1 :
ほんわか名無しさん:
スレ名の通り、暇人がマターリ小説を書くスレです。
なるべく虐待小説は控えるように。
2 :
ほんわか名無しさん:2006/05/06(土) 20:09:45 O
2げと(σ・∀・)σ
3 :
ほんわか名無しさん:2006/05/06(土) 20:28:59 0
3げと(σ・∀・)σ
ある占い師の話
その占い師は、長い人生で一度も占いをはずさなかった。
彼は物心ついたときから、手を触るだけで相手の人生が見えた。
それに慣れるまでには、だいぶ時間がかかった。無理もない話だ。ふとした瞬間に見ず知らずの人の人生まで見えてしまうのだから。
愛しい人の悲しい人生まで見えてしまうのだから。
しかし、どんなことでも慣れてしまえばなんてことはなくなる。
彼は映画を見る感覚で、小説を読む感覚で、ついには週刊誌を読む感覚で人の人生を見れるまでになった。
そして彼は占い師になった。
こんなに自分の能力を活かせる職業はないだろう、そう思った彼は、迷わず占い師になった。
そして、たしかに、それは彼にとって天職であった。
彼は何人もの人の人生を見た。
そしてもちろん、彼は占いをはずしたことはなかった。
彼は有名になり、雑誌にとりあげられ、テレビにも出るようになった。
彼はどんどんと有名になっていった。
ある日、占い師のもとへ何の予約もなしに不気味な老人がやってきた。
老人は不気味な笑みを浮かべ、名刺を占い師へ渡し、一言こういった。
『私を殺そうとしているやつがいるらしい。占って誰が私を殺そうとしているのかみてくれませんか。』
突然の訪問で占い師は驚いたが、何故かその老人の依頼に応じてしまった。
そして、いつも通りに、占い師は相手の手を触り、相手の人生を見た。
しかし、そのとき見たのは人の人生とは思えないものだった。
事実それは人の人生ではなかった。
占い師はこの世の闇すべてを映したものを見た。
老人は依然として不気味な笑みを浮かべている。
『どうやらわからないようですね。』
老人は、当然の結果だといわんばかりにそう言うと、小切手をおいて帰っていった。
その次の日から占い師は仕事をやめた。
彼は誰の手にも触れたくなくなった。
当然の結果だ。彼はこの世の闇をすべて見てしまったのだ。
恐怖から彼は誰の手にも触れたくなくなったのだ。
彼は部屋のドアの鍵を閉め、窓の鍵を閉め、何も食べず、何も飲まずにいた。
夜が明ければ日が暮れるのを待ち、日が暮れれば星が出るのを待ち、星が出れば夜が明けるのを待った。
彼はあの老人を恨んだ。
占い師として、その才能を存分に発揮していたのに、全てが台無しになってしまったのだ。
彼はあの老人を恨んだ。不気味な老人を恨んだ。
老人はこうなることが分かっていたはずだ。老人は彼の人生を台無しにするためにやってきたのだ。
そして、彼はそのことに気づいた。
彼は、老人の名刺と、ナイフを持ち、出かけていった。
しかし、彼が自分の家に戻ることはもうなかった。
ある占い師の話・完。
うまくかけなかった…。
しかも暗い話でごめん。
感想、アドバイス待ってます('A`)
幸せのタロット
「ん?何だこのタロットカード」
佐藤は目の前の棚に陳列されているタロットカードを手に取った。
カードはだいぶ使い古されており、枚数も17枚と5枚も足りない。
佐藤は特別にタロットに興味があるわけでもなかったし、こんな不完全な
ものなど普段なら気にも留めなかっただろう。しかし、佐藤にはこのカードが
気になって仕方がなかった。
「おばあさん、このカード枚数が足りないみたいですけど」
佐藤は、カウンターの奥にいる老婆に質問を投げかけた。
「ああ、そのカードだね。そのカードは特別なものだからね」
老婆はにたにたと笑いながら答えた。
佐藤は怪訝そうな表情を浮かべたが、どうしてもタロットが気になってしまう。
そして、ついに彼はタロットを手に取るとカウンターへと足を進める。
「このカードをください」
老婆は、佐藤を値踏みするように眺めると、へっへっへっと笑いながら言った。
「あんた、若々しくていいねぇ。気に入ったよ。そのカードはただでくれてあげるよ」
じゃあとりあえず書いてみた
「一体このカードが何だってんだよ」
佐藤は自室でカードを机の上に広げてしげしげと眺めた。
相当古いカードで、ところどころ折れてよれよれだし絵柄も色あせてしまっている。
どことなく不思議な雰囲気の漂うカードである。
タロットに関する知識は持ち合わせていないが、足りないカードはどうやら
4番16番20番21番のカードである。
佐藤は手じかにあったカードを取ってみる。番号は9番、老人がランプを持っている。
そこでふと、佐藤の目は机の上の問題集へと向く。
「やばい! こんなことをしてる暇なんてないんだ。明日が英語の期限だったんだ!」
翌日には彼の大嫌いな英語の宿題が締め切りである。英語の福浦はいやみなやつで
期限厳守、時間厳守と放課後まで待ってくれるような心の広さを持ち合わせていない。
ついでに「自分の力でやりなさい」と答えも配ってくれなかった。
「杉原の野郎はできるからすぐ終わるんだよな。俺もあいつみたいに頭がよくなりてえ」
佐藤がつぶやいた瞬間、彼の手の上に会ったタロットカードが煙となって消えてしまった。
「っ!」
突然のことに佐藤は言葉も出ない。体の浮くような感覚。脇と背中から汗が噴出す。
なにかが告げている、これは危険だと。これ以上このカードに近づいてはいけないと。
佐藤は深呼吸をし、自分を落ち着かせる。以前汗は止まらないがだいぶ落ち着いてきた。
次に彼は机の下やゴミ箱の中をあさった。先ほどの煙が錯覚であり、ただその辺に
転がっているのではないか?いやそうであってほしい。しかし、彼がいくら部屋を
探したところでカードは一向に見つからなかった。
「一体何なんだ?」
佐藤は腕を組んであれこれと考えたが、これ以上考えても無駄だと思い、
いすに腰掛けて、問題集を開く。時刻は夜の10時、急いでやれば何とか
明日の朝までには終わるだろう。彼はかすかな希望を胸に宿題のワークに取り掛かる。
「っ!」
宿題に取り掛かり始めて、佐藤はまた声にならない叫びを上げた。
「わかる! 全部分かるぞ。応用問題も全部分かる!」
普段なら基本問題すらほとんど解けない彼だが、どうしたわけか今日は頭がさえて
応用編すらいとも簡単に解ける。いつもなら辞書と参考書を振る活用し、膨大な時間をかけて
解いていた問題が、今は日本語をそのまま書くようにすらすらと解ける。
「まさか、さっきのカード。このタロットは願い事をかなえてくれるカードなのか?」
佐藤はタロットのたばを手に取ると再びしげしげと眺める。
「このカードなんて、なかなかよさそうな名前してるな。明日試してみるか」
彼はうれしそうににやりと笑うと、一枚のカードを取り出した。
あらま、名前入れちゃった。
「さて、早速願い事をさせてもらいますか」
佐藤は手に持ったカード――loversを額の前にかざして念じるように言葉を出す。
「加藤さんとつき合わせてくれ」
長年の憧れ、彼女がすきで必死に勉強してまで同じ学校に入ったのに
いつまでも告白できずに、杉原に先を越され、思いを伝えることすらできなかった。
それ以来ことあるごとに自分の前をちらつく、彼に対する劣等感にさいなまれ続けた。
しかし、それも今日までである。このタロットさえあれば佐藤はすべてをいのままにできる。
杉原からすべてを奪うことも可能なのだ。
ガラッと教室のドアが音を立てて開く。放課後の教室。野球部の副部長で、部活に
大忙しの杉原が珍しく入ってきた。彼はひどく落ち込んだ様子で、佐藤を見ると
力ない笑みを浮かべて「やあ」と軽く手を上げる。
「どうしたんだ杉原。やけに元気ねえな」
内心期待を胸に、そしてそのことを確かめるために彼に声をかける。
「佐藤……聞いてくれよ」
中学からの仲である佐藤をすっかり信用して、彼はことの顛末をポツリポツリと話し出した。
どうやら、杉原はつい先ほど加藤さんに振られたようだ。
「元気出せよ、お前ならほかにいい女もできるって」
内心「ざまぁみろ」とほくそえみながら、表では彼を慰める言葉を投げかける。
その後、がっくりと肩を落として杉原は帰っていった。その背中を見ながら佐藤は
「勝った」とおもった。それがカードのおかげにもかかわらず。
「佐藤君」
不意に佐藤の後ろから声がする。それもよく聞き覚えのあるこえだ。
「やあ、加藤さんじゃないか。どうしたの?」
振り返ると、そこには加藤さんがいた。きれいに着こなした制服と、肩を越える髪が
彼女の清楚なイメージを確固たるものにしている。高嶺の花。どこかでそう感じさせてしまう
ものがあった。
「あの、佐藤君。突然のことなんだけどね…」
彼女はほほを赤らめてつぶやくような声ですこしづつ言葉をひねり出す。
佐藤は待ってましたとばかりに身を乗り出す。
「佐藤君……つきあってください」
これで決定した。このタロットは使ったものの願いをかなえる力を持っているのだ。
この力があれば佐藤はすべてをいのままにできる。そう考えていた。
「加藤さん、僕も加藤さんのことが好きです。ぜひ付き合ってください」
答えを聞いた加藤さんは、うれしそうに走っていった。
しかし、カードの効力に目がくらみ、佐藤は目の前の加藤さんに対する興味が一気に引くのを感じた。
このカードさえあれば、大金持ちにもなれる。もちろん権力者になれる。
気に入らない連中を排除することも簡単だ。
彼は一枚のカードを取り出して再び額の前にかざすと、願い事をつむぐ。
「うちを金持ちにしてくれ。一生遊んで暮らせるほどに」
彼の手の中のカードは願いを聞くと、今までと同様に煙となって消える。
しかし、今回はすぐには何も起こらなかった。
「まあいいか、家に帰ればなにか起きてるだろうから」
彼は足早に岐路に着いた。その足取りは非常に軽かった。浮かれるのも無理もない。
彼が家に帰るころには、自分の家は莫大な資産を手に入れているはずなのだ。
しかし、彼がまっすぐ家に着くことはなかった。
そのかわりに、彼の家には莫大な資産が残った。彼自身の保険とある運転手のはらった
損害賠償によって。
最後に彼の使ったカードに書かれていた文字。それは、TOWERであった。
とりあえずのメッセージ性は込めてみたけど
なんだか鬱になってしまったorz
TOWERのカードは突然の事故や怪我、トラブルを表すカードです
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ほんわか名無しさん: