「アイツはこの身体のどこに触れた?」
緒方さんは低い声で囁きながら、ボクの身体のあちこちを確かめるように辿っていく。
「ここか? それとも――ここか?」
「あ……っ」
時折、どうしても身体が反応してしまうポイントを刺激され、ボクはビクリと肌を震わせた。
上半身が裸のボクとは対照的に、彼はネクタイの結び目を緩めただけで少しの着衣の乱れもない。
「ここは触られた?」
彼のボタンに手をかけようとすると、ボクを後ろ向きにして、緒方さんは背後からボクの脇腹を
指先で刺激し始めた。それだけでボクの膝はカクカクと震え出した。
下から爪先で撫で上げられて、背筋を悪寒にも似た何かが走り抜ける。
ボクは夢中になって首を振った。
――だって、ソコが弱いことを知っているのは、緒方さんだけだ。
緒方さんが見つけて、緒方さんがそこをもっと敏感にさせた。
進藤とは、そういうところを見つけ合う余裕さえ生まれなかった。
「……進藤にね、キミがここを弱いことを教えてやったから、きっとこれからは進藤もここを
攻めてくるな。――楽しみだろう?」
緒方さんは本気なのだろうか。
「嫌、です……っ」
彼は本気で、ボクを進藤と共有しようとしているのだろうか。
それとも、進藤をボクと共有しようとしているのだろうか。
「どうして……? キミが望んだんじゃないか」
彼の低い声はボクの腰の辺りから聞こえてくる。緒方さんは床に跪いて背中にキスを落とした。
脇腹を摩っていた指の代わりに、温かく濡れたものがそこを滑っていく。
彼の舌が通り過ぎた後は、唾液の冷たさだけが切なく残った。