49 :
ほんわか名無しさん:
膝下まで水につかりながら、じめじめした暗闇の中を、どこまでも歩いていた。
右も左も分からないまま、それでも陽の光を求めて、出口を探して彷徨い続けた。
どのくらいそうしていたのだろう?
いつしか時間の感覚がなくなって、今が昼なのか夜なのかもわからなくなった。
遠くからは、なにか地響きのような音が聞こえ続けていた。
その時、遠くに光が見えた。微かな光の粒子が、どこからともなく差し込んでいた。
ようやく外へ出れる。わたしは走り出した。足を取られ、全身濡れ鼠になりながら、
なりふりかまわず光のもとへと駆け寄った。でも、結局外にはでられなかった。
冷たい鉄格子が、無言でわたしの行く手をさえぎっていたから。