看護師ゆうこりん#2−2
「大貫さァん、おはようございまァす!検温ですー」
ネイビーオーク材のドアの、真鍮色のノブを軽やかに弾いて、
ナースゆうこの声が、八〇一号室にとどろいた。
「体調はいかがですか。心臓は動いてますかァ、なんて」
若い看護師は目尻を下げてころころと笑うが、心臓病で入院している
大貫にとって、冗談にはなっていない。
「あぁ。もうそろそろ死んじまいたいところだけど。あいにく
糞ジジイほど世にはばかっちまうんだなァ」
「おい、糞ジジイ。検温するから、じっとしなァ」と、大貫の口調を
真似ながら、ゆうこは寝間着のすそをめくる。
「おい、ちょっと待て。検温するのにすそをめくるってぇのは、
どういうことだい」
「今日は、趣向をこらして直腸検温してみます」
「俺にァ、そういった趣味はねぇ」
ナースは聞く耳を持たず、大貫の下着をおろしてしまった。
「うわ、おじいちゃん・・。おっきぃ・・」
「おうよ、千人切りの泰造たァ、俺のことだ」
モノのでかさを褒められ気をゆるめた瞬間、ずぶり。
「うわぁ・・」風船から空気が漏れるように、喘いでしまった。
「動いたら、体温計が折れて出てこなくなっちゃいますからねェ」
大貫は首をねじって、ひ孫のような看護師を見つめた。社員には鬼の泰造
と怖れられた大貫と目線を合わせたまま、ゆうこはひるまない。
いや、むしろ楽しんでいるように見える。
差し込まれた電子体温計を、右手で軽く動かしているようだ。
「あん」
泰造が思わず声をもらすと、電子体温計が肛門でピピッと鳴った。
「平熱ですね。午後には、身体を拭きにきますから。おとなしく
寝ててにゃん」と、すたすたと部屋を出ていくゆうこ。
齢七十半ばにして新たな境地を開拓されそうになった泰造は、
自分の心音を耳の奥で聞いた。文字通り昇天するところだった。
窓の外で、十年前に亡くした妻が手を振っているようだ。
そして、老いさらばえた身体にやられた感をひしひしと
感じながら、ぼんやりと病室の天井を眺める泰造であった。
気をつけろ、泰造!その看護師は悪魔だ!大魔王なんだ!!
430 :
ファン ◆Wrg1RjT80I :2006/01/29(日) 21:35:01 O
新キャラキタ━━━(゜∀゜)━━━!!
白衣を纏った堕天使テラコワス(゚д゚))
看護師ゆうこりん#2−3
大貫の病室を後にしたゆうこは、エレベーターで1階のボタンを押した。
エレベーターのドアが開いて正面、ロビーの総合受付の中年事務員に会釈をした。
糞ババァ、いつかぶっ殺す。内心の思いとは裏腹に、天使のような笑顔をみせるゆうこりん。
総合受付の前に、高校生と思しき紺のブレザーにグレーのパンツの少年が見えた。
さり気なく歩み寄ると、そっと聞き耳を立てるナースゆうこ。
「あのぉ、整形外科に入院してる馬場文男の見舞いにきたんスけど」
受付の糞ババァが端末で検索をかけるまでもなく、ゆうこが声をかけた。
「きみ、北高の生徒さん?馬場くんのお友達かなァ?」
ゆうこを確認した高校生の目が大きく見開かれた。
「ゆ、ゆうこ先生。な、なんで」
「いやだにゃん。あたしは、医師じゃなくて看護師ですぅ」
「す、すみません。あまりにもそっくりな教師がいるんです」
高校生は、まじまじと看護師ゆうこを眺めている。
なぜ自分の名前を知っているのかは、さして気に留めないゆうこである。
「きみ、名前はなんていうの?」
「安藤です」
「そう、安藤くん。馬場くんの病室まで案内してあげりんこ!」
「あ、そッスか!ありがとうございます」
安藤は、素直に頷いた。
432 :
ほんわか名無しさん:2006/01/31(火) 15:12:21 0
ゆうこりんと彼氏きぼーん
>>430 ありがとうございます!
堕天使です、そうです。
>>432 ご要望ありがとうッス!
少々お待ちください。
434 :
◆0EvPXiofTw :2006/02/01(水) 00:18:35 0
〜ゴッドファザー�V〜
メアリー「おいしいわ。あとで、私にも作り方を教えて。あなただけのコツをね」
ヴィンセント「あぁ、いいとも。コツなんてないんだ。生まれたときから食ってる。
身体が作り方を知ってるのさ」
メアリー「ドン・ヴィンス、あなたの部下は幸せね」
ヴィンセント「食わせていくのは、大変さ」
ゆうこりん「あぁぁあ!!あのつぶれた餃子にミートソースまぶしたの食べたいぃ!!」
同棲中の彼氏「つぶれた餃子じゃねーよ。ニョッキっていうんだよ、あれ」
ゆうこ「ニョッキ美味そう、食いてぇ!」
彼氏「さすがに作れねぇよ。明日、帰りに買っとくよ。試しに食ってみようぜ」
ゆうこ「うん!」
彼氏「あぁ、俺も腹減ってきたなァ」
ゆうこ「あたし、ニョッキの作り方知ってる・・」
彼氏「まじかよ。焦げた卵焼き以外も作れるのかよ」
ゆうこ「簡単だよ、ここをこうやって(彼氏の股間を指でまさぐり、ジッパーを下ろす)」
彼氏「そ、それは・・。あぁ、ニョッキ」
ゆうこ「食べ方も知ってるよォ(パク)」
彼氏「あぁぁ・・・、クハァ・・・ぁ、ぁ」
すべての道は、ハードペッティングへと続く!!
435 :
ほんわか名無しさん:2006/02/01(水) 13:38:13 O
あげとこ
436 :
ほんわか名無しさん:2006/02/01(水) 13:48:57 0
437 :
◆0EvPXiofTw :2006/02/01(水) 16:24:03 0
ゆうこりん「あたし、思うんだけどさ」
同棲中の彼氏「なに」
ゆうこ「よく飽きないね」
彼氏「何に?」
ゆうこ「・・えっち・・」
彼氏「お前、飽きたのかよ」
ゆうこ「・・・・・いよ」
彼氏「聞こえません」
ゆうこ「飽きないよ!」
彼氏「俺もだよ」
ゆうこ「えっちしすぎて、頭溶けちゃわないかな、あたし」
彼氏「ここは、もうこんなにとろけてんじゃんよ」
ゆうこ「あぁ、もう融けて流れちゃってもいいや、あたし・・・ぁ、ぁ・・」
彼氏「俺、ゆうこと熔けあいたいよ」
ゆうこ「好き」
おい、彼氏!そのままじゃ亜鉛不足で死ぬぞ!DHC飲め、DHC!!
438 :
◆0EvPXiofTw :2006/02/02(木) 12:35:05 0
看護師ゆうこりん#2−4
安藤をひき連れてエレベーターホールに戻ると、五階のボタンを押した。
背骨の真ん中に視線を確信して振り返ると、安藤は慌てて目をそらした。
―可愛いじゃないの。
ドアが開くと、安藤を連れ込むようにしてエレベーターに乗り込む。
「受験勉強大変でしょう」
「いえ。自分、部活ばっかやってますから。脳も筋肉質とか言われて」
と、安藤は少年ぽく笑った。
整形外科、形成外科の外来と、一般病棟で構成される五階のフロアで
エレベーターのドアが開いた。狙いすまして、ゆうこはカルテボードを落とす。
「いっけなァい。うっかりさんだな、あたし」
安藤の股間に擦りつけるようにお尻を突き出して、ボードを拾う。
「あ、すみません」と、安藤は悪くもないのに、過敏に反応して言った。
「ん?何が」
ゆうこが妖しい光を宿した瞳で振り返ると、高校二年生男子は
火を噴くかと思えるほど頬を染め、短く刈り込んだ頭から湯気を立てる。
―うは、可愛い。もっといじりたいところだけどなァ。
「馬場くん、お見舞いだよ」と、五〇三号室のドアノブをはじく。
「ふぁい」と、鼻から抜ける声で返事があった。
「生きてっかよ、馬場よォ」と、明るく安藤が声をかける。
「ふぁんふぉはなァ・・」
もはや、ただの鼻息にしか聞こえない文男の声がいたいたしく壁に吸い込まれた。
>>435 ありがとうございます!
>>436 ゴッドファザー好きですか?
�Tが、やっぱりいいですよね。
440 :
ほんわか名無しさん:2006/02/03(金) 12:11:48 O
ゆうこりんと彼氏キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
#2−5
「何とかなァ、か」と、安藤が通辞よろしく翻訳した。
「口癖だな、馬場よォ」と、言葉を継ぐ。
顔面の包帯をひきつらせながら、文男も笑ったように見えた。
「お前の好きな、駅前の、ふくやのクリーム大判焼き買ってきたんだけどさ。
包帯の隙間からねじ込んで食わせるわけにもいかねぇなァ」
安藤は、文男の歪んだなりの笑顔を見て、安心したようだ。
「あの、看護師さん。これ、三つしかないんですけど、食べちゃってください」
食べられない馬場文男の前で土産に食いつくのは、はばかられるのだろう。
「え、いいの。でもいいよ、悪いから」と言いながら、ゆうこはうっかり手を出してしまった。
安藤は大判焼きの入った茶袋を手渡しながら、子どもにご褒美をやる父親みたいな
眼差しをみせた。ゆうこの胸が鳴った。
―ふ、不覚だわ。こんな糞ガキに一瞬ときめいちゃったわよ。
安藤は、屈託のない眼差しをゆうこに送っている。
―や、やるわね。ちょ、ちょっと好みだわ。
動揺を隠そうと、ゆうこは大判焼きを三つまとめて頬張る。
「ふがが、ほいひい」
ゆうこの顔を見て、文男も笑っている。正確には細かく痙攣しているのだけれど。
白く清潔なドアをスライドさせて、長身を折るように、中島医師が入ってきた。
口の周りに大判焼きのクリームをつけて目尻をさげているゆうこを見て、
ぷるぷると震えている。処置台の上では、違うところを振動させるのだが。
「あぁ、おいしかった!」
ゆうこの言葉を聞き流しながら、医師はブレザーの少年に目を見張った。
「あれ、心臓外科の安藤先生の息子さんじゃないか。裕也くん?」
「あ、中島先生。お久しぶりです。祖父までこちらでお世話になってるみたいで」
「あぁ、大貫さんね。いえいえ、こちらこそ」と、中島がこたえる。
今度は、ゆうこが目を丸くする番だった。
安藤医師と裕也は、似ても似つかない。中身の沁み出した樽みたいな
初老の医師と、美形の高校生。その容姿の違いは、遺伝学の限界を
超えている。束の間の密会を楽しんでいたのは、安藤医師だけでは
ないのではないか。先手を打ったのは、細君の方ではないか。
裕也の本当のタネについて妄想をたくましくしながら、ゆうこは
大きなガラス窓の枠の中に綿毛の雪が舞う渡り廊下を歩いた。
心臓外科の安藤医師は、一年半前までゆうこの援助者だった。
彼の家族に内緒で出かけたサイパンの日焼けがひく頃、
安藤の細君に関係を勘付かれた。安全策として距離を置いたのだが、
そうするうち組織の不思議なからくりで、次の二月人事異動のとき
整形外科に移った。
安藤にしてみれば、うまく厄介払いしたつもりだろう。
ゆうこに残ったのは、赤いロードスターと高価なバッグだ。
身体を提供した見返りとしては、十分に帳尻は合っている。
学会だ、ゴルフだと偽って海外旅行にも連れ出してくれたし、
ふやけるほど名所温泉めぐりもした。
心臓外科部長のたるみ切った腹は、医者の不養生だと思う。
伝道師ザビエル風に禿げた頭は、馴れれば愛嬌もあったが、
二十歳そこそこの女が熱を上げる要素は、見当たらなかった。
ただ、今でも人生のほつれを見つけたように動揺する安藤の顔を
見たくて、心臓外科のフロアにも出没する。悪趣味も趣味の内だろう。
八階に入院している大貫老人の末娘婿が、安藤心臓外科部長。
その三男坊が、安藤裕也。関係があった頃、安藤が寝物語として語ったところに
よると、大貫老人は大手デベロッパーの会長で大変な資産家である。
この、めじろ台総合病院の設立時、大口の出資をしてもいる。
泰造の巨大なイチモツを思い起こした。経済力とモノのサイズは比例するのだろうか。
午後一番に担ぎ込まれた急患の処置の後、遅めの昼食を十分で
済ませると、東棟八階の大貫老人の病室へと向かった。
「大貫さん、身体拭きにきましたよォ」
「何で風呂に入らせねぇんだ。俺ァ、浅草橋の浮浪児じゃねぇんだ。
あっつい風呂くらい入らせろ、ばかやろう」
「大貫さんの心臓で熱い風呂に入ると、即冥土逝きですよ」
威勢の良さに反して、心臓は弱りきっていた。三年前に重篤な
発作を起こしているらしく、安藤医師は細心の注意であたっている。
三日前に再び発作を起こすまでは、常時携行する薬を舐めながら
弱った心臓をなだめて過ごしてきたそうだ。
寝巻を脱がせると、お湯に絞ったタオルで大貫の身体を拭く。
文句を言っていた割には、心地よさそうにしている。
「気持ちいいですか」
「あぁ、浮浪児よりァましかもしれねぇなぁ」
「へらずぐちですね」
「実際、俺ァ、戦争孤児だったからな。不思議と世の中を渡る術に
長けてたからよ、浮浪者にはならずにすんだがな」
「孤児って。ご家族は」
「東京大空襲で全員死んだ。父親はルソン島で戦死した。遠い親戚の家に
世話になったが、無駄な食い扶持を増やしちゃならねぇと飛び出した」
坊主頭に学帽をのせて、焼け野原の東京を呆然と歩く若き泰造を
想像してみた。焼夷弾が焼き尽くした町に、くすぶる煙の糸が立ちのぼっていただろう。
小型爆弾の直撃を受けたひともいただろう。ゆうこの祖父母も、
千葉で空襲を体験していた。
「ところで、いつまで俺の本懐をなぶってくれるんだい」
「あ!す、すみません」
伝え聞きの昭和二十年にぼんやり思いを馳せる内、大貫の巨砲を
随分念入りに磨き込んでいた。絹のように滑らかなイチモツの触感が
掌に心地よかった。名刀は吸い付くように手に馴染むものなのだろう。
444 :
ほんわか名無しさん:2006/02/06(月) 12:45:39 0
,∧, ,, ,,∧、
, ' , 、 `
;' ━: :━ `:.、 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
i ・ _人_ ・ ; | パソコンばかり
!、 !__! ; < いじってないで
`、 ; | 遊びに行きましょうよ
` ..._ ... ,.;;' \_________
i'´ ...)
:_: ;´
し‐‐‐‐‐‐J
446 :
ほんわか名無しさん:2006/02/06(月) 16:00:20 0
このスレまじキモイ
448 :
ほんわか名無しさん:2006/02/08(水) 00:05:01 O
キモ氏ネ!
449 :
ほんわか名無しさん:2006/02/08(水) 06:19:18 0
すげースレだ
450 :
ほんわか名無しさん:2006/02/08(水) 06:23:17 0
こりん星に帰って!
451 :
ほんわか名無しさん:2006/02/08(水) 09:24:16 0
その立派さに感嘆すると同時に、勃たないものなんだな、と不思議に思った。
寄る年波には、さすがの昭和の傑物も敵わないようだ。
身体を拭き終わると、純白のふんどしを泰造の腰に巻きつける作業に
とりかかった。この老人は、時の流れを戦前の日本に置いてきたらしい。
実物のふんどしなど触ったことのないゆうこには、なかなかの難物だった。
「・・大貫さん、あたし、締め方がわかりません」
ふん、と鼻であしらいながら泰造老人は言う。
「ふんどしは、越中萬屋に限る」
今回発作を起こして以来、左腕に痺れの残る泰造は、もどかしい
看護師の手に身体をゆだねるほかなかった。
何とか締め終えたふんどしの右裾からイチモツが転げ出る。
ゆうこが、往年の名刀を白布の鞘におさめようとしたとき、失礼するとの
声とともに恰幅のよい老紳士が病室のオークのドアを開いた。
ゆうこと泰造老人の所作を勘違いしたらしい。
「あ、すまない」と軽く言うと、きびすを返した。
「おい、根岸。俺の面見て逃げるたァ、どういう了見だ」
再び身体を翻した根岸という老人は、真顔で言う。
「最近、扮装した出張売春があるって聞いたもんでな」
「ばかやろう。眼ン玉かっぽじってよく見やがれ、本物の看護師だ」
「冗談だよ、大貫」
根岸という男の方が、一枚上手のようだ。
「うちの会長が、世話になるね」
上品な面立ちを引き締めながら、根岸は言う。
ゆうこは、根岸に抗議するように白いナースキャップを反り返らせながら、
語尾が鼻に抜ける声で、いいえとだけ答えた。
日勤明けの、ほどよい疲労感を抱えて、ゆうこは薄闇の
車窓の景色を眺めていた。めじろ台総合病院から
マンションのある駅まで、京王線は郊外の町を縫いながら走る。
武蔵野の面影を残しながらも、開発の波に呑み込まれた
沿線には、真の闇は存在しなかった。
分倍河原の駅から、五分ほどの距離に賃貸マンションは
ある。看護大学を卒業して、父親のコネで現在の病院に
職を得たとき、大手不動産会社の車で調布、府中、日野、八王子の
物件を見てまわった。
通勤の利便性から北野のコーポに決めかかったところで、
分倍河原の物件を見たのだ。マンションへの路地の入り口に
小さな教会があった。鋭角に尖った屋根のてっぺんの十字架が、
看護師としての理想を掲げているように思えて、不動産屋の
車の中で即決してしまった。
マフラーを二重に首元に巻き、濃い茶色のブーツを鳴らしながら、
古びた住宅街を抜ける。静かにライトアップされた十字架を眺めると、
ため息が出た。かつて理想の象徴であったクロスが、今は胸を
ちくちくと刺す。病院の中で半ば遊軍のような立場にある自分を、
毎日戒めてくる。日常は、ただ慣れの中で過ぎていく。
病院の消毒液のにおいに慣れ、中年医師に抱かれることに慣れた。
そして、今ではひとの死にさえ鈍感になってしまった自分がいた。
昼間見た、安藤医師の三男のまっすぐな瞳を思い出す。
がっしりとした体躯の上に、童顔がはにかんでのっかっていた。
あの透明さを自分は失ってしまった。あの少年の父親との道ならぬ
日々を思い出し、また胸がちくちくと痛んだ。
ひとが生きるということは、すなわち罪なのだろう。
使い慣れた言い訳を、胸のうちで繰り返していた。
シャワーを浴びたあと、ぼんやりテレビを眺めていた。
二十歳すぎの女性タレントが、港区にこりん星があるとうそぶいている。
安藤医師にも中島医師にも、ゆうこは、このタレントに雰囲気が似ていると言われた。
ベッドの中で口真似をしたこともある。ふたりの中年男は、妙に興奮していた。
最後にひとを好きになったのは、いつだろう。見返りを求めず、ただ好きだ
と思えたのは、いつが最後だっただろう。千葉市の郊外に大きな門を構える実家で
暮らしていた頃、田舎の女子高生だった頃。朽ちかけた蚊取り線香の看板の前で、
はじめて手をつないだ。つき合い始めて、三ヶ月でようやく手に触れた。
「あの頃は、あたしも可愛かったんだけどな」と、ひとりごちた。
初めてのデートで、緊張しすぎて鼻血が出たのを思い出す。
ひとつため息をつき、祖母が送ってくれた梅干を口に放り込んで顔を
しわくちゃにした。台所の五段棚のうち二段は、やはり祖母が送ってくる落花生で
うまっている。全部食べ尽くすには、何年かかるだろうと考えていると、
携帯電話が鳴った。
「ゆうこか。俺だァ、じいちゃんだ。元気にしてんのか」
祖父からだった。こどものときから大好きな声が、胸にしみこんでくる。
456 :
ほんわか名無しさん:2006/02/12(日) 05:01:28 0
名作だ
∧_∧
( ・∀・) ドキドキ・・マダカナ・・
( ∪ ∪
と__)__)
>>456 素直にありがとうございます。
エロきぼん、ということでしょうか。
「どうしたの、じっちゃん」
「あぁ、最近顔見ねぇからさ。声ぐれぇ聴きてぇなぁってな」
祖父の賢一郎は、息子たちには寡黙で畏怖されるべき存在として君臨してきた。
法事で一族が揃うと、賢一郎は家長として堂々たる貫禄を示したものだ。
その祖父も、ゆうこの前では相好を崩して目尻をさげるばかりだった。
祖父は、稲毛の荷役という家業を、高度成長の波にのって
総合物流業に変貌させた。さらにその物流網を活かして、首都圏に
五十店舗を数えるスーパーマーケットを経営するまでになった。
戦後の貧しさの中、若くして家業を継ぎ、日本の再生を願って
がむしゃらに働いた。長年の苦労を負って丸くなった背中は、
今では、ゆうこと並んでも小さく見える。
すっかり好々爺になった祖父は、今も昔も孫娘のゆうこには
朴訥な素直さをみせてくれる。
「あたしも、じぃちゃんとばぁちゃんのこと考えてたんだよ。梅干おいしいよ」
「そっか、そりゃいい。ばぁちゃんに言って、また送る」
食べきれないと言おうとしたとき、電話口で軽く咳き込む祖父の声が聞こえた。
おいしい梅干だから、毎日食べて病院の同僚にもおすそ分けしよう。
じぃちゃんとばぁちゃんの梅干。祖父の肩車で見た、房総に沈む大きな夕陽を思い出した。
「春休みはいつからだ」
「やだな、じいちゃん。あたし、もう社会人だよ」
「そうか。じいちゃんのあたまの中じゃ、まだよちよち歩きのままだぃ」
「もう大人だよ」
「辛ぇこたぁねぇか」
「ないよ」
「若いうちの苦労は買ってでもしろって言うからな」
「してないって」
「いつでも帰ってこいよ。ゆっこひとりくらい、じじぃが養ってやる」
ひとり勝手に喋る祖父の言葉が、やさしく身体にしみこむ。
もう大人なんだよ、あたし。おやすみと交わす言葉が、涙で裏返った。
明けて、金曜日。
昨日降った雪がうそのように、ぬける青空から、
一足飛びにやってきた春のような午後の日差しが差して、頬に心地よい。
郊外にある総合病院は、穏やかな空気に包まれている。
「こんにちは!大貫さん。体調いかがですか、心臓動いてますか」
泰造老人は、何かを隠すように慌てて右に寝返りを打った。
「あぁぁ、泰造さん。エッチな本でも見てたんでしょォ」
「ばかやろう。俺みたいな枯れたじじぃが、何を今更」
「じゃぁ、何を隠したんですかァ」
じゃれつくように、泰造の胸元をのぞき込む。はだけた寝巻の下の
さらしのような腹巻からはみ出していたのは、ときの流れに洗われた
古い写真だった。
白黒で際立つ色白の美人が、はにかむように笑っている写真。
「美人ですね。お嬢さん?」
「女房だよ。仕事仕事で写真なんか、ろくに撮ってなかったからなァ。
あいつが十年前に死んだとき、ようやく見つけた大昔の写真だ」
いつも伝法な泰造の口調が、すこし改まっている。
「苦労かけたなァ。やすこ」
「愛してるんですね」
「愛してるもへったくれもねぇよ。人生の相棒だったんだよなァ」
まるで写真の中に過ぎた時間が息づいているかのように、
泰造は白黒写真を見つめている。
人生の相棒か。ゆうこは、今までそんなフレーズを思いついたことが
なかった。男と女は、いきつくところ様々な欲望の絡まりあいだと、
浅い経験で結論づけていた。そう割り切ることが、自分のためだとも
思った。
「大貫さん、身体拭きましょう。熱い風呂で昇天しちゃいけないからね」
自分用メモ(校正)
×)日差しが差して
○)日が差して
×)白黒を反復せず
○)モノクロのフレームとかを使う
461 :
ほんわか名無しさん:2006/02/15(水) 23:19:50 O
校正とか書き込むなよ。エロやれよ。
462 :
ほんわか名無しさん:2006/02/15(水) 23:59:04 O
これなんて官能小説?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwっうえwwwwwww
464 :
菅生健人 ◆0EvPXiofTw :2006/02/17(金) 23:23:28 0
〜ジャーヘッド〜
スオフォード「ヘイ、ガーリー・アニー。俺たちは、今どこにいる?」
アンソニー「俺の頭が焼きついてなきゃ、砂漠のど真ん中だな」
スオフォード「焼きついちゃいねぇけど、ちょっと悪趣味なボーイスカウトだぜ」
アンソニー「本物の戦闘がはじまる前に、干からびて死んじまうんじゃねぇだろうな。クソ野郎」
スオフォード「お前の親父も祖父さんも、海兵隊でままごとしてたのかよ」
アンソニー「アメリカの戦争には、俺ん家が一枚かんでんだぜ?」
スオフォード「俺たちゃ、狂ってんぜ」
ゆうこりん「ジャーヘッドって何」
同棲中の彼氏「丸刈り頭。GIカットのことだな」
ゆうこ「ふぅん。何かかっこいいね」
彼氏「戦争なんか行きたくねぇよ。かっこ悪くても、生きてる方がいいべ」
ゆうこ「久しぶりに丸刈りにしてみる?似合うよ」
彼氏「ま、まじかよ」
〜15分後〜
ゆうこ「プックク、やっぱ、似合わねぇww」
彼氏「ちょ、おま!」
ゆうこ「だって、最近」
彼氏「何なんだよ、最近よ!」
ゆうこ「ちょっと、かっこいいんだもん。他の女に色目で見られるのが嫌なの!」
彼氏「お前、俺もてないからさ。あり得ねぇよ・・。そんな理由でまた坊主かよ・・」
ゆうこ「あたしにもててんだから、いいじゃない。坊主くらい我慢しなさいよ!」
彼氏「ゆうこ、お前、馬鹿だから」
すねた顔のゆうこに、優しくキスする彼氏。
あばたもえくぼ、馬鹿さも愛しさ。
やさしいペッティングへと続く。
465 :
ほんわか名無しさん:2006/02/17(金) 23:27:06 0
くっさーーーーーー!!!!!!!!
466 :
菅生健人 ◆0EvPXiofTw :2006/02/17(金) 23:28:29 0
(看護師ゆうこりん続き)
泰造老人は、昨日とは違い、ゆうこの手とタオルに身をゆだねる。
ときどき、ふぅと息をはいて目を細めているところを見ると、
ささやかな湯浴みも悪くはないようだ。
「嬢ちゃんは、どこのひとだ」
「千葉ですよ」
「田舎からおのぼりかい」
「隣の県じゃないですか。千葉だって、今は大都会です」と言い返しながら、
この反論が、地方出身者の地方出身者たる証しだと自覚して、笑った。
「昨日ね、おじいちゃんから電話があったんです。仕事仕事の苦労人
だったんですよぉ。って、母から聞いただけですけどね。昔から、
あたしにだけは、優しかったんです」と、ゆうこは言葉を継いだ。
「俺たちの時代は、みんな仕事だけだった」
泰造の伝法な言葉づかいが、今日もまた改まっている。それがむしろ、
こころを開いてくれたようで、ゆうこは嬉しかった。威勢の良さを演じることを休み、
虚勢の鎧を脱いでくれたように思えたからだ。
「嬢ちゃん。今日もまた因縁つけるみてぇですまねぇが、いつまで
イチモツを磨き上げるつもりなんだい」
ぼんやりと泰造と自分の祖父の面影を重ねるうち、巨大なウミウシを
しごき上げていたようだ。
「す、すみません。考え事してました」
また、勃たないものなんだな、と胸のうちで呟いた。枯れることの
美学もまた然りなのだ。
少し扱いに慣れた越中萬屋の白布に、ウミウシを誘導しているとき、
重厚なオークのドアが勢い良くスライドされた。
「じいちゃん!元気かよ!あ、ご、ごめん」と、飛び込んでくるなり
ゆうこの手の動きを誤解したらしく、人影がきびすを返した。
「裕也、来てくれたのか。馬鹿な勘違いしてねぇで、入ってこい」
468 :
ほんわか名無しさん:2006/02/20(月) 14:07:05 O
「オリンピック、テラツマラナス」
>>468 レスがつく間は、まだ大丈夫だッ!この後はつきそうにないけれどもッ!
470 :
ほんわか名無しさん:2006/02/20(月) 23:45:37 O
なんか最近顔変わったよね?どけかえたよ?
471 :
ほんわか名無しさん:2006/02/20(月) 23:47:54 O
じゃなくてどこ変えたよ?
472 :
ほんわか名無しさん:2006/02/20(月) 23:52:59 O
突発にいるゆうこりん?o(●´д`●)o
「冗談だよ、じいちゃん」
白い歯をこぼしながら、短く刈り込んだ頭が再びドアの陰から現れた。
大貫泰造の孫、安藤裕也だった。クリーム大判焼きをくれたときと同じ
慈愛に充ちた瞳を、ゆうこと泰造老人に向けている。裕也のそれは、
持って生まれた才能だと、ゆうこは思う。胸がくきんと鳴った。
「裕也、よくきたな。毛唐人の柔道頑張ってるのか」
「レスリングだよ、じいちゃん」
「マロングラッセとか言うやつだァな」
「グレコローマンだよ。微妙に似てるような気もするけど。つーか、
わざと言ってるだろ」
泰造老人は、しわだらけの顔を真ん中に寄せて笑う。その瞳は、
どこか裕也に似ている。少年のような屈託のなさを垣間見せた。
やっぱり、一族よね。ゆうこは、ふと思った。ゆうこも、子どもの頃から
祖父に似ていると言われる。父親に似れば、女の子は幸せになると
昔から言うらしいが、祖父に似た自分は、どうなのだろう。
またぼんやり考え事をしていた。目の焦点を現実に引き戻すと、
泰造と裕也がゆうこのことを見つめている。
「看護師さん、何考え込んでるの」と、裕也が声をかける。
まっすぐに目を覗き込まれて、また胸がくきんと鳴った。
好みだなァ、ガキだけどさァ。泰造さんは、勃たないからなァ。
でも、デカいんだよなァ。あ、孫だからこのガキ、デカいかもなァ。
勤務中の看護師にあるまじき思索のひとときであった。
475 :
ほんわか名無しさん:2006/02/22(水) 07:43:53 O
じじいは早起き
476 :
ほんわか名無しさん:2006/02/22(水) 09:08:41 0
涙無しには読めないねー
名作だよ
477 :
菅生健人 ◆0EvPXiofTw :