582 :
名無しの愉しみ:2013/10/08(火) 21:48:53.18 ID:ktEhNXoQ
チンチンから産まれたチンコ姫
583 :
名無しの愉しみ:2013/10/18(金) 13:28:56.71 ID:Ehpb7rd1
↑
二重すまそ
584 :
名無しの愉しみ:2013/10/30(水) 18:19:21.54 ID:S4crDkc9
ブルース・ニルス
「ひさしぶりだな。」
「着実にこのスレも進行しているな。」
「今年中に1000行ったら結構すごいぞ。」
「なぜかって、ここの住人は3人以内だからだよ。」
ニルスはそう言うと、
そっと置き手紙を胸のポケットにしまいこんだ。
585 :
名無しの愉しみ:2013/11/02(土) 23:55:50.58 ID:abmmC7pg
なかなかと忙しい人だった彼は洗濯物はみな洗濯屋に出していた。
汗じみたシャツの胸ポケットから出てきた紙切れ、洗濯屋のおやじは警察にとどけた。
586 :
名無しの愉しみ:2013/11/29(金) 23:08:01.99 ID:yqUf2kS0
直子:もうあきちゃった
587 :
名無しの愉しみ:2013/12/23(月) 22:19:04.31 ID:Y6GIGovf
ほらが始まったて・・・・
どういうセンス
588 :
名無しの愉しみ:2014/01/07(火) 20:09:39.61 ID:UdfTBqqG
「俺もまぜろっての!」
ものしずかな男と落語家風の男が近づく。
589 :
名無しの愉しみ:2014/01/08(水) 12:51:11.28 ID:ehT95NiA
「まあそんなことはそもそも知ったこっちゃないわけだが」
とニルスは言うと深夜のラーメン屋を目指し自転車を走らせた。
この時期の青梅街道の風は頬に突き刺さるほど冷たいものである。
思いがけない臨時収入のおかげで、懐は暖かいのだが、この風だけはどうにもならなかった。
耳が痛い。指先の感覚も麻痺しかけている。しかし、ニルスは自転車を止めることができなかった。
朝までにどうしても行かなければならない場所があったからである。その場所とは言うまでもなく
もちろん憧れの船橋市。
いつか訪れるのだと幼い日から夢に見ていた街を目前に、
風を切って往くニルスの胸は熱く高鳴る。
しかし、一路船橋を目指すニルスの自転車の荷台には、
いつの間にか落語家風の男がタンデムしており、
592 :
名無しの愉しみ:2014/01/11(土) 23:48:39.48 ID:cBNQLvhq
「俺は……味噌ラーメンを……!」と訴えている。
しかし財布には750円しかないので、ニルスは急遽予定を変更し、
近場のATMを探した。そこでようやく自分もラーメンを食べようとしていたことに気づいた。
俺はなんで船橋など目指していたのだろう。寒さで頭がへんになったのだろうか、ニルスは身震いした。
やっとATMを見つけると彼は男に「ちょっとここで待ってろ」と言った。
モゲラ信用金庫のキャッシュカードをおもむろに取り出し、3000円を引き出す。
これなら、二人でラーメンと餃子を頼み、ビールを飲んでも大丈夫だ。
ニルスが安堵のため息と共にATMコーナーを出ると、そこに待っていたのは、
「な、何だと…」
出発点に置いて行かれ、必死に走って二人を追いかけてきた物静かな男であった。
普段は物静かな彼が、にわかに気色ばんだ。そして同じことをもう一回言った。「俺もまぜろっての!」
「なぜ笑太丸だけ・・・」そう言って落語家風の男を指さした。どうやら本物の落語家らしかった。
ニルスと笑太丸はしばらく黙っていたが、ニルスが言った。「まぜてもいいが、そのかわり直子の居場所を教えろ」
「……そんな事を知って、どうする」
ニルスの問いに、ものしずかな男の目が一瞬だけ泳ぐ。
「やめておけ。お前の気持ちは分からないでもないが、今度こそ命に関わる」
「お前の意見は求めていないさ。俺はただ、彼女への貸しを取り返したいだけだ」
数日前に「飽きた」というメッセージを残して直子が消える少し前に、
肉じゃがのお裾分けをタッパーに詰めて彼女に差し入れていたニルスは、
渡したままのタッパーの事が気になって仕方がなかったのだ。
「あのタッパーは、俺が中学生の頃から愛用してきた思い出の品だからな」
「……今の彼女を訪ねたところで、返して貰えるかどうかの保証はない」
寒空の下、自転車を囲んで、ニルスとものしずかな男の応酬が続く。
譲れない願いを抱き締め、色褪せない心の地図を光に翳して。
と、そこに鳴り響いた、えらくファンキーな出囃子に、
なにごとかと応酬し合っていた二人が振り向くと、いつのまにか笑太丸が高座に上がっていた。
しずかな男はあっけにとられていたが、ニルスのほうは待ってましたとばかり、満面の笑みを浮かべていた。
ニルスは熱狂的な笑太丸のファンであった。笑太丸の落語が始まった。演目は「持参金」であった。
「おはようさん!」
「おこし! ああ、こら伊勢屋の番頭はん…」
軽快かつ明朗にナンセンスギャグを繰り出す笑太丸の語り口に、
最初こそ呆気にとられていた静かな男も次第に引き込まれ、
ニルスと共に笑太丸の噺に聞き入るうち、気がつくと、
三人の周囲には、いつしか黒山の人だかりが出来あがっていた。
飛び交う五円玉のおひねりを拾い集め、合算してみたところ、ざっと2000円分はある。
「これを足せば……三人一緒にラーメン屋へ行ける……!」
狡猾な策士の笑みを浮かべる笑太丸。
でも、
それがいけなかった。
観客たちが帰った後、ひとり帰ろうとしない客がひとり居た。笑太丸の師匠、笑三だった。
笑太丸の顔色がさっと変わった。笑三は静かに、しかしよく通る声で言った。
「噺家ってのは人様を喜ばせることだけを考えなくっちゃいけねえ。それをお前は・・・。」笑太丸は
青ざめた顔で黙って聞いていた。磊落な彼も師匠の前では大人しくなるのだった。
「金なんかに目がくらみやがって。おめえは金輪際、高座には上がらせねえ。」これには
さすがの笑太丸も狼狽した。「し、師匠。」それまで黙っていたニルスが口を開いた。「違うんだ。
笑太丸は俺たちのために
この冬空の下、体を張って雰囲気を和ませようとしてくれただけなんだ!」
群集がくれたおひねりは、あくまでも笑太丸に対する感謝と喝采であり、
決して目的ではなく結果に過ぎないのだと、
ニルスは必死に笑三に訴えかけた。
「だから…どうか、こいつを文福亭一門から追い出したりしないでくれ!」
「そうかい、笑太丸…お前、いい友達を持ったな…」
深い皺の刻まれた笑三の目尻に涙が浮かび、ニルスが強く頷く。
だが、次の瞬間、ニルスと文福亭師弟の目に飛び込んで来たのは、
ありったけのおひねりをパーカーのフードに突っ込み、
ニルスの自転車に跨がって颯爽と走り出そうとしている静かな男であった。
ニルスは止めようとしたが、自転車は猛スピードで走り去り、追いつけそうもなかった。
「あの野郎、見つけたらただじゃおかねえ。」ニルスは歯噛みしたが、笑三は我関せずといった表情で
「おれがおごってやる。旨い鮨屋があるんだ。」と二人を誘った。笑太丸は「俺ぁ、ラーメンのほうが・・・」と
言いかけたが、ニルスに睨まれたので、口を噤んだ。笑三に連れられて入った店は、有名な高級店「九兵衛」
だった。3人が席に着くと、カウンター越しに寿司をほおばっている男がいた。つい先刻、おひねりを着服した
もの静かな男だった。
「「「あっ」」」
思わず声を上げた三人の方を振り返って、
今さっきまで嬉しそうに玉子寿司を頬張っていた、ものしずかな男が、ギョッと肩をびくつかせる。
ニルスは怒りの形相でものしずかな男に歩み寄り、憤りをぶちまけた。
「静男、てめぇ…ふざけたマネしやがって!」
まさしく鬼の気迫のニルス。だが、ものしずかな男の方も負けてはいない。
「仕方がないだろう、腹が減って死にそうだったんだよ!
何せ、俺は自転車のお前たちとは違って、
ずっと青梅街道を徒歩で追っかけて来たんだからな!」
いっそ清々しいまでの逆恨みと逆ギレ。
彼の普段のものしずかさは、既にイスカンダルに投げ捨てられたかのようだ。
カウンターの中の大将が、含み笑いを我慢しきれずに俯いて震えている。
と、そこに割って入った人影がひとつ。
「……よそうや、お店に迷惑をかけちゃいけねぇよ」
成り行きを黙って見ていた笑三である。
丁稚を静かに手招きし、慣れた様子で志野の握りを四人前頼むと、
不安そうに見守る笑太丸とニルスを視線で制し、
笑三は、苦い表情の静男に向かって、ゆっくりと言い放った。
「さっきのおひねり、全部で二千円そこらだって言ったな……」
「……」
「気の毒だが、それっぽっちじゃ、この店じゃあ腹一杯にはなれねぇよ。
せいぜい片手で足りる数の玉子寿司が相場だ……違うか?」
言外に諭すような響きの笑三の問いかけに応えるように、
ひとたび、静男の腹がグーッと鳴った。
しかし、静男はもう鮨を食べる気にはなれなかった。笑三の言葉が胸にしみ、涙がぽろぽろとこぼれた。
静男は「これからは心を入れかえて、真面目に生きようと思います。」と神妙な面持で言った。そのとき、入り口の
扉が開き、ひとりの女性が入ってきた。着物姿で手に風呂敷包みを持っている。ニルスはすぐに直子だと気づいた。
彼女が包みを開けると、この場には不釣り合いなタッパーウェアが出てきた。ニルスは貸していたタッパーを
返すために、直子が自分に会いにきてくれたのだと思った。しかしどことなく違和感を覚えた。直子の視線の先には、
ニルスではなく静男がいた。タッパーをよく見ると、彼女が作ったと思われる手料理がきれいに並んでいた。ニルスが
動揺しながら静男を見ると、静男もまた直子を見つめている。まさか・・・
「こんばんは、静男ちゃん」
店に入るないなや、直子は、料理が詰まったタッパーを抱えて、
重たそうに肩から提げた何かの探知機を揺らしながら、
まっすぐに静男の方へと歩いていった。
「静男ちゃんの携帯のGPSの電波を捕捉して、ずっと追いかけてきたの」
話を聞くに、彼女は、出発点に程近い公園で静男と待ち合わせていたらしく、
待ち合わせの場所に着く寸前でいきなり青梅街道へ向かった静男の様子を見て、
これはきっと何かあったに違いないと思い、慌てて追ってきたのだと言う。
「そうかい、ごめんごめん…で、そいつが例の物かい?」
「ええ。腕によりをかけて作ったわ」
「どれ…大根の白味噌煮込みと、キーマカレーと…カニ玉!?」
直子が待ち合わせ? 静男と? どうして?
しかも、件のタッパーに、統一性のない手料理をしこたま詰めて、
わざわざGPS探知追跡まで駆使して?
分からない、本当に分からない。
怪訝な面差しのまま、二人の様子を見つめるニルス。
文福亭師弟も、何事かと息を詰めて、直子の言動に視線を注ぐ。
やがて、直子はくるりとニルスの方に向き直ると、
腕の中のタッパーを掲げて、明るく微笑んで言葉を紡いだ。
「この間はありがとう、ニルス君。
私、ニルス君に渡して欲しくて、
これを静男ちゃんに預けるつもりだったの」
「だったらそれ、俺がいま食っちまうよ。そしたら返すから」静男はぬけぬけと言った。鮨を握っていた大将は
急に渋い顔をした。「お客さん、そういうのは困るんだがね。」すると静男は「へ?なんで?」と言ってきょとんとしていた。
静男は常識のない男であった。長い付き合いのあるニルスは知ってはいたが、静男の非常識さは彼の予想をはるかに
超えていた。ニルスはとりあえず直子にタッパーを包むよう促した。そのとき、ひとりの警察官が店に入ってきた。
警官はまっすぐニルスに近付いてきた。「ニルスさんは君か?」「そうだが。」「これに心当たりがあるか?」そういって
警官は1枚の紙切れを出した。それは以前シャツをクリーニングに出して以来、行方不明になっていた置手紙だった。
じつをいうとニルスはすっかり置手紙のことを忘れていた。ニルスが礼を言うと警官は帰って行った。手紙の内容は、
簡潔なものだった。
「住人の数に興味がある。自分は590,593,595,597,599,601,604だ。今日はこれからでかけるので後をたのむ」
いつの間にか静男が覗き込むように手紙を見ていた。「なんだこりゃぁ、なにかの暗号かな?」ニルスは黙って手紙の裏に
返事を書き始めた。
sage
「静男、お前は知る必要のない事さ…これは俺の極秘任務だからな」
意味ありげに微笑み、丁稚から借りたボールペンで返事をしたためるニルス。
思わず、極秘だって自分でバラしてる時点で極秘ではないだろう、と、
裏拳でツッコミを入れようとした静男だったが、
笑三の「そのへんにしとけ」という目配せを受けて思いとどまる。
その間にも、ニルスはさらさらと手紙を書きあげていく。
「こちら、コードネーム“ふしぎな旅”だ。留守は預かった。
俺は、591、594、600、602、605。あと、うっかり送信の607もだ。
文章の特徴から見て、おそらく、現在の住人は3〜4人といったところか。
連休の終了にあたり、俺は間もなくROMに戻るつもりでいる。
だが、何だかんだで話が大きくなってしまった以上、
あっさり途中抜けするのは、少し後ろめたいような気もしている」
そっとペンを置き、ふう、と息をつく。
気を利かせた大将が出してくれた熱い上がりをひとくち啜って、
「…帰ったら、クリーニングに出したシャツを取りに行かないとな」
と呟き、ふと視線を巡らしたニルスの向かいの席では、
笑太丸もまた同様に、懐紙と矢立を取り出して、
おもむろに考え込みながら、何事か詳しく書き記していた。
笑太丸の手元の懐紙には、丁寧な筆文字で、
592、596、598、603
と、4つの番号が記されていた。
「まさか……、笑太丸、お前もメンソレータム情報部の一員だったのか」
「黙ってて悪かったな、意図的に隠すつもりはなかったんだけど」
「それはお互い様だ、気にするな」
思いがけず巡り会った同志の存在に、
見合わせたニルスと笑太丸の顔が思わずほころぶ。
更に、それに気がついた直子が、思わせぶりな仕草で、
和服の袂からメンソレータム薬用リップを取り出し、
キャップを取って底を回し、ほんの少しだけ繰り出すと、
寒風に乾いたその唇にそっと塗って、ニヤリと微笑んでみせた。
と、突然直子は「あっははははは!」と笑い出した。直子は可笑しくてしかたがなかった。
ニルスは「なんだ、どうした、ついにおかしくなっちまったのか?」と聞いた。直子は涙をふきながら、
「あー可笑しい。だって3人!たったの3人!!」「なにが?」「実はね、最初の置手紙を書いたのはわたしなの。」
「えっ?」これにはニルスも笑太丸も度肝を抜かれた。「メンソレータム情報部のメンバーが全部で3人?しかも
全員ここに揃ってるってか。」「なんてこった。いくらなんでも4、5人はいると思ってたぜ」笑太丸も驚きを隠しきれない様子で
扇子をあおいだ。「それよりこれからどうする?」ニルスは困った様子で言った。「明日からは実質ふたりでやらなきゃならない。」
直子は、「わたしはしばらく続けてみる。でも連投はしないわよ。」「別にいいんだぜ、連投したって」「それじゃつまらない。
無茶振りにどうやって話を続けるかが腕の見せ所なんだから。」「まあ・・・そうだな。でも直子のは割と返しやすいほうだぜ」
「うん、わたしはなるべく続けやすいように切るのが好きなの。」ニルスはしばらく考えていたが、「求人広告でも出すか」とつぶやいた。
外部から人が参加しづらい雰囲気は避けるべき。これには直子も同感だった。
額を突き合わせて、今後について真剣に話し合う、
メンソレータム情報部、略してメン部の三人。
事情を飲み込めないでいる静男は、ぽかんと口を開けたまま、
傍らの笑三に「どういう事ですか…?」と尋ねるしかなかった。
「俺が徒歩で青梅街道を走ったのも、おひねりと自転車を盗ったのも、
全てはメンソレータム情報部の手の上で踊らされていた…?」
「ああ…俺も、笑太丸から話を聞いただけで、全てを知っている訳じゃねぇが、
メン部の連中の情報操作は強力かつ世界的だ。
かの有名なデルモンテ機関でさえ、今の奴らを阻止する事ぁできまいよ」
甚だ愉快そうに、お通しのカラスミをつまみながら、
早くもほろ酔いの笑三が、打ちひしがれた様子の静男に応える。
やがて、大将と丁稚が、座敷席に志野セットとお茶を四人前運んできた。
ニルス、笑太丸、静男、直子、そして笑三は、座卓を囲んで座り、
寿司を食べながら、これまでの事を端的にまとめるべく対話を開始した。
まずは状況の把握から。
でなければ、このままの混沌とした状態では、
新たに加わるであろうメン部のエージェントを混乱させるだけだ。
対話を開始してから3時間が経ったが、話は堂々巡りをするだけで結論は出なかった。
だんだんと口数が減り、ついに皆黙り込んでしまった。10分ほどの沈黙が続いたが、ふいにニルスが
立ち上がって言った。「俺はここを去る。」4人は意味が分からず、ぽかんとしている。「ちょっと長居しすぎた。おれは
もともと放浪の身だから。」「どこへ行くんだよ」静男が聞いた。「さあな。あてのない旅に出る。」もう誰も止めることは
出来なかった。「直子、タッパー大事に使えよ。笑太丸、俺はおまえの落語が好きだった。静男、おまえはやればできる奴だ。
頑張れ。笑三さん、いろいろ有難う。」すすり泣きが漏れた。大将ももらい泣きをしていた。
翌日、ニルスはスウェーデンへと飛び立った。そこでニルスは多くの不思議な体験をすることになる。のちに知られる「ニルスの
ふしぎな旅」である。
湖水と森林の国、
スウェーデンのとある村の外れ。
いわゆるツリーハウスと呼ぶには少々心許ない、
分厚い無垢の板を結び合わせて、樹上に簡単な床を作っただけの、
大好きな祖父が拵えてくれた“秘密基地”の上に座り、
少女は、ぶらぶらと両脚を揺らしながら、
夏の陽に輝く遠い水面を眺めていた。
その明るい煉瓦色の瞳は、陽に透けると眩い金色に輝き、
ほぼ黒に近い、鋼を思わせるが如き銀髪は、
木々の間を抜ける風に、軽やかに波打って躍る。
多くの大人たちは、皆、北欧の者には稀なその目と髪を珍しがったが、
少女は、まるで狼のような色合いを持つ、
自分の母と同じ特徴が好きだった。
「……来たッ!」
不意に、湖の対岸に旅人らしき者の姿を見つけて、
少女がキラキラとした満面の笑みを浮かべた。
急いでロープの梯子を下る足がもどかしく縺れ、
勢いに任せて、梯子の半分くらいから地面に飛び降りる。
……この子はまた無茶をして、と、
樹下に集う狼たちが、甚だ呆れた様子で少女の顔を見やった。
「やあ……、久しぶりだね」
自転車を押して歩いてきた旅人は、
走ってくる少女と狼たちの姿を見つけると、破顔して立ち止まった。
「また背が伸びているじゃないか。そのうち俺が追い抜かれそうだ」
「首も伸ばして待っていたわ。相変わらず元気そうね、ニルス」
少女の言葉に頷きながら、自転車のスタンドを立てて停め、
ニルスがポケットから玉子ボーロの小袋を取り出すと、
待ってましたと言わんばかりに、狼たちがニルスを取り囲む。
「……ちょっと待ってくれ、まずは彼女にお土産を渡さないと」
至極もったいぶった様子で、ニルスは自転車に積んだバッグから、
大きなラーメンどんぶりを
取り出した。「ソフィア、お土産だよ。」「まあ!嬉しい。ちょっと待ってて!」というとソフィアは急いで家に向かって
走り出した。ソフィアが息を切らせながら戻ってくると、ニルスは気合の入った顔で「やる気だな。」と言った。
ソフィアは愛らしい顔できゅっとニルスをにらみ、「今度は負けないんだから」というとポケットの中からさいころを
3個取り出した。ソフィアにチンチロリンを教えたのはニルスだった。チンチロリンとはギャンブルの1種である。
さいころをどんぶりに投じて、出る目によって勝敗が決まる。「さてと、長丁場になるな。」とニルスが言った。
スウェーデンのこの時期は白夜である。夜は22時くらいまで明るいため、外に長くいられるのがソフィアは嬉しかった。
ニルスはさいころを勢いよく丼に放り投げた。「チンチロリ〜ン!」
ところが、である。
再会の喜びに勢いが余ったのか、どんぶりの中で転げ回ったサイコロのひとつが、
どんぶりから派手に飛び出してしまったのだ。
「えー、ちょっとやだー!」
「はい、ションベン。まずは俺の勝ちだな」
チンチロリンは、基本的に、3つのサイコロの出目または役で勝敗が決まるが、
サイコロがうまくどんぶりに入らなかった場合は、問答無用で負けなのだ。
「…さて、こっちの人数分、貰おうかな」
ニルスが愉快そうに笑って手を差し出すと、
ソフィアはしぶしぶと自分の玉子ボーロの小袋を開け、
中から3粒を取り出して、ニルスの手のひらに渡す。
すかさず、ニルスの方に賭けていた3頭の狼たちが、嬉しそうにニルスに近づき、
1粒ずつ玉子ボーロを貰って食べ、再び満足げに草の上に伏せた。
617 :
616:2014/01/15(水) 19:25:03.02 ID:???
ごめん
先に投げたのソフィアと勘違いしてたよ…
よく前のレス読んだらニルスじゃん…
一方、ソフィアの方に賭けていた狼たちは、
やっぱり、とでも言いたげな態度で、欠伸をしたり耳を掻いたりしている。
「まあ、ひどい。ちっとも私に期待してないのね」
「狼には野生の勘があるからな。当然、勝つ可能性の高そうな方を選ぶさ」
「仕方ないじゃない! 私、チンチロリンを覚えて、まだ半年も経ってないのよ?」
「分かった分かった、そう怒るなって」
憤慨するソフィアに、苦笑しながらニルスが応える。
「さて、今度は俺の番だな……」
ひと息ついて、ニルスがどんぶりからサイコロを摘まみ出し、
ソフィアと狼たちの注目する中、再び投じようとした、次の瞬間。
「……久しぶりじゃの、お若いの」
家の玄関から、筋骨隆々とした、
ソフィアと同じ瞳の色をした白髪の老人が、
玉子ボーロの入った小さなカップを手に、一同の前に姿を現した。
ニルスはソフィアの方を向いて、「誰だい?」と訊いた。ソフィアは両手をひろげて肩をすくめるポーズをした。
ソフィアも知らない人だった。ソフィアは知らなかったが、老人は昔、この一帯ではちょっとした有名人だった。
玉子ボーロをこよなく愛し、若いころはボーロ王子と呼ばれていた。しかし数年前に認知症を発症して以来、
徘徊するようになったため、家族のものが世話をしているのであった。「おじいちゃん!」中年の女性が慌てた様子で
走ってきた。「ごめんなさいね。」女性はソフィアたちに謝ると、老人を連れて去って行った。
ソフィアは「さあ、始めましょう。」と促したが、ニルスは体がだるかった。長時間横になれなかったのと時差ぼけで疲れていた。
ニルスは「ちょっと家の中で休ませてもらってもいいかな。」と言った。
ソフィアに連れられてドアをくぐった大きな丸太小屋の中には、
彼女の母親と祖父母がいて、ニルスを歓迎した
「いらっしゃい、また髪が薄くなったわね」
「もうどこからどこまでが額でどこからどこまでが頭なのか、自分でも分かりませんよ」
「気にしなさんな、男は年を経て輝きを増すものじゃ」
「おじいさんや、フォローになってませんよ」
シュールな挨拶で再会を喜ぶニルスと家族を背に、
ソフィアは、土産にもらったどんぶりを、大事そうに棚に飾った
「素敵だわ、まさしくエキゾチックジャパン!」
「いや、それ中華のどんぶりだから…」
何だか疲れが倍増した気がするニルスだったが
母親の「お疲れでしょう。お風呂がわいてますからどうぞ。」との言葉に、ほっとした表情で、「助かります。では
お言葉に甘えて」と風呂に入ることにした。湯船に浸かるとお湯がざばっとあふれた。この家では風呂場をはじめ、
家の作りや家具に日本的な要素を取り入れていた。ソフィアも瞳や髪に加え、顔だちもどちらかというと彫が浅く、
アジア系に近い印象を受ける。ニルスはやっと一息つくことができた。旅の疲れが癒されてゆく心地よさを感じた。
(ソフィアもずい分成長したものだ)まだあどけなさが残っているものの、昼間見た少し大人びたしぐさや表情を思い出していた。
ふいに風呂場のドアが開いた。ニルスが驚いて振り向くと、そこには一糸まとわぬソフィアの姿があった。「一緒に入っていいでしょ。」
ニルスは言葉がでなかった。まだ成長途中とはいえ、きれいなお椀型の乳房、ややくびれたウエストそして・・・うっすらと毛のはえた
秘部。湯船の中でニルスの股間は不覚にも
622 :
名無しの愉しみ:2014/02/25(火) 12:50:29.76 ID:u1kj8kCH
「ちと 固い」
食べるのを断念した彼は、貴婦人に何もつげずに
日本
お
まいらの パソ のまえに きてしまった。
623 :
名無しの愉しみ:2014/04/05(土) 07:47:51.31 ID:uf78mQDL
タシーロ「みんなコテ作ったほうがいいな・・・・。」
624 :
名無しの愉しみ:2014/04/05(土) 08:50:06.87 ID:6LCEHyrv
ID「呼んだか?」
しかし名無しは言った
「だがそれがいい」
その言葉に続いてボーナス確定の文字……さあ全てはここからだ。
1セットであっさり終わるかゲーム数上乗せしまくって閉店(この場合1000レス)まで走り続けるか。
後はヒキ次第だ
625 :
名無しの愉しみ:2014/05/13(火) 17:42:32.75 ID:cNMFc7XV
代二部
完。
626 :
名無しの愉しみ:2014/06/06(金) 11:53:00.07 ID:5Ce+C0xm
「これはたまんねぇな……ん」タシーロが188を吟味していると、背後から聞き慣れない声が聞こえた。
振り向くとそこには一人の屈強な男が立っていた。タシーロの知らない男であったが、タシーロは別段驚きもせず、
再び188を吟味し始めた。
628 :
名無しの愉しみ:2014/06/18(水) 17:36:45.27 ID:liGfxTKY
というのはちょっとしたジョークね。
629 :
名無しの愉しみ:2014/06/30(月) 22:40:06.41 ID:B/g8i1pa
「君の瞳にばきゅーーーん」
意味不明なことを叫びながら、男は撃った。
630 :
名無しの愉しみ:2014/07/09(水) 21:31:49.93 ID:f02wYRbr
しかし男の撃った弾は
なんと実弾だった。おもちゃのけん銃だとばかり思っていた彼はとっさに