出会いには、2段階あります。
たとえば、好きな作家でいえば、
その作家の1冊目と出会うキッカケがあります。
そして、同じ作家の2冊目と出会うキッカケがあります。
1冊目だけでは、深い関係には、まだなりません。
2冊目に出会って、初めてぬきさしならない深い関係になります。
「1冊目を読んだらはまって、すぐ2冊目を読んだ」という人もいます。
「1冊目を読んでから、何年もたってから、2冊目を読んだ」という人もいます。
「初めて読んだと思ったら、本棚にもうたくさんあった」という人もいます。
「同じ本を、2回買ってしまって、しかも、2回読んでしまった」という人もいます。
「あっという間だったので、1回目と2回目の感覚が、数秒しかない」という人もいます。
これらは、すべて2回目の出会いをしています。
恋愛ドラマでは、2回目の出会い方が、非常に大事になります。
僕は、君と、2回出会いたいと思います。
君は、どうやって、2回、出会いましたか。
ルイ・ヴィトンの新作時計のレセプションパーティで、
ロバート・ハリスさんとお会いしました。
「明日から、ギリシャに行くんですよ」
旅人ロバートさんは、言いました。
旅人には、「何しに?」という質問は、ヤボです。
どこかに行くと、必ず、「仕事ですか、休暇ですか?」
という、つまらない質問が、返ってきます。
仕事と遊びが、一体化している僕にとっては、
いつも返答に困る質問です。
「ギリシャには、小さな島がたくさんあるんですよね。
ひとつひとつが、みんな違う顔を持っていて」
と、僕が言うと、旅人は、言いました。
「そうでしょ。ギリシャのいろんな小さな島を回って、
自分の島を、探してこようと思うんです」
やられた。
かっこいいな。
本をたくさん読むのは、自分の本を探しているんですね。
空を見上げるのは、自分の星を探しているんですね。
山を歩くのは、自分の山を探しているんですね
ドラマのロケに行って、旅館に泊まりました。
旅館に泊まる楽しみは、2つあります。
1.畳に布団。
ふだんベッドに寝る生活をしていると、
畳に布団で寝ると、背骨が伸びるみたいで気持ちいい。
2.大浴場。
大浴場には、たいてい露天風呂があります。
深夜撮影を終えて、旅館に戻ると、大浴場は
12時までで終了していました。
ご主人がいい人で、「いいですよ」と、入れてくれました。
想像以上に大きな大浴場で、外に続くドアがありました。
ドアを開けようとしましたが、
鍵がかかっていて、開きませんでした。
共演者も、「露天風呂ですかね」と、ドアを開けようとしましたが、
開きませんでした。
もう少しで開きそうなので、
かなりごりごりチャレンジしましたが、開きませんでした。
その夜は諦めて、次の朝早く、「今日、こそは」と、
早起きして大浴場に行って、驚きました。
大浴場の外は、田んぼで、すぐ普通の住宅が建っていました。
なんと、すぐそこを、車まで走っていました。
住宅街の中の大浴場というのも、シュールでした。
ムリヤリ開けなくて、よかった夜でした。