○ 趣味の部屋『塔失愛好会』Part11 ●

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「進藤…!どうしたんだ?突然。」
嬉しそうに自分を見るアキラの表情を見て、ヒカルは心臓がズキンと痛むのを感じた。
「いや、なんかさ、やっぱりおまえと打ちたくなって…今日、いいか?」
アキラは眼を丸く見開いて、それからはにかんだように笑った。
「もちろんだよ。」
アキラが素直にそう答えてくれたのが嬉しかった。外野のオヤジ達が、またなんだかんだ言って
たが、そんな事は気にならなかった。
それなのに。
検討を始めたら、いつのまにか、いつものように段々とお互いの口調は激しくなり、ついには
「もう帰る!」と言って、ヒカルは席を立って、碁会所を出てしまった。そしてその勢いでビルの下
まで降りてしまってから、なぜ今日ここに来たのかを思い出して、ヒカルは大きいため息をついた。
―オレ、何やってるんだろう?
情けない。っていうか、どうしょうもない。こんな事の繰り返しじゃ。
今更碁会所には戻れない。けれどこのまま喧嘩別れのような状態で帰りたくない。
そう思って、ヒカルはアキラを待つことにした。
でも、碁会所のオヤジたちには見つかりたくなかったので、バス停の影に隠れるようにして、ビルの
入り口を見張ってアキラが出てくるのを待っていた。
来た。塔矢だ。一人だ。よかった。
他のオヤジや受付のお姉さんと一緒だったらどうしようかと思った。
それにしても、これだけの人ごみの中でも、あいつだけは一際目立って、綺麗だ。
あんなに綺麗な人間を、オレは知らない。遠くから見ても綺麗だ。近くで見たらもっと綺麗だ。

ヒカルに気づかぬまま、アキラが近づいてくる。
段々と近づいてくるアキラの顔に見惚れている間に、アキラの横顔がヒカルの前を通り過ぎ、そのまま
アキラを見送ってしまいそうになって、慌ててヒカルはアキラに声をかけた。
「おい、塔矢、」
呼び止められてアキラが振り返り、その目が驚きに見開かれる。
「進藤!?」
ヒカルを認めると、みるみるうちにアキラの顔に喜びが溢れる。
その顔を見ただけで、待っていた甲斐があった、と、ヒカルは思った。
「どうしたの?」
「おまえを、待ってたんだ。さっき、ゴメン。そう言いたくてさ。」
そう言われて、アキラが嬉しそうに、はにかんだように、笑う。
「こっちこそ、悪かったよ。ごめん。つい、さ、夢中になっちゃって…」
それから、小さな声で、こんな事を言った。
「キミが待っててくれるなんて、思わなかった。…嬉しいよ。」
言われて、ヒカルは思わず顔が赤くなりそうだった。言ったアキラも、少し照れたような顔をしている。
時々、本当に時々しかないのだけれど、アキラが子供っぽく見える時がある。こんな風に照れたり、
ヒカルのちょっとしたからかいを真に受けてしゅんとしてみたり。ヒカルにとって、大抵の場合、アキラ
につく形容詞は「キレイ」なのだけれど、こんなアキラはとても可愛いと思う。
髪をくしゃくしゃにしてやりたくなる。頬をつん、と、つっついてみたくなる。そしてもっと真っ赤になって
照れるアキラが見てみたいと思う。それなのに、どうしてか、素直にアキラに触る事が出来ない。
「あの、さ、塔矢、」
「何?進藤?」
アキラが微笑む。その笑顔があまりに素直で無邪気なので、ヒカルはそれ以上何も言うことができない。
「…なんでもねぇ…、いや、あの…ハラ減ったなあ、と思って…」
と適当なことを言って誤魔化した。
言えねぇよ、そんな顔されたら。おまえに触りたくてしょうがねぇ、なんて。
ヒカルは心の中で大きくため息をついた。

― 完 ―
955名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/07 19:24
ヒカルスレの山猫の日記にも似た……。
甘経の予習キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!
>髪をくしゃくしゃにしてやりたくなる。頬をつん、と、つっついてみたくなる。
>そしてもっと真っ赤になって照れるアキラが見てみたいと思う。
ヒカルたんは俺たちの心の代弁者だね!(・∀・)
957甘味屋:02/08/07 22:12
誰だよ…ひとがコソーリと山猫してんのにageてやがるのは…
だが、日記の事教えてくれてありがとよ。似ちゃいねぇと思うけどな。
交際さんの書くヒカルたんは可愛いな。
作家のオナニー具合が似てると。
コミケ情報キボン
原作アキラたんに似てるのがあれば…買わせていただこう!
甘味屋予習キテタ━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)━━━!!
ヒカルタンはアキラタンにとことんメロメロやな
わかるぞその気持ち…ヒカルタンも立派なオレタチの仲間だ
加賀とヒカルタンの会話が微笑ましかったぞ
オレもアキラタンにハメるために勉強しる身分になってみたいぜ(*´Д`*)ハァハァ
961誘惑(8):02/08/11 20:29
Part9 からの続き

和谷の苛立ちはその後も続いていた。
最近、進藤は付き合いが悪い。どうやら塔矢とよく一緒にいるらしい。
大体塔矢門下と森下門下はライバルじゃなかったか?それなのに、当の塔矢アキラと馴れ
合って、どういうつもりだ。今日も、今度の森下先生の研究会に来るのかどうか確認しておこう
と思ったのに、いつの間にか見当たらなくなっている。
「進藤、どこ行ったか知らないか?」
「さあ?そう言えばさっき塔矢と一緒にいたけど…」
そう言われて、和谷は少しムッとした。
また塔矢かよ。最近のあいつらはなんかヘンだ。他の奴らは気付いていないみたいだが。
ああ、苛々する。塔矢の事を考えると苛々するから考えたくないのに、進藤のせいでまた思い
出してしまった。もしかすると、でも苛々の原因は塔矢と進藤のセットなのかもしれない。
訳がわからない。もう、嫌だ。こんな苛々は。

気を晴らそうと思って、和谷は棋院の屋上へ向かった。本来なら立ち入り禁止のはずの屋上
だが、鍵はかかっていなくて誰でも出入りできる状態になっている事を、和谷は知っていた。
こんな、息苦しい部屋の中にいるからこんなに苛々するんだ。今日は天気が良い。外に出れ
ばきっと気が晴れる。
階段を上っていって、最後の踊り場を回ろうとした和谷に、小さな声が届いた。
962誘惑(9):02/08/11 20:29
「…それよりもさぁ…、なあ…塔矢ぁ、」
甘えるようなヒカルの声が聞こえて、和谷は耳を疑った。なんだ、今の声は。
続いて、アキラの声が耳に入った。
「ばかっ、やめろよ、進藤、こんなとこで…」
「いいだろ、誰もいねぇよ…」
なんだ?今のは。
どういう事だ?

足音を潜めて階段を上っていく。
薄暗い、屋上へ通じるドアの前の踊り場に、和谷は信じられない光景を目にした。
抱き合ってキスしている、進藤と塔矢。
進藤の口から僅かに漏れる、あれは…喘ぎ声?
塔矢の首に手を廻して、しがみついて、何してんだ?おまえ?男同士で。
しかも塔矢の、手?なんだ?あのいやらしい手は。進藤の尻を撫で回して…
おい、進藤、なんだっておまえ、そんなヤツにそんな事、させてるんだ?
誘惑・・(;゚∀゚)=3 ハァハァ
続きが気になってしょうがないんだが。
和谷はトーマス化するのか? 続き待ってるぜ!
誘惑キテタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!

ところでこれ、『無題』と同じ世界なんだよな?
すげェうれしい! 続編があるって幸せだ! 
誘惑たんがんがってくれな!
965名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/12 10:01 ID:???
誘惑、楽しみにしてるよ。
966誘惑(10):02/08/13 22:14 ID:???
気配に気付いたのか、アキラが薄目を開けて和谷の方を見た。
ヒカルを抱いたままのアキラの視線が、二人を睨みつけるように見る和谷の視線とかち合った。
一瞬眉を顰めて、それからゆっくりと唇をはなして、ヒカルの名を呼ぶ。
「進藤…、」
「や………と…や…」
名残惜しそうに、ヒカルがアキラの唇に追い縋る。
「進藤、」
とろけるような表情でアキラの首にしがみついたままのヒカルに、アキラが視線で、和谷の方を
指し示した。
「え………ぅわあぁっ!!」
ヒカルは慌てて真っ赤になってアキラから手をはなした。
アキラはヒカルの肩を抱いて、不遜な笑みを浮かべて、和谷を見下ろした。
「なに、してんだよ…、おまえら…」
「何って、見ての通りだよ。」
半ば開き直ったように、アキラが言った。
和谷はアキラを睨みつけて、言った。睨みつけながら、ダン、と音を立てて階段を上った。
「なんの、つもりなんだよ、貴様…、進藤に、何してんだよ、おまえ。」
「何してた、って、キスされてただけ。」
「されてたって、何だよ、その言い方…!進藤のほうから…そんな事、するわけないだろ!
おまえが、誘惑したんじゃないかっ!?」
967誘惑(11):02/08/13 22:15 ID:???
「誘惑?」
アキラが目を丸くして、和谷の言葉を繰り返した。
「へぇ、そうなの?」
それからヒカルに向かって、こんな風に言った。
「ボクがキミを誘惑したんだってさ。そうなのか?進藤。」
「塔矢っ…!」
面白がっているような口調のアキラを咎めるように、ヒカルはアキラの名を呼んだ。
「今、誘惑されてたのはボクのほうだと思うんだけど、ねえ、進藤?」
確かに仕掛けたのは自分の方だ。
和谷に自分とアキラとのキスシーンを見られただけでも恥ずかしいのに、こんな事を言われて、
ヒカルは恥ずかしくて死にそうな気分だった。
いつから見られてたんだろう。こんな所でキスをねだっていた自分をみられてたんだろうか。

からかわれているのがヒカルなのか、自分なのか、それとも両方なのか。
こんな場面を見られても、ひとかけらも慌てた様子を見せないアキラに腹が立って、和谷はアキラ
を睨みつけた。アキラはそんな和谷の視線を平然と、いやむしろ面白がるように受け止めた。自分
を、そしてヒカルをも、もてあそんでいるような、そんなアキラの態度に怒りが湧いてくる。
「塔矢、おまえ…」
怒りに震える声で自分を呼ぶ和谷に、アキラは小さく微笑った。
968誘惑(12):02/08/13 22:16 ID:???
「誘惑って言うのはね、」
アキラはヒカルの肩を抱いていた手で、そのままそこにいるように、と、ヒカルを押しとどめ、それ
から、つい、と和矢に向かって足を踏み出した。
気圧されたように、和谷が一歩後ろに下がった。
気にせず、アキラが和谷に詰め寄り、アキラの目が和谷の目を覗きこんだ。真っ直ぐ向けられた
アキラの視線から逃れようと、和谷は視線を揺らした。だがそれに構わず、アキラが今にも触れ
そうな至近距離まで顔を近づけると、和谷はもう、逃げられない。底の見えないような深い黒い瞳
に、幻惑される。
和谷の瞳に怯えを感じ取って、アキラは目をすっと細め、唇の端を軽く持ち上げた。それから、
両手で和谷の頬を包み込み、引き寄せ、目を伏せて唇を重ねた。
呆然としている和谷の中にアキラの舌が侵入した。逃げようとする和谷の顔をアキラはしっかり
と押さえつけ、舌を絡めとる。和谷の抵抗など意にかけず、アキラが和谷の口腔内を蹂躙する。
膝の力が抜けて立っていられなくなりそうになり、和谷はアキラの腕と肩にしがみつく。それでも
アキラは和谷への攻撃を止めない。薄目を開いて和谷の表情を観察し、そして和谷から完全に
抵抗の意思が消えたのを確認してやっと、アキラが和谷の唇を解放し、顔をはなした。
アキラがとん、と和谷の肩をつくとそのまま和谷はカベにもたれかかって、呆然としてアキラを
見上げた。
「こういうのを言うんだよ。誘惑するっていうのは。」
アキラは和谷の耳元でそうささやくと、一歩下がって、クス、と笑って和谷を見た。
969誘惑(13):02/08/13 22:17 ID:???
かあっと和谷の頬が赤くなった。
悠然とその様子を見下ろしながら、そのまま、立ち位置を変えずにヒカルの方を振り向いて、
「進藤、」
と呼んで、手を伸ばした。
「塔矢っ…」
目の前で起きていることにどう反応したらいいのか―怒るべきなのか、 わからないまま、ヒカル
は自分に向かって伸ばされたその手を掴まえた。
が、逆にアキラがその手を取って、強引にヒカルの身体を引き寄せた。
そしてそのまま、うろたえたヒカルの唇を塞ぐ。
そしてゆっくりとヒカルを味わった後に、ヒカルの目を見つめたまま、顔を離した。
「…塔矢っ…!」
今度はヒカルがはっきりと非難を込めてアキラの名を呼んだ。
「口直し。」
そう言ってアキラがにこっと笑ったのを見て、ヒカルはかっと身体が熱くなるのを感じた。
それからアキラは和谷を振り向くと軽い笑みを返し、それからヒカルの肩を抱いて、
「行くよ、進藤。」
と言って、和谷をそこに残したまま、歩き出した。
ヒカルがアキラの顔を見、それから、和谷を振り向き、何か言おうとしたが、強引なアキラの手に
引きずられるように、歩き出さざるを得なかった。
970誘惑(14):02/08/13 22:18 ID:???
カベにもたれたままずるずると腰をおろし、しばらくの間、和谷は呆然とそこに座っていた。
足に力が入らなくて立てなかった。
何もできずに、何も言えずにいるまま、アキラとヒカルが去っていくのを、ただ見送っていた。
よろよろと手を口元へ持ってきて、指で唇の輪郭をそっとなぞる。
アキラの唇の感触を思い出しながら。
いったい、今、自分に何が起きたのか。
キスって、あんなものだったのか、と陶然としながらも、アキラの顔を思い出した。
それから急に腹立たしさがこみ上げてきて、ぐいと唇をぬぐった。
なんのつもりだ。アイツは。オレを、もてあそんだのか?いきなりあんな、激しいキスをしてきて。
しかも、「口直し」だって?悪かったな、口直しが必要で。
アイツは、何を考えてやがるんだ。
この間のパーティでは突然、今までの諍いなんてなかったように笑いかけてきて。
オレときたら、それだけであがっちまって。蛇に睨まれた蛙みたいに。
そして今日はオレをからかうように、キスなんかして。
あの悪魔は一体何を考えてやがるんだ?
進藤の事も、こんな風にたぶらかしたのかよ?
971970:02/08/13 22:19 ID:???
昨日トーマスの誕生日だったんだな。
これは誕生日プレゼントには…ならねぇよなあ。ごめんよ、トーマス。

倉庫番様
いつもいつもありがとうございます。
毎度、注文が多くて申し訳ありませんが、以下の2点、お願いします。

・「甘い経験・Part2」で最後の21を前の頁に含めて[16-21]にしてもらえますか?
本来は20と21はまとめてUpするつもりだったのが長文ではねられて、
止む無く区切っただけだったので。
うpした時に言っておけばよかったですね。済みません。

・「誘惑」は無題、甘い経験に繋がってる話なので、相関図はこんな感じでお願いします。
第三部→予習→甘い経験→Part2→誘惑
無題・番外は第三部から分岐する形で。
972名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/13 23:42 ID:???
誘惑キタキタ!!
どうなるんだ一体!
和谷おまえどうするんだ!
アキラたんを襲っても軽くあしらわれそうだし、
ヒカルたんだったらアキラたんの報復が怖いな(w
973名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/14 10:57 ID:???
誘惑キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(。  )━(A。 )━(。A。)━━━!!!!!
魔性のアキラ(・∀・)イイ!!
974名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/14 18:20 ID:???
誘惑キテタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
続くのか?トーマスどうしたいんだ?
アキラたんを襲うには役不足だが、ヒカルたんならあるかも…
ヒカルたんがやられちまって、報復する悪魔のようなアキラたんを見たいぞ!!!
975名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/15 00:48 ID:???
キタ━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)━━━!!
でも、和谷はヒカルというよりアキラの方に惹かれてるよな?
だったらアキラの方にGO!だろう!逝け逝け和谷!
976名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/15 12:18 ID:???
誘惑キタ━━━(゜∀゜)━━━━━━!!!!
和谷とのエチーはまだ無いからな。期待…和谷とのエチーといえばカゲロウさんはどうしてしまったんかのう?
偽りさんも早く来てくれ〜!
977誘惑(15):02/08/16 18:41 ID:???
「おまえ、なんて事するんだよ…」
「何が?」
アキラはヒカルの方を見ず、真っ直ぐ前を向いたまま、答えた。
「何が、じゃねぇよ、どういうつもりだよ、和谷にキスなんかしてっ!」
「声が大きいよ、進藤。」
低い声でアキラが言った。
階段から廊下に出て、振り返らずにすたすたと早足で歩いていく。ヒカルは必死に後を追う。
アキラは廊下の奥の小さな会議室に入った。
「おい、塔矢、」
ドアを後ろ手で閉めながら、アキラの背中に呼びかける。
「なんなんだよ、さっきのは。なんで、和谷にキスなんかすんだよ、オレの、目の前で。」
「わかってないね、進藤。」
滅多にない厳しい声色の理由が、ヒカルにはわからない。
「怒ってるのはボクの方だよ。」
やっとアキラが振り向いて、言った。
だがその表情の険しさにヒカルはぐっと押し黙ってしまった。
「先にボクの前であいつと仲良くしてたのは誰だ?
今までもずっとずっと、ボクの目の前で楽しそうにあいつと喋ってたのは誰だ?
大事な友達だなんて言ったのは誰だ?あいつと仲良くしろ、なんて言ったのは誰だ?
今までずーっとキミがしてきた事を思えば、キスの一つや二つ、何だって言うんだ。」
「な、何言ってんだよ、それとこれとは全然話が違うじゃ…」
978誘惑(16):02/08/16 18:42 ID:???
「違わないよ!ボクが今まで平気だったとでも思ってたのか?
キミはわかっちゃいない。ボクはね、あんなヤツにキミのまわりをうろうろして欲しくないんだ。
友達だって言うから、我慢してた。ボクには友達なんていないから、キミがどういう風に彼を
『大事』に思ってるかなんてわからない。だから今までずっと我慢してたんだ。
それなのにキミときたら…」
「塔矢っ!」
ヒカルがアキラの抗議をさえぎるように叫んだ。
「なんだよ、それ…、それって、ヤキモチやいてたのかよ?
それでなんで和谷にキスするんだよ?わけわかんねえ。」
「そんなの、ボクだって知るもんか。」
「じゃあ、オレが和谷とキスしてても平気なのかよ?おまえ。」
「いいわけないだろう!?そんなにあいつが大事なのか!?」
噛み付くような形相でアキラが言った。
「はあ?ふざけんなよ、訳わかんねえ事言ってんじゃねぇよ、このバカヤロウ…!」
思わずヒカルもかっとして、アキラの手首を掴む。そしてそのまま両手首を掴んでカベに押さえ
つけ、強引に唇を塞ぐ。荒っぽいキスを与えながら、身体を密着させ、脚の間に自分の脚を割り
込ませて、アキラの下半身を刺激する。
アキラがそれに反応してヒカルの口の中に息を漏らす。ヤメロ、と唇が動いているのがわかる。
顔をはなすと、アキラがヒカルを睨みつけている。ヒカルも負けじとアキラをにらみ付けたまま、
アキラのズボンのファスナーを下ろし、アキラのペニスを取り出して手中に収めた。
「何するんだ、やめっ……」
抗議の声など最初から耳にかけず、それを両手で扱きあげながらしゃがみこんで、ヒカルの手
が与える刺激に素直にムクムクと頭をもたげかけはじめたそれを口に含んだ。
979誘惑(17):02/08/16 18:44 ID:???
「…いい加減に…くっ……しろよっ、進藤…!」
「途中で止めていいのか?」
にやっと笑いながら、アキラの顔を見上げて言った。
「おまえも、バカな意地張ってると、昼休み、終わっちまうぜ?」
アキラは頬を上気させ、荒い息をはきながらも、ヒカルを睨みつけた。が、ヒカルが手を動かす
とその刺激に目を閉じ、頭を反らせる。そうしてもう一度ヒカルがアキラを根元まで咥えこむ。
口腔全体で絡めとるように締め付けられて、ヒカルの口中でアキラが欲望を解放する。ヒカル
は放たれたものを飲み下し、更にそれでは足りない、というように吸い上げ、丹念に舐め取ると、
ようやく腰を上げ、そして壁に寄りかかって荒い息をついているアキラの耳元でささやいた。
「つまんない事、考えんなよ。オレが好きなのはおまえだけなんだから。
おまえ以外の奴に、こんな事したいなんて思わねーよ。」
だがアキラはヒカルのそんな言葉など聞いていないように、ヒカルを睨みつけて、吐き捨てる
ように言った。
「よくも…よくも、こんな時に、こんな場所で…さっきといい、今といい、この恥知らずの色ボケ
野郎…!」
「バーカ、そんな顔で睨んだって恐くなんかねーよ。色ボケてんのはおまえだって一緒だろ。」
思わず振り上げかけた手を、アキラはぎゅっと握って、精一杯ヒカルを睨みつけた。
「…今日の手合い、負けたらキミのせいだからな。」
そんな捨て台詞を残して、くるりと背を向けて乱暴な音を立てて部屋を出て行った。
ヒカルはそんなアキラを半ば呆れ顔で見送った。
「…何言ってんだよ。負けるなんて思ってもいないくせに。」
そして時計を見、更に机の上に放り出されているコンビニの袋とそこから転がりだしているサンド
ウィッチを恨めしげに見た。
「やっぱし…時間ねぇかぁ…、昼メシ食い損ねたな。腹へった…」
980誘惑(18):02/08/16 18:44 ID:???
自分でも無茶苦茶な事を言っているということはわかっていた。ヒカルに責められるまでも無く、
馬鹿なことをした、とは、思っていた。
進藤はボクのものだ。ボクだけのものだ。
そう、和谷に見せ付けてやりたかった。それだけの衝動であんな馬鹿な真似をして。
和谷の事を「大事な友達」と言ったヒカルの言葉が、ずっと頭に残っていた。
自分にはヒカル以外に大事なものなんてないのに、それなのに彼は「おまえとは全然違う」けど、
それでも「大事な友達」だなんて言う。その「大事な友達」である和谷への嫉妬と、そして、自分は
持っていない友人を持っているヒカルへの嫉妬心が、あんな真似をさせた。

自分にはヒカル一人しかいない。けれどヒカルには自分一人ではないのだ。
皆から好かれる、太陽のようなヒカルが好きだ。そういうヒカルだからこそ、好きになった。
なのに友達と一緒に笑っているヒカルが、眩しくて、羨ましくて、けれどそれが自分ひとりに向けら
れたものでない事が妬ましくて、あの笑顔を自分だけのものにしてしまいたくなる。
いっそ彼をどこかに閉じ込めて、自分一人のものにしてしまいたい。
その光が自分以外の人間を照らしたりしないように。
それが歪んだ独占欲に過ぎないという事を頭では理解していても、心は黒い感情を抑えきれない。
そんな時には、本当に自分が嫌になる。そして、だからこそ、自分の心の闇をヒカルに照らして欲
しいと思う。だからこそ、あの太陽を自分ひとりだけのものにしてしまいたくなる。
どうしようもない、堂々巡りだ。
自分が情けなくて、アキラはため息をついた。
彼は、どうするつもりだろう。
自分とヒカルとは特別な仲なのだと見せ付けてやりたかった。おまえなんかに出る幕はないんだと。
それだけの子供っぽい理由から、もしかしたら、不要な火をつけてしまったのかも知れない。
あのままで済むはずがない。そんな嫌な予感がした。
981名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/16 21:07 ID:???
キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━!!!!!
誘惑楽しみにしてるんだよ!
毎日、ここ覗いてるんだ。今日は読めて幸せでつ。
982名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/17 20:04 ID:???
キテタ━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)━━━!!
そりゃこのままで済むわけが無い。
和谷には火がついたはずだ。
トーマス化した和谷を止められる奴はいない!
983誘惑(19):02/08/18 00:31 ID:???
何とか対局中はその事を頭から追いやる事ができた。ぎりぎりで勝ちを拾って、礼をすると、
頭を上げて周りを見回した。だが彼はすでに終局したようで、そこにはもういなかった。

けれど自分の部屋に帰っても、まだ昼間の事が頭から離れなかった。
塔矢の唇の感触。それが与える陶酔感とその後の屈辱。そして、抱き合って甘い会話とキスを
交わしていた塔矢と進藤。進藤を抱いていた塔矢は、二人の雰囲気は、キスだけでは済まない
ような、それ以上の関係があるような、そんな感じだった。
どういう事なんだろう。塔矢が、進藤を抱いているんだろうか。
あんな風に甘えて、塔矢の腕に抱かれているんだろうか、進藤は。
何を、バカな想像をしているんだ、オレは。
進藤の日焼けした体と、塔矢の白い体が絡み合っている。
塔矢の白い手が進藤の身体の上を這いまわる。それに進藤が甘い泣き声を漏らす。
どんな言葉をささやくんだ。塔矢は。そしてどんな声で応えるんだ。進藤は。
やめろ、バカな事は考えるな。
オレには関係ない。あの二人が、キスしてようと、セックスしてようと、オレには関係ない。
そうじゃないか?オレには関係ない。
それなのに。脳裏に浮かんで離れない、塔矢の顔。
笑いかけてきた、にこやかな笑顔。進藤を見た時の、花のような笑み。そして進藤を見る優しい
眼差し。熱い視線。そして―
「やめろっ!」
声に出して叫び、頭を振る。それでも浮かび上がる映像は消えない。
眼前に迫る塔矢の妖しい笑み。躊躇もなく触れてきた唇。押し入ってきた熱い舌。
あれがディープキスというものなのか。男にキスされて、腰砕けになるなんて、どうかしてる。
オレのことなんかなんとも思ってないくせに。からかうだけのために、あんな風に笑って。
あんなキスをして。
許せねぇ。
984誘惑(20):02/08/18 00:32 ID:???
許せねぇ。振り切るように、和谷は頭を振った。
気を落ち着かせよう。そう思って、PCの電源を入れた。
ネット碁のサイトにアクセスし、対戦相手を探す。今でも時々saiの名を探してしまう。
きっともうsaiは出てこないのだろうと、頭ではわかっていてもあきらめきれない何かがあった。
―やっぱり、いないな。
わかっていた事なのに気落ちしてしまって、なんとなく、ネット碁を打つ気にはなれなかった。
和谷はそのまま、前によく行ってていた掲示板にアクセスした。
何でもありのその巨大掲示板は、根も葉もない噂の中に時折真実のようなものが混ざっていて、
半分以上はウソだとわかっていながらその混沌とした情報の中を漂うのは刺激的でもあった。
だが、あまりにもくだらないウソや中傷や、なんの根拠もないような憶測に辟易して、最近はここへ
はアクセスする事は少なかった。
―ここに、アイツらの事を、書き込んでやったらどうなるかな…?
誰にでもわかるような簡単な当て字で―いや、「若手プロ棋士のTとS」と言えばそれだけで十分通
じるだろう―二人のことをぽろっと書いてやれば、後は適当に尾鰭がついて噂は面白おかしく作り
上げられていくだろう。
頭の中で文面を考えながら入力し、書き込みボタンをクリックしようとした。だがその時、なんだか
急に虚しくなって、和谷は手を止めた。所詮、ここは便所の落書きのようなものだ。それに、ここに
書き込んだことが、当の本人達の目に触れる可能性は少ないだろう。進藤はパソコンを持ってい
ないし、塔矢がこんな所に出入りするとは思えない。それじゃ、なんの憂さ晴らしにもなりゃしない。
奴らの知らないところで噂になってたって、あいつらは痛くも痒くもないんだ。
「ちぇっ、つまんねーな。」
なんか、面白いとこ、ねぇかな、そう思いながら、和谷はサイトの目次を表示させた。
985誘惑(21):02/08/18 00:33 ID:???
誤ってどこかをクリックしてしまったらしい。ウィンドウが開いて「趣味一般板」という頁が表示された。
―「趣味」か。オレには無縁な言葉だな。
だが、特にどこに興味があったという訳でもないので、和谷は見るともなしにぼんやりと、上位
スレッドのプレビューに目をやった。と、そこに上げられていた長文に和谷の目が止まった。
―なんだ?これ…ポルノ…か?なんでこんなのがこんな所に…
和谷はゴクリと唾を飲み込んだ。なんだ、と思いながら目は文章を読んでいた。
が、それは途中で寸断され、「省略されました・・全てを読むにはここを押してください」とメッセージ
が表示されていて、更に次のレスに続きのようなものが挙げられている。和谷は迷うことなく、画面
をスクロールさせて「最新50」をクリックした。雑談のようなレスやAAの後に、似たような長文レスを
見つけた。だが、先程目にした文章とは違う。さっきの前の分だろうか、と思いながら読み進める内
に、その内容に和谷は眉を顰めた。
―なんだ、これ?男…?ホモ話かよ…?
オレはホモじゃねぇぞ、と思いながらも、その性描写に和谷は自分が興奮しているのを感じていた。
―な…んだ?ホモって、こんななのかよ?こんな風に…
突然、和谷の脳裏に、抱き合ってキスしていたアキラとヒカルの姿が甦った。
―アイツらも…こんなふうに、してんのかよ…?
文字情報だけの描写は容易にその登場人物を別の人物に置き換える事ができる。
和谷はそれを自分もよく知っている人物―アキラとヒカルに置き換えながら読み進めるのに夢中に
なっていた。和谷の目の裏では、書かれている通りにアキラがヒカルを弄り、攻め、声をあげさせて
いて、そして書かれた喘ぎ声はヒカルの甘い声となって和谷の耳に届いた。
986誘惑(22):02/08/18 00:34 ID:???
それなのに、突然文章は途切れていて、その次には、目にうるさいAAを使った「キター!」(どういう
意味だ?一体?)だの「ハァハァハァハァ」だの、訳のわからないレスが続いている。
「なんだ、こいつら、バカじゃねぇか!?雰囲気ぶち壊しじゃねえかよ!!」
和谷はモニターに向かって悪態をついた。
―そりゃ、こんなの読ませられりゃ興奮はするかも知れねえけどさ…、っていうか、これ、一体どう
いうスレなんだよ?
そう思って、スレの1を読んでもさっぱり訳がわからない。1に書かれており、またスレッドタイトル
にもなっている名前も、和谷には聞いた事もない名前だ。
―芸能人とかじゃないよなあ。何かのマンガとかアニメのキャラクターのファン(?)スレなのか…?
でもここ趣味板だろ?これのどこが「趣味」なんだ?わけわかんねぇ。
この時間ではスレッドの内容を一気に読む事はできないので、100ずつ区切って読んでいく。
どうやら、先程の小説の登場人物に妄想するスレッドらしい、が、一体この訳のわからない空気は
何なんだ?(さっきの「キター」はどうやら長文―小説?―が「来たぞ!」と言う意味なのか?)
妄想小説も先程のものだけでなく、何種類かの小説が少しずつアップされている。
こんな、男同士のエロ小説なんかをこんなにいくつも、こいつら、一体何を考えてやがるんだ。ホモ
好きの女の妄想スレかよ?の割にはなんかレスは男言葉だし…。男が男に興奮して、どうするんだ?
「次100」とスクロールを繰り返す内に、やっとさっきも読んだレスに辿り着き、もう一度和谷は、―その
前段階を読んで少しは状況が掴めた―小説を、もう一度貪るように読んだ。
そして小説を読みきって、最後のレスまで読みきると、和谷はもう一度その画面をリロードした。
例の長文の続きが来ていないかと思って。だが、新しいレスは期待していた長文ではなく、別のレス
に対するレスが一つだけだった。それを見て、和谷は急になんだか自分がバカみたいに思えてきた。
987誘惑:02/08/18 00:35 ID:???
作中、一部不穏な発言がありますが、初心者の言う事と思って聞き流していただけると幸いです。
決して作者がそう思っているというわけではございません。

トーマスが誤ってハァハァしてしまうスレは、本来なら愛好会より魔境の方が雰囲気的に合ってる
気がするんだが、まあ、あんまり他所様の名前を出すのもな…
988名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/18 03:48 ID:???
誘惑
                 キタ
         ┏━┳━━┳╋━━━┓
         ┃  ┠━━┻╋┓   ┃
         ┃  ┃  ┏━╋┛   ┃
       キタ╋━╋━┻(゚∀゚ )━-━╋━━!!
         ┃  ┗━┳━╋━━━╋
         ┃     ┃  ┃     ┃
         ┗━━━┻━╋━━━┛
誘惑たん、俺夜中なのに笑い転げたよ!腹イテ〜!
キタ━━━━━━━━━!!!!しる手も震える(w
トーマスの行動は最初にここに来た俺にそっくりなんだよな(w
リアルなトーマス反応ありがとな!
さて、これからトーマスがどう動くか楽しみだ。
最終的にはアキラたんとやって欲しいが(タチでもネコでもどっちでもOK)
つづき激しくキボンしる!
989名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/18 07:21 ID:???
ハハハハ! 笑ったよ〜!
トーマスが見たのってプチじゃないのか? トーマスがプチの小説を読んで
「どうして塔矢のセクースがこんなとこで!?」と慌ててるのかと思っちったよ。

>988
俺の反応も全く一緒さ!
990名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/18 07:22 ID:???
誘惑キタ━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)━━━!!
このスレ見てハァハァ(;´Д`)しる和谷……笑いすぎて涙出た(w
和谷に親近感覚えたぞ!
そのハァハァ(;´Д`)をどうするつもりなんだ和谷。
991偽り:02/08/18 16:02 ID:???
高級住宅が並ぶ道を走り、やがて目的地である一角の大きな門の前で
止まった。
進藤は車から降り、持ってきていた専用のリモコンで操作し門を開ける。
オレは透かさず、車を中に入れると後部座席にいる少女を抱きかかえた。
進藤が独立して建てた家は、かなり大きい屋敷と言える代物だった。
タイトル3冠の彼は、相当の高額所得者だ。
未来のトップ棋士という事で賞金を元手に二十歳そこそこの若い身空で、
銀行からローンという形をとって、この屋敷を買ったと訊いたその当時は
呆れたが、(貸す銀行もどうかと思うが)彼の活躍は凄まじくとうに
払い終えていた。
進藤の両親は一緒に住んでは居らず、広い屋敷に女房であるあかりと
二人の子供の4人暮らしだった。
所詮、普通の家庭で育った進藤は使用人を住まわすという事をせず、
皆あかりが掃除やら身の回りの世話を一手に引き受けていた。
だが、何が原因か詳しい理由は分からんが、女房のあかりは一週間前から
実家に帰っているらしいので、進藤がいないときは当然子供だけになる。
あかりの方は、どうも子供を連れていきたかったらしいが子供が頑固までに
拒否したらしい。どうも子供の方が気を使って、母親より父親の方が
気がかりと見えて残ったのだろう。ま、当然だが。
進藤は人気棋士の為、よく地方のイベントに駆り出されたりする。
忙しい身であるので、子供だけこの家に置いていく訳にもいかず4日前の
地方イベントの前の日、知り合いに預かってもらうよう頼んだのだ。
実家の両親には、とても頼めなかったらしい。事情をすぐ知ったオレは
すぐ様、名乗りをあげたが・・・。
緒方は、目元をゆるめ腕の中の少女を見た。
”15年、オレは進藤の家庭に踏み込んでいるのか”
腕に感じる重みに年月を感じながら、緒方は感慨に更けっていた。
992偽り:02/08/18 16:41 ID:???
「緒方さん、早く!」一足先に行き玄関の戸を開け緒方を呼ぶ。
ヒカルは緒方の歩みが遅いので、訝しげに見た。
物思いに耽っている緒方は、ヒカルには不気味に見える。
緒方が何を考えて、自分たちに付き合っているのか分からないからだ。
子供が産まれてからずっと、緒方さんはオレ達に関わってきた。
囲碁関係の人には、誰にも知らせていなかった子供の誕生に緒方さんは、
なぜか聞きつけ生まれた翌日、病院に見舞いに来たのだ。
病院から退院する時でさえやってきて、なぜかそのまま親戚付き合いの
ようになってしまった。
頻繁にやってきては、子供の面倒を見てくれていたので助かったことも
在ったが。(と、いっても上の子だけだけど)
ヒカルは、つい一昨日みてしまった光景を思い出して一気に気分が
下がるのを感じていた。
棋院からの帰り道、夕方から夜になろうとする微妙な色合いの空の下、
門の前で緒方と自分の娘がキスし合っていたからだ。
あれを見た時の衝撃は、今でも忘れられない。
”光源氏計画!?ロリコン?ふざけるなよ”
一瞬自分が怒りでパニックになった。
緒方さんは独身だ。たとえ相手との間にすごい歳の差があろうと本人達の
自由だし世間的にはあまり問題じゃないかもしれない。
オレも二人がいいって言うのなら思う所はあるが、真剣なら許してやっても
いいと思っている。
でも、緒方さんは十中八九塔矢と付き合っている。
それに、余所にも絶対女がいる。それも複数の・・・。
その緒方がまさか自分までも手中に治めようとは、思っていないヒカルは、
これからの愛娘の行く末にため息が出るのであった。
993偽り:02/08/18 17:12 ID:???
塔矢家では、アキラが倒れたという連絡を受け騒然となっていた。
救急車を呼ぼうかと思ったが、どうやら気を失っているというだけで
脈も呼吸も正常ということから、ずっとお世話になっている掛かり付けの
医者の往診ですますことにした。
医者はアキラに触診や栄養剤の点滴を施した後、顔をゆるめて
「過労でしょう・・・このところ忙しかったようですし」と告げた。
明子と芦原は、その言葉に安堵しお互いに笑顔で顔を見合わせる。
今日、行洋は知り合いに呼ばれ留守にしている。
アキラの容態がかなり悪いのなら呼びつけているのだが、
たいしたことないのなら無理に心配させることはないと明子は思った。
身支度を整えて立とうする医者に「ありがとうございます」と明子は
礼を言うと、玄関先まで見送った 。
アキラの側には、芦原がいてアキラの穏やかな寝顔に顔を綻びさせた。
「びっくりさせるなよ、アキラ」芦原は、そういうと頭を撫でながら
つぶやいた。ただ事じゃない倒れ方だった。
彼には何かあるのだろうか・・・それは昔思っていた疑問でもあった。
でも、自分には絶対弱みを見せることは彼はしないであろう・・・。
オレじゃアキラの助けにはならない。そう思うと芦原は自分に歯痒かった。
誰か、彼を幸せにしてほしい。
芦原は、眠るアキラの頬を手の甲でさすりながらつぶやいた。
994誘惑(23):02/08/18 20:44 ID:???
「ケッ!くだらねえ!」
どうせ変態な奴らのくだらない妄想さ、オレはホモなんかじゃねえ、女の方が良いに決まってる。
そう考え、いま読んだ文章を頭から追い払おうと、ブックマークしておいたアダルトサイトにアクセス
する。だが、ダウンロードした画像に和谷は悪態をついた。
「なんだよ、ブスばっかりじゃねぇかよ!」
あれっくらいなら、塔矢や進藤の方がよっぽど美人だ。と、思ってしまって、和谷は慌てた。
―オレ、今、何を考えてた?
確かに、塔矢は綺麗だ。整った顔立ちと言うのはああいうのを言うのか、と思った事はある。
だがその美しい造形も、和谷にとっては塔矢アキラを「気に入らない」理由の一つだった。
女ならともかく、綺麗な男なんて、男が最も嫌うものだ。
そして進藤。あいつを美人だと思うなんて、どうかしている。そりゃ、確かに可愛らしい顔立ちとは
いえる。くるくると表情を変えるでっかい目に、子供っぽい口元。
何を考えているんだ、オレは。
なにもかもあいつが悪いんだ。塔矢のせいだ。
塔矢にしがみついて甘えていた、進藤の甘い声ととろけるような表情。見られて真っ赤になった顔。
いつもと全然違って見えた進藤を、色っぽいと思ってしまったなんて、どうかしてる。
そして―そして、その進藤の背中を、尻を、這いまわっていた白い手。
オレを惑わす、黒い瞳。柔らかな唇。オレをからかい、弄る、熱い舌。
あれは、色っぽい、なんてもんじゃない。いうならば―
「妖艶」と言う、先程読んだ文章の中の言葉が和谷の頭に浮かんだ。
例えば、あの唇が、舌がオレの――を弄るとしたら…
最初に目に入った文章の一節が甦る。和谷はそれを再現するようにファスナーをおろし、すでに昂
ぶりつつあった自分自身を取り出して、アキラの舌触りを想像しながら、自分の手でゆっくりと刺激
を与えていった。
995誘惑:02/08/18 20:46 ID:???
昨夜はここまで出すつもりだったのに一つうpし忘れたよ。失敗。
トーマスが見たのはプチであってプチでない、パラレルな世界のプチだと思ってくれ。

偽りさん、お邪魔してます。待ってたよ!
緒方が一体何考えてんだかさっぱりわからんな。何もかも全部が欲しいのか?
だがヒカルの娘に手を出すのはそれはヤバイだろうよ…思いっきり犯罪だ。
996名無しの愉しみ :02/08/19 06:06 ID:???
キタ━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)━━━!!
偽りさん、誘惑さんスマン。残り少ないしキタ━━━━━━━━!!!!していいものかどうか迷ったんだが。
あちらでキタ━━━━━━━━!!!!するのも変かとも考え…。
ここ1000になったら、現スレが山猫化するまで現行スレにうpしてくれたらかなり嬉しいぞ!どうだろうか?
偽りさんはかなりどす黒い世界とみた。誘惑さん、違うんだよ、その子はたぶん……。
しかし和谷、ついにアキラたんフェラで抜くか━━━━━━━━━!!!!
どっちもつづき禿げしくキボンしる!
997名無しの愉しみ :02/08/19 20:43 ID:???
偽り、誘惑
   ┃   ┏━┃              ┃┃
 ━┏┛ ┏━┃ ━━(゚∀゚)━━┛ ┃┃
 ━┏┛ ┛  ┃              ┛┛
   ┛       ┛              ┛┛
偽りは異色というか、独特な世界観が好きだ。
そのまま偽りさんの世界を突っ走って欲しい。
芦原ならアキラを幸せに出来ると思うんだけどな。既婚者じゃ無理か?
誘惑和谷、パラレルプチに思いっきり影響受けてるな(w
どちらも続きをすぐにでも読みたい。
出来れば、今のスレに続きを載せてくれるとありがたいが、待てと言われれば
待つぞ。
998偽り:02/08/20 07:22 ID:???
静けさの中、秒針を刺す音がやけに響く。
あれからどのくらいの時が過ぎたのであろうか・・・。
しかし芦原はアキラが目覚めるまで帰りたくなかった。
アキラの顔を覗き込む。端麗な顔立ち、昔も今も彼から受ける
美のイメージは損なっていない。
初めて会った時、幼いアキラの美しさに見惚れてた。
毎週毎週の研究会が楽しみでたまらず、そのアキラの友達になれた時は、
どんなに嬉しかったか。
かなりテンションが上がって周囲に自慢しまくった憶えがある。
周りはかなり呆れていたが・・・。
今、芦原の脳裏には小学生の時のアキラと自分が楽しそうに笑っている
映像が駆け巡っていた。あの頃は誰よりも一緒にいた。
そう兄弟子緒方さんよりも・・・でも今は自分も彼も(彼は特に)
多忙でなかなかゆっくり顔を付き合わすことがなかった。
アキラと緒方さんはよく会ってるらしくいつも一緒にいるところを
見ている。・・・だからだろうか?アキラが目が醒めた時、
自分が側にいてやりたい。
でも、辺りはすっかり暗くなりもう10時を回っていた。
明子も芦原にもう帰るよう促したが、もうしばらくいることを告げると
明子はにっこり笑い、”アキラさんは幸せ者ね”と云って席を離れた。
「家に電話しなくちゃ・・・」時間が時間の為、芦原は携帯を取り出し、
登録をしてある自宅の電話にかけようとした。
「う・・んん・・」その時、うめき声と共にアキラの身体が身じろいだ。
「アキラ?」
芦原は携帯をほっぽり投げ、アキラの方に目線を戻した。
苦渋に満ちたアキラの顔を見た芦原は、「アキラ!アキラ!!」と
比較的大きな声で呼びかけたが目覚めない。
芦原はアキラの手を絡めるとアキラの顔を覗き込むようにしながら叫んだ。
すると、アキラの瞳がゆっくり開き、やがて顔を綻ばせると唇を動かした。
「お・・がた・さ・・ん・・?」
999名無しの愉しみ :02/08/20 09:19 ID:???
偽りさんキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
アキラたんに対する芦原の愛情が満ち満ちてるなあ。普遍的な愛っていうか。
天然芦原が魔性の恋に目覚めたりしるのだろうか?気になる。
しかし今から15年後っておもしろい設定だなあ。
つづき待ってるよ。
1000名無しの愉しみ :02/08/20 10:14 ID:???
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| ||||,||ヽ
| |ー゜)_| 次の山猫で、君に握手!
| | |つ))
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