1 :
ほんわか名無しさん:
やきそば食べたい。
食え
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「手を尽くしましたが、もうどうすることもできません。力及ばず、
申し訳ありません・・・」
主治医は静かに病室を立ち去った。
「そ、そんな・・・」
サザエが絶句する。
「お父さん、しっかりしてください!」
やや白髪が目立つようになったマスオである。
しかし波平は目もくれない。
「・・・カ、カツオ。カツオはおるか・・・」
弱々しい声で波平が呼びかけた。
「父さん、カツオはその、相変わらず家に引きこもってます・・・。」
「カツオを呼べ。」
「わかりました。今電話してみます。」
凍えるような師走の夜。あさひが丘中央病院のある一室。
病室の扉には面会謝絶の札が下がっていた。
ベッドには、痩せ細った波平の姿があった。
波平も寄る年並みには勝てなかったのだ。
いや、年のせいだけではない。平和だった磯野家はいつの頃からか、
荒んだ家庭になってしまっていた。
発端は、タラオの事故死であった。小学校にあがる直前のことだった。
三輪車をこいで交差点に飛び出したタラオは、大型トラックにはねられた。
即死だった。この頃から、全ての歯車が狂いだしたのかもしれない。
カツオは高校受験に失敗して自棄に
なり、引き籠もりになってしまった。活発だった少年の頃の面影はない。
ワカメは髪を茶色に染め、学校にも行かずに援助交際に明け暮れる始末。
マスオに至っては会社をリストラされ、サザエに不倫がばれて家庭内別居状態
にあった。一家の良き調停者であったフネは、タラオの死に責任を感じ、
憔悴しきって後を追うように鬼籍に入ってしまっていた。
崩壊しきった磯野家の主として、波平の心労はひとかたならぬものがあった。
サザエは嫌がるカツオを無理矢理家から呼び出し、ワカメにも
連絡を取ってみた。ワカメの携帯は繋がらない。今頃渋谷あたりで
遊んでいるのだろう。
病室に入ったカツオは我が目を疑った。
別人のように変わり果てた父の姿を見て、なぜか涙があふれた。
今まで見舞いにも行かず、五月蠅い存在でしかなかった。父の姿。
こんなに小さかったっけ。カツオは何か声をかけようとしたが、
適当な言葉が見つからなかった。
「サザエ、ちょっとカツオと二人だけにしてくれんか・・・」
「わかりました。さ、マスオさん、行きましょう。」
病室にはカツオだけが残った。リノリウムの床が冷たく光る。
「カツオ、儂はもうだめだ。最後にひとつ頼みがある。」
「何いってんだよ、父さん、しっかりしてよ!」
「いいか、良く聞け。磯野家の正嫡はカツオ、お前だ。マスオ君には
気を許すな、いいか、奴はこの磯野家を乗っ取ろうとしている・・・はうっ!
ゲホゲホ・・・」
「父さんしっかりして!マスオ兄さんがなんだって?」
「カツオ、我が磯野家には、先祖代々伝わる秘宝があるのだ。時価数億
は下らんだろう。お前はそれを守るのだ。決してマスオ君に渡してはならん。
良いか、後は、頼んだ・・ぞ・・・」
「父さん!父さん!とうさ〜〜〜ん!」
波平の戦いは終わった。12月の、小雨の降る寒い夜だった。
しかし残された磯野家の人々の戦いは、始まったばかりだった。
サザエとマスオの仲は冷え切ったままであり、ワカメは相変わらず
茶髪を靡かせて夜の渋谷を彷徨っている。そしてカツオはと言えば・・・
カツオは変わった。大検の勉強を始め、大学を目指して猛勉強を
始めたのだ。
「マスオ君を信用するな」
亡き波平の言葉が脳裏をよぎる。あれ以来、カツオはマスオを猜疑の目で
見るようになった。しかしマスオの態度に変化はない。
「父さん、本当にマスオ兄さんを信用しちゃいけないのかい?」
仏壇に問いかけても、柔和な表情で見つめる波平の遺影は無言だった。
波平の死から数週間が過ぎた。
「カツオくん、ちょっといいかい?」
いつものように、人の良さそうなマスオがカツオを呼んだ。
「なあに?マスオ兄さん。」
「遺産相続の事なんだけど・・・」
ついにマスオの磯野家乗っ取り計画が発動したのだ・・・。
マスオの磯野家乗っ取り計画は遺産問題から始まった。
本来ならば、遺産はサザエ・カツオ・ワカメに均等に分けられるはず
だった。しかし、なんと遺書が見つかったのだ!その遺書には
こう書かれてあった。
「遺産は全部サザエに譲る。カツオは引き籠もりで働きもせん。
よって働かざるもの喰うべからず。遺産は一切譲らん。ワカメも
ろくに学校もいかず、娼婦のようなことをしている。このような
娘にも譲る金は一切ない。」
そんな・・・・
カツオは愕然とした。これは明らかに偽造である。父さんがこんな
遺書残すわけない。最後の時、病室で父子は和解したはず。
全財産がサザエに渡るとなれば、それはマスオが得るも同様だった。
当のサザエは波平の死にショックを受けて精神的にかなり参っていた。
カツオに同情してはいるものの、知識のないサザエにはどうすることも
できなかった・・・
「やっぱり父さんの言ったことは本当だったんだ。」
「マスオ兄さん、僕は、あなたを許さない。」
握りしめた拳が震え、涙がそれを濡らした。
傍らではマスオが不気味な笑みを浮かべていた・・・
そうだ、中島に相談してみよう!カツオの幼馴染みの一人である。
かつては親友と呼べる仲だったが、カツオが引きこもって以来会って
いない。カツオには中島が眩しく見えた。中島は名門高校に進み、
今は早稲田大学の法学部に在籍していた。カツオは中島と
自分との落差を思うと、会うのに耐えられなかったのだ。
「おい、中島!」
「い、磯野!久しぶりじゃないか!家を訪ねても、会ってもくれなかった
のに、どういう風の吹き回しだ?引き籠もりはやめたのか?」
久しぶりに見る中島は輝いていた。いや、久しぶりにお日様の下に
外に出るので、光が眩しかったのかもしれない。
中島はいわゆるイケメンになっていた。トレードマークだった眼鏡を
外し、コンタクトを入れている。髪はドレッドである。趣味でDJを
やっているらしい。
ところでカツオは未だ童貞である。一度花沢さんに童貞を奪われそうになったが、
憧れの人であったゆきえさんに童貞を捧げる決意をしたカツオは、
男の操を捨てられずにいる。しかしそのゆきえさんも今はどこで
どうしているのか・・・伊佐坂先生の小説が売れなくなって、
家も引き払って引っ越してしまった。夜逃げ同然だった。
様々な思いがカツオの脳裏をよぎった。中島の変わり様を見て、過ぎ去った
時間を思う。
「実は中島・・・」
「いやちょっと待ってくれ磯野。今お客さんが来ているんだ。」
「彼女か?」
「ん、いや、まあ・・・」
「なんだよ、恥ずかしがることないよ、紹介しろよ。」
カツオも明るさが戻った。自分でもびっくりするくらい、すらすらと調子の
良い言葉が出てくる。しかし・・・
「あら!カツオくん!」
そう。中島の彼女は、あのゆきえさんだったのである。
カツオは気づくと自分の部屋にいた。ゆきえさんとの劇的な再会
以来、記憶がない。気が動転していた。しかし、冷静になって
思い出してみると、なんとか対面は取り繕っていたようだ。
中島に教えて貰った遺産問題についての解決法を書いたメモも
持っている。
中島が言うには、例え遺書があっても、法定代理人である
カツオとワカメにも、遺産はもらえるらしい。
「ゆきえさん・・・」
しかし今のカツオは、もはや遺産の事などどうでも良くなっている。
無理もない。カツオは中学生の頃から、一切外部と接触を断っている。
まだ大人になり切れてなかった。
「兄貴〜」
ワカメである。あの愛らしいオカッパ頭はもうない。ロングの金髪
に、丈の短いスカートを掃いている。時々、そんな妹に欲情しそうに
なる自分が嫌で、ワカメとも殆ど会話はない。ワカメの方も、引き籠もり
の兄を軽蔑している。そんなワカメが話しかけてくるのも珍しい。
「なんだよ、ワカメ」
「見せたいものがあるんだけど」
ワカメは一通の封書を差し出した。なんとそれは、正真正銘の波平の
遺書だった。
「ワカメ、なんでお前がこんな大事な物を持ってるんだ!?」
ワカメの話しはこうだった。
ワカメは波平のお墓参りに行った。すると、お寺の住職から、
波平から預かっていたものだ。とその遺書を手渡されたのだという。
波平は、自分の死期を悟り、住職に遺書を預けていたのだ。
自分の葬式が終わって、最初に墓参りに来た者にこの遺書を渡すようにと、
言い渡してあったそうだ。波平は、おそらくサザエかカツオかワカメが最初に
来てくれると思っていたのだろう。
「父さん・・・ごめん・・・混乱してて、墓参りにも行ってなかったよ・・・」
涙が溢れて止まらない。波平の本物の遺書が見つかったということよりも、
ワカメが父の墓参りに行ってくれていたことに、感動していた。
「ワカメ。ありがとうな。墓参りに行ってくれて。」
「・・・別に、近くまで来たからついでに行ってみただけよ」
照れを隠すように、憎まれ口を叩いてワカメは部屋を出て行った。
カツオは元気を取り戻した。ゆきえさんのことは、今は忘れよう。
僕にはやらなければならないもっと大事なことがある。中島、
ゆきえさんを頼んだぞ・・・ワカメ。お兄ちゃんは戦うぞ。
波平の遺書には、遺産のことは何も書かれてはいなかった。
もっと重要な、驚くべきことが記されてあったのだ!
作者降臨祈願age