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443偽り
緒方は、久しぶりに棋院に来ていた。
ふと、今日アキラが手合いだったことを思いだし、いるなら
一緒に帰ろうと思ったが、もう先に帰ってしまったらしい。
「熱帯魚のエサでも買って帰るか」
緒方はそのまま駐車場へ向かった。
444偽り:02/04/07 15:54
あ、そのことか・・・。ま、確かに行くところはあったけど。
進藤のちょっとした気遣いにボクはなんだか嬉しかった。
「大丈夫、たいしたことない用事だったから」
そう、緒方さんとは別に会う約束をしていたわけではない。
いつもは自分が会いたいときに前の日でも約束を取り付けるから。
いきなり訪ねてもいないかもしれない。
でも、相談したいことがあったから・・・。
そこまで云って思考を停止する。
気にしなくていいというと進藤はホッとしたようだった。
強引に誘ったとして、どうやら気にしていたらしい彼は嬉しそうに
コーヒーカップを口に運んだ。
あの沈黙は、彼なりの想うところの態度だったらしい。ちょっと驚いた。
昔のキミだったら、そうした気遣いの言葉は出なかっただろう。
それだけキミは成長したってことかな。
ボクがにこにこ笑みを浮かべるので、進藤はわからないといった様子で
なんだよと訊いてきた。
「いや、キミも他人を気遣えるようになったんだなってちょっと
感動したんだよ」
「なんだよーそれ!?ひでえの〜」進藤はぷうと頬をふくませて、笑った。
ボクも笑った。なんだか15年前に戻ったみたいで懐かしくて嬉しかった。
あの時まで、ボク達はいつも一緒だったね。
進藤・・・。