篆刻スレッド

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210KOTE/1
>>209
あれが現在の篆刻家の姿です。釈文のみならず印文も検字がなされていません。

理由はただひとつ。説文とのリンク切れを起こしたからです。説文とのリンクを
シッカリ繋げていた昔の篆刻家は作品の良し悪し以前に、斯様な事態には陥らなかった。
このリンクが書家から一目置かれる理由にもなっていました。説文に通じると言うことは、
何も小篆を沢山知ることではなく、現在ある文字の原型と組織を知ることだったんです。

昔は篆刻家のみならず漢字に通じようとする人は先ず説文を学びました。
篆刻の教則本でも最初に出てくるのが説文の学び方でした。つまり漢字を扱う者の
基本であったからです。所謂、「説文会」に集まる方も大勢いたとか。

説文に通じることはそのまま、現在通行する文字の裏打ちを知ると言うことです。
説文小篆にある形はそのまま楷書の形で保存されています。即ち現在の漢字の原型は
説文小篆の各組織にあると言えるでしょうね。実は説文の解釈にも間違いが多いのです。
しかしこのことと、「説文を学ぶ」と言うこととは実は無関係なんです。「説文を学ぶ」
と言うことは、文字に於ける考古学的見地に立つ事ではなく、現行の文字の裏付けと為るべく、
漢字の形(組織)、音(発音)、義(意味)を統合的に学ぼうとする態度であったわけです。

もう一度説文とのリンクを恢復させなければ、少なくとも<伝統的な>
篆刻は廃れていくでしょうね。

銀座の展覧会、何か印象に残った作品はありましたか?