その部屋のドアの前に立ち、月はノックをした。
「…僕だ」
ドアが開いた。
部屋に入るとチョコレートの匂いがした。机の上にチョコがあった。ニアはチョコを齧っていたのだ。メロのように。
ニアの月の胸は痛みにかき回された。真っ黒な想いが再び月を押しつぶそうとしていた。
だが。
月は右手でそっと左手の指輪に、手をかけた。
これで終わる。
苦しい想いも、嫉妬も、悲しみも、ニアとの関係も、それから愛も。
『私は月くんがニアを殺してしまうとさえ考えています』
Lの言葉が月に決意させていた。ニアとの………別離を。
あるいはLの言うとおり、月の想いはそれほど激しかったから。
ニアを解放する。自由にする。そしてニアを……メロのもとへ。
だが月は動けないでいた。どうしても外せなかった。たった今もこうして自分を苦しめる
真っ黒な感情すら、ニアへの愛そのものだった。と、そんな月にニアが言った。
「夜神月。あなたがキライです」
503 :
502:2007/03/05(月) 17:39:54 ID:TFHb3LiV0
>>502 いきなりですが五行目に誤りがあります
誤
ニアの月の胸は痛みにかき回された。
正
月の胸は痛みにかき回された。
すみません・・・・・・・・
「嘘だ!!」
とたんに月は叫んでいた。
確かに僕は婚約を破棄することを考え、そのために来た。
しかし今はっきりと気付いた。こんなこと全く意味がない!何故なら…
「キライならそもそも婚約なんてするはずないじゃないか!!」
何故なら、僕はニアを愛している。そして…………ニアも、僕を愛している。
それだけは、はっきりしている。
「今のあなたはLと同じ。私に触れようともしない。そんなのあなたじゃない」
ニアはまっすぐに月を見ていた。
「私はメロとの事を後悔していません。もし、今同じことが起こったとしても
必ず同じ事をする。私の理性はそう断言しています」
はっきりした声でニアは言った。そこまでは。だがそこからは違った。
「でも、私の身体はそれを許さない。あなたを裏切るような真似をしたことを……」
だんだんニアの声が震え出す。絞り出すようにニアは続けた。
「…どうして…私から離れるんです…どうして抱いてくれないんですか…力ずくでも…無理やりでも…」
「ニア…」
月はニアのそばに近付いた。小さな肩をそっと抱いた。ニアは震えていた。今にも泣き出しそうに。
「…あなたも私の身体同様、私を許してくれないんですか…?…だったら……」
ニアは言った。
「究極、あなたが私を絞め殺せばいいという事です…」
「馬鹿を言うな!!」
月は、ニアの唇を自分の唇で塞いでいた。そんなこと聞きたくなかった。絶対に。
「!」
苦かった。苦い苦い、苦い味。
ニアが口にしていたのはカカオ成分のみの砂糖抜きのビターチョコだった。
怪訝な顔をする月にニアが言った。
「あなたが言ったんじゃないですか、簡単に人から食べ物をもらうなと。
だから、自分用のチョコを用意したまでです」
再び月はニアに口づけていた。ディープキス。
「ん!……んんっ…………ん………ライ、ト…」
月はそっと離れて、ニアを見た。
「遅いです、キスするのが…。…おかげであんな苦いもの、四枚も食べてしまった…」
「ニア…」
月はまたニアに口付けていた。ニアも月の身体に両腕を回した。
苦いはずのチョコはもう甘かった。
『会いたかった』
ニアは確かにそう言ったのに、どうしてニアを信じられなかったのだろう。
やがて月はニアから身体を離し、静かに言った。
「覚悟はいいか。ニア」
ニアは月を見た。大きな瞳が濡れていた。
「ニアの身体に教えてやるよ。どんなことがあっても、僕が欲しいのはニアなんだってことを」
「あっ!ああっ!!あああっ!!」
四つん這いでニアが声を上げる。
そんなニアの腰をしっかり掴んで離さず、月は後ろから激しく攻めていた。
「ああ!っ、あ、ああ!!」
身体を支える両腕に力が入れられなくなり、ベッドの上でニアは両肘を付いた。
月はそんなニアに覆いかぶさり、耳元にキスをしながら囁いた。
「ニア…耐えられるか…?」
「やめないで!!あ、っく、ああ!!あああ…」
ニアはオーガズムには行き着けないでいた。快楽を伴わないセックスは苦痛以外のなにものでもない。
それでもニアは優しい愛撫よりも、激しい情交を望んだ。
「……ああっ!……ああ………して………私を……」
月に攻められながら、ニアはうわごとのように何かを繰り返していた。先ほどのニアの言葉を思い出し、月は言った。
「死なせない」
月の両手はニアの腰を離さず、揺らし、なおも突き続ける。
「あっ!あ、あああ!」
繋がったまま、ニアは起き上がり、何かを掴むように手を空(くう)に伸ばしていた。
「ああ…あ…」
起き上がって前の壁に寄りかかろうとするニアを、月はそのまま突き上げた。
だん!!
ニアの身体が壁にたたきつけられ、ニアの丸い胸が壁と攻め立てる月との間で、
ゴム毬のようにひしゃげた形になって押し付けられていた。
「ううっ!うっ!うっ、あ、はあっ!」
膝立ちで壁に付いたニアの左手に月は、自分の左手を重ねた。二人のエンゲージリングが重なった。
月はニアの頬と顎を持って後ろを向かせると、ニアに口付けし舌を舐め、唇を強く吸った。
「んっ!んんんん!んーーーーーん!」
唇を離して再び突き上げるとニアはまたなにごとかを繰り返す。
「うう、うううっ!……して。……を…」
ニアの閉じた瞳から涙がこぼれていた。
「…………して。……私を………………許して」
ニアの言葉が月の耳に届いた。そして、月はようやく気がついた。
誰よりもニア自身が、何よりもニアの心が、ニアを許してはいない事に。
月はニアと繋がった自分自身を一旦離すと、ニアの身体を後ろから抱きしめていた。
「いや!やめないで!!」
「ニア。大丈夫だ」
怯えるニアの、身体を自分の方に向かせ、
月とニアは向かい合う格好でぺたんと座ってた。
ニアが濡れた瞳で月を見る。そんなニアに、月は静かに言った。
「ニアは間違ってない。悪かったのは、僕の方だ」
「‥‥‥っ」
ニアは、違う、と小さく首を横に振った。
月は両手でニアの頬を挟むと、ニアのおでこに自分の額をくっつけてもう一度言った。
「ニアは間違っていない」
「僕もきみと同じだ。自分が正しいと思う事を信じ、正義とする」
月がそう言ったときのニアの表情を、こののち月は忘れることはなかった。
「‥‥だから、私とあなたなんです」
「……もし神がいて、神の教示(ことば)があったとしても、私は一考し、それが正しいか正しくないかは自分で決めます」
ニアの言葉には、誓いのような、或いは何かに背くような、重い響きがあった。
『神』。ニアはそう言った。しかし、ニアが何か宗教を信じているとは思えない。
ニアの言う『神』とはLの事だろうか。あるいは何か、別の‥‥‥‥‥?
「…ニア。僕を見て」
ニアが月を見る。大きな、くるくるした瞳で。
「僕が恐いか?」
「いいえ。少しも」
「じゃあ、僕を見ているといい。僕だけを」
そう言って月はニアの唇にそ…っと、キスをするとニアを見た。
ニアが笑った。半年ぶりに見るニアの笑顔だった。
「…やっと笑ったね…ニア」
「…ライト…」
二人はどちらからともなく抱き合うと、ベッドに倒れこんでいた。
愛が罪だというのなら。罪人(つみびと)でいい───────。
その部屋でリンダは真剣な顔のLをモデルに絵を描いていた。指人形の感想を月に告げるというLの指示の報酬として。
「先輩も、一度でもこんな顔見せれば良かったのに。ニアがヤガミに会う前に」
「…私とニアでは罪になる」
Lはボソッと呟いた。誰にも聞こえない声で。一層激しくなった雨がLの声を完全に消した。
リンダが言った。
「南極の氷も、恋の熱が融かしているのかも…」
「……リンダ。南極の氷が融けてしまったら地球の大半は沈んでしまいます。
ノアの箱舟のような大洪水の再来が、恋愛のせいですか?」
「バタフライ・エフェクト。小さな蝶の羽ばたきというデータすら竜巻を起こしうる
一端となる。だったら、今言った因果関係も不思議ではないでしょう?」
「それでは今の地球現象は、神が、道ならぬ恋をする者に怒り与える罰のようです」
「愛が罪だなんていう神様はいません。そんなことをいうのは人間です」
「‥‥‥。そうですね。リンダは正しい。何より、そんな者の存在などあり得ない…」
Lがそう言ったとき、雨音は静かになりやがて止んだ。リンダが言った。
「どうやら雨、上がったみたいですね」
ぎしぎしぎしぎしとベッドがきしむ。
「あぁ、あん、あっ、あぁん」
月の身体の下、ニアは月の腰を両足で抱き、月の動きに合わせて
リズミカルに腰を動かしていた。ニアの身体にオーガズムの感覚が戻りつつあった。
「はっ、あぁん、あん…ライト…」
ニアの表情が快楽に歪んでいた。腰を動かしながら、月はそんなニアに口付けた。
「ん…。んっ…ん、んっ、んんんっ」
舌が絡まって唾液が糸を引く。ニアの唇は、舌は、もっともっとと月にキスをねだる。月が言う。
「ニア…すごく、素敵だ…いやらしくて」
「あっ、あん、そんな、はぁん、そんなこと…言う人、あん、…キライ、あっ、あぁん」
と、月がニアの頬に手のひらを当てニアを見つめて言った。
「仕方がないな…。……それでも僕は、ネイトが好きだ」
「…ライト…!あ‥‥!ああ、ぁあ!あぁあん!!」
再び月に激しく突き上げられながら、ニアは鳴いた。
「ら、ライト!私、私も…す、好き!あ、あぁあ!あぁあぁん!!」
月に抱かれ、快楽に打ち震えてニアは鳴いていた。
連投支援
月はニアの身体に両腕を回して抱きしめた。ニアも月を強く抱きしめた。
身体の奥深くを突き上げてくる月を、ニアのそこが締め付けていた。
ぴったりくっついたまま、二人は昂って腰を突き上げ、上りつめていた。
「はっ、ぁあぁあああん!あん!ライト!ライ、ト!」
「っ、ニア、すごい」
ぎしぎしぎしぎしぎしぎしぎしぎしとベッドのきしむ音がいよいよ早まっていく。
ニアの白い身体がピンクに染まり、部屋にはニアの匂いがたちのぼっていた。
「あ、ぁあぁあああぁぁぁんライト」
ニアの、悦びにうち震えてライトを呼ぶ甘い声が、月の耳に響いていた。
快楽に歪む美しい表情が、なめらかな肌に浮かぶ汗が、月の目に映っていた。
「あっ!あぁあん!あぁん!い、イくぅ、っ…あ、あぁあライトぉ!来てぇ!!」
「ネイト……っ!」
月は夢中でニアの唇を吸っていた。二人の快感は頂点に達し、二人は同時に達した。
「はぁ、はぁ、はぁ……。あ………」
ニアは息をついて月を見た。光る汗。茶色の髪。整った顔立ち。
月もニアを見た。大きな瞳。ピンク色の唇。そしてプラチナブロンド。
ニアが言った。
「…ただいま」
月が答えた。
「おかえり…」
月がニアに口付けたのと、ニアが月の首に両腕を回して抱きついたのと同時だった。
二人は離れないよう、きつくきつく抱き合った。
月のもとで、ニアは咲く。
それから月の帰国の日まで、二人はいっ時も離れることなく過ごした。
ある時。ベッドに横たわるニアはじいっと向いの月の顔を見ていた。くるくるした瞳で。
「‥‥なに?」
「いえ。カッコいいなと思ってみてました」
「!」
月は急いで背を向けた。
不意打ちだ。いきなりそんな事を。しかもそんな真面目な顔で。
「あれ?照れてるんですか?」
「………………こいつ………」
月はくるりとニアに向き直るとニアの唇を封じて、罰としてキスの雨を降らせていた。
「あ…ん。ふふ……あ、ん……あ…」
ひとしきりキスが終わると、ニアが再び真面目な顔になって言った。
「夜神月。今から私が言うことを誓ってくれませんか」
月もまた真面目な顔になり、頷いた。どんなことでも誓えると思った。
病めるときも。健やかなるときも。いかなる時も変わらぬ、永遠の愛を。
ニアが言った。
「変なものは拾わないで下さい」
「え?」
月は面食らった。なんだ、その小さな子どもに対する注意みたいなのは…
「特に、拾った物に勝手に名前を書くなんてもってのほかです」
「いや…そんな事したら泥棒じゃないか…?」
「万が一手にしても、とっとと落とし主に返しちゃって下さい」
「いや、だから‥‥‥なんで?」
「でなければ、本当に私、あなたを嫌いになります」
「誓う。拾わない。もし拾っても速攻、落とし主に返す」
慌ててそう言うと月は、ニアを抱きしめていた。
「良かった…」
ニアはほっとしたのか、月の腕の中で寝息を立て始めた。
月は、ニアのプラチナブロンドの巻き毛をそっと自分の指に巻き付けた。
この上もなく、ニアが愛おしかった。
もしもニアを失う事があるとしたらそれは、月にとってはこの上もない罰だった。
だが、どれほどの罪を犯せばニアを失う事になるのか、月には想像もつかなかった。
私も見てますよ〜ノシワクテカ
夜。月の腕枕で眠っていたニアが目を覚ました。月は起きていた。じっとニアを見ていた。
「夢を見た」
静かに月は言った。
「夢の中で、僕は…とても重い罪を犯していて」
ニアは黙って聞いていた。
「僕たちは、敵同士で」
月の顔は青ざめていた。
「ニアは、そこでは男の子のフリをしていて」
ニアは黙って聞いていた。
「そして…ニアが好きなのは」
ニアが動いた。ニアは月の唇にそっとキスをした。月の言葉を遮る為ではなく、それこそがニアの答えだというように。
「私と夢と、どっちを信じるんです?」
ニアはやさしく笑った。月も笑った。涙がひとすじ、流れていた。
「おやすみなさい、夜神月」
月は目を閉じた。ニアも目を閉じた。そして言った。
「目が覚めても私はいます。だから。おやすみなさい。」
ここまでが三章です。
これよりエピローグに入ります
帰国する前の夜、月はニアの指人形を持ってきていた事を思い出し、ニアに渡した。
「ニア、この指人形は何に使ってるんだ?メロのとLのもあったが」
「『L』の捜査のシュミレートです。メロは移動する事が多いので」
面白くなかった。指人形にすら嫉妬する自分が情けないとはわかっている。
だが、そんな形でもニアの傍にあるってことは、離れていてもいつもニアの心に存在している証のようで…。
月は思いきってある事を聞いてみることにした。
自分でも格好いいとはとても思えないが、そんなくだらないプライドは捨てる!
「その…僕の指人形はないのかな…?」
「ありません。欲しかったら自分で買ってください」
あっさりとニアは言い、がっくりと月はうなだれた。
と、ニアが月の手を取り、自分を模した指人形を渡した。
「可哀想だから、こっちはあげます」
「…ありがとう…」
月は、改めてニアの指人形を見た。
なんだ…よく見ると可愛いといえなくもないじゃないか。
支援です。
微笑む月を見て、ニアは言った。
「あなたの指人形なんて必要ない。あなたは特別ですから」
「どういう意味だ?」
問いかける月に、ニアは何ごとか考えるような顔つきで答えた。
「そうですね。…今なら、ここから見えるかもしれない」
ニアは、裸の自分と月の身体にシーツを巻きつけると、月の手を引いて窓の処へ導いた。
そして、シャアアアッとカーテンを全開にした。
「ほら」
ニアが指差したのは、月と同じ名の、夜空に懸かる天体の月だった。
「あなたに会いたいときは、夜を待ってあれを見ています」
月は自分と同じ名の、夜空の天体をニアと一緒に見ながらニアの肩をそっと抱いた。
どう言えばいいんだろう?今の気持ちを。ニアへの、溢れるような想いをどう伝えたらいい?
月の光を浴びたニアは白い妖精のようだった。
そんなニアの姿に、月下美人の花を思い出して、月は言った。
「僕が高校の時、家族で月下美人を見ていてね。粧裕と…あ、妹と母と見ながら、
一緒に何かを見たい相手がいるって幸せな事なんだって、その時は気付いてなかった。でも今は違う」
と、ニアはふいっと向こうを向いた。
「私、妹じゃありません」
え?
わけがわからない月に、向こうを向いたまま口を尖らせた口調でニアが続ける。
「そんなに粧裕さんと見たかったら、さっさと帰ったらいいじゃないですか」
えええええ?
「……もしかして…妬いてるのか?いや、粧裕は妹だぞ…?」
「だから、妹さんのところでも、何なら弥海砂のところでも帰って構わないと言っているじゃないですか」
明らかに妬いてる……しかも弥のことまでチェックしてる………
月はため息をついた。そしてレイの言葉を思い出していた。
そうだ。これからもきっと僕たちは、こんな風に二人で時間を紡いでいく。
ニアは向こうをむいたままだった。
だが。こういう時にやることは決まっている。
「ニア」
月はニアの顎をすくうと、そっとこちらを向かせた。
案の定ほっぺがふくれている。可愛くてたまらなかった。
月は、ニアの唇に自分の唇を重ねた。
「…ん。……んん……ライト。……ん……」
舌を、そして指を絡める二人の、約束の指輪が月明かりに輝いていた。
「ネイト…」
息をうわずらせて、ニアが腕を伸ばしてカーテンを握る。月もまたカーテンに手を伸ばす。
シャアアアアアアアアッ!!
幕が引かれると、恋人たちの部屋は外からはもう見えなくなった。
空に懸かった月が、そんな夜の世界を静かに優しく照らしていた。
以上です
読んで下さった方、レス下さった方、支援して下さった方
ありがとうございました!
では名無しに戻ります
乙です!
良かった、月とニアがハッピーエンドで!
私は最近来たんでバラ神投下時のことはリアルタイムで知りませんが
倉庫で読んでいて、今回リアルタイムで読めてうっとりです!
良ければまたいらしてください!
神、乙でした!
月ニアいいなぁ…
やきもちを焼くニアたんが最高に可愛かったです!
ロムってる人も結構いるみたいですが、どうせならSSの感想を書いてあげると
いいと思いますよ!
では勇気を出して発書き込みです
ネ申!素晴らしい作品をありがとうございました!
ずっとROMしてましたが
神のみなさん大好きです!
月ニアが両想いで良かったぁぁぁ!!文体が神秘的な感じがして大好きです。ぜひまた投下して下さいね。
薔薇のネ申、乙です!
セツナ&甘アマな月ニア、素敵です〜!!
初期の頃から住み着いてますが、新しい神々や住人がどんどん増えてきて
色んなニアたん見れて・・・ほんとうれしいですw
さすが女の子ニアたん、みんなに愛されててウレシイ
薔薇神乙!
>>519やニアの嫉妬が可愛いですハァハァ…
>>薔薇神乙です!
ラストまでぐいぐい引き込まれました。
自分がここに来た時初めて目にしたのが薔薇神の作品でしたので
とても嬉しいです。
月とニアのやり取りが二人らしくて、ニアに恋する月ややきもちを焼いて
ほっぺを脹らますニアが可愛かったです。
また素敵なSSお待ちしてます!
おはようございます。
先日の続き、L×ニアを投下します。
21禁。
タイトルは『放課後の一時』
感情部分多めです。
カップリングや読んでいて合わない方はスルーして下さい。
では、どうぞ。
534 :
放課後の一時:2007/03/06(火) 06:47:29 ID:voeuUoUj0
――――――放課後。
「また会いましたね。」
オレンジの教室で、ニアは再度男に会った。
「・・・・・・・!!!」
目をぱちくりさせ昨日と同じ格好の男を見つめる。
まさに今この男の事を考えていたとこだった。
Lを語る不徳な輩。
しかし、院に立ち入る事が出来る人物・・・・関係者であるのはたぶん、確か。
もしかして本当にL?
いや、有り得ない。LがLだと自ら名乗るはずがない。
何か事が起こってからでは遅い。
今日、ロジャーに聞いてみよう――――――
今、その結論に辿り着いたばかりであった。
まさか本当にもう一度会うとは思わなかった。
「ニア、もしかしてこの時間がお気に入りなんですか?」
男はニアが張り巡らす緊張をよそに教室に足を踏み入れる。一歩、また一歩。
535 :
放課後の一時:2007/03/06(火) 06:48:44 ID:voeuUoUj0
「あなたは一体誰なんです??」
「昨日も言ったでしょう。私はLです。」
・・・・・・駄目だ、こいつ。
大きな目を半分にして疑いの眼を向けるとLと名乗る男が言った。
「自分が支援している院なのですから立ち入りは自由なんです。」
そして男はニアが座り込んでいる教室の隅まで来て窓の外を見た。
「相変わらずここから見る景色は美しいですね・・・・・・」
それは何度もこの窓から外を眺めているような口ぶりだった。
ニアははっとした。ああそうか、彼は。
「卒業生・・・・・・?」
「・・・・・まあ、似たようなものです。」
男は窓の外を見つめている。ニアはそっと男の顔を覗いた。
黒い髪がオレンジに透け茶色に光る。
まっすぐ前を見つめる眼差しは鋭く、そしてどことなく悲しそうであった。
「私もあなたと同じでした。この時間、この場所。この夕日がお気に入りでした。」
536 :
放課後の一時:2007/03/06(火) 06:49:40 ID:voeuUoUj0
「・・・・・同じ?」
どうしてそう思うのだろう?
たまたまこの時間、この場所。
偶然昨日と同じ時間にニアが居ただけかもしれない。
男は不思議そうな表情を浮かべるニアを見ると微笑んだ。
「それもよっぽど気に入っているのですね。」
言葉はパズルを指していた。ニアの周りには白いピースが散らばっている。
「これは・・・・・私の大切な・・・・」
慌ててパズルを解くその手で口を塞いだ。
「どうしました?」
「い、いえ・・・・」
卒業生といえども目の前の男はLの名を語る不徳な輩。
それなのに。
537 :
放課後の一時:2007/03/06(火) 06:50:31 ID:voeuUoUj0
どうしてだろう。
夕日を見つめる彼はどこか自分と同じ匂いがした。
警戒しているはずなのに。
何故か優しい空気が漂う。ゆったりしたオレンジの時間。
光は二人を包む。まるで何かから解き放つかのような、清い光・・・・・
気が付くとニアは自らの意思で男に話し掛けていた。
「どうして此処が気に入ってたんですか?」
「・・・・たぶん、あなたと同じ理由です。」
「・・・・私と同じ・・・・」
「そう、ニア。あなたと同じ。」
ニアは改めてこの時間、この場所、この夕日が好きな訳を考えた。
「私は・・・・・・」
538 :
放課後の一時:2007/03/06(火) 06:51:49 ID:voeuUoUj0
ワイミーズハウスに来てから暫くしてナンバー1という称号を与えられた。
でもそれは、私にとってそれだけで、何の変わりもないはずだった。
いつからだろう?それが重荷に感じ始めたのは。
私は一人でも大丈夫。そう言い聞かせ始めたのは。
私は私であり、ニアはニアである。
でも・・・・・いつしか周りは自分をナンバーでしか見なくなってた。
『ナンバー1』のニア
539 :
放課後の一時:2007/03/06(火) 06:52:37 ID:voeuUoUj0
ナンバー2にメロという少年が居る。
彼は事あるごとに私をライバル視する。恨みでもあるのかと聞きたくなる程に。
彼こそ私をナンバーでしか見ていないだろう。
もしも、ナンバー1でなくなったら彼は私をどう位置づけるだろうか?
ニアとして?それともまたナンバーで?
・・・・・きっと後者であろう。
ナンバーでもいい。一番前にいる事で確かに『私』は存在するのだ。
メロの中にも。ハウスの皆の中にも。
そして――――――最大の目標でもある『L』にも。
540 :
放課後の一時:2007/03/06(火) 06:53:34 ID:voeuUoUj0
ある日、ロジャーから受け取ったミルクパズル。
それはLからの贈り物であった。
―――――Dear Near――――――
嬉しい。すごく嬉しい。・・・・・嬉しかったはずなのに。
「これは・・・・あなたもご存じの『L』から貰ったパズルなんです。」
ニアはゆっくりと話し始めた。
「とても・・・・大切なものなんです。」
「・・・・・そうですか。」
「でも。」
「・・・・・でも?」
それはナンバー1のニアだけに用意されたプレゼント。
・・・・最初は喜んだ。
あのLが自分を見てくれている。
このパズルはLがニアを見つけてくれた証なのだと。
541 :
放課後の一時:2007/03/06(火) 06:56:19 ID:voeuUoUj0
「でも気付きました。大切であってそうでないものだと。」
ニアは男が見ていた窓の先へと目をやると、オレンジの光に眉をひそめた。
「期待していて・・・・期待していなかったんです。
いえ・・・本当は期待していたのかもしれません。」
無垢に信じられたらどんなにいいか。
でも、Lも皆と同じだ。
・・・・・私をナンバーとして見ている。
Lこそ私を知らない。きっと情報でしか。
それは上辺だけの私。
Lが見ているのは所詮はデータなのだ。
Lが本当の自分を見つけてくれるなんて夢物語。
それでも可能性を求め期待するなんて、何ておこがましい事か。
542 :
放課後の一時:2007/03/06(火) 06:59:20 ID:voeuUoUj0
今日はここまでです。
続きはまた今度。
>>二代目倉庫番様
何度もすみません。
SSメニューのカテゴリの中に『824』というタイトルのもの
がありますが、恥ずかしながら以前自分が投下したSSでした。
初めての投下とはいえ、タイトルも無いとは・・・情けないです・・・
出来ればきちんと3つ、タイトルをつけてあげたいと思います。
決まりましたらご連絡致しますのでよろしくお願いします。
放課後神乙です!
仕事行く前に読めて嬉しい…
ニアの心がこれからどう変化していくのか楽しみです
読んでて放課後の夕日をニアと一緒に見てる様な気分になりました
最近女の子ニアがいっぱい見れて幸せです!!
神乙です!
頭の中が夕焼け色でいっぱいです!
優しい雰囲気がすごくイイ!
続きワクテカしながら待ってます
Lの時計を書いた者です
ミルクパズル投下します
Milk Pazuru〜怖い!〜
15禁
カップリング・子メロニア
メロの過去にオリジナル要素あり
メロニア恋人設定。微エロ。ほのぼの。
546 :
怖い!:2007/03/06(火) 14:20:39 ID:BYF/mIqF0
その廃校舎には、3年前に自殺した生徒の霊が出る。
春の日差しが差し込むワイミーズハウス。給食を面倒くさそうに
口に運ぶニアに、マットは最近仕入れた「面白い話」を聞かせていた。
「………という噂で持ちきりなのよ。どう、ニアちゃん。見に行かない?」
マットは机の前にしゃがみこんでニアの顔を覗き込む。
顔色一つ変えないかと思ったのだが、思わしげに目を逸らした。
「それは怖いですね………」
「あっニアちゃんも怖いんだ? お化け。カワイイ」
ニンジンをフォークに刺し、くるくると回す。
「自殺云々は作り話ですね。そんな事件は聞いたことがありません。
私は霊が「いない」ことは証明出来ませんし、無意味だと考えます。
547 :
怖い!:2007/03/06(火) 14:21:42 ID:BYF/mIqF0
心霊スポットと呼ばれる場所は磁場が大きく狂っているのだそうですよ。
これが脳の信号になんらかの影響を及ぼしているのだと私は考えます。
あとは人体にどの程度の影響を与えるか、というのが問題になってくる
わけですね」
「………別の意味で怖い訳ね」
「そうですね。未知の物に対する恐怖心というのはあります」
「………ほんとに?」
無表情のニアをじっとりと見上げる。
「何ですか」
「いやさ怖がって無いし」
「怖いですよ。現実には存在しない映像を見せるんでしょう?
その電磁波」
「お化けだって! いいかいニアちゃん、女の子がそれじゃいけない。
よし、オレが「可愛い女の子のありかた」について享受しよう
そうしよう!」
548 :
怖い!:2007/03/06(火) 14:22:44 ID:BYF/mIqF0
1人でエキサイトする。それが言いたかっただけではなかろうか、
とニアはうろんげにマットを見下ろす。
「メロが「マットの言うことは聞くな」って」
「何ですと!? 友情のありがたみが分からん奴だ。いいかニアちゃん、
「可愛い女の子」について詳しいのはオレとメロどっちよ?」
詰め寄る。ニアはさくらんぼのような唇をつきだして
「本当にあなたがた、仲良いんですか………男の友情は理解不能です」
「で、どっち」
「………マットですね」
勝った。立ち上がりガッツポーズを決める。
「本当に怖いんだね?」
「マット、あまり顔を近づけないで下さい」
ニアは眉をひそめる。互いの息がかかるくらいに近い。長いまつげだなぁと
マットは見ほれた。役得役得。よく見るとまつげには少し金色も入っている。
「じゃあ言ってみて。「怖い」」
549 :
怖い!:2007/03/06(火) 14:23:19 ID:BYF/mIqF0
フォークをかちゃりと置く。
「怖い?」
「もっと不安そうに。緩急をつけて」
「こあい」
「違う。手を交差させて。口に手をやってもいい。そう、その表情」
ニアは顎に手をそっと添えると、困惑しきった表情でマットを見上げる。
ゆがめられた眉が妙に艶っぽい。何だか興奮してきた。
「………怖い」
「そうそう、その調子」
「………怖い、です」
ぴっと後ろを指さした。
「後ろ」
550 :
怖い!:2007/03/06(火) 14:23:56 ID:BYF/mIqF0
マットは振り返る。メロが右手に左の拳をぶつけて、般若の顔でマットを
見下ろしている。
確かに、怖い。現実的な意味で怖い。
「………お前は何をやってるんだぁっ!」
「うわわわ、メロ誤解! 誤解だって!!」
ニアは殴り合いの喧嘩を始めたふたりからそそくさと離れると、
唇に手を当てた。
小首を傾げる。
「………こぁい。こ・わ・い。イントネーションが上手くいきません………」
今日はここまでです。あまり長くないです。
タイトルはあれですが内容は怖くないです(笑)
>>二代目倉庫番様
乙です!
Lの時計、サプライズ共に全文を送信させていただきました。ご確認下さい。