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290裏失楽園
 足が震えて、支え無しには立っていられない。ボクは身体を前のめりにさせて、壁に手をついた。
冷たい壁に火照る頬をおしつけて熱を逃がす。冷たさを感じるのは一瞬で、すぐに壁の冷たさは
ボクの体温と同化して気にならなくなった。
「……いい格好だな」
 背中の窪みに触れながら緒方さんが笑う。それで気づいた。緒方さんが腰を拘束しているから、
ボクの格好は腰だけを彼に向かって突き出したようになっていたのだ。
 慌てて腰を引こうとしたが、緒方さんの腕はビクともしない。それどころか彼は、ボクの
身に付けているパジャマのズボンに手を掛け、そのまま下着ごとずり下ろしはじめた。
 ボクは咄嗟に手で前を押さえる。ボクの下半身は、緒方さんが少し身体を撫でただけで
僅かながらも反応を見せはじめていた。
「…やめて、ください……」
「どうせ、そっちは進藤が触ったんだろう? イヤ、キミが進藤の中に入ったのか」
 冷静な声で参ったなと緒方さんは呟くとボクの手を強引に退かし、ソコを布越しに握り締めた。
「く……っ」
 そのまま形を確かめるように、ゆるゆると撫でられる。
 直接ではなく、着衣の上からのゆるやかな刺激の焦れったさに泣きたくなった。
 緒方さんは片手でボクをじわりじわりと追いつめながら、もう一方の手でボクの髪に触れた。
 彼がベッドに広がる長い髪に色気を感じると言ったから、だから伸ばし始めた髪を。
「全く…キミは誰とでも気軽に寝たりしない、その高潔そうなところが特に気に入ってたんだが」
「あ……っ、ぁ……あッ!」
 不意にぎゅっとそこと強く握り締められ、息が詰まる。
「生憎と、進藤の中に入ったココを可愛がってやれるほどオレの心は広くないんだ」
 耳朶にカリと歯が立てられ――背中を電流が駆け抜けた。