.63 0
「えーと、クラスメイトの別府ですけど。クラスの代表として、お見舞いに来たんですけど」
 クラスでは正副委員長の間柄なので、ほぼ毎日何かしらの関わりを持っているにも係わ
らず、タカシは敬語で部屋の中に向かってこう告げた。少し待ってからもう一度押す。
「あのー。別府ですけど」
 今度は短く、もう一度繰り返してからしばらく待った。
「あと30秒待ったら帰るか。明日の朝、もう一度寄って見舞いの品だけ渡せればそれはそ
れでオッケーだろうしな」
 しかし、残り5秒まで来たところで、中で人の動く音がした。予感が働き、咄嗟にドア
の前から後ずさると、ドアが勢いよく開き、パジャマにカーディガンを羽織った若い女性
が姿を現した。口にはしっかりとマスクをしている。
『……別府君……何で貴方がウチに来るのよ……』
 僅かな驚きを見せた後、その若い女性の視線が鋭くタカシを射抜く。その疑わしげな様子に、彼は慌てて首を振ると弁解を始めた。
「な、何でってか…… だからお見舞い。クラスの代表で」
 お見舞い品のいっぱい入った手提げ袋を顔の高さまで上げて、タカシは気まずそうに答えた。
『だから何で貴方がクラスの代表なのよ。普通、こういう時って女子の友達とかが来るも
のじゃないの?』
 さらに厳しくジロジロと睨み付けられたが、タカシは敢えておどけた調子でワザと肩を
竦めてみせた。
「副委員長なんだから、俺が行くのが当然だってむしろ女子から言われたんだけど。先生
も全然反対しないし。まあ、くれぐれも寝込みは襲うなって注意されたけどな」
『そんなの当たり前よっ!! ゴホゴホゴホッ!! ゴホッ!! ゴホッ!! エーッ!!』
 興奮して怒鳴ったせいで、彼女の喉が刺激され、彼女は激しく咳き込んだ、それを見て
彼は慌てたように様子を窺う。
「だ……大丈夫か? 寝てた方が良くないか?」
『貴方が来なければ寝ていたわよ。こんな寒い日に外に引っ張り出して、凍死したらどう
するのよ。責任取れるの?』
3603/5:2013/05/16(木) 03:13:49.66 0
「いや。凍死って…… ちょっと大げさだろ。風邪が悪化するとかなら分かるけどさ」
 反論するタカシを、彼女はいかにも不満と言った顔で睨み付けた。
『そんなの分からないじゃない。体が弱っているんだもの。外の冷たい空気に一気に汗が
冷えて体温が急激に下がる事だって有り得るわ』
 ムキになって彼女は自分の主張を繰り返すが、タカシはその顔をジッと見つめて退けた。
「いや。むしろ熱上がってるんじゃないか? 顔、真っ赤だぞ」
 その指摘に、彼女はギリッと歯噛みした。言い負かされた事が悔しくてしょうがないと
いう顔をすると、パッと身を翻しつつ、背後にいる彼に、命令口調で告げる。
『どのみち体に悪い事には違いないでしょ。とにかく入りなさいよ。これ以上玄関先で立
ち話をして、風邪をこじらせて死んだりしても別府君は何も責任取ってくれないでしょうし』
「そこまで大げさな事でもないと思うんだけどな……」
 あまりにも極端な彼女の言葉につい呆れた物言いをすると、返って来たのは風邪引きの
物とは思えない怒鳴り声だった。
『いいから入りなさいって言ってるでしょうっ!! ゴホゴホゴホッ!! エーッホッ!!
エホエホッ!! アーッ!! 入らないなら私を見捨てて帰るなり何なりすればいいんだわ』
「わ、分かったよ。それじゃあ、失礼して……上がらせて貰うからな」
 いつもと同じように尊大ながら、いつもとどこか違う彼女に戸惑いながら、彼は靴を脱
いで、クラス委員長である水上静花の部屋へと、玄関から廊下に足を踏み入れたのだった。


「お邪魔しまーす」
 戸惑いつつ、ついキョロキョロと回りを見回しながら、タカシは静花の後に続いて廊下
を歩く。突き当たりのドアまでほんの数メートル。左手に洗面所と風呂の入り口が見え、
右手にキッチンがある。ワンルームの、しかも女性の住む部屋になんて入った事のない彼には、つい興味の視線を向けてしまう。すると素早く彼女が注意してきた。
『あまりジロジロ見ないでよ。最近掃除してないんだから』
3614/5:2013/05/16(木) 03:14:43.43 0
「ゴメン。いや、綺麗にしてるなって思ったからさ」
 正直な感想をタカシは言ったつもりだったが、静花はそれを聞いて不満気に鼻を鳴らす。
『いいから入って…… まさか人が来るなんて思ってなかったから、片付けてないけど』
 ドアを開け、彼女はワンルームのリビング兼寝室へと彼を招き入れた。
「へえ…… 綺麗じゃん。それに、内装も明るい感じで女の子っぽいし」
『当たり前でしょ。私だって女の子なんだから。それとも、普段女子っぽくないっていう
皮肉かしら?』
「ああ、いやいや。そんな事ないよ。委員長らしく淡いパステルブルーな感じでさ。爽や
かでいいじゃん」
 褒め言葉を皮肉と取られ、タカシは必死で弁解した。それから顔を背けると、音がしな
いように気を付けつつ舌打ちする。
――やっぱり女子が来れば良かったじゃんかよ…… お見舞いに来て不機嫌にさせてたん
じゃ、逆効果だろうが。
 内心愚痴っていると、静花は部屋の入って左に据えられているシングルベッドに座って彼に断わりを入れてきた。
『悪いけど、横にならせて貰うわ。お見舞いに来た人を接待して風邪をこじらせたんじゃ、
本末転倒だもの』
「ああ、どうぞ。むしろそうして貰わないとこっちも気が咎めるし」
 それを聞き、静花はゆったりとした動作でベッドに上がり、体を横たえると掛け布団を
引いて体に掛ける。体を横向きにして、タカシの方に顔を向けた。それを見届けてから、タカシは持って来た手提げ袋に手を入れて、荷物を出し始める。
「えーと、まずこれがお見舞いのゼリー。買って来たのは俺だけど、お金はクラスのみん
なで出し合ったし、物は女子にこれ買えって言われた奴だから」
『ゴホッ…… ゴホゴホッ…… いちいち弁解はいらないわよ。お見舞いの品にケチなん
て付けないから……』
 咳き込む静花を心配そうに見つめつつ、タカシは次に預かっていた封筒を取り出した。
「あと、ゴメン。これ、クラスの女子からお見舞いの手紙だって。早く良くなって学校来
てねって、みんな言ってたぞ」
 差し出された手紙を、布団から手を伸ばして受け取りつつ、静花は首を傾げるような仕
草をした。
3625/5:2013/05/16(木) 03:16:08.65 0
『何だって手紙なんか…… メールくれれば、それで済む事なのに』
「さあ。女子って形や見映えにこだわるからさ。手紙に自筆で書いた方が想いが込められ
ていいとかじゃないの? それを言ったら、未だに寄せ書きとかあるじゃん。あんな感じでさ」
 首を傾げるタカシに、釈然としない気分で静花も頷く。
『まあ……確かに……』
 一通しかないという事は、多分友達何人かの手紙が同封されているのだろうと彼女は推
測した。可愛らしいシールで封をされた手紙を開封すると、女子らしく丸っこい文字に、
デコレーションされた便箋が目に飛び込んでくる。静花は無言で文字に目を走らせた。
【委員長、具合どう? 少しでも元気出るようにって別府君派遣しといたから。でも、風
邪にかこつけて甘えたりしちゃダメよー】
【委員長。別府君が来たからって無理しちゃダメだからね。まずは風邪治す事が第一なん
だから。でも、これで少しは進展するよね】
【感謝しなさいよ、あたしらの心遣いに。二人っきりで過ごせる時間作ってあげたんだか
らね。でも、だからっていちゃいちゃするのはほどほどにね。彼に風邪移しちゃダメよ。
あ、それとも看病したいか。私のせいで別府君に風邪が移ったんだからーって】
【委員長。ちゃんとゴム持ってる? 高校生なんだから、妊娠はまだ早いよ】
【大丈夫。別府君は絶対委員長に気があるから。弱った顔で上目遣いで、傍にいて……お
願いって言えば、イチコロだからね】
 手紙を読み進めるにつれて、静花の体が小刻みに震え始め、それが徐々に大きくなって
いく。それに気付き、タカシが心配そうに声を掛けた。
「おいおい、どうしたんだよ委員長。もしかして寒気でも感じているのか? 熱が上がっ
たんだったら、無理せず寝た方がいいぞ」
『み……みんな何考えてるのよっ!! あのおバカたちっ!!』
 手紙を引きちぎらんばかりに握り締め、激昂して静花が叫んだ。


中途半端な所だが続く
363ほんわか名無しさん:2013/05/17(金) 18:10:56.70 0
はよ続き
364ほんわか名無しさん:2013/05/18(土) 00:35:15.91 0
いいんちょの可愛さは言葉では言い尽くせない
365ほんわか名無しさん:2013/05/18(土) 07:14:40.34 0
お題

・私生活をお世話するメイドツンデレ

・仕事面をサポートする秘書ツンデレ

・お互いに顔を合わせた事は無いが、男の話によく出てくるため、ヤキモキするツンデレ達

・しばらくして海外での長期の仕事をする事になった男

・ホテルに泊まるから付いてこなくてもいいと言っても、なんだかんだ付いて来たメイドツンデレ

・俺の居ない間、会社を頼むと言ったが、なんだかんだ付いて来た秘書ツンデレ

・初対面で直ぐに(コイツは敵だ!)と感じるツンデレ達

・牽制しあうツンデレ達に、(仲良さそうだなぁ)と思う呑気な男

・相手を出し抜こうと頑張るツンデレ達だが全く気付かない男

・次第に男にイライラするツンデレ達は意気投合しだしました

・親友と書いてライバルと読む関係になったツンデレ達

・しかしそこに第3のツンデレ、取引相手の女社長ツンデレ登場しました

・数日後、仲良く愚痴を言い合う三人組の姿が!
366ほんわか名無しさん:2013/05/18(土) 07:28:23.69 O
最終的にタカシは山田と引っ付くんですね分かります
367ほんわか名無しさん:2013/05/18(土) 11:59:14.81 0
お題

・くしゃみをする度に、『本気で殺そうとしているのではないかと思うくらいのツン』と
『いつもニコニコして、あらあらうふふと男を溺愛しているデレ』が入れ替わるツンデレ姉

・天気が快晴に近いほど情熱的にデレて、天気が悪いほど男に対して冷徹なツンになるツンデレ姉

・満月に近くなるほど、まるで忠犬のようにすり寄ってデレデレして、
新月に近くなるほど、まるで狼のように首を狙うほどツンツンするツンデレ妹

・お湯をかぶると、お兄ちゃん大好きな超絶ブラコンになり、水をかぶると兄の存在を否定するくらい無視するようになるツンデレ妹

・4人のデレ期が重なると貞操の危機が迫り、ツン期が重なると生命の危機が迫る男
368ほんわか名無しさん:2013/05/18(土) 12:35:57.43 0
高橋留美子系だな



つか、4人目の妹と混浴の温泉に入りたい
369ほんわか名無しさん:2013/05/18(土) 13:21:07.14 O
いろいろ混ざってて一概にるーみっく系ともいえないような
370ほんわか名無しさん:2013/05/18(土) 20:05:52.58 0
最初のはランチさんっぽいしなw
371ほんわか名無しさん:2013/05/18(土) 20:43:42.69 0
GWのお祭りシーズンに貼ろうとして描いたんだけどすっかり忘れてた

お祭りなりん
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2743.jpg
372ほんわか名無しさん:2013/05/18(土) 21:01:05.37 O
褌祭りやあぁぁぁぁぁ!!!!!!!


……ふぅ、GJ
373ほんわか名無しさん:2013/05/19(日) 10:47:21.87 0
>>371
これは鼻血出るわwww


>>362の続き行きます
374ほんわか名無しさん:2013/05/19(日) 10:48:51.93 0
・風邪を引くと極度の心配性に陥ってしまうツンデレ その2

 鬼のような形相の静かに、タカシは思わず後ずさりながら質問する。
「ど、どうしたんだよ委員長。その……何か、怒るような事でも書いてあったのか?」
 しかしそれが、余計に彼女の怒りに油を注いでしまったことにタカシが気付いた時はも
う遅かった。その矛先があっという間に彼の方へと向けられてしまう。しかし、興奮し過
ぎていた静花は、勢いよくしゃべり出したせいか同時に喉に違和感を覚え、咳き込んでしまった。
『そんな事貴方に言える訳な――ゴホッゴホッゴホッ!! ゴホゴホゴホッ!! ゲホッ!!
ゴホッ!! …………エホエホエホエーッ!!』
 激しく咳き込む静花の様子に、タカシは慌てて様子を窺う。
「ちょっ…… 大丈夫かよ? み、水持って来ようか?」
 タカシの申し出に、静花はコクコクと頷いてドアの方を指差した。
『冷蔵庫に……ポカリあるから……それ……ゲホッ!! ゲホッ!!』
 タカシは急いで立ち上がると、ドアの傍の食器棚からグラスを取り出し、部屋の外へ出
る。キッチンの脇にある冷蔵庫を開けると、ペットボトルに入ったスポーツドリンクがあっ
たので、少し中身の減ったそれを冷蔵庫から出し、グラスに注いで戻すとタカシは彼女の
もとに戻った。
「はい。これ」
 静花はまだ辛そうにゴホゴホと咳き込み続けていたが、体を起こしてグラスを手に取る
と、そっと口をつけ、コクコクと飲み続ける。グラスが空になって初めて静花はそれを彼
に差し出した。
『本気で窒息して死ぬかと思ったわ。もし私が死んだら別府君。あなたにも責任があるん
だからね』
 物凄い顔で睨み付けられたが、タカシにはその理由が納得行かず、首を傾げた。
「は? 何で俺に責任があるんだよ。俺はその手紙の内容も知らないし、全く係わってな
いんだぞ。まさか持って来たからってだけで恨まれたらたまんないんだけど。まあ、そも
そも死ぬなんて大げさだけどな」
3752/5:2013/05/19(日) 10:50:06.35 0
 ついムキになって言い返してしまってから、相手が病人だと思い返してタカシは下手く
そながらも慰めの言葉を最後に付け加えた。しかし静花は、それに何の反応を見せること
なく、苦々しい顔をしていた。自分がつい、余計な事を言ってしまったと後悔する。
――失敗したわ。まさか手紙の内容が別府君だらけだからなんて言える訳ないのに……
 しかし、静花は素早く頭を廻らし、適当に自分の発言を正当化する言葉を引き出した。
『運び屋にもそれ相応の責任はあるの。世の中には運んだだけで責任を問われるような物
がたくさんあるんだから、中身を知らなかったからとか言い訳にはならないのよ。ヴェッ……!!』
 普段と同じように厳しい口調で言い負かそうとしたが、喉のいがらっぽさを感じ、変な
むせ方をしてしまう。静花は急いでグラスを口に当てたが、既に中身が空なのを思い出し、
タカシに向かってグラスを差し出し、身振りでおかわりを要求した。
「わ、分かった。ちょっと待ってろよな」
 意図を即座に察し、タカシはグラスを受け取ると、スポーツドリンクをグラス一杯に注
ぎ、すぐに戻って来た。グラスを受け取るのももどかしげに静花は口を付けると、ゴクゴ
クと飲み干す。
『フゥ…… 全く、生きた心地がしないわよ。もししゃべり過ぎで喉を痛めて声に障害が
出たりしたら、別府君のせいなんだからね』
「また俺のせいかよ。喉が痛いなら無理して話す必要もないじゃん」
 タカシが不満を言うと、静花はジロリと彼を睨み付けた。
『貴方が言い返したくなるような事を言うからでしょ。ゴホッゴホッ…… 人に我慢を強
いる前に、相手が病人だって意識しなさいよ』
 喉が痛くても、ついつい言い返してしまう自分の性分に、静花は内心で苦々しく思った。
しかし、病人という言葉にさすがにタカシも申し訳なさそうな顔を見せる。
「悪い。まあその……俺が悪いとか悪くないとか言うのはともかく、言い方はマズかった
よな。もうちょっと言葉を選ぶべきだったよ」
『分かればいいのよ。分かれば……エホッ!! コホッ!!』
 頷いた拍子に、また咳き込んでしまう。それをタカシは心配そうに様子を窺って声を掛けた。
「あのさ。もう一杯、汲んで来ようか?」
3763/5:2013/05/19(日) 10:56:21.54 0
 その申し出に静花は小さく首を振る。もう一杯ドリンクが飲みたかったが、今ここで飲
み干してしまうと、後から買いに出なくてはならなくなるので、彼女はグッと我慢した。
『いらないわ。飲み過ぎると、おトイレに行く回数も増えちゃうし。それよりのど飴
取ってくれる? その方が長持ちするし喉にもいいから…… あとこれ、片付けて』
 グラスを差し出され、彼は受け取ると流しに置きに行こうとして振り返った。
「あのさ。これ、洗った方がいいかな? 委員長、起きて洗うの大変だろ?」
 ふと、彼女を気遣って聞いてみる。すると、少し間を置いて返事があった。
『やってくれるならありがたいけど…… 洗う前に口を付けて間接キスとかやらない
でね…… 気持ち悪いから』
「しっ……しねーよそんな事!! つか、逆によくそこまで頭が回るよな。具合悪いくせに」
 指摘された事で却って意識してしまい、ついタカシはムキになって言い返してしまう。
すると静花は布団を頭まで被ってから、言い返してきた。
『し……知らないわよっ!! ゴホッゴホ……ッ!! 別府君ってば変態っぽいから……
やりそうだなってつい思っちゃっただけで……それだけなんだから……』
 言い訳しつつ、布団の中で彼女は恥ずかしくて体をギュッと縮み込ませた。この時ばか
りはと、自分の想像力を呪ってしまう。
――またやっちゃった…… もう。逆に別府君に意識させちゃうなんて……これじゃあ、
私の方が変態的な妄想しちゃってるみたいじゃない……
 明らかに体調不良とは違う体の熱っぽさを感じて、静花は掛け布団に隙間を開ける。し
かし、あまり冷たい空気は入って来ず、腕を上げていた事で無駄に体力を消耗してしまっ
ただけだった。静花は諦めて熱に体を委ねる事にした。
――バカだわ、私…… それとも、本当に心のどこかで望んでいたのかも……
 その思いを否定すべく、静花は断固として首を振った。するとその時、キッチンの方か
ら水を流す音がした。彼がグラスを濯いでいるのだ。
――何だろう……? この音聞いていると、不思議と安心するわ……? たかが別府君が
洗い物をしているだけなのに……
 一人暮らしをし始めてから、初めて風邪を引いたせいで弱気になっているからだろう
か? そんな風に自問自答してみるが、答えは出なかった。
3774/5:2013/05/19(日) 10:57:30.62 0
「終わったよ。あと、のど飴だっけ?」
 タカシが部屋に戻ってくる。静花は彼に背を向けたまま、声だけ掛けた。
『ええ。さっきの食器棚と同じ棚に引き出しのついたの、あるでしょ? そこ、お菓子箱だから』
 指示のままにタカシは食器棚の下の段にある深めの引き出しを開けた。
「えーと……マシュマロに黒糖……ドライフルーツにカシューナッツにふがしって、委員
長ってちょっと変わった好みしてんな」
 目に付いたものがタカシにとっては珍しく、つい感想を口に出してしまうとすぐさま静
花から叱責が飛んできた。
『ひ……人の棚の中をジロジロと見ないでよっ!! ――っ!! ゴホッ……ゴホゴホゴ
ホゴホッ!! ガ……ハッ!! ハア……ハア…… 目的の物だけ取って、さっさとしまっ
てよね。バカ』
「わ、分かったよ。一応言っとくけど、別にバカにして言ってる訳じゃないからな」
 中にあった柑橘系のど飴の袋から個包装されたのど飴を一つ取り出し、静花に差し出す。
「はい、のど飴」
 しかし静花は手を出そうとはせず、体を彼に向けるとジッと上目遣いに視線を送って来た。
『……悪いけど、開けてくれる? その飴、ギザギザの性能が悪くって開けづらいのよ。
体がこんな調子じゃ、もどかしくて……』
「え? ま、まあいいけど……」
 まるでおねだりされるような言われ方に思わずドキリとしつつ、戸惑いながらもタカシ
は頷いた。
――委員長からこんな事まで頼まれるなんて珍しいよな。普段は何でも自分でこなすし、
人に指示を出す時だってもっとテキパキしてるのに…… やっぱ風邪で弱ってるからなの
かな……?
 内心疑問に思いつつ、タカシは袋の端っこを両手の指で持ち、縦に破ろうとした。しか
し、ビニールが伸びるだけで袋はなかなか破れてくれなかった。
3785/5:2013/05/19(日) 10:59:11.10 O
「なるほど。確かに開けづらいかも」
 言い訳めいた口調で言うタカシに、静花は苛立たしげな顔で頷いた。
『でしょう? 味は美味しいから買うんだけど、それだけはどうにも我慢ならないのよ。
一度メーカーに苦情入れようかと思うくらい』
 ぶつくさと文句を言う静花は普段どおりで、それにちょっと苦笑しつつ、彼はギザギザ
の深い所を選んでもう一度縦に開けようとする。今度は、ビニールの透明な薄い膜を後に
引きつつ、破る事が出来た。
「はい、委員長。飴」
 しかし今度も静花は手を出さなかった。
「委員長?」
 もう一度繰り返され、静花はハッと視線を上げた。それから慌てて手を差し出す。
『ああ……ごめんなさい。ちょっと別の事考えていたから。ありがとう』
 その彼女の戸惑い振りに、タカシはふと、都合のいい想像をしてしまう。
――まさか……俺にアーンって食べさせて欲しいなんて思ってた、何てことは……ないよな?
 口の中で飴を転がしながら、静花は聞こえないように小さく息を吐いた。心臓の鼓動が、
普段より大きいのも風邪のせいではないのは明らかだ。
――まさか……ほんの一瞬だけど……別府君に食べさせてもらえたらなんて想像しちゃう
なんて……彼に知られたら自殺ものだわ本当に……
 想いがシンクロしていることなど無論気付くはずもなかったが、お互いに何故か空気が
微妙になった事は感じ取っていた。タカシは何か話題でもないものかと考えてみるが、こ
ういう時に限って何も思いつかない。静花はといえば、布団に半分以上顔を潜らせつつ、
視線だけを宙に彷徨わせていた。この空気に、ついにタカシは堪え切れなくなって立ち上がる。
「えっと……それじゃあ俺、そろそろ帰るわ。目的も果たしたしさ。あんまり長居して委
員長の風邪をこじらせたりでもしたら申し訳ないし」
『ま、待って』


続く
379ほんわか名無しさん:2013/05/19(日) 22:32:15.40 0
やっと出来た。8レスほどいただく。
 薄暗い室内に色とりどりのレーザービームが踊り、大音量のBGMが流れる。山田と友子に誘われたので、俺と柊ちなみはカラオケに来ていた。
 俺自身はカラオケが趣味なので二つ返事であったが、何故かちなみの方がしきりにしぶっていた。
 だがその理由も、友子が無理矢理ちなみにマイクを握らせれば明らかになった。
『ふらいんぐげっとー↓ ぼくはーひとあしさきーにー↓』
 ……音痴だった。
 どうやら音程があっちこっちにズレるのではなく、ひたすら平板になってしまうらしい。
『……もう、いい』
 一番のサビまで歌うと、演奏停止ボタンを押すちなみさん。誘いの張本人である山田と友子も、なんとも申し訳なさげだ。
 続いて俺の入れた曲が流れ始める。ちなみさんには悪いが、雰囲気を盛り上げるためにマジで行かせてもらおう。
 ――。
『……悔しい』
 店の前で二人と別れ、帰路を行く途中につぶやくちなみさん。
 あの後ちなみさんは歌うことはなかったので、他の三人で回す形になったのだが……。
「何が」
『君の歌が、予想外に上手かった……。悔しい』
 と、言うことらしい。俺自身ヒトカラに行くくらいにはカラオケが好きだったりする。
「ああ〜、なんつーか、その……」
『慰めはいい。……惨めになる』
 普段ならば、ここで罵声の一つでも飛んでくるはずなのだが、今日はそれもないくらいに落ち込んでいる。
 なんとかしてやりたい。
「なぁ。一緒に歌の練習でもしてみるか?」
 俺はダメ元で、そうちなみさんに聞いてみた。
『…………』
 こちらをじろりと睨めつけるちなみさん。色々と逡巡があるようだ。そこでもうひと押しする。
「んで、もう一度一緒に来ようぜ。今度はお前の歌を聞かせて欲しいな、俺は」
 彼女の方を見ないように、押し付けがましくないように。本音ではあるが、流石に面と向かっては恥ずかしい。
『ふん……。……そこまで言うなら、乗ってやる』
 ちなみさんの方も、同じくそっぽを向いての台詞。俺と同じく、少し顔が赤かった。
「んじゃま、とりあえず明日からだな」
『……ん。よろしく』
 ……どうやら、明日からは忙しくなりそうだ。
 ――そして次の日の放課後。
 三々五々にクラスメイトが教室を後にしていく。そんな中。
「さて、行くぞちなみ」
 そう言った俺はカバンを肩に背負い上げて席を立つ。隣の席のちなみさんは帰り支度の手を止め、
『どこに……?』
 と聞き返してきた。昨日の約束をもう忘れてしまったのだろうか?
「言ったろ? 練習だよ、練習」
『あ……。う、うん……ちょっと、待って』
 そう答えた彼女は、手早く帰り支度を済ませる。それを見届けた俺は、彼女を連れて教室を出る。
『で……どうするの?』
 後ろからちなみさんが訪ねてきた。俺は振り向くこともせずに返答する。
「音楽室を借りよう。ピアノもあるしな。まずは職員室だ」
 ――。
「音楽室の鍵? いいけど、どうして?」
 こう言ったのは音楽の副担当、椎水佳奈美先生。デスクに向かった体を、椅子ごとこちらに向けての言葉だ。
 練習のために音楽室を使うには、鍵を借りなければならない。普段は施錠されているからだ。
「ああ〜っと、俺からより、お前が話したほうがいいか?」
 促した俺に、ちなみさんが答える。
『……ん。分かった。私が、こいつにたぶらかされて……』
「ちょっと! どういうこと!?」
 めちゃくちゃな事を言うちなみさん。俺は慌てて訂正する。
「いやいやいや! 勘違いですって! だから、その……言うぞ? ちなみ」
『……恥ずかしいけど、仕方ない』
 不承不承という体のちなさみん。だがこのままでは変な勘違いをされたままになってしまう。
 俺は「貴方達、一体何を考えてるの!?」と発火寸前な椎水先生をなだめつつ、理由を話す事になった。
 ――。
「なるほどねぇ。あの椎水さんにも、苦手なことってあるのね」
 なるべく”音痴”という単語と使わないように説明したが、なんとか理解していただけたようだ。
「ええ。そんな訳なんで音楽室を使わせて貰いたいんですが……」
「それはいいけど、貴方楽器の演奏とかできるの? 使うんでしょ? ピアノ」
「あ……」
『う……』
 盲点だった。自慢じゃないが、俺は全く楽器に触れない。ちなみさんの方もどうやら似たようなものらしい。
「はぁ……。仕方ないわね。先生も手伝ってあげる」
「まじっすか!」
 天から予想外の助けが降りて、思わず声を上げてしまう俺。
「貴方と違って、普段から優秀な柊さんが困ってるんですもの。手を貸してあげたいと思うのが教師ってものでしょ?」
 何やら毒を含んだ物言いではあるが、頼らざるを得ないのが現状だ。
『よろしくお願いします』
「お願いします」
 礼を言うちなみさんの後を追うように、俺も頭を下げる。
「よしよし。じゃ、行きましょうか」
 満足そうに頷いた先生が腰を上げ、ドアへと向かう。それを追いかけるように、音楽室に向かって俺達は歩き出した。
 ――。
「さてと。じゃあ始めましょうか」
 ピアノの前に座った椎水先生。ちなみさんはその隣に立っている。俺はといえば、少し離れた生徒用の席についていた。
「先生がピアノを鳴らすから、柊さんはそれと同じ音程で声を出してね。アーでいいから」
『は、はい……』
 ちなみさんはガチガチに緊張してしまっているようだ。こんな彼女を見るのは初めてで、俺としては中々に興味深い。
「そんなに緊張しないで、リラックスして。声が出なくなっちゃう。……行くよ、低いドから」
 ボーン……と低音が鳴らされる。続いてちなみさんの「アー……」という少し上ずった声。
「もうちょっと低く。はい」
 再びボーン……とドの音が響き、「アー……」と声がする。今度は大丈夫なようだ。
「そうそう、バッチリ! 今のが低いドの音、覚えてね」
『低い、ド……』
「そ。もちろん一度でとは行かないと思うから、何度も練習して行きましょう」
 何かを掴んだようなちなみさんと、満足そうな先生。まさに、打てば響くと言うやつだ。
 ――。
 と言った感じで、低いドから高いドまで、発声の確認をした二人。
「これなら大丈夫そうね。ただ単に慣れの問題だと思うから、しっかり練習すればすぐ上達するわよ」
 椎水先生の方からもこうお墨付きを貰い、ちなみさんの顔も満足気に見える。
「いやー良かった良かった。な? ちなみ」
 上機嫌で話しかける俺に、しかしちなみさんは『君、何かした……?』と冷たい言葉を返す。
「俺が持ちかけなかったら、こうして先生にレクチャーしてもらうこともなかったんだから。ほら、俺のお陰」
『むぅ……。相変わらず、屁理屈が上手い。詭弁屋め』
「お前こそ、もっと素直になったらどうなんだよ」
 いつもの通りのやり取りをする俺達を見て、先生がクスクスと笑うのが聞こえた。
「ふふっ。貴方達、やっぱりすごく仲がいいのね」
『そ、そんな事ないです。こんな奴と仲良くなんて……』
 にこにこと微笑みながらいう先生に、ちなみさんは不満そうに返した。
「ま、そういう事にしときましょう。貴方も、楽器は弾けなくても音階くらいは分かるわよね?」
 話を変えた先生が俺に尋ねてきた。まぁ、ドレミファ〜と声に出すくらいは出来る。そう言うと、
「オッケー。じゃあそれでいいから、今日みたいに手伝ってあげて。先生もいつもいつもこんな風に出来るわけじゃないから」
 と返し、忙しいながらも俺たちのために時間を割いてくれたのがよく分かった。
「分かりました。……だとさ、ちなみ。ちゃんと俺の言うことを聞くんだぞ?」
『……あまり図に乗るな。全くもう……』
「は〜ぁ、青春ねぇ〜」
 俺の台詞に嘆息するちなみさん。そんな俺たちを見て、半ば呆れ気味につぶやく椎水先生だった。
 ――。
 そうして、ちなみさんの音痴を矯正する毎日が続いた。
 彼女自身運動以外の大抵の事で飲み込みがよく、その才能は今回も遺憾なく発揮された。
 二週間もすればしっかり音程が取れるようになり、一ヶ月で友子よりも歌が上手になってしまっていた。
「一体どんな魔法を使ったのよ……!!」
 とは、ちなみさんの現在の歌声を聞いた友子の言であり、俺自身彼女の上達速度には困惑気味だ。
384ほんわか名無しさん:2013/05/19(日) 22:55:41.72 0
期待
385ほんわか名無しさん:2013/05/19(日) 23:13:41.21 0
いけるかな
3865/8:2013/05/19(日) 23:15:30.74 0
 まぁそんな訳で、学校中で「放課後誰も居ないはずの音楽室から、天使のような歌声が聞こえる」という噂話が囁かれても、さもありなんという感じであった。
「一体何者なんだお前は」
『ふふん……。我ながら、自分の才能が怖い……。ふふふ』
 例のごとく放課後の音楽室。もはや椎水先生の手を借りる事もなく、今は俺達二人だけだ。
「もう練習の必要もないんじゃないか?」
 そう言う俺に、しかしちなみさんは『まだまだ……』と上昇志向だ。とそこに。
「ちょっと、大変よ二人共!!」
 ガラガラ!! と乱暴にドアが開かれ、大声とともに現れたのは他でもない椎水先生だった。
「どうしたんですか先生。そんなに慌てて」
「それがね、柊さんの歌を来週の全校集会で披露して欲しいって校長が!」
『……へ?』
「……は?」
 一息に言い切った先生に、俺達は呆けた返事しか返せなかった。
「噂話よ噂話! あれが校長の耳にも入ってて! それで私に話が来てそれで……!」
 なるほどそういうことか。管理者としては、秘密にする訳にも行かず、と言うところだろう。
「どどどど、どうする!? 柊さん、貴方そういうの苦手だと思うけど……」
 慌てつつもちなみさんを気遣う先生。だがとうのちなみさんはと言えば、
『……やる』
 と眉毛もキリリ、力強い返事だった。
「そ、そう……。大丈夫なの? 今ならまだ止められるわよ?」
 なおも心配する先生の声にも、『大丈夫です……。やれます』と考えを変えない。
「おい、マジか? 全校生徒の前だぞ?」
『何度も言わせるな……。やると言ったら、やる。……そんな凄みを持った、私だよ』
 もう何を言っても無駄だろう。何故かメレブの様な台詞を吐き、彼女は発声練習を再開した。
「分かったわ。じゃあ先生、校長に言っとくからね。悪いけどこれからは部活の顧問で忙しいから、手伝えないけど……」
 確か先生は吹奏楽の顧問だったはずだ。今の時期忙しいだろうに、隙を見ては手助けしてくれていた訳だ。
 部活の方はコンクールが近いこともあり、基本的に体育館か校庭を使っているんだったか。
『大丈夫です……。これまで、ありがとうございました』
 今までこれほど自身に満ちたちなみさんは見たことがない。だからこそ。
「きっと上手くいきますって。安心して下さい先生」
3876/8:2013/05/19(日) 23:21:25.23 0
 それからの一週間はまさに瞬く間に過ぎていった。
 もっとしっかり音程が取れるようにと、彼女にバケツをかぶせてぶん殴られたりもしたが、それもご愛嬌。
 万難を排して全校集会の時を迎えたのだった。
 ――。
「ではここで、二年生の柊ちなみさんに、皆さんの前で歌声を披露して頂きます」
 椎水先生の声が、マイクを通して体育館に響くと、ステージ上手からちなみさんが現れ、中央でこちらを向く。
 周りではざわざわと囁く声が聞こえ、曰く「柊って、あの声の小さい奴だろ?」だの、「知らないのか? 噂の歌声、あいつらしいぞ」だの。
 なんだか、俺の方までドキドキしてくる。
「ねぇ。あの子本当に大丈夫なの……?」
 と、心配そうに俺へ話しかけてくるのは友子だ。屈みこんで、列から抜け出たのを隠している。
「友ちゃんの言うとおりだよ……。っていうか、なんでこんな事に?」
 こちらは山田の声。俺の真後ろからだ。
 事の発端はこいつらがカラオケに誘ったせいだから、説明しておいても良かろう。
 カラオケ店を出てからのこと、音楽室を借りていたこと、あっという間の上達、噂話……。
「……信じらんないわ」
 友子の無理からぬ感想。それに返答しようと思った瞬間、ちなみさんの歌声が体育館を震わせた。
 ラララ……と歌詞のない歌、どこまでも透き通った歌声だ。聞いたこともない曲だが、不思議と耳に馴染み胸に響く。
 いい曲だな、と山田と友子に言いかけた俺は、周りの雰囲気がおかしいことに気づいた。
 辺りの生徒が、ポロポロと涙を溢している。
 確かに上手ではあるが、そこまでだろうか……?
「おい、あれ……!」
 山田が指差す方を見れば、同じクラスの渡辺さんが両膝をついて涎を垂らしながらトリップしていた。
 さらによく見れば、先程まで涙目だった奴らが、皆両手を合わせて滂沱の涙を流している。
「ちょ、ちょっと何よこれ! どうなってんの!?」
 友子が声を上げるも、静止する教師がいない。なぜなら彼らも歌声に聴き入っており、忘我の境地にあったからだ。
 見れば隣のクラスの不良共が、親指をしゃぶりながら丸まって眠っていた。
 ラララ……ラララ……、となおも響き渡る歌声。声の主は、両目を瞑って歌い続けている。
3887/8:2013/05/19(日) 23:24:36.27 0
 ついに渡辺さんが失禁してしまった。今度おかずにしよう。
「なんでこんな事に……」
「柊さん、変な気ぐるみ着てとんでもない事してるって聞いたけど、それじゃないのか……?」
 俺のつぶやきに応える山田。確かにたまに超人的な事をしでかしていたが、まさかそんな……。
「あの子止めてきなさいよ!」
 これ以上聞くのはヤバイと踏んだか、友子が両耳を塞ぎながら叫ぶ。
「お、俺がやんのか……?」
 戸惑う俺に、友子は続ける。
「あの状態であの子がアンタ以外の声聞く訳ないんだから、アンタがやるしかないでしょ!」
「う……」
 ステージ上、一心不乱に歌い続けるちなみさん。集中するためか、緊張しないようにか、その目は閉じられたままだ。
 だからこそこの阿鼻叫喚の中、彼女は止めること無く歌い続けているのだろうか。
 感受性が高いのか一際強い反応を見せていた渡辺さんは、白目を向きながら口から泡を吹き、アヘ顔Wピースをしていた。
「くっ……!」
 これ以上はいけない。俺は周りを押しのけステージへと駆け寄っていった。
 ――。
 誰も彼もが歌声に酔いしれ、俺はすんなりとステージに上ることが出来た。
 だが、ちなみさんに近づけない。歌声が物理的な壁になっているのか、ある距離から足が前に出ない……。
「ちなみ! ちなみぃっ!」
 大声で叫ぶ俺。だがちなみさんは応えない。
「もういいんだ! もうやめろ!!」
 もう一度叫ぶ。その時、ちなみさんの声がした。いや、それは正しくない。
 正確に言うなら、歌声からちなみさんの心が伝わってきたというべきか。
 ――止めないで。……もっと上手くならなきゃ。君に負けないように……。置いていかれないようにしなきゃ……。
 ……馬鹿野郎。
「馬鹿野郎! 逆だろうが! お前が俺を置いていっちまってどうするんだよ!」
3898/8:2013/05/19(日) 23:26:16.43 0
 ――私が……? 君を……?
「そうだよ! 見てみろ! お前どこまで行っちまうつもりだよ!」
 ピタリと歌声が止む。
 ちなみさんがゆっくりと目を開き、ステージから体育館を見渡し、そして……かくりと気を失い、力なく崩折れる。
 俺は彼女が床にぶつかるギリギリの所で、その体を支えた。
「ふぅ……。何とか止めることは出来たか……」
 俺はちなみさんの顔を覗き込み、ほっと一息をつく。ステージ下の惨状は、俺にはどうにも出来ないが……。
――。
 結局その後は、何も問題がなかった。
 何故なら当事者のちなみさんを含め、全ての人間から事件の記憶が消えていたからだ。
 例外が俺と山田、友子の三人だ。普段から彼女と親しかったため、耐性があったのかも知れない。
 そして有難いことに、彼女の歌声からもあの謎の力は消えていた。
 今では普通に、カラオケを楽しむことができている。
 一体あれは何だったのだろう。少なくとも、ちなみさんの俺への思いが引き金となった事だけは確かだ。
『カラオケ、行くよ……?』
 自分の歌が上達した、という実感は残っており、度々誘ってくれるちなみさん。
 彼女の鈴の音のような美しい声を聞くという、当初の望みは叶った。
 しかし毎回俺に奢らせるのはどうかなぁ、とも思う。
 でも、幸せ。
 

 音痴なみん 終わり

 ついでに言うと、山田が渡辺さんの一部始終を動画で撮っており、素敵なおかずが増えたのも幸せ。




なんつーか、色々グダって申し訳ない。お恥ずかしい限り。
390ほんわか名無しさん:2013/05/20(月) 00:27:16.46 0
ただでさえ天使なちなみんが、歌まで天使になってしまったらもう・・・
391ほんわか名無しさん:2013/05/20(月) 06:28:45.82 O
ネウロのアヤ・エイジア思い出したwwww
GJ!!
392ほんわか名無しさん:2013/05/20(月) 15:11:35.05 0
お題
つ・ツンデレが手術することになったら
393ほんわか名無しさん:2013/05/20(月) 17:55:31.42 O
ちなみんがついに豊胸手術を……
394ほんわか名無しさん:2013/05/21(火) 02:42:54.37 0
>>378の続きです

6レス投下行きます
3951/6:2013/05/21(火) 02:45:19.33 0
・風邪を引くと極度の心配性に陥ってしまうツンデレ その3

 咄嗟に静花は、僅かに体を起こしてタカシを制止した。また一人ぼっちになってしまう
事に、急に不安が襲ってきてしまったのだ。彼女の制止に、バッグを持とうと屈みかけた
まま動きを止めて、タカシは静花に問い掛けた。
「えーっと……何?」
 戸惑いがちな顔をするタカシに、どう答えればいいか静花は困惑してしまった。寂しい
からなどとは口に出来る訳もないが、かといって変に曖昧な答えだと、すぐにまた言い訳
を付け足さなくてはならなくなってしまう。ここは正直に、しかし強気に押し通そうと静
花は決めた。
『……別府君って、冷たいのね。熱と咳で弱り切ってる病人を放置してそのまま帰るだな
んて。もしこのまま私が死んだりしたらどうするつもり?』
「いや。死んだらって…… ちょっとそれは大げさすぎやしないか?」
 余りにも飛躍し過ぎだと、タカシは笑顔で否定する。しかし静花は不満気に首を横に振った。
『何言ってるのよ。風邪は万病の元なのよ。もしかしたら肺炎とか併発しているかも知れ
ないじゃない。それに……具合が悪いとまともにお料理も出来ないもの。栄養失調とかで
死ぬかも知れないし、気管支炎だって呼吸困難になることあるかも知れないじゃない。或
いは急に熱が上がったりして、脱水症状を起こすかも知れないでしょ? 貴方はそれを見
捨てて家に帰ってぬくぬくと過ごすつもりなのね。信じられないわ』
 帰って欲しくないという思いが一心に出て、思いつく限りの不安を並べ立てる。そのま
まジーッとタカシに視線を向けていると、やがてタカシは小さくため息をついて体を起こ
し、バッグを置くともう一度床に座った。
「わ、分かったよ。まあ、帰って何する訳でもないし、委員長がいて欲しいって言うなら、
まあ出来る限りはお邪魔してることにするよ。ずっとって訳には行かないけどさ」
 その答えに、静花は安堵して吐息をつくと、体をベッドに沈め、寝返りを打って彼に背
を向けた。自分の態度が思い返されて、急に体が熱くなり心臓の動悸が激しくなってきたからだ。
3962/6:2013/05/21(火) 02:47:55.78 0
――わ……私、あんなにムキになって引き止めたりして……どうしよう恥ずかしい……
まさか勘違い……ううん。バレたとは思わないけど……でも、別府君が帰るってなったら
我慢出来ないくらい不安になっちゃって…… でも、あんなに必死にならなくたって……
 無言のまま、時が過ぎる。腰を下ろしたはいいものの、タカシはどうしたらいいか分か
らなかった。
――女の子の部屋で……いくら風邪のお見舞いっていったって、こうして二人きりでいる
のって、息苦しいんだよな…… ましてや、委員長パジャマだし……
 落ち着かない気分で、携帯でも見ようかと考えてポケットに手を伸ばし、タカシは手を
止める。病人が苦しんでいる前で遊んでいるというのも、どうにも気が引けたからだ。何
とか空気を変えようと、タカシは思いついた事を片っ端から提案してみる。
「あのさ。テレビでも付ける?」
『…………いい。いらないわ』
「じゃあ……音楽とか。委員長のラジカセって、ipodとか再生出来る? だったら、俺の
を繋いで、何か流そうか?」
『それもいいわ。今はあんまりうるさくしたくないの』
 静かなのが落ち着かないので、何か他に音が欲しくてタカシは提案したのだが、静花に
にべもなく却下されてしまう。時折静花の咳き込む音がする以外は、外から聞こえる僅か
な音しかせず、部屋は静かだった。ふと視線を時計に向けると、時間は五時半に近くなっ
ている。そろそろ日が暮れる時間だ。
「……あのさ。何か、して欲しい事ないか? その……何もしてないと手持ち無沙汰でさ。
落ち着かないんだけど」
 ついに居たたまれない気分で彼は本音を口に出した。それに反応して彼女が体を彼の方
に向ける。
『……何かって…… 逆に聞くけど、別府君は何が出来るの?』
 逆に問われ、彼は少し考えた。思いつく限りの事を言ってみる。
「いやまあ……飯、作るとか、暖かい飲み物でも淹れるとか……」
『別府君、料理なんて作れるの? カップラーメンとかじゃないでしょうね?』
 正直、タカシのイメージとかけ離れた提案に、静花はちょっと驚いて聞き返した。その
反応に、タカシはちょっと得意な気分になってしまう。
3973/6:2013/05/21(火) 02:50:13.11 0
「いや。まあ、魚料理とか手間の掛かるのはやらないけどさ。けれど、そこそこの物は作
れるぜ。俺んち、共働きでさ。基本的にはかーちゃんが帰ってから飯作ってくれるけど、
月に何度か、忙しくて遅くなる日は俺が自分で飯作るから。つか、そういう風に仕込まれ
たからさ。おかゆでも……作るか?」
 そう問われた瞬間、静花の胸がキュッと窄まったような、そんな感覚に襲われた。だが、
期待とは逆に、思わず彼女は首を振って拒否してしまう。
『い……いらないわ。別府君の作るご飯なんて……信用ならないもの』
 口にした途端、安堵と後悔の念が同時に静花を襲う。
――別府君の料理か……食べてみたいけど…… でも……そこまでして貰ったら……何か、
どんどん深みに嵌まっていっちゃうようで……
 タカシの料理への渇望と、関係を深めることへの不安。瞬間的には後者が勝ってしまっ
たが、そうと決まると今度は逆に前者への欲求がどんどんと高まってしまい、彼女はその
気持ちを押し殺そうと、両手で布団を引き上げ顔を埋めた。
「そうかなあ。かーちゃんが風邪引いた時の病人食。結構好評なんだけどなあ。むしろ取
り得がこれしかないとか言われてるけど」
 否定されたせいもあって、タカシはつい、少しばかりムキになって自分の料理を主張し
てしまう。それを聞きたくないとばかりに、静花は布団で耳を塞いだ。
――ああ、もうっ!! そんな美味しいアピールしないでよ。どんどん食べたくなっちゃ
うじゃない……
 しかし、今更引っ込みもつかず、彼女は意地になって否定を続けた。
『……そ……そんなの、家族の中での話でしょ? 誰か、他の人に食べさせた事はあるの?
ないなら本当に美味しいかどうかなんて分からないじゃない』
「まあ、そうだけどさ。けど、口に合うかどうかはともかく、食えるものを作るだけの自
信はあるけどな。それとも、あんまり食欲ないとか?」
 気分を害する訳でも無く、むしろ心配そうに、タカシは静花の半ば布団に埋まった顔を
覗き込む。それが恥ずかしくて、静花はさらに顔を布団に押し付けた。
――どうしよう…… 一度いらないって言っちゃった以上、今更食べるとか言えないし……
本当は、ちょっとお腹空いて来てるけど……
3984/6:2013/05/21(火) 02:51:42.71 0
 困惑しつつも何とか気持ちを抑えつけると、静花は布団から顔を上げ、睨むように彼を
見つめつつ口を尖らせて答えた。
『あ、当たり前でしょう? 風邪引いてるのに食欲なんてある訳――』グウッ……
 空気の抜けるような、間の抜けた音が静花の声を遮って聞こえた。咄嗟に静花は布団の
中に手を入れるとお腹を押さえる。
「あのさ。今……何か、変な音しなかったか?」
 その声に、静花は顔を上げる。不思議そうな顔で自分を見つめるタカシと、目が合って
しまった。
『しっ……知らないっ!! そんな音……したかしら……』
 枕に頭を乗せたまま、激しく首を振って静花は否定した。しかし、それはタカシの疑い
を晴らすどころか、却って怪しく感じさせてしまっていた。
「そうかなあ……? だって、音が鳴ったと同時に委員長の言葉も止まったし。明らかに
聞こえていたとしか思えないんだけど」
 タカシの指摘に、静花は内心顔をしかめたい気分になった。
――しまったわ…… わ、私もビックリしたからつい…… それに、お腹押さえるのに手
を引っ込めたのも、いかにも自分が怪しいですと言ってるようなものじゃない。でも、こ
の手を離したら、また鳴るかもしれないし……
 何とか空腹の張りを静めようと、静花は僅かに身じろぎさせつつ、何とかこの場を乗り
切ろうと言葉を綴った。
『し……知らないわ。何か、別府君が変な顔したから……何かあったのかと思って止めた
だけよ。そんな音なんて私はしら――』クゥッ!!
 むしろ空気が抜けないかと体をひねった事が逆に災いしてしまったらしく、静花のお腹
からまた、さっきより少し高い音程で、気の抜けたような音が鳴ってしまった。静花は、
より強くお腹を抑えてこれ以上音が鳴らないようにと願いつつ、タカシを見上げる。しか
し、既に彼女の願いは叶わず、タカシはやっぱりそうだとばかりに主張した。
「ほら。今、音したろ? ていうか、委員長の布団の中から聞こえたように思ったんだけ
ど…… もしかして委員長さ。実は結構お腹減ってるとかじゃないのか?」
 タカシの指摘に、静花は恥ずかしさが我慢出来なくなって、布団を引き上げ、頭まですっ
ぽりと潜り込んでしまった。
3995/6:2013/05/21(火) 02:53:09.53 O
――あああああ…… もう、最悪だわ。よりにもよってこんな恥ずかしい音を別府君に聞
かれるだなんて…… もう死にたい……
 こんな展開を呪いつつも、不思議と割り切ったような気分がどこかに芽生えて来たこと
に静花は気付いた。もう、ここまで恥を掻いてしまったのだから、いっそ掻き切ってしまっ
た方がいいと。その気持ちはすぐに大きく膨らんで静花の心を支配する。そして、そんな
気分に流されるがままに、静花は口を開いた。
『……私……風邪を引いても、食欲は全然落ちないのよ。だけど、だるくて料理をする気
には全然なれないから、買い置きしてた冷凍食品とかインスタントもので済ませていたん
だけど……』
 静花は部屋の片隅にある大きなゴミ箱を指差した。導かれるように、タカシはゴミ箱の
方に行く。キチンと分別用になっているゴミ箱のプラスティックの方を開けると、確かに
冷凍食品やレンジ食品。それにカップ麺のビニールやら容器やらが放り込まれていた。
「……委員長って、女子にしては食う方だったっけ。何気に昼とか、傍に通った時に弁当
みたら、俺らと変わらない大きさの箱だったような。まあ、外見は可愛いのだったけど」
『そんな大食漢みたく言わないでよね。みんなダイエットダイエットって、食べなさ過ぎ
なのよ。そのくせ、甘い物はしっかり取って。私みたいに三食ちゃんと摂って間食控える
方がよっぽど体にはいいのに』
 ミスドとかで新作が出るたびに喜び勇んで食べに行く友達達の事を思い浮かべつつ、静
花は文句を言った。無論、静花だって年頃の女子である以上、甘い物が嫌いな訳ではなかっ
たが、それでも他の子達と比べればお茶請け程度の量でしかない。
「いや、別にバカにして言ってる訳じゃないよ。俺はしっかり食べる子って結構好きだし
さ。まあ……冷凍のパスタや炒飯とか、カップ麺だけじゃ腹はすぐ減るよな」
 静花の気分を害さないよう、タカシは慌ててフォローを入れる。しかし、それすらも慰
めにしか感じられなくて、静花は拗ねて言い返した。
『いいわよ。別に別府君にバカにされたところで全然どうでもいいし、むしろ慰められた
方が痛いくらいよ』
4006/6:2013/05/21(火) 02:53:51.83 0
 その時、もう一度静花のお腹が小さな音を鳴らしたが、もう抑える気にもなれなかった。
凄く自虐的な気分だったが、同時にやけっぱちな気分で、さっきまでの恐怖とかは微塵も
吹っ飛んで無くなっていた。
「どうする? 何なら、外で買って来てもいいけどさ。食べたいものあったらリクエスト
してくれよ」
 きっと空腹のせいで、余計機嫌が悪くなっているのだろう。彼女の態度をそう解釈する
と、タカシは早々に話を変え、静花の欲求を満たす方向へと進めた。しかし、タカシの言
葉に静花は首を振るとウンザリしたように返した。
『いい。もう出来合いのものなんて食べたくないもの。出来れば、ちゃんとした食事が食
べたいわ』
 静花の主張に、タカシは戸惑いを見せる。
「けど、ちゃんとした食事って言ったって……当然委員長は作れないだろ? どうすんだ
よ。スーパーで惣菜とか? その方が体にはいいと思うけど……」
 しかし、静花は彼を睨み付けると、まるで挑発するように言った。
『……別府君。料理作れるんでしょ? だったら作ってくれないかしら』


続く
これでやっと3分の1くらい消化という
401ほんわか名無しさん:2013/05/21(火) 10:01:35.11 0
素晴らしい
続きが楽しみだ
402ほんわか名無しさん:2013/05/22(水) 17:29:50.16 0
お題
つ・ツンデレほったらかしで忙しさにかまけていたら
 ・ツンデレに何でそんなことにお金使うのか分かんないって言われたら
403ほんわか名無しさん:2013/05/22(水) 20:51:08.38 0
>>400
続きに期待
404ほんわか名無しさん:2013/05/23(木) 07:51:33.08 O
暇に飽かせて過去ログ見てたら不意に自分が昔書いたエロいSSが目に飛び込んで来てうわぁ…ってなった
405ほんわか名無しさん:2013/05/23(木) 08:16:15.25 0
あるあるwww
覚悟決めて読み返してる時と違って、恥ずかしいというか何というか、変な気分になるな
4068/8:2013/05/23(木) 18:39:54.45 0
一方俺はそういうのを排除した自作フォルダを携帯にぶち込み、休憩中に読み返して一人内心ニヤニヤしてるのであった。
407ほんわか名無しさん:2013/05/23(木) 19:36:18.66 0
名前が……wwww
408ほんわか名無しさん:2013/05/23(木) 21:13:49.39 O
Yahoo!知恵袋でこんなん見つけたけどこれお前らだろwwww

http://chie.mobile.yahoo.co.jp/p/chie/qa/view?qid=1179660266
409ほんわか名無しさん:2013/05/23(木) 21:40:11.60 0
410ほんわか名無しさん:2013/05/23(木) 21:43:54.05 O
ん?見れないか?
411ほんわか名無しさん:2013/05/23(木) 22:10:42.92 0
季節感? なにそれおいしいの?
そしてボクっ子の腹筋ぺろぺろしたいれす(^p^)

http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2744.txt
412ほんわか名無しさん:2013/05/24(金) 08:35:05.14 0
>>411
うわあああ!!
グッジョオオブッ!!




ボクッ娘の引き締まりつつも華奢な全身を撫で回したいよおお!!
413ほんわか名無しさん:2013/05/24(金) 15:13:15.43 0
>>411
GJ
可愛いは正義
414ほんわか名無しさん:2013/05/24(金) 16:22:52.41 0
お題
つ・言葉って難しいよねってツンデレに言ったら
415ほんわか名無しさん:2013/05/24(金) 19:14:03.99 0
>>411
あんた……あんたなんてもん作ってくれはったんや……!
これに比べたら山岡はんのはクズや!!
416ほんわか名無しさん:2013/05/25(土) 10:54:03.34 0
>>411
ボクッ娘おおおお!!!!
なんていうかもうボクッ娘のおへそペロりてぇ
417ほんわか名無しさん:2013/05/25(土) 17:19:21.87 0
>>400の続き
6レス行きます
4181/6:2013/05/25(土) 17:20:50.13 0
・風邪を引くと極度の心配性に陥ってしまうツンデレ その4

「え……? でもさっき、委員長それは思いっきり断わってたじゃん。俺の作る飯なんて
信用ならないって」
 最初にちゃんとした食事と言われた時、それが記憶にあったから敢えてその申し出は避
けたのだが、ついさっき拒否されたのと同じ口で今度は要求され、さすがにタカシも疑問
を呈さない訳には行かなかった。しかし、静花はそれも承知の上と、キッパリと言い切る。
『だって、別府君と料理だなんてあまりにもイメージが違ったんだもの。でも、正直もう
我慢ならないの。ちゃんとしたご飯が食べたいのよ。多少味が不味くたって構わないわ』
 静花のあまりにも強い口調に、それ以上拒否する事はタカシには出来なかった。まあ、
もともと作る気はあったし彼女が食べてくれるのなら、と自分に言い聞かせてタカシは気
を取り直した。
「じゃあ、何が食べたい? お粥? それとも、もう少し腹持ちよくうどんとかにする?」
『言ったでしょ? 私は風邪引いても関係なく食欲は湧くって』
 気を遣うタカシに、そんな必要はないとばかりに退けてから、静花は真っ先に、頭に思
い浮かんだ食べ物を口に出す。
『カレーくらいなら作れるわよね? 確か、じゃがいももにんじんも玉ねぎもあったし、
お肉も先週シチュー作ったときのが残ってるから。あと、ナスもあるし、冷凍庫にインゲ
ンもあるし』
「そりゃ作れるけど、レトルトとかで食い飽きたりしてないのか? いっそジャーマン風
に炒めたりとかの方が良くないか?」
 タカシの提案に、静花は首を振る。
『ご飯炊くのも面倒だったから、カレーは食べてないの。レトルトパックのご飯じゃ量少
ないし。それに、カレーならたくさん作っておけばそれだけ食べられるし。ソースかけた
りして少し味変えたり、最後は牛乳でスープにも出来るし』
「分かったよ。委員長のリクエストだしな。今からだと米も炊かなくちゃいけないし、一
時間くらいはかかると思うけど、大丈夫か?」
 それを聞いてから、タカシは静花の顔に浮かんだ表情を見て、自分が余計な気遣いをし
た事に気付いた。
4192/6:2013/05/25(土) 17:22:09.37 0
『そんな、私がいかにもがっついているような言い方しないでよ。一時間くらい、普通に
待てるわ。貴方こそ、料理に失敗しないように気を付けなさいよね。お鍋とか焦がしたり
したら、弁償して貰うからね』
「わ、分かったよ。そんなに怒ると、熱上がるぞ。じゃあ、台所借りるからさ。委員長は
少しの間、寝ててくれよ。用意出来たら声掛けるから」
 何で世話をする立場なのに、こんな風に偉そうに物を言われるんだろうかと些か疑問に
思ってしまうが、考えてみれば彼女との立場はいつもこんなだったなと思い返す。学校で
も、手伝いを申し出たりしても必ず二言目にはあれこれと上から目線で注文を付けられた
り注意されたりしていたのだと。
――まあ……この様子なら、しっかり休めば回復しそうだよな。元気はありそうだし。
 今日ばかりは、静花の態度に安心しつつタカシは立ち上がってキッチンのある廊下へと
出て行った。それを見送り、咳き込みつつ静花は寝返りを打って体をベッドに沈め、深く
息を吐いた。
――結局……別府君に作って貰う事になっちゃった……
 気付けば、また心臓が少し鼓動を大きくしている。パジャマの上から胸を押さえ、目を閉じる。
――こんな展開になるなんてね。正直、まだ信じられないわ……
 しかし、耳をそばだてれば、タカシが米を洗う水音が聞こえてくる。それが、ハッキリ
と現実である事を認識させてくれた。
――何だろう? 踏み込むまでは怖かったのに…… 今は何か、楽しみで仕方なくなって
る…… ううん。こんな気分になるって分かってたから、だからきっと怖かったんだ……
けど、もう抑えられない……
 果たして、どんなカレーが出来て来るのだろうかと、内心ワクワクしつつ、静花は少し
でも体を休めようとリラックスさせるよう努めたのだった。


 次に静花が気付いた時、鼻にカレー独特のスパイスの効いたような刺激臭がつくのが感
じられて体をよじった。一瞬、ここが自分の実家で、キッチンで母親がカレーを作ってい
るのかと思ってしまう。目を開けようとして蛍光灯の眩しさに思わず手を翳してしまう。
4203/6:2013/05/25(土) 17:23:01.94 0
『あれ……私……』
 目に飛び込んでくる部屋の様子に、ここが自分の実家ではなく、一人暮らしをしている
部屋であることを思い出す。それから、ほぼ瞬く間に今の状況を思い出した。
『そっか…… 寝ちゃったんだ……』
 起こされていない事から考えて、まだそんなに時間は経っていないはず。そう思って時
計の方向に視線を向けると、六時半を少し回ったところだった。空腹感はさっきよりも大
きくなっている。
『この匂いからすると……上手く行ってるのかな?』
 廊下にあるキッチンでは、タカシがカレーを作っているはず。体を起こすのは億劫だっ
たが、少し様子でも見ようかと体を起こしてベッドから片足を下ろした時、部屋のドアが
開いた。
「あ、委員長起きてたのか。出来たから起こそうと思ったのに」
 その言葉に静花は、タカシが自分が寝ていた事を知っていた――すなわち、寝姿を見ら
れた事に気が付いた。途端に恥ずかしさが襲い、身悶えしたくなる。しかしそれをグッと
抑え付け、平然を装って静花は答えた。恥ずかしがってるなんて知られたら、余計に恥ず
かしくなってしまう。
『……ちょっとうたた寝しちゃっただけよ。それより、出来映えはどうなの? 心配だっ
たから、ちょっと見に行こうと思ったんだけど』
 残った片足も下に下ろし、静花はベッドに腰掛ける姿勢になった。タカシはニヤリと笑
い、静花の質問に自信有り気に頷く。
「それはどうも。でも大丈夫だよ。ちゃんと美味しく出来たから……つっても期待はする
なよ? ルーは市販のなんだから」
『さすがにそこまで期待なんてしてないわよ。食べられるものさえ出てくれば満足だわ。
それより、無駄口叩いていないで早く準備して。匂いのせいで余計お腹が空いて来たよう
に感じてるから』
「はいはい。もう少しお待ちくださいませ。お姫様」
 相変わらずの上からな物言いにタカシがからかい気味に返すと、静花は咄嗟に枕を掴み、
投げつけるような仕草をして見せた。
4214/6:2013/05/25(土) 17:23:56.15 0
『余計な事言わないでってば。バカ!!』
 睨み付ける静花に、タカシは肩を竦めて退散した。彼女は枕を戻すと、立ち上がってカー
ペット敷きの床に座り、テーブルに両腕を乗せて顔を埋める。
『(ハア…… ダメね、私ってば。つい、何か偉そうな口の利き方しちゃうのよね……)』
 しかし、反省してる間もないうちに、タカシが戻って来た。手にはカレー用の皿を持っている。
「委員長、起きて来て大丈夫なのか? お盆か何かあれば、ベッドで食った方が良くないか?」
 何となく頭にあったイメージそのままに口にすると、顔を上げた静花にまたしても睨み
付けられた。
『バカじゃないの? さすがに寝たきりじゃないんだし、起きてご飯くらい食べられるわ
よ。今まで、いくらレンジで温めるだけとはいえ、一人でやってたんだし。それにご飯が
終わったら薬だって飲まなくちゃいけないのに』
「わ、分かった分かった。単に病人の世話ってイメージで言っただけだから、そんなに怒
る事ないだろ」
 皿をテーブルに置きつつ、タカシは静花を嗜めようとする。しかし彼女の不満気な様子
は変わらず、彼は諦めたように肩を竦めてドアの向こうへとそそくさと消えた。
――病人の世話って……私、そんなに具合悪そうなのかな? それとも単なるイメージだ
けで…… 多分、そうなんだろうけど。でも、ベッドで食事するならいっその事、別府君
に全部食べさせてもらう、とか……
 その光景を想像して、思わず体の熱を高めてしまう。すると、すぐ傍でタカシの声がした。
「あ、あとこれ。簡単だけどサラダ。キャベツの千切りとキュウリを塩で揉んだだけだけ
どさ。それしかなかったから」
『ひゃっ!?』
 自分の妄想に没頭していた静花は、思わず変な声を上げて後じさりしつつタカシを見上げた。
「は? 何か俺……驚かすようなこと、した?」
 不思議そうに静花を見つめるタカシに、静花は首を振った。
422ほんわか名無しさん:2013/05/25(土) 17:24:34.90 O
しえしえ
4235/6:2013/05/25(土) 17:25:08.49 O
『な…… 何でもないわよ。ちょっと……熱っぽくてボーッとしてただけ』
 ここでタカシを怒ったりして言い争いになった時に、またうっかり変な事を言って墓穴
を掘りかねないと、そう危惧して静花は適当に言葉を濁した。タカシも彼女の言葉に納得
して頷くと、笑顔を見せる。
「そっか。具合悪いんだったら、無理して全部食べなくてもいいから。一応、量とか分か
らなかったけど、普通盛りにしといたから。足りなかったらおかわりもあるし」
『そこまで大食いじゃないわよ。多分、これで十分だと思う』
 目の前に並べられた料理を見つつ、静花は頷いた。カレーライスとキャベツの千切りサ
ラダ。それにスポーツドリンクが置いてある。それが一人分なのを見て、彼女は顔を上げた。
『別府君は? 食べないの?』
 そう聞くと、タカシはパッと両手を上げて振ってみせた。
「い、いやその…… 俺は別に、家に帰れば多分飯あるしさ。それに、委員長さっき、こ
れで何食か持たせるって言ってたから、量減らすのも悪いし」
『ふうん。人に毒見させておいて、自分は食べないんだ。じゃあ、これを食べてお腹壊し
て、げ……仮に脱水症状になって死んだとしても、別府君は平気でピンピンしてるわけね』
 静花の毒舌混じりの危惧に、タカシは慌てて首を振った。
「だ、大丈夫だって。市販のルーとはいえ、ちゃんと味見はしてるから。そんな凶悪なカ
レーだったら、今頃俺のお腹も多少下っててもおかしくないだろ?」
 そう言って説得を試みるが、静花の恨みがましそうな目は変わらなかった。タカシはちょっ
と考え、それから少し窺うような様子で聞いてきた。
「あの、もしかしてだけどさ。もしかして、委員長……俺と一緒にご飯食べたかったとか?」
 もしかしてまた怒られるかなとも思っていたのだが、静花は目を見開いて驚いた顔をす
ると、咄嗟に顔を背けてしまう。少し経って、途切れ途切れの答えが返って来た。
『だ……誰かに見られながら食事するのって……イヤ……なのよ。出来ればその……一緒
に食べていた方が……ありがたいわね……』
 静花なりに、精一杯譲歩した答えだった。チラリと横目でタカシを見ると、彼は分かっ
たとばかりに頷く。
「了解。じゃあ、少し貰うよ。けど、その前にさ」
4246/6:2013/05/25(土) 17:26:54.71 O
 ここでタカシが言葉を区切ったので、静花はそのわざとらしさを疑問に思って聞いた。
『へ、変なところで溜めないでよ。その前に……って、何かすればいいの?』
 不安な様子も見せる静花に、タカシはニコリと笑って頷いた。
「ああ。感想だけは、先に聞いておきたいなって思って。そうしたら、自分の分も用意し
てくるから」
 彼の様子から、もっと恥ずかしい事でも要求されるのではないかとドキドキしていただ
けに、静花はホッと肩の緊張を解いた。もっともよくよく考えてみれば、食事の前にそん
な要求を出すとも思えない。
『(何か……私、臆病になってるのかな……?)』
 でも、こんな不安なら別に悪くないとも思った。少なくとも、風邪の症状に一人で苦し
んで、このまま悪化したらどうしようと嘆いていた時よりは。
『分かったわよ。じゃあ……頂くわね』
 素直に頷いて、カレーとご飯の境目を掬い、口に運ぶ。少し息を吹きかけて冷ましてか
ら口に入れ、その熱さに火傷しないように口に空気を送り込みつつ、ゆっくりと咀嚼する。
十分に噛んでから、舌で喉の奥へと送り込み、飲み干して静花はスプーンを置いた。


続く
425ほんわか名無しさん:2013/05/25(土) 17:27:50.02 0

続きが気になって仕方ない
426ほんわか名無しさん:2013/05/25(土) 18:28:06.72 0
ただカレー食ってるだけだっていうのに、オラすっげぇワクワクしてきちまったぞ!!
427ほんわか名無しさん:2013/05/26(日) 15:53:10.27 0
てれてれ笑いのかなみんかわいい
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2745.jpg
428ほんわか名無しさん:2013/05/26(日) 18:14:35.40 0
まんざらでもないですよ、って表情めっちゃいいよな
429ほんわか名無しさん:2013/05/26(日) 20:09:20.97 0
>>427
かなみん可愛いな!!
430ほんわか名無しさん:2013/05/26(日) 21:46:17.57 O
>>427
これは可愛いwww
431ほんわか名無しさん:2013/05/27(月) 20:27:30.30 0
>>424の続き投下します
5レスほど
4321/5:2013/05/27(月) 20:29:17.10 0
・風邪を引くと極度の心配性に陥ってしまうツンデレ その5

『普通だわ』
 冷静かつシンプルな答えに、タカシは微妙な気分になって聞き返した。
「普通? 普通って……何だよ」
 すると静花は、鼻で吐息をついてから答えた。
『普通は普通じゃない。シャバシャバでもドロドロでもなくて、ごく普通の煮え方でお肉
も柔らかいけどとろける程じゃないし、じゃがいもも型崩れしないギリギリで火が通って
るし、他の野菜もよく煮えてるけどちゃんと食感は残せてる。ごく普通のカレーだわ』
 静花の冷静な批評に、タカシは喜んでいいのか悲しんでいいのか分からず、複雑な気分
で聞き返した。
「あのさ。それって……美味しいっていう意味に捉えても、いいのか?」
『だから普通よ』
 もう一度、静花は同じ事を繰り返した。それからもう一口、同じようにゆっくりと味わっ
て食べ、スプーンを置いて顔を上げる。
『納得行っていないみたいな顔してるから、補足してあげる。美味しい、というのが食べ
るのに値するという意味でなら、当たってなくもないわね。少なくとも、ルーで作るカレー
という意味では期待通りの出来映えだと思うわ。でも、さっき貴方が自分で言ったじゃな
い。期待はするなって。予想通りの味だったから、普通って言ったまで。はい。これで感
想はおしまいだから、自分のをよそって来なさい』
 ピシャリと言い切られ、それ以上の言葉を封じられたタカシだったが、まだ些か納得が
行かないだけに、最後とばかりに聞き返した。
「じゃあさ。これは、普通に美味しいって事でいいのかな? 料理出来る人なら誰でも出
せる味って事で」
 その問いに、静花は初めて頷いた。
『そうね。普通に何とかってよく聞くけど、今まではちょっと意味が分からないって思っ
てたわ。けれど、これにはその表現は合ってるかも』
「そっか。じゃあ、一応合格点は貰えたと思っとくよ」
 そう言ってタカシは立ち上がる。食器棚からカレーを入れるのに使えそうな器を探して
立ち上がったところで、静花が声を掛けて来た。
4332/5:2013/05/27(月) 20:30:32.06 0
『あ、そうそう。一つ言っておくけどね』
「何?」
 振り返ったタカシに、素っ気無い態度でサラダを突付きつつ、彼の顔を見もしないで静
花は言葉を続けた。
『料理の出来る男の子って、ポイント、高いわよ』
「え?」
 タカシの驚く声に、チラリと視線を投げかけてから、静花は彼から顔を逸らしながら付
け足した。
『そ、その……あくまで、一般論だけどね。わ、私の主観なんかじゃないんだから……』
 その照れた仕草に、どうにも掛ける言葉を失ってしまい、タカシは少しの間戸惑って立
ち尽くしていた。すると静花の叱責が飛んで来る。
『だ、だから一般論だって言ってるでしょ!! いいから早く自分のを用意しなさいよ。
私、食べ終わっちゃうじゃない』
「わ、分かったよ」
 慌ててキッチンに向かい、器にご飯をよそいつつ、果たしてあの一般論という言葉は、
本音なのだろうかそれとも照れ隠しなのだろうかと、タカシはずっと答えの出ない疑問に
悶々としてしまうのだった。


『フゥ…… とりあえず、お腹は満たせたわね。ありがとう』
「いやいや。お粗末さまでした」
 その後、互いにほとんど会話を交わすことなく、二人は食事を終えた。静花が風邪薬を
飲み終えるまで待ってから、タカシは立ち上がる。
「それじゃあ、俺は片付けして来るからさ。委員長は寝ててよ」
『ちょっと待って』
 タカシを制止してから、静花は言葉を続けた。
『その……食器を流しに置いたら、とりあえずタオルをお湯で濡らして来てくれる? お
風呂には入れないから、せめて寝る前に体だけでも拭っておきたいのよ』
 途中、少し咳き込みつつ静花は指示を出す。それに一瞬、頭に浮かんだイメージにタカ
シは驚き戸惑い、ついうっかり問い返してしまう。
4343/5:2013/05/27(月) 20:31:34.39 0
「え……? か、体拭うって、そ……その……」
 タカシの驚きを静花は敏感に察知した。彼女自身に伝播したその妄想に体の芯が焼き付
きそうになりつつ、静花は声を荒げる。
『バ……バカッ!! 何を妄想しているのよ。このスケベ。体拭うくらいなら、私一人で
やるわよっ!! 誰が別府君なんかに触らせるもんですか』
「あ、ああ。そうだよな。いや、分かってるよ。ただその……け、健康な十代男子として
はさ。つい一瞬その……そういう事考えちゃうというかさ。ホント、スケベでゴメン」
 言い訳したところで、実際に妄想してしまったのは事実なだけに、グダグダになるのは
明らかだった。過去のやり取りで何度か経験しているだけに、タカシは正直に頭を下げた。
静花は腕組みをしてタカシを睨み付けていたが、深々と頭を下げる彼を前に、やがて諦め
てため息をついた。
『本当に、男ってしょうがない生き物よね。まあいいわよ。理性で分かってるなら。とに
かく、タオルを濡らして来て。熱めのお湯でね』
 内心で自分だって同じじゃない、と静花は自嘲する。しかしそんな彼女の思いなど無論
気付くはずも無く、タカシは罪滅ぼしとばかりに頷いた。
「わ、分かった。すぐにやって来る」
 まずは食器をまとめて流しに持って行き、水に漬けてからタカシはすぐ後ろにある洗面
所に入る。ガス給湯器のコンソールを探し、壁に設置してあるのを見つけて湯温を四十二
度に設定した。水道のレバーを上に上げてお湯を流し、それからタオルがどこにあるのか
を聞くのを忘れた事に気付き、タカシはリビングに戻る。
「あのさ、委員長。タオルだけど――」
『きゃっ!?』
 ベッドの上で背中を向けていた静花が、小さく悲鳴に似た声を上げる。それからタカシ
の方へと怖い顔で睨み付けるように視線を向けると、厳しく叱責して来た。
『ちょ、ちょっと。いきなり声を掛けないでよね。ビックリするじゃない』
 静花は、ギュッとパジャマの前を掻き合わせていた。タカシからは見えなかったが、す
でにパジャマのボタンは半分くらい外れている。
4354/5:2013/05/27(月) 20:32:37.55 0
「ゴ、ゴメン。その……タオル、どこにあるか分からなくてさ」
『タオルだったら、洗面台の下の収納に入れてあるから、ドア開ければ分かるわよ』
「そ、そうか。サンキュー」
 タカシが視界から消えるのを待って、静花は小さく吐息をつく。
『(しまった……何となく、ボケーッとしながらパジャマを脱ぎ始めちゃったけど、もし別
府君が戻ってくるのが少し遅かったら……全裸を晒すところだったわ……)』
 トクトクトクトク。心臓の鼓動が高鳴る。そのままギュッと体を縮み込ませつつ、静花
はつい妄想を広げてしまう。
『(もしそうなったら…… ううん。そんな事出来っこないけど……恥ずかしくて死んじゃ
うから…… でも、別府君の反応も……見てみたい、かも……)』
 自らのふしだらさに、ますます体をヒートアップさせてしまう。すると、ドアをノック
する音がした。
『な……何?』
「委員長。タオル、準備出来たよ。入っていいか」
『ど、どうぞ』
 一度布団の中に潜り込むと、タカシが部屋の中に入ってきた。折り畳まれた濡れタオル
を手に持ち、静花に近寄ってくる。
「はい、これ。こんな感じでいいかな?」
 差し出されたタオルを受け取ると、静花の手に心地良い温もりが伝わる。それを顔に押
し当ててみてから、静花は頷いた。
『ええ、こんなものね。出来ればもう一本用意しておいて。多分これ一枚じゃ足りないか
ら。私から声を掛けるから、そうしたら持って来てくれる?』
 静花の指示に、タカシは大人しく頷いた。
「了解。じゃあ俺はその間食器でも洗ってるよ」
『そう。悪いけど、お願いするわ』
 タカシが出て行くのを見守ってから、静花は既に半分くらいボタンを外したパジャマを
見つめて呟いた。
4365/5:2013/05/27(月) 20:33:45.41 0
『……いくらドア一枚隔てているからって言っても……クラスメートの男子が同じ家の中
にいる中で裸になるなんて……相当大胆な行為よね……』
 しかし、言葉とは裏腹に、静花はボタンを全部外してパジャマの上衣を脱ぎ、さらにソ
フトブラも取り去る。そして次に、布団の中でパジャマのズボンを下ろすと、ショーツも
脱ぎ去ってたちまちのうちに全裸になった。脱いだパジャマを丁寧に畳み、その間に下着
を包み込むように入れる。体を起こし、布団から上半身を出すと、タカシが用意してくれ
たタオルで顔から首、肩、脇の下と丁寧に拭って行く。
――もしかして私……本当は期待しているのかな……
 ドアの向こうから聞こえる水音に耳を澄ませつつ、ふとそんな事を静花は考えた。自分
の大胆な想いにドキリとし、否定しようとするが、恥ずかしいという以外に何の嫌悪感も
感じられなくて、静花はそっと自分の胸に手を当ててみた。
――こんな事を考えているなんて別府君が知ったら……どう、思うんだろうな……?
 淡々と体を拭いつつ、答えの出ない問答を頭の中で繰り返すのだった。


続く
437ほんわか名無しさん:2013/05/28(火) 19:17:28.37 0
はよ続き!
438ほんわか名無しさん:2013/05/29(水) 20:18:20.73 0
お題
つ・せっかく男と二人きりになれたのに男がずっと電話ばかりしていたら
439ほんわか名無しさん:2013/05/29(水) 21:59:08.81 0
おつ
440ほんわか名無しさん:2013/05/29(水) 22:42:40.08 0
お題
・バック・ツン・ザ・フューチャー
441ほんわか名無しさん:2013/05/30(木) 23:59:33.85 0
デロリアンで過去に遡ったタカシが
自分の両親になる予定の男女と遭遇
しかし母は父にツンツン過ぎてくっつく気配まるでなし
このままでは自分が生まれてこない、と悟ったタカシが
父と母をくっつけようと奮闘するお話ですね
442ほんわか名無しさん:2013/05/31(金) 01:03:27.45 O
何その超大作
読みてぇ
4431/5:2013/05/31(金) 11:26:14.30 0
お題作成機より:後輩・文化祭・携帯 〜前編〜

『ありがとうございましたーっ』
 お好み焼きを手に持ち、楽しそうに話しながら立ち去るカップルに、私は深々とお辞儀
をする。すると、その横から声が掛かった。
「あの、すいません。写真、撮らせてもらっていいですか?」
 見ると、男の人二人組がちょっと緊張した笑顔で私に向かって頭を下げていた。片方の
人は、結構立派そうなカメラを両手に持っている。
『え? あ、はい。どうぞ……』
「ホントですか? ありがとうございます。じゃあ、ここに立って、こうポーズ取って下さい」
『えーと……こんな感じですか?』
 言われたとおり、体をやや斜めに向けて媚びるようなポーズを取る。
「あ、いいですねそれ。超カワイイですよ。じゃあ撮りまーす」
 フラッシュが炊かれ、シャッター音がする。撮った男性は画像を確認して頷くと、片手
で拝んで頭を下げる。
「すいません。あと、俺らとそれぞれ一枚ずつ、お願いします」
『はあ……どうぞ……』
 知らない男の人と肩を並べて一枚ずつ、笑顔を作って写真を撮られると、二人は満足し
たようで、お礼を言ってからウチの屋台へと向かった。それを見送って私はその場にしゃ
がみ込み、ため息をついた。
『ハァァ…… 何で私が、こんなことやらなくちゃならないんだろ……』
 チラリと屋台の傍の立て看板に目を走らせると、そこにはこう書かれていた。
【売り子さんの写真撮影もOKです。一回に付き三枚まで。お好み焼き購入者限定サービスです】
 うんざりした気分で天を仰ぎつつ、私は周りに聞こえないよう小声でぼやく。
4442/2:2013/05/31(金) 11:27:23.99 0
『誰がこんな事考えたのよ。ウチの部の伝統って言うけどさ。絶対、最近の先輩が考えた
に決まってるわ。大体、ウチの部自体、そんなに歴史ある訳でもないし……』
 私は下を向いて自分の格好を見る。お好み焼き屋の売り子らしく、着物をアレンジした
衣装だが、コンセプトは和風メイドらしく、頭にはカチューシャ。フリルのついた白いエ
プロンを着け、スカートは何故か超ミニでニーソックスを履かされている。どこから噂を
聞きつけたのか、男性のみならず女性までも写真を撮らせてくれというお客さんが後を断
たなかった。
「おーい、椎水。何サボッてんだよ」
 いじける私に、冷酷な声が掛かった。私は顔を上げて声のする方向を睨み付ける。
『別府先輩!! もう勘弁して下さい。私こんなのイヤです!!』
「諦めろよ。部員全員の投票で正式に選ばれたんだから。しかもおかげさまで売上も順調
だし。なあ」
 私の涙ながらの訴えをサラリと却下しつつ、先輩は隣にいる女性に同意を求めた。先輩
と同じ二年生の波野広恵先輩だ。ちなみに格好は私と同じ和風メイド姿である。
『そうそう。うちの女子部員で栄えあるセンターポジションを射止めたんだから、もっと
頑張って貰わないと』
 笑顔は穏やかだけど、言ってる事は厳しい。私はため息をつきながら立ち上がった。
『何だってみんなそんなにやる気あるんだろ…… ていうか、一番やりたくないって言っ
てた私に票が集まる意味が分かんない……』
「そりゃ、椎水が一番コスプレが似合いそうだとみんなが思ったからだろ?」
 悩み私に、先輩はあっさりと現実を突きつけてきた。
「一人につき三人の投票だから普通はあそこまで票差が出るなんてないんだけどな。普通
は決選投票まで行くって言うのに、二十票以上も獲得して選ばれたんだから、もっと自分
に自信持ってやれよ」
『そうよ。去年のクイーンだった私より六票も多いんだから。しかも去年は二度の決戦投
票の末に勝ち抜いた権利だったのに、かなちゃんてば一発でしょ? 自信失くすわよ、ホ
ントに……』
4453/5:2013/05/31(金) 11:28:30.60 0
 落ち込んでため息をつく広恵先輩に、私は代われるものなら代わって下さいと訴えたく
て仕方が無かった。しかし、それは既に言っても無駄だと分かっている。実際何度もそう
言ったのだが、譲られたポジションに意味はないと頑として断わられてしまったのだ。
『そういえば、別府君はちゃんと私に入れてくれたんでしょうね? まさか裏切ったりと
かしてないわよね?』
「わわわっ!? つ、詰め寄るなって。ちゃんと波野にも入れたって。きっと去年の四年
生の代が抜けて、そこで票の入れ替わりがあったんだよ。一年の男子はきっと同学年の女
子に入れたんだろうしさ」
 真剣な顔で別府先輩を睨み付ける広恵先輩を見て、私は内心ドキリとした。もしかして、
広恵先輩って、やっぱり別府先輩の事を特別に思ってるんじゃないだろうかって。他に彼
氏がいるという噂も聞いたけど、普段から結構仲が良いし、ああやって親密なところを見
ると、どうしても心がざわついてしまう。
『で? かなちゃんには入れたの? どうなの?』
 さらに追求され、別府先輩は何故かとぼけるようにそっぽを向きつつ、たどたどしく答えた。
「えーと……ま、まあ一応な。後輩の中では目を掛けてる方だし……」
『ふぇっ!?』
 別府先輩の答えに、私は微かにだが、変な声を出してしまった。何か変に恥ずかしくっ
て、心臓がドキドキしているし体も熱い。しかし、二人が訝しげに私を見つめているのに
気付き、私は即座に別府先輩を睨み付けて怒鳴った。
『な、何てことしてくれるんですか別府先輩っ!! おかげで私がこんな恥ずかしい格好
で売り子やる羽目になってるんですよっ!!』
「い、いや。俺ばっかりじゃないって言うか、他の奴だって入れてたわけで……大体波野
に六票差以上つけて勝ってるんだからさ。俺一人が入れなかったところで変わんないわけだし」
 別府先輩は両手を私の前に広げて必死で言い訳する。その横で広恵先輩は恨みがましそ
うに私をジロリと睨んでいた。
4464/5:2013/05/31(金) 11:29:27.19 0
『そーよね…… 大敗だもんね。別府君が入れなくたって、決選投票の三票以内にすらな
らなかったんだもんね。おかげで私は今年はビラ配りよ。おまけに、同じコスプレしてん
のに、かなちゃんの事ばかり聞かれるし。少しは私も見ろっての。ほらほら』
『わあ、先輩!! 何やってんですか!! 中見えますって。別府先輩もいるんですよ!!』
 驚いて制止すると、広恵先輩はスカートを広げるような扇情的な行為は止めたものの、
仏頂面は変わらなかった。
『いーのよ。だって、中見られたって構わないようにオーバーパンツ履いてるし。かなちゃ
んだってそうでしょうが』
『そうですけど、だからってわざわざ中見せびらかすよう行為は、ちょっとはしたないと
思うんですけど』
 諌める余り、つい広恵先輩を非難するような事を言ってしまったが、拗ねてる先輩はそ
れも気にせずに、プイッとそっぽを向いた。
『フンだ。どーせ、私の中身なんてみんな興味ないのよ。かなちゃんがスカートヒラヒラ
させれば、それだけで男なんて何十人も集まってくるけどさ』
「いーかげんにしろって」
 別府先輩が、広恵先輩の頭頂部にチョップをかました。
『あいたっ!!』
 見た目にも軽くだったけど、それでも広恵先輩は首を竦めて頭を押さえると、別府先輩
の方に向き直る。すると別府先輩は呆れた口調で諌める。
「後輩に愚痴るのはもう止めろって。椎水も困ってるだろうしさ。それに、そんな事言い
に来た訳じゃないだろが」
『そうだった。はい、これ』
 広恵先輩が、半透明の手提げビニール袋を私に差し出した。
『何ですか? これ』
『差し入れ。かなちゃんてば忙しくて全然学祭見て回る余裕ないだろうからさ。食べ物色々
買ってきた。ちょっと休憩しなよ。その間、売り子役交代してあげるから』
4475/5:2013/05/31(金) 11:30:41.33 0
 ビニール袋を広げてみると、焼きそばだったりウインナーだったりワッフルだったり、
屋台で人気ありそうな食べ物がたくさん入っている。
「飲み物も買ってきたぞ。ほら」
 別府先輩の声に向き直ると、スポーツドリンクのペットボトルを軽く振っていた。
『休憩時間は三十分よ。時間は短いんだからね。さっさと行かないと、またお客さんに捕
まっちゃうわよ』
『あ、はい』
 どっちにしても、短い時間とはいえこのお役目から解放されるのは願ったり叶ったりな
ので、私は素直に頷く。
「それじゃあ、波野。あとは宜しくな」
 別府先輩が軽く手を上げるのを、私は疑問に思って見つめた。すると、別府先輩も手に
ビニール袋を提げている。
『まーかせて。かなちゃんが戻って来るまでにお客さんの人気を獲得して、実力でかなちゃ
んのポジション奪ってやるんだから』
「だから、そのポーズ止めいっ!! 女なんだからよっ!!」
 中指を突き立てる広恵先輩を叱責すると、広恵先輩はしかめっ面で舌を出してから、ス
カートを翻して屋台の方に駆け寄り、元気良くお客さんの相手をし始めた。それを見つつ
ため息を一つついてから、別府先輩が私の方を向いた。
「さてと。じゃあ、休憩すっか」
『ちょちょちょ、ちょっと待って下さい。休憩すっかって……先輩もですか?』
 思わぬ展開に動揺して聞くと、別府先輩は事も無げに頷いた。
「おう。ずっと歩きっぱなしだったからな。正直疲れたぜ」
『えええええーっ!!』
 この急な展開に驚く私をよそに、別府先輩はさっさと歩き出してしまった。


続く
448ほんわか名無しさん:2013/05/31(金) 14:05:00.29 0
イイネ!
449ほんわか名無しさん:2013/06/01(土) 10:18:30.21 0
このまま続き7レス投下

ちょっと長いけど勘弁で
4501/7:2013/06/01(土) 10:19:54.82 0
お題作成機より:後輩・文化祭・携帯 〜中編〜

『うううううっ…… 何で別府先輩なんかと一緒にお昼休憩取らなくちゃならないんだろ
う……』
 大学の敷地内でも外れた場所にある、運動場の近くのベンチに私は別府先輩と並んで腰
掛けて、買ってもらった焼きそばを箸で突付いていた。正直、隣が気になってあまり箸は
進んでいない。
「何だよ。俺と一緒がやだったら、何もついて来なくたって良かったんだぜ」
 私の独り言が聞こえてしまい、先輩がチラリとこっちを見て言った。あまりにもあっさ
りとした言い草で、却って私の心にグサリと刺さってしまう。
『べ、別に嫌とまでは言ってません。それに、学祭の時に落ち着いて休憩取れる場所って、
先輩に付いて行けば間違いないことも分かってますし…… ただ、どうせなら他の……女
の先輩と一緒の方が気が休まったかなって……』
 実際、別府先輩と一緒だと全く休憩を取るような気分になれない。同じベンチに座って
いると意識するだけで、心臓がドキドキして気分がそわそわと落ち着かなくなってしまう
のだ。別府先輩は、箸を置くと串焼きみたいなのを袋から取り出しつつ、スマホを出して
片手で操作しつつ、私の方を見ずに何の気なしに言った。
「別に、何も気を遣う必要ないぞ。何なら、俺なんていないと思って、ゆっくりしてろよ。
時間は短いんだし。俺も、自分の事やってっからさ」
『ハア……』
 しかし、そう言われてしまうと何だかつまらないな、と思ってしまう。別府先輩と二人
きりで一緒にいられるのはそう機会があることでもない。授業の合間の部室でたまたま遭
遇でもしない限り、こんな風に二人で話せる事なんてないのに、このまま会話無しで休憩
を終えるのはもったいなかった。
4512/7:2013/06/01(土) 10:20:48.02 0
『それにしても、よくこんなにジャンクフードっぽいのばっか買って来ましたね。何か、
口の中が油の味になりそうです』
 焼きそばを食べ終えても、フランクフルトとか、揚げ餅だとか高カロリーっぽい食べ物
が残っている。甘い物もベルギーワッフルと他にもチェロスだとかミニたい焼きなんての
も入っていて、とても一人で食べきれる量じゃない。
「まあ、学祭の模擬店なんてそんなものだし。食い切れなかったら、家持って帰ってチン
すればいいんじゃね? あと、チョイスは波野だから、苦情はアイツに言えよ」
 私は広恵先輩の顔を思い浮かべて、げんなりとした気分になった。広恵先輩はジャンク
フードとか甘い物が大好きなのだ。お酒も凄く飲めるし、よくあれであんなスレンダーな
体型を維持していられるのか、不思議でしょうがないと思う。
『そういえば、広恵先輩って休憩取ったんですか? 別府先輩と一緒にビラ配りしてたん
じゃないんですか?』
 ちょうど名前が出たので、広恵先輩をダシに会話を進めさせてもらう。すると別府先輩
は、相変わらずスマホを弄りながら、気の無い風に答えた。
「まあ、ずっと一緒って訳でもなかったしな。それにアイツ、美味しそうな店を見つける
度に買い食いしてたし、半分休憩しながらやってたようなもんだ」
『ああ…… 何となく分かります……』
「だろ? だから、アイツの事は心配しなくて大丈夫だって。それに、椎水の休憩を待ち
構えてたらしいからよ。だからわざわざ自腹切って昼飯買って来て交代のキッカケまで作っ
てたからな」
『そんなにやりたかったんだ……売り子……』
 後でお礼は言わなきゃなと思いつつ、何でこんなコスプレ和風メイドの格好で、主に男
の人から写真撮られるのを喜んでやるのか、私には理解の範疇を超えていた。
「まあ、波野は可愛い格好して目立つのとか、好きだからな。レイヤーっつうの? アニ
メとかのイベント会場でキャラクターの格好とかするのもやってるみたいだし。まあ俺は
行った事ないから良く知らんけどさ」
4523/7:2013/06/01(土) 10:21:45.12 0
 別府先輩は、あんまり興味ないといった風で、相変わらず片手で食べ物を食べつつ、起
用にスマホの画面を弄りつつ何かを見ている。
『私にしてみれば、意味分かんないですよ。そりゃ確かに男の人にはチヤホヤされますけ
ど、私はそういうのどっちかと言うと苦手だし、こんな格好するのを人に見せるのだって
恥ずかしくてたまらないんですから』
「でも、その割には結構いい笑顔で接客出来てると思うけどな。愛想もいいし、クラスの
ツレに聞いても、お前の事可愛いって褒めてたぞ」
『だからそう言うのが恥ずかしいんですってば!! もう、あまり人の事聞かないで下さい!!』
 怒りつつも、別府先輩がちゃんと私の事を気にしてくれているのは何気に嬉しくもあっ
た。クラスの友達に聞いたという事は、評判も気にしているのだろうか? さっき、広恵
先輩の事を話している時よりは興味を持ってくれているみたいなので、少し期待してしまう。
「まあ、自分の部の店だからな。評判は気になるし、効果がどんなものかっても知りたい
じゃん。まあ、それも役目の一部だと割り切るしかないだろ」
 別府先輩は相変わらず、スマホから目を離さない。正直、今はそれが不満だった。私と
話をしているのに、注意が携帯の方により行っているなんて。我慢出来ずに、私はつい説
教を始めてしまった。
『それはそうと、先輩。私と話をしているのに、ずーっとさっきからスマホの画面ばかり
見て、失礼だと思いませんか? 話をする時は、相手の顔を見てするようにって、教わら
なかったんですか? 全く……何をそんなに夢中になってるんだか……』
 私は別に、別府先輩に興味を抱かれるような女だなんて、そこまで自惚れている訳じゃ
ない。けれど、さっき少し注目して貰えているような期待感を抱かせておきながら、こう
して話していてもまるで私に興味を向けて貰えないと、その期待もただの勘違いだったの
ではないかと思えてしょうがない。照れ隠しでスマホを見ているフリをしてくれているな
らともかく、別府先輩を見ていると、明らかにスマホに夢中なのだった。
「ん? ああ。いや、夢中って言うか…… そうだ。せっかくだからお前も見ろよ」
4534/7:2013/06/01(土) 10:22:36.76 0
 別府先輩は、呆れた私の声に反応して顔を上げた。それから、いいアイデアだとばかり
に頷いて、私を招き寄せる。
『は? 何を見ろって言うんですか? どうせ変な写真とか動画なんでしょう。先輩って
ば、くだらないものが本当に大好きなんですから』
 以前、見せられた動画を思い出して私はぶつくさと文句を言った。その時は、まあ動画
よりも別府先輩と二人で仲良く一つの画面を見たって事の方が大きかったけど。また、短
いながらもあの時間が持てるのかと、私はドキドキしつつ先輩の方ににじり寄った。
「ほれ。この中でさ。どれがいいと思う?」
『どれがいいって……ふぇええええええっ!!』
 私は先輩のスマホに映し出されている画像を見た途端、驚きのあまり悲鳴を上げてしまっ
た。何故なら、そこにあったのは、和風メイド姿の私が一生懸命働いている姿だったからだ。
『ななななな…… 何見てるんですか先輩っ!!』
「わわっ!?」
 思わず飛び掛ってスマホを奪い取ろうとした私を、先輩は驚きつつもすんでのところで
かわしてしまう。
「待て待て待て。一体どうしたんだよ?」
『どうしたんだじゃありません!! 何勝手に人の写真を撮ってスマホで眺めているんで
すかっ!! 犯罪です!! 変態です!!』
「いやその……犯罪ってなあ…… 学祭なんだし、写真くらい撮るだろ? 別に普通のス
ナップ写真だし、エロイ写真狙って撮ったってんならともかくさ。それに、同じ部員なん
だし……」
 飛び掛るのは止めたものの、体を前のめりに先輩の方に寄せて睨み付ける私に、逆に先
輩は体を仰け反らせつつ、スマホを持つ手を背に回してもう片方の手で私を押さえる仕草
をしてみせた。
4545/7:2013/06/01(土) 10:24:30.56 O
『エロイとかエロくないとかそういう問題じゃありませんっ!! か、勝手に人の写真を
撮る事自体問題なんですっ!! 消してください、今すぐ。さあ』
「まあ落ち着けって。確かに勝手に取ったのは悪かったけどさ。椎水って写真撮られるっ
て分かるとすぐ構えるだろ? 何て言うのかな…… こう、もっと自然な写真が欲しくて
さ。ほらほら、見てみろよ。可愛く撮れてるだろ?」
 先輩はもう一度スマホの画面を私の前にかざす。先輩にそう言われて、私はつい画面の
中の自分を見つめてしまった。お好み焼きを買ってくれたお客さんに笑顔で挨拶する私を
見て、たちまち恥ずかしさが全身を襲って来る。
『ダダダ、ダメですダメですやっぱりそんなの!! ていうか、さっきからずっとスマホ
見てると思ったら、私の写真見てたんですか? 隣に本物がいるのに!!』
「は?」
 思わずキョトンとした先輩に、私は咄嗟に口を押さえた。勢いとはいえとんでもない事
を口走ってしまい、私は慌ててフォローの言葉を探した。
『ちちちちち、違います!! 私を見て欲しいとかそんなんじゃなくって……その、あの……
そもそも人と一緒にお昼を食べているのに、スマホばかり見てるって失礼だと思いますし……
ですから、えっとですね……あと食事中にそういう事することもどうかと思いますし……』
 自分で言っててだんだん訳分からなくなってきて、私の声はどんどん小さく、口ごもる
ようになってしまう。先輩は僅かに首を傾げたものの、私を宥める事を優先したのか申し
訳なさそうに手を頭に当てて笑顔を見せ、謝罪してきた。
「いや、悪い。何かあんまり椎水も俺と話ししたがってない感じだったしさ。それに一応、
断わったじゃん。自分の事やるって。それに、ちょっと急ぎだったし」
『急ぎって、一体何が急ぎなんですか? 私の写真を選ぶのを? ちょっと待って下さい
先輩。どういう事なのか説明して下さい』
 睨み付ける私に、先輩は気まずそうに視線を逸らす。しかし、逃れられないと悟ったの
か、たどたどしく答え始める。
「えーとだな。その……何ていうか……宣材選びっていうかさ、うん。とにかく、一番自
然っぽくて可愛く撮れてる写真どれかなって思ってさ。波野とかだったら喜んで選びそう
だったから、つい聞いちゃったというか……」
4556/7:2013/06/01(土) 10:25:25.55 0
『あの人は特殊です。私を広恵先輩と一緒にしないでください』
 こんな恥ずかしい格好を自分からしたがったり、写真撮られて喜ぶとか信じられない。
しかし、ふと売り子さん選びの投票結果が発表された時の女子部員の残念がりようを思い
返せば、むしろ自分が特殊なのかも知れないと思ってしまう。
「まあ椎水が引っ込み思案で奥手だってのは良く分かったけどさ。でも、結構いい経験に
なってるだろ? それに実際、一番に選ばれるだけの事はあって、可愛いし良く似合って
るし、実際人気もあって例年以上の盛況ぶりだしな」
『そ、それはその……お好み焼きだって実際ボリュームがあって美味しいし、広恵先輩た
ちビラ班の宣伝もあるからじゃないですか? 私だけの力じゃないです』
 むしろ私目当てで来る人なんて変な人ばっかりなんじゃないかとチラチラ思わないでも
ない。いけない考えなんだろうけれど。
「でも、去年だって波野が一年でコスプレ売り子やってたし、他の部だってメイド喫茶や
らバニーさんがいる射的だとか、ちょっとした色気ありの店は多いのに、友達から話聞い
ても、ウチの店は評判高いみたいだし。やっぱり椎水の力はでかいだろ」
 真面目に主張する先輩に、私は恥ずかしさと同時に心の奥をくすぐられるような変な感
情を覚えてしまい、顔を逸らしてしまった。
『それ…… フォローですよね? 本気で褒めてる訳じゃないですよね? どっちにして
も先輩にそんな事言われたからって……あんまり嬉しくないですから……』
 口に出した途端、自分の気持ちがそれと正反対なんだってことに気付く。理由はどうあ
れ、今、先輩のスマホに私の写真が収まっていて、昼ごはんの間先輩が真剣にそれを眺め
て選んでいたという事実に、心臓がドクドクと激しく鼓動を打ち、胸が苦しくてしょうが
なくなる。
「フォローの気持ちはあるけど、別にお世辞や大げさに言ってる訳じゃなくて、実際事実
だからな。だからもうちょっと自信持てって事だよ。来年はミスコンエントリーの誘いも
来るんじゃないか?」
『ミ……ミスコンとか無理ですって!! ウチの学校って何か芸能プロのスカウトも見に
来るくらいレベル高いって言うじゃないですか。たかがちょっと売り子やったくらいで勘
違いも甚だしいです。どのみち私にはそんなの無理ですから』
4567/7:2013/06/01(土) 10:26:28.65 0
 ブンブンブン、と勢い良く頭を振る。しかし、先輩がそこまで褒めてくれる事は悪い気
がしないどころか、嬉しくて仕方が無かった。最初は驚いてちょっと怒ったけれど、今で
は先輩がそこまで私の写真を気に入ってくれているのなら、撮られた事すらも嬉しい気分
になっていた。
「まあ、そのくらい可愛いって事だよ。まあ、椎水がどうしても許せないっていうなら、
この写真は消すけどさ。確かに勝手に取ったことは事実だし」
 先輩がスマホを弄り始めるのを、私は慌てて止めた。
『ま、待って下さい先輩っ!!』


続く
457ほんわか名無しさん:2013/06/01(土) 20:54:24.43 0

このテンパッてる感じが好きだわ
458ほんわか名無しさん:2013/06/02(日) 19:05:41.31 O
GJ。やはりツンデレは良いものだ
459ほんわか名無しさん:2013/06/02(日) 20:45:08.68 0
Q. みこちんが魔法少女だったらどうなるの?
A. 可愛すぎて俺が発狂する
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2746.jpg


>>456
後輩ちゃんかわいいよ後輩ちゃん
褒め殺しにしてみたい
460ほんわか名無しさん:2013/06/02(日) 21:00:00.09 O
>>459
正直、正面から見たいですハァハァ
461ほんわか名無しさん:2013/06/02(日) 22:38:19.17 0
>>456の続き投下

おまけ含め5レスで
4621/4:2013/06/02(日) 22:39:39.15 0
お題作成機より:後輩・文化祭・携帯 〜後編〜

「ん?」
 先輩が意外そうに私を見つめてきて、私は返答に困ってしまった。まさか先輩のスマホ
から私の写真が消えてしまうのが、何か急に惜しくなってしまったのだなんて言える訳が
ない。
『え、えっとその…… 勝手に写真を撮られたのはまだ許してないですけど…… でも、
どのみち今日はいっぱい写真撮られてるし……それに、先輩の話じゃ変な写真は撮ってな
い話ですから、消すのだけは許してあげます。けど、その前にどんな写真を撮ったのか、
チェックだけはさせて下さい』
 先輩が、私のどんな姿を選んで撮ったのかにも、私は興味が出て来た。先輩は頷くと、
スマホを私に差し出してくれる。
「そう言って貰えると助かるよ。ついでに、自分としてはどの写真が一番好きかも教えて
くれるとありがたいんだけどな」
『そ、そんな……自分で自分の一番いい写真を選ぶなんて…… それに、選んで何に使う
気なんですか? もしかして変な事に使う気なんじゃないでしょうね。例えば……』
 そこで私はハッと気付いて言葉を区切った。自分の中に浮かび掛けたイヤらしい妄想を
慌てて消し飛ばすと、先輩が首を傾げる。
「例えば……って、何だ?」
『何でもないです!! と、とにかく世間一般的に見て変な事に使わないで下さいって事です!!』
 必死でごまかしつつ、これ以上質問は受け付けないとばかりに私は先輩から借りたスマ
ホの画面を見ては指でスクロールさせる。
――危なかったぁ…… まさか先輩が、私の写真を見ながらあんな事やこんな事をしてる
なんて妄想してたなんてバレたら……生きていけない……
4632/4:2013/06/02(日) 22:40:47.00 0
 気を取り直しつつ、画面の中の写真を注視する。写真撮影にはにかみながら応じる私。
子供に笑顔を向けて話し掛ける私。ちょっと一息入れてドリンクを飲んでいる私。どれも
これも、何か自分が思っているよりも輝いて見える。先輩の写真の撮り方が上手なんだろ
うか。こんな風に先輩に私のことが見えていたんだなって思うと嬉しく思う。
「どうだ? いいのあったか?」
『ふぁっ!?』
 夢中になっていたせいで、先輩に声を掛けられて驚き、変な声を上げてしまう。咄嗟に
口を押さえ、先輩の方を振り返る。
『い、いい写真ですか? えーと、えーと……こういうのとかはどうですか?』
 私は子供に笑顔を見せる写真とかが無難そうだなと思って指すが、先輩は首を傾げた。
「うーん。俺はこれなんかがいいと思うんだけどなあ。どう思う?」
 それは、照りつける日差しに私が思わず胸元を指で広げて空気を送り込む写真だった。
『ぜ、絶対ダメですってばこんなの!!』
 カッと顔が熱く火照るのを感じつつ、私は手で写真を隠す。別に胸元の肌が覗いている
訳でもないのに、妙にエロっぽく感じてしまったのだ。首元に浮いた汗のせいだろうか。
「そうかぁ…… でも、さっきのよりもうちょっとインパクトのある写真が欲しいんだけどな」
『じゃあ、これなんかはどうですか?』
 私は何となく先輩の趣向を入れつつ、写真を選んだ。ドリンクを飲んだ写真の一枚。喉
を潤した私が、ホッと一息ついた幸せな表情を見せている。口元から僅かに垂れた水を拭
うほんの一瞬前を狙われていた。
「お? 確かにこれはいいな。さすがに本人だけあって良い所に目を付ける。実は何気に
写真撮られるのも好きになって来たとか?」
『止めて下さい!! 私は広恵先輩みたくなりたくありません。先輩の趣向と自分の妥協
点を探ったらこうなっただけです』
4643/4:2013/06/02(日) 22:41:41.90 0
 もっとも、口ではこう言いつつ、何気にこの写真は先輩の視点の一つと思って考えると、
結構嬉しい一枚だった。本当に良く私の事を見ていてくれたんだなって。先輩が気に入っ
てくれるのなら……もし、こっそり壁紙とかにして楽しんでくれるんだとかだったら、何
かすごくこそばゆい気分で、転げまわってしまいそうだ。
「まあいいや。安心しろ。変な事には使わないから」
 私が返したスマホを、先輩は早速弄り始める。私は気になって覗き込もうとするが、先
輩は何故かしっかりブロックして見せてくれなかった。
『ちょっと。こっそり何やってるんですか? やましい事じゃないんだったら、ちゃんと
私にも見せて下さいってば』
「すぐ終わるから。よし、これでオッケー、と。ほれ」
 先輩の背中越しに必死で覗き込もうとしていた私に、先輩はもう一度スマホを差し出した。
『全く、一体何を……って、えええっ!?』
 画面を見ると、ツイッターが開いていた。ウチの部で取ったアカウントのページである。
最新の書き込みにはこう書かれていた。
【ウチの売り子ちゃんの最新画像うpしたお】
 そして、画像を開くとまさに今、私が選んだ写真がでん、と画面に大きく映し出された。
早速リツイートの書き込みが表示される。
【おお。可愛いっすねwww】
【撮影おkなんだよね? 買いに行こうかな(・ω・)ノ】
【口元からこぼれてる水エロスwwwww】
【マジ天使だ】
【こんな可愛いメイドさんに笑顔向けられるだけで死んでもいい】
 これ以上見ていられず、私はグッとスマホを握り締めると、先輩に向けて怒鳴り声を上げた。
4654/4:2013/06/02(日) 22:43:41.46 0
『何やってるんですか先輩―っ!!』
「ちょっ!? 何怒ってんだよ。い、言ったじゃん。宣材に使うって。つか、結構評判い
いんだぜ。これ見て買いに行こうっていうお客さんも増えたし、立派に貢献してると思う
んだけど……」
 怒れる私にタジタジとなりつつ、先輩が言い訳がましく答える。それで私は、さっき理
解出来なかった言葉の意味を知った。
『つまり宣伝材料って事ですね。先輩にとって私はお店の売上アップの為の道具だってそ
ういう事なんですよね?』
「いやいやいや。俺にとってっていうか、売り子の仕事がそもそもそれじゃん。でなきゃ
何の為にコスプレしてやってんだか分かんないし…… ていうか、学祭関係って結構写真
上げられてるし、何でそこまで怒るんだか……」
『怒りますよ。こんな風に勝手に人の写真を人の目に晒すような真似して…… もういい
です!! 先輩が私のことどう見てるんだか、よっく分かりました!!』
 さっきまでの幸せな気分なんて、もう完全にどこかに吹き飛んでいた。
『あれこれ考えて損しました。先輩にとって私ってそれだけの存在でしかないって…… 
もう知りません!! 先輩のバカッ!!』
 何かもう無性に悲しくて、私はいても立ってもいられずに、早足でその場から立ち去っ
た。途中行き会う人に声を掛けられたような気もしたが、振り返る余裕なんてありはせず、
人気のない学生会館まで辿り着くと、そこで私は立ち止まって壁に両腕をついて俯いた。
『私はただの後輩で……先輩にとってはそれしかなくって……だから全然特別視なんてし
てなくて……そうだよね……可愛い可愛いって言われて勘違いしちゃったけど…… あれ
はやる気出させる為のお世辞って言うか、客観的に見てって意味だもんね…… 私の事隙
だったら、あんな風に公に晒すような事しないもんね…… もういいんだ。もう……』
 泣きたくてしょうがないのに涙は出ず、結局そのまま、携帯で呼び出し食らうまで、私
はひたすら自分を呪い、自虐の言葉を吐き続けたのだった。


続かない
鈍い男にヤキモキするツンデレもいいものだ
466そしておまけ:2013/06/02(日) 22:45:13.47 0
「すみませーん」
『あ、はいっ!! お好み焼きですか? それとも写真ですかぁ?』
「いえ。この写真の子とお願いしたいんですけど、今いないんですか?」
『ごめんなさい。今ちょっと休憩中で…… えっと、今は私が代わりなんですけど』
「何だ。いないのかぁ…… じゃあ、また来ます」
『すみません。宜しくお願いしまーす』
「あの、お好み焼き買ったら、この子と写真取れるって……」
『あ、あの彼女は今休憩中で代わりに私が――』
「ごめんなさい。これって後からでもオッケーなんですか? もう買っちゃったんですけど……」
『うー…… それじゃあ、証明の紙書きますから、後でこれ持って来て下さい』
「わかりました。じゃあ」
「あのー。写真の子、まだですか? 代わりはいらないんだけど」
『ふ……ふふふふふ…… かなみ!! かなみ!! かなみ!! どいつもこいつもかな
み!! 何でよ!! 何であの子を認めてこの私を認めない!!』
『ちょっ!! 広恵ちゃんが壊れたーっ!!』


終わり
広恵先輩に幸あらんことを……
467ほんわか名無しさん:2013/06/02(日) 22:56:26.60 0
happy endはよ
468ほんわか名無しさん:2013/06/02(日) 22:59:36.21 0
この流れだと先輩への執念を得たかなみと、かなみのフリする広恵しか想像できないぞw
469ほんわか名無しさん:2013/06/03(月) 16:31:12.40 0
お題
つ・質問するととても迷惑そうな顔をするが、その割りに懇切丁寧に教えてくれるツンデレ
4701/2:2013/06/03(月) 20:35:47.27 0
そんなことよりちょっと俺の話聞いてくれよ

優しく風が吹き抜けて夏、俺はツンデレと映画鑑賞としゃれこんでたの

というのもツンデレ絵に描いたような眼鏡寡黙美少女でさ

俺が喋ってもそっけない態度で、いつも退屈そうなの

だからツンデレに飽き飽き嫌気さされないように色々催しを考える訳

その中でも映画上映会が俺好きでさ、長い時間ツンデレの隣にいれるし

当のツンデレも映画観るの好きって言うから休みの日なんかはどちらかの家でじっくり映画三昧よ

なら今回は熱いアクション物観てたんだけど

ツンデレがカッコよく戦ってる女優について一言申してさ

女優と自分の顔を比べて羨ましがったり欲しがったり

特に太い眉毛に強い劣等感を持ってるみたいで細い眉に生まれたかったって

でも俺そんな太眉含めてツンデレ好きだから、正直に自分の気持ち伝えたの

そしたらツンデレ伏し目がちにテレビに向きなおって、ため息ついたり手遊びしたり心此処にあらずって感じ

それからというもの、自分に自信持てたのかツンデレ少しだけ明るくなった兆しでさ

自分から先に喋りかけたりしてスキンシップとってくるようになったの、って話
4712/2:2013/06/03(月) 20:37:22.74 0
そんなことよりちょっと私の話聞いてほしいんだけど

優しく風が吹き抜けて夏、私はアイツと映画鑑賞としゃれこんでたの

というのも私絵に描いたようなガリ勉根暗ブスでさ

私と一緒にいて変な噂立てられたらアイツに悪いから嫌われるように振舞ってるの

でもアイツそんなの全然気にしない素振りでさ、私に気を使って色々楽しい事してくれる訳

その中でも映画上映会が私好きでね、口を開かなくても不自然じゃないし

アイツも映画通って言うから面白いの見繕ってもらってのんびり映画の世界に浸るの

なら今回は激しいアクション物観てたんだけど

それの女優さんがとってもカッコよくてさ

整った目鼻立ちに凛々しい眉毛、私の腫れぼったい眉とは大違いだわ

なんて愚痴ってたらアイツ私の顔覗き込んで

俺はお前の眉毛好きだよ、ってほっぺに手置いて親指で眉なぞってきてさ

初めて異性に触れられてちょっとびっくりしたけど、アイツに褒められて嬉しくなったの覚えてる

それからというもの、ほっぺ撫でられたあの感触をもう一度経験したくてさ

また気兼ねなく触ってほしくて、アイツ限定で、軽く肩や背叩いて挨拶するようにしてんの、って話
4721/2:2013/06/03(月) 20:38:06.00 0
そんなことよりちょっと俺の話聞いてくれよ

太陽照りつける真っ青な空の下、俺はツンデレと田植えの手伝いしてたの

というのもツンデレの親父さん兼業農家やっててさ

俺の家の米も毎年作ってもらってるの

いつもは俺のお父さんが手伝ってたんだけど今年仕事で行けないってんで俺が行かされたの

そんで重たい苗やら肥料やらを運んだりしてさ

茶碗より重たいもん持った事ない俺にはしんどい仕事だったの

それでもう無我夢中で手伝ってたらツンデレから飲み物と弁当の差し入れ

ふと腕時計見てみたら昼回っててさ、時間経つのやけに早く感じたね

して喉潤おして腹満たして、日が傾くまで手伝い頑張った訳

それで田植え終わって、親父さんの軽トラの荷台にツンデレと二人乗って揺られて帰路に着いてさ

今日の頑張りを労って欲しくてツンデレの前に力こぶを作ってみせたの

したらツンデレ俺のパンパンに張った二の腕マッサージしてくれてさ

家に着くまでゆっくり続けてくれて、おかげで疲れも綺麗に取れて大助かり

それからの事、なんかツンデレの親父さんにえらく頼りに思われてしまったらしく、来年も手伝う羽目になりそうなの、って話
4732/2:2013/06/03(月) 20:38:40.18 0
そんなことよりちょっと私の話聞いてほしいんだけど

太陽照りつける真っ青な空の下、私はアイツと田植えの手伝いしてたの

というのも私のお父さん兼業農家やっててさ

ご近所さんに作った米売っててアイツん家もお得意さんなの

したらば今年はアイツが田植え手伝いに来てくれてさ

重たい苗やら肥料やらを運んだりしてくれて、やっぱ男手があると助かるね

でもアイツ体力ないからすぐへばっちゃってゼーハー言いながら段取りしてさ

それでも必死こいて作業してくれてるし、お昼も近いことだし飲み物と弁当持って休憩するよう言ったの

したらアイツ待ってましたって飛んできてさ、あっという間に完食しちゃって

田植え再開してアイツも慣れてきたのか手際良くなってね、日が傾くまで手伝い頑張ってくれた訳

それで田植え終わって、お父さんの軽トラの荷台にアイツと相乗りして田んぼ道帰ってたの

したらアイツ、今日は疲れたよ、ってこれ見よがしに腕まくりして力こぶ作ってさ

慣れないことしてくたびれたろうし私は入念に揉みほぐしてあげたの

ならアイツはすっかり病み付き、結局家に着くまでマッサージ強要されてさ

その日の夜、荷台での出来事お父さんにバッチリ見られてしまったらしく、誤解解くの本当に大変だったわ、って話
474ほんわか名無しさん:2013/06/03(月) 21:22:00.59 O
あなたの書く物語はツンデレも男も幸せそうで本当に好きだ……GJ!!
475ほんわか名無しさん:2013/06/03(月) 21:36:42.14 0
>>473
GJ
4761/2:2013/06/03(月) 21:46:23.89 O
・被害者なのに加害者をかばうツンデレ


 ―――パチンッ


友子「あーっ!? ちょっとタカシ何してるのよ!!」ザッ
男 「……へ? あ、友子」
友子「あんた今かなみの頬っぺた叩いたでしょ!」
女 「ちょ、ちょっと友ちゃん! どこから見てたのよ!」
友子「あんたたち二人のことを見てない時なんかないんだから! 女の子に暴力振るうなんて最低よ!」
男 「なんか誤解しとるみたいだけど、暴力なんてトンでもないぞ」
友子「じゃあ今のは何よ! 納得いく説明できるもんならしてみなさい!」
女 「あのね友ちゃん。落ち着いて聞いて?」
友子「なぁに? かなみは黙っててよ!」
4772/2:2013/06/03(月) 21:50:17.55 O
女「今のは、頬っぺたに蚊が止まってたから、タカシに叩いてもらっただけ」
友子「……えっ、そうなの?」
男 「遠目に見てたら気付かなかったろうけど、それはそれは優しくソフトタッチに叩いたのだよ」
友子「マジで?」
女 「……残念だけど」
友子「……デジカメの解像度が低いから見間違っちゃった、てへー☆」タタッ
男 「あ、逃げた」
女 「そそっかしいわね、友ちゃんも……」
男 「一体いつから後つけてたんだ、あいつ……」
女 「気にしたら負けよ」
男 「だなぁ。にしてもお前、俺のことかばうとは思わなかったわ」
女 「友ちゃんあれで思い込み激しいから、私から言ってあげなきゃ引き下がらなかったわよ」
男 「そりゃ助かる。ありがとな」
女 「ふんっ……あんたに負い目を持ちたくなかっただけよ。感謝なんて気味悪いわ」
男 「じゃあ叩いたとこ撫でてお礼に代えるわ」グリグリ
女 「なぐっ……!? それ撫でてない、グリグリしてるだけ!」
男 「気にしない、気にしない」グリグリ
女 「むがーっ!!」
男 「……」ニヤニヤ
478ほんわか名無しさん:2013/06/03(月) 21:59:45.22 0
>>471
自分にコンプレックスを持ってるツンデレさんはいいなあ
479ほんわか名無しさん:2013/06/03(月) 22:04:00.62 O
・ツンデレのツンを久しぶりに目の当たりにしてスイッチの入ってしまった男

男「ちなみー! ただいまー!」バンッ
女「(ビクッ)……なんだ、タカシか。ここはお前の家じゃないぞ……」
男「愛しのタカシきゅんが家族旅行から帰って来たんだぞ? もっとフレンドリーにしてくれよ」
女「……愛しくないし。第一、旅行中も一杯メールしてきてうざかった……」
男「だってちな、短文メールしか返してくんないんだもんよ」
女「うるさい……土産だけ置いて早く帰れ……しっしっ」
男「悔しいっ、冷たい言葉をかけられてるのに感じちゃうっ!ビクンビクン」
女「……タカシは今日もキモいなぁ」
男「キモの座ったイイ男、略してキモい男ですな?」
女「……戯れる暇があるなら……一秒でも早く視界から消えてほしい」
男「この無口娘はいざとなると口が悪いな……じゃあ最後に要件すましたら帰るよ」
女「……何の要件かしらないけど……さっさと済ませろ……」
男「じゃあ失礼して……(ギュッ)ちな分の補給を開始しますね」
女「……!?」ビクッ
男「ああああ、ちなのちっこくて抱きしめ心地のいい身体はやっぱり最高だなぁ!」
女「なっ……なっ……何をするっ……!」
男「いやぁ、なんかちなに冷たくされたら、会えなかった分までハートが燃え上がっちゃって」
女「……やだ……離せ」
男「離してほしくばお帰りタカシと言うのだ、ウェヒヒ!」
女「……絶対タカシの言う通りになんかしない」
男「じゃあ俺の気がすむまでずっとこのままでいいってことだな?」
女「……人様の玄関先で、恥ずかしい奴」ギュ
男「恥ずかしいのはお互い様だろ」ギュッ
4801/3:2013/06/04(火) 07:47:30.40 O
・男の机の上に知らない人の写真が置いてあったら

女「おーす、タカシ。お邪魔ー」
男「よう梓。入れよ」
女「相変わらず汚い部屋だねー、だらしないタカシらしいけど」
男「うっせ、茶ぁ淹れてやろうと思ったけどやんねーぞ」
女「ウェルカムドリンクくらいサービスしろよー、ケチー」
男「喧しい奴だな……今持ってくるから、そこで待ってろ」
女「はいはーい」
女「……にしてもタカシの部屋って、雑然としてるなぁ。いかにも男の子の部屋って感じ」
女「……ん?」
4812/3:2013/06/04(火) 07:49:51.66 O
女(机の上に、写真立て……しかも、伏せて置いてある)
女(なんでわざわざ隠すようなこと……もしかして、好きな娘の写真とか飾ってたり?)
女「……ちょっと見るだけなら、いいよね?」ソーッ
男「待たせたな梓!」バンッ
女「ひゃあ!?」ビクゥッ
男「なんだ、梓。面白いポーズで固まってるな」
女「な、なんだよもー! ビックリしたじゃんかー!」ドキドキ
4823/3:2013/06/04(火) 07:51:00.81 O
男「ははーん、さてはその写真立てが気になっておったところか?」
女「ち、違うし! 暇だからうろうろしてただけだし!」
男「別に見てもいいぞ。つーかむしろ見ろ、積極的に」
女「……タカシにオススメされた行動って、ろくなことになった試しがないんだけど」
男「まぁそう言うなって。ほれ」パタリ
女「うわっ……って、誰このおじいちゃん」
男「ふふふ……その写真の人はな、タイ王室九代国王、プーミポンアドゥンラヤデート国王だ!」
女「誰!?」
男「だから、タイの王様だよ。通称プミポン国王」
女「知らないよっ! なんでタイの王様の写真なんか飾ってるのさ!
男「写真立てを伏せてると見たくなるのが人情ってもんだろ? まぁ一種のトラップだな」
女「……タカシの言ってる意味が全然理解できない」
男「ふははは、ざまぁ」
女(……でも、女の子の写真じゃなくて良かった)ホッ
483ほんわか名無しさん:2013/06/04(火) 07:54:41.20 O
投下終わり。元ネタに使わせていただいたのはこちら

http://yodaredayo.blog38.fc2.com/blog-entry-54.html

ついでにこれがプミポン国王

http://imepic.jp/20130604/284320
484ほんわか名無しさん:2013/06/04(火) 18:54:16.85 0
なんで今さら涎なんだよwwww
485ほんわか名無しさん:2013/06/04(火) 19:10:31.06 O
何故と聞かれたら、プミポン国王がやたらと頭に残ったからとしか言えないなwww

あと、VIPでは見なくなったけど涎まだ2ちゃんのどっかに常駐しとるみたいだな
486ほんわか名無しさん:2013/06/04(火) 20:02:17.45 0
嫌儲かな。ストーキングスレのタブはこのスレの隣に開いてあるぜ。
487ほんわか名無しさん:2013/06/05(水) 14:21:17.16 0
お題

・たまたま or2←こんなポーズになってしまったお嬢

・決して慌てず優雅に立ち上がろうとするお嬢

・しかし直後に友達とふざけあう男が走って来て、たまたま転けてしまいました

・転けた男の手は、たまたまお嬢のお尻にジャストミートしました

・その日から男はお嬢の奴隷となりました

・休日もお嬢に付きっきりになるように命令された男

・たまに屈辱を忘れないためとの名目で、思いっきりお尻を叩くことを要求してくるお嬢
488ほんわか名無しさん:2013/06/05(水) 16:01:12.27 O
お前の中でお嬢は何なんだよwww
489ほんわか名無しさん:2013/06/05(水) 20:53:52.92 0
お嬢のお尻にジャストミート→奴隷

この展開の早さにワロスwww
490ほんわか名無しさん:2013/06/05(水) 21:06:16.63 0
しかもタッチしただけで叩いたわけではないというのに、最後の要求w
491ほんわか名無しさん:2013/06/06(木) 13:30:16.80 0
お題
つ・ツンデレが今日は一人ぼっちで留守番なのよね〜って言ったら
492ほんわか名無しさん:2013/06/07(金) 00:26:07.49 0
>>436の続き
6レス投下します


気付けば10日ほども過ぎてしまいましたが
4931/6:2013/06/07(金) 00:27:31.22 0
・風邪を引くと極度の心配性に陥ってしまうツンデレ その6

――はあ…… 緊張、するなあ……
 出来る限り目の前の仕事に集中しようとしつつ、タカシはどうしてもドアの向こうが気
になってしまっていた。
――今……部屋の中じゃ……委員長。裸なんだよな……
 ゴクリと生唾を飲み込みつつ、タカシは首を振った。
「いかんいかん。ボケッとして皿でも割ったりしたら、委員長にまた使えない奴って軽蔑
されるからな。せっかく飯作って少しはいいトコ見せられたのに、またイメージ悪くしちまう」
 今の状況を考えないよう努力しつつ、タカシはスポンジで皿を擦り続けた。汚れが残ら
ないよう、普段家でやってる時以上に丁寧に汚れを洗い落としていく。洗剤の付いたまま
の皿を指で縁まで擦って、タカシは頷いた。
「よし。まあこんなものかな。後は濯いで、と……」
『別府君』
 水道から水を流そうとしたところで、静花の声が部屋の中からした。ドキリと体を反射
させてから、タカシはドアの向こうに向かって答えた。
「ちょっと待ってくれ。今行くから」
 水道から水を流し、食器は後回しに手だけ流してからタオルで拭き、タカシはドアを開けた。
「お待た……せ……っと」
 部屋に入った途端、視界に飛び込んできたのは、ベッドに入って掛け布団と毛布で体を
包め、腕と肩を露出させた静花の姿だった。剥き出しの白い肩と、そこから伸びる腕に、
タカシの心臓が鼓動を早める。
――ヤベェ……これはこれで、色っぽいかも……
 ついつい見惚れていると、静花の厳しい声が飛んで来て、タカシを現実に立ち返らせる。
『何やってるのよ。そんな所に突っ立っていないで、こっちに来てタオルを受け取って』
「え? あ、ああ……」
 何だか夢見心地な気分で静花の傍に近寄り、差し出されたタオルを受け取る。その間も、
タカシの視線は静花のうなじから肩、そして腕へと注がれていた。それに気付き、静花は
タオルを差し出したほうの手を肩に回し、ギュッと抱きかかえる様に隠して彼を睨み付けた。
4942/6:2013/06/07(金) 00:28:25.74 0
『なっ……何、人の事ジロジロと見つめているのよ。エッチ。バカスケベ』
「ごっ……ごめん。つい……何ていうか、委員長の白い肩が眩しくてさ。どうしても視線
が引き寄せられちゃって……」
 ここは素直に白状した方が褒め言葉になるんじゃないかと思って口に出してみる。する
と静花の視線が若干困惑したようにタカシから逸れた。
『べっ……別に、別府君に見せるために露出させる訳じゃないんだから、興味本位で見な
いでよね。それより、代えのタオルは? 準備しておいてって言わなかったかしら?』
「あ……ゴ、ゴメン。用意はしてあるけど、持ってくるの忘れた」
『何やってるのよ、もう…… いちいちまた持って戻って来たら、二度手間じゃない。こ
れで却って寒い思いして熱が上がったりしたら、別府君のせいだからね』
「だから悪かったって。とにかく、すぐ持って戻って来るからさ」
 急いで洗面所に行こうとするタカシを、静花は慌てたように止める。
『ちょ、ちょっと待ちなさいよ。その……洗面所に行くなら、これを洗濯カゴに放り込ん
でおいて』
 静花が畳んだパジャマを、片手で掬うように下から持ってタカシに差し出した。タカシ
が両手でそれを受け取ると、静花は厳しい顔つきで注文を付ける。
『畳んでるの、崩さないように気を付けてね。その……中に、下着も入ってるから……』
「え……? わ、分かったよ。気を付ける」
 大人しく頷き、タカは壊れ物でも扱うかのように注意深く持ったまま、静花に背を向け
て洗面所に向かう。リビングから出てそれを片手に持ち替え、そっとドアを閉めると、深
くため息をついた。
――この中に……委員長の下着が……
 中を見てみたい欲求に駆られてしょうがなかったが、もう一度静花の前に出た時にそれ
を隠し通せる自信がタカシには無かった。もし、知られて軽蔑されるような事にでもなれ
ば、ずっと後悔する事になると自分を戒めて辛うじて押し留める事が出来た。
――けど、触るなとは……言われてないんだよな……
 タカシはパジャマの上から、そっと押してみた。布の上からでもハッキリと分かる膨ら
みに、思わず生唾を飲み込んでしまう。
4953/6:2013/06/07(金) 00:29:26.41 0
――委員長って……意外と結構、胸あるんじゃ……
 妄想が加速し、タカシの脳裏に彼女の裸が思い描かれる。しかしすぐに我に返り、タカ
シは激しく首を振ってそれを消し飛ばした。
「やっべ。早くタオル持ってかないと……いくら布団被ってるとはいえ、裸のまま待たせ
てたら、風邪を悪化させちまう」
 そっと畳んだままのパジャマを洗濯カゴの一番上に置くと、既にお湯で濡らしておいた
タオルをもう一度蛇口からお湯を出して濯ぎ、固く絞る。それからリビングのドアの前に
立ち、中に向かって声を掛けた。
「委員長。入るよ」
『ええどうぞ。さっさと入って』
 ドアを開けて中に入る。多少急ぎ目にベッドサイドに寄ると、静花に向けてタオルを差
し出した。
「はいこれ、お待たせ」
 静花はタオルを受け取りつつ、疑わしげな視線をタカシに送った。
『……脱いだ洗濯物に変な事してないでしょうね? 中を覗いて見たり、匂い嗅いだりと
かしてないわよね?』
 思いつく限りの変態的な行為を口にすると、タカシはビクッと体を反射的に震わせたが、
慌てたように首を振った。
「だ、大丈夫だってば。中を見てもいないし、匂い嗅いだりとかもしてないから。少なく
とも、匂いフェチじゃねーし」
『そんな事知らないわよ。だって別府君だもの。どんな性癖を持っているか、分かったも
のじゃないわ』
 射抜くような視線で見つめられ、どうしたものかとタカシは視線だけを右に左に彷徨わ
せる。顔を逸らせばまるでやましい事でもあるかと疑われてしまうかも知れない。しかし、
静花を見ていると、どうしてもうなじから露出した白い肩。そしてスッと伸びる二の腕に
視線が吸い寄せられてしまう。それを見咎められてもやはり変態扱いされてしまうかも知れない。
4964/6:2013/06/07(金) 00:30:19.71 0
――つか、見えてる部分はノースリーブの服とかと変わらないのによ。何でこんなにエロ
く見えるんだよ……
 自分の体が熱を帯び、心臓の鼓動が大きくなっているのを自覚しつつ、それを悟られな
いように平然を装ってタカシは不満そうに言い返した。
「別府君だものって、どんな理屈だよ。俺、別に今まで女子の前で変な行為とかした時な
いだろ。ヤバイ本持ってるとかないし」
『当たり前でしょう。前科なんてあったら、家に上げないわよ』
 静花の言い分は全く正当だったが、それだけに納得行かない気分でタカシは言い返した。
「じゃあ、印象だけで俺が変態的だって決め付けてんのかよ。そんなの濡れ衣じゃんか」
 しかし、これにも静花は涼しい顔で答えてくる。
『決め付けてないわよ。逆に変態的じゃないとも、ね。分からないから釘を刺すのは当然
の行為じゃない? むしろムキになって否定すればするほど、疑いを掛けたくなって来る
わ』
「冗談じゃねーよ。これは男の尊厳に係わる問題だからな。特に委員長には絶対にそんな
イメージ持たれたくないし」
 不満気に言い返してくるタカシの言葉に、静花は少しドキリとした。タカシの顔を真っ
直ぐに見つつ、少しの間考える。
――何で……特に私には、何だろう? クラス委員として一緒に仕事をしている間柄だ
から? それとも……
 フッと湧き上がる期待を、静花は抑え込んだ。タカシの前では見せてはいけない顔をし
てしまいそうになったからだ。
『もういいわよ。少なくとも今の所は大丈夫みたいだし。それより、早く出て行って。で
ないと、もう一回別府君に濡らして来てもらわないといけなくなっちゃうわよ』
「あ、ああ。そうだな。じゃあ、待ってるから終わったら呼んでくれよ」
 まだ納得しない気分ではあったが、話は後でも出来る。そう思ってタカシは背を向け、
廊下に出るとドアを閉めた。それを見送って、静花は小さく吐息をつく。
『機嫌……悪くさせちゃったかな……?』
4975/6:2013/06/07(金) 00:32:40.28 O
 そもそも、タカシがそんな事をするなんて妄想を抱く事自体、自分の方がよほど変態な
のではないだろうか。そう自嘲しつつ、静花は体を覆っていた掛け布団と毛布を取り去り、
白い裸身を露わにした。最初に下半身から拭いたので、今度は上半身を拭っていく。首元
を念入りに拭いた後、肩から腕へとタオルで擦りつつ、彼の顔を脳裏に浮かべる。
――別府君……ちょっと緊張してたな。私の剥き出しの肩とか見ていたし…… もしかし
て、少し興奮してくれてたのかな……?
 自分の体を見下ろす。胸はそこそこある方だとは思うが、自信を持って大きいと言える
ほどではない。彼はやっぱり大きい方が好きなのだろうか? そんな事を考えつつ、乳房
もタオルで拭う。
――別府君がもし、私の胸を見たら……どんな反応するのかな? 動揺して背中向けちゃ
うのかな? それとも、怒るかな? 何を考えてるんだって。自分を安売りするなって……)』
 考えれば考えるほど、彼の反応が見たくてたまらなくなってしまう。
――もし、見ていいわよって言ったら……拒否されるのかな? そういう関係じゃないだ
ろって。褒めては……くれないのかな? まあ……大した体じゃないし……
 巨乳でも美乳でも貧乳でもない、ごく平均的な自分の胸を見て、静花は自信を失くす。
しかし、不安が募れば募るほど、欲求もどんどん高まっていく。
――私って……もしかして、露出狂? ううん。そんな事ない。だって……見て欲しいっ
て思ってるのは、別府君だけだから……
 前から、思いが無い事はなかった。だから、それに敏感に勘付いていたクラスの女の子
達が、タカシを派遣してきたりしたのだ。しかし、今日こうやって世話をして貰っている
と、どんどん思いが強くなっているのを、彼女は自覚していた。
『(でも……無理。そんな……いきなり、裸を晒すなんて…… 別府君にアレだけ言ってお
いて、私の方が露出狂の変態だってなったりしたら……)』
 悩みながらも手を動かす。脇の下を念入りに。それから腰までを拭いて反対も同じよう
にする。そして最後に背中に手を回そうとした時に、静花の心にフッと閃くものがあった。
――そうだ。背中……なら…… ちゃんと拭けないから、拭いてって、お願いすれば……
4986/6:2013/06/07(金) 00:34:15.84 O
 自分の大胆な考えに、さっきから高鳴っていた心臓の鼓動がさらに激しくなる。
――それなら……背中だったら、水着でも見せる箇所だもの。別に男の子に見せたって、
問題ないわ。別府君だって、その程度なら、聞いてくれるわよきっと……
 いつの間にか口の中に溜まっていた唾を、静花はゴクリと飲んだ。一度そう考えたら、
もう抑制する事は出来なくなっていた。一度完全に布団を捲り上げてから、下半身を毛布
で覆い、腰を浮かせてスカートのように巻く。それから掛け布団を引き上げて、両手で前
だけを隠し、ドアの方を向いた。
『別府君。ちょっと、入ってくれる?』


 タカシは、クラスの女子から受け取ったメールの返事をどう書こうか、悩んでいた。さっ
き、カレーを煮込んでいる最中に、お見舞い完了のメールを送ったのだが、返って来たの
は時間が遅い理由を問う内容だったり、彼女の様子(容態ではない)を問う内容だったり、
本当はまだ彼女の家にいるんじゃないかと勘繰られたり、過激なことを要求されたり、い
ずれにしても、返答に窮する内容ばかりだった。
「全く何なんだよ…… ヘタレ呼ばわりされそうだけど、とにかくもう帰ったことにしと
かないとな。報告が遅れた理由は何て書くか……? 迂闊な事を書くと、後から委員長に
殺されそうだしな…… かといって、非難浴びたくもねーし…… 何でこんな事に苦労し
なくちゃなんないんだよ……」
 多少は自分が犠牲になる事を覚悟しつつ、タカシは本文を打ち始めようとした。その時、
部屋の中から声が掛かった。
『別府君。ちょっと、入ってくれる?』
 タカシは小さくため息をついた。これでまた返信が遅れる。という事は、女子に余計な
疑いを持たれてしまう可能性が高くなるという事だ。しかし、今は彼女の求めに答える方
が優先だった。
「分かった。今行くよ」
 諦めて携帯をしまい、タカシはドアの取っ手に手を掛けて押した。静花の姿が視界に飛
び込んだ瞬間、彼は思わず驚きの声を発してしまった。
「んなっ!?」
 目の前にいたのは、上半身裸でベッドの上に座っている静花の姿だった。
499ほんわか名無しさん:2013/06/07(金) 00:35:32.27 0
こんな所で続く
500ほんわか名無しさん:2013/06/07(金) 05:49:05.26 O
続きどうなるんだ……GJ!
501ほんわか名無しさん:2013/06/07(金) 12:22:39.67 0

続きが気になって仕事が手に付かない
はよ続き
502ほんわか名無しさん:2013/06/07(金) 18:09:31.08 0
なんで俺にはこんな青春がなかったんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
503ほんわか名無しさん:2013/06/07(金) 21:00:49.00 0
おっぱいかいたよ!
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2747.jpg
504ほんわか名無しさん:2013/06/08(土) 19:07:51.98 0
>>498の続き行きます

今回は4レスで
5051/4:2013/06/08(土) 19:09:06.37 0
・風邪を引くと極度の心配性に陥ってしまうツンデレ その7

 前を掛け布団で隠しているから胸は見えないが、肩から腕、背中は完全に丸出しだ。そ
のまま立ち尽くすタカシを、静花はいささか前屈みになり、横目で睨み付けた。
『……何、ボーッと立っているのよ。さっさとこっちに来てよね』
「い、いやその……委員長。その格好は……」
 てっきり、パジャマまで全部着替え終わって、タオルを回収するだけと思っていただけ
に、衝撃は大きく、タカシは未だに目の前の彼女の姿が信じられないでいた。タカシから
自分の姿を問われた静花は、恥ずかしさに身を焦がしつつも普段の強気さのままに答える。
『好き好んで別府君にこんな姿を晒す訳ないでしょう? ちゃんと理由があるに決まって
るじゃない』
「理由? 理由って……」
『背中』
 動揺するタカシが説明を求めるよりも早く、静花は答えた。静花だって興奮して気持ち
が昂ぶってはいたが、自分で望んでこんな格好をしただけに、タカシよりは遥かに肝は据
わっていた。
『一番汗を掻く場所なのに、上手いこと拭けないのよ。両手で伸ばして擦ってみたりはし
たんだけど…… だから拭いてくれたら、スッキリするんだけど』
 ギュッと布団を押さえる腕に力を入れ、静花は横目でタカシを見た。明らかに戸惑って
いる様子だが、視線はしっかりと彼女に注がれている。
――私の体で……ドキドキしてくれているのかな? だとしたら、いいんだけど……
 期待感に、静花は胸を弾ませる。少なくとも、女の子として興味を持ってくれるのであ
れば、たとえ他の女子にそういう視線を注がれたとしてもいいとすら思う。
「え、えっと……その……マジで?」
 ようやくタカシは、言葉を発することが出来た。静花のお願いにも、まるで現実感を見
出せず、果たしてどういえばいいのか、まるで分からずに結局こぼれ出たのがこの問いだっ
た。すると、静花がタカシに向けて厳しい視線を投げかけて来る。
5062/4:2013/06/08(土) 19:10:02.87 0
『マジで……って、本気に決まってるでしょう? 何で風邪引いてるのにこんな格好して
いると思ってるの。伊達でも酔狂でも、貴方へのサービスでも何でもないの。ほら。早く
やって。それともイヤなの?』
「い、イヤとかそんな事はねーけどさ。いやその……あまりの展開に、脳が追いつかなかっ
ただけで」
 叩き出される事を恐れて、タカシは慌てて言い訳をした。まさかこんな半分夢のような
展開になるとは思いも寄らなかったが、それでも静花とのやり取りでようやくこれが現実
なんだと認識出来る。
『だったら早くして。タオル、そこにあるでしょ?』
 手が動かせないので、静花は後ろを向くとあごでしゃくってヘッドボードを示した。そ
こに、畳まれたタオルが乗っかっている。タカシが慌てたようにタオルを取るのを見て、
静花は体をずらし、背中を彼の方に向けた。
『じゃあ……お願い』
 タカシはその場に膝を付いて、静花と高さを合わせる。目の前に、真っ白い彼女の背中
があるのがまだ信じられなかった。
「(ヤベェ…… 凄い綺麗だな。触ってみたい……)」
 そう考えた途端、まるで心の中を読まれたかのように静花の声が飛んで来た。
『言っとくけど、直接手で触ったりとかしないでね。ちゃんと拭く事に専念してよ』
「わ……分かってるってば……」
 そう答えつつも、自分の考えた事が酷く罪なように感じつつ、タカシはタオルを持った
手で静花の背中にタオルを押し当てた。肩の辺りをニ、三度そうやってやると、静花から
また指示が入る。
『もうちょっとちゃんと擦って。それじゃあ、一人でやってもそんな変わらないわ』
「わ、分かった」
 今度は、僅かながらも、押し当てたタオルをそっと擦り付けるように動かす。少しやっ
てみて、静花が何も言わないのを確認してからタカシは作業を続けた。
――多分、スベスベなんだろうな…… どんな感触なんだろう……?
5073/4:2013/06/08(土) 19:11:20.22 0
 誘惑に耐え切れず、かといって静花の禁忌を破る訳にも行かず、タカシはタオルを少し
広げて薄くすると、更に折り畳んだ隙間に指を入れて、それで静花の背に触れてみた。
『――――っ!!』
 静花の背が僅かにビクッと震える。それに呼応してタカシもビクッとしたが、叱咤の声
は無かった。とはいえ、タカシは指を隙間から出すと、聞こえないよう小さくため息をついた。
――一枚ごしなら少しは感じられるかなって思ったけど……よく分かんなかったな……
 残念な気持ちと、叱られなくてホッとした気持ちと、両方を感じつつタカシは真面目に
背中を拭い続ける。その時、静花もまた聞こえないようにため息をついた。
『(別府君の指の感触がしたけど……触りたかったのかな? だとしたら……嬉しいけど……
でも、今はダメだから……)』
 今はこれが精一杯でしかない。これ以上進もうとすれば、絶対に自分の気持ちをバラし
てしまうことになる。だけど、自分が弱さを曝け出している状況でそうなるのは、タカシ
の優しさを利用しているようで、先に進む事が静花には躊躇われた。
「こんなもんでどう? まだ、拭いて欲しいところある?」
 毛布で覆われている腰の若干上まで拭き終えてから、タカシが静花に確認してきた。静
花は小さく首を振る。
『ううん。十分よ。じゃあ、それは洗濯カゴの中に入れておいてくれればいいから。ありがとう』
「い……いや。こんな事だったらいつだって……って、そういう意味じゃないけど、委員
長の役に立てるんだったら、お安い御用だから」
 そそくさと出て行くタカシを見つつ、静花は内心呟いた。
――別に……否定しなくたっていいのに。そういう意味で……
 そして、体を覆っていた布団と毛布を外すと、ベッドから出て衣装ボックスから新しい
下着とパジャマを取り出したのだった。
5084/4:2013/06/08(土) 19:16:51.11 0
「まあ、こんなものかな」
 書き終えたメールの文面を確認して、タカシは送信ボタンを押す。お見舞いを手渡した
事と、みんなからの手紙にめちゃくちゃ怒ってた事。具合を聞いたり、学校の様子を話し
たり、ありきたりなお見舞いに終始した内容だった。
「本当の事なんて書いたら、大変な事になるからな。主に、俺の命が」
 タカシに来ていた女子からのメールの文面を見れば、大体どうなるかは察しが付く。背
中のみとはいえ、体まで拭いたなんて知れたら、もはや恋人扱いは避けられないだろう。
『別府君。そこにいるの?』
 静花の声が、部屋の中から聞こえた。タカシは慌てて携帯をしまう。
「あ、ああ。今行くよ」
 部屋のドアを開けて中に入る。その時、チラリと形にならない期待が脳裏を過ぎる。さっ
きがさっきだっただけに、ドアを開けたら思いも寄らない展開が待ち受けてはしないかと。
しかし、タカシの視界に入ったのは、パジャマを着替えた彼女が普通にベッドに横たわっ
ている姿だった。自嘲交じりにため息をついてから、タカシは部屋に入る。
「どうしたの? 委員長」
『どうしたのって…… 私が服を着終えるのを待ってたんじゃないの? 別に廊下が好き
だったら、いるのを止めやしないけど』
 不思議そうに首を傾げる静花に、タカシは慌てて手を振った。
「ああ、いや。てっきり何か用でもあって呼んだのかと思ったからさ」
 静花はそれを、首を振って否定した。
『ううん。もういいわ。体も拭いたし、私……もう寝るから』
「そっか。それがいいよな」
 タカシは笑顔を見せて頷いた。それならば、自分がこの部屋にいる事は却って邪魔にな
るだろうとタカシは思う。時計を見ると、もう夜の八時を回っている。さすがにそろそろ
母親も帰って来る頃だ。しかし、タカシが屈んで荷物に手を掛けようとした時、静花がそ
れを見咎めた。
『ちょっと待って。別府君……まさか、帰るつもりなの?』


続く。
そろそろ終わるかも
509ほんわか名無しさん:2013/06/09(日) 00:42:22.08 0

このままずっと続き読みたいような、でも最後を見届けたいような
なんとも言えない気持ちになってる
510ほんわか名無しさん:2013/06/09(日) 12:47:53.18 0
久しぶりに百合なツンデレとか書いてみた

http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2748.txt
511ほんわか名無しさん:2013/06/09(日) 23:12:44.64 0
まとめてGJ!
512ほんわか名無しさん:2013/06/10(月) 09:44:13.25 0
どっちもかんわいい!
513ほんわか名無しさん:2013/06/12(水) 15:58:56.90 0
お題
つ・休日デートは何故か断り続けるツンデレ
514ほんわか名無しさん:2013/06/12(水) 22:53:54.03 0
>>508の続き4レス投下します



つか、PCから直接投下するの半年ぶりや。・゚・(つД`)・゚・。
5151/4:2013/06/12(水) 22:54:29.70 0
・風邪を引くと極度の心配性に陥ってしまうツンデレ その8

「へ……?」
 荷物を取ってから暇を告げようと思ったのだが、タカシは一度体を起こして静花を見つ
めた。何故か拗ねたような表情をしている。
「いや。だって委員長、寝るんだろ? だったら静かな方がいいだろうし、それに俺もさ
すがにそろそろ帰らないと親に説明付かないしさ」
 理由を説明しても、静花は納得した様子を見せなかった。寝返りを打って背中を向けつ
つ、非難の言葉をぶつけて来る。
『それで、私が夜中に咳の発作で苦しもうが、高熱を発して浮かされようが知った事じゃ
ないと言うのね。貴方は家に帰って暖かい風呂にヌクヌクと浸かって、ゲームやったりマ
ンガ読んだり、夜更かしして楽しむつもりなんでしょ? その間、私が苦しんでいたとしても』
「いやいやいや。帰ったら結構遅い時間だしさ。そんな夜更かししないって。大丈夫だっ
て。ちゃんと薬飲んだんだろ? ぐっすり眠って、朝起きたら回復してるって」
 自分の容態が悪くなる方にしか考えない静花に、彼は慰めの言葉を掛けるが静花は一向
に納得しようとはしなかった。
『自分が楽するために、そんな気休めばかり言ってるんでしょう? この二日ばかり、私
は咳のせいであまり眠れてないのに。仮に私が呼吸困難になって死んだとしても、その言
葉の責任取ってくれる訳じゃないんでしょ? 勝手なものだわ。貴方って本当に冷たいのね』
 まるで風邪を引いた事すら自分のせいにされそうな勢いの静花に、タカシは困って頭を掻いた。
「じゃあさ。どうすればいいんだよ、俺は。どうすれば委員長の気が済むのか、教えてくれよ」
 すると静花がもう一度寝返りを打って、タカシの方を向いた。その目が、鋭くタカシを睨み付ける。
『……本当に、別府君って酷い人よね。何となく自分でも分かっているくせに、私からお
願いさせようとするなんて。変態よ。ドSだわ』
 いわれの無い誹謗中傷に、さすがにタカシも眉を寄せて不機嫌そうな顔を見せる。
5162/4:2013/06/12(水) 22:55:00.80 0
「いや。そんな事言われたって、本当に委員長がどうして欲しいかなんて分かんないし。
推測で勝手にお節介焼くわけにも行かないだろ? 迷惑だって思われるかも知れないんだし」
 すると、静花はフンと鼻を鳴らした。
『分かったわよ。私から頼めばいいんでしょ? 本当は別府君なんかにこんな事言いたく
なかったのに…… お願いだから、ちゃんと聞いていなさいよ。こんな事頼むの……屈辱
で死にそうなんだから』
 苦り切った顔のタカシから静花は一度視線を逸らす。そして心の中でそっと謝罪する。
――本当は……屈辱なんじゃなくって……恥ずかしくて、なんだけどね
 風邪で不安なのは本当だ。治らないんじゃないかと、苦しみの中で何度も思ったことは
ある。だから、今日彼が来てくれて、あれこれ面倒を見てくれて、本当に静花は嬉しく思っ
ていた。いつの間にか、タカシに依存してしまっている自分に気付き、一人になるのがた
まらなく寂しくて怖かった。だけど恥ずかしくてそんな事を彼には知られたくなくて、こ
こまでは強がってしまったのだが、今から言う言葉が、静花の本心だった。静花は上目遣
いにタカシを見つめ、縋るように両手を差し出して言った。
『お願い……ずっと、傍にいて。一人だと……不安で怖いの。だけど別府君が傍にいてく
れれば、安心して眠れそうだから…… だから、お願い』
 打って変わって、懇願するような態度の静花に、タカシの困惑した気分はたちまち吹き
飛んでしまった。息を飲んで静花の顔を見つめる。静花もまた、普段は見せないような不
安げで頼りなげな表情でタカシをジッと見つめている。
「あのさ。ずっとって……一晩中って事?」
 念の為と思ってタカシは確認を取る。すると、静花は小さく頷いた。
『だって……夜中に目が覚めた時に……貴方がいないと、不安だから……』
「分かった」
 タカシは肝を据えた。こんな弱気な彼女を放って帰るなんて出来る訳が無かった。今こ
そ男を見せる時と、力強く頷く。
5173/4:2013/06/12(水) 22:55:40.96 0
「じゃあ、今日はここに泊まるよ。かーちゃんにはメール入れて友達のトコ泊まるって連
絡しとくから。だから、委員長は安心して眠っててくれ」
 すると、初めて静花が嬉しそうに微笑んで頷いた。伸ばした手を引っ込め、片手を布団
に潜り込ませて目を瞑る。しかし片手は下ろしたものの、そのまま布団の外に出してあっ
た。それをタカシが疑問に思うのと同時に、静花が口を開く。
『……手、握っててくれる? そうすれば……目を瞑っていても、別府君を感じられるから……』
 こんな風に彼女が甘えて来るなんて、タカシには信じられなかった。だけど、風邪を引
いていて、苦しい時間にずっと一人だったから、誰かに縋りたいのだろう。そう解釈して
タカシは両手で包み込むように静花の手を握る。
「こう?」
 静花は小さく頷く。そのまま無言で静かに呼吸を繰り返す。それをタカシは、微笑まし
く見つめていたが、ふと気になって声を掛けてみた。
「あのさ。もしかして……これも、一晩中?」
 すると、静花は今度は小さく首を振った。そして微かに答える。
『とりあえず……寝付くまででいいわよ…… だけど……握れる時は、握っていて…… 
あと……寒かったら、クローゼットの上の棚に……タオルケットがあるから……それで……』
「了解」
 手の握り方を左手だけにして、タカシはベッドに背中を預けた。携帯で親にメールを打っ
ていると、やがて静かな寝息が聞こえてきた。体を伸び上がらせて静花の顔を見る。する
とあどけない彼女の寝顔が見えた。
「何か……今日一日で、随分と委員長の印象が変わったよな…… 性格キツめのクールな
美人ってだけだったけど…… 何かやたらと心配性だったり、大胆になったり、甘えて来
たりって…… 何か……嵌まりそうかも……」
 握っている静花の手もすべすべで繊細で、小さくて柔らかくて、大切に扱わないと壊れ
てしまいそうなほど華奢に思えた。
5184/4:2013/06/12(水) 22:57:43.65 0
「俺が一生守ってやるよ。なーんて、カッコいい事が言えたらな。でも、普段の委員長に
言ったら笑い飛ばされて軽蔑されそうだけどな……」
 静花から視線を戻すと、タカシは自嘲気味に小さく笑ったのだった。


『ん……』
 カーテンの隙間から差し込む光に、静花は目を覚ました。ベッドの脇に、布団を挟みこ
んでいる圧迫を感じる。体を起こそうとした時、喉の奥がいがらっぽく感じた。たまらず
咳き込む。
『ゴホッ…… ゴホゴホゴホ!! ゴホッ!!』
 幸いに、大して酷い発作ではなく、静花は体を起こした。すると、暗い部屋のベッドの
傍に、何かがもたれかかるようにあるのが見えた。一瞬、それが何だろうか考えてから静
花は思い出す。
『そうだ……別府君……』
 握られていた左手を動かすと、タカシの手はなかった。ヘッドボードに置いたメガネを
掛けると、僅かに差し込む明かりで部屋の様子が見て取れた。彼はベッドに背を預け、体
にはタオルケットを掛けている。
『本当に……一晩中、いてくれたんだ……』
 ベッドから体を起こしても、タカシが起きる気配は無かった。時計を見ると、まだ朝の
五時半前だ。寝る時間が早かったから、目が覚めたのも早かったらしい。静花はそのまま
ベッドから降り、彼の傍に体を寄せる。寝ている彼に、普段は見せない笑顔を見せた。
『……ありがとう。私の為に……ここまでしてくれて……』
 そして、タカシの体をギュッと抱き締めると、その耳元で小さく囁いた。
『大好きだよ。いつか……勇気が出たら、ちゃんと言うから……』
 少しの間そのままジッとして、それから静花はベッドに戻った。今度は自分からタカシ
の手を握り締めて、もう一度そっと目を閉じたのだった。


本編終わり
あと後日談がありますが。

つか投下が楽過ぎるwwwずっと携帯にSSを細切れにメール送信してちまちま投下してたから
519ほんわか名無しさん:2013/06/13(木) 02:23:36.70 O
>>518
乙!
520ほんわか名無しさん:2013/06/13(木) 12:46:22.16 0
委員長可愛すぎてもうね……もうね……
521ほんわか名無しさん:2013/06/13(木) 18:41:27.66 0
ナイスニヤニヤwww
522ほんわか名無しさん:2013/06/13(木) 22:33:40.52 0
では後日談も4レス行きます
5231/4:2013/06/13(木) 22:34:28.55 0
『別府君っ!!』
 朝のホームルームが終わり、授業までの僅かな時間。一時限目の教科書やらノートやら
を出す生徒達の間を割って、静花の怒声が響き渡った。半ば予期していたタカシが身を竦
ませると、後ろの席の男子が小突く。
「ほら。早速嫁さんが怖い顔で呼んでるぜ」
「やかましいな。違うって、何度言ったら分かるんだよ。つか、お前ら絶対嵌めたろ」
 からかう友達を睨み付けるが、次の言葉を彼が発する前に、タカシは襟首を掴まれてグ
イッと引き上げられる。
「っと…… な、何だよ委員長。いきなり。すぐ授業始まんぞ」
 ワザと戸惑うフリをしつつ、タカシは暗に後回しにして欲しいと匂わせた。見舞いに行っ
た翌日。学校で彼を待っていた出来事と、熱が下がって登校してきた静花を早速取り囲ん
だ女子の群れからこうなることは予期していたが、出来れば昼休みか放課後まで伸ばした
いと、そう思っていたのだ。しかし静花は容赦なく彼を引っ張る。
『後回しになんてさせないわよ。ちゃんと事情を説明して貰うんだからっ!!』
「いや。だからそういうの逆効果で……」
 回りから囃し立てられるのは、夫婦喧嘩乙とか、仲良くしなきゃダメよとか朝から見せ
付けてくれるなーとか、そんなからかいの言葉ばかりだった。静花は周囲に厳しい視線を
向けつつも取り合うことは無く、掴んだタカシの襟首をそのまま引っ張っていく。タカシ
は後ろ様に、必死で転ばないように歩くだけで精一杯だった。教室から引き摺り出される
と、一旦手を離して解放してくれたものの、彼女はさらに廊下の隅に追い立てる。そこで
静花はタカシを壁際に立たせると、両手を勢いよく壁につけて彼を逃がさないように挟み込んだ。
「待て待て待て。委員長。近い!! 近いから!!」
 興奮して息の荒い静花の呼吸が首に掛かり、タカシは少しでも距離を取ってくれと祈っ
て指摘する。しかし彼女はキッと怖い顔で睨み付けたまま、距離を置こうとはしなかった。
『そんな事はどうでもいいわよ。それより、一体どういう事なの?』
5242/4:2013/06/13(木) 22:35:06.88 0
「ど……どういう事って……?」
『何で、貴方が一晩中私の部屋にいた事が、クラス中に知れ渡っているのよ。一体貴方、
どういう説明をした訳?』
 口から唾が飛ぶ勢いで、静花が詰問する。もっとも、予想は出来ていた事態なので、タ
カシは一つため息をつくと、携帯を取り出した。
「まあ、まずは落ち着いてこれを見てくれ。少なくとも俺が変な事言った訳じゃないって
分かるから」
 指でタッチ画面を操作して、メール送信画面を開く。タカシがクラスの女子に報告した
メールだ。静花はザッと一読したものの、さらに厳しい視線を浴びせた。
『ちゃんと当たり障りの無い報告をしたって言うのよね? じゃあ何で私達が甘い一夜を
過ごしたような展開になってるの? 知ってるんでしょ? 説明しなさい』
「いや。それは完全に尾ひれが付いたと言うか、あいつらの勝手な妄想だって。ただその……
山田の奴がさ。家の電話に掛けたらしいんだわ。八時ごろ。したら、当然誰も出なくてさ」
『別府君の親はいなかったの? 友達の家に泊まるって連絡するって言ってたわよね?』
 寝入りばなの会話をよく覚えている事に感心しつつ、タカシは頷いた。
「ああ。そしたら、じゃあもう少し仕事して来てもいいわね? ちょっと仕事が溜まり過
ぎちゃってって連絡が来てさ。親父も出張だし……」
『でも、山田君が何でわざわざ家の電話に掛けたりするのよ。そうか。友子の差し金ね?』
 静花の推測を裏付けるように、タカシは頷いた。
「ああ。次の日学校行ったら、もう大変でさ。で、泊り込んだことは隠せないなって思っ
たから、夜になって具合が悪くなったから一人暮らしだし放って置けなくて、俺から申し
出たって事にしたんだけど…… 一部、ドリンク汲んだりした事は話したけど、その程度
なら大したこと無いって思ったから。ホント、それだけなんだって」
 何とか静花の怒りが直接自分の方に向かないようにと、タカシはそれだけを願って釈明
する。彼女はガクッと諦めたように首を垂れたが、やがてパッと顔を上げると彼を睨み付
けて詰り始めた。
5253/4:2013/06/13(木) 22:35:48.74 0
『やっぱり貴方のせいじゃない。何で私の家にいつまでもいたことになってるのよ。見舞
いを終えてから別にどこか寄った事にすれば良かったでしょう? どうしてそこまで気を
回さないのよ』
「だって、そんな急な展開で上手い言い訳とか思いつけるかよ。じゃあ何処行って何して
たとかさ。最初から分かってりゃともかく、教室入った途端ワーワー騒がれてさ。下手な
嘘よりある程度の真実織り交ぜた方が、信憑性あるかと思ったんだよ」
 納得行かないとばかりに言い訳をするタカシに向けて、静花は厳しい視線を送り続ける。
『一日あったじゃない。私が来る前にキチンと収めておいてくれれば、少なくとも私がこ
んな苦労する事なかったのに。本当に別府君ってば使えないわよね。この無能』
 別に彼に腹を立てていた訳じゃなかったはずなのに、静花の言葉はエスカレートして、
自分でも意識していた訳じゃないのに厳しい言葉になってしまう。それに気付いて静花は、
タカシから離れると苛立たしげに手を振った。
『あああ……もうっ!! あの手紙といい、絶対最初っから仕組んでいたのよ。信じられ
ないわ、あのおバカたち!!』
 ニヤニヤ笑って自分を取り囲んで来た友達の顔を思い浮かべて静花は思いっきり毒づい
た。憤りを露わにする静花に、ついタカシは聞いてみたくなって、浮かんだ質問をそのま
ま口にする。
「じゃあさ。俺が……最初から断われば良かったかな? もっと強行にさ。女子で行けば
いいだろって。委員長はその方が良かった?」
 すると静花が驚いたような顔でタカシの方を向いた。咄嗟に同意しかかった時、静花の
脳裏を、二日前の夜の記憶がサアッと撫でて行く。
『そ……それは…… そこまでは別に……』
 その時、授業開始を告げるチャイムが鳴った。
『いけない。もう行かなくちゃ。別府君も』
「あ、ああ……」
 質問に対して見せた、静花の戸惑うような態度が気になりつつも、タカシは頷いた。全
く、間の悪い時にチャイムが鳴ったと思う。教室まで急ぎつつ、先に立つ静花が振り向い
て厳しく言った。
5264/4:2013/06/13(木) 22:36:24.92 0
『とにかく、当分はクラス委員の仕事以外では一切接触しないで。いずれはみんなも飽き
て噂なんてしなくなるから。それまでは絶対よ。いい?』
 良いも悪いも、静花の言葉には有無を言わせない力があった。
「分かったよ。どうせ声掛けても無視するんだろ? 質問とかもメールで送るから。それ
でいいだろ」
『そうね。そうして』
 後も見ずに頷く彼女の背中を見て、せっかく近付いた距離がまた離れていくような気持
ちに、タカシは心の底から残念な気持ちでため息をついたのだった。


後日談終わり
ツンデレとのお付き合いは難しいのです
527ほんわか名無しさん:2013/06/14(金) 09:17:26.01 0
委員長かわゆす
だが三歩進んで二歩下がった感じだなww
528ほんわか名無しさん:2013/06/15(土) 00:17:34.32 0
この進まなさ、ヤキモキ感がいいな
529ほんわか名無しさん:2013/06/15(土) 02:47:34.26 0
ああああああああああああああ
やっと解除された
みんなGJ!
ボクっ娘委員長は完結したんだな。前にお題使って貰ったから感慨も一入だったぜ!
530ほんわか名無しさん:2013/06/15(土) 09:17:37.39 0
誰も触れてなかったけど、地味に一昨日ほの板移転一周年だった件
5311/5:2013/06/15(土) 16:04:50.68 0
・ツンデレが重い荷物を持ってバスに乗ろうとしていたら 〜前編〜

『ふぅ……よいしょっと』
 バス乗り場に着き、私は担いでいたケースを地面に下ろした。
『全く……持ち運びだけは不便ですわ。この子と来たらもう』
 ケースを支えつつ、そっと撫でてから彼女はバス停に表示されている時刻表と時計を見
つめた。次のバスが来るまで、まだ十分少々ある。
『早朝だけあって、さすがに少ないですわ。いつもでしたらすぐ来るのに……』
 時間はまだ六時を回ったところだ。部活のある日でもさすがにこんなに早くはないし、
七時を過ぎれば専用の通学バスもある。だけどこんな時間では他に生徒の姿すらなかった。
もちろん、こんな大きな荷物を持って普段のバスに乗れば迷惑この上ないからこそ、こん
な早い時間にしたのだけれど。
『愚痴を言っても仕方ありませんわ。演奏会も近いのですもの。頑張らないと』
 小さく、自分に喝を入れたその時だった。
「やあ、神野さん。どうしたんだい? こんな朝早くに」
『きゃっ!?』
 絶対にこんな時間に声を掛けられることなどないという思い込みが、私に悲鳴を上げさ
せた。即座に声のした方に振り返ると、いつの間に近寄っていたのか、スーツ姿の若い男
性がすぐ後ろに立って、微笑んでいた。メガネを掛けた柔和そうな顔は良く知っている。
何故なら、私の担任教師だからだ。
『別府先生!! いきなり背後から声を掛けないで頂けませんこと? 心臓が飛び上がる
かと思いましたわ』
 驚きの悲鳴を上げた恥ずかしさから、私はつい先生を睨み付けて怒鳴ってしまった。先
生を前にすると、いつも私の調子は狂ってしまう。
「ゴメン。普通に声を掛けたつもりだったんだけど、驚かせちゃったかな?」
 素直に謝る先生に、更に私は居丈高な態度を取ってしまう。
5322/5:2013/06/15(土) 16:05:21.76 0
『全然普通じゃありませんでしたわよ。大体、先生の声は気持ち悪いんですから、声を掛
ける前に私に存在を認知させるよう、前に立つとかして頂きたいですわ。そうすれば、不
意に耳障りな音が鼓膜を穢す事なくて済みますもの』
 もちろん先生の声が汚らわしいなんて事は無い。ただ、違う意味で先生の声は私の心を
落ち着かなくさせてしまうので、抗議したい事は事実だった。
「うーん…… 気持ち悪いって神野さんに言われると、さすがにちょっとヘコむなあ。先
生も男だし。まあ、気を付けるよ。少なくとも神野さんが不快な思いをしているのを、放
っておく訳にもいかないしね」
 どこまで優しいのだろうか、この先生は。お人よしと言ってもいいくらいだと私は思う。
もっとも、もし怒らせるような事でもあれば、私の虚勢なんてガラスのように粉々に砕け
散ってしまうだろうけれど。
『お分かりになれば、それで宜しいですわ。ところで、先生はいやにお早いのですね。当
番か何かですの?』
 まさかこんな時間に人に会うなんて思ってもみなかったので、意外に思って質問すると、
先生は困ったような笑顔を見せた。
「まあ、そんなものかな。最近、自転車通学の子達の中でマナーの悪い生徒がいるらしく
て、先生達が交代で通学路をチェックしているんだ。で、今日は僕も当番って訳」
『あら、そうでしたの。でも先生が見張りじゃあ、却ってふざける生徒達が出そうですわ
ね。先生ってば、気が弱くてバカにされがちですもの』
 優しい、という事は一つ間違えるとそう捉えられることがある。別府先生は生徒から人
気もある反面、馴れ馴れしい態度を取られてしまうこともしばしばで、私は心配を悪態に
変えて伝えたつもりだった。しかし先生は、心外とばかりに首を振る。
「いやいや。神野さんは真面目で優秀だから怒るなんて事はないけどね。これでも締める
時はビシッとやれるんだよ。まあ、生徒指導の場なんて、人に見せるものではないから神
野さんが目にする機会はないと思うし、そう願いたいけどね」
 さりげなく釘を刺すところで、先生らしさをアピールしているのだろうかと思い、私は
バカにしたように鼻息をついた。
5333/5:2013/06/15(土) 16:05:53.19 0
『先生に言われなくたって、お説教されるような真似は致しませんわ。そんな事をしたら、
先生に注意する事も出来なくなってしまいますもの』
 先生と二人きりで生徒指導を受けるというのも、憧れるシチュエーションではあるが、
その代わりに先生と会話出来る機会は減ってしまいそうな気がする。それに、今更素行不
良になるというのも不自然だし。
「全く。神野さんの前だと教師の威厳なんて全くなくなっちゃうからなあ。一つ注意しよ
うとしても、十個くらい注意されて返されそうだし」
『それは先生の日頃の態度に問題があるからですわ。髪の毛に寝癖がついている。ネクタ
イが曲がっている。食べかすで服が汚れている。シャツの裾が出ている。本当にだらしな
さすぎて、見ている方が恥ずかしくなってしまいますわ。本当に、身だしなみの世話をす
る人が常に傍にいないとダメなくらいですわね』
 出来ればそれに自分が立候補したい。そう思いつつ口にするも、先生はまた苦笑して首を振る。
「そういう人がいればいいけど、なかなか僕みたいにだらしない人と一緒になってくれそ
うな人はいなくてね。それに、寝癖以外は学校で崩れる事も多いから。さすがにそこまで
はついて来てもらうわけにもいかないしね」
『それは、先生の眼鏡が曇っているからですわ。確かにそんな事では、一生見つかりそう
にありませんわね』
 自分が先生の眼中に入っていないことに苛立って、私はついつい嫌味を口にしてしまう。
しかし先生は、キョトンとした顔で顔に手をやって首を傾げた。
「眼鏡? 眼鏡なんて僕はしてないけどなあ……」
 私は一つ、呆れてため息をついた。こういう所がこの人はダメなのだと。そして、同時
にダメなところがあるほど、私が惹かれてしまう原因でもあるのだが。
『もういいですわ。とにかく、私も仕方なく注意しているのですから、これからは自分で
ちゃんとチェックして下さい。食事の後とか、おトイレの後とか』
「うん。神野さんに説教されて他の人から笑われるのも、もう勘弁だからね。気を付けるよ」
 私の説教に、先生は素直に頷く。こういう所もなんだか子供っぽくて可愛らしい。そし
て、何度言ってもなかなか直らない所も。
5344/5:2013/06/15(土) 16:06:24.38 0
「ところで、神野さんこそ今日は随分と早くないか? 部活動といっても、早過ぎる時間
だと思うんだけど」
 先生の問いに、私は地面に立てていたケースを引き寄せて示した。
『これですわ。これ』
 すると先生は、ちょっと首を傾げつつ、思案するようにケースを見つめて答えた。
「これ……って、楽器? そういえば、確か神野さんは吹奏楽部でコントラバスを弾いてたっけ」
『良くご存知ですわね』
 顧問でもないのに私の部活の担当パートまで覚えていてくれている事に少なからぬ喜び
を覚えつつ、それを隠してぶっきらぼうに答える。すると先生は当然とばかりに胸を張った。
「担任だからね。これでも、クラスの生徒達がどこの部活に所属して何をやっているかく
らいは当然覚えているよ」
『あら? じゃあ、他の方の部活も教えてくださらないかしら? 知っておられるのでし
たら、当然答えられますでしょう?』
 私は少し挑戦的な物言いで、先生に質問する。いっそ、私のしか知らなければいいのに
と内心願いつつ。しかし先生は、いともあっさりと頷くと答え始めた。
「そうだね。米倉君はサッカー部だろ? で、黒木君が野球部で、木村さんがバレー部。
あとは桜庭さんが文芸部で安田君が美術部。まあ、全部言ってもしょうがないし、こんな
ものでどうかな?」
 すらすらと答える先生に内心ガッカリしつつ、私は頷く。
『ええ。もう結構ですわ。別に担任教師なんですから、その程度の事で得意顔しないでく
ださらないかしら』
 内心の不満が抑えきれずに、つい言い掛かり的な注意をしてしまう。すると先生はいさ
さか不満そうに難しい顔で首を捻った。
「そんな得意顔してたつもりはないんだけどな。そもそも知ってて当然だって言ったのは
僕の方だと思うけど」
5355/5:2013/06/15(土) 16:07:02.73 0
『いーえ。してました。どうだ、見たかって感じで。言っておきますけれど、その程度の
事で私が先生に感心するなんてありえませんからね』
 しかし、私の尊大な態度にも係わらず、先生は何故か苦笑して肩を竦めただけだった。
「ところで、話は変わるけどさ。正直僕は、神野さんがコントラバスだって知った時は正
直、意外だなって思ったんだけど。神野さんなら……そう。例えばトランペットだとか、
フルートみたいにメインパートを担当するような楽器を選びそうだなって」
『それはどういう意味ですの?』
 先生の意図が掴みきれず、私は怪訝そうな表情を見せて聞いた。すると先生は一瞬答え
に詰まり、私から顔を逸らすと言葉を選ぶようにゆっくりと答える。
「ええと……まあ、神野さんって、ほら。華やかなイメージがあるからさ。もう少し楽団
の中心になるようなパートの方が合うって言うか……」
『つまりそれは私が目立ちたがり屋で常にセンターポジションでないと満足出来ない性格
だと、そうおっしゃられる訳ですの?』
 私の欠点である自虐的で僻みっぽい性格が出て、つい先生の発言を悪い方に捉えてしま
い、私は詰るように質問した。すると先生は慌てて両手を振って否定する。


中途半端だが後編に続く
536ほんわか名無しさん:2013/06/15(土) 19:06:42.85 0
超久しぶりに立てたよ

ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら669.7
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1371290749/
537ほんわか名無しさん:2013/06/15(土) 21:27:54.77 0
探しものしてたら落ちた
538ほんわか名無しさん:2013/06/16(日) 11:16:58.09 0
昨夜は出掛けてたから、久し振りのVIPに立ち会えなかった


後編行きます
5391/5:2013/06/16(日) 11:17:28.98 0
・ツンデレが重い荷物を持ってバスに乗ろうとしていたら 〜後編〜

「ああいや。そういう意味じゃないよ。ただ、ほら。こう、見た目の印象っていうか……
さっきも言ったけど、神野さんは華やかだし目立つイメージがあるからさ。楽団の最後部
の端っこで佇んでいるっていうのが、ちょっと意外に思っただけ。性格がどうとか、そん
な事まで考えてないよ」
『本当かしらね』
 私は疑い深い視線を先生に送る。ここで少しでも目を逸らしたら、やはり嘘だと詰って
やろうと思っていたが、先生は笑顔のまま私の顔をジッと見返していた。やがて先生の視
線に耐え切れなくて、私の方が顔を逸らしてしまう。
『ま……まあいいですわ。別に、コントラバスを選んだのは単純に好きだから……って。
それだけですもの。立ち位置とか、関係ありませんわ』
「へえ。神野さんって、ああいう低音の楽器が好きなんだ。それは僕も知らなかったな」
 意外そうな先生の言葉に、私はコクリと頷く。
『ええ。私も子供の頃はバイオリンとか習っていたんですのよ。ですけど、DVDとかで四
重奏の演奏を聴いたとき、どうしても耳が低音に行ってしまいますの。目立たないけれど、
この音がないと演奏が成立しない大切なパートですもの。それに、ジャズやポップスのア
レンジですと、指で弾く時もありますし。その時のリズム感とか、とても心地良いですわ』
「本当に好きなんだね」
 感心するような先生の言葉に、語るのに夢中になっていた私は特に考えもせずに頷いた。
『ええ。大好きですわ。コントラバスに限らず、エレクトリックベースの音色も。この間、
父の関係でプロのベーシストの方とお話しする機会がありましたけど、その方のお話なん
かも聞くとやはり低音って魅力的なんだなって再確認させられましたわ』
 そこで言葉を区切って、私はつい自分が夢中になっているのに気が付いて恥ずかしくなっ
てしまう。しかし先生は微笑ましそうに頷いているだけだった。
5402/5:2013/06/16(日) 11:17:59.83 0
「いいんじゃないかな。そこまで好きな物があるって言うのは素晴らしい事だし。それに、
話を聞いていると、実は意外なんじゃなくて神野さんの性格にピッタリと合ったパートな
んだなってのが良く分かったし」
 先生の感想にまたしても引っ掛かるものを覚え、私はさっきと同じように聞いた。
『またそういう事をおっしゃいますのね。私の性格とピッタリ合っていると言うのは、ど
ういう意味でおっしゃっておりますのかしら?』
 すると今度は先生は私の顔を真っ直ぐに見つめたまま、スラスラと答えた。
「根っ子の部分ではすごくしっかりしているという事かな。努力を他人に見せないけれど、
勉強も家でキチンと予習復習をこなして頑張っているし、見た目だって特に華美に化粧を
する訳じゃなくて、むしろノーメイクでも綺麗に見えるように髪も肌も手入れを欠かして
いないし。それにクラスでも、委員長の音無さんを時々手伝ってあげたりしてるでしょう?
自分に対しても他人に対しても、陰で支える事の重要性を大切に思っている気持ちが、楽
器の好みにも表れているのかなって」
『別にそんなの好きでやっていることですわ。というか、いやに先生、私の事をよくご存
知ですのね。気持ち悪いですわ』
 心の奥底が奇妙にこそばゆくて、変な感情が湧き上がって来てしまう。それに気付かれ
たくなくて、私は不快感だと置き換えて先生にぶつけてしまう。すると先生は弁解するよ
うに手を振ってみせた。
「ああ、その……家でのことは、この間の保護者面談でお母様から聞いたばかりだったか
ら。それに、学校で神野さんが色んな所で目立たずにサポートしているのは、見る人が見
れば気付くものだよ。神野さんがベースパートの良さに気付いたようにね」
 その言葉に、とうとう私は恥ずかしさが我慢し切れずに俯いてしまった。何とか自分の
心を平静に保てるようにと、先生の褒め言葉を打ち消す言葉を必死で探す。
5413/5:2013/06/16(日) 11:18:31.19 0
『お……音無さんは真面目すぎて一人で抱え込みすぎちゃうきらいのある子だから、つい
手伝わずにはいられないだけですわ。それに、勉強も好きでやってるだけですし……特に
英語は、海外にもお友達がいる関係で子供の頃から嗜んでしますもの。だって、せっかく
のお友達なのに、お互い言葉が分からないなんて悲しすぎますわ。それに、向こうだって
日本語を勉強しているのに、私だけ負けるわけに行きませんし』
 必死になるあまり、ついつい多弁になってしまう。先生はそれをにこやかに頷きながら
聞いていたが、私の言葉が途切れるのを待ってから、横を指して言った。
「大丈夫。そんなに一生懸命否定しなくたって恥ずかしい事なんかじゃないから。ほら。
バス、来てるよ」
『ふぇっ!?』
 慌てて先生の指した先に視線を向けると、ちょうどバスのドアが開いたところだった。
数人の客が、降車口から降りてくる。
『し……知ってましたわよ。そのくらい!!』
 必死になっていたことを悟られ、せめてもの強がりを言うと、私は楽器の入ったケース
を担ごうとする。それを先生が止めた。
「いいよ。これは僕が持ってあげる」
『い、いいですわよ。先生になんて持って貰わなくたって…… こんなところで変に紳士
的な態度を見せられても、別に嬉しくもなんともありませんわ』
「まあいいから。ほら」
 私の拒否なんてほとんど無視して、先生はケースを持ち上げて先にバスに乗り込んでし
まう。私は定期券を取り出すと、慌てて後を追った。
『全く、いいって言ってますのに…… 本当に勝手なんですからっ!!』
 先生の背中に向かって文句を言うと、宥めるような返事が来た。
「まあ、いいじゃないか。それより、いつもこんな荷物を持って学校に通ってるの? だ
としたら大変だな」
 そのまま先生は後ろの席までケースを運んで行ってしまう。もっとも、私も邪魔になら
ないよう一番後ろに座るつもりだったので、制止はしなかった。
5424/5:2013/06/16(日) 11:19:03.80 0
『まさか。演奏会が近いから、週末に家に持って帰って練習しただけですわ。それに、普
段は学校の音楽室に置かせて貰っていますけど、これは私のコントラバスですもの。他人
にどうこう言われる筋合いはありませんですし』
 一年生の私にとっては、今度の市民演奏会での演奏が初なのだから、人前で素晴らしい
演奏をしたいと思えば自然と気負ってしまう。先生は頷きつつ、ケースを最後尾の席の窓
際に置いた。
「そうか。それじゃあ頑張って練習したくなるのも当然だね。はい、どうぞ」
 先生が席を示すので、私は先生の傍を通り抜けてケースの脇の席に腰掛けた。
『お礼なんて言いませんわよ。勝手に先生がやった事なんですもの』
 フン、と不満気に荒く鼻息をついて、少し尊大な態度で席に座る。
「いいよ。僕も、お礼を言って欲しくてやった訳じゃないし。おせっかいだと思っても、
やっぱり男ならこういう時は女性を手助けしないとって、勝手に思っただけだから」
 同意しつつ、先生は私の隣に腰を下ろした。その余りの距離の近さに、私は思わず驚い
て体を後じさらせようとする。しかし、ケースと先生に挟まれて身動きの取れない状況に
なってしまっていた。
『ちょ……ちょっとお待ちなさい。何で勝手に私の横に座っておりますのっ!! 席なん
てどこだって空いておりますのに……』
「まあ神野さんと一緒に登校するなんて稀だしね。たまにはゆっくり会話するのもいいん
じゃないかって思って。それとも、教師と一緒だなんて嫌かい?」
『ううっ……』
 ズルい聞き方だと思った。先生に嫌かと聞かれて嫌ですなんて答えられる訳がない。か
といって、先生が隣に座って自分の体が興奮してしまっている事は悟られたくなかった。
『い……嫌とまでは言いませんけれど、やっぱり良くありませんわ。教師と生徒がこんな
隣同士でだなんて…… だ、誰かに誤解されたらどうなさいますの?』
5435/5:2013/06/16(日) 11:20:49.67 0
「大丈夫。僕はこの時間に乗ることも多いけど、まださすがに生徒は誰も乗って来ないか
ら。誰かに見咎められるような心配はないし。それに、担任教師として、生徒の事をよく
知ってよくのは仕事のうちでもあるしね」
 仕事と言いつつ、先生は何故かとても嬉しそうに見えた。それがまた恥ずかしくて、私
は顔を逸らして窓の外に視線を向けてしまう。膝の上で握ったままの手は、すっかり汗ば
んでしまっている。
『これ以上何を知ろうとなさるというの? さっきだって十分に私のプライベートまで知っ
てらっしゃったくせに……』
「それはあくまで、人から聞いた話でしかないからね。本人の気持ちがどうとかまでは分
からないし」
 顔は見なくとも、先生の笑顔が脳裏に浮かんで来る。今の自分の状況にドキドキし過ぎ
て、まともに回らない思考で、辛うじて私は言葉を搾り出した。
『も……もうっ!! 教師の特権乱用して女性の事を聞き出そうなんて、変態ですわ先生
は。私は絶対に答えませんからねっ!!』
 しかし、そう言ったものの、学校に着くまでの十分ちょっとの間、先生の巧みな会話に、
いつの間にか私生活の事まで口に出してしまっていたのだった。


 先生にあんな事やこんな事まで知られてしまって…… 恥ずかしかったですわ、もう……
でも……嬉しい…………


終わり
久々のお嬢
544ほんわか名無しさん:2013/06/16(日) 22:37:19.59 0
褐色まつりんという冒険
南の島に暮らす部族の酋長的な感じで
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2749.jpg


>>543
GJ
好きな事に夢中なお嬢超かわいい
545ほんわか名無しさん:2013/06/17(月) 00:11:23.27 0
>>544
これは新しいまつりんwwww
546ほんわか名無しさん:2013/06/17(月) 11:48:22.56 0
お題
つ・いつまでも古い物を大事に使っているツンデレ
547ほんわか名無しさん:2013/06/17(月) 16:05:54.29 0
小学校の頃に男からもらったシャーペンをずっと使い続けてるツンデレさんかわいい
548ほんわか名無しさん:2013/06/17(月) 20:59:41.24 0
スマホに乗り換えたら勝手が違ってしばらく書き込み出来なかったぜ

・ガラケー派のツンデレ
・男がスマホに変えたのをツンデレが見かけたら
549ほんわか名無しさん:2013/06/17(月) 21:07:59.83 0
スレチだが、スマホだとログイン制だから●かP2必須という話を聞いたんだが



規制だらけのおしんだから、書き込み出来ないのは困るんだよなあ……
550ほんわか名無しさん:2013/06/17(月) 22:47:31.41 0
>>549
ツンデレスレと素直姉妹スレのために●買っちゃったよ……
だが悔いはない
551ほんわか名無しさん:2013/06/18(火) 15:12:18.79 0
お題
つ・通販なんて邪道で欲しいものは現物をちゃんと見て手に取ってから買うものだと頑なに主張するツンデレ
5521/2:2013/06/19(水) 20:28:52.05 0
七夕でさ

俺は例年通りツンデレと浜辺に座っていたの

というのも俺達の住んでる地域、七夕にお祭りがあってさ

結構大きいお祭りなんで全国から人が集まったりするんだぜ

でも俺人混みあまり好きじゃないからさ

会場から少し離れた静かな砂浜でツンデレと花火を見上げる訳

そんで最初は熱心に夜空見上げてんだけどさ

五分も見てれば首が痛くなってくるし、毎回ツンデレと砂遊び始めちゃうの

周りの砂盛って山を作ればツンデレに崩されたり、貝殻を見つければ潮干狩りってふざけたり

そうしてひとしきり笑った後、しんみりした雰囲気になったんで砂に字書いて会話してたの

して波と花火の音が響く中で、ツンデレと一緒にいたい旨を伝えたら

上手い具合に波に文字消されてさ、ツンデレには鼻で笑われるし

やけくそになって波に消される度に、好きだ、愛してる、って書き殴ってやった

したらツンデレ哀れに思ったのか、私も好き、って治めてくれてさ

ならどちらがより愛しているか、花火の音が止まるまで言い争いになったの、って話
553ほんわか名無しさん:2013/06/19(水) 20:30:52.30 0
七夕でさ

私は例年通りアイツと浜辺に座っていたの

というのも私達の住んでる地域、七夕にお祭りがあってさ

結構有名なお祭りなんで観光客がいっぱい集まったりするの

でも私人混みあまり好きじゃないからさ

会場から少し離れた静かな砂浜でアイツと花火を見上げる訳

そんで最初は夢中で真っ黒な空見上げてんだけどさ

五分も見てれば満足してもて、毎年アイツと砂遊び始めちゃうの

砂地のカンパスに絵を描けばアイツに蛇足入れられたり、手に砂かぶせて砂風呂ってふざけたり

そうしてひとしきり笑った後、しっとりした雰囲気になったんで筆談で会話してたの

して波と花火の音が聞こえる中で、アイツ私が好き的な書き込みしてさ

それが漫画みたいなタイミングで波に消されるし、アイツには悪いけど失笑しちゃってね

それなのにアイツ波にもめげず私にもめげず、好きだ、お前が欲しい、って何回も愛の告白してきてさ

そんなひたむきな姿勢にちょっとときめいて、私も好き、って言っちゃった

したらどちらがより愛しているか言い争いになってさ、気がついたら祭り終わってた、って話
554ほんわか名無しさん:2013/06/19(水) 21:37:40.19 0
貴殿は俺を萌え殺したいのか
GJすぐる
555ほんわか名無しさん:2013/06/19(水) 23:03:38.53 0
いい青春してるじゃねえかwwww
556ほんわか名無しさん:2013/06/20(木) 11:38:44.60 0
お題
つ・ツンデレに惜しかったねって言ったら
557ほんわか名無しさん:2013/06/20(木) 21:08:33.72 0
558ほんわか名無しさん:2013/06/20(木) 22:11:31.60 0
上腕の筋肉スゴイなw ビーチバレーしたら負けそうだ
559ほんわか名無しさん:2013/06/20(木) 22:26:28.66 0
つぐももって漫画がすごく老成ツンデレさんで良い
5601/5:2013/06/21(金) 00:28:57.53 0
・お酒を飲むと嘘つきになるツンデレ その1

「疲れた…… やっと帰れたよ……」
 ワンルームマンションの階段を、のたのたと上りつつ、俺は安堵と疲労の入り混じった
呟きをする。
「でも、これでようやく休みだし……あとはビール飲んで寝るだけっと……」
 玄関に鍵を差し込んで回すと、俺はドアのレバーを押して引いた。すると、真っ暗なは
ずの家の中から何故か明かりが漏れている。
「……あれ? 俺、今朝電気点けっ放しにしちまったかな……?」
 僅かに首を捻る。しかし、その疑問はすぐに解消した。玄関に、ヒールが一足、ちょこ
んと並んでいるのが目に入ったからだ。
「あのヤロ……」
 一応、携帯を取り出して確認するが、着信もメールも履歴はない。すぐにスーツのポケッ
トに戻すと、俺は革靴を脱いで廊下に上がり、まっすぐ部屋へと向かいドアを開けた。
「おい」
 部屋の中には、肩まで伸ばしたロングヘアの若い女が、タンクトップにショートパンツ
というラフな格好でクッションを乗せた座椅子に座ってテレビを見ながらくつろいでいた。
リビングボードの上には、すでにグラスに注がれたビールが置いてあり、つまみのチーズもある。
『やっと帰って来た。お兄ちゃんってば、遅すぎ』
 そう。これが彼女ならまだ華もあるが、残念ながらこいつは妹に過ぎない。睨み付ける
妹に、俺は呆れてため息をついた。
「何が遅すぎ、だ。勝手に入って人んち自由に使いやがって」
 すると妹は、心外という顔をしてすぐ傍に置いてあった鍵を示す。
『勝手にって、失礼な。合鍵をくれたって事は、勝手に入って自由に使っていいよってい
うお兄ちゃんの意思表示でしょ? あたしがそんな風に非難される謂れなんてないと思うけど』
 勝手な言い分に、俺は頭を掻いた。
5612/5:2013/06/21(金) 00:29:28.69 0
「あのな。確かに、先に入っててもいいように合鍵は渡した。だけど、今は携帯って便利
なもんがあんだろが。電話なりメールなりで断わりを入れることくらい出来るだろ? 先
に家に入ってるのと無断で家の中に入り込んでるんじゃ天と地の差があんだぞ?」
『いーじゃん、別に。兄妹なんだから、固い事言いっこなし。それより、あたしに勝手に
入られると困るものでも置いてあるとか? どーせ、エッチなものでしょ。お兄ちゃんっ
てば、ドスケベだから』
 意地の悪そうな顔をして追求する妹を、俺はウザそうに手で払う。
「お前がちょくちょく来る事知ってて、そんなもんを見えるところに置くかよ。大体今は
ほとんどパソコンだしな。お前が勝手に見れないようにガードくらい入れてあるっての」
『持ってないことは否定しないんだ。エッチ』
 妹とはいえ、女の子からのその一言にはいつだって内心若干の動揺を感じる。しかし俺
は、平然を装って言い返した。
「別に、男なんだからむしろ全く興味ないほうが不健全だろ。それにお前に知られる事自
体は何とも思わないけどな。お前って根掘り葉掘り漁った上に、人の好みのジャンルにつ
いてねちっこく聞いて来るじゃん。あれが鬱陶しいんだよ」
『フーン。そんな事言ってさ。実は妹ものとかだから知られたくないんでしょ? ヘンタイ』
 非難するというよりからかうような口調の妹に、俺はありえないと首を振った。
「バカいえ。大体、妹のいる奴ってのは大抵そっちには興味が無いんだよ。リアルを知り
過ぎてると、冷めて興奮出来ないからな」
『……何だ。そなんだ……』
 負けじと言い返してくるかと思った妹が、何故か沈んだような声を出した。
「は? どういう意味だよ?」
 つい、不審に思って聞くと、若干拗ねた顔で、妹は顔を逸らし視線を落とす。
『……そっちの方に興味持っててくれてたら良かったのにな……』
 その表情が憂いを含む。しかし、追求したくなる気持ちを、俺は咄嗟の判断でグッと抑
えた。すると妹が顔を上げた。僅かに潤んだような目で俺を見つめる。頬が上気して、赤
味を帯びていた。
『お兄ちゃん……あたしね…… あたしは……お兄ちゃんの事が……』
5623/5:2013/06/21(金) 00:30:02.11 0
 微かな声で、何かを訴え掛けようと途切れ途切れに言葉を続ける。しかし、俺はなお様
子を窺い続ける。ここで下手に動いてはダメだと。すると途端に妹の表情が一変した。
『なーんてね。ウソ』
 軽くベッと舌を出して、しかめっ面をする。
「そんなもん、分かってるよ。最初っから」
 当然とばかりの態度を取る俺に、妹は不満そうに俺を睨み付けた。
『ウソでしょ? 顔見てれば分かるもん。内心ドキドキしてたくせに。やっぱり妹に欲情
してたじゃない。ヘンタイ』
「してねーっつの。いつお前が嘘だってバラすか、様子窺ってただけだって。お前の下手
くそな演技に騙される訳ないだろが」
 俺の言葉を聞いて、妹は悔しそうに顔を歪ませる。もっとも、下手くそというのは嘘で、
それと知らない奴が迫られたら信じてしまうくらい真に迫ったものだったが、挑発しよう
とわざと言ったのだ。
『そんな事ないもん。絶対お兄ちゃん動揺してた。顔見れば、何か我慢してる感じだった
もん。本当は欲情してたくせに。嘘つき。ドスケベ。ヘンタイ』
 これ以上は何を言っても聞く耳持たないだろう。だから俺はいちいち否定する代わりに、
諭すような口調で話しかけた。
「あのな」
『何よ?』
 不満気な妹を、負けじとジロリとにらみつける。
「何回もやってりゃ、最初からバレるに決まってるだろが。いい加減、アルコール入った
ら嘘つくのは止めろよな。舞衣」
 その言葉は確かにとどめになったようで、妹――舞衣は、無言で俺をしばらく睨み付け
ていたが、やがて体ごとそっぽを向くと、グラスに半分ぐらい残っていたビールを一気に
ぐいっと呷った。
『もういいよ。お兄ちゃんってば、ホントつまんないんだから』
 苛立たしげに、ビシバシとテレビのリモコンを押してチャンネルをあちこち変える。
「アホか。お前のワンパターンの嘘に付き合ってやれるほど、俺は暇じゃないっての」
 悪態をつくと、舞衣は鬱陶しそうに振り向きもせずに、手でシッシッと払う。
『分かったから。早く着替えてシャワー浴びて来てよね。お兄ちゃんと一緒にお酒飲みた
くて、ずっと待ってたのに全然帰って来ないんだもん。ホント、遅いんだから』
 グチグチと文句垂れる舞衣に、つい俺は罪悪感に駆られて謝ってしまった。
5634/5:2013/06/21(金) 00:30:33.65 0
「そっか。悪かったな。っつっても、連絡してくれりゃもう少し早く帰れたんだから、今
度から来る時はメールでもいいから教えてくれよ。そうすれば、待たせたりしないから」
 すると舞衣は、パッと元気良く体ごと俺に振り向いて笑顔を見せた。
『アハッ!! 引っ掛かった引っ掛かった!!』
「は?」
 何を言われたのか分からず思わずキョトンとすると、舞衣はとても嬉しそうで意地悪そ
うな表情をしてみせた。
『あたしがお兄ちゃんを待ってる訳ないじゃん。帰って来なかったら帰って来なかったで、
勝手にベッド借りて寝ちゃうもん。ここって都内から帰るの面倒な時に止まるのに便利だ
から泊まってるだけで、別にお兄ちゃんはいてもいなくてもどっちでもいいんだから』
 舞衣の宣言に、俺はグッと歯を噛み締めた。
「くっそ、このヤロー……」
『ヘヘヘン。まーだまだ、甘いよね。お兄ちゃんは』
 得意がる妹に、俺は敗北を認めざるを得なかった。
「ちくしょう。今のは騙された。正直に認める」
 すると舞衣は、うんうんと頷き立ち上がった。
『素直で宜しい。それじゃあ、シャワー浴びて来て。何かおつまみ買って来たの? お兄
ちゃんがシャワー浴びてる間に、簡単に用意しちゃうからさ』
 こんな生意気な妹だが、料理とか出来て家庭的なのは兄としてみてもポイントは高いと
思う。俺は妹に手に持ったスーパーの袋を差し出した。
「飯は軽く食ったからさ。こんなもんしか買って来てないぞ」
 袋の中を見た舞衣が、ちょっと驚きの声を上げた。
『うわ。プレモルとか買って来てるし。お兄ちゃん贅沢しすぎ。給料安いくせに』
「うるせーな。安くたって学生のバイト代より全然貰ってるんだし、仕事で遅かった日く
らい贅沢したってバチは当たらねーよ」
 舞衣は缶ビールを袋から出すと、そのまま冷蔵庫にしまい、更に中を漁る。
『あとは、ごぼうの唐揚げにサーモンのお寿司4貫とお豆腐……これもちょっと良いヤツ
だ。ホント、軽めだね』
 妹の感想に俺は頷く。
5645/5:2013/06/21(金) 00:32:01.89 0
「まーな。さすがにこの時間でガッツリしたものは太るからな。といっても、ビール買っ
てる時点でダメなんだろうけど」
『どれどれ?』
 するとおもむろに、舞衣が人のベルトの上辺りに手を当てて来た。
「お、おい。人の腹触るの止めろって」
 俺の言う事など聞く耳持たず、舞衣はクニクニと指で腹の脂肪を探ってから手を離した。
『んー…… まだ大丈夫だと思うけど、腹筋とかして引き締めた方がいいと思うよ。あた
し、お兄ちゃんが裸になった時にお腹がポテッとしてたらヤだからね』
 どことなく甘えた口調に演技臭さを感じた俺の心が警報を鳴らす。
「アホか。何でお前に裸を晒す必要があんだよ。いらん心配すんなっての」
『べっ……別に心配はしてないけどっ!! みっともなくて妹として恥ずかしいってそれ
だけだからっ!!』
 どうやら、今回は事前に回避出来たらしい。俺はひとまず安心した。
「ま、俺だって中年太りは嫌だからな。時間が出来たらジムと行く事にするよ」
『頼むわよ。デブの兄なんて、世間に顔向け出来ないんだから』
 そのまま廊下に備え付けのキッチンに舞衣がつまみを運んで行くのを見つつ、俺はクロー
ゼットの中に入れた衣装ケースから下着とスウェットを取り出す。
「じゃ、シャワー浴びて来るからさ。あと、包丁とか使うなよ。酔っ払ってんだからさ」
『まだ全然飲んでません。たかが金麦二本だけだし』
 若干苛立たしげに否定する舞衣を尻目に、俺は風呂場へ向かう。脱衣所にある洗面台に、
また舞衣の化粧品が増えているような気がして俺はため息をついた。
「何つーか、だんだんアイツの物が増えてる気がするんだよな……」
 さっき、舞衣が座っていた座椅子とクッションも自前のものだ。大学生の舞衣は、今は
郊外のキャンパスに実家から通っていて、都内に用事がある時だけ顔を出すが、来年から
は都内のキャンパスになる。そうなったらますます入り浸るつもりじゃないかと不安に思
いつつ俺はワイシャツを脱いで脱衣カゴに放り込もうとして、中に入っているピンクのフ
リル付きの布地に気付いた。


続きます。一応4回程度を予定
565ほんわか名無しさん:2013/06/21(金) 01:28:35.23 0
いいなぁこういうの。続き楽しみにしてる
566ほんわか名無しさん:2013/06/21(金) 20:14:14.94 0
お題
つ・寝ぼけて夢と現実の境目の区別がつかなくなったツンデレ
567ほんわか名無しさん:2013/06/22(土) 02:56:57.58 0
サクッと嘘つきな妹の続き行きます

長めの8レスで
5681/8:2013/06/22(土) 02:57:27.95 0
・お酒を飲むと嘘つきになるツンデレ その2

「おい、舞衣!!」
『うるさいな。すぐ傍なんだから、大きな声出さないでよ』
 脱衣所のカーテン越しに舞衣の声が聞こえる。傍にいるのを確認して、俺は文句をぶつけた。
「人の洗濯カゴの中に下着を入れとくなって、前も言ったろ? 持って帰って自分で洗濯しろよ」
 小言を言うと、即座に不満気な返事があった。
『汚れ物持って電車乗るのイヤだって前も言ったじゃん。いいでしょ? どうせお兄ちゃ
んだって洗濯するんだし、一緒にやっといてよ。あ、ちゃんとネットに入れてね』
 さも当たり前のように言う舞衣に、俺は不満をぶちまける。
「あのな。人に物をお願いするのに、その当然みたいな態度は何なんだよ? それにお前
くらいの年になったら、男物と一緒に洗濯されるの嫌がったりするんじゃないのか?」
『別にあたしは構わないし。お兄ちゃんこそ何でそんなに嫌がるのよ? あ、分かった。
妹の下着に欲情しちゃいそうで怖いんでしょ?』
 からかう様な舞衣の口調を、俺はバッサリと切り捨てる。
「アホか。何で妹の下着に欲情しなくちゃならないんだよ。そもそも妹関係なく俺は下着
フェチじゃないから、単体には欲情しないっての。やっぱ、綺麗な女の子が着けててなんぼだろ」
『そんな事言ってごまかしてるけどさ。あたしのブラジャー持って、おっぱいの触り心地
どうなんだろうなって、手の平で包み込むようにカップを揉んだりさ、パンツの股間を広
げて染みが付いてないか確認したり、匂い嗅いだり舐めたりとかしちゃうんじゃないの?』
「ないない。あり得ないから」
 否定しつつ、むしろそんな妄想が出てくる舞衣の方が変態だろと内心愚痴る。するとそ
こで、会話に間が空いた。少しの間無言で、それから些か沈んだ舞衣の声が、カーテンの
向こうから聞こえてくる。
『……そうなんだ。ないんだ……』
 俺は、慌てて返事をしようとはせず、静かに一つ深呼吸をする。舞衣の声色に騙されて
はいけないと、自分を戒める。すると案の定、今度は明るく弾んだ声がカーテンを貫いて来た。
5692/8:2013/06/22(土) 02:57:59.08 0
『なーんてね。ドッキリしたでしょ?』
「するかよ、バカ。そんな見え見えのブラフに引っ掛かるわけないだろ」
 呆れた声を出しつつ、俺は僅かに顔をしかめた。もちろん、嘘だと分かってはいたけれ
ど、内心僅かに動揺したのは自分が一番よく分かっていたからだ。
『ウソ。お兄ちゃんが緊張して息を飲むのが聞こえたもん。一瞬信じちゃったクセに。ド
スケベ。ヘンタイ』
「アホか。さっきから同じパターンの繰り返しだろが。この酔っ払い。大体、騙す為にし
ろ、自分の下着をそういうことされるって妄想するお前の方が変態なんじゃねーの?」
 わざとあざけるような調子で逆襲すると、さすがに舞衣もカチンと来たらしく声を荒げた。
『だっ……誰が変態よっ!! お兄ちゃんのしそうな変態行為を考えたらそうなっただけ
だっての。女の子にそういう目で見られてるって自覚しなさいよ』
「だからさ。そういう行為を思いつく時点で変態だろって事。普通の子ならそういう具体
的な行為までは思いつかないんじゃないか?」
 わざと勝ち誇ったような声を上げる俺に、舞衣が唸り声を上げた。
『ううううう〜〜〜〜〜っ!! ひ、人を変態扱いするお兄ちゃんなんてだいっ嫌いなん
だから!! こうなったら、お兄ちゃんのおつまみにこっそり洗剤混ぜてやる。中毒になっ
て死ねばいいんだわ。フン!!』
 どうやら返り討ちに成功したらしい。そう確信した俺は、毒づく舞衣を放置してズボン
を脱いだ。その時、スーツのズボンを掛ける場所が無い事に気付き、俺は手にズボンを引っ
掛けると舞衣を呼ぶ。
「おい。悪いけどさ。これ、ハンガーに掛けてクローゼットにしまっといてくんないか?
さすがにカゴに追いとく訳にもいかんし」
『知らないわよそんなの。自分でやんなさいよね。あたしを使うな』
 自分がやり込められた事にまだ苛立っているのか、舞衣は即座に突っ撥ねてきた。しか
し、もちろん言う事を聞かせる手は考えてある。
「いいのか? 俺、今パンツ一枚なんだけどさ」
『なっ…………!?』
 小さく驚きの叫び声を上げたかと思うと、次の瞬間、舞衣は立て続けに罵りの言葉を吐き出した。
5703/8:2013/06/22(土) 02:58:30.17 0
『何考えてんのよ!! このバカ!! 露出狂!! いいから貸しなさいよね。絶対出て
来んなっ!!』
 カーテンの隙間から腕を出すと、あっという間にズボンがひったくられた。
『もう信じられない!! お兄ちゃんの痴漢っ!!』
 クローゼットへと向かう妹の荒い足音を聞きつつ、俺はたかが下着姿に動じるほど男に
免疫がなくて大丈夫なのかと思いつつ、シャワーを浴びるのだった。


「フゥ…… スッキリしたあ……」
 最後にもう一度、タオルで髪をゴシゴシと擦ってから、俺は洗面所を出る。
『お兄ちゃん、遅い。どれだけシャワー浴びるのに時間掛けてるのよ』
 部屋に入るなり、舞衣の文句が飛んで来る。既にベルキューブをつまみに一杯やってい
る。グラスに入っているのはビールではなく、どうやら焼酎のソーダ割りらしい。ちなみ
に、俺の部屋に常備してある芋焼酎はほぼ舞衣に独占されているといっていい。
「ちゃんと洗って来なきゃそれはそれで汚いとか文句言うだろが。何にでも難癖つけようとすんな」
『男臭いお兄ちゃんは、それはそれで好きなんだけどな』
 シレッと言いつつチーズをポンと口に放り込む舞衣を睨み付けて、俺はうっかり文句を言い返す。
「ふざけんな。ついこないだは汗臭い近寄ってくるなさっさとシャワー浴びろ徹底的に消
毒殺菌しないと許さないとか言ってたじゃねーか。都合のいい事ばっか言ってんなよ」
 すると舞衣が顔を上げて嬉しそうな笑みを浮かべた。
『やった。騙された。バーカバーカ。あたしがお兄ちゃんの臭いなんか好きな訳ないじゃ
ん。ヘヘヘ。ブイッ!!』
 可愛らしく勝利のVサインまでする舞衣に、俺は顔をしかめて舌打ちした。
「アホ。今のはどう考えたって疑ってたじゃねーか。騙されてはいないって」
『あー、負け惜しみ。あたしの言葉をウソだって思ってなかったから言い返したクセに。
悔しいからって認めないのは男らしくないよー』
 舞衣は缶ビールのタブを引き上げた。プシュッという音とともにフタが開くと、舞衣は
俺のグラスにビールを注ぐ。
5714/8:2013/06/22(土) 02:59:01.52 0
『ほらほら。負けを認めて大人しく座りなさいよ。せっかく準備してあげたんだからさ』
 リビングボードの反対側には、俺の座椅子にクッションが敷かれて置かれており、準備
万端整っている。
「ちぇっ。何とでも言ってろよ」
 本気で舞衣が俺の臭いが好きだなんて信じてはいなかったけど、どうせこのまま言い続
けても堂々巡りになるだけなので、捨て台詞っぽい言葉を吐いて俺は座椅子に座った。
『はい。かんぱーい』
 舞衣が自分のグラスを掲げたので、俺もグラスを持ち上げて舞衣のグラスの高さまで上げる。
「乾杯っつったって、お前もう一杯どころか出来上がってるじゃないかよ」
『細かい事は言いっこなしだって。はい』
 舞衣の手の動きに合わせて俺はグラスを僅かに傾け、杯を合わせる。カチン、という音
がしたかと思うと、舞衣は口元にグラスを引き寄せてクイッと呷る。半分くらいまで飲ん
で、フウッと吐息を漏らした。
『うん。やっぱり美味しい。ビールも好きだけど、やっぱりお兄ちゃんとこで飲む炭酸割
りが一番好き』
「全く、どこの飲兵衛だよ。酒飲むのもほどほどにしとかないと、男にモテないぞ」
 正直、舞衣の飲みっぷりは女子大生というよりおっさんに近い。それを指摘すると舞衣
は眉をしかめて歯をむき出した。
『余計なお世話っ!! ほら、お兄ちゃんも飲んで、食べて。せっかく手を掛けてあげたんだから』
 卓上には、色々とおつまみが置いてある。ごぼうの唐揚げはそのまま温めただけだが、
サーモンの寿司にはマヨネーズが綺麗に波打って掛けられてあり、豆腐は何やらバジルや
らゆかりやら色とりどりの振り掛けがなされており、さらにオリーブオイルらしきものが
掛けられている。他にも枝豆やら縦半分に切ったちくわの真ん中にマヨネーズを乗せてオー
ブントースターで焼いたものもある。
「何か、和洋混ぜ合わさった感じになってるな」
『有り合わせで作ったんだからしょうがないでしょ? それにお兄ちゃん、マヨラーだか
らと思ってそっち系の増やしたんだから』
5725/8:2013/06/22(土) 02:59:40.49 0
「ま、確かにマヨは好きだけどな。じゃあ、せっかくだしちくわから貰うか」
 箸を取って、ちくわを摘み上げると口に運ぶ。多少冷めてはいるが、焦げ目の付いたマ
ヨネーズに醤油をかけたちくわは美味い。
『どお? 美味しい?』
 舞衣の問い掛けにとりあえず頷きだけで返してから、俺は口の中の物を飲み込み、ビー
ルを一口呷った。
「ああ。家にいた時から好物だったからな。これ」
 すると舞衣は、これ以上ないといった笑顔を見せた。
『良かった。お兄ちゃんに喜んで貰えて。お兄ちゃんの為に美味しい物作ろうと思って、
頑張ったんだから』
 喜びを露わにする舞衣に、俺はジロリと疑わしげな視線を送った。
「お前な。さすがにそれはわざとらし過ぎるだろ。ウソも過剰になると、さすがに白々しくなるぞ」
 すると、何か言い返してくると思った舞衣が一口焼酎を僅かに口にすると、グラスを置
いて顔を背け、俯いた。
『だよね…… やっぱ、こういう事言っても、信じてもらえないか』
 どこか諦めたような、しょんぼりした口調に俺は訝しさを覚える。
『ハァ…… 今のは……結構、本気だったんだけどな…… まあ、信じて貰えないだろうけど……』
 俺は無言で舞衣をジッと見つめた。多分嘘だろうとは思っている。けれど、万が一、と
いう可能性も絶対ないとは言えない。だから俺は、自分から何か言うのは止めて次のアク
ションを待っていた。しばらく伏目がちに俯いていた舞衣だったが、不意に肩を震わせて
クククッと声を漏らした。
『あー、もうダメ。何お兄ちゃんってば真剣な顔で見てんだか。ウソに決まってるでしょこんなの』
「当たり前だ。信じるか、バカ」
 何故かホッとして、俺はビールを呷ると手酌で注いで枝豆を口に放った。
『ウソ。何か困ったような顔してたもん。ちょっとは期待しちゃったんじゃないの? ど
うなのよ。ほらほら』
 悪戯っぽい追求を、俺はシッシッと手で払う。
5736/8:2013/06/22(土) 03:00:11.33 0
「先に下手な事言うと、お前の思うつぼになるからな。様子見てただけだよ。つか、期待っ
て何だよ? 訳わかんない事言うな」
 すると舞衣は、両足を揃えて正座のような姿勢に座り直し、ズイッと顔を近付けて来た。
『だってさ。まだ二十歳のうら若い乙女が、こんな夜中にこんな薄着で部屋にいるんだよ?
男子なら誰だって期待しちゃうんじゃないの?』
「妹じゃなければな。それも、たまになら少しは緊張もするけど、月に二度も三度も押し
かけられりゃ、何とも思わなくなるわ」
 俺はつい、チラリと視線を舞衣の顔から下に落とす。普通にしていれば体にフィットし
ているタンクトップの襟元が緩み、僅かに胸の谷間まで見えている。舞衣に気付かれない
うちにと、俺は急いで視線を戻した。
『へー……? 無理してんじゃなくて?』
 疑わしそうな視線を向けられ、俺は知らん顔で否定する。
「当たり前だ。お前だって別に若い男の部屋に上がり込んでるなんて気分は微塵も持って
ないだろ? それと同じだって」
『そんな事ないわよ。あたしをお兄ちゃんと一緒にしないでってば』
 不満気に言って、舞衣は姿勢を戻すと足を崩し、肩膝を立てて抱え込むと焼酎をグイッ
と呷って飲み干す。それからまた新しい炭酸水を開けると、1:3の割合で割ってかき混
ぜる。カラカラという氷の音に混じって、舞衣の呟きが聞こえた。
『あたしは……結構意識してんだけどな。お兄ちゃんのこと……』
「嘘だって言うんだろ。どうせ」
 思わせぶりな舞衣の発言をばっさりぶった切ると、舞衣はさも不満気に俺を睨み付けた。
『どーして嘘だって言い切るのよ。ホントかもしれないじゃん』
「お前、さっきからそういう顔してる時は全部嘘だからな。さすがにバレるって」
 そう指摘しつつ、豆腐を木のスプーンで掬って食べる。オリーブオイルを掛けた豆腐っ
てのもちょっとオリエンタルな雰囲気で面白いなと思いつつ二口目を食べようとすると、
舞衣がその皿をスッと引いてしまった。
『確かにお兄ちゃんを騙そうと思ったのはホントだけど、全部がウソって訳でもないんだ
から。一応意識はしてんの。お兄ちゃんが変態な目であたしを見てるかどうかとか。万が
一にも間違いでも犯されたらたまったもんじゃないし』
5747/8:2013/06/22(土) 03:00:43.70 0
 俺はその言葉に内心舌打ちをしたい気分だった。なら、さっきみたいにわざと胸元を見
せるようなポーズを取ったり、露骨に太ももを強調するようなポーズを取ったりするなと
言いたい。そもそも格好からして無防備だし。しかし、それを口に出すと却って意識して
る事を教える事になってしまうので、俺は別の切り口から指摘した。
「そういうなら、せめてだらしない姿勢は何とかしろ。片足立てたまま飯食ってる奴に偉
そうに言われたくないぞ」
 すると舞衣は、渋々といった顔で立てた足を戻し、胡坐を掻く。
『うるさいな、お兄ちゃんはもう。偉そうに小言言わないでよ。お母さんじゃあるまいし』
 不満気に人から奪った豆腐を、俺と何故かお揃いの木のスプーンで口に運ぶ。舞衣が時々
買って来てくれる食器はオシャレでいいとは思うけど、何故いつも二つ買って来るのかは
疑問だ。別に自分のだけ買ってくればいいのにと思わないでもない。
「一応これでも年上だし兄貴だし、社会人だからな。妹のみっともないところをほっておけるか」
『余計なお世話。お兄ちゃんの前だから楽な格好してるだけで、人前ではちゃんとするもん』
 不満気に吐き捨ててもう一口、豆腐を口に運ぼうとする。その手がピタと止まって、舞
衣はジッと豆腐を見つめて思案げな顔をした。訝しく思って、つい俺は聞いてしまう。
「どうした、舞衣。豆腐に何かついてるとか?」
 すると舞衣は、小さく首を横に振った。
『あのさ。この豆腐……お兄ちゃん、食べたよね?』
「ああ。食ったけど、どうした?」
『えーと……ふ……二口……以上?』
 あごを引き、上目遣いに俺を見つめる舞衣の態度を変に思いつつ、俺は頷く。
「ああ。二口……いや。三口は食ったな。それがどうかしたか?」
『ふ、ふーん…… そ、そなんだ……』
 運びかけたスプーンを皿の上に置くと、舞衣はグラスに口をつけ、焼酎を飲む。何か妙
にそわそわした態度が気になった。
「どうしたんだよ? 俺が口つけた豆腐だと、何かまずい事でもあんのか?」
 そう聞きつつも、舞衣の態度を見ていると不快そうには見えない。むしろ照れていると
いうかそんな感じの落ち着きの無さだ。体を縮み込ませ、いかにも女の子ぶりっこした態
度で舞衣は小さく首を振った。
5758/8:2013/06/22(土) 03:01:41.85 0
『そんなんじゃないよ。ただ、その……えっとね……』
 そこでまた言葉を区切って黙り込んでしまう。そのモジモジした態度がいい加減じれっ
たくなって、俺はついつい急かしてしまった。
「何なんだよ、そのらしくない態度は。いいから言えって」
 すると舞衣は、チラッと俺を見てからまた目を逸らし、視線を落として恥ずかしそうに
小さく答えた。
『えっとね。その……お兄ちゃんと、間接キス……になっちゃったなって……』


続く
何気に雑談やらお題が少な過ぎて、レス数の割りにそろそろスレが容量オーバーになりそうな気配……
576ほんわか名無しさん:2013/06/22(土) 03:45:58.08 0
頑張りすぎだろあんたwwwwGJ!!
577ほんわか名無しさん:2013/06/22(土) 20:33:24.71 0
おったてた
ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら669.8
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1371900752/
578ほんわか名無しさん:2013/06/23(日) 11:36:29.77 0
落としてしまった。

せっかく朝まで残ってたのに(´・ω・`)
579ほんわか名無しさん:2013/06/23(日) 11:50:09.59 0
ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら669.9
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1371955034/
立てたで
580ほんわか名無しさん:2013/06/23(日) 13:10:55.51 0
落ちたか……本スレ纏さんのSSGJでした。
581ほんわか名無しさん:2013/06/23(日) 17:09:58.74 0
また落ちたか
時間悪かったかな
582ほんわか名無しさん:2013/06/23(日) 20:32:23.24 0
今更ながら本スレ27のボクっ娘GJだっぜ
天然アホの子のエロスたまらん!
583ほんわか名無しさん:2013/06/23(日) 22:21:29.37 0
>>575の続き
5レス投下しときます
5841/5:2013/06/23(日) 22:22:00.26 0
・お酒を飲むと嘘つきになるツンデレ その3

「は?」
 俺はさすがに呆れた声を上げた。舞衣のいかにも照れたしおらしい態度も演技臭くてしょ
うがない。すると舞衣はちょっと不満そうに視線を上げた。
『お、お兄ちゃんはその……意識した事ないの? 例えばさ。その……あたしが口付けた
食べ物を口にする時とかって……ドキドキしたり、しない?』
「いや。しないだろ。兄妹なんだし。お前、今までだって人のアイス一口かじったりとか
しょっちゅうやってたろ。その度に内心間接キスだーって興奮してたって言うのかよ?」
 すると舞衣は、視線を逸らしてフッと憂いのあるような表情を見せる。しばらく逡巡す
るかのように床を見つめていたが、やがて小さくコクリと頷く。
『……う、うん……ていうか、本当はさ。その……アイスが食べたかったんじゃなくて……
お……お兄ちゃんと間接キス……したかったから……』
 そこで言葉を切って、舞衣は顔を上げた。酔いが回っているせいか、顔が火照って赤く
なっている。潤んだ瞳で見つめられると、兄といえども胸がドキリと窄むような感覚に襲
われてしまう。もし俺が他の男子であれば絶対に勘違いしてしまうだろう。兄であり、な
おかつこの先に来る結末が分かっていてすら僅かに心が揺れるのだから。
『……お兄ちゃん。あのね……』
 掠れた、小さな声を出して、舞衣が机越しに顔を前に寄せて来た。俺の顔をジッと見つ
めてから視線を逸らし、しばらく何かを迷うように無言で唇をキュッと結んでいたが、や
がて迷いを振り払うかのように顔を上げた。唇の緊張を解き、ゆっくりと俺に告げる。
『……その……実はね、えっと……』
 そして深刻そうな顔が一転、悪戯っぽそうな表情になった。
『今の、全部ウソなの』
 告白を聞いた瞬間、俺はすばやく机の下で構えていた手を舞衣の額に向けて差し出すと、
指で弾いた。衝撃に舞衣の顔が仰け反る。
『あいたっ!! な、何するのよバカ兄貴っ!!』
 額を押さえ、驚きと怒りの表情で怒鳴りつける舞衣を俺は負けじと睨み返した。
5852/5:2013/06/23(日) 22:22:31.61 0
「うるせーな。さっきからウソばっかり吐きやがって。ちょっとしたお仕置きだ。お仕置
き。酔っ払ってるからって調子づきやがって。少しは反省しろ、このバカ」
『だからって暴力振るう事ないじゃない。すっごい痛かったんだから。女の子の顔なのよ?
傷がついたらどうすんのよ。責任とってくれるの?』
「痕なんて付くかって。こっちは手加減してるし、お前がウソ付くって分かってたからちゃ
んと狙いすましてやってるしな。余裕がなかったらそもそもデコピンなんてしねーよ」
『むーっ……!!』
 舞衣は不満気に唇を尖らせたまま俺を睨み付けていたが、言い返す言葉が思いつかなかっ
たのか、唸っただけでグラスを手に取ると半分くらい残っていた焼酎を一気に呷る。しか
しさすがにアルコールが鼻に付いたのか、慌てて手で口を押さえると、ゲホゴホとむせた。
「大丈夫かよ。頭来たからって一気に飲み過ぎだ。全く、可愛い子ぶってみせても、そう
いうところで粗忽なんだからな」
『うるさいなあ。お兄ちゃんに粗忽って言われたくないわよ。自分の方がよっぽどだらし
なくておっちょこちょいでいい加減な人間のクセに、人の事言う時だけは偉そうなんだから』
「だらしないとかいい加減ってのは否定しないけどな。ただ、お前みたいにドジな慌て物
ではないからな」
 口元をティッシュで拭いつつ文句を言う舞衣に、俺はちょっと勝ち誇った顔を見せる。
するとたちまち舞衣が嫌悪感を露わにした。
『ウソ付き。あたしなんかよりも何倍もやらかしてるくせに。あたしは今ちょっとたまた
ま、むせただけだし』
「へー? たまたま、ねえ」
 こういう時はムキになって反論するよりも、わざとらしく疑い深いような言い方をする
方が舞衣の神経を逆撫で出来る。案の定、舞衣はその言葉に食って掛かる。
『何よ、その言い方は。一体あたしのどこが粗忽でドジだってのよ? お兄ちゃんなんて……
スーツにスニーカーで出掛けたり、とかさ。あとは、えっと……よ、よく寝ぐせそのまん
まだったりとかさ。ドジだらけじゃない』
 考え考え、俺のダメな点を指摘する舞衣だったが、こっちの方が手札は多かった。
5863/5:2013/06/23(日) 22:23:02.86 0
「お前なんて高校の時、スカート前後ろ逆で履いてったり、慌ててて靴下が右と左で色違
いだったり、コンタクトがどこ行ったか分かんなくてしょうがないからって眼鏡掛けて行っ
たら親父のだったり、トイレにケータイ持って行っては落とすし膝小僧や足の小指はしょっ
ちゅうぶつけるし、歯磨きしたままお袋とケンカしてしゃべり過ぎたからってうっかりそ
のまま水飲んじゃうし、ショートケーキの苺を楽しみにしてカステラから食ってったら途
中で倒れて苺を床に落とすし、寿司にソース掛けて気付かずに食べて吹いたり、それから――」
『もういい。人の傷跡抉んないでよ』
 舞衣のやらかした過去を怒涛のように並べて行くと、さすがにこれには辟易したようで、
舞衣も頭を抱えた。
『これだから兄貴ってイヤなのよね。人のダメな所しか見ないんだから。これが彼氏とか
だったらさ。あたしの可愛いトコとか、気の利くところとか、いーっぱい見てくれるのに』
 都合の良い考えを口にする舞衣に、俺は手を振ってそれを一蹴する。
「アホか。そんなもん、最初だけだろ。何ヶ月か付き合えば、すぐにボロばかり目立つよ
うになるって。そんな甘い考えしてっから、二十歳にもなって彼氏の一人も出来ないんだよ」
 すると、不貞腐れるかと思いきや、舞衣は枝豆をひと房取って中の豆を口に放り込みつ
つ、素っ気無く言い返した。
『バッカじゃないの? 自分なんて二十三にもなって彼女の一人もいないくせに。大体、
こっちはいるからそういう事言ってんの。思い込みなんかじゃなくてね』
「うっそ? マジで?」
 さすがにこれには俺も驚いて聞き返した。舞衣に彼氏が出来てたなんて聞いたことがな
い。しかし舞衣は得意がるでもなく、さも当たり前のように頷いた。
『ホントだっての。リュウ君って言ってさ。話が合うから付き合い出したんだけど、彼は
あたしの事そんな風に言わないもん。ちょっとドジしたって、そういう所も可愛いって言っ
てくれるし』
 ドヤ顔になるでもなく、さりげない調子でのろける所がムカついたが、それ以上にまだ
驚きの方が強くて、俺は興味津々に聞いてしまう。
5874/5:2013/06/23(日) 22:23:54.51 0
「お前のドジっぷり見て可愛いって思えるなんて希少価値だぞそれ。どんな奴だよ? 結
構イケメンなんか? いや、それともお前の事褒めるくらいなんだから、意外と大人しそ
うな感じの子だったりとか?」
 舞衣が好みそうなタイプの男をあれこれと想像してみるが、どうも思いつかない。する
と舞衣は、初めてニカッと笑顔を見せて逆質問をしてきた。
『ヘヘヘェ。知りたい? お兄ちゃん』
「ああ。正直、かなり興味はあるね。どんな男がこんなのに引っ掛かったのかってさ」
『こんなのって、随分失礼じゃない。妹だからって、年頃の女の子捕まえて何て言い草よ。
ホント、デリカシーが欠片もないんだからさ』
 不満気な舞衣に、俺は素直に頭を下げた。今ここで舞衣に機嫌を損ねられたら、聞ける
ものも聞けなくなってしまう。
「悪い悪い。いや。客観的な目線で見れば、十分お前は可愛いとは思うよ。俺の友達だっ
てそう言ってたしさ。ただ、お前って色々と残念なところがあるじゃん。料理出来るけど、
肝心なところで失敗したり、オシャレなのに靴下の踵が擦り切れてたりとかさ。けど、今
のお前の言い方だと、そういう所も許容してくれそうな感じだったから」
 しかし舞衣は、不機嫌な表情を崩さず、首を振った。
『ほら、また余計な事言ってるし。お兄ちゃんなんかに教えたら、絶対難癖つけられるに
決まってるもん。だから教えない』
 俺は内心舌打ちした。舞衣相手に限った事じゃなく、ついつい俺は余計な一言を加えて
しまう癖がある。俺は大仰に手を振って舞衣の言葉を否定した。
「いやいやいや。さすがに会った事ない人の事まで悪く言わないって。サラッとでもいい
からさ。教えてくれよ」
『無理。絶対教えられない』
 頑なな舞衣に、俺は両手を合わせて拝み倒す。
「いや、本当に悪かったって。正直お前って、妹にしとくにはもったいないくらい可愛ら
しくて魅力的な女の子だって思ってるからさ。どんな奴がお前のハートを射止めたのか、
どうしても気になるんだよ。だから、な? 教えてくれって」
 すると舞衣は、チラリと俺に意味有り気な視線を送って来た。
5885/5:2013/06/23(日) 22:26:20.87 0
『……お兄ちゃん、今あたしの事可愛くて魅力的だって言ったよね? 本当にそう思ってる?』
 もしかして少し機嫌良くなったのだろうか? それならば押しの一手だと思い、俺は頷いた。
「もちろん。妹相手にお世辞とか、気持ち悪い事言わないって」
『本当に? あたしに彼氏の事をしゃべらせるために適当に持ち上げてるだけじゃなくて?』
「そんな事ないって。そりゃ、妹だから色々と見える部分はあるけどさ。それを含めても
十分魅力的だって思ってるからさ」
 かなり言葉に色をつけてはいるが、実際そう思っていない訳ではない。普段妹だからあ
まり感じないし、しゃべるとそういう意識も吹っ飛ぶが、客観的に見れば確かに可愛い事
は可愛いのだ。だから自信を持って主張すると、舞衣はジーッと俺を見つめて、あどけな
く首を傾げて見せる。
『本当にホント? 誓って言える?』
「ああ、本当だって。舞衣が誓えって言うなら、神様だろうが仏様だろうが誓ってやるよ」
 引くに引けず、ちょっと大げさだと思いつつも頷いてみせる。しかし、舞衣はまた少し
俺の顔を見つめていたが、視線を伏せて小さな声で言った。
『ゴメン。でも……やっぱり無理……』
「は? 何でだよ? 人にここまで言わせといて無理ってお前――」
 さすがに苛立って抗議しようとして、俺はふと違和感に気付いた。しかし、時既に遅し。
俺が言葉を失うと同時に、舞衣がこれ以上ないというくらいに嬉しそうな笑顔を俺に向け
て言い放った。
『だーって、彼氏なんていないもーん!!』


続く
昨夜のVIPは投下いっぱいあって楽しかったな
589ほんわか名無しさん:2013/06/24(月) 07:40:25.71 0
GJ
続き期待
590ほんわか名無しさん:2013/06/25(火) 00:05:55.64 0
>>588の続き8レス貰います
5911/8:2013/06/25(火) 00:06:26.22 0
・お酒を飲むと嘘つきになるツンデレ その4

「あ……」
 俺は一瞬、頭が真っ白になった。直後にしてやられた事に一気に後悔が押し寄せてくる。
しかし、どんなに悔やんでももう後の祭りだ。
『やった!! これは言い逃れ出来ないよね? お兄ちゃん、本気のほんっきで信じてたもんね』
 嬉しそうな舞衣に、俺は舌打ちしつつ片手を目に当てた。
「あ〜…… くっそう…… 話の流れから、ついうかうかと乗っちまったぜ……」
 俺自身、心のどこかでいつも引っ掛かっていた事だったから、前のめりになってしまっ
た事は否定出来なかった。それでも、他の嘘のように今までも吐いて来ていたのならまだ
警戒もしただろうが、彼氏がいるなんて嘘はこれまでにした事がなかったというのもあった。
『どう? あたしの渾身の演技。上手だったでしょ? ほらほら。大人しく負けを認めなさいよ』
「はぁ〜あ……」
 ため息をつきながら、俺は片手を上げて白旗の意思表示をした。
「お前の演技が上手かどうかは置いといて、騙されたのは事実だからな。素直にやられたっ
て認めるよ」
『やった。ブイッ!!』
 得意満面の笑顔でピースサインなんかすると、舞衣はグラスに焼酎とウーロン茶を同時
に注ぐと、グーッと一息に飲み干した。
『いやー、美味しいっ!! 勝利の後の美酒はまた格別だわぁ……』
 うっとりとした顔の舞衣を忌々しげな気分で睨み付けて、俺は負け惜しみに捨て台詞を
吐いた。
「お前な。得意がってるのはいいけど、普通その嘘って自分にダメージでかくないか? 今
は勝ち誇ってるけど、実は彼氏いませんでしたなんて、後から思い返すと痛々しくてたま
らなくなるぞ」
 すると舞衣は、イーッと歯をむき出しにした。
5922/8:2013/06/25(火) 00:06:57.48 0
『うるさいな。それはそれ、これはこれ、よ。今のあたしはお兄ちゃんを騙す事が出来れ
ば、それで十分満足なんだから』
 俺はもう一度ため息を吐くと、何ともやり切れない思いで手を頭に当てて、ガリガリと掻いた。
「全く…… そういう意地の悪い性格だから彼氏出来ないんだよ。まあ、俺相手に発散す
るのはいいけどさ。他の男にすんじゃねーぞ。友達とかならいいやって思ってるかもしれ
ないけど、見てないようで他の奴にも見られてるんだからな」
『フンだ。大きなお世話だもん。大体、悔しいからって八つ当たりでお説教しないでよ。
ホント、負け惜しみなんてみっともない』
「うるせーよ。バカ」
 憮然とした気分で罵るが、これはむしろ事実上の敗北宣言にしかならなかった。舞衣も
それを理解したのか、得意気な笑みを浮かべると、そのままリビングボードを回り込んで
俺の方ににじり寄って来た。
『ね、ところでお兄ちゃん。一つ聞いていい?』
「あ? 何だよ?」
 またどうせロクでもない事に決まっている。そう思いつつも敗者となった俺に拒否権は
なく、仕方なく乱暴な言い方で聞き返す。しかし舞衣は、俺とは正反対に嬉しそうに、し
かしどことなく興味深そうな顔で言葉を続けた。
『あのさ。さっき言った事……嘘じゃないよね? あたしの事、可愛くて魅力的だって』
「は? 言ったっけそんな事」
 自分の言葉は覚えているが、それもこれも舞衣に彼氏がいると思い込んでの事だ。素直
に認めるのは敗北の傷口に塩を擦り込む様な気分だったので、俺はすっ呆けてみせる。す
るとたちまち舞衣が頬を膨らませた。
『あーっ!! そう言ってごまかす。男らしくないわよ、そういうの。自分が言った言葉
なんだから、素直に責任持ちなさいよね』
「だって、あんなもん詐欺にあったようなもんじゃねーか。無効だ、無効」
 シッシッと手を振って退けようとするも、舞衣はなおも退かずさらに体を近付けて来た。
5933/8:2013/06/25(火) 00:07:28.08 0
『騙されて言ったかどうかは関係ないもん。あたしが聞きたいのは、お兄ちゃんが本心か
らあたしの事をそう思って言ってくれたのかって事。ちなみに、嘘だって分かったからっ
てごまかすのは無しだからね。あの時思ってた気持ちを素直に言って』
 舞衣との体の距離が近過ぎて、俺は思わず身を引きそうになってしまう。だが、ここで
身を引くと却って押し切られそうで、俺はグッと我慢して舞衣の顔を見つめた。目が据わっ
ていて、思いの他真剣な表情だ。
「何だよ。マジな顔しやがって。ちょっと飲み過ぎたんじゃないのか?」
 すると舞衣はさらに少し体を近付けると、床に置いた俺の手の上に自分の手を重ね合わせた。
『酔ってない。お兄ちゃんの本心が聞きたいだけだってば。ほら、正直に言いなさいよ』
 顔が間近過ぎて、何だか変な気分が湧き上がるのを俺は懸命に抑えようとした。下手な
事を言えば、このまま頭突きでも食らうかもしれないが、もし逆の意味で変な答えをだし
てしまったら――
 一瞬浮かんだその想像を振り払って、俺は舞衣を見返したまま答えを口にした。
「ああ。そう思ってたよ。さっきまではな」
『何、その奥歯に物の挟まったような言い方は。はっきり言ってよね?』
 迫る舞衣に、俺は視線を鋭くした。
「さっき言った事は嘘じゃねーよ。けど、前言撤回だ。正直、可愛くねえ。憎たらしいわ」
 途端に、舞衣が俺の眉間目掛けておでこをぶつけてきた。
「いてっ!! 何すんだよ」
『誰が憎たらしいのよ。ムカつく。あったま来る』
 俺から体を離すと、ベーッとしかめっ面で舌を出した。それから一転、笑顔になる。
『けれど、さっきの言葉が本気だって言うなら、それはそれで嬉しいな。お兄ちゃんから
ってのがちょっと微妙だけど、でも可愛いとか魅力的って言われれば喜ばない女子はいないから』
「正直、もう少し素直で悪戯好きじゃなかったら、そうも思えるんだけどな。今のお前は
ダメだ。憎たらしさの方がでかいわ」
 確かに、笑顔で喜びを見せる舞衣は妹ながら可愛いと思う。だが、眉間に残る痛みが、
その気分を全て打ち消しているのはまた事実だ。
5944/8:2013/06/25(火) 00:08:00.55 0
『ベー、だっ!! お兄ちゃんに憎たらしいって言われたって、全然、何とも思わないん
だから。言ってろ、バーカッ!!』
 何とも思わないと言いつつ、憎たらしそうに舌を出してから舞衣は立ち上がるとそのま
ま俺のベッドに転がり込んだ。
「おいおい。どさくさに紛れて何、人のベッド占拠してんだよ」
『もう眠くなったから寝るの。お酒も無くなっちゃったしさ』
 舞衣の言葉に違和感を覚えた俺は、ハッと気付いて焼酎の瓶を確かめた。すると瓶の中
身は一滴残らず空になっていた。
「お前、また飲み干したのかよ。こないだお前が全部飲んじゃったから新しく買っといた
んだぞ。まだ封も切ってなかったのに」
『エヘヘ…… だって、美味しかったんだもん…… あと、後片付けも宜しく〜…… あ
たしが準備したんだから、片付けはお兄ちゃんだよね……』
 ベッドの上で体を丸めて既に寝る体勢に入っている舞衣を、俺は恨めしげに睨み付けた。
「ふざけんなよ。人んち来て飲むだけ飲んで食うだけ食って。大体準備したって言っても、
皿の上に並べてちょこっと味付けしただけじゃねーか。片付けも手伝え」
『やーだもん。やらせたかったら、無理矢理引き摺り起こしなさいよ。その代わり訴えて
やるんだから。妹に乱暴する痴漢でレイプ魔の変態兄貴ですって』
 もはやこっちを振り返りもせず、気持ち良さそうに目を瞑ったままとんでもない事を言
う舞衣に対して、さすがに手を伸ばす訳には行かず、俺は歯噛みした。
「クソ、汚い奴だな。だから可愛げがねえって言うんだよ。こういう時はちゃっかり女を
振りかざしやがって」
『何て言われようが平気だもん。もう寝るんだから、騒がしくしないでよね…… おやふみ……』
 スーッと大きく息を吐いたかと思うと、舞衣は無言になり、静かに呼吸だけを繰り返し始めた。
「おい。まだ寝てないだろが。寝たフリはよせってば。起きろ」
 耳元で文句を言うと、舞衣は手を振って鬱陶しそうに退ける。
『寝たフリじゃないもん……寝るんだもん…… お兄ちゃんも片付けて早く寝なよ……
明日休みだからって……寝不足は……良くないよ…………』
5955/8:2013/06/25(火) 00:08:51.36 0
 徐々に声が途切れ途切れになっていく舞衣を見下ろして、俺はため息をついた。この分
じゃ、もう起きる事はないだろう。今度は残された食器を見て俺はもう一度ため息をつく。
「やれやれ。今からこれを洗うのか…… 流しに水を浸けて置いとくかな……っても、ま
た舞衣にだらしがないって怒られるしなあ……」
 諦めて仕方なく、俺は食器をキッチンへと運ぶのだった。


「よし。これで全部完了と。じゃあ寝るか……」
 舞衣にベッドを占拠されているので、座椅子の背もたれを倒してベッド代わりにし、枕
には専用の巻いた厚手のバスタオルを頭の位置に置いて寝床を完成させる。舞衣が来た時
はいつもこんな感じだ。最初は寝苦しかったが、慣れという物は恐ろしい。
「まあ、本当は寝袋とか買ったほうがいいんだろうけどな……」
 小さく、一人ごちる。ただ、それをしない理由は一つ。それをすると、舞衣が泊まる事
を公式に認めてしまうようなものだからだ。もっとも、現実問題こうやって泊まりに来て
いる以上、ほとんど意地でしかないのだが。電気を消そうとして、ふと寝入っている舞衣
に視線を向ける。
「……今日は、マジで騙されたよな。本気で彼氏が出来たと思ったから……」
 その時に感じた気分は何とも複雑だった。ホッとした気分もあり、ちょっとした解放感
のような感覚もあった。と同時に、心の中にどこか大きな穴が開いたような寂しさも同時
にあって、何とも言えない複雑な気分だった。
「まあ、俺が早く彼女を作れば、舞衣もこうやって甘えられなくなるから、真剣に彼氏作
ろうとか考えるのかも知れないけどな……」
 それが一番正しい道なのだろう。言うはやすし、だが。そう自嘲気味に思いつつ電気を
消そうとした時、舞衣が小さく呟いた。
『……やだ……』
「へ?」
 ドキリとして、俺は動きを止めて舞衣を見つめる。すると、横向きに丸まって寝ていた
舞衣が、腕を払うように上半身を捻る。
『……やめれ……バカ兄貴……』
 さらに体を反転させて逆向きに横になると、小さく寝息を立て始める。俺は緊張を解き、
ホッと一息ついた。
5966/8:2013/06/25(火) 00:09:22.34 0
「寝言かよ。全く……」
 自分でもよく分からない安堵感が襲う。舞衣の寝顔を見ると、安らかで可愛らしく、嘘
をついた時の憎たらしさは微塵もなかった。
『早くガチでいい男見つけろよな』
 舞衣に、というよりも自分に言い聞かせるように呟き、俺は電気を消したのだった。


『ん……』
 薄目を開けて、時計を見る。真っ暗な中、蛍光色に光る目覚まし時計の針は午前二時二
十分を少し回っていた。あたしは身じろぎせず、そっと耳をそばだてる。聞こえる音は時
計の秒針。そして規則正しく聞こえるお兄ちゃんの寝息。
『お兄ちゃん……』
 小さな声で、呼んでみる。返事は無い。寝息が聞こえるだけだ。あたしはベッドの上で
体を起こす。真っ暗な中、そっと足を下ろして座ると床を見下ろしてお兄ちゃんの位置を
確認する。そして立ち上がると、そっとお兄ちゃんの傍に跪いた。
『……起きて……ないよね……?』
 小声で呟き、頬の辺りをプニプニと指で押す。反応はない。耳元に口を寄せ、フーッと
息を掛けてみる。
「うう……ん……」
 僅かに呻いたが、起きる気配はない。完全に寝入っている事を確認すると、私はそのま
ま耳元で小さく呟いた。
『お兄ちゃん。今日はね。実はあたしの全勝だよ』
 もちろん、お兄ちゃんの返事はない。数拍置いて、あたしは後を続けた。
『だって……お兄ちゃんが騙された彼氏の話以外……全部、嘘っていうのが、嘘なんだもん』
 寝ているお兄ちゃんにそう告白して、私は体を起こすと笑顔でお兄ちゃんを突付く。起
きそうもないのを確信してから、私はタオルケットをめくってその中に潜り込む。そして
お兄ちゃんの体にギュッと抱きついた。泊まっている時は、もうクセになっている。兄妹
でしてはいけないこと。
『ダメだよ。彼女なんて作ったら…… あたしが、お兄ちゃんの彼女になるんだから……』
5977/8:2013/06/25(火) 00:10:00.16 0
 背後から耳元で囁く。お兄ちゃんはあたしが寝付いたと思って独り言を言ったつもりな
んだろうけど、あたしはちゃんと全部聞いていた。体が疲れてさえいなければ、お酒を入
れるとあたしはむしろ目が冴えてしまうのだ。
『……困らせちゃうよね。こんな事言ったらきっと…… だけど、しょうがないよ。好き
になっちゃったんだもん』
 お兄ちゃんの温もり。お兄ちゃんの香り。全部あたしのものにしたい。誰か他の子に取
られるなんて絶対イヤだって思う。だから同時にあたしは、いつだってお兄ちゃんのもの
になる覚悟はあるのだ。お兄ちゃんがそれを望んでくれさえすれば。
『ホント、イヤになっちゃうくらい鈍感なんだから…… お酒の力借りてるから言えるけ
ど……全部、本気なのに…… だから、騙されてくれないと……イヤなのに……』
 さっきのやり取りを思い出す。いつもは素直になれないあたしも、お酒の力を借りると
甘えて本音が言える。だけど、全部言い切っちゃうとやっぱり恥ずかしくて、嘘だって事
にしたくなっちゃうのだ。けれど最近は騙されてくれないのでちょっと面白くない。本気
で騙された嘘が、彼氏が出来たってのは笑えない冗談だと思う。もうちょっと、焦ってく
れても良かったのになと。
『本当にいいの…… あたしが彼氏作っちゃっても。もちろん、そんな気ないけどさ。け
ど……お兄ちゃんは寂しくないのかな? それとも、本当は寂しいけれど、妹だからしょ
うがないって諦めるのかな? あたしは……無理だよ。お兄ちゃんに彼女が出来たらなん
て認めたくない。絶対諦められないもの……』
 出来る限り体を密着させ、腕を前に回して強くお兄ちゃんを抱き締める。そうして何も
考えずにいると、湧き起こった不安も消えてあたしはお兄ちゃんだけを感じる事が出来た。
そのまま長いことずっとそうしていたら、さすがに眠くなってくる。ホントはこのまま添
い寝していたいけど、朝になったら言い逃れ出来無くなってしまう。だからあたしは、諦
めがつくまでそうしてから、体を引き剥がした。肘を立て、お兄ちゃんの寝顔を見つめる。
『……大好きなんだからね。お兄ちゃん』
5988/8:2013/06/25(火) 00:10:35.48 0
 そっと顔を近づけ、その頬に唇を押し当てた。本当は唇同士を重ね合わせたいけれど、
それはしちゃいけないことだ。寝ているお兄ちゃんが知らないままにキスをするのはズル
だと思う。叶わない事かもしれないけれど、それはちゃんと二人で心を通い合わせてしたかった。
『明日は……デートしようね。また甘えてわがまま言いたい放題言っちゃうけど、ゴメン
ね。先に謝っとくからね』
 耳元で囁くと、それでもまだ名残惜しくて、あたしはお兄ちゃんの頬を指でプニプニと
突付いた。ちょっと鬱陶しそうに顔をしかめるお兄ちゃんが可愛くて笑顔になってしまう。
それでようやくあたしは踏ん切りを付けた。
『それじゃあ、お休み。お兄ちゃん。夢の中でもお兄ちゃんと……ラブラブでいられるよ
う、祈っててね』
 ベッドに戻り、体を横たえる。いつもお兄ちゃんが使っているベッドだと思うと、僅か
ながらお兄ちゃんの温もりと香りに包まれたままでいられるような気になって、あたしは
心安らかに眠りにつく事が出来たのだった。


終わり
599ほんわか名無しさん:2013/06/25(火) 01:53:06.08 0
600ほんわか名無しさん:2013/06/26(水) 00:09:22.72 0
かわいい



かわいい……!!
601代行スレ736:2013/06/27(木) 06:56:18.39 0
つ・なんかよく分からないけど同棲を始めた二人
つ・毎日男の家に入り浸るツンデレ
つ・ツンデレに、全くの赤の他人から"この泥棒猫"と電話があったそうです

容量制限が近いという噂なのでツンデレのおっぱい論争をしろとのお告げが
602ほんわか名無しさん:2013/06/27(木) 19:46:32.14 0
毎回大きさばかりに気を取られてもいけないと思うのでたまにはおっぱいの形について語ろうか

かなみんは釣鐘型
ちなみんあずあずは膨らみかけ
まつりんいずみんはお椀型
みこちんかつみんは乳袋
お嬢は垂れ乳
603ほんわか名無しさん:2013/06/27(木) 19:47:52.94 0
ちなみんは板。
604ほんわか名無しさん:2013/06/27(木) 20:19:34.48 0
ない乳に顔埋めてじっとしていたい
605ほんわか名無しさん:2013/06/27(木) 21:11:30.43 O
みこちんのロケットおっぱいでビンタされたいっす
606ほんわか名無しさん:2013/06/28(金) 08:20:42.09 0
スポーツブラを卒業してブラジャー着けられるようになってひそかに喜んでるボクッ娘可愛い
607ほんわか名無しさん:2013/06/30(日) 09:52:27.02 0
物思いにふけるツンデレ!
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2754.jpg
608ほんわか名無しさん:2013/06/30(日) 15:56:50.76 0
自分を納得させようとするツンデレさんかわいい!!GJ!!
609ほんわか名無しさん:2013/06/30(日) 17:49:33.02 0
>>607
これは良いと思います
610ほんわか名無しさん:2013/06/30(日) 18:02:11.10 0
お題

・ツンデレ悪魔が『魂と引き替えに願いを叶えてやろう』と現れました。

・男は迷わず『結婚して下さい』と願いを言いました。

・『け、結婚!? ば、ばっかじゃないか、ばーか!』

・『だって、私は悪魔だぞ? 悪魔と結婚なんて……』

・『わ、解った! なんでも叶えてやると言ったのは私だし……ただし、絶対魂は貰うからな!』

・悪魔さんは人間界の習慣に悪戦苦闘しながらも、とても良い奥さんでした。

・50年後、男は寿命を迎えて、魂は悪魔に回収されました。

・『くそっ、私としたことが、1つの仕事に50年もかけてしまうとは……覚悟は出来てるだろうな!?』

・『悪魔と契約した魂が、あの世に行ったり人間に生まれ変われると思うなよ……魔界の闇のどん底まで堕として、永遠にいたぶってくれるわ! ふははははは!!』

・結果、男の魂は悪魔に転生し、ツンデレ悪魔と魔界で幸せに暮らしましたとさ。

・『だって、人間と悪魔じゃ子供出来なかったんだもん……』
611ほんわか名無しさん:2013/06/30(日) 19:18:48.84 0
>>610
これは素晴らしい
612ほんわか名無しさん:2013/06/30(日) 19:42:48.17 0
>>610
悪魔っ娘可愛いGJ!
613ほんわか名無しさん:2013/06/30(日) 23:46:51.79 O
ちなみんのわんこな一面
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2755.jpg
614ほんわか名無しさん:2013/07/01(月) 01:19:45.88 0
>>613
アホ毛振ってるの可愛い
GJ!!
615ほんわか名無しさん:2013/07/01(月) 11:55:06.75 0
>>610
この悪魔っ娘かわいいな!
GJ!!

>>613
ちなみんは猫のイメージだったが犬もあうなw
616ほんわか名無しさん:2013/07/02(火) 09:43:27.74 O
暴走ショタコンみこちんかわいい
617ほんわか名無しさん:2013/07/02(火) 11:25:17.29 0
お題
つ・ツンデレに最近俺達の付き合いマンネリ化してないかって言ったら
618ほんわか名無しさん:2013/07/02(火) 13:09:04.01 0
彼女との契約は、この先で終わりだった。終わりの見えない渡り廊下を、彼女と一緒に歩き続ける。
 永遠の渡り廊下の先にいる敵を倒すことが、彼女との契約内容だった。世界を根幹から揺るがす敵が現れた。私と契約してその敵を倒してほしいと頼まれたことが
昨日のように感じられる。
「まさか、その敵が校長だとは思わなかったよ」
「いいから、さっさと倒すわよ」
 淡い月光で満ちた空間で、かなみは面倒くさそうに答えた。真紅の着物に身を包んだ小柄な少女は、決してこちらに顔を向けようとしない。
 つきに反射して静かに光るかなみの背中は、いつもより幻想的だった。小さい背中だと思った。
「いやぁ、しかし、相変わらず目に痛い着物着てるね。おなじ着物ばっかりで飽きない?」
 かなみはため息をついて舌打ちした。
「この廊下、さっさと終わらないかしら。先は真っ暗で見えないし、あいつはこんな廊下毎日歩いてるの」
「まぁ、校長太ってるしいいんじゃない。太ってるというか、あれは人間の体系じゃなかったね。まさに、化け物って感じだった。
 それに気がつかないで、毎日登校してたんだな。どんだけ、ってやつだ」
「この学校のやつらは、クズばっかりだからしかたないんじゃない」
 自分の体にたまった余分なものを吐き出すように、鼻で笑った。
「俺の友達もいるんだから、クズなんていうなよ。たしかに、かなみにちょっかいかけるやつもいたけど、あれはかなみが好きだからなんだって」
 かなみは、髪の毛をいじるだけで何も答えない。
「本当、人間ってやつは見た目が一番だよな。なんてこった、理不尽すぎる」
「さっきから、無駄口多いわね。そろそろ、武器とか出しなさい」
「敵なんて余裕だよ。というか、校長に切りかかる自分が想像出来ない」
「校長に切りかかれば、明日から私の顔見ないで良いんだからいいでしょ。さっさと、槍をだしなさい」
「はいよ」
 自分の記憶を物質化する魔術で、槍を作り上げる。彼女との契約で手に入れた力だった。多くの敵を倒してきた、自分の武器だった。
 槍を作り上げることに2回も失敗してしまった。
「よくそれで、ここまで来れたわね。下手くそすぎてみてられない」
「昨日、ドキドキして寝れなかったからだから。大丈夫、校長なんて、すぐ倒すよ」
「苦しい言い訳だね」
619ほんわか名無しさん:2013/07/02(火) 13:09:38.17 0
 月光を掻き分けて、廊下を進む。かなみは何も口に出さない。自分も口に出さない。今の自分が何かしゃべったら、決壊してしまうだろう。
 小さい穴でもあけることは危険だった。
 体から何かが出てきそうである。さまざまな欲望が、頭を超えて体を侵食している。
「この先ね」
 突然、かなみは立ち止まった。目の前は真っ暗で、先に何かあるとは思えない。
「やっと、あのデブをつぶせるのね」
「うーん、あの校長、話は短いし好きだったんだけどなぁ。今度の校長は話し長くないといいけど」
「別に私には関係ないからどうでもいい」
 それも生徒の勤めでしょと、かなみは首を鳴らした。覚悟を決めたらしい。
「さて、さっさと片付けて、そうね」
「そうねなんだよ」
「さぁ、何も浮かばなかったわ」
 愛想笑いで答える。いい加減にこちらに振り向いてほしい。
「いくわよ」
 かなみが一歩先に踏み出そうとする。
「ち、ちょっとまった。少しくらい休憩してからいこう。歩きすぎて疲れたよ」
「むこうがその間殴りに来るかもしれないでしょ」
「そしたら戦うからさ」
「もう、ここにいたくないから行く」
 先に進もうとするかなみの手をつかんで静止させる。
「なぁ、校長くらい許してやらない?」
 その言葉に空間が死んだ。かなみはゆっくりとこちらに振り向く。
「それは、私との契約を果たさないってこと」
 かなみの目は人形のようだった。彼女の着物が赤い理由を思い出させる。
「校長も生徒のために働いてたしさ。世界くらいくれてやってもいいんじゃないかって」
「あんた、それ本気で言ってるの」
「本気だよ。だって、さ、話し長い校長来るのいや、だし」
 かなみの釣りあがった眉がさらに釣りあがる。
「まったく、すぐ敵の前にくるとへたれるんだから。今回も前回と一緒。倒すまで帰さない」
「じゃあ、帰さなくていい」
 手に持っていた槍が壊された。
620ほんわか名無しさん:2013/07/02(火) 13:11:06.17 0
「そういうの、情けないって言うの」
「情けなくていい」
「うざいわね、さっさといくわよ」
「じゃあさ」
「じゃあなによ」
「絶対消えないって約束してくれよ」
 人形のような目が悲痛に崩れる。かなみは一度深呼吸をした。
「あんた、そんなの知ってるでしょ」
「知ってるよ。だから、消えないって言わないならいかない」
「無理」
 かなみはまぶたを閉じた。
「じゃあ、かなみ」
「なによ」
「一緒に逃げよう」
「いい加減にして」
 かなみは大きくため息をついた。
「世界なんてどうでもいいよ。そんなの校長にくれているよ。でも、かなみだけは」
 顔を背けるかなみを、強引に引き寄せる。
「一緒に逃げよう。校長さえ倒さなきゃ、契約は続行だし一緒にいられる。何もかも目を瞑って、一緒に生きよう」
 世界がとまった。お互い、何も口に出せない。
 しばらくすると、かなみが顔を上げた。何の感情も読み取れない。
「あなたを送り出してくれた家族や、お嬢にダウナーを裏切ることになる。あなたは、失望される」
「あんなやつら知らない」
「二度と、話をすることは出来ないでしょう。家族からは絶縁、素直じゃない彼女たちからは絶交。どうしようもなくなる」
「べつにいい」
「逃げ癖がついて、これからの人生辛くなる。仕事からも逃げる。嫌なことがあると逃げる。そんなんでいいの」
「いい。逃げ癖なんてついても、絶対に逃げちゃいけないときに、逃げなきゃいいんだよ」
「今が、そのときでしょ」
「かなみから逃げるのが一番ダメだ」
 かなみはうつむいた。 
621ほんわか名無しさん:2013/07/02(火) 13:12:11.91 0
「まいったなぁ。やっぱり、隆にそういわれちゃうと、断れないよ」
 かなみはトンっと頭を胸に預ける。
「いいよ。もう、隆の言うとおりにする。一緒にいきちゃおっか」
 かなみの言葉に深くうなずいた。永遠の渡り廊下を引き返す。逃げといわれてもいい。快楽のが大事だ。逃げてはいけないなんて、辛い現実に
 当たったことないから言えるのだ。例え辛い現実に当たったことがあったとしても、それまで嫌な思いをしたことがなく傷を知らない。
 隆とかなみは、全てに批判されながら、生きていった。
6221/2:2013/07/03(水) 20:54:49.04 0
そんなことよりちょっと俺の話聞いてくれよ

少し肌寒いしとしと雨降り、俺はツンデレの耳たぶ触ってたの

というのも勇気を出して告白したおかげでツンデレ俺の彼女

かれこれ付き合い始めて約半年か、ツンデレが初めて家訪ねてきた時だけど

そろそろ帰るって時間に雨降りだしてね、泊まっていきなよ、ってなった訳

なら風呂上がりのツンデレ俺に背を向けて漫画に集中してさ

せっかくのお泊まり会なんだし仲良ししたくて耳たぶ摘んでみます

でもツンデレ天然サディストだから俺のちょっかい全部無視してさ

俺も意固地になって頭撫でたり肩揉んだりしたの

そして締めに思い切って抱きついてみてもツンデレ無反応でさ

俺に抱きしめられてどう思ってるか聞いても無視されるし

愛想尽かされたのかな、って寂しくて少し強く抱きしめたの

その後しばらくしてツンデレの口から、幸せ、って聞けてね

俺の独りよがりじゃなくてホッと胸を撫でおろした、って話
6232/2:2013/07/03(水) 20:55:32.96 0
そんなことよりちょっと私の話聞いてほしいんだけど

少し肌寒いしとしと雨降り、私はアイツにギュッてされてたの

というのもアイツ私にベタ惚れでさ

アイツに告白されて五ヶ月と二十日、初めてアイツん家お呼ばれされた時だけど

そろそろ帰ろうかって時間に雨降りだしてさ、帰るに帰れなくて泊めてもらうことになった訳

なら期せずしてお泊まり会になったもんだから私借りてきた猫状態

アイツの方はと言うと構ってほしくてちょっかいかけてくる感じでさ

自分の思い通りになるとアイツ図に乗るから無視することにしたの

ならアイツ是非とも私に反応してほしくて脇腹掴んだり太もも擦ったりしてさ

しまいには背後から抱きついてきて首筋に顔埋めてくんの

したらアイツ今どんな気分かしつこく聞いてきてさ

答えに困って黙ってたらアイツ、俺は好きなのに、ってため息混じりでね

いじわるに無視してたのに私の事好きって言ってくれて、それがとても幸せな事だと気付かされたの

そっからは後ろにゆっくり体重あずけて、ベタ惚れなのはアイツじゃなくて私の方でした、って話
624ほんわか名無しさん:2013/07/03(水) 23:02:25.86 0
一言ボソッとデレてくれるのって素晴らしいwww
625ほんわか名無しさん:2013/07/04(木) 03:12:32.23 0
うわああああああみんな幸せそうだなああああああああ!!!!!!

GJ!!
626ほんわか名無しさん:2013/07/05(金) 11:46:42.58 0
お題
つ・何だか世の中の不幸が自分に集中しているような気がするツンデレ
 ・ツンデレにもう終わりだよなって言ったら
6271/2:2013/07/06(土) 10:56:25.38 0
七夕でさ

俺は例年通りツンデレと折り紙の飾り切り作ってたの

というのもツンデレん家の裏山に竹生えててさ

ちょうど良いってんで中でも細いの探して綺麗に飾り付ける訳

そんで十代最後の七夕だし、こういう集まりも今年最後かな、とかうだうだ言いながら作業してさ

短冊も色々書いて準備万端

ならツンデレ結構せっかちな人間でさ

ゆっくりやればいいのに、さっさと終わらせようとするから爪と肉の間にささくれ刺さってさ

ツンデレは自分で抜ける言ってたけど、力任せに引っこ抜いて悪化したらまずいから俺が抜いたの

したら爪がじわりと赤くなって、ツンデレも指押さえて、痛い痛い、呻いてさ

俺がもっと上手に抜けばツンデレは痛くなかったハズなのに、申し訳ない気持ちでいっぱいになったの

だから痛みが治まるまで指握ってあげたの

そしたらツンデレも息を大きく吸って吐いてして痛みを抑えようと努力してさ

それでも落ち着いた頃には日付変わっててさ、ぶつくさ文句言われながら七夕の準備再開した、って話
6281/2:2013/07/06(土) 10:57:16.67 0
七夕でさ

私は例年通りアイツと折り紙の飾り切り作ってたの

というのも私ん家の裏山に竹生えててさ

ちょうど良いってんで中でも細いの切ってもらって綺麗に飾り付ける訳

そんでアイツに、こういう集まりも今年最後かな、とか寂しい事言われながら作業してさ

短冊も、世界平和、とか、伝説になりたい、とか書いて準備万端

してアイツに見つからないように個人的な短冊飾ろうとした時だけど

慌ててつけようとしたから爪と肉の間にささくれ刺さっちゃったの

そしたらアイツ自分の事の様に心配して、俺に任せろ、って棘抜いてくれてね

じれったい位丁寧に抜いてくれたんだけど、先から血が出てきて痺れる痛みがやってきたの

ならアイツ私の血塗られた指押さえてさ

優しくにぎにぎして早く静まるよう頑張ってくれたの

でもアイツ過保護だからさ、もういい、つってんのに離してくれなくて明日になっちゃってさ

せっかくアイツと恋仲になれますようにって願い事書いたのに七夕終わっちゃったじゃん、って話
629ほんわか名無しさん:2013/07/06(土) 18:07:35.46 0
>>628
仲良いなぁ……
GJ!!


容量制限近いので、線路に投下

http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2756.txt
630ほんわか名無しさん:2013/07/07(日) 22:16:39.28 O
>>628
これで付き合ってない…だと…?
天性のバカップルGJ

>>629
一生懸命なかつみんかわいいよかつみん!
631ほんわか名無しさん:2013/07/09(火) 17:13:55.68 0
632ほんわか名無しさん:2013/07/09(火) 20:53:35.82 0
着物にポロシャツって合うな……
そして勝美さんの顔がジョジョっぽく見えてしまった

GJ!!
633代行スレ740:2013/07/09(火) 22:09:14.84 0
『きゃあっ!』グラッ

「おっと、」

「大丈夫か?リナ、階段で転けたら大変だからな」

『タカシですか、助けてくれた事には感謝しますが離してくれます?もう大丈夫ですわ』

「あー、もう少しこのままでいいか?何かいい香りが………って、ゴメン!すぐ離れ『かまいませんわ』

「へ?」

『まぁ、その、お礼ですわ、助けてくれたのは事実ですし』プルプル

「ああ、ありがとう(小刻みに震えている、やっぱり怒ってるんだな、しかしいい香りだ)」

『(あぁタカシがタカシが私の項をクンカクンカしてるよぉぉぉぉ!!もっと、もっとスーハーしてぇぇぇぇ!!そのまま首筋を舐め回して押し倒してぇぇぇぇ!!)』プルプル
634ほんわか名無しさん:2013/07/09(火) 22:19:49.51 0
お嬢は変態がよく似合う
GJ!!
635ほんわか名無しさん:2013/07/09(火) 22:47:26.10 0
10分かつみん
636ほんわか名無しさん:2013/07/09(火) 22:52:42.26 0
>>635
させぬ

お題
いつもツンツンの勝気が裸エプロンでお出迎え。その理由とは!?
637ほんわか名無しさん:2013/07/10(水) 11:24:24.16 O
>>636
某友人に『好きな人に初めて手料理を振る舞う時は裸エプロンでおもてなしするのがひそかな流行りなんだって』と騙されたから
638ほんわか名無しさん:2013/07/10(水) 21:37:07.28 0
変態でないお嬢様には違和感が半端ないから変態でよろし
639ほんわか名無しさん:2013/07/11(木) 20:25:32.44 0
640ほんわか名無しさん:2013/07/11(木) 20:26:53.13 0
イカれてるのか……? この状きょ……おめでとう!!!!!!!!
641ほんわか名無しさん:2013/07/11(木) 22:17:35.03 0
マタニティドレスがウェディングドレスとかwwww

お幸せに!!!!!!
642ほんわか名無しさん:2013/07/12(金) 01:32:40.71 0
お題
つ・男に二人の子供を身篭った事をどう伝えようか悩むツンデレ
643ほんわか名無しさん:2013/07/13(土) 19:36:17.26 0
勝気さんで投下

・ツンデレが珍しく一人たそがれていたら
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2761.txt


俺の中では勝気さんはポニテだったりする
644ほんわか名無しさん:2013/07/13(土) 22:10:47.35 0
あああああああああかつみん可愛いなもおおおおおおおおお!!!!!!!!

GJ!!
645ほんわか名無しさん:2013/07/14(日) 01:33:18.79 0
かなみがなでられるだけの話を書いたという噂ががが

【ツンデレの頭を執拗になでたら】
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2762.txt
646ほんわか名無しさん:2013/07/14(日) 03:34:54.09 O
>>645
かなみさん超可愛いwww

ニヤニヤし過ぎて頬が痛いぜ
647ほんわか名無しさん:2013/07/14(日) 07:01:52.76 0
かなみんwwwwかわいすぐるぞwwwww

だがタカシ、

>「まさかまさか。かなみ以外に興味あるわけないだろ」

お前ちなみんやみこちんにも手ぇ出してるやないかい!!しばくぞこんにゃろぅ!!
648ほんわか名無しさん:2013/07/16(火) 00:45:00.65 0
ツンデレさん反則級に可愛い
レッドカード提示して退場させたい
649ほんわか名無しさん:2013/07/16(火) 03:37:47.41 O
あーみこちん先輩に鍛えられたい
無理矢理勉強会とかやらされたい
650ほんわか名無しさん:2013/07/16(火) 19:32:12.66 0
あれ? 線路死んでる?
651ほんわか名無しさん:2013/07/16(火) 23:00:25.03 I
一時的に死んでるだけだと思いたいがそうじゃなかったらやばい
652ほんわか名無しさん:2013/07/17(水) 11:25:59.41 0
今朝見たら復活してた
653ほんわか名無しさん:2013/07/20(土) 11:05:44.29 0
お題
つ・ツンデレと高校の卒業アルバムを見たら
654ほんわか名無しさん:2013/07/20(土) 17:25:35.51 0
ミミミンミミミンカーツミン
ミミミンミミミンカーツミン
655ほんわか名無しさん:2013/07/20(土) 18:15:13.73 O
カツミンゼミ
656ほんわか名無しさん:2013/07/20(土) 20:06:56.08 0
人いないな
657ほんわか名無しさん:2013/07/20(土) 20:37:14.91 0
まあ、規制酷い上に今はスマホが完全ログイン制で●かP2必須だからな

●持ちはそもそも規制関係ないし、そうでなけれはPC規制されたら書き込む手段がない

あと、次スレの季節というのもあるかも
658ほんわか名無しさん:2013/07/20(土) 21:22:25.79 0
つまりツンデレさんたちとイチャイチャするなら今のうちってことか!!

ちなみんとまつりんはいただきますね
659ほんわか名無しさん:2013/07/20(土) 21:40:34.06 0
ふざけんなよダウナーさんは俺と一緒だよ
660ほんわか名無しさん:2013/07/20(土) 22:00:17.05 O
いいんちょの三つ編みほどいてフリフリ着せたら最高にかわいかったので流石俺の嫁
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2763.jpg
661ほんわか名無しさん:2013/07/20(土) 23:09:02.13 0
多重ギャップ萌えの奇蹟
662ほんわか名無しさん:2013/07/21(日) 00:33:14.10 0
エロかわいい


エロかわいい!!
663ほんわか名無しさん:2013/07/21(日) 00:44:40.99 0
やった
664ほんわか名無しさん:2013/07/21(日) 03:55:26.08 0
ネトウヨとは・・・
人格に問題があるため社会に適応できない人種
そのため周囲に対して自分の存在を誇示するためのステータスが一切ない
唯一の拠り所が「自分は日本人」ということのみである為
ネット上で在日韓国・朝鮮人を叩いてわずかな優越感を得ることでアイデンティティを保っている
また昨今では嫌韓流思考が顕著であり、またネトウヨ自身が社会と接する機会が少ないこともあり、
「韓流ブームは全て嘘」と本気で信じている。
その思考が右翼にも似ている為、ネトウヨと呼称される

@社会的地位:下層
A経済力:低収入、または無収入。
 高い収入を得る人間に対しては、例え在日以外にも異様なまでの敵対心を持つ。例:マスコミ叩き。中国叩き。慰安婦叩き。脱原発叩き。生活保護叩き。労組叩き。
B対人関係:不得意。
 匿名の掲示板以外では何も話すことは出来ない。その分ネットには莫大なエネルギーと時間を費やす。
665ほんわか名無しさん:2013/07/21(日) 04:52:28.58 0
次スレ

ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.5
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/honobono/1374349369/
666ほんわか名無しさん:2013/07/21(日) 09:56:51.20 0
ume
667ほんわか名無しさん:2013/07/21(日) 10:02:22.80 0
うめ
668ほんわか名無しさん:2013/07/21(日) 11:31:29.00 0
ツンデレのふかふかなオッパイにダイブして殴られたい
669ほんわか名無しさん:2013/07/22(月) 20:25:35.28 0
最後ならかなみさんに告白する
670ほんわか名無しさん:2013/07/23(火) 08:25:22.50 0
最後ならその告白に割り込んで俺がかなみんとハッピーエンド
671ほんわか名無しさん:2013/07/24(水) 15:16:38.74 0
最後ならちなみんのつるぺたい胸は俺の物
672ほんわか名無しさん
最後なら尊祭り