誘惑キタ━━━(゜∀゜)━━━━━━!!!!
加賀かよ!続き気になる。早めにキボン!キボン!キボン!
―オレは…何をしてるんだろう…?
加賀の唇に触れ、舌先で加賀の唇を探りながら、ヒカルは思った。
ぐい、とヒカルの頭が力強く引き寄せられ、おずおずと探っていた舌が、熱い舌に絡め取られた。
ヒカルは思わず息を飲みそうになる。
違う。全然違う。塔矢の、甘いキスとは全然違う。
タバコの匂い。強引で荒っぽい動き。でもそれがイヤじゃない。
身体の力が抜けそうになって、ヒカルは加賀のシャツにしがみついた。
頭がぐらぐらする。
オレ、どういうつもりなんだろう。加賀にキスなんかして。
加賀とセックスするつもりなんだろうか。加賀が、オレを抱くんだろうか。
オレは加賀に抱かれたいんだろうか…?
こんなふうに…塔矢も緒方先生に、頼ったんだろうか。甘えてキスをねだったんだろうか。
そうか、オレは加賀に甘えてるのか。だって加賀はいつも正しくて、オレを後押ししてくれたから…
ようやく唇が解放されて、ヒカルは荒い息をつきながら、加賀を見上げる。
「加賀…」
「どういうつもりだ。」
苛立たしさを隠せない声で、加賀が言った。
その声に、ヒカルがびくっと怯えた。
「わかんねぇ…わかんねぇけど、オレ…」
そんなに怯えんじゃねぇ、そう言ってやりたくて、ヒカルに手を伸ばした。
ヒカルは一瞬肩をすくめたが、加賀の手が優しく頭を撫でたので、ヒカルは自分の頭を、とん、と
加賀の胸に落とした。そうやって頭で身体を支えるように加賀に体重を預けていると、そこから加賀
の鼓動を感じる。どくんどくんと脈打つ拍動が心地良い。
「加賀…」
ヒカルは小さい声で加賀を呼んで加賀のシャツの両袖を握り締めて、顔を上げた。
「進藤…、」
「加賀……オレのこと、キライ…?」
熱い、潤んだ瞳が加賀を見上げている。零れ落ちそうな大きな瞳と、紅潮した頬と、甘い息を吐く
小さな唇が、加賀を幻惑する。それはまるで今まで知っていた進藤ヒカルとは――図々しくて小
生意気な後輩とは、まるっきり別の生き物のように、加賀には見えた。
「…なんてぇガキだ…」
加賀が呟くように言いながら、ヒカルのTシャツに手をかけた。
「優しくなんか…できねぇぜ…?」
一つ飛ばしちまった。すまん。945は(78)だ。
違う…合ってた。945は(77)で正しい。度々申し訳ない。
「んっ……」
加賀の唇がもう一度ヒカルの唇に触れ、今度は柔らかく口中に押し入る。そうして口内を丹念に
探りながら、手はTシャツの中を探るように這う。
「あっ…!」
加賀の指がヒカルの乳首を軽くつまむと、甘い痺れがヒカルの身体を駆け抜けた。
「んっ…ふ……ああ…」
加賀の緩やかな手の動きに応えて、ヒカルの甘い息が加賀の口内にもたらされる。
加賀はヒカルの骨格を、身体のラインを確かめるように手を滑らせる。
これでオレは二度と塔矢には会えねェな…
ヒカルの口内を、そして身体を探りながら、加賀はそんな事を思った。
もう会えないと思うのは会いたいと思っているからなのか。
囲碁教室をやめてから塔矢アキラには会っていない。あいつはとっくにオレを忘れただろう。
いや、違う。一度だけ見た。まだ小学生だった進藤を無理矢理引っ張っていった大会だ。あの時も
塔矢は進藤を見ていた。「美しい一局だった。」そう言って憧れのこもった眼差しで進藤を見ていた
塔矢の顔が忘れられない。あの時から塔矢は進藤に惹かれていたんだろうか。
でも今の塔矢アキラをオレは知らない。一番最近のは――そうか、新聞に載っていた写真か。
「加賀、進藤くんがね、」と筒井が見せにくる囲碁新聞や雑誌を興味なさげにめくりながら、その中の
「塔矢アキラ」の文字を探していた。写真を見つけると、「ケッ」とバカにしたような声を出しながらそこ
に目を止めてしまっていた。
それと、進藤からたびたび聞かされたのろけ話と。
オレの知っている塔矢アキラはそれだけだ。
手に触れるヒカルの肌の健康的な滑らかさに驚嘆する。
すぐ下に筋肉の動きを感じられる皮膚の張りは、女の肌の柔らかさとは随分違うように感じる。
「加賀の付き合うコって、サラサラストレートの黒髪のコばっかりだね。」
そんな事を言われたことがある。筒井はヘンな所で勘がいい。
手紙をもらったり、直接告られたりする事はしょっちゅうだった。大抵は面倒で断っていたが、たま
には付き合う事もあった。だがそれも長く続く事はなかった。そして、筒井に言われた通り、相手
はいつもストレートの黒髪の、色白の肌の綺麗な女ばかりだった。けれど清楚なお嬢様に見える
ような女も、気の強そうな女も、付き合い始めれば簡単に脚を開き、その後には加賀にしなだれか
かった。そうなってしまえば、どの女も同じに見えた。
「加賀くん、本当にあたしの事、好きなの?」
そう言い出すともう鬱陶しいとしか思えなかった。別に好きで付き合ってるわけじゃない。そっちが
付き合ってくれって言ったんだろ。そん言うと決まって女は泣き出す。面倒くさい。セックス自体は
嫌いだとは言わないが、その前後が面倒だった。女と寝てるよりも男友達とくだらないバカ話をし
てる方がよっぽど有意義だ。そんなふうに思っていた。
それでも性懲りもなく似たようなタイプの女に声をかけられると、つい応じてしまった。あれは一体
なぜだったんだろう。その度に何かを期待し、そして失望する。あれは一体なんだったんだろう。
いつの頃からか、進藤はオレに塔矢のことを相談してくるようになった。だから進藤と塔矢がいつ
から付き合い始めて、今じゃどんな付き合いだかも、進藤から聞かされて知っている。
そうやって進藤から塔矢の名を聞くたびに、オレの胸を痛めつけていたものは何だったろう。
嫌いだと言いながらも、塔矢をずっと忘れられなかったのは、自分は囲碁からは手を引いたのに、
真っ直ぐに塔矢を追いかける進藤を羨ましいと思ったのはなぜだったろう。
思い出すたびに胸を締め付ける痛みが、あれが恋でなくてなんだったろう。
筒井を通じて囲碁と関わる事がなかったら、いや、進藤と関わる事がなかったら、きっと忘れて
いられただろうに。
そして今進藤を抱いてしまったら、オレは二度と塔矢には会えなくなる。
いや、どうせ、進藤を通じてしか会う事はないんだろう。
だったらそんなものはぶった切ってしまった方がいい。
「や、だぁ…」
ソフトすぎる加賀の動きがもどかしくて、ヒカルは頭を振る。
「か…が…」
吐息混じりに呼ぶ声が加賀を引き戻す。
捲り上げていたTシャツを、上に着ていたシャツごと頭から引き抜き、加賀を見上げるヒカルの唇に、
優しくくちづけを落とす。
この唇に、塔矢も何度も触れたんだろうか。
そんなバカな考えが頭をよぎる。
だが、違う。
塔矢とは関係なく、今オレが進藤を抱くのは、オレに頼ってくるコイツが、縋りつくようにオレを見上げる、
涙をためた大きな目が、可愛いと思ったから。
あばよ、塔矢。
オレの初恋。
今回の加賀のエピソードは941さんに捧げる。
和谷が出てくるのはもうちょっと先になるかな。
他の人は来ないんだろうか…
952 :
941:02/10/08 23:21 ID:???
誘惑キタキタキタキタ━━━━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━━━!!!!!!!!!!
加賀〜!やっぱりお前、アキラたんを(;゚∀゚)
しかも初恋かよ!せつねえな。
アキラたんに人生狂わされてく男達(w つづき気になるぞ〜。
甘味屋たん加賀エピソードありがとよ!
オレは必ずよんでるよずっと・・・
綺麗な言葉だと思っている。
>953
ゴメン、他の人って言ったのは偽りさんとか醒めない悪夢さんとか、他の山猫さん達
の事だったんだ。
いつもどうもありがとう。
キタ━━(゜∀゜)━♪〜o(^∀゜o)♪〜(o^∀^)o 〜♪♪〜o(^∀^o)〜♪(o゜∀゜)o〜♪━━━━!!!!!
誘惑さんいつもありがとう!
ここに小説が来てて救われたYO!
ヒカルタン、加賀とやっちゃうのか?加賀とアキラタンも見たい気がするが、アキラタン絶対忘れてる(ワ
加賀もアキラタンをオカズに扱いてたんだろうか?
オレも偽りさんと醒めないさんの続き読みたいよ。
誘惑たん、今日は来ないのかな?他のヤマネコ職人さんも待ってるよ。
保
ヒカルの感度を探るように首筋に舌を這わせる。
肉付きの薄い胸に戸惑いながらも薄紅い突起を舌先で転がす。
そうしながら空いた手でヒカルのズボンのベルトを外し、ジッパーを下ろす。
下着の中に手を差し入れ、小さく締まった臀部を揉みしだきながら、ズボンと下着を脱がせていく。
ヒカルはきつく目を閉じながら、加賀の大きな手を感じていた。ごつごつした指が谷間を下がり秘孔の
入り口を軽く探ると、ヒカルは更にぎゅっと目をつぶった。
ヒカルのその反応に加賀は小さく口元を緩め、それから充分に紅く尖った突起を軽く舌先でつついた。
微かな刺激がヒカルの中で大きく増幅されて背筋を走りぬける。そうされながら、ヒカルはもぞもぞと足
を動かして、中途半端に脱がされて足に絡まるズボンと下着から足を引き抜いた。
と、それを見て加賀がヒカルの両脚を掴んで、大きく割り開き、ヒカルは息を飲んだ。
自分の股間が加賀の眼前に晒されている事に、ヒカルは羞恥で顔を赤くする。
「や…やだ、加賀…」
反射的にヒカルの身体が加賀の視線から逃れようとする。
「や…やめてよぉ…」
だがそんな恥じらいを聞き入れる男などいる筈がない。加賀はそのまま顔を近づけた。
白い内腿に舌を這わせ、時に吸い上げると、そこに紅い花びらが散ったような跡を残す。
「ひっ…」
加賀の舌がぴちゃりと後門を舐めると、ヒカルは思わず小さな悲鳴を上げ、きゅうっとそこが窄まった。
追い討ちをかけるように唾液を滴らせながら、秘孔から門渡りを舐め上げていく。その間も加賀の手は、
震えるヒカルのペニスにリズミカルに刺激を与えて行く。
「やだっ…加賀、オレ、出ちゃう…や、やああっ!!」
耐え切れずにヒカルが加賀の手の中に白い液を吐いてしまうと、加賀が小さく微笑ったような気がして、
ヒカルは恥ずかしさに耐えられずに、せめて顔をそむける。
その仕草に気付いたのか、加賀がヒカルの顎を捉えて自分の方を向かせる。
「ん?よかったんじゃねぇのか?」
「……やだっ…加賀の意地悪…!」
「可愛いぜ、進藤。」
顔を真っ赤にしながら涙を溜めた目で加賀を恨めしげに見るヒカルの唇に、もう一度唇を寄せる。逃げ
ようとする唇を強引に捕らえて舌先でこじ開けようとするとヒカルの唇は抵抗できずに加賀を受け入れる。
「んんっ…」
舌を絡め、唾液を注ぎ込みながら、手で柔らかなヒカルの内腿をさすると、ヒカルの口から甘い喘ぎ声が
漏れる。一度放出したヒカル自身もすぐに固さを取り戻し加賀の腹部を刺激する。
「進藤…」
唇を離して名を呼ぶと、ヒカルは一瞬戸惑ったような目で縋るように加賀を見上げる。
加賀はふっと笑って、ヒカルの頬に唇で軽く触れた。
「本当にいいんだな…?」
熱い掠れ声がヒカルの耳に届く。
「……ん、」
ぼうっとした頭で小さく頷くと、加賀はのしかかっていた身体を起こし、ヒカルの身体をうつ伏せに返した。
そしてヒカルの腰を抱え、高く突き上げさせる。
「行くぜ、」
加賀の熱い声がヒカルの耳に届いて、ヒカルは突然、恐怖した。
自分が何をしているのか、この瞬間まで、わかっていなかったのかもしれない。
怖い。嫌だ。
「…や、やだっ!」
けれどその時にはもう遅かった。逃げようとする腰を、加賀が押さえつける。
「イヤだ、やめてっ、や、あ、あぁああーーーー!!」
だがヒカルの抵抗を抑え付けてヒカルの中に加賀が侵入してくる。
その熱さと質量にヒカルが悲鳴をあげる。
「い…や、いやぁああ…!!」
ヒカルの目から涙がこぼれる。
嫌だ。嫌だ、嫌だ、嫌だ…、
ヒカルの脳には拒否の言葉しかない。
だがヒカルを貫く熱い塊はそれを無視して、ヒカルの中で動き始める。
その塊はヒカルの内部の官能を刺激し、熱い熱がヒカルを煽る。
ヒカルの中の拒否の言葉は、その熱に溶かされて飲み込まれて、輪郭をなくしていき、ヒカルの
内部を抉る熱はヒカルから反抗の意思を取り上げ、口から漏れるものは拒否の悲鳴から快楽の
喘ぎに変わっていく。
「やっ…やあ………や…あ……ああ…ん、あ……はあぁ…っ……」
ヒカルの喘ぎ声に呼応するようにヒカルを突き上げるリズムが激しさを増す。加賀の荒い息と腰を
打ちつける音に混じりヒカルの声も甘く、高まって行く。
そして一際強く奥まで打ち付けられると、悲鳴とも悦楽の叫びともつかぬ声をあげながら、ヒカル
は二度目の精を放出した。
ここは…どこだ…
山猫とはいえ、塔矢愛好会ではなかったか…
アキラがかけらも出てこなくてスマンが、とりあえず。
誘惑キタ━―━―━(゚∀゚)━―━―━― !!
とうとう入れちまったなハァハァ寸前までやってても入れるか入れないかで重さがずいぶん違う
ってのも変な話だが(w
アキラたんはどうなってしまうんだ〜?
自暴自棄で和谷とやりまくりか〜?
加賀も誘惑してほしかったり(w
誘惑たんも遊びに行ってるのか?加賀とアキラたんってのも久しぶりに
読みたい気もしる。
こうなったら総当たり戦で(W
「セックスなんて、簡単なんだな。」
ヒカルがポツリと呟いた。
「オレ、ついさっきまで塔矢以外なんて考えもしなかったのに、こんな簡単にできちゃうんだな。」
そう言って、気だるげに煙草をふかしている加賀を見上げた。
「オレさァ、加賀のこと、好きだし、…加賀は、優しかったし、その………よかったよ。
でもさ、加賀……加賀はオレの事、別に、特別に好きだとか、レンアイカンジョーとか、持ってたわけ
じゃない、よ…ね。」
「…ああ。単に手のかかるしょうもない後輩だと思ってたよ。」
「それなのにどうして加賀はオレの事抱いたの?」
「じゃあおまえは塔矢が好きなくせに、どうしてオレに抱かれようなんて思ったんだ?」
「…オレは加賀が好きだし、加賀が優しくて頼りになると思ったからかな…」
「オレもさ、特別な恋愛感情じゃなくても、オレもおまえを好きだし、おまえを可愛いと思ったし、
おまえにキスされて欲情した。だからさ。」
恋愛感情、か。加賀は苦笑した。
恋だと気付いた時には失恋してて、恋敵の筈のヤツと、オレは何をしてるんだろうな。
「…好きじゃなくても出来るものなのかな。」
「男なんて大抵はそんなもんじゃないか?」
「オレ、よくわかんねぇ…」
ヒカルは小さい声で呟いた。
「よく、わかんねぇけど…オレ、もっと特別なものだと思ってたのに…こんなに簡単だったんだ。
簡単にできるもんだったんだ…」
だから…だから塔矢はヘイキなんだろうか。
塔矢にとってはキスもセックスも誰とでも簡単にできるものだったんだろうか。
オレは…塔矢しか知らなかったけど、オレにとってはすごく特別で大事なものだったけど、塔矢
にとってはそうじゃなかったんだろうか。
「オレ、加賀が好きだ。加賀といると安心するし、加賀はいつもすごく頼りになるし、でも…
……でも、塔矢は違うんだ。
あいつといると、いっつもドキドキして、オレはどうしたらいいかわかんなくなって、気ばっかり
焦って。なんでだろう。」
それを恋って言うんじゃないか。今更わかりきったことを訊くな。馬鹿野郎。
そう思いながら、加賀は黙ってヒカルの言う事を聞いていた。
「オレにとってはいっつも塔矢は特別なんだ。
でもホントに塔矢にとってもオレは特別なのかな。オレがあいつを思うのと同じくらい、思って
くれてるのかな。ヘンだな。今まで、こんな事、考えた事もなかったのに。」
そして、ヒカルは返答を迫るように、加賀を見上げて言った。
「だってさあ、加賀、ヘンだと思わない?
あいつがオレを好きだなんて、何かの間違いじゃないかって、思わない?
塔矢名人の、元5冠の息子で、囲碁界のサラブレッドで、注目の的で、期待の星で。
それに、その上、囲碁の才能だけじゃなくって、あんなにどこにいても人目を引くくらいキレイで、
誰よりもキレイで、そうだよ、頭だって海王なんかに入るくらい頭いいし、オレなんかバカだし、全然
フツーの奴だけど、あいつは何もかもが全部特別だ。顔も、頭も、才能も、血筋も。
オレなんかと釣り合わねぇよ。そう思わないか、加賀?」
「バーカ、」
そう言って加賀はヒカルの額を指で弾いた。イテッ、とヒカルが小さく顔をしかめる。
「そういうので惚れたりする訳じゃねぇだろ。じゃあ、おまえは塔矢が特別なヤツだから好きになった
のか?違うだろう?惚れちまったから何もかも特別に見えるんじゃねぇか?」
「じゃあ、加賀は塔矢が特別じゃないって言うのかよ。
あいつが囲碁が強いのも、頭がいいのも、あんなにキレイなのも、オレがあいつを好きだからって
言うのか?そうじゃないだろ。」
ヒカルはムッとした顔で加賀を睨みあげたが、そんな脹れた表情は、加賀にとってはそれは随分と
可愛らしく映るだけだった。
「だからそーゆー事を言ってるんじゃなくってなあ、何もおまえの塔矢をけなしてる訳じゃねぇぜ?
だいたい、おまえ、二言目には塔矢、塔矢って、一体、ついさっきまで誰とナニをしていたつもり
なんだよ?オレじゃなかったら殴り倒してもう一回ヤってるぜ?」
「加賀ぁ、」
今度はヒカルは甘えたような目で加賀を見上げる。
全く、コイツも困ったもんだ。塔矢も苦労するぜ。こんなのと付き合ってると。
「でもオレ…オレは加賀の事、好きだよ。大好きだよ。ホントだよ。」
「ああ、うん、オレもおまえが好きだよ。」
加賀は苦笑しながらそう答えた。
「でも、塔矢は違うんだ。塔矢は特別なんだ。」
「…わかった。それはもうわかった。もういい。今日だけでも百回くらい聞いたぞ。」
「塔矢みたいな言い方すんなよ。」
ヒカルはクスッと思い出し笑いをした。
「あいつも、すぐそういうんだぜ。もうそれで何回目だって。しかもテキトーな数じゃねぇの。
でさ、いちいちそんな事数えてんのかよ、ヒマだな、おまえ、って、オレがちょっとからかってやるとさ、
あいつ、ガキみたいにムキになって、オレにくってかかるんだ。
でもさ、そーゆーあいつって、なんか可愛いんだよな。」
なんなんだ?いつの間にのろけ話になってやがるんだ?
呆れる。
なんのつもりだ、コイツは。
さっきまでオレに甘えて抱きついてきたくせに。
これじゃいつもの、相談――を装ったのろけ話か、自慢話と、同じじゃねぇか。
信じられん。人を何だと思ってるんだ。
そんなのをこの状況で黙って聞いてやるほど、そこまでオレはお優しくなんかないぞ?
「おい、進藤、いい加減にしろ。」
加賀はヒカルの胸元を掴んで引き寄せ、低い声で脅した。
「もう一度言わせたいのか。それとももう一度ヤられてぇのか?」
「…ゴ、ゴメン…加賀……」
急にヒカルはしょぼんとした。
これだからコイツは憎めねぇんだよな。まったく、オレもどうかしてるぜ。
そんな風に表情の和らいだ加賀を、ヒカルはちろっと上目遣いで見て、それからにこっと笑って
立ち上がった。
「オレ、もう行くよ。」
「うわ、やっべー、もうこんな時間じゃん。お母さん、心配してるかなあ。」
そういいながらヒカルは慌ててリュックを背負い、スニーカーに足を突っ込む。そして一歩外にでて、
加賀を振り向いて、言った。
「ありがとう、加賀。またな!」
「ああ、気を付けて帰れよ。」
そしてヒカルは振り返らずに駆けて行った。
「またな…、って、おまえ、そんな無邪気に言うなよ。
またな、って言ったって、またヤらせてくれるって訳でもねぇんだろ?」
加賀は誰もいなくなった玄関で、ヒカルを見送りながら、苦笑混じりにそう言った。
案の定、家に帰り着くと、母親が心配そうに待っていた。けれど、あんまり疲れていたので、小言を
聞いていたくなかった。眠くて、疲れていて、家まで辿り着くのがやっとだった。だから、母親が連絡
くらいしろとか言うのを聞き流して、ベッドに入り、ヒカルはそのままあっという間に眠りに落ちた。
「ん…」
朝の光で目を覚まし、軽く伸びをした。
着替えもせずに寝てしまったらしい。なんとなく身体の節々が痛む。
とりあえず着替えようとして、服を脱いで椅子の背にかけると、小さな音がして何かが落ちた。
「あっ…」
何が落ちたのかは、見なくてもわかった。
ヒカルはかがんでゆっくりとそれを拾い上げる。
手のひらの中の鍵を見て、それからヒカルはぎゅっとそれを握り締めた。
「オレ、塔矢に会わなくちゃ。」
誘惑キテタ─wwヘ√レvv〜─(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─!!!!
加賀ってイイ奴だよな〜。
ヒカルたんが立ち直りかけてる間、アキラたんはどうしてるんだ、気になる。
そして和谷はひとり鬱々悶々とアキラたんオカズにセンズリこいてるのだろうか?(w
誘惑、キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(。 )━(A。 )━(。A。)━━━!!!!!
ヒカルたん、鍵だけでも手元にあってヨカッタナ。
でも、途中の台詞が寂しかった。
>「セックスなんて、簡単なんだな。」
一つ、大人の階段を上がっちまったヒカルたん。
でも、アキラたんのことを理解する足がかりになるよな……。
俺たちのアキラたんを幸せにできるのは、ヒカルたんだけなんだからな。
頼むよ。
アキラのアパートのドアの前に立って、ヒカルは手の中の鍵と目の前のドアを交互に見ていた。
鍵を握り締めたまま、チャイムを鳴らした。だが応答はなかった。
出かけているんだろうか。イベントとかの仕事だろうか。
一旦目をつぶって、それから鍵を鍵穴に入れて回した。カチッと音がした。
が、ドアノブを回してドアを開けようとしても開かなかった。
「えっ?」
どうしてだ。今確かに鍵の開く音がしたのに。
もう一度鍵を差し込んで回してみる。また、カチッと音がした。もう一度ドアノブを回してみると、今度は
ちゃんと開いた。なぜだか、音を立てないように気を付けて、そうっとドアを開けて中に入った。
「塔矢?」
小さな声で呼んでみる。けれど応えはない。
靴を脱いで部屋に上がり、奥の部屋に向かいながらもう一度、名前を呼んだ。
「塔矢……いないのか?」
すると、低い、疲れたような声が返ってきた。
「…いるよ。」
ドキン、と心臓が大きく脈打つのを感じながら、声のするほうへ向かった。
「塔矢?」
カーテンが閉められてて、昼間なのに部屋の中は薄暗い。
部屋の隅にうずくまっていたアキラが顔を上げてヒカルを認めた。
アキラはヒカルを見て、小さく笑ったように見えた。
薄闇の中にうずくまるアキラを見て、その心細げな、やっと浮かべたような笑みを見て、ヒカルは
心臓がズキッと痛むのを感じた。
見上げる瞳が切なくて、ヒカルは泣きそうになりながら、こんな事を訊いた。
「塔矢…オレを、好き?」
「好きだ。」
「オレが誰を好きでも、もしオレがおまえを好きじゃなくっても、それでもオレを好き…?」
大きく目を見開いて、アキラがヒカルを見た。深い、底なし沼のような、その目。
そんな、悲しい顔をするな、塔矢。
「……ウソだよ…」
アキラは力なく首を振って、俯きながら言った。
「イヤだ。ウソでも、例えだけでも、そんなの、イヤだ。」
「オレを、信じられない?」
「ボクが信じられないのはボク自身だ。ボクは、自信なんてないんだ。
もし、キミに拒絶なんてされたら、それだけで、ボクはもう駄目だ、って思ってしまう。きっと。
それでもキミを好きだって言い続ける自信なんて、ボクにはないんだ。」
そうして、ヒカルを見上げて続ける。
「だからキミの周りにいるみんなからキミを隠してしまいたい。
ボクだけを見てくれなくちゃ、イヤだ。他のヤツなんか見てたら、イヤだ。話をするだけでもイヤだ。
キミをどこかに閉じ込めて、他のヤツなんか見えないように、ボクだけしか見えないように、ボクだけ
としか話も出来ないように、それくらいキミを独占したい。」
見上げる黒い瞳が涙に濡れている。
「そんなの、できっこないって、わかってるけど。」
そう言ってアキラはまた寂しそうに笑った。
差し伸べられた手を取って、アキラを立ちあがらせた。
少しだけアキラの方が背が高くて、立って並ぶと心持ち、ヒカルの目はアキラの目を見上げる。
頬に落ちる黒髪をかきあげるように手を差し入れ、顔を両手で挟んでそっと唇を重ねた。
少しずつ位置をずらしながらついばむようなキスをし、それから、唇の輪郭を確かめるように舌先で
アキラの唇をなぞると、待ちきれずにアキラの舌がヒカルの舌を舐めるように動く。
塔矢のキスは甘い。唇や、口の中に味なんかないはずなのに、いつもほのかに甘く感じる。
吐く息も汗の匂いも、何もかも甘いような気がする。
ヒカルはうっとりと甘やかなアキラの唇を味わった。手に触れる頬は滑らかですべすべしていて、加賀
の少しざらっとした肌触りとは全然違う。唇の厚みも、弾力も、その中の温度も。全然違う。
この、熱さが好きだ。手にさらさらとかかる髪が好きだ。甘く漏れる吐息が、その声が好きだ。
が、アキラを味わうヒカルの腕の下で、突然、アキラの身体が強ばった。目を開いてアキラを見ると、
なじるような目付きで、アキラがヒカルを見ていた。
「とう…」
「今、誰の事を考えていた?」
濡れた瞳が光っている。
「それは、誰のキス?ボクが気が付かないとでも思うの?」
ヒカルの身体も同じように強ばり、息を飲んでアキラを見つめた。
アキラがヒカルから離れるように頭を引くと、壁に軽くぶつかった。ヒカルの手がアキラの頭から離れる。
アキラはヒカルを見据えたまま壁に張り付いた。
さっきまでの甘い空気はもうどこにもない。さっきまで、ぴったりと寄り添ってお互いの体温を感じていた
のに、もう触れているところはどこもない。こんなに近くにいるのに、とてつもなく遠くに感じてしまう。
どこで、誰からそんなキスを覚えてきたんだと、詰問するようにアキラがヒカルを見据えている。
「そうだよ。」
視線をそらさずに、ヒカルは答えた。
「そうだよ。オレ、おまえ以外のヤツとキスした。おまえ以外のヤツと寝た。」
キタ━―━―━(゚∀゚)━―━―━― !!
修羅場か?ハァハァ(;゚∀゚)=3
でもアキラタンもやってるんだからよ〜。といって割り切れるものでもない…か?
和谷と加賀とぐっちゃぐっちゃの四角関係も(・∀・)イイ!
アキラの目が驚愕に見開かれる。
「どういう…ことだ…」
「言った通りだ。おまえ以外のヤツと寝た。」
「な…んで、そんな…」
今、彼は何て言った?
足元が定まらない。頭がぐらぐらする。
誰と何をしたって?ボク以外の誰と?誰が?
「わかってる…ボクに、キミを責める権利なんてないって事…わかってる…だけど…」
誰かが…進藤を抱いている…?
誰か、ボクじゃない、ボクの知らない誰かが。
ボクだけしか知らないはずの、あの滑らかな肌に誰かが触れたのか?
美しいラインを描くあの背中に、誰かがくちづけたのか?
ボクが愛して、焦がれてやまないこの身体に、この肌に、別の誰かが触れて、くちづけして、
そして、それにキミは応えたのか?ボクしか知らないあの声を、他の誰かにも聞かせたのか?
ボクしか知らないはずのキミの身体を、乱れた姿を、他の誰かに見せたのか?
ああ、気が狂いそうだ。
わかってる。ボクがこんな事を言える立場じゃないって事は。でも。それでも。
イヤだ。そんなのはイヤだ。キミはボクだけのもの。そうじゃなかったのか?
他の誰にもキミを触らせたくなんかない。それなのに。
それなのにキミの方からそいつに抱きついたりしたのか?
その唇で、そいつに触れたりしたのか?
別の男のモノを受け入れたのか?
胸が焼きつく。頭がガンガンする。
ヒカルの両腕を掴んで、責めるように訊いた。
「誰…だよ?相手は誰だ!?」
「きっと、おまえは知らない。中学ん時の先輩だ。」
「どうして、どうしてそんな事…」
「許さないって、そう言うつもり?」
冷静なヒカルの声にアキラが怯む。
そんな事を言えた立場でないことはわかっている。だから何も言えない。
けれど口に出さなくても、きっとそう思ってしまっている事は進藤にも通じているんだろう。
でも、だって、許せるはずが無いじゃないか。
「でもオレはおまえに許してもらわなきゃいけない事をしたとは思わない。
それにオレの事はオレが決める。おまえが許さないと言っても。
でも…オレが加賀と寝たのはおまえが好きだからだ。おまえの事を知りたかったからだ。」
「加賀?それがそいつの名前なのか?そいつが好きなのか?」
「好きだよ。好きだけど、おまえを好きなのとは違う。
オレが好きなのは、特別に好きなのは、おまえだ。おまえだけだ。オレの特別はおまえだけだ、塔矢。」
「それなら、どうして!」
「おまえの事が知りたかったからだ。」
「どうして!どうして他の男と寝る事がボクを知る事になるんだ!」
「わからないのか?塔矢。」
「ボクが緒方さんに抱かれたから?それで?ボクが浮気したから浮気返し?」
「塔矢!」
「それともボクよりもそいつの方が好きだから…?そうなのか?進藤!?」
「塔矢っ!!」
「ボクがもう嫌いにになったって言うんなら、そう言えよ!
他のヤツが好きだって言うんなら、正直にそう言えよ!!」
「そんな事、言ってないだろ!オレの話を聞けよ!!」
「嫌だ。聞きたくない。これ以上、聞くことなんて無い!!」
誘惑キタ─wwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─ !!!
ヒカルたんを失ったらダメになってしまいそうなアキラたん。萌える。
自分もさんざ他の男とやってるくせにヒカルたんの浮気は許せないのか?
ヒカルたんとやったのが加賀だと知った後のアキラたんの行動が楽しみだ。
おお、前の感想書き込んでたら誘惑キタ─wwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─ !!!
加賀だって知っちまったなアキラたん!覚えてないのかやっぱり?
ヒデーよアキラたん(w
会ったら思い出すのかな?とにもかくにもどーするアキラたん!
>978
でもさ、よくよく考えてみたら「ボク、負けようか」って加賀も小学生の頃だろ?
加賀は今、高3のはずだから、6年以上は前の話だ。
アキラたんでなくても名前なんか忘れてるよ。
やられた方はいつまでもねちこく覚えてるんだろうけどな(w
「おまえ、勝手だよ。」
ヒカルはアキラを睨みつけて、低い声で言った。
「勝手だよ。じゃあ、オレは今まで平気だとでも思ってたのかよ。
オレとの前の事だって、オレがどんな風に思ってたのかなんて。考えもしなかったんだろう。
オレが、どんな気持ちでいたのかなんて。
許せないだって?許せないのはこっちの方だよ。
なんで今更緒方なんだよ?おまえはオレを選んだんじゃなかったのかよ?」
掴まれていた手を振り払って、逆にアキラの肩を捕まえる。
「ふざけんなよ。いつだっておまえばっかり好き勝手やって、
そうかと思えば和谷を誘惑してみたりして、あいつはオレの友達なのに。
オレの親友だったのに。おまえの…おまえのせいで、あいつとだって、喧嘩しちゃったじゃないか!
どうしてなんだよ。あいつの事、好きでもないくせに、どうしてあいつとあんな事できたんだよ?」
「あんな事って、あれか?あんなセックスの内にも入らないような事?」
嘲るような言い方に、ヒカルは逆上する。
「なんだよ、その言い方…!やった事には変わりないだろう!?
無理矢理だろうと何だろうと、オレが好きなんだったら平気で他の男にやられるなよ!抵抗しろよ!
何で…何であいつから、全然嫌がってなかったなんて、聞かされなきゃいけないんだよ!!」
「それが何だよ。」
開き直ったような口ぶりでアキラが言った。
「…塔矢?」
「…なんにも知らないくせに。
抵抗しろだって?よく言えるね、そんな事。そんな事が何になるって言うんだ。
知らないくせに。無理強いされるのが、強姦されるのがどんなだって事だか、知らないくせに。
抵抗し続けて痛い目にあうくらいだったら、こっちから仕掛けてやったほうがよっぽどマシだ!」
アキラの目の暗い光に、ヒカルはゾクリとした。こんなアキラを見たことがなかった。
「優しく扱われたことしかないくせに。手荒にされたことなんてないくせに。キミに何が分かるって
言うんだ。キミは誰かに嫌われたことなんてないんだろうね。理由もなく嫌われて、何もしてない
はずの相手から険悪な目で睨まれる時の気持ちなんて、キミには想像もつかないんだろうね。
そんな奴のことを、キミの友達だろうが何だろうが、何を気遣う必要なんかあるんだ。
ああ、あいつを誘惑したのはボクだよ。
煽ってやったよ。からかってやったよ。
ふざけるなって言ってやりたかったからさ。
それなのにボクを好きだって?それこそ、ふざけるな、だ。
何が好きだ。ずっと好きだったの、憧れてたの、馬鹿馬鹿しくて聞いてられなかったよ。
ふん、『おまえが好きだ、だから…』って?だから、何だって言うんだ。
セックスはおろか、キスのやり方も知らないようなガキのくせにボクに手を出そうなんて、図々しい。
こっちから誘導してやんなきゃどうしたらいいかもわかんないみたいだったから、教えてやったよ。
それが何だって言うんだ。」
「和谷のこと、好きでもなんでもないのに、そうやって煽って、あいつに抱かれたって言うのか…?」
「あんな奴に『抱かれた』覚えなんかないね。
大体、好きか嫌いかなんて関係ないよ。征服するか、されるかだ。支配するか、されるかだ。
好きとか嫌いとかだけでセックスを語れるなんて、キミは幸せだよ。
知らないくせに。
力ずくで無理矢理やられるって事がどんな事だか、どれ程屈辱的で恐ろしい事なのか。
だったらやられる前にやり返してやる。こっちから仕掛けてやればこっちの勝ちだ。
溺れる前に溺れさせてやればこっちの勝ちだ。相手の気持ちなんて知ったことか。
そもそもこっちの気持ちも考えないのは向こうのほうが先だ。
好きだなんて気持ち、勝手に押し付けられたって迷惑なだけだ…!」
急に、塔矢が知らない人間みたいに見えた。
そんな事…そんなふうに、思ってたのか?
おまえにとってはそういう事なのか?じゃあ、オレとの事は何なんだ?何だったんだ!?
「じゃあ、オレもそうなのか?オレとしたのも、オレを支配するためか?そうなのかよ!?」
「そうだよ!!」
叫んでしまってから、アキラは怯んだように見えた。
「…そうだよ。キミをボクに縛り付けるためだよ。ボク以外の誰も見えなくさせるためだよ。
キミをボクだけのものにするためだよ。そうじゃないか?それなのに、それなのに!!」
「おまえ…ヘンだよ。おかしいよ。どうしてそんな事言うんだ。そんなにオレを信じられないのか?」
「どこがおかしいのさ?信じられるはずがないよ。ボクはボク自身さえ信じられないのに。
それなのに…それなのに、他の男の匂いを残したままボクの部屋に来るなよ!ボクに触るなよ!!
ほんの少しでもボク以外の誰かを見てるなんて許さない。」
「勝手な事言うな!オレはおまえのもんなんかじゃねェ!!」
頭に血が上った。おまえはオレに何の権利があってそんな事言うんだ。じゃあおまえは何なんだ。
自分ばっかり好き勝手やって、何が許さないだ。ふざけるな。
ムカついて何か言い返した。こんな、怒鳴りあって、互いに罵り合うような喧嘩をするのは、初めて
だった。だから、それから何を言って、どうやってあいつの部屋を出て、どうやって家に帰ってきたか
はよく覚えていない。でも、腹が立って腹が立って、あいつが憎くて仕方がなかった。
「知らないくせに」って、「キミにはわからない」って、そう言われたら、何が言えるってんだよ?
わからねぇよ。わかるはずねぇじゃねぇか。じゃあ、おまえはオレのことがわかるのかよ。
全然わかってねぇくせに。
「畜生!」
腹が立って、ムカついて、悔しくて、枕を投げて八つ当たりした。
「畜生!!塔矢の馬鹿野郎!!」
あんまり悔しくて涙が出てきた。こんな事で泣いてるのが余計に悔しい。それなのに涙が止まらな
くて、ハンカチを探そうとして、初めて、ポケットの中にあるはずのものがないのに気が付いた。
出し惜しみするようなもんじゃねぇし、引き伸ばしても鬱陶しいだけだから全部うpしちまえ。
ハァハァどころか、読んでて疲れるような罵り合いばっかでスマンな。
一気に血の気が引いた。涙なんて止まってた。
両方のポケットを探ったが、やはりなかった。
ズボンのポケットだけじゃなく、上着のポケットや、シャツの胸ポケットまで、それからリュックの中も、
全部ひっくり返して探して、それでも、見つからなかった。
どうしたんだろう。どこかへ落としたんだろうか。思い出せ。いつまであった?落としたとしたらいつ、
どこでだ?まさか、加賀んちか?あそこで服を脱いだ時に落としたのか?
いや、違う。今朝は確かにあった。そうだ。あの鍵を使って、あの部屋に入った。
それじゃ、塔矢んとこか?
どうしよう。
どうしよう、オレ、どうしたらいいんだろう。
本当に失くしちまったのか?それとも、塔矢んちに忘れてきただけなのか?
震えながら、携帯を引っ張り出して、塔矢に電話をかけた。
「もしもし、塔矢?」
「進藤?」
「オレ…」
鍵を、おまえんちの合鍵を、忘れていかなかったか、そう言おうと思ったのに、上手く言えなくて。
「オレ…」
「…どうしたんだ?進藤?」
「…なんでもない!ごめん!!」
そう言って通話を切ってしまった。
だって、言えるわけ、ないじゃないか。
失くしてしまったかもしれないなんて。
せっかく、おまえがくれたのに。
切ってすぐに、今度はオレの携帯が鳴った。塔矢からだった。
「進藤?」
「塔矢…」
「あの…さっきの、電話のことだけど……もしかして、この事かと思って……
キミ…忘れて……いかなかったか…?」
そして確かめるように、まるで自分に言い聞かせてるみたいに言う。
「忘れただけだよね?置いてった…訳じゃない、よね?そうだよね?忘れてっただけだろう?」
オレが何も言えないでいると、電話の向こうで塔矢が辛そうな声でオレを呼んだ。
「進藤?」
「…もう…いいんだ。…もう、要らないんだ、それは…!」
違うだろう?オレは何を言っているんだ。今すぐに取り消せ。まだ間に合う。まだ、今なら。
「……どういう、事だ…?」
「もう、要らねぇんだよ、そんなもん!もう、やめよう、オレ達。」
どうしてこんな事を言い出したんだ。オレは自分でも何を言っているかわからないんだ、塔矢。
「だって、意味、ねぇよ。」
「進藤…待って、何を言ってるんだ?何を言いたいんだ?わからない…」
「オレはおまえを許さない。おまえはオレを許さない。どっちもどっちなのかもしんねぇけど、
もう、いいよ。もう、馬鹿馬鹿しい。やめよう、こんな事は。」
「…本気で、言ってるのか?」
「もう、やめよう、オレ達。終わりにしよう。」
「嫌だ。」
「塔矢、」
「嫌だ。絶対に、嫌だ。そんな事…」
「塔矢!」
「ボクを…嫌いになったのか?もう、好きじゃないのか?…だから…だから、そんな事、言うのか?」
「違う…そうじゃない、おまえを嫌いになったわけじゃない…」
「なら、どうして!」
「だって…だって、オレ…」
「進藤!」
「オレは……オレ……………オレはおまえに会いたくないんだ!」
携帯の向こうで塔矢が息を飲んでるのがわかる。
「会いたくないんだ。おまえを見るのが怖いんだ。おまえを傷つけてしまいそうで。
オレはもうおまえがオレのものだなんて思えない。おまえを信じられない。
きっと、おまえを見るたびに、おまえに触るたびにあいつの事を思い出してしまう。
違う、ずっとそうだったんだ。オレはあいつが怖かった。おまえの中のあいつの影に怯えてた。
それなのに、オレを好きだって言いながらあいつに会いに行ったおまえを、もう信じられない。」
「待って、進藤、」
「はじめっから、無理だったんだよ。オレなんかにおまえの相手は務まんない。
オレみたいなバカなガキには、おまえの事なんかわかんないし、おまえにもオレの事はきっと
わからない。だから、もうやめよう。やめた方がいいんだ。」
「違う、違うんだ、進藤、お願いだから、聞いて…」
「おまえだってそうだろう?オレが加賀に抱かれたのが許せないんだろう?
でもおまえが許さないって言ったって、オレはオレのものだ。おまえのものじゃない。
それでおまえの言う事を聞いていられるほど、オレは優しくない。大人じゃない。
だから、もうやめよう。無理だったんだよ、最初っから。」
「進藤、待って…待ってくれ。…ううん、電話なんかじゃダメだ。今から行くから…」
「ダメだ!」
「進藤!」
「来るな。来ないでくれ。もうオレはおまえに会いたくないんだ。来ないでくれ。オレに会いになんか
来ないでくれ。あっても声もかけるな。オレはおまえを傷つけたくないんだ。
もうイヤだ。もう、イヤなんだ。イヤなんだよ!」
一方的にまくし立てて通話を切った。電源もすぐに切った。
ハァハァと荒い息をつきながら、さっきまでアキラと話していた携帯を両手で握りしめて、それを
睨んでいた。ぱたっと、音をたててその上にしずくが落ちた。
「うっ…」
嗚咽をこらえようと思っても、こらえ切れなかった。そして涙も、こらえ切れずに、ぱたぱたと手の
上に落ちた。慌てて携帯を拭っても止まらずにぽたぽたと涙はこぼれ続けた。いくら携帯を拭い
ても、顔を手でぬぐっても、涙は止まらずに流れ続けた。
それでも、本当は、オレは内心期待してた。
繋がらない携帯に業を煮やして家の電話にかけてくるんじゃないか。
会いたくないって、来るなって言ったって、家に押しかけてくるんじゃないか。
家には来なくても、棋院に行ったら待ち構えてるんじゃないか。
「どうしてだ、進藤!」って、血相変えて、オレを怒鳴りつける塔矢を、心のどこかで期待してた。
あいつがオレを追いかけてくるのを、ずっと待ってた。
オレは…オレは、そうして欲しかったんだ。オレがやだって言っても、それでもオレを好きだって、
やめるなんて許さないって、そう言ってオレを追っかけてきて欲しかったんだ。
でもそんなのはオレの勝手な期待で、電話はかかって来なかったし、家にあいつが来ることも
なかったし、棋院に行っても、あいつの姿はなかった。
そして、会おうと思わなきゃ会えないんだって、その時まで気付かなかった。
いつも当たり前みたいに会ってたから。
オレが手合いがある時はあいつはない。あいつがある時はオレはない。
でもオレは、もうあいつの対局を見になんて、行けない。あいつの碁会所にも行けない。
あいつの部屋には、もう、行けない。
あの部屋の鍵は、もうオレの手元にはない。要らないって言ったのはオレだ。
もう要らないって、もう会いたくないって、もうやめようって、言ったのはオレだ。オレの方だ。
どんなに後で後悔したって、自分がバカだったって思ったって、一度言っちゃったら、もう取り消せ
ないんだなんて、こうやって思い知らされるまで、オレは知らなかったんだ。
ユウワキタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━!!!!!
俺、誘惑読んでると、自分が小説書く必要性を感じなくなるんだよね。
パロだから、書き手それぞれのアキラ像、ヒカル像があるんだろうけど、
甘味屋さんのは俺のツボにストレート!
ああ、今回も満たされますた。いいのかなあ、こんなに幸せで……。
ゴチです。
誘惑キタ━━━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━━!!!!
山猫もう一個あるし、ちょっとくらいキタしてもいいよな?
もう100か。本当、毎回楽しみにしてる。いつまでも読んでいたいくらいだよ。
>988
Σ(゚Д゚)!? キミは作家なのか? 書く必要性はあるぞ。
書け。書きたまえ。書いてください。おながいします・・って
連載中の人かな?
こんな喧嘩シーン読んで幸せになってんじゃねーよ、アホウ(w
いや、オレの書くアキラとヒカルがキミのツボにはまるんなら、
キミの書くのもオレのツボに近いはずだ。
是非書いてくれたまえ。いや、書いて下さい、おながいします。
しかし、いつの間に100だよ。いつまで続く気なんだよ。疲れたよ。
ここで一段落なんでちょっと休憩するよ。気晴らし番外編もあるしな。
991 :
988:
>989
来月に入ったら、続き書く時間が取れると思い待つ。
アキラの誕生日までには終わらせたいんで。
>990
読む喜びっつー点で幸せなんだ。
二人の諍いに(;´Д`)ハァハァ してるわけじゃないぞー。
名乗ろうかと思ったけど、甘味屋タンのツボじゃないかも知れないんで、やめとく。
誘惑、もう100行ったんだ。
俺は、そんなに長いもの書けないよ。凄いな。
今後の展開を楽しみに、お待ちしてまつ。